霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
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【新着情報】Onido新著
『神眼で読む霊界物語』ヒカルランド社から新発売
!
第二章
銅木像
(
どうもくぞう
)
〔五五二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻
篇:
第1篇 五里夢中
よみ(新仮名遣い):
ごりむちゅう
章:
第2章 銅木像
よみ(新仮名遣い):
どうもくぞう
通し章番号:
552
口述日:
1922(大正11)年03月23日(旧02月25日)
口述場所:
筆録者:
谷村真友
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年11月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一行が脱衣婆に別れを告げて西へと進んで行くと、山に行く手をさえぎられた。天津祝詞をあげると、山は数十里の彼方へと退散して道が開けた。
突然、土中から見上げるばかりの大きさの銅木像が現れた。銅木像は、自分は機械であって、腹の中へ入れば機械装置で自分を操ることができるのだ、と告げた。源五郎は鼻の穴から銅木像に入って操ることになった。
源五郎が入った銅木像は、自分はウラル教の大目付だと大声を放つと、鼻の穴から黒煙を噴出した。次に、水洟を滅茶苦茶に四方八方に噴出した。
また、源五郎の銅木像は、着物を奪われた恨みとばかりに、熱い小便茶を噴出して一同にかける。音彦だけは面白がって、平気でこの光景を楽しんでいる。
銅木像は弥次彦、与太彦とおかしな問答を交わすと、どこかへ行ってしまった。すると、向こうから日の出別宣伝使ら一行がやってくるのが見えた。
気がつくと、三人は小鹿峠のふもとの川べりに気絶していて、日の出別宣伝使ら一行の鎮魂によって救われたところであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-12-19 01:31:59
OBC :
rm1402
愛善世界社版:
38頁
八幡書店版:
第3輯 170頁
修補版:
校定版:
40頁
普及版:
17頁
初版:
ページ備考:
001
音彦
(
おとひこ
)
、
002
弥次彦
(
やじひこ
)
、
003
与太彦
(
よたひこ
)
、
004
源五郎
(
げんごらう
)
の
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は、
005
三途川
(
せうづがは
)
の
脱衣婆
(
だついばば
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて、
006
際限
(
さいげん
)
もなき
雑草
(
ざつさう
)
の
原野
(
げんや
)
を
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
き、
007
ピタツと
行
(
ゆ
)
き
当
(
あた
)
つた
禿山
(
はげやま
)
、
008
三方
(
さんぱう
)
山
(
やま
)
に
囲
(
かこ
)
まれ
進路
(
しんろ
)
を
失
(
うしな
)
ひ
当惑
(
たうわく
)
の
態
(
てい
)
、
009
音
(
おと
)
『サア、
010
ピタツと
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つた、
011
これで
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
も
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
りだ、
012
何
(
なん
)
とか
一
(
ひと
)
つ
考
(
かんが
)
へねばなるまい』
013
弥
(
や
)
『
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
014
サア
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
の
言霊
(
ことたま
)
だ、
015
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
に
使用
(
しよう
)
するのが
言霊
(
ことたま
)
の
活用
(
くわつよう
)
ぢやありませぬか』
016
音彦
『アヽさうだつたナア』
017
と
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち、
018
声
(
こゑ
)
厳
(
おごそ
)
かに
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
する。
019
忽
(
たちま
)
ち
行当
(
ゆきあた
)
つた
禿山
(
はげやま
)
は
雲
(
くも
)
の
如
(
ごと
)
く
数十
(
すうじふ
)
里
(
り
)
の
彼方
(
あなた
)
に
急速度
(
きふそくど
)
を
以
(
もつ
)
て
遁走
(
とんそう
)
した。
020
弥
(
や
)
『アヽ
言霊
(
ことたま
)
の
威力
(
ゐりよく
)
と
云
(
い
)
ふものは
偉
(
えら
)
いものだナア。
021
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
は
山
(
やま
)
をも
動
(
うご
)
かすと
云
(
い
)
ふことを
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
る、
022
流石
(
さすが
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
だ、
023
貴方
(
あなた
)
の
信仰
(
しんかう
)
の
威力
(
ゐりよく
)
は
確
(
たし
)
かなものだ。
024
もうかういふ
経験
(
けいけん
)
を
得
(
え
)
た
以上
(
いじやう
)
は、
025
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
であらうが、
026
八寒
(
はつかん
)
地獄
(
ぢごく
)
であらうが、
027
何
(
なん
)
の
恐
(
おそ
)
るる
所
(
ところ
)
あらむやだ。
028
地獄
(
ぢごく
)
のドン
底
(
ぞこ
)
まで
浸入
(
しんにふ
)
して、
029
吾々
(
われわれ
)
一行
(
いつかう
)
は
幽政
(
いうせい
)
の
大改革
(
だいかいかく
)
を
断行
(
だんかう
)
するのだなア』
030
音
(
おと
)
『オイ
余
(
あま
)
り
油断
(
ゆだん
)
をするな、
031
油断
(
ゆだん
)
すると
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らずに
慢心
(
まんしん
)
が
出
(
で
)
て
思
(
おも
)
はぬ
失敗
