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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第28巻(卯の巻)
序歌
総説歌
第1篇 高砂の島
第1章 カールス王
第2章 無理槍
第3章 玉藻山
第4章 淡渓の流
第5章 難有迷惑
第6章 麻の紊れ
第2篇 暗黒の叫
第7章 無痛の腹
第8章 混乱戦
第9章 当推量
第10章 縺れ髪
第11章 木茄子
第12章 サワラの都
第3篇 光明の魁
第13章 唖の対面
第14章 二男三女
第15章 願望成就
第16章 盲亀の浮木
第17章 誠の告白
第18章 天下泰平
第4篇 南米探険
第19章 高島丸
第20章 鉈理屈
第21章 喰へぬ女
第22章 高砂上陸
跋(暗闇)
余白歌
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第28巻(卯の巻)
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(B)
(N)
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第二二章
高砂
(
たかさご
)
上陸
(
じやうりく
)
〔八二二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻
篇:
第4篇 南米探険
よみ(新仮名遣い):
なんべいたんけん
章:
第22章 高砂上陸
よみ(新仮名遣い):
たかさごじょうりく
通し章番号:
822
口述日:
1922(大正11)年08月10日(旧06月18日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年8月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫が甲板に来ると、常彦と春彦が手をつないで、歌い踊っている。二人は高姫に勘当されたお祝いに踊っているのだ、と高姫に答える。調子に乗っていると、春彦は足を踏み外して海に落ちてしまった。
常彦は声を限りに助けを求めると、船客の一人が綱に板切れをつけて放り投げ、春彦を助け上げた。常彦がよく見れば、それは国依別であった。国依別は高姫に悟られないようにと、常彦に釘を刺し、姿を隠した。
高姫は、自分に懸っている日の出神が春彦を助けたのだ、と意気を上げている。常彦はそんなはずはないと高姫に反論したが、高姫は怒って常彦の胸倉をとり、喉を締め付けた。常彦は悲鳴を上げる。
春彦は高姫の足をさらえた。今度は高姫が海中に落ちてしまった。常彦と春彦は、高姫に綱を投げて助け上げたが、高姫は日の出神に感謝する。高姫の傲慢な物言いに二人はあきれてしまうが、高姫がまた胸倉を取ったことで、また険悪になってしまう。
船が陸に着いた。高姫は面を膨らして一番に飛び出して行った。常彦と春彦もそっと後を追った。
船長のタルチールは息子に船を与えて船長とすると、言依別命と国依別と一緒に宣伝歌を歌いながら高砂島に進み入った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-15 18:48:57
OBC :
rm2822
愛善世界社版:
274頁
八幡書店版:
第5輯 451頁
修補版:
校定版:
284頁
普及版:
123頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
は
大勢
(
おほぜい
)
の
船客
(
せんきやく
)
の
中
(
なか
)
に
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
、
002
面
(
つら
)
をふくらして
坐
(
すわ
)
つて
居
(
ゐ
)
たが、
003
余
(
あま
)
り
気分
(
きぶん
)
がすぐれぬので、
004
再
(
ふたた
)
び
見晴
(
みは
)
らしよき
甲板
(
かんばん
)
に
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はした。
005
そこには
常彦
(
つねひこ
)
、
006
春彦
(
はるひこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
切
(
しき
)
りに
手
(
て
)
をつないで、
007
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
008
高姫
(
たかひめ
)
は
目
(
め
)
に
角
(
かど
)
を
立
(
た
)
て、
009
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で、
010
高姫
『コレ
常公
(
つねこう
)
、
011
春公
(
はるこう
)
、
012
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
013
何
(
なに
)
を
気楽
(
きらく
)
さうにグヅグヅ
踊
(
をど
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだい。
014
チト
確
(
しつか
)
りしなさらぬかい』
015
常彦
(
つねひこ
)
『ハーイ、
016
何分
(
なにぶん
)
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
の
末
(
すゑ
)
迄
(
まで
)
勘当
(
かんどう
)
を
受
(
う
)
けたり、
017
勘当
(
かんどう
)
をした
祝
(
いはひ
)
に、
018
空散財
(
からさんざい
)
をやつて
居
(
を
)
りますのだ。
019
お
前
(
まへ
)
さまもそこで
一組
(
ひとくみ
)
、
020
品
(
しな
)
よう
踊
(
をど
)
つて
御覧
(
ごらん
)
なさい。
021
随分
(
ずゐぶん
)
見晴
(
みは
)
らしのよい
此
(
この
)
甲板
(
かんばん
)
の
上
(
うへ
)
で、
022
ソヨソヨ
風
(
かぜ
)
を
受
(
う
)
け
乍
(
なが
)
ら
踊
(
をど
)
つてゐるのは
素的
(
すてき
)
滅法界
(
めつぽふかい
)
面白
(
おもしろ
)
いものですよ。
023
アハヽヽヽ』
024
春彦
(
はるひこ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
025
そんな
六
(
