霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一三章 揶揄(やゆ)〔一一三八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻 篇:第3篇 意変心外 よみ(新仮名遣い):いへんしんがい
章:第13章 揶揄 よみ(新仮名遣い):やゆ 通し章番号:1138
口述日:1922(大正11)年11月16日(旧09月28日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月1日
概要: 舞台:イルナ城(入那城、セーラン王の館) あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
イルナ城の奥の間には黄金姫、清照姫、セーリス姫が鼎坐になって何事か笑い興じている。セーリス姫はユーフテスを、清照姫はカールチンを手玉に取り、カールチンの野望を見事にひっくり返しつつあることを笑っていた。
すると受付から、カールチンがやってきたと報告があった。黄金