(
しつぱい
)
を
演
(
えん
)
ぜないとも
限
(
かぎ
)
らぬ。
032
隅々
(
すみずみ
)
までも
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて
進
(
すす
)
まねばならぬぞ』
033
斯
(
か
)
く
云
(
い
)
ふ
中
(
うち
)
忽然
(
こつぜん
)
として
見上
(
みあ
)
ぐる
許
(
ばか
)
りの
銅木像
(
どうもくぞう
)
が
地中
(
ちちう
)
よりヌツと
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た。
034
弥
(
や
)
『イヨー
出
(
で
)
よつたなア、
035
矢張
(
やつぱ
)
り
幽界
(
いうかい
)
は
幽界
(
いうかい
)
だ。
036
一
(
ひと
)
つの
特徴
(
とくちよう
)
があるワイ。
037
オイコラ
幽界
(
いうかい
)
の
化物
(
ばけもの
)
、
038
吾々
(
われわれ
)
の
通路
(
つうろ
)
を
遮
(
さへぎ
)
る
不届
(
ふとど
)
きもの、
039
スツコメスツコメ。
040
現界
(
げんかい
)
の
化物
(
ばけもの
)
とは
違
(
ちが
)
つて
幽界
(
いうかい
)
の
化物
(
ばけもの
)
はよつぽど
形式
(
けいしき
)
が
違
(
ちが
)
つて
居
(
ゐ
)
るワイ。
041
コラ
化物
(
ばけもの
)
返答
(
へんたふ
)
せぬかい、
042
銅木像
(
どうもくざう
)
奴
(
め
)
が』
043
銅木像
『グワツハヽヽヽー、
044
グウツフヽヽヽー、
045
ギエツヘヽヽヽー、
046
ギヰツヒヽヽヽー』
047
弥次彦
『ナンダ、
048
ガヽヽ、
049
ギヽヽと、
050
濁音
(
だくおん
)
のみを
使
(
つか
)
ひよつて、
051
吾々
(
われわれ
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
て
居
(
ゐ
)
るのだい、
052
三途川
(
せうづがは
)
の
脱衣婆
(
だついばば
)
でさへも、
053
ヘコまして
来
(
き
)
た
弥次彦
(
やじひこ
)
さまだぞ』
054
銅木像
『
俺
(
おれ
)
は
銅
(
どう
)
と
木
(
き
)
とで
造
(
つく
)
つた
機械
(
きつかい
)
な
化物
(
ばけもの
)
だ。
055
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
吐
(
ぬか
)
すと
頭
(
どたま
)
から
呑
(
の
)
みてやらうか』
056
弥
(
や
)
『アハヽヽヽ、
057
貴様
(
きさま
)
は
大蛇
(
をろち
)
の
化物
(
ばけもの
)
だな、
058
呑
(
の
)
ましてやりたいが、
059
生憎
(
あひにく
)
何
(
なん
)
にもないワイ、
060
田子
(
たご
)
の
宿
(
やど
)
のお
竹
(
たけ
)
の
家
(
うち
)
で
飲
(
の
)
まされた
小便茶
(
しよんべんちや
)
なと
呑
(
の
)
まして
遣
(
や
)
らうか』
061
銅
(
どう
)
『イヤ
俺
(
おれ
)
は
茶
(
ちや
)
は
呑
(
の
)
みたくない。
062
裸
(
はだか
)
の
奴
(
やつ
)
が
呑
(
の
)
みたいのだ』
063
弥
(
や
)
『ウンさうか、
064
よしよし
御
(
ご
)
註文
(
ちうもん
)
通
(
どほ
)
り
此処
(
ここ
)
にウラル
教
(
けう
)
の
源五郎
(
げんごらう
)
といふ
奴
(
やつ
)
が、
065
真裸
(
まつぱだか
)
になつて
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るワイ、
066
これが
呑
(
の
)
みたいのだらう』
067
銅
(
どう
)
『ガーバー』
068
弥
(
や
)
『ホンに、
069
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
の
好
(
よ
)
いお
顔
(
かほ
)
だことわいのう。
070
サア
源
(
げん
)
チヤン、
071
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ながら
一
(
ひと
)
つ
呑
(
の
)
みて
貰
(
もら
)
ひ
給
(
たま
)
へ』
072
源五郎
『
裸
(
はだか
)
はお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
だよ、
073
その
着物
(
きもの
)
は
皆
(
みんな
)
俺
(
わし
)
の
着物
(
きもの
)
だ。
074
モシモシ
銅木像
(
どうもくぞう
)
さま、
075
弥次彦
(
やじひこ
)
、
076
与太彦
(
よたひこ
)
は
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
手前
(
てまへ
)
で、
077
真裸
(
まつぱだか
)
になりました。
078
裸
(
はだか
)
の
道中
(
だうちう
)
を
続
(
つづ
)
けて
来
(
き
)
た
経験
(
けいけん
)
のある
奴
(
やつ
)
です。
079
俺
(
わし
)
は
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
渡場
(
わたしば
)
で
此奴
(
こいつ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
に
泥棒
(
どろばう
)
されたのですから、
080
之
(
これ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
をとつくりと
呑
(
の
)
みて
遣
(
や
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
081
銅
(
どう
)
『ギヰツヒヽヽヽ、
082
オーさうだらう、
083
弥次彦
(
やじひこ
)
、
084
与太彦
(
よたひこ
)
が
味
(
あぢ
)
が
好
(
よ
)
ささうだのう』
085
弥
(
や
)
『コラ
源公
(
げんこう
)
、
086
貴様
(
きさま
)
は
真正
(
ほんと
)
の
真裸
(
まつぱだか
)
だ、
087
俺
(
おれ
)
は
脱衣婆
(
だついばば
)
の
承認
(
しようにん
)
を
得
(
え
)
て
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るのだよ。
088
モシモシ
銅木像
(
どうもくぞう
)
さま、
089
それはお
考
(
かんが
)
へ
違
(
ちが
)
ひぢやありませぬか』
090
銅木像
『
俺
(
おれ
)
は
機械
(
きかい
)
だ、
091
モウこれ
切
(
き
)
りで
物
(
もの
)
は
言
(
い
)
はぬ。
092
お
前
(
まへ
)
たち
勝手
(
かつて
)
に
俺
(
おれ
)
の