むつ
)
かしい
顔
(
かほ
)
をせずに、
026
長
(
なが
)
い
海
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
の
道中
(
だうちう
)
だ。
027
チツとは
気楽
(
きらく
)
になりなさい。
028
苦
(
くるし
)
んでくらすのも、
029
喜
(
よろこ
)
んでくらすのも、
030
泣
(
な
)
くのも
怒
(
おこ
)
るのもヤツパリ
一
(
いち
)
日
(
にち
)
だよ。
031
ヤア
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
032
ヤア
常彦
(
つねひこ
)
、
033
サア
踊
(
をど
)
つたり
踊
(
をど
)
つたり』
034
と
又
(
また
)
もや
無茶
(
むちや
)
苦茶
(
くちや
)
に、
035
妙
(
めう
)
な
手
(
て
)
つきし
乍
(
なが
)
ら、
036
ステテコ
踊
(
をどり
)
を
始
(
はじ
)
め
出
(
だ
)
した。
037
高姫
(
たかひめ
)
は
目
(
め
)
に
角
(
かど
)
を
立
(
た
)
て
足
(
あし
)
ふみならし、
038
高姫
『コレ
常公
(
つねこう
)
、
039
春公
(
はるこう
)
、
040
誰
(
たれ
)
が
勘当
(
かんどう
)
すると
云
(
い
)
ひました。
041
決
(
けつ
)
して
高姫
(
たかひめ
)
は
申
(
まを
)
しませぬよ。
042
あれはお
前
(
まへ
)
に
憑依
(
ひようい
)
してゐた
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
が、
043
妾
(
わたし
)
の
口
(
くち
)
を
借
(
か
)
つてあんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つたのだ。
044
海洋
(
かいやう
)
万里
(
ばんり
)
の
航海
(
かうかい
)
に
杖柱
(
つゑはしら
)
と
頼
(
たの
)
むお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
を
勘当
(
かんどう
)
して
如何
(
どう
)
なるものか。
045
よう
考
(
かんが
)
へて
御覧
(
ごらん
)
なさい』
046
春彦
(
はるひこ
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
047
こつちは
荒男
(
あらをとこ
)
の
二人
(
ふたり
)
連
(
づれ
)
、
048
お
前
(
まへ
)
さまは
何程
(
なんぼ
)
強
(
つよ
)
相
(
さう
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つても、
049
大体
(
だいたい
)
が
女
(
をんな
)
だから、
050
心
(
こころ
)
淋
(
さび
)
しくなつて
来
(
き
)
たので、
051
又
(
また
)
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
旧交
(
きうかう
)
を
温
(
あたた
)
めようとするのだらう。
052
其
(
その
)
手
(
て
)
には
吾々
(
われわれ
)
だつて、
053
さう
何遍
(
なんべん
)
も
乗
(
の
)
りませぬよ、
054
御
(
お
)
生憎
(
あひにく
)
さま、
055
今
(
いま
)
は
他人
(
たにん
)
ぢやホツチツチ
056
一家
(
いつけ
)
になつたらかもてんか
057
ウントコドツコイ
高姫
(
たかひめ
)
さま
058
ヤツトコドツコイ
常彦
(
つねひこ
)
さま
059
ゴテゴテ
云
(
い
)
ふと
鬼
(
おに
)
の
蕨
(
わらび
)
がお
見舞
(
みまひ
)
申
(
まを
)
す
060
頭
(
あたま
)
のてつぺを
春彦
(
はるひこ
)
さま
061
アヽドツコイドツコイドツコイシヨ』
062
と
調子
(
てうし
)
に
乗
(
の
)
つて
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ひ、
063
春彦
(
はるひこ
)
は
甲板
(
でつき
)
をふみはづし、
064
逆
(
さか
)
まく
波
(
なみ
)
にザンブと
許
(
ばか
)
り
落込
(
おちこ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
065
常彦
(
つねひこ
)
は
甲板
(
でつき
)
の
上
(
うへ
)
を
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
真青
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
をして、
066
キリキリと
狂
(
くる
)
ひ
廻
(
まは
)
つた。
067
高姫
(
たかひめ
)
は、
068
高姫
『コレ
常彦
(
つねひこ
)
、
069
何程
(
なにほど
)
キリキリ
舞
(
まひ
)
を
致
(
いた
)
しても、
070
此
(
この
)
荒波
(
あらなみ
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだが
最後
(
さいご
)
、
071
到底
(
たうてい
)
命
(
いのち
)
は
助
(
たす
)
かりませぬ。
072
諦
(
あきら
)
めなさいよ。
073
それだから、
074
余
(
あま
)
り
慢心
(
まんしん
)
をいたすと、
075
先
(
さき
)
になりてからジリジリもだえを
致
(
いた
)
し、
076
キリキリ
舞
(
ま
)
ひをして
騒
(
さわ
)
いでも
後
(
あと
)
の
祭
(
まつ
)
り、
077
そこになりてから
何程
(
なにほど
)
神
(
かみ
)
を
祈
(
いの
)
りたとて、
078
神
(
かみ
)
はモウ
知
(
し
)
らぬぞよとお
筆
(
ふで
)
に
書
(
か
)
いてありませうがなア。
079
これを
見
(
み
)
て
御
(
ご
)
改心
(
かいしん
)
なされ。
080
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
腮
(
あご
)
をはづきなさるから、
081
こんな
