霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第14巻(丑の巻)
序歌
信天翁(四)
凡例
総論歌
第1篇 五里夢中
第1章 三途川
第2章 銅木像
第3章 鷹彦還元
第4章 馬詈
第5章 風馬牛
第2篇 幽山霊水
第6章 楽隠居
第7章 難風
第8章 泥の川
第9章 空中滑走
第3篇 高加索詣
第10章 牡丹餅
第11章 河童の屁
第12章 復縁談
第13章 山上幽斎
第14章 一途川
第15章 丸木橋
第16章 返り咲
第4篇 五六七号
第17章 一寸一服
跋文
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第14巻(丑の巻)
> 第1篇 五里夢中 > 第2章 銅木像
<<< 三途川
(B)
(N)
鷹彦還元 >>>
第二章
銅木像
(
どうもくぞう
)
〔五五二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻
篇:
第1篇 五里夢中
よみ(新仮名遣い):
ごりむちゅう
章:
第2章 銅木像
よみ(新仮名遣い):
どうもくぞう
通し章番号:
552
口述日:
1922(大正11)年03月23日(旧02月25日)
口述場所:
筆録者:
谷村真友
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年11月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
一行が脱衣婆に別れを告げて西へと進んで行くと、山に行く手をさえぎられた。天津祝詞をあげると、山は数十里の彼方へと退散して道が開けた。
突然、土中から見上げるばかりの大きさの銅木像が現れた。銅木像は、自分は機械であって、腹の中へ入れば機械装置で自分を操ることができるのだ、と告げた。源五郎は鼻の穴から銅木像に入って操ることになった。
源五郎が入った銅木像は、自分はウラル教の大目付だと大声を放つと、鼻の穴から黒煙を噴出した。次に、水洟を滅茶苦茶に四方八方に噴出した。
また、源五郎の銅木像は、着物を奪われた恨みとばかりに、熱い小便茶を噴出して一同にかける。音彦だけは面白がって、平気でこの光景を楽しんでいる。
銅木像は弥次彦、与太彦とおかしな問答を交わすと、どこかへ行ってしまった。すると、向こうから日の出別宣伝使ら一行がやってくるのが見えた。
気がつくと、三人は小鹿峠のふもとの川べりに気絶していて、日の出別宣伝使ら一行の鎮魂によって救われたところであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-12-19 01:31:59
OBC :
rm1402
愛善世界社版:
38頁
八幡書店版:
第3輯 170頁
修補版:
校定版:
40頁
普及版:
17頁
初版:
ページ備考:
001
音彦
(
おとひこ
)
、
002
弥次彦
(
やじひこ
)
、
003
与太彦
(
よたひこ
)
、
004
源五郎
(
げんごらう
)
の
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は、
005
三途川
(
せうづがは
)
の
脱衣婆
(
だついばば
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて、
006
際限
(
さいげん
)
もなき
雑草
(
ざつさう
)
の
原野
(
げんや
)
を
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
き、
007
ピタツと
行
(
ゆ
)
き
当
(
あた
)
つた
禿山
(
はげやま
)
、
008
三方
(
さんぱう
)
山
(
やま
)
に
囲
(
かこ
)
まれ
進路
(
しんろ
)
を
失
(
うしな
)
ひ
当惑
(
たうわく
)
の
態
(
てい
)
、
009
音
(
おと
)
『サア、
010
ピタツと
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つた、
011
これで
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
も
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
りだ、
012
何
(
なん
)
とか
一
(
ひと
)
つ
考
(
かんが
)
へねばなるまい』
013
弥
(
や
)
『
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
014
サア
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
の
言霊
(
ことたま
)
だ、
015
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
に
使用
(
しよう
)
するのが
言霊
(
ことたま
)
の
活用
(
くわつよう
)
ぢやありませぬか』
016
音彦
『アヽさうだつたナア』
017
と
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち、
018
声
(
こゑ
)
厳
(
おごそ
)
かに
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
する。
019
忽
(
たちま
)
ち
行当
(
ゆきあた
)
つた
禿山
(
はげやま
)
は
雲
(
くも
)
の
如
(
ごと
)
く
数十
(
すうじふ
)
里
(
り
)
の
彼方
(
あなた
)
に
急速度
(
きふそくど
)
を
以
(
もつ
)
て
遁走
(
とんそう
)
した。
020
弥
(
や
)
『アヽ
言霊
(
ことたま
)
の
威力
(
ゐりよく
)
と
云
(
い
)
ふものは
偉
(
えら
)
いものだナア。
021
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
は
山
(
やま
)
をも
動
(
うご
)
かすと
云
(
い
)
ふことを
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
る、
022
流石
(
さすが
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
だ、
023
貴方
(
あなた
)
の
信仰
(
しんかう
)
の
威力
(
ゐりよく
)
は
確
(
たし
)
かなものだ。
024
もうかういふ
経験
(
けいけん
)
を
得
(
え
)
た
以上
(
いじやう
)
は、
025
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
であらうが、
026
八寒
(
はつかん
)
地獄
(
ぢごく
)
であらうが、
027
何
(
なん
)
の
恐
(
おそ
)
るる
所
(
ところ
)
あらむやだ。
028
地獄
(
ぢごく
)
のドン
底
(
ぞこ
)
まで
浸入
(
しんにふ
)
して、
029
吾々
(
われわれ
)
一行
(
いつかう
)
は
幽政
(
いうせい
)
の
大改革
(
だいかいかく
)