腹
(
はら
)
へ
這入
(
はい
)
つて
機械
(
きかい
)
を
使
(
つか
)
ふたが
好
(
よ
)
からう。
093
腹
(
はら
)
へ
這入
(
はい
)
れば
色々
(
いろいろ
)
の
機械
(
きかい
)
の
装置
(
さうち
)
が
完備
(
くわんび
)
して
居
(
ゐ
)
るから、
094
一々
(
いちいち
)
使用法
(
しようはふ
)
が
記
(
しる
)
してある。
095
その
綱
(
つな
)
をひくと
此
(
この
)
銅木像
(
どうもくざう
)
が
大活動
(
だいくわつどう
)
を
演
(
えん
)
ずるのだ、
096
ガハヽヽヽヽ』
097
弥
(
や
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
面白
(
おもしろ
)
いぞ、
098
吾々
(
われわれ
)
が
十万
(
じふまん
)
億土
(
おくど
)
の
旅
(
たび
)
をすると
思
(
おも
)
つて、
099
閻魔
(
えんま
)
の
奴
(
やつ
)
退屈
(
たいくつ
)
ざましにコンナ
副産物
(
ふくさんぶつ
)
を
拵
(
こしら
)
へて
置
(
お
)
いたのだらう。
100
ヤアもう
文明
(
ぶんめい
)
の
空気
(
くうき
)
と
云
(
い
)
ふものは
何処
(
どこ
)
までも
行
(
ゆ
)
き
渡
(
わた
)
つたものだワイ、
101
一
(
ひと
)
つ
俺
(
おれ
)
が
這入
(
はい
)
つてこの
機械
(
きかい
)
を
使
(
つか
)
つて
見
(
み
)
やうかなア』
102
源
(
げん
)
『お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
は
俺
(
おれ
)
の
着物
(
きもの
)
を
追剥
(
おひはぎ
)
をしたのだから、
103
罪
(
つみ
)
が
加重
(
かちよう
)
して
居
(
ゐ
)
る、
104
到底
(
たうてい
)
この
機械
(
きかい
)
を
使用
(
しよう
)
する
権利
(
けんり
)
はなからう。
105
俺
(
おれ
)
は
裸
(
はだか
)
だから
着物
(
きもの
)
の
代
(
かは
)
りにこの
銅木像
(
どうもくぞう
)
の
中
(
なか
)
へ
潜入
(
せんにふ
)
して、
106
一
(
ひと
)
つ
使
(
つか
)
つて
見
(
み
)
るから、
107
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
は
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
相手
(
あひて
)
になつて
見
(
み
)
たらどうだ。
108
ウラル
教
(
けう
)
の
大目付役
(
おほめつけやく
)
と、
109
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
や
信者
(
しんじや
)
との
問答
(
もんだふ
)
も
面白
(
おもしろ
)
いかも
知
(
し
)
れないぞ』
110
与
(
よ
)
『オイ
弥次彦
(
やじひこ
)
、
111
源五郎
(
げんごらう
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りにさして
見
(
み
)
たらどうだ。
112
ナア
音彦
(
おとひこ
)
さま、
113
それが
好
(
い
)
いぢやありませぬか』
114
音
(
おと
)
『
好
(
よ
)
からう、
115
ソンナラ
源
(
げん
)
チヤン、
116
あなた
這入
(
はい
)
つて
下
(
くだ
)
さいナ』
117
源
(
げん
)
『コレは
有難
(
ありがた
)
い、
118
一
(
ひと
)
つ
操
(
あや
)
つり
人形
(
にんぎやう
)
の
様
(
やう
)
に
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
動
(
うご
)
かして
見
(
み
)
ませうかい。
119
ヤア
入口
(
いりぐち
)
は
何処
(
どこ
)
だ、
120
アハア
大
(
おほ
)
きな
鼻
(
はな
)
の
孔
(
あな
)
を
開
(
あ
)
けて
居
(
ゐ
)
よる、
121
此処
(
ここ
)
から
一
(
ひと
)
つガサガサと
這入
(
はい
)
つてやらうか』
122
と
言
(
い
)
つて
銅木像
(
どうもくぞう
)
の
身体
(
からだ
)
を
杣人
(
そまびと
)
が
山
(
やま
)
にでも
登
(
のぼ
)
るやうに
杖
(
つゑ
)
をつきながら
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
123
弥
(
や
)
『イヨー
面白
(
おもしろ
)
いな。
124
まるで
牛
(
うし
)
に
蝿
(
はへ
)
がたかつたやうに
小
(
ちい
)
さく
見
(
み
)
える。
125
よつぽど
大
(
おほ
)
きな
銅木像
(
どうもくざう
)
だワイ』
126
源五郎
(
げんごらう
)
はとうとう
鼻
(
はな
)
の
孔
(
あな
)
から
這入
(
はい
)
つて
了
(
しま
)
つた。
127
与
(
よ
)
『ヤア、
128
とうとう
這入
(
はい
)
つて
了
(
しま
)
ひよつた、
129
これから
面白
(
おもしろ
)
いのだ、
130
オイ
早
(
はや
)
く
芸当
(
げいたう
)
を
始
(
はじ
)
めぬかい』
131
銅
(
どう
)
『ウヽヽヽヽ、
132
ウラル
教
(
けう
)
の
大目付役
(
おほめつけやく
)
鷲掴
(
わしづかみ
)
の
源五郎
(
げんごらう
)
とは
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
だ。
133
サアサア
三五教
(
あななひけう
)
の
豆
(
まめ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
、
134
モウかうなる
以上
(
いじやう
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ、
135
銅木像
(
どうもくざう
)
の
合羽
(
かつぱ
)
を
被
(
かぶ
)
つた
源五郎
(
げんごらう
)
だ。
136
ウーフヽヽヽ』
137
弥
(
や
)
『ヤア
怪体
(
けつたい
)
な
銅木像
(
どうもくざう
)
だ、
138
源五郎
(
げんごらう
)
気取
(
きど
)
りになりよつて
怪
(
け
)
しからぬ。
139
ヤイ
銅木像
(
どうもくざう
)
、
140
洒落
(
しやれ
)
た
事
(
こと
)
をするない』
141
銅
(
どう
)
『
洒落
(
しやれ
)
たも
洒落
(
しやれ
)
ぬもあつたものかい』
142
とグルグルグルと
蛇
(
じや
)
の
目
(
め
)
傘
(
がさ
)
の
如
(
ごと
)
き
目玉
(
めだま
)
を
急速度
(
きふそくど
)
を
以
(
もつ
)
て
廻転
(
くわいてん
)
させる。