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
うのですよ、
082
サアこれから
私
(
わたし
)
に
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
をなさるか。
083
お
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らねば
又
(
また
)
春彦
(
はるひこ
)
の
様
(
やう
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
取
(
と
)
つて
放
(
はう
)
られますよ』
084
常彦
(
つねひこ
)
は
耳
(
みみ
)
にもかけず、
085
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
気
(
き
)
をいらち、
086
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに、
087
常彦
『
助
(
たす
)
けてやつてくれーい』
088
と
叫
(
さけ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
089
船客
(
せんきやく
)
の
一人
(
ひとり
)
は
長
(
なが
)
き
綱
(
つな
)
に
板片
(
いたぎれ
)
を
括
(
くく
)
りつけ、
090
春彦
(
はるひこ
)
の
波
(
なみ
)
に
漂
(
ただよ
)
ひ
居
(
ゐ
)
る
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて、
091
ハツシと
投
(
な
)
げた。
092
春彦
(
はるひこ
)
は
手早
(
てばや
)
く
其
(
その
)
板
(
いた
)
に
喰
(
くら
)
ひ
付
(
つ
)
いた。
093
船客
(
せんきやく
)
は
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
其
(
その
)
綱
(
つな
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せ、
094
漸
(
やうや
)
くにして
春彦
(
はるひこ
)
を
船中
(
せんちう
)
に
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げた。
095
常彦
(
つねひこ
)
は
大
(
おほい
)
に
喜
(
よろこ
)
び、
096
直
(
ただち
)
に
甲板
(
かんばん
)
を
下
(
くだ
)
り、
097
春彦
(
はるひこ
)
を
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げたる
船客
(
せんきやく
)
の
側
(
そば
)
に
走
(
はし
)
り
寄
(
よ
)
り、
098
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
感謝
(
かんしや
)
する。
099
よくよく
見
(
み
)
れば、
100
其
(
その
)
船客
(
せんきやく
)
は
国依別
(
くによりわけ
)
であつた。
101
常彦
(
つねひこ
)
『ヤアあなたは
国依別
(
くによりわけ
)
さま、
102
よくマア
助
(
たす
)
けてやつて
下
(
くだ
)
さいました』
103
国依別
(
くによりわけ
)
、
104
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
105
国依別
『モウチツと
小声
(
こごゑ
)
で
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
106
高姫
(
たかひめ
)
さまの
耳
(
みみ
)
に
這入
(
はい
)
ると
困
(
こま
)
るから………サア
春彦
(
はるひこ
)
をお
前
(
まへ
)
に
任
(
まか
)
すから、
107
介抱
(
かいほう
)
して
上
(
あ
)
げて
呉
(
く
)
れ。
108
そして
高姫
(
たかひめ
)
に
国依別
(
くによりわけ
)
が
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つてゐると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
ふでないぞ』
109
常彦
(
つねひこ
)
『
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
110
これ
丈
(
だけ
)
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になつたあなたの
御
(
おん
)
頼
(
たの
)
み、
111
首
(
くび
)
が
千切
(
ちぎ
)
れても
秘密
(
ひみつ
)
を
守
(
まも
)
ります。
112
サア
早
(
はや
)
くあなたの
居間
(
ゐま
)
へ
御
(
お
)
隠
(
かく
)
れ
下
(
くだ
)
さい。
113
高姫
(
たかひめ
)
が
下
(
お
)
りて
来
(
き
)
て
見
(
み
)
つかると、
114
又
(
また
)
一悶錯
(
ひともんさく
)
が
起
(
おこ
)
りますから………』
115
国依別
(
くによりわけ
)
は
怱々
(
さうさう
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
116
そこへ
高姫
(
たかひめ
)
がノソリノソリと
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
117
矢庭
(
やには
)
に
春彦
(
はるひこ
)
の
横面
(
よこつら
)
を
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つ
打叩
(
うちたた
)
き、
118
高姫
(
たかひめ
)
『コリヤ
春彦
(
はるひこ
)
、
119
しつかりせぬか。
120
気
(
き
)
を
確
(
たし
)
かに
持
(
も
)
て、
121
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
綱
(
つな
)
をかけて
助
(
たす
)
けてやつたぞよ。
122
モウ
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ』
