霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第六章 三腰岩(みこしいは)〔七五二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻 篇:第2篇 自由活動 よみ(新仮名遣い):じゆうかつどう
章:第6章 三腰岩 よみ(新仮名遣い):みこしいわ 通し章番号:752
口述日:1922(大正11)年07月08日(旧閏05月14日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年5月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
三人は腰は立たなかったが、口は達者なままだった。チャンキーは清公を皮肉ってからかう歌を歌った。
清公はそれを聞いておかしさに笑いながら、チャンキーとモンキーをからかう歌を歌った。清公が歌い終わると、チャンキーと清公の腰が、にわかに立つようになった。
モンキーはその場から動けないままであった。とうとう自棄になって、清公をからかうおかしな歌を歌いだした。歌い終わるとモンキーの腰もようやく立った。
三人は憎まれ口を叩き合いながら、大蛇退治に郷人の加勢に行くことにし、宣伝歌を歌いながらクシの滝に向かって行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:ニユージランド(ニュージーランド) データ凡例: データ最終更新日:2026-06-18 15:19:08 文字数:4012 OBC :rm2506
愛善世界社版:105頁 八幡書店版:第5輯 70頁 修補版: 校定版:110頁 普及版:50頁 初版: ページ備考:
001 大蛇(をろち)の尻尾(しつぽ)に跳(は)ね飛(と)ばされた清公(きよこう)は、002広言(くわうげん)を吐(は)いたチヤンキー、003モンキーの二人(ふたり)の目(め)の前(まへ)に腰(こし)を抜(ぬ)かし、004醜態(ぶざま)にも顔(かほ)を顰(しか)め、005大腿骨(だいたいこつ)を痛(いた)め、006苦虫(にがむし)を噛(か)んだやうな、007六ケ(むつか)しい顔(かほ)をして気張(きば)つて居(ゐ)る可笑(をか)しさ。008腰(こし)の立(た)たぬ三(さん)人(にん)は、009口(くち)ばかりは相変(あひかは)らず達者(たつしや)である。
010チヤンキー『モーシモーシ清公(きよこう)さま
011お前(まへ)は余(よ)つ程(ぽど)偉(えら)い奴(やつ)
012竜宮嶋(りうぐうじま)の地恩郷(ちおんきやう)
013左守(さもりの)神(かみ)まで登(のぼ)りつめ
014雪隠(せんち)の虫(むし)の高上(たかあが)り
015漸(やうや)う大地(だいち)へ這(は)ひ上(のぼ)り
016カンピンタンになつた上(うへ)
017蠅(はへ)に孵化(ふくわ)して王(わう)さまの
018頭(あたま)の上(うへ)まで登(のぼ)らうと
019企(たく)んだ事(こと)も水(みづ)の泡(あわ)
020小便(せうべん)垂(た)れて糞(ばば)垂(た)れて
021宇豆姫(うづひめ)さまに撥(はぢ)かれて
022ドン底(ぞこ)迄(まで)も顛落(てんらく)し
023いよいよ此処(ここ)に改心(かいしん)の
024実(じつ)を示(しめ)さうと我々(われわれ)を
025言葉(ことば)巧(たくみ)にちよろまかし
026相(あい)も変(かは)らぬ悪(わる)い事(こと)
027続(つづ)けるつもりでスタスタと
028タカの港(みなと)までやつて来(き)て
029誰(たれ)の船(ふね)かは知(し)らねども
030屋根無(たなな)し船(ぶね)を何々(なになに)し
031吾物顔(わがものがほ)に悠々(いういう)と
032浪(なみ)を渡(わた)つて夜(よる)のうち
033人目(ひとめ)を忍(しの)んでヒル港(みなと)
034改心(かいしん)したとは何(なん)の事(こと)
035大事(だいじ)の大事(だいじ)の他人(ひと)の船(ふね)
036代価(あたへ)も遣(や)らずにぼつたくり