143
弥
(
や
)
『ヤア
乙
(
おつ
)
な
事
(
こと
)
をやりよるワ。
144
多寡
(
たくわ
)
が
機械
(
きかい
)
だ、
145
輪転機
(
りんてんき
)
でも
使
(
つか
)
ひよつて
目玉
(
めだま
)
を
廻転
(
くわいてん
)
させて
居
(
ゐ
)
るのだらう。
146
コラ
余
(
あんま
)
り
目玉
(
めだま
)
を
剥
(
む
)
くと
目
(
め
)
がモーターになつてへコ
垂
(
た
)
れるぞ』
147
銅
(
どう
)
『この
目
(
め
)
が
恐
(
こは
)
いか、
148
冥途
(
め
いど
)
の
旅
(
たび
)
ぢや、
149
お
前
(
め
へ
)
たちの
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まして
遣
(
や
)
る
為
(
た
)
めに
先
(
ま
)
づ
俺
(
おれ
)
から
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
いて
見
(
み
)
せたのだ、
150
序
(
ついで
)
に
鼻
(
はな
)
を
剥
(
む
)
いて
遣
(
や
)
らうか』
151
弥
(
や
)
『
剥
(
む
)
いて
見
(
み
)
よ、
152
俺
(
おれ
)
は
此処
(
ここ
)
で
緩
(
ゆつく
)
りと
春風
(
はるかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて
花見
(
はなみ
)
見物
(
けんぶつ
)
をやつて
遣
(
や
)
らう。
153
ヨウ
小山
(
こやま
)
のやうな
鼻
(
はな
)
をピコツカせよるぞ、
154
無恰好
(
ぶかつかう
)
な
鼻
(
はな
)
だなア。
155
ヤア
剥
(
む
)
いた
剥
(
む
)
いた、
156
何
(
なん
)
だベンチレーターのやうな
鼻
(
はな
)
をしよつて、
157
天井
(
てんじやう
)
を
嗅
(
か
)
ぐやうな
調子
(
てうし
)
で
鼻
(
はな
)
の
孔
(
あな
)
を
上
(
うへ
)
向
(
む
)
けて
居
(
ゐ
)
やがる。
158
天井
(
てんじやう
)
が
燻香
(
くんかう
)
したと
思
(
おも
)
ひ
違
(
ちが
)
へよつたなア、
159
オイ
化像
(
ばけざう
)
、
160
チツト
勘考
(
かんかう
)
して
見
(
み
)
い』
161
銅
(
どう
)
『
俺
(
おれ
)
の
鼻息
(
はないき
)
で
吹
(
ふ
)
き
散
(
ち
)
らしてやろうか、
162
このベンチレーターは
猛烈
(
まうれつ
)
に
噴煙
(
ふんえん
)
を
吐
(
は
)
くから
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
せ』
163
与
(
よ
)
『アハヽヽヽ、
164
変
(
かは
)
れば
変
(
かは
)
るものだ、
165
機械
(
きかい
)
が
物
(
もの
)
云
(
い
)
ふ
時節
(
じせつ
)
だから、
166
これも
形式
(
けいしき
)
の
変
(
かは
)
つた
蓄音器
(
ちくおんき
)
だなア。
167
オイ
蓄音器
(
ちくおんき
)
先生
(
せんせい
)
、
168
レコードが
破
(
やぶ
)
れぬ
様
(
やう
)
に
静
(
しづ
)
かに
廻
(
まは
)
して
見
(
み
)
よ、
169
余
(
あんま
)
り
虐使
(
ぎやくし
)
すると
使用
(
しよう
)
期間
(
きかん
)
を
短縮
(
たんしゆく
)
するぞ』
170
化像
(
ばけざう
)
は
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
をガタガタガタガタと
動
(
うご
)
かし、
171
機械
(
きかい
)
的
(
てき
)
に
指
(
ゆび
)
を
以
(
もつ
)
て
一方
(
いつぱう
)
の
小鼻
(
こばな
)
を
押
(
おさ
)
へ、
172
左
(
ひだり
)
の
直径
(
ちよくけい
)
一丈
(
いちぢやう
)
位
(
ぐらゐ
)
の
大鼻孔
(
だいびこう
)
より
黒煙
(
こくえん
)
を
頻
(
しき
)
りに
噴出
(
ふんしゆつ
)
し、
173
四辺
(
あたり
)
は
真暗闇
(
まつくらやみ
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
174
弥
(
や
)
『コラコラ
化像
(
ばけざう
)
、
175
程度
(
ていど
)
を
知
(
し
)
らぬかい、
176
治安
(
ちあん
)
妨害
(
ばうがい
)
だぞ。
177
モ
少
(
すこ
)
しソツと
吹
(
ふ
)
かぬか』
178
銅
(
どう
)
『
吹
(
ふ
)
かいでかい
吹
(
ふ
)
かいでかい、
179
吹
(
ふ
)
いて
吹
(
ふ
)
いて
吹
(
ふ
)
き
捲
(
まく
)
つてやるのだ』
180
弥
(
や
)
『
此奴
(
こいつ
)
は
思
(
おも
)
ひ
違
(
ちが
)
ひだ、
181
意想外
(
いさうぐわい
)
だ。
182
モシモシ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
183
言霊
(
ことたま
)
だ
言霊
(
ことたま
)
だ』
184
音
(
おと
)
『
弥次彦
(
やじひこ
)
さま、
185
緩
(
ゆつく
)
りなさいませ、
186
吹
(
ふ
)
く
丈
(
だ
)
け
吹
(
ふ
)
いたら
原料
(
げんれう
)
が
無
(
な
)
くなるから
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ、
187
何
(
なに
)
ほど
大
(
おほ
)
きいと
云
(
い
)
つたつて、
188
さう
無尽蔵
(
むじんざう
)
に
続
(
つづ
)
くものぢやないからナア』
189
化像
(
ばけざう
)
は
又
(
また
)
もや
左
(
ひだり
)
の
腕
(
うで
)
をガタガタガタガタと
音
(
おと
)
をさせ、
190
機械
(
きかい
)
的
(
てき
)
に
左
(
ひだり
)
の
小鼻
(
こばな
)
を
押
(
おさ
)
へ、
191
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
を
元
(
もと
)
の
位置
(
ゐち
)
にチント
直
(
なほ
)
し、
192
招
(
まね
)
き
猫
(
ねこ
)
のやうな
恰好
(
かつかう
)
にし、
193
今度
(
こんど
)
は
右
(
みぎ
)
の
孔
(
あな
)
から
吹
(
ふ
)
くわ
吹
(
ふ
)
くわ
滅茶
(
めつちや
)
やたらに、
194
二百十
(
にひやくとを
)
日
(
か
)
の
暴雨
(
あらし
)
のやうにブウブウ
粘
(
ねば
)
つた
ミヅバナ
を
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
に
吹散
(
ふきち
)
らす。
195
弥