123
春彦
(
はるひこ
)
は
波
(
なみ
)
にさらはれ、
124
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
態
(
てい
)
になつてゐたが、
125
高姫
(
たかひめ
)
に
擲
(
なぐ
)
り
付
(
つ
)
けられて、
126
漸
(
やうや
)
く
気
(
き
)
を
取直
(
とりなほ
)
し、
127
春彦
(
はるひこ
)
『ヤア
高姫
(
たかひめ
)
さま、
128
ヨウマアお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
129
オウお
前
(
まへ
)
は
常彦
(
つねひこ
)
、
130
エライ
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になりましたなア』
131
常彦
(
つねひこ
)
『ナアニ、
132
俺
(
おれ
)
が
助
(
たす
)
けたのぢやない。
133
あの
国
(
くに
)
イ……ドツコイ
国人
(
くにびと
)
が
俄
(
にはか
)
に
綱
(
つな
)
を
投
(
な
)
げて、
134
お
前
(
まへ
)
を
救
(
すく
)
つて
下
(
くだ
)
さつたのだよ』
135
春彦
(
はるひこ
)
『
其
(
その
)
お
方
(
かた
)
はどこに
居
(
ゐ
)
られるか、
136
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
の
恩人
(
おんじん
)
、
137
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
さねばならぬから、
138
一寸
(
ちよつと
)
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れ』
139
常彦
(
つねひこ
)
『
其
(
その
)
方
(
かた
)
はどつかへ
姿
(
すがた
)
を
御
(
お
)
隠
(
かく
)
しになつた。
140
キツト
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
違
(
ちがひ
)
ない。
141
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
せば
良
(
よ
)
いのだよ』
142
高姫
(
たかひめ
)
『
春彦
(
はるひこ
)
を
助
(
たす
)
けた
方
(
かた
)
は、
143
お
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えなくなつただらう。
144
そら
其
(
その
)
筈
(
はず
)
よ。
145
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
が
人間
(
にんげん
)
に
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はし、
146
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
さまが
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
からお
手伝
(
てつだ
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばして、
147
高姫
(
たかひめ
)
の
家来
(
けらい
)
だと
思
(
おも
)
つて、
148
春彦
(
はるひこ
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつたのだ。
149
甲板
(
かんばん
)
の
上
(
うへ
)
から
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
はヂツとして
調
(
しら
)
べて
居
(
を
)
つた。
150
それに
間違
(
まちが
)
ひはあろまいがな。
151
……
常彦
(
つねひこ
)
、
152
それだから、
153
どこまでも
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
に
従
(
したが
)
うて
居
(
を
)
りさへすれば、
154
どこへ
往
(
い
)
つても
大安心
(
だいあんしん
)
だと、
155
いつも
云
(
い
)
うて
聞
(
き
)
かしてあるぢやないか』
156
常彦
(
つねひこ
)
『ヘン、
157
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
りますワイ。
158
春彦
(
はるひこ
)
を
救
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れたのは
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
ぢや
有
(
あ
)
りませぬぞ。
159
国
(
くに
)
……
国
(
くに
)
……
国治立
(
くにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
眷属
(
けんぞく
)
を
使
(
つか
)
うて
救
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつたのだ。
160
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
は
神
(
かみ
)
の
罰
(
ばち
)
が
当
(
あた
)
つたのだからと
云
(
い
)
つて、
161
袖手
(
しうしゆ
)
傍観
(
ばうくわん
)
の
態
(
てい
)
を
取
(
と
)
つてゐ
乍
(
なが
)
ら、
162
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまと
竜宮
(
りうぐう
)
さまがお
助
(
たす
)
け
遊
(
あそ
)
ばしたなどと、
163
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
164
自分
(
じぶん
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
皆
(
みな
)
人
(
ひと
)
にぬりつけ、