037三五教(あななひけう)を此(この)郷(さと)に
038開(ひら)かうとしたのが運(うん)の尽(つき)
039俺(おれ)まで矢張(やつぱり)盗人(ぬすびと)の
040そのお仲間(なかま)に引(ひ)き込(こ)んで
041大将顔(たいしやうがほ)を提(さ)げ歩(ある)き
042クシの雄滝(をだき)の手前(てまへ)まで
043口(くち)と心(こころ)のそぐはない
044宣伝歌(せんでんか)をば歌(うた)ひつつ
045同(おな)じ教(をしへ)の道(みち)の子(こ)の
046我々(われわれ)二人(ふたり)を頤(あご)の先(さき)
047チヤンキーモンキーと口(くち)の先(さき)
048汚(きたな)い言葉(ことば)で扱(こ)き使(つか)ひ
049主人面(しゆじんづら)してやつて来(き)た
050その天罰(てんばつ)は目(ま)のあたり
051大蛇(をろち)の尻尾(しつぽ)に撥(は)ねられて
052左守(さもりの)神(かみ)になつたやうに
053一旦(いつたん)高(たか)く舞(ま)ひ上(あが)り
054スツテンドウと土(つち)の上(うへ)
055忽(たちま)ち変(かは)る地獄道(ぢごくだう)
056腰弱(こしよわ)男(をとこ)が腰抜(こしぬ)かし
057お尻(しり)の骨(ほね)を打(う)ち砕(くだ)き
058吠面(ほえづら)かわくは何(なん)の事(こと)
059お尻(しり)の仕末(しまつ)のつかぬ人(ひと)
060そんなお方(かた)と知(し)らずして
061従(つ)いて来(き)たのが我々(われわれ)の
062不覚(ふかく)と悔(くや)んで見(み)たとこが
063六日(むゆか)の菖蒲(あやめ)十日菊(とをかきく)
064改慢心(かいまんしん)の清公(きよこう)[※初版・愛世版では「虎公」になっているが、校定版・八幡版では「清公」に直している。「虎公」という人物はここには登場せず、文脈上「清公」が妥当である]の
065猫(ねこ)の眼球(めだま)のお招伴(せうばん)
066こんな約(つま)らぬ事(こと)はない
067チヤンキーモンキー騒(さわ)いでも
068お腰(こし)が立(た)たねば仕方(しかた)ない
069私(わたし)等(ら)二人(ふたり)をこんな目(め)に
070遇(あ)はして置(お)いて清公(きよこう)さま
071何(ど)うする積(つも)りで御座(ござ)るのか
072余(あま)りと云(い)へばあんまりぢや
073お前(まへ)の腰(こし)は何(ど)うなろが
074お尻(しり)の骨(ほね)は砕(くだ)けやうが
075私(わたし)は些(ちつ)とも構(かま)やせぬ
076お傍杖(そばづゑ)をば喰(く)はされた
077私(わたし)等(ら)二人(ふたり)は此(この)儘(まま)に
078此処(ここ)で死(し)んだら化(ば)けて出(で)て
079お前(まへ)の影身(かげみ)に附添(つきそ)うて
080生首(なまくび)かかねば置(お)かぬぞや
081あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
082目玉(めだま)飛(と)び出(で)るやうな目(め)に
083私(わたし)は遇(あ)はされ耐(たま)らない
084朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
085月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
086仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
087清公(きよこう)の奴(やつ)は死(し)ぬるとも
088私(わし)にとつては大蛇(だいじや)ない
089早(はや)く改心(かいしん)した上(うへ)で
090我(われ)等(ら)二人(ふたり)が壮健(さうけん)で
091お前(まへ)を見捨(みす)てて帰(かへ)るやうに
092どうぞ祈(いの)つて下(くだ)さんせ
093此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