を
断行
(
だんかう
)
するのだなア』
030
音
(
おと
)
『オイ
余
(
あま
)
り
油断
(
ゆだん
)
をするな、
031
油断
(
ゆだん
)
すると
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らずに
慢心
(
まんしん
)
が
出
(
で
)
て
思
(
おも
)
はぬ
失敗
(
しつぱい
)
を
演
(
えん
)
ぜないとも
限
(
かぎ
)
らぬ。
032
隅々
(
すみずみ
)
までも
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて
進
(
すす
)
まねばならぬぞ』
033
斯
(
か
)
く
云
(
い
)
ふ
中
(
うち
)
忽然
(
こつぜん
)
として
見上
(
みあ
)
ぐる
許
(
ばか
)
りの
銅木像
(
どうもくぞう
)
が
地中
(
ちちう
)
よりヌツと
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た。
034
弥
(
や
)
『イヨー
出
(
で
)
よつたなア、
035
矢張
(
やつぱ
)
り
幽界
(
いうかい
)
は
幽界
(
いうかい
)
だ。
036
一
(
ひと
)
つの
特徴
(
とくちよう
)
があるワイ。
037
オイコラ
幽界
(
いうかい
)
の
化物
(
ばけもの
)
、
038
吾々
(
われわれ
)
の
通路
(
つうろ
)
を
遮
(
さへぎ
)
る
不届
(
ふとど
)
きもの、
039
スツコメスツコメ。
040
現界
(
げんかい
)
の
化物
(
ばけもの
)
とは
違
(
ちが
)
つて
幽界
(
いうかい
)
の
化物
(
ばけもの
)
はよつぽど
形式
(
けいしき
)
が
違
(
ちが
)
つて
居
(
ゐ
)
るワイ。
041
コラ
化物
(
ばけもの
)
返答
(
へんたふ
)
せぬかい、
042
銅木像
(
どうもくざう
)
奴
(
め
)
が』
043
銅木像
『グワツハヽヽヽー、
044
グウツフヽヽヽー、
045
ギエツヘヽヽヽー、
046
ギヰツヒヽヽヽー』
047
弥次彦
『ナンダ、
048
ガヽヽ、
049
ギヽヽと、
050
濁音
(
だくおん
)
のみを
使
(
つか
)
ひよつて、
051
吾々
(
われわれ
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
て
居
(
ゐ
)
るのだい、
052
三途川
(
せうづがは
)
の
脱衣婆
(
だついばば
)
でさへも、
053
ヘコまして
来
(
き
)
た
弥次彦
(
やじひこ
)
さまだぞ』
054
銅木像
『
俺
(
おれ
)
は
銅
(
どう
)
と
木
(
き
)
とで
造
(
つく
)
つた
機械
(
きつかい
)
な
化物
(
ばけもの
)
だ。
055
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
吐
(
ぬか
)
すと
頭
(
どたま
)
から
呑
(
の
)
みてやらうか』
056
弥
(
や
)
『アハヽヽヽ、
057
貴様
(
きさま
)
は
大蛇
(
をろち
)
の
化物
(
ばけもの
)
だな、
058
呑
(
の
)
ましてやりたいが、
059
生憎
(
あひにく
)
何
(
なん
)
にもないワイ、
060
田子
(
たご
)
の
宿
(
やど
)
のお
竹
(
たけ
)
の
家
(
うち
)
で
飲
(
の
)
まされた
小便茶
(
しよんべんちや
)
なと
呑
(
の
)
まして
遣
(
や
)
らうか』
061
銅
(
どう
)
『イヤ
俺
(
おれ
)
は
茶
(
ちや
)
は
呑
(
の
)
みたくない。
062
裸
(
はだか
)
の
奴
(
やつ
)
が
呑
(
の
)
みたいのだ』
063
弥
(
や
)
『ウンさうか、
064
よしよし
御
(
ご
)
註文
(
ちうもん
)
通
(
どほ
)
り
此処
(
ここ
)
にウラル
教
(
けう
)
の
源五郎
(
げんごらう
)
といふ
奴
(
やつ
)
が、
065
真裸
(
まつぱだか
)
になつて
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るワイ、
066
これが
呑
(
の
)
みたいのだらう』
067
銅
(
どう
)
『ガーバー』
068
弥
(
や
)
『ホンに、
069
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
の
好
(
よ
)
いお
顔
(
かほ
)
だことわいのう。
070
サア
源
(
げん
)
チヤン、
071
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ながら
一
(
ひと
)
つ
呑
(
の
)
みて
貰
(
もら
)
ひ
給
(
たま
)
へ』
072
源五郎
『
裸
(
はだか
)
はお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
だよ、
073
その
着物
(
きもの
)
は
皆
(
みんな
)
俺
(
わし
)
の
着物
(
きもの
)
だ。
074
モシモシ
銅木像
(
どうもくぞう
)
さま、
075
弥次彦
(
やじひこ
)
、
076
与太彦
(
よたひこ
)
は
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
手前
(
てまへ
)
で、
077
真裸
(
まつぱだか
)
になりました。
078
裸
(
はだか
)
の
道中
(
だうちう
)
を
続
(
つづ
)
けて
来
(
き
)
た
経験
(
けいけん
)
のある
奴
(
やつ
)
です。
079
俺
(
わし
)
は
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
渡場
(
わたしば
)
で
此奴
(
こいつ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
に
泥棒
(
どろばう
)
されたのですから、
080
之
(
これ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
をとつくりと
呑
(
の
)
みて
遣
(
や
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
081
銅
(
どう
)
『ギヰツヒヽヽヽ、
082
オーさうだらう、
083
弥次彦
(
やじひこ
)
、
084
与太彦
(
よたひこ
)
が
味
(
あぢ
)
が
好
(
よ
)
ささうだのう』
085
弥
(
や
)
『コラ
源公
(
げんこう
)
、
086
貴様
(
きさま
)
は
真正
(
ほんと
)
の
真裸
(
まつぱだか
)
だ、
087
俺
(
おれ
)
は
脱衣婆
(
だついばば
)
の
承認
(
しようにん
)
を
得
(
え
)
て
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るのだよ。
088
モシモシ
銅木像
(
どうもくぞう
)
さま、
089
それはお
考
(
かんが
)
へ
違
(
ちが