(
や
)
『アーア、
196
コリヤたまらぬ、
197
涕
(
はな
)
だらけだ、
198
何処
(
どこ
)
もかもニチヤニチヤになつてしまつた。
199
まるで
紙雛
(
かんびな
)
を
噛
(
か
)
みて
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
したやうな
御
(
ご
)
面相
(
めんさう
)
になつたワイ、
200
オイ
化像
(
ばけざう
)
、
201
もう
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
中止
(
ちうし
)
せぬかい、
202
しぶとい
奴
(
やつ
)
ぢやなア』
203
銅
(
どう
)
『
俺
(
おれ
)
はしぶとい、
204
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
淡泊
(
たんぱく
)
な
人間
(
にんげん
)
とは
違
(
ちが
)
ふ、
205
粘着性
(
ねんちやくせい
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ、
206
まだまだまだまだ
粘
(
ねば
)
つく
奴
(
やつ
)
を
噴出
(
ふんしゆつ
)
するぞ。
207
宿
(
やど
)
が
無
(
な
)
くてお
竹
(
たけ
)
の
家
(
うち
)
に
泊
(
と
)
めて
貰
(
もら
)
つて、
208
結構
(
けつこう
)
な
握飯
(
にぎりめし
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
して
婆
(
ばば
)
の
鼻汁
(
はな
)
が
混
(
まじ
)
つたの、
209
混
(
まじ
)
らぬのと
小言
(
こごと
)
をほざきよつたその
報
(
むく
)
い、
210
身体中
(
からだぢう
)
を
鼻啖
(
はなたん
)
でこね
廻
(
まは
)
して
遣
(
や
)
るのだぞ』
211
弥
(
や
)
『コレコレ
音彦
(
おとひこ
)
様
(
さま
)
、
212
イヤ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
213
コンナ
時
(
とき
)
こそ、
214
それ
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
の
天
(
あめ
)
の
八重雲
(
やへくも
)
を
吹放
(
ふきはな
)
つ
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
215
大津辺
(
おほつべ
)
に
居
(
を
)
る
大船
(
おほふね
)
を
屁
(
へ
)
こき
放
(
はな
)
ち
糞
(
くそ
)
こき
放
(
はな
)
ちて、
216
大和田
(
おほわだ
)
の
原
(
はら
)
に
鼻
(
はな
)
垂
(
た
)
れる
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
217
払
(
はら
)
ひ
給
(
たま
)
へ
清
(
きよ
)
め
給
(
たま
)
へをやつて
下
(
くだ
)
さいな、
218
かう
汚
(
よご
)
れてはどうにも、
219
こうにも
仕方
(
しかた
)
がない』
220
音
(
おと
)
『マヽじつくりとするのだよ。
221
芸者
(
げいしや
)
でさへも
花
(
はな
)
が
欲
(
ほ
)
しいと
云
(
い
)
ふて
眠
(
ね
)
ぶた
目
(
め
)
をこすりながら、
222
ボンボラ
三味線
(
さみせん
)
を
弾
(
ひ
)
きよる。
223
何
(
なに
)
もせないで
此
(
これ
)
丈
(
だ
)
け
沢山
(
たくさん
)
の
はな
を
頂戴
(
ちやうだい
)
すれば
結構
(
けつこう
)
だ。
224
お
化
(
ばけ
)
さま
又
(
また
)
来
(
き
)
て
頂戴
(
ちやうだい
)
、
225
はな
の
切
(
き
)
れ
目
(
め
)
が
縁
(
えん
)
の
切
(
き
)
れ
目
(
め
)
、
226
お
はな
を
沢山
(
たくさん
)
持
(
も
)
つて
又
(
また
)
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい………ナンテ
云
(
い
)
つて
背中
(
せなか
)
をポンと
叩
(
たた
)
いた。
227
さうすると
弥次彦
(
やじひこ
)
が
蒟蒻
(
こんにやく
)
の
様
(
やう
)
になつてグニヤグニヤとなるまでには
大分
(
だいぶ
)
資本
(
もと
)
が
要
(
い
)
る、
228
コンナに
沢山
(
たくさん
)
はな
を
頂戴
(
ちやうだい
)
して、
229
不足
(
ふそく
)
を
言
(
い
)
ふ
所
(
どころ
)
か』
230
弥
(
や
)
『モシモシ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
231
貴方
(
あなた
)
はどうかして
居
(
ゐ
)
ますなア、
232
芸者
(
げいしや
)
の
花代
(
はなだい
)
と
混線
(
こんせん
)
して
居
(
ゐ
)
やしませぬか』
233
音
(
おと
)
『
天混線
(
てんこんせん
)
を
空
(
むなし
)
うする
勿
(
なか
)
れ、
234
時
(
とき
)
に
鼻汁
(
はなじる
)
の
泣面
(
なきづら
)
に
当
(
あた
)
るを、
235
アハヽヽヽヽ』
236
弥
(
や
)
『ドウモ、
237
尾籠
(
びろう
)
な
事
(
こと
)
だワイ、
238
鼻振
(
びしん
)
、
239
紙也
(
かみなり
)
、
240
屁
(
へ
)
の
雨
(
あめ
)
だ、
241
ヤアもう
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
242
花見
(
はなみ
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
つたに
落花
(
らくくわ
)
狼籍
(
らうぜき
)
、
243
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
の
粘
(
ね
)
ンばりとした
花見
(
はなみ
)
遊山
(
ゆさん
)
だ。
244
オイ
源公
(
げんこう
)
、
245
イヽ
加減
(
かげん
)
に
悪戯
(
いたづら
)
を
止
(
や
)
めたらどうだい』
246
銅
(
どう
)
『
今度
(
こんど
)
は
小便
(
せよんべん
)
の
竜吐水
(
りうとすゐ
)
だ、
247
田子
(
たご
)
の
宿
(
しゆく
)
に
於
(
おい
)
て
土瓶
(
どびん
)
の
中
(
なか
)
に
小便
(
せよんべん
)
を
垂
(
た
)
れたを
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
るだらう。
248
折
(
をり
)
悪
(
あし
)
く
土瓶
(
どびん
)
の
持
(
も