094心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
095唯(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
096直日(なほひ)に見直(みなほ)せ聞(き)き直(なほ)せ
097身(み)の過(あやま)ちは宣(の)り直(なほ)せ
098さはさりながら我々(われわれ)は
099清公(きよこう)の奴(やつ)にこんな目(め)に
100遇(あ)はされ何(ど)うして此(この)儘(まま)に
101恨(うら)み返(かへ)さでおかれやうか
102尻尾(しつぽ)の毛(け)迄(まで)一本(いつぽん)も
103無(な)い処(ところ)迄(まで)抜(ぬ)かれたる
104チヤンキー、モンキーは云(い)ふも更(さら)
105肝腎要(かんじんかなめ)の清公(きよこう)は
106肝(きも)を抜(ぬ)かれて腰(こし)を抜(ぬ)き
107悲惨(ひさん)極(きは)まる為体(ていたらく)
108お互(たがひ)一様(いちやう)に身(み)の上(うへ)は
109気(き)の毒(どく)なりける次第(しだい)なり』
110と自暴自棄(やけくそ)になりて、111出放題(ではうだい)を喋(しやべ)り立(た)てて居(ゐ)る。112清公(きよこう)も此(この)滑稽(こつけい)な揶揄(からかひ)半分(はんぶん)の歌(うた)に痛(いた)さを忘(わす)れてクツクツ笑(わら)ひ出(だ)す。
113清公(きよこう)『セイロン島(たう)の土籠(つちごもり)
114黒(くろ)ン坊(ばう)人種(じんしゆ)の成(な)れの果(はて)
115チヤンキーモンキー両人(りやうにん)が
116小糸(こいと)の姫(ひめ)に頼(たの)まれて
117可愛(かあい)い妻子(つまこ)を後(あと)に置(お)き
118お金(かね)の欲(よく)に目(め)が眩(くら)み
119義理(ぎり)も人情(にんじやう)も打(う)ち忘(わす)れ
120海洋(かいやう)万里(ばんり)の浪(なみ)の上(うへ)
121汗(あせ)もたらたら漕(こ)ぎ廻(まは)る
122時(とき)しもあれや天狗風(てんぐかぜ)
123魔島(ましま)に船(ふね)は打(う)ちあたり
124木端(こつぱ)微塵(みぢん)となつた時(とき)
125肝腎要(かんじんかなめ)のお客(きやく)さま
126小糸(こいと)の姫(ひめ)を顧(かへり)みず
127船(ふね)は無(な)けれど黒(くろ)い尻(しり)
128帆(ほ)をかけ登(のぼ)る岩(いは)の上(うへ)
129三年(みとせ)三月(みつき)も雨風(あめかぜ)や
130天日(てんぴ)に曝(さら)され泣(な)き面(づら)を
131乾(かわ)かし蟹(かに)や貝(かひ)を採(と)り
132食(く)つて漸々(やうやう)惜(を)しからぬ
133命(いのち)をながらへ時(とき)を待(ま)つ
134高姫(たかひめ)さまや蜈蚣姫(むかでひめ)の
135船(ふね)が来(き)たのを幸(さいは)ひに
136玉(たま)を匿(かく)した匿(かく)さぬと
137やつさもつさの押問答(おしもんだふ)
138囀(さへづ)る折(をり)しもテンカオの
139島(しま)は忽(たちま)ち海底(かいてい)に
140沈(しづ)んだお蔭(かげ)で魔(ま)の神(かみ)[※初版・愛世版では「魔の神」だが、校定版・八幡版では「魔の島」に直している。]は
141浪(なみ)に呑(の)まれて大勢(おほぜい)が
142蚊(か)の啼(な)くやうな情(なさ)けない
143声(こゑ)を絞(しぼ)つて居(ゐ)たところ
144玉治別(たまはるわけ)の一行(いつかう)に
145安(やす)い命(いのち)を助(たす)けられ
146ニユージランドの玉森(たまもり)で
147エツパツパーを喰(く)はされて
148泣(な)く泣(な)く竜宮(りうぐう)の一(ひと)つ島(じま)
149タカの港(みなと)に上陸(じやうりく)し
150地恩(ちおん)の郷(さと)に登(のぼ)りつめ
151チヤンキーモンキーと呼(よ)び捨(す)てに
152皆(みんな)の奴(やつ)等(ら)に馬鹿(ばか)にされ
153雪隠(せんち)の中(なか)の掃除(さうぢ)まで
154やつて居(ゐ)たるを見(み)た俺(おれ)は