)
ひぢやありませぬか』
090
銅木像
『
俺
(
おれ
)
は
機械
(
きかい
)
だ、
091
モウこれ
切
(
き
)
りで
物
(
もの
)
は
言
(
い
)
はぬ。
092
お
前
(
まへ
)
たち
勝手
(
かつて
)
に
俺
(
おれ
)
の
腹
(
はら
)
へ
這入
(
はい
)
つて
機械
(
きかい
)
を
使
(
つか
)
ふたが
好
(
よ
)
からう。
093
腹
(
はら
)
へ
這入
(
はい
)
れば
色々
(
いろいろ
)
の
機械
(
きかい
)
の
装置
(
さうち
)
が
完備
(
くわんび
)
して
居
(
ゐ
)
るから、
094
一々
(
いちいち
)
使用法
(
しようはふ
)
が
記
(
しる
)
してある。
095
その
綱
(
つな
)
をひくと
此
(
この
)
銅木像
(
どうもくざう
)
が
大活動
(
だいくわつどう
)
を
演
(
えん
)
ずるのだ、
096
ガハヽヽヽヽ』
097
弥
(
や
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
面白
(
おもしろ
)
いぞ、
098
吾々
(
われわれ
)
が
十万
(
じふまん
)
億土
(
おくど
)
の
旅
(
たび
)
をすると
思
(
おも
)
つて、
099
閻魔
(
えんま
)
の
奴
(
やつ
)
退屈
(
たいくつ
)
ざましにコンナ
副産物
(
ふくさんぶつ
)
を
拵
(
こしら
)
へて
置
(
お
)
いたのだらう。
100
ヤアもう
文明
(
ぶんめい
)
の
空気
(
くうき
)
と
云
(
い
)
ふものは
何処
(
どこ
)
までも
行
(
ゆ
)
き
渡
(
わた
)
つたものだワイ、
101
一
(
ひと
)
つ
俺
(
おれ
)
が
這入
(
はい
)
つてこの
機械
(
きかい
)
を
使
(
つか
)
つて
見
(
み
)
やうかなア』
102
源
(
げん
)
『お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
は
俺
(
おれ
)
の
着物
(
きもの
)
を
追剥
(
おひはぎ
)
をしたのだから、
103
罪
(
つみ
)
が
加重
(
かちよう
)
して
居
(
ゐ
)
る、
104
到底
(
たうてい
)
この
機械
(
きかい
)
を
使用
(
しよう
)
する
権利
(
けんり
)
はなからう。
105
俺
(
おれ
)
は
裸
(
はだか
)
だから
着物
(
きもの
)
の
代
(
かは
)
りにこの
銅木像
(
どうもくぞう
)
の
中
(
なか
)
へ
潜入
(
せんにふ
)
して、
106
一
(
ひと
)
つ
使
(
つか
)
つて
見
(
み
)
るから、
107
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
は
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
相手
(
あひて
)
になつて
見
(
み
)
たらどうだ。
108
ウラル
教
(
けう
)
の
大目付役
(
おほめつけやく
)
と、
109
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
や
信者
(
しんじや
)
との
問答
(
もんだふ
)
も
面白
(
おもしろ
)
いかも
知
(
し
)
れないぞ』
110
与
(
よ
)
『オイ
弥次彦
(
やじひこ
)
、
111
源五郎
(
げんごらう
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りにさして
見
(
み
)
たらどうだ。
112
ナア
音彦
(
おとひこ
)
さま、
113
それが
好
(
い
)
いぢやありませぬか』
114
音
(
おと
)
『
好
(
よ
)
からう、
115
ソンナラ
源
(
げん
)
チヤン、
116
あなた
這入
(
はい
)
つて
下
(
くだ
)
さいナ』
117
源
(
げん
)
『コレは
有難
(
ありがた
)
い、
118
一
(
ひと
)
つ
操
(
あや
)
つり
人形
(
にんぎやう
)
の
様
(
やう
)
に
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
動
(
うご
)
かして
見
(
み
)
ませうかい。
119
ヤア
入口
(
いりぐち
)
は
何処
(
どこ
)
だ、
120
アハア
大
(
おほ
)
きな
鼻
(
はな
)
の
孔
(
あな
)
を
開
(
あ
)
けて
居
(
ゐ
)
よる、
121
此処
(
ここ
)
から
一
(
ひと
)
つガサガサと
這入
(
はい
)
つてやらうか』
122
と
言
(
い
)
つて
銅木像
(
どうもくぞう
)
の
身体
(
からだ
)
を
杣人
(
そまびと
)
が
山
(
やま
)
にでも
登
(
のぼ
)
るやうに
杖
(
つゑ
)
をつきながら
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
123
弥
(
や
)
『イヨー
面白
(
おもしろ
)
いな。
124
まるで
牛
(
うし
)
に
蝿
(
はへ
)
がたかつたやうに
小
(
ちい
)
さく
見
(
み
)
える。
125
よつぽど
大
(
おほ
)
きな
銅木像
(
どうもくざう
)
だワイ』
126
源五郎
(
げんごらう
)
はとうとう
鼻
(
はな
)
の
孔
(
あな
)
から
這入
(
はい
)
つて
了
(
しま
)
つた。
127
与
(
よ
)
『ヤア、
128
とうとう
這入
(
はい
)
つて
了
(
しま
)
ひよつた、
129
これから
面白
(
おもしろ
)
いのだ、
130
オイ
早
(
はや
)
く
芸当
(
げいたう
)
を
始
(
はじ
)
めぬかい』
131
銅
(
どう
)
『ウヽヽヽヽ、
132
ウラル
教
(
けう
)
の
大目付役
(
おほめつけやく
)
鷲掴
(
わしづかみ
)
の
源五郎
(
げんごらう
)
とは
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
だ。
133
サアサア
三五教
(
あななひけう
)
の
豆
(
まめ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
、
134
モウかうなる
以上
(
いじやう
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ、
135
銅木像
(
どうもくざう
)
の
合羽
(
かつぱ
)
を
被
(
かぶ
)
つた
源五郎
(
げんごらう
)
だ。
136
ウーフヽヽヽ』
137
弥
(
や
)
『ヤア
怪体
(
けつたい
)
な
銅木像
(
どうもくざう
)
だ、
138
源五郎
(
げんごらう
)
気取
(
きど
)
りになりよつて
怪
(
け
)
しからぬ。
139
ヤイ
銅木像
(
どうもくざう
)
、
140
洒落
(
しやれ
)
た
事
(
こと
)
をするない』
141
銅
(
どう
)
『
洒落
(
しやれ
)
たも
洒落
(
しやれ
)
ぬもあつたものかい』
142
とグルグルグルと
蛇
(
じや
)