)
ち
合
(
あは
)
せがないから
貴様
(
きさま
)
の
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
を、
249
土瓶
(
どびん
)
代用
(
だいよう
)
として
注入
(
ちうにふ
)
してやらう、
250
チツト
熱
(
あつ
)
い
小便茶
(
せよんべんちや
)
だぞ』
251
与
(
よ
)
『
是
(
こ
)
れはこれはめつそうな、
252
沢山
(
たくさん
)
お
花
(
はな
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
いたしまして
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に、
253
結構
(
けつこう
)
なお
茶
(
ちや
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
しましては、
254
却
(
かへつ
)
てお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さまで
御座
(
ござ
)
います、
255
私
(
わたくし
)
も
迷惑
(
めいわく
)
いたします、
256
どうぞお
茶
(
ちや
)
丈
(
だけ
)
はまた
外
(
ほか
)
のお
客
(
きやく
)
に
振
(
ふ
)
れ
舞
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
257
生憎
(
あひにく
)
裸
(
はだか
)
に
一旦
(
いつたん
)
されたものだからお
茶代
(
ちやだい
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬからお
茶
(
ちや
)
の
出
(
だ
)
し
損
(
ぞん
)
、
258
それでは
商売
(
しやうばい
)
の
資本
(
もと
)
が
続
(
つづ
)
きますまい。
259
閻魔
(
えんま
)
の
庁
(
ちやう
)
から
執達吏
(
しつたつり
)
がやつて
来
(
き
)
て、
260
破産
(
はさん
)
申請
(
しんせい
)
をやられては
却
(
かへつ
)
てお
家
(
いへ
)
の
迷惑
(
めいわく
)
、
261
後
(
あと
)
はさつぱり
家計
(
かけい
)
紊乱
(
びんらん
)
共
(
とも
)
に
苦辛
(
くしん
)
の
為体
(
ていたらく
)
、
262
マアマアお
茶
(
ちや
)
丈
(
だけ
)
はお
引
(
ひ
)
き
下
(
くだ
)
さつたが
好
(
よ
)
ろしからう』
263
銅
(
どう
)
『この
芸者
(
げいしや
)
は
茶
(
ちや
)
を
引
(
ひ
)
く
事
(
こと
)
は
大々
(
だいだい
)
々々
(
だいだい
)
の
嫌
(
きら
)
ひで
御座
(
ござ
)
んす。
264
お
茶
(
ちや
)
位
(
くらゐ
)
はエヽ
遠慮
(
ゑんりよ
)
なしにあがつて
下
(
くだ
)
さい。
265
本当
(
ほんたう
)
の
番茶
(
ばんちや
)
なら
宜
(
い
)
いが
小便茶
(
せよんべんちや
)
で、
266
あまり
原料
(
もと
)
も
要
(
い
)
りませぬ。
267
茶
(
ちや
)
つとおあがりなさい。
268
サ
薬鑵
(
やかん
)
の
蓋
(
ふた
)
を
開
(
あ
)
けて
下
(
くだ
)
さい』
269
与
(
よ
)
『イヤもう
沢山
(
たくさん
)
、
270
此方
(
こつち
)
の
薬鑵
(
やくわん
)
も
茶
(
ちや
)
を
沸
(
わか
)
して
居
(
を
)
りますから、
271
この
上
(
うへ
)
頂
(
いただ
)
いた
所
(
ところ
)
で
塔
(
たふ
)
の
上
(
うへ
)
に
塔
(
たふ
)
を
積
(
つ
)
むやうなもの、
272
倹約
(
けんやく
)
流行
(
りうかう
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
273
無駄
(
むだ
)
な
費用
(
ひよう
)
を
省
(
はぶ
)
いて、
274
それを
社会
(
しやくわい
)
事業
(
じげふ
)
にでも
投資
(
とうし
)
した
方
(
はう
)
が
何
(
なに
)
ほど
娑婆
(
しやば
)
の
人間
(
にんげん
)
が
喜
(
よろこ
)
ぶ
事
(
こと
)
か
分
(
わか
)
りませぬぞ』
275
銅
(
どう
)
『ヤアそれでも、
276
もうすでに
準備
(
じゆんび
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ます』
277
と
大
(
だい
)
竜吐水
(
りうとすゐ
)
の
如
(
ごと
)
く
小便茶
(
せうべんちや
)
を
虹
(
にじ
)
のやうに
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
した。
278
与
(
よ
)
『コリヤ、
279
熱
(
あつ
)
い
熱
(
あつ
)
い、
280
何程
(
なんぼ
)
厚
(
あつ
)
い
志
(
こころざし
)
と
言
(
い
)
つても、
281
コー
茶
(
ちや
)
にされては
有難
(
ありがた
)
くもないワ、
282
然
(
しか
)
し
一利
(
いちり
)
あれば
一害
(
いちがい
)
あり、
283
鼻
(
はな
)
だらけの
身体
(
からだ
)
の
洗濯
(
せんたく
)
には
持
(
も
)
つて
来
(
こ
)
いぢや、
284
腹
(
はら
)
も
立
(
た
)
つが
茶腹
(
ちやばら
)
も
立
(
た
)
つ、
285
然
(
しか
)
し
小便
(
せよんべん
)
丈
(
だけ
)
は
閉口
(
へいこう
)
だ』
286
銅
(
どう
)
『それは
見本
(
みほん
)
だ、
287
本物
(
ほんもの
)
は
之
(
こ
)
れから
幾何
(
いくら
)
でも
大洪水
(
だいこうずゐ
)
が
出
(
で
)
たほど
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
して
上
(
あ
)
げませう』
288
弥
(
や
)
『お
香水
(
かうすゐ
)
なら
結構
(
けつこう
)
だが、
289
この
見本
(
みほん
)
ではねつから
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ、
290
破約
(
はやく
)
だ。
291
もう
此方
(
こちら
)
からこの
代物
(
しろもの
)
は
小便
(
せよんべん
)
しますワ』
292
銅
(
どう
)
『アハヽヽヽヽ』
293
弥
(
や
)
『オイオイ
源五郎
(
げんごらう
)
のサツク
奴
(
め
)
が、
294
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
悪戯
(
いたづら
)
を
止
(
や
)
めたらどうだい』
295
銅
(
どう
)
『
貴様
(
きさま
)
は
脱衣婆
(
だついばば
)
の