165
人
(
ひと
)
の
手柄
(
てがら
)
は
皆
(
みな
)
自分
(
じぶん
)
の
手柄
(
てがら
)
にせうと
云
(
い
)
ふ、
166
抜目
(
ぬけめ
)
のない
高姫
(
たかひめ
)
さまだから、
167
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
ります。
168
アハヽヽヽ』
169
春彦
(
はるひこ
)
『どちらに
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
うたのか、
170
テンと
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬよになつて
来
(
き
)
た。
171
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
どちらでもよい、
172
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に、
173
これからは
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
をするのだ』
174
高姫
(
たかひめ
)
『
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
救
(
すく
)
はれたのだから、
175
其
(
その
)
生宮
(
いきみや
)
たる
高姫
(
たかひめ
)
にこれからは
唯々
(
ゐゐ
)
諾々
(
だくだく
)
として、
176
一言
(
ひとこと
)
の
理屈
(
りくつ
)
も
言
(
い
)
はず、
177
仮令
(
たとへ
)
水火
(
すゐくわ
)
の
中
(
なか
)
をくぐれと
云
(
い
)
つても、
178
命
(
いのち
)
の
恩人
(
おんじん
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
、
179
神妙
(
しんめう
)
に
聞
(
き
)
きなされよ。
180
又
(
また
)
慢心
(
まんしん
)
して
一言
(
ひとこと
)
でも
口答
(
くちごた
)
へをするが
最後
(
さいご
)
、
181
取
(
と
)
つて
放
(
ほ
)
かされますで……』
182
常彦
(
つねひこ
)
『アハヽヽヽ、
183
どこ
迄
(
まで
)
も
高姫
(
たかひめ
)
式
(
しき
)
だなア。
184
言依別
(
ことよりわけ
)
様
(
さま
)
や、
185
国依別
(
くによりわけ
)
さまが
愛想
(
あいさう
)
をつかして、
186
聖地
(
せいち
)
を
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
しなさつたのも
無理
(
むり
)
はないワい。
187
本当
(
ほんたう
)
に
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
い
悪垂
(
あくた
)
れ
婆
(
ばあ
)
ぢやなア』
188
高姫
(
たかひめ
)
、
189
常彦
(
つねひこ
)
の
胸倉
(
むなぐら
)
をグツと
取
(
と
)
り、
190
高姫
『コラ
常
(
つね
)
、
191
云
(
い
)
はしておけば
際限
(
さいげん
)
もない
雑言
(
ざふごん
)
無礼
(
ぶれい
)
、
192
モウ
了見
(
りやうけん
)
は
致
(
いた
)
さぬぞや』
193
と
喉
(
のど
)
をギユウギユウとしめつける。
194
数多
(
あまた
)
の
船客
(
せんきやく
)
は
総立
(
さうだち
)
となつて……
乱暴
(
らんばう
)
な
婆
(
ばば
)
アもあるものだ……と
呆
(
あき
)
れて
見
(
み
)
てゐる。
195
常彦
(
つねひこ
)
は
苦
(
くる
)
しき
声
(
こゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
196
常彦
(
つねひこ
)
『ハヽ
春彦
(
はるひこ
)
、
197
タヽヽヽ
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れ』
198
と
声
(
こゑ
)
もきれぎれに
叫
(
さけ
)
んだ。
199
春彦
(
はるひこ
)
は
矢庭
(
やには
)
に
高姫
(
たかひめ
)
の
両足
(
りやうあし
)
をさらへた。
200
高姫
(
たかひめ
)
はモンドリ
打
(
う
)
つて、
201
海中
(
かいちう
)
にザンブと
計
(
ばか
)
り
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだ。
202
常彦
(
つねひこ
)
は
最前
(
さいぜん
)
国依別
(
くによりわけ
)
が
残
(
のこ
)
しておいた
板片
(
いたぎれ
)
に
括
(
くく
)
つた
綱
(
つな
)
を
高姫
(
たかひめ
)
目蒐
(
めが
)
けてパツと
投
(
な
)
げた。
203
高姫
(
たかひめ
)
は
手早
(
てばや
)
く
板子
(
いたご
)
にすがりついた。
204
春彦
(
はるひこ
)
、
205
常彦
(
つねひこ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
綱
(
つな
)
を
手
(
た
)
ぐり、
206
漸
(
やうや
)
く
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げた。
207
高姫
(
たかひめ
)
『アヽ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さま、
208
ようマアお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
209
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います』
210
と
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
拝
(
をが
)
んでゐる。
211
常彦
(
つねひこ
)
『コレコレ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
212
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