の
目
(
め
)
傘
(
がさ
)
の
如
(
ごと
)
き
目玉
(
めだま
)
を
急速度
(
きふそくど
)
を
以
(
もつ
)
て
廻転
(
くわいてん
)
させる。
143
弥
(
や
)
『ヤア
乙
(
おつ
)
な
事
(
こと
)
をやりよるワ。
144
多寡
(
たくわ
)
が
機械
(
きかい
)
だ、
145
輪転機
(
りんてんき
)
でも
使
(
つか
)
ひよつて
目玉
(
めだま
)
を
廻転
(
くわいてん
)
させて
居
(
ゐ
)
るのだらう。
146
コラ
余
(
あんま
)
り
目玉
(
めだま
)
を
剥
(
む
)
くと
目
(
め
)
がモーターになつてへコ
垂
(
た
)
れるぞ』
147
銅
(
どう
)
『この
目
(
め
)
が
恐
(
こは
)
いか、
148
冥途
(
め
いど
)
の
旅
(
たび
)
ぢや、
149
お
前
(
め
へ
)
たちの
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まして
遣
(
や
)
る
為
(
た
)
めに
先
(
ま
)
づ
俺
(
おれ
)
から
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
いて
見
(
み
)
せたのだ、
150
序
(
ついで
)
に
鼻
(
はな
)
を
剥
(
む
)
いて
遣
(
や
)
らうか』
151
弥
(
や
)
『
剥
(
む
)
いて
見
(
み
)
よ、
152
俺
(
おれ
)
は
此処
(
ここ
)
で
緩
(
ゆつく
)
りと
春風
(
はるかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて
花見
(
はなみ
)
見物
(
けんぶつ
)
をやつて
遣
(
や
)
らう。
153
ヨウ
小山
(
こやま
)
のやうな
鼻
(
はな
)
をピコツカせよるぞ、
154
無恰好
(
ぶかつかう
)
な
鼻
(
はな
)
だなア。
155
ヤア
剥
(
む
)
いた
剥
(
む
)
いた、
156
何
(
なん
)
だベンチレーターのやうな
鼻
(
はな
)
をしよつて、
157
天井
(
てんじやう
)
を
嗅
(
か
)
ぐやうな
調子
(
てうし
)
で
鼻
(
はな
)
の
孔
(
あな
)
を
上
(
うへ
)
向
(
む
)
けて
居
(
ゐ
)
やがる。
158
天井
(
てんじやう
)
が
燻香
(
くんかう
)
したと
思
(
おも
)
ひ
違
(
ちが
)
へよつたなア、
159
オイ
化像
(
ばけざう
)
、
160
チツト
勘考
(
かんかう
)
して
見
(
み
)
い』
161
銅
(
どう
)
『
俺
(
おれ
)
の
鼻息
(
はないき
)
で
吹
(
ふ
)
き
散
(
ち
)
らしてやろうか、
162
このベンチレーターは
猛烈
(
まうれつ
)
に
噴煙
(
ふんえん
)
を
吐
(
は
)
くから
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
せ』
163
与
(
よ
)
『アハヽヽヽ、
164
変
(
かは
)
れば
変
(
かは
)
るものだ、
165
機械
(
きかい
)
が
物
(
もの
)
云
(
い
)
ふ
時節
(
じせつ
)
だから、
166
これも
形式
(
けいしき
)
の
変
(
かは
)
つた
蓄音器
(
ちくおんき
)
だなア。
167
オイ
蓄音器
(
ちくおんき
)
先生
(
せんせい
)
、
168
レコードが
破
(
やぶ
)
れぬ
様
(
やう
)
に
静
(
しづ
)
かに
廻
(
まは
)
して
見
(
み
)
よ、
169
余
(
あんま
)
り
虐使
(
ぎやくし
)
すると
使用
(
しよう
)
期間
(
きかん
)
を
短縮
(
たんしゆく
)
するぞ』
170
化像
(
ばけざう
)
は
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
をガタガタガタガタと
動
(
うご
)
かし、
171
機械
(
きかい
)
的
(
てき
)
に
指
(
ゆび
)
を
以
(
もつ
)
て
一方
(
いつぱう
)
の
小鼻
(
こばな
)
を
押
(
おさ
)
へ、
172
左
(
ひだり
)
の
直径
(
ちよくけい
)
一丈
(
いちぢやう
)
位
(
ぐらゐ
)
の
大鼻孔
(
だいびこう
)
より
黒煙
(
こくえん
)
を
頻
(
しき
)
りに
噴出
(
ふんしゆつ
)
し、
173
四辺
(
あたり
)
は
真暗闇
(
まつくらやみ
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
174
弥
(
や
)
『コラコラ
化像
(
ばけざう
)
、
175
程度
(
ていど
)
を
知
(
し
)
らぬかい、
176
治安
(
ちあん
)
妨害
(
ばうがい
)
だぞ。
177
モ
少
(
すこ
)
しソツと
吹
(
ふ
)
かぬか』
178
銅
(
どう
)
『
吹
(
ふ
)
かいでかい
吹
(
ふ
)
かいでかい、
179
吹
(
ふ
)
いて
吹
(
ふ
)
いて
吹
(
ふ
)
き
捲
(
まく
)
つてやるのだ』
180
弥
(
や
)
『
此奴
(
こいつ
)
は
思
(
おも
)
ひ
違
(
ちが
)
ひだ、
181
意想外
(
いさうぐわい
)
だ。
182
モシモシ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
183
言霊
(
ことたま
)
だ
言霊
(
ことたま
)
だ』
184
音
(
おと
)
『
弥次彦
(
やじひこ
)
さま、
185
緩
(
ゆつく
)
りなさいませ、
186
吹
(
ふ
)
く
丈
(
だ
)
け
吹
(
ふ
)
いたら
原料
(
げんれう
)
が
無
(
な
)
くなるから
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ、
187
何
(
なに
)
ほど
大
(
おほ
)
きいと
云
(
い
)
つたつて、
188
さう
無尽蔵
(
むじんざう
)
に
続
(
つづ
)
くものぢやないからナア』
189
化像
(
ばけざう
)
は
又
(
また
)
もや
左
(
ひだり
)
の
腕
(
うで
)
をガタガタガタガタと
音
(
おと
)
をさせ、
190
機械
(
きかい
)
的
(
てき
)
に
左
(
ひだり
)
の
小鼻
(
こばな
)
を
押
(
おさ
)
へ、
191
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
を
元
(
もと
)
の
位置
(
ゐち
)
にチント
直
(
なほ
)
し、
192
招
(
まね
)
き
猫
(
ねこ
)
のやうな
恰好
(
かつかう
)
にし、
193
今度
(
こんど
)
は
右
(
みぎ
)
の
孔
(
あな
)
から
吹
(
ふ
)
くわ
吹
(
ふ
)
くわ
滅茶
(
めつちや
)
やたらに、
194
二百十
(
にひやくとを
)
日
(
か
)
の
暴雨
(
あらし
)
のやうにブウブウ
粘
(
ねば
)
つた
ミヅバナ
を
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