上前
(
うはまへ
)
をハネよつて、
296
源五郎
(
げんごらう
)
の
着物
(
きもの
)
を
無理
(
むり
)
に
掠奪
(
りやくだつ
)
した
怪
(
け
)
しからぬ
奴
(
やつ
)
だ、
297
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
裸
(
はだか
)
になれ。
298
その
着物
(
きもの
)
をすつかりと
源五郎
(
げんごらう
)
さまに
返上
(
へんじやう
)
するのだ』
299
弥
(
や
)
『エヽ
穢苦
(
むさくる
)
しい、
300
鼻汁
(
はなみづ
)
だらけの
小便茶
(
せよんべんちや
)
の
浸
(
しゆ
)
みたコンナ
着物
(
きもの
)
は、
301
誰
(
たれ
)
が
着
(
き
)
たいものかい。
302
サア
何時
(
いつ
)
でも
返
(
かへ
)
してやるワ』
303
銅
(
どう
)
『
洗濯
(
せんたく
)
をして
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
りに
綺麗
(
きれい
)
に
乾
(
かわ
)
かして
返
(
かへ
)
すのだぞ』
304
弥
(
や
)
、
305
与
(
よ
)
『
洗濯
(
せんたく
)
せえと
言
(
い
)
つたつて
河
(
かは
)
もなし
婆
(
ばば
)
ぢやあるまいし、
306
ソンナ
無理
(
むり
)
な
註文
(
ちうもん
)
はするものぢやないワ、
307
返
(
かへ
)
してやつたら
結構
(
けつこう
)
だ』
308
とムクムクと
裸
(
はだか
)
になり、
309
二人
(
ふたり
)
『サアこれでスイとした
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
だ』
310
銅
(
どう
)
『ウワハヽヽヽヽ、
311
見事
(
みごと
)
裸
(
はだか
)
になりよつたなア、
312
これから
俺
(
おれ
)
の
口
(
くち
)
から
万本針
(
まんぼんばり
)
を
吐
(
は
)
いて
遣
(
や
)
らう、
313
貴様
(
きさま
)
の
身体
(
からだ
)
に
皆
(
みな
)
ささつて
毛
(
け
)
がはへた
様
(
やう
)
にしてやるワ、
314
キツヒヽヽヽ』
315
弥
(
や
)
『エヽ
仕様
(
しやう
)
もない
針合
(
はりあひ
)
のない
事
(
こと
)
だ、
316
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
抜
(
ぬ
)
かすとハリ
倒
(
たふ
)
すぞ。
317
モシモシ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま
何
(
なに
)
して
御座
(
ござ
)
る、
318
吾々
(
われわれ
)
二人
(
ふたり
)
が
之
(
こ
)
れほど
苦
(
くる
)
しみて
居
(
ゐ
)
るのに、
319
貴方
(
あなた
)
は
傍観
(
ばうくわん
)
して
居
(
を
)
つて、
320
それで
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
ける
宣伝使
(
せんでんし
)
と
言
(
い
)
へますか』
321
音
(
おと
)
『ヨー
結構
(
けつこう
)
な
花見
(
はなみ
)
だ。
322
桜花
(
あうくわ
)
爛漫
(
らんまん
)
として
雲
(
くも
)
の
如
(
ごと
)
く、
323
そこへ
日光
(
につくわう
)
七色
(
なないろ
)
の
映
(
えい
)
じた
虹
(
にじ
)
の
麗
(
うるは
)
しさ、
324
後
(
あと
)
から
針
(
はり
)
の
様
(
やう
)
な
霧雨
(
きりあめ
)
ビシヨビシヨと
降
(
ふ
)
つて
来
(
く
)
るこの
風情
(
ふぜい
)
と
言
(
い
)
つたら、
325
何
(
なん
)
とも
譬
(
たと
)
へ
様
(
やう
)
のない
気候
(
きこう
)
、
326
与太彦
(
よたひこ
)
、
327
弥次彦
(
やじひこ
)
の
二人
(
ふたり
)
は
花見踊
(
はなみをどり
)
をして
見
(
み
)
せるし、
328
操
(
あやつ
)
り
人形
(
にんぎやう
)
は
色々
(
いろいろ
)
の
曲芸
(
きよくげい
)
を
演
(
えん
)
じて
観覧
(
くわんらん
)
に
供
(
きよう
)
すると
云
(
い
)
ふ
体裁
(
ていさい
)
だから
面白
(
おもしろ
)
くて
堪
(
たま
)
らぬワイ。
329
霊界
(
れいかい
)
物語
(
ものがたり
)
の
第一
(
だいいつ
)
巻
(
くわん
)
にあつた
通
(
とほ
)
り、
330
苦
(
く
)
中
(
ちう
)
楽
(
らく
)
あり、
331
楽
(
らく
)
中
(
ちう
)
苦
(
く
)
ありだ。
332
天国
(
てんごく
)
と
云
(
い
)
つても
苦
(
くる
)
しみあり、
333
地獄
(
ぢごく
)
と
云
(
い
)
つても
楽
(
たのし
)
みがあると
云
(
い
)
ふは
能
(
よ
)
く
言
(
い
)
つたものだ、
334
心
(
こころ
)
の
持
(
も
)
ちやう
一
(
ひと
)
つで
地獄
(
ぢごく
)
となり、
335
極楽
(
ごくらく
)
となる。
336
嗚呼
(
ああ
)
有難
(
ありがた
)
いものだ』
337
弥
(
や
)
『アヽ
薩張
(
さつぱ
)
り
駄目
(
だめ
)
だ。
338
力
(
ちから
)
に
思
(
おも
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
はこの
通
(
とほ
)
り
知覚
(
ちかく
)
神経
(
しんけい
)
が
麻痺
(
まひ
)
しちまつて、
339
コンナ
苦
(
くる
)
しい
場面
(
ばめん
)
が
極楽
(
ごくらく
)
浄土
(
じやうど
)
に
見
(
み
)
えるとは
何
(
なん
)
とした
事
(
こと
)
だらう』
340
銅
(
どう
)
『サア
是
(
これ
)
からだ、
341
右
(
みぎ
)
の
足
(
あし
)
で
俺
(
おれ
)
が
一
(
ひと
)
つ
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
みたら
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
がガタガタガタガタ、
342
左
(
ひだり
)
の
足
(
あし
)
をウンと
踏
(
ふ
)
みたら
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
は
天上
(
てんじやう
)
目
(
め
)
がけてプリンプリン、
343
泥田
(
どろた
)
の
中
(
なか
)
へ
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
にヅドン キューの
一言
(
ひとこゑ
)
冥土
(
めいど
)
の
旅路
(