ぢやない、
213
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
が
此
(
この
)
綱
(
つな
)
を
投
(
な
)
げて、
214
お
前
(
まへ
)
の
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けたのだよ』
215
高姫
(
たかひめ
)
『ソリヤ
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
大
(
だい
)
それたことを
云
(
い
)
ふのだい。
216
人間
(
にんげん
)
がすると
思
(
おも
)
うてゐると、
217
量見
(
りやうけん
)
が
違
(
ちが
)
ひますぞえ。
218
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
からさされてをると
云
(
い
)
ふお
筆
(
ふで
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
なさる。
219
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまが
臨時
(
りんじ
)
にムサ
苦
(
くる
)
しいお
前
(
まへ
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
使
(
つか
)
うて
御用
(
ごよう
)
をさして
下
(
くだ
)
さつたのだ。
220
其
(
その
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
は
直
(
すぐ
)
に
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
肉体
(
にくたい
)
へお
鎮
(
しづ
)
まり
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
るから、
221
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
を
拝
(
をが
)
みなさい。
222
アーア
神界
(
しんかい
)
の
事
(
こと
)
の
分
(
わか
)
らぬ
宣伝使
(
せんでんし
)
は
困
(
こま
)
つた
者
(
もの
)
だ。
223
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで
実地
(
じつち
)
教育
(
けういく
)
をしてやらねばならぬとは、
224
此
(
こ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
も
骨
(
ほね
)
の
折
(
を
)
れた
事
(
こと
)
だワイ』
225
常彦
(
つねひこ
)
、
226
春彦
(
はるひこ
)
は
余
(
あま
)
りの
事
(
こと
)
に
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
て、
227
両人
(
りやうにん
)
口
(
くち
)
をポカンと
開
(
あ
)
けて、
228
常彦、春彦
『アハー』
229
と
頤
(
あご
)
が
外
(
はづ
)
れるような
欠伸
(
あくび
)
をしてゐる。
230
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレそんな
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けると、
231
頤
(
あご
)
が
外
(
はづ
)
れますぞえ。
232
余
(
あま
)
りの
大
(
おほ
)
きなお
仕組
(
しぐみ
)
で、
233
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
がすぼまらず、
234
頤
(
あご
)
が
外
(
はづ
)
れたり、
235
逆様
(
さかさま
)
になつて、
236
そこらあたりをのたくらねばならぬぞよと、
237
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
のお
筆
(
ふで
)
に
立派
(
りつぱ
)
に
書
(
か
)
いてあるだないか、
238
チト
改心
(
かいしん
)
なされ。
239
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
結構
(
けつこう
)
な
御用
(
ごよう
)
をさせられ
乍
(
なが
)
ら、
240
高姫
(
たかひめ
)
を
助
(
たす
)
けてやつたなぞと、
241
夢
(
ゆめ
)
にも
慢神心
(
まんしんごころ
)
を
出
(
だ
)
してはなりませぬぞ。
242
罪
(
つみ
)
の
重
(
おも
)
いお
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
が
沈
(
しづ
)
む
所
(
ところ
)
を、
243
此
(
こ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
神
(
かみ
)
が
使
(
つか
)
うてまぢなうて
下
(
くだ
)
さつたのぢや。
244
高姫
(
たかひめ
)
を
助
(
たす
)
けたのぢやない。
245
つまり
高姫
(
たかひめ
)
の
犠牲
(
ぎせい
)
的
(
てき
)
行動
(
かうどう
)
に
依
(
よ
)
つて、
246
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
海
(
うみ
)
におちて
死
(
し
)
ぬ
所
(
ところ
)
を
助
(
たす
)
けて
頂
(
いただ
)
いたのだ。
247
あゝ
何
(
なん
)
と、
248
神界
(
しんかい
)
の
御
(
お
)
仕組
(
しぐみ
)
は
人民
(
じんみん
)
では
見当
(
けんたう
)
の
取
(
と
)
れぬものだワイ。
249
サア
常彦
(
つねひこ
)
、
250
春彦
(
はるひこ
)
、
251
是
(
こ
)
れで
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
たでせう。
252
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
何事
(
なにごと