に
吹散
(
ふきち
)
らす。
195
弥
(
や
)
『アーア、
196
コリヤたまらぬ、
197
涕
(
はな
)
だらけだ、
198
何処
(
どこ
)
もかもニチヤニチヤになつてしまつた。
199
まるで
紙雛
(
かんびな
)
を
噛
(
か
)
みて
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
したやうな
御
(
ご
)
面相
(
めんさう
)
になつたワイ、
200
オイ
化像
(
ばけざう
)
、
201
もう
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
中止
(
ちうし
)
せぬかい、
202
しぶとい
奴
(
やつ
)
ぢやなア』
203
銅
(
どう
)
『
俺
(
おれ
)
はしぶとい、
204
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
淡泊
(
たんぱく
)
な
人間
(
にんげん
)
とは
違
(
ちが
)
ふ、
205
粘着性
(
ねんちやくせい
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ、
206
まだまだまだまだ
粘
(
ねば
)
つく
奴
(
やつ
)
を
噴出
(
ふんしゆつ
)
するぞ。
207
宿
(
やど
)
が
無
(
な
)
くてお
竹
(
たけ
)
の
家
(
うち
)
に
泊
(
と
)
めて
貰
(
もら
)
つて、
208
結構
(
けつこう
)
な
握飯
(
にぎりめし
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
して
婆
(
ばば
)
の
鼻汁
(
はな
)
が
混
(
まじ
)
つたの、
209
混
(
まじ
)
らぬのと
小言
(
こごと
)
をほざきよつたその
報
(
むく
)
い、
210
身体中
(
からだぢう
)
を
鼻啖
(
はなたん
)
でこね
廻
(
まは
)
して
遣
(
や
)
るのだぞ』
211
弥
(
や
)
『コレコレ
音彦
(
おとひこ
)
様
(
さま
)
、
212
イヤ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
213
コンナ
時
(
とき
)
こそ、
214
それ
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
の
天
(
あめ
)
の
八重雲
(
やへくも
)
を
吹放
(
ふきはな
)
つ
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
215
大津辺
(
おほつべ
)
に
居
(
を
)
る
大船
(
おほふね
)
を
屁
(
へ
)
こき
放
(
はな
)
ち
糞
(
くそ
)
こき
放
(
はな
)
ちて、
216
大和田
(
おほわだ
)
の
原
(
はら
)
に
鼻
(
はな
)
垂
(
た
)
れる
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
217
払
(
はら
)
ひ
給
(
たま
)
へ
清
(
きよ
)
め
給
(
たま
)
へをやつて
下
(
くだ
)
さいな、
218
かう
汚
(
よご
)
れてはどうにも、
219
こうにも
仕方
(
しかた
)
がない』
220
音
(
おと
)
『マヽじつくりとするのだよ。
221
芸者
(
げいしや
)
でさへも
花
(
はな
)
が
欲
(
ほ
)
しいと
云
(
い
)
ふて
眠
(
ね
)
ぶた
目
(
め
)
をこすりながら、
222
ボンボラ
三味線
(
さみせん
)
を
弾
(
ひ
)
きよる。
223
何
(
なに
)
もせないで
此
(
これ
)
丈
(
だ
)
け
沢山
(
たくさん
)
の
はな
を
頂戴
(
ちやうだい
)
すれば
結構
(
けつこう
)
だ。
224
お
化
(
ばけ
)
さま
又
(
また
)
来
(
き
)
て
頂戴
(
ちやうだい
)
、
225
はな
の
切
(
き
)
れ
目
(
め
)
が
縁
(
えん
)
の
切
(
き
)
れ
目
(
め
)
、
226
お
はな
を
沢山
(
たくさん
)
持
(
も
)
つて
又
(
また
)
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい………ナンテ
云
(
い
)
つて
背中
(
せなか
)
をポンと
叩
(
たた
)
いた。
227
さうすると
弥次彦
(
やじひこ
)
が
蒟蒻
(
こんにやく
)
の
様
(
やう
)
になつてグニヤグニヤとなるまでには
大分
(
だいぶ
)
資本
(
もと
)
が
要
(
い
)
る、
228
コンナに
沢山
(
たくさん
)
はな
を
頂戴
(
ちやうだい
)
して、
229
不足
(
ふそく
)
を
言
(
い
)
ふ
所
(
どころ
)
か』
230
弥
(
や
)
『モシモシ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
231
貴方
(
あなた
)
はどうかして
居
(
ゐ
)
ますなア、
232
芸者
(
げいしや
)
の
花代
(
はなだい
)
と
混線
(
こんせん
)
して
居
(
ゐ
)
やしませぬか』
233
音
(
おと
)
『
天混線
(
てんこんせん
)
を
空
(
むなし
)
うする
勿
(
なか
)
れ、
234
時
(
とき
)
に
鼻汁
(
はなじる
)
の
泣面
(
なきづら
)
に
当
(
あた
)
るを、
235
アハヽヽヽヽ』
236
弥
(
や
)
『ドウモ、
237
尾籠
(
びろう
)
な
事
(
こと
)
だワイ、
238
鼻振
(
びしん
)
、
239
紙也
(
かみなり
)
、
240
屁
(
へ
)
の
雨
(
あめ
)
だ、
241
ヤアもう
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
242
花見
(
はなみ
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
つたに
落花
(
らくくわ
)
狼籍
(
らうぜき
)
、
243
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
の
粘
(
ね
)
ンばりとした
花見
(
はなみ
)
遊山
(
ゆさん
)
だ。
244
オイ
源公
(
げんこう
)
、
245
イヽ
加減
(
かげん
)
に
悪戯
(
いたづら
)
を
止
(
や
)
めたらどうだい』
246
銅
(
どう
)
『
今度
(
こんど
)
は
小便
(
せよんべん
)
の
竜吐水
(
りうとすゐ
)
だ、
247
田子
(
たご
)
の
宿
(
しゆく
)
に
於
(
おい
)
て
土瓶
(
どびん
)
の
中
(
なか
)
に
小便
(
せよんべん
)
を
垂
(
た
)
れたを
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
るだらう。
248
折
(
をり
)
悪
(
あし
)
く
土瓶
(
どびん
)
の
持
(
も
)
ち
合
(