155可愛(かあい)さうだと慈悲心(じひしん)を
156起(おこ)してタカの港(みなと)より
157黙(だま)つて船(ふね)を拝借(はいしやく)し
158鳥(とり)無(な)き郷(さと)の蝙蝠(かふもり)に
159出世(しゆつせ)をさせようと連(つ)れて来(き)て
160働(はたら)かさうと思(おも)つたら
161卑怯(ひけふ)未練(みれん)の馬鹿者(ばかもの)が
162大蛇(をろち)の姿(すがた)に腰抜(こしぬ)かし
163中(なか)にもチヤンキーの腰抜(こしぬ)けは
164話(はなし)を聞(き)いて胴(どう)慄(ふる)ひ
165脛腰(すねこし)立(た)たぬその態(ざま)で
166俺(おれ)に向(むか)つて屁理窟(へりくつ)を
167云(い)ふとは些(ちつ)と両人(りやうにん)の
168見当(けんたう)違(ちが)ひぢやあるまいか
169大(おほ)馬鹿者(ばかもの)の腰抜(こしぬ)けが
170二人(ふたり)揃(そろ)うた岩(いは)の上(うへ)
171愚図(ぐづ)々々(ぐづ)すると最前(さいぜん)の
172大蛇(をろち)の奴(やつ)が飛(と)んで来(き)て
173今度(こんど)は深(ふか)き谷底(たにぞこ)へ
174尻尾(しつぽ)の先(さき)で振(ふ)り落(おと)し
175身(み)を砕(くだ)かれて冥途(めいど)往(ゆ)き
176三途(さんづ)の川(かは)の鬼婆(おにばば)に
177何(なん)ぢやかんぢやと虐(いぢ)められ
178末(すゑ)には血(ち)の池(いけ)針(はり)の山(やま)
179焦熱(せうねつ)地獄(ぢごく)に墜落(つゐらく)し
180鬼(おに)に喰(く)はれて仕舞(しま)ふぞよ
181あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
182叶(かな)はぬからの神頼(かみだの)み
183哀(あは)れなりける次第(しだい)なり
184アハヽヽハツハ阿呆(あはう)面(づら)
185ウフヽヽフツフ呆(う)つけ者(もの)
186イヒヽヽヒツヒ因果者(いんぐわもの)
187オホヽヽホツホ大馬鹿(おほばか)よ
188エヘヽヽヘツヘエーやめて置(お)かう』
189と喋(しやべ)り終(をは)つた途端(とたん)に、190清公(きよこう)の腰(こし)はヒヨツコリと立(た)つた。191続(つづ)いてチヤンキーの腰(こし)も亦(また)立(た)ち上(あが)つた。
192チヤンキー『ヤア、193余(あんま)り清公(きよこう)がしようも無(な)い事(こと)を云(い)ふものだから、194言霊(ことたま)の口罰(くちばち)が当(あた)つて、195堅磐(かきは)常磐(ときは)に鎮座(ちんざ)ましました石座(いはくら)を離(はな)れ、196又(また)徐々(そろそろ)働(はたら)かねばならぬやうになつて仕舞(しま)つた。197……モンキー、198貴様(きさま)は幸福者(しあわせもの)だ。199何処迄(どこまで)も泰然(たいぜん)自若(じじやく)として、200安楽(あんらく)に岩(いは)の上(うへ)に暮(く)らせる身分(みぶん)だ。201我(われ)等(ら)両人(りやうにん)はそろそろ是(これ)から活動(くわつどう)に這入(はい)るのだ。202何卒(どうぞ)貴様(きさま)、203生神(いきがみ)様(さま)になつて其処(そこ)に胴(どう)を据(す)ゑ、204俺(おれ)等(ら)両人(りやうにん)の幸(さいはひ)を守(まも)つて呉(く)れ。205南無(なむ)モンキー大明神(だいみやうじん)、206叶(かな)はぬなら立(た)ち上(あが)りませだ。207アハヽヽヽ』
208と二人(ふたり)は面白(おもしろ)さうに足(あし)が立(た)つた嬉(うれ)しさに妙(めう)な手(て)つきで踊(をど)つて居(ゐ)る。209モンキーは業(ごふ)を煮(に)やし、210立(た)つて見(み)ようと焦慮(あせ)れど藻掻(もが)けど、211ビクともしない。212たうとう自棄(やけ)気味(ぎみ)になつて下(くだ)らぬ歌(うた)を喋(しやべ)り始(はじ)めた。
213モンキー『清公(きよこう)チヤンキーよつく聞(き)け
214俺(おれ)は誠(まこと)の生神(いきがみ)ぢや