)
も
高姫
(
たかひめ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りにするのですよ』
253
常彦
(
つねひこ
)
『ヘン』
254
春彦
(
はるひこ
)
『ヒン、
255
馬鹿
(
ばか
)
にしてゐるワイ。
256
俺
(
おれ
)
が
両足
(
りやうあし
)
をかつさらへて
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んでやつたのだ。
257
余
(
あま
)
り
憎
(
にく
)
らしいから……それに
神
(
かみ
)
がしたのだなどと、
258
都合
(
つがふ
)
の
良
(
よ
)
い
弁解
(
べんかい
)
して
呉
(
く
)
れるワイ。
259
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
には
高姫
(
たかひめ
)
さまの
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
も
満更
(
まんざら
)
、
260
無用
(
むよう
)
にはならぬ。
261
ハヽヽヽヽ』
262
高姫
(
たかひめ
)
『
蛙
(
かへる
)
は
口
(
くち
)
から、
263
とうとう
白状
(
はくじやう
)
しよつたなア。
264
お
前
(
まへ
)
が
此
(
こ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
足
(
あし
)
をさらへて、
265
海
(
うみ
)
へ
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだのだなア。
266
まてまて、
267
懲
(
こら
)
しめの
為
(
ため
)
制敗
(
せいばい
)
してやらう』
268
と
又
(
また
)
もや
胸倉
(
むなぐら
)
をグツと
取
(
と
)
り、
269
締
(
し
)
めつけようとする。
270
常彦
(
つねひこ
)
『オイ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
271
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
憑
(
うつ
)
つたぞよ。
272
お
前
(
まへ
)
の
両足
(
りやうあし
)
をさらへて、
273
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
へ
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んでやらうか、
274
それが
厭
(
いや
)
なら、
275
胸倉
(
むなぐら
)
を
放
(
はな
)
してお
詫
(
わび
)
をしたがよからうぞ』
276
高姫
(
たかひめ
)
は
此
(
こ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
277
胸倉
(
むなぐら
)
取
(
と
)
つた
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
し、
278
面
(
つら
)
ふくらし
乍
(
なが
)
ら、
279
又
(
また
)
もや
甲板
(
かんばん
)
さして
上
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
280
船
(
ふね
)
は
漸
(
やうや
)
くにしてテルの
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
した。
281
高姫
(
たかひめ
)
は
衆人
(
しうじん
)
を
押分
(
おしわ
)
け、
282
厚
(
あつ
)
かましく、
283
い
の
一番
(
いちばん
)
に
船
(
ふね
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した。
284
春彦
(
はるひこ
)
、
285
常彦
(
つねひこ
)
は
稍
(
やや
)
遅
(
おく
)
れて
上陸
(
じやうりく
)
した。
286
高姫
(
たかひめ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
にテルの
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
287
常彦
(
つねひこ
)
、
288
春彦
(
はるひこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
見
(
み
)
えつ
隠
(
かく
)
れつ、
289
高姫
(
たかひめ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
うて
行
(
ゆ
)
く。
290
船長
(
せんちやう
)
のタルチールは
副船長
(
ふくせんちやう
)
たる
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
のテルチルに
船
(
ふね
)
を
与
(
あた
)
へ、
291
且
(
か
)
つ
之
(
これ
)
を
船長
(
せんちやう
)
となし、
292
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
、
293
国依別
(
くによりわけ
)
と
共
(
とも
)
に
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
294
高砂島
(
たかさごじま
)
の
何処
(
いづこ
)
ともなく、
295
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
296
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
297
(
大正一一・八・一〇
旧六・一八
松村真澄
録)
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(B)
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【第22章 高砂上陸|第28巻|海洋万里|霊界物語|/rm2822】
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