あは
)
せがないから
貴様
(
きさま
)
の
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
を、
249
土瓶
(
どびん
)
代用
(
だいよう
)
として
注入
(
ちうにふ
)
してやらう、
250
チツト
熱
(
あつ
)
い
小便茶
(
せよんべんちや
)
だぞ』
251
与
(
よ
)
『
是
(
こ
)
れはこれはめつそうな、
252
沢山
(
たくさん
)
お
花
(
はな
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
いたしまして
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に、
253
結構
(
けつこう
)
なお
茶
(
ちや
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
しましては、
254
却
(
かへつ
)
てお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さまで
御座
(
ござ
)
います、
255
私
(
わたくし
)
も
迷惑
(
めいわく
)
いたします、
256
どうぞお
茶
(
ちや
)
丈
(
だけ
)
はまた
外
(
ほか
)
のお
客
(
きやく
)
に
振
(
ふ
)
れ
舞
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
257
生憎
(
あひにく
)
裸
(
はだか
)
に
一旦
(
いつたん
)
されたものだからお
茶代
(
ちやだい
)
も
御座
(
ござ
)
いませぬからお
茶
(
ちや
)
の
出
(
だ
)
し
損
(
ぞん
)
、
258
それでは
商売
(
しやうばい
)
の
資本
(
もと
)
が
続
(
つづ
)
きますまい。
259
閻魔
(
えんま
)
の
庁
(
ちやう
)
から
執達吏
(
しつたつり
)
がやつて
来
(
き
)
て、
260
破産
(
はさん
)
申請
(
しんせい
)
をやられては
却
(
かへつ
)
てお
家
(
いへ
)
の
迷惑
(
めいわく
)
、
261
後
(
あと
)
はさつぱり
家計
(
かけい
)
紊乱
(
びんらん
)
共
(
とも
)
に
苦辛
(
くしん
)
の
為体
(
ていたらく
)
、
262
マアマアお
茶
(
ちや
)
丈
(
だけ
)
はお
引
(
ひ
)
き
下
(
くだ
)
さつたが
好
(
よ
)
ろしからう』
263
銅
(
どう
)
『この
芸者
(
げいしや
)
は
茶
(
ちや
)
を
引
(
ひ
)
く
事
(
こと
)
は
大々
(
だいだい
)
々々
(
だいだい
)
の
嫌
(
きら
)
ひで
御座
(
ござ
)
んす。
264
お
茶
(
ちや
)
位
(
くらゐ
)
はエヽ
遠慮
(
ゑんりよ
)
なしにあがつて
下
(
くだ
)
さい。
265
本当
(
ほんたう
)
の
番茶
(
ばんちや
)
なら
宜
(
い
)
いが
小便茶
(
せよんべんちや
)
で、
266
あまり
原料
(
もと
)
も
要
(
い
)
りませぬ。
267
茶
(
ちや
)
つとおあがりなさい。
268
サ
薬鑵
(
やかん
)
の
蓋
(
ふた
)
を
開
(
あ
)
けて
下
(
くだ
)
さい』
269
与
(
よ
)
『イヤもう
沢山
(
たくさん
)
、
270
此方
(
こつち
)
の
薬鑵
(
やくわん
)
も
茶
(
ちや
)
を
沸
(
わか
)
して
居
(
を
)
りますから、
271
この
上
(
うへ
)
頂
(
いただ
)
いた
所
(
ところ
)
で
塔
(
たふ
)
の
上
(
うへ
)
に
塔
(
たふ
)
を
積
(
つ
)
むやうなもの、
272
倹約
(
けんやく
)
流行
(
りうかう
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
273
無駄
(
むだ
)
な
費用
(
ひよう
)
を
省
(
はぶ
)
いて、
274
それを
社会
(
しやくわい
)
事業
(
じげふ
)
にでも
投資
(
とうし
)
した
方
(
はう
)
が
何
(
なに
)
ほど
娑婆
(
しやば
)
の
人間
(
にんげん
)
が
喜
(
よろこ
)
ぶ
事
(
こと
)
か
分
(
わか
)
りませぬぞ』
275
銅
(
どう
)
『ヤアそれでも、
276
もうすでに
準備
(
じゆんび
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ます』
277
と
大
(
だい
)
竜吐水
(
りうとすゐ
)
の
如
(
ごと
)
く
小便茶
(
せうべんちや
)
を
虹
(
にじ
)
のやうに
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
した。
278
与
(
よ
)
『コリヤ、
279
熱
(
あつ
)
い
熱
(
あつ
)
い、
280
何程
(
なんぼ
)
厚
(
あつ
)
い
志
(
こころざし
)
と
言
(
い
)
つても、
281
コー
茶
(
ちや
)
にされては
有難
(
ありがた
)
くもないワ、
282
然
(
しか
)
し
一利
(
いちり
)
あれば
一害
(
いちがい
)
あり、
283
鼻
(
はな
)
だらけの
身体
(
からだ
)
の
洗濯
(
せんたく
)
には
持
(
も
)
つて
来
(
こ
)
いぢや、
284
腹
(
はら
)
も
立
(
た
)
つが
茶腹
(
ちやばら
)
も
立
(
た
)
つ、
285
然
(
しか
)
し
小便
(
せよんべん
)
丈
(
だけ
)
は
閉口
(
へいこう
)
だ』
286
銅
(
どう
)
『それは
見本
(
みほん
)
だ、
287
本物
(
ほんもの
)
は
之
(
こ
)
れから
幾何
(
いくら
)
でも
大洪水
(
だいこうずゐ
)
が
出
(
で
)
たほど
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
して
上
(
あ
)
げませう』
288
弥
(
や
)
『お
香水
(
かうすゐ
)
なら
結構
(
けつこう
)
だが、
289
この
見本
(
みほん
)
ではねつから
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ、
290
破約
(
はやく
)
だ。
291
もう
此方
(
こちら
)
からこの
代物
(
しろもの
)
は
小便
(
せよんべん
)
しますワ』
292
銅
(
どう
)
『アハヽヽヽヽ』
293
弥
(
や
)
『オイオイ
源五郎
(
げんごらう
)
のサツク
奴
(
め
)
が、
294
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
悪戯
(
いたづら
)
を
止
(
や
)
めたらどうだい』
295
銅
(
どう
)
『
貴様
(
きさま
)
は
脱衣婆
(
だついばば
)
の
上前
(
うはまへ
)
をハネよつて、
296
源五郎
(
げんごらう
)
の
着物
(
きもの
)
を
無理
(
むり
)
に
掠奪
(
りやくだつ
)
した
怪
(
け
)