215岩(いは)に喰(く)ひつき獅噛(しが)みつき
216胴(どう)は据(す)わつて動(うご)かない
217ビクとも致(いた)さぬ大和魂(やまとだま)
218貴様(きさま)の腰(こし)は浮(う)き調子(てうし)
219又々(またまた)悪魔(あくま)に導(みちび)かれ
220大蛇(をろち)の尻尾(しつぽ)に撥(はぢ)かれて
221再(ふたた)び天上(てんじやう)するがよい
222俺(おれ)は貴様(きさま)の墜落(つゐらく)を
223空(そら)を仰(あふ)いで待(ま)つて居(ゐ)る
224雪隠虫(せつちんむし)の高上(たかあ)がり
225名(な)は清公(きよこう)と申(まを)せども
226心(こころ)の色(いろ)は泥公(どろこう)が
227チヤンキーチヤンキーと偉(えら)さうに
228口(くち)では云(い)へど何一(なにひと)つ
229チヤンキーチヤンキーと埒明(らちあ)かぬ
230困(こま)つた奴(やつ)が唯(ただ)一人(ひとり)
231此(この)世(よ)の中(なか)の穀潰(ごくつぶ)し
232娑婆(しやば)に居(を)つても用(よう)はない
233俺(おれ)は何(なん)にも岩(いは)の神(かみ)
234万劫(まんがふ)末代(まつだい)動(うご)き無(な)き
235下津(したつ)岩根(いはね)に腰(こし)据(す)ゑて
236貴様(きさま)等(ら)二人(ふたり)の行末(ゆくすゑ)を
237アーイーウーエーオホヽヽヽ
238嘲笑(あざわら)ひつつ見(み)て暮(く)らす
239四(よ)つ足(あし)身魂(みたま)に汚(けが)された
240碌(ろく)な事(こと)せぬ二人(ふたり)連(づ)れ
241一日(ひとひ)も速(はや)く此(この)場(ば)をば
242離(はな)れて往(ゆ)けよお前(まへ)達(たち)
243愚図(ぐづ)々々(ぐづ)してると其辺中(そこらぢう)
244空気(くうき)の色(いろ)迄(まで)悪(わる)くする
245あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
246目玉(めだま)の飛(と)び出(で)るやうな目(め)に
247遇(あ)はせて下(くだ)さい三五(あななひ)の
248皇(すめ)大神(おほかみ)の御(おん)前(まへ)に
249二人(ふたり)の為(ため)に祈(いの)ります
250エヘヽヽヘツヘ得体(えたい)の知(し)れぬ
251オホヽヽホツホ大(おほ)馬鹿者(ばかもの)奴(め)
252カヽヽヽカツカ空威張(からゐば)り
253キヽヽヽキツキ気(き)に喰(く)はぬ
254クヽヽヽクツク糞奴(くそやつこ)
255ケヽヽヽケツケ怪(け)しからぬ
256コヽヽヽコツコ困(こま)り者(もの)
257サヽヽヽサツサ逆(さか)とんぼ
258シヽヽヽシツシ強太(しぶと)い奴(やつこ)
259スヽヽヽスツス好(すか)ん平野郎(べいやらう)
260セヽヽヽセツセ雪隠虫(せんちむし)
261ソヽヽヽソツソそぐり立(た)てた
262タヽヽヽタツタ高上(たかあが)り
263チヽヽヽチツチちんちくりん
264ツヽヽヽツツツ聾者(つんぼ)盲人(めくら)
265テヽヽヽテツテ天狗面(てんぐづら)
266トヽヽヽトツト呆(とぼ)け野郎(やらう)
267ナヽヽヽナツナ泣(な)きツ面(つら)
268ニヽヽヽニツニ憎(にく)まれ子(ご)
269憎(にく)まれにくまれ世(よ)に覇張(はば)る
270ヌヽヽヽヌツヌヌーボ式(しき)
271ネヽヽヽネツネ鼠(ねずみ)の子(こ)
272ノヽヽヽノツノ野天狗(のてんぐ)野狐(のぎつね)豆狸(まめだぬき)
273ハヽヽヽヽツハ薄情者(はくじやうもの)
274ヒヽヽヽヒツヒ非常識(ひじやうしき)
275フヽヽヽフツフ戯(ふざ)けた事(こと)をしやがつて
276ヘヽヽヽヘツヘ屁理窟(へりくつ)ばかり叩(たた)きよる
277ホヽヽヽヽツホほうけ野郎(やらう)
278マヽヽヽマツマ曲津(まがつ)御霊(みたま)の張本(ちやうほん)よ
279ミヽヽヽミツミ蚯蚓(みみづ)土竜(むぐら)の土潜(つちくぐ)り
280ムヽヽヽムツム蜈蚣姫(むかでひめ)臭(くさ)い婆(ば)さま腰巾着(こしぎんちやく)