たびぢ
)
、
344
アハヽヽヽ』
345
弥
(
や
)
『
何
(
なん
)
だ、
346
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
事
(
こと
)
まで
並
(
なら
)
べよつて、
347
オイ
源五郎
(
げんごらう
)
、
348
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ぬかい、
349
今度
(
こんど
)
ア
俺
(
おれ
)
の
番
(
ばん
)
だ』
350
銅木像
(
どうもくざう
)
はムクムクと
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り
四股
(
しこ
)
をドンドンと
踏
(
ふ
)
みながら、
351
さしも
高
(
たか
)
い
禿山
(
はげやま
)
を
一足
(
ひとあし
)
に
跨
(
また
)
げ、
352
のそりのそりと
歩
(
あゆ
)
み
出
(
だ
)
し、
353
銅木像
『ヤアヤア
太陽
(
たいやう
)
が
余
(
あんま
)
り
低
(
ひく
)
いものだから、
354
頭
(
あたま
)
に
行
(
ゆ
)
き
当
(
あた
)
りよつて
仕方
(
しかた
)
がないワ、
355
あすこにも
月
(
つき
)
がぶら
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
356
腰
(
こし
)
でも
しやがめ
て
通
(
とほ
)
つてやらうかい』
357
と
雷
(
かみなり
)
のやうに
咆
(
ほ
)
え
呶鳴
(
どな
)
りつつ
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
358
弥
(
や
)
『ヤアヤア
化像
(
ばけざう
)
の
奴
(
やつ
)
、
359
源五郎
(
げんごらう
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
れて
何処
(
どこ
)
へか
往
(
い
)
つてしまひよつた、
360
アヽ
仕方
(
しかた
)
がない、
361
真裸
(
まつぱだか
)
だ、
362
誰
(
たれ
)
か
来
(
こ
)
ぬかいな、
363
着物
(
きもの
)
の
用意
(
ようい
)
をせなくちや
閻魔
(
えんま
)
の
庁
(
ちやう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
迄
(
まで
)
に、
364
ポリスに
出会
(
であ
)
つたらまた
監禁
(
かんきん
)
だ』
365
与
(
よ
)
『オイオイ
向
(
むか
)
ふを
見
(
み
)
よ、
366
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち
鷹彦
(
たかひこ
)
、
367
岩彦
(
いはひこ
)
、
368
梅彦
(
うめひこ
)
、
369
亀彦
(
かめひこ
)
の
面々
(
めんめん
)
が
遣
(
や
)
つて
来
(
く
)
るぢやないか、
370
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
え
出
(
だ
)
したぞ』
371
弥
(
や
)
『ヤア
来
(
き
)
た
来
(
き
)
た、
372
彼
(
あ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
も
何処
(
どこ
)
へ
往
(
い
)
つたかと
思
(
おも
)
へば、
373
矢張
(
やつぱ
)
り
大蛇
(
おろち
)
に
飲
(
の
)
まれて
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をやつてゐるのだなア、
374
然
(
しか
)
しまア
道連
(
みちづれ
)
が
出来
(
でき
)
て
賑
(
にぎ
)
やかで
好
(
い
)
いワイ』
375
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
馬
(
うま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
カツカツと
此方
(
こちら
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る。
376
弥
(
や
)
『モシモシ、
377
私
(
わたくし
)
の
頭
(
あたま
)
は
小便
(
せよんべん
)
だらけだ、
378
水
(
みづ
)
でも
吹
(
ふ
)
いて
清
(
きよ
)
めて
下
(
くだ
)
さいませぬか』
379
日
(
ひ
)
『ヤア
鷹彦
(
たかひこ
)
サン、
380
岩彦
(
いはひこ
)
サン、
381
貴方
(
あなた
)
がた
一同
(
いちどう
)
は
谷川
(
たにがは
)
の
水
(
みづ
)
でも、
382
汲
(
く
)
みてかけてやつて
下
(
くだ
)
さい』
383
鷹
(
たか
)
、
384
岩
(
いは
)
『
畏
(
かしこ
)
まりました』
385
と
谷
(
たに
)
に
下
(
くだ
)
りて
口
(
くち
)
に
水
(
みづ
)
を
含
(
ふく
)
み
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
顔
(
かほ
)
に
向
(
むか
)
つて
伊吹
(
いぶき
)
をした。
386
ウヽーンと
唸
(
うな
)
ると
共
(
とも
)
にハツと
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
けば、
387
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
の
河辺
(
かはべり
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
気絶
(
きぜつ
)
して
居
(
ゐ
)
たるなり。
388
日
(
ひ
)
『ヤー
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
389
吾々
(
われわれ
)
の
来
(
く
)
るのが
少
(
すこ
)
し
遅
(
おそ
)
かつたら、
390
とうとう
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をする
所
(
ところ
)
だつたなア、
391
マア
命
(
いのち
)
があつて
何
(
なに
)
より
結構
(
けつこう
)
、
392
サア
是
(
こ
)
れからフサの
都
(
みやこ
)
へ
着
(
つ
)
いて、
393
それからコーカス
山
(
ざん
)
に
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
にしよう』
394
(
大正一一・三・二三
旧二・二五
谷村真友
録)
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