しからぬ
奴
(
やつ
)
だ、
297
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
裸
(
はだか
)
になれ。
298
その
着物
(
きもの
)
をすつかりと
源五郎
(
げんごらう
)
さまに
返上
(
へんじやう
)
するのだ』
299
弥
(
や
)
『エヽ
穢苦
(
むさくる
)
しい、
300
鼻汁
(
はなみづ
)
だらけの
小便茶
(
せよんべんちや
)
の
浸
(
しゆ
)
みたコンナ
着物
(
きもの
)
は、
301
誰
(
たれ
)
が
着
(
き
)
たいものかい。
302
サア
何時
(
いつ
)
でも
返
(
かへ
)
してやるワ』
303
銅
(
どう
)
『
洗濯
(
せんたく
)
をして
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
りに
綺麗
(
きれい
)
に
乾
(
かわ
)
かして
返
(
かへ
)
すのだぞ』
304
弥
(
や
)
、
305
与
(
よ
)
『
洗濯
(
せんたく
)
せえと
言
(
い
)
つたつて
河
(
かは
)
もなし
婆
(
ばば
)
ぢやあるまいし、
306
ソンナ
無理
(
むり
)
な
註文
(
ちうもん
)
はするものぢやないワ、
307
返
(
かへ
)
してやつたら
結構
(
けつこう
)
だ』
308
とムクムクと
裸
(
はだか
)
になり、
309
二人
(
ふたり
)
『サアこれでスイとした
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
だ』
310
銅
(
どう
)
『ウワハヽヽヽヽ、
311
見事
(
みごと
)
裸
(
はだか
)
になりよつたなア、
312
これから
俺
(
おれ
)
の
口
(
くち
)
から
万本針
(
まんぼんばり
)
を
吐
(
は
)
いて
遣
(
や
)
らう、
313
貴様
(
きさま
)
の
身体
(
からだ
)
に
皆
(
みな
)
ささつて
毛
(
け
)
がはへた
様
(
やう
)
にしてやるワ、
314
キツヒヽヽヽ』
315
弥
(
や
)
『エヽ
仕様
(
しやう
)
もない
針合
(
はりあひ
)
のない
事
(
こと
)
だ、
316
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
抜
(
ぬ
)
かすとハリ
倒
(
たふ
)
すぞ。
317
モシモシ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま
何
(
なに
)
して
御座
(
ござ
)
る、
318
吾々
(
われわれ
)
二人
(
ふたり
)
が
之
(
こ
)
れほど
苦
(
くる
)
しみて
居
(
ゐ
)
るのに、
319
貴方
(
あなた
)
は
傍観
(
ばうくわん
)
して
居
(
を
)
つて、
320
それで
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
ける
宣伝使
(
せんでんし
)
と
言
(
い
)
へますか』
321
音
(
おと
)
『ヨー
結構
(
けつこう
)
な
花見
(
はなみ
)
だ。
322
桜花
(
あうくわ
)
爛漫
(
らんまん
)
として
雲
(
くも
)
の
如
(
ごと
)
く、
323
そこへ
日光
(
につくわう
)
七色
(
なないろ
)
の
映
(
えい
)
じた
虹
(
にじ
)
の
麗
(
うるは
)
しさ、
324
後
(
あと
)
から
針
(
はり
)
の
様
(
やう
)
な
霧雨
(
きりあめ
)
ビシヨビシヨと
降
(
ふ
)
つて
来
(
く
)
るこの
風情
(
ふぜい
)
と
言
(
い
)
つたら、
325
何
(
なん
)
とも
譬
(
たと
)
へ
様
(
やう
)
のない
気候
(
きこう
)
、
326
与太彦
(
よたひこ
)
、
327
弥次彦
(
やじひこ
)
の
二人
(
ふたり
)
は
花見踊
(
はなみをどり
)
をして
見
(
み
)
せるし、
328
操
(
あやつ
)
り
人形
(
にんぎやう
)
は
色々
(
いろいろ
)
の
曲芸
(
きよくげい
)
を
演
(
えん
)
じて
観覧
(
くわんらん
)
に
供
(
きよう
)
すると
云
(
い
)
ふ
体裁
(
ていさい
)
だから
面白
(
おもしろ
)
くて
堪
(
たま
)
らぬワイ。
329
霊界
(
れいかい
)
物語
(
ものがたり
)
の
第一
(
だいいつ
)
巻
(
くわん
)
にあつた
通
(
とほ
)
り、
330
苦
(
く
)
中
(
ちう
)
楽
(
らく
)
あり、
331
楽
(
らく
)
中
(
ちう
)
苦
(
く
)
ありだ。
332
天国
(
てんごく
)
と
云
(
い
)
つても
苦
(
くる
)
しみあり、
333
地獄
(
ぢごく
)
と
云
(
い
)
つても
楽
(
たのし
)
みがあると
云
(
い
)
ふは
能
(
よ
)
く
言
(
い
)
つたものだ、
334
心
(
こころ
)
の
持
(
も
)
ちやう
一
(
ひと
)
つで
地獄
(
ぢごく
)
となり、
335
極楽
(
ごくらく
)
となる。
336
嗚呼
(
ああ
)
有難
(
ありがた
)
いものだ』
337
弥
(
や
)
『アヽ
薩張
(
さつぱ
)
り
駄目
(
だめ
)
だ。
338
力
(
ちから
)
に
思
(
おも
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
はこの
通
(
とほ
)
り
知覚
(
ちかく
)
神経
(
しんけい
)
が
麻痺
(
まひ
)
しちまつて、
339
コンナ
苦
(
くる
)
しい
場面
(
ばめん
)
が
極楽
(
ごくらく
)
浄土
(
じやうど
)
に
見
(
み
)
えるとは
何
(
なん
)
とした
事
(
こと
)
だらう』
340
銅
(
どう
)
『サア
是
(
これ
)
からだ、
341
右
(
みぎ
)
の
足
(
あし
)
で
俺
(
おれ
)
が
一
(
ひと
)
つ
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
みたら
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
がガタガタガタガタ、
342
左
(
ひだり
)
の
足
(
あし
)
をウンと
踏
(
ふ
)
みたら
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
は
天上
(
てんじやう
)
目
(
め
)
がけてプリンプリン、
343
泥田
(
どろた
)
の
中
(
なか
)
へ
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
にヅドン キューの
一言
(
ひとこゑ
)
冥土
(
めいど
)
の
旅路
(
たびぢ
)
、
344
アハヽヽヽ』
345
弥
(
や
)
『
何
(
なん
)
だ、
346
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
事
(
こと
)
まで
並
(
なら
)
べよつて、
347
オイ