281メヽヽヽメツメ盲目(めくら)聾者(つんぼ)の腰抜(こしぬ)け野郎(やらう)
282モヽヽヽモツモ耄碌(まうろく)魂(みたま)の二人(ふたり)連(づ)れ
283ヤヽヽヽヤツヤ奴(やつこ)野郎(やらう)の
284イヽヽヽイツイ意地(いぢ)くね悪(わる)い
285ユヽヽヽユツユ幽霊腰(いうれいごし)
286エヽヽヽエツエえぐたらしい
287ヨヽヽヽヨツヨ妖魅面(えうみづら)提(さ)げて
288ワヽヽヽワツワ悪(わる)い事(こと)毎日(まいにち)毎夜(まいよ)考(かんが)へよつて
289ヰヽヽヽヰツヰ一寸先(いつすんさき)は暗(やみ)の夜(よ)だ
290ウヽヽヽウツウ迂路(うろ)々々(うろ)と其辺(そこら)あたりを魔胡(まご)つき出(い)だし
291ヱヽヽヽヱツヱ偉(えら)さうに
292ヲヽヽヽヲツヲ大失策(おほしくじり)を致(いた)したる大(おほ)馬鹿者(ばかもの)の臆病者(おくびやうもの)…………
293大腰抜(おほこしぬ)けの狼野郎(おほかみやらう)、294お目出度(めでた)い変(かは)り者(もの)だ。295サア何処(どこ)へなりと勝手(かつて)に往(ゆ)け。296その代(かは)りに盗(ぬす)んで来(き)た船(ふね)を元(もと)の所(ところ)へ返(かへ)して来(こ)い。297さうで無(な)ければ三五教(あななひけう)の宣伝(せんでん)に歩(ある)いても亦(また)此(この)通(とほ)りだ。298脛腰(すねこし)が立(た)たぬやうに致(いた)してやるぞよ。299ウンウンウン』
300と体(からだ)を揺(ゆす)り、301そろそろ発動(はつどう)し初(はじ)め、302岩(いは)の上(うへ)で餅(もち)を搗(つ)くやうに体(からだ)を上(あ)げたり下(さ)げたり、303十数回(じふすうくわい)繰(く)り返(かへ)し、304何時(いつ)の間(ま)にやら抜(ぬ)けた腰(こし)はちやんと元(もと)の通(とほ)りに納(をさ)まり、305そろそろ歩(ある)き出(だ)した。
306清公(きよこう)『ヤア、307モンキー、308貴様(きさま)、309何時(いつ)の間(ま)に腰(こし)が立(た)つたか』
310モンキー『俺(おれ)は初(はじ)めから、311決(けつ)して貴様(きさま)等(ら)のやうに腰(こし)は抜(ぬ)かしては居(ゐ)ないぞ。312余(あま)り偉(えら)さうに家来(けらい)扱(あつか)ひに致(いた)すから、313一寸(ちよつと)芝居(しばゐ)をしてやつたのだ。314ウフヽヽヽ』
315と肩(かた)を揺(ゆす)る。
316チヤンキー『アレアレ、317追々(おひおひ)騒(さわ)がしく聞(きこ)えて来(く)る老若(らうにやく)男女(なんによ)の叫(さけ)び声(ごゑ)、318こりや斯(か)うしては居(を)られない。319いづれ三(さん)人(にん)の中(うち)一人(ひとり)は船(ふね)を返(かへ)しに帰(かへ)らねばならないが、320先(ま)づ神(かみ)様(さま)に御(ご)猶予(いうよ)を願(ねが)つて、321大蛇(をろち)の征服(せいふく)を済(すま)す事(こと)にしようかい』
322清公(きよこう)『それもさうだ。323余(あま)り大蛇(をろち)に気(き)を取(と)られて祝詞(のりと)奏上(そうじやう)を忘(わす)れて居(ゐ)た。324其(その)罰(ばち)で腰(こし)が立(た)たなくなつたのだ。325……アヽ神(かみ)様(さま)、326何卒(どうぞ)お赦(ゆる)し下(くだ)さいませ』
327と三(さん)人(にん)は一所(ひとところ)に集(あつ)まり来(きた)り、328高(たか)らかに天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し、329天(あま)の数歌(かずうた)及(およ)び宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひクシの滝壺(たきつぼ)を目蒐(めが)けて進(すす)みゆく。
330(大正一一・七・八 旧閏五・一四 加藤明子録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→