源五郎
(
げんごらう
)
、
348
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ぬかい、
349
今度
(
こんど
)
ア
俺
(
おれ
)
の
番
(
ばん
)
だ』
350
銅木像
(
どうもくざう
)
はムクムクと
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り
四股
(
しこ
)
をドンドンと
踏
(
ふ
)
みながら、
351
さしも
高
(
たか
)
い
禿山
(
はげやま
)
を
一足
(
ひとあし
)
に
跨
(
また
)
げ、
352
のそりのそりと
歩
(
あゆ
)
み
出
(
だ
)
し、
353
銅木像
『ヤアヤア
太陽
(
たいやう
)
が
余
(
あんま
)
り
低
(
ひく
)
いものだから、
354
頭
(
あたま
)
に
行
(
ゆ
)
き
当
(
あた
)
りよつて
仕方
(
しかた
)
がないワ、
355
あすこにも
月
(
つき
)
がぶら
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
356
腰
(
こし
)
でも
しやがめ
て
通
(
とほ
)
つてやらうかい』
357
と
雷
(
かみなり
)
のやうに
咆
(
ほ
)
え
呶鳴
(
どな
)
りつつ
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
358
弥
(
や
)
『ヤアヤア
化像
(
ばけざう
)
の
奴
(
やつ
)
、
359
源五郎
(
げんごらう
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
れて
何処
(
どこ
)
へか
往
(
い
)
つてしまひよつた、
360
アヽ
仕方
(
しかた
)
がない、
361
真裸
(
まつぱだか
)
だ、
362
誰
(
たれ
)
か
来
(
こ
)
ぬかいな、
363
着物
(
きもの
)
の
用意
(
ようい
)
をせなくちや
閻魔
(
えんま
)
の
庁
(
ちやう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
迄
(
まで
)
に、
364
ポリスに
出会
(
であ
)
つたらまた
監禁
(
かんきん
)
だ』
365
与
(
よ
)
『オイオイ
向
(
むか
)
ふを
見
(
み
)
よ、
366
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち
鷹彦
(
たかひこ
)
、
367
岩彦
(
いはひこ
)
、
368
梅彦
(
うめひこ
)
、
369
亀彦
(
かめひこ
)
の
面々
(
めんめん
)
が
遣
(
や
)
つて
来
(
く
)
るぢやないか、
370
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
え
出
(
だ
)
したぞ』
371
弥
(
や
)
『ヤア
来
(
き
)
た
来
(
き
)
た、
372
彼
(
あ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
も
何処
(
どこ
)
へ
往
(
い
)
つたかと
思
(
おも
)
へば、
373
矢張
(
やつぱ
)
り
大蛇
(
おろち
)
に
飲
(
の
)
まれて
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をやつてゐるのだなア、
374
然
(
しか
)
しまア
道連
(
みちづれ
)
が
出来
(
でき
)
て
賑
(
にぎ
)
やかで
好
(
い
)
いワイ』
375
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
馬
(
うま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
カツカツと
此方
(
こちら
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る。
376
弥
(
や
)
『モシモシ、
377
私
(
わたくし
)
の
頭
(
あたま
)
は
小便
(
せよんべん
)
だらけだ、
378
水
(
みづ
)
でも
吹
(
ふ
)
いて
清
(
きよ
)
めて
下
(
くだ
)
さいませぬか』
379
日
(
ひ
)
『ヤア
鷹彦
(
たかひこ
)
サン、
380
岩彦
(
いはひこ
)
サン、
381
貴方
(
あなた
)
がた
一同
(
いちどう
)
は
谷川
(
たにがは
)
の
水
(
みづ
)
でも、
382
汲
(
く
)
みてかけてやつて
下
(
くだ
)
さい』
383
鷹
(
たか
)
、
384
岩
(
いは
)
『
畏
(
かしこ
)
まりました』
385
と
谷
(
たに
)
に
下
(
くだ
)
りて
口
(
くち
)
に
水
(
みづ
)
を
含
(
ふく
)
み
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
顔
(
かほ
)
に
向
(
むか
)
つて
伊吹
(
いぶき
)
をした。
386
ウヽーンと
唸
(
うな
)
ると
共
(
とも
)
にハツと
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
けば、
387
小鹿峠
(
こしかたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
の
河辺
(
かはべり
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
気絶
(
きぜつ
)
して
居
(
ゐ
)
たるなり。
388
日
(
ひ
)
『ヤー
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
389
吾々
(
われわれ
)
の
来
(
く
)
るのが
少
(
すこ
)
し
遅
(
おそ
)
かつたら、
390
とうとう
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をする
所
(
ところ
)
だつたなア、
391
マア
命
(
いのち
)
があつて
何
(
なに
)
より
結構
(
けつこう
)
、
392
サア
是
(
こ
)
れからフサの
都
(
みやこ
)
へ
着
(
つ
)
いて、
393
それからコーカス
山
(
ざん
)
に
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
にしよう』
394
(
大正一一・三・二三
旧二・二五
谷村真友
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 三途川
(B)
(N)
鷹彦還元 >>>
霊界物語
>
如意宝珠(第13~24巻)
>
第14巻(丑の巻)
> 第1篇 五里夢中 > 第2章 銅木像
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第2章 銅木像|第14巻|如意宝珠|霊界物語|/rm1402】
合言葉「みろく」を入力して下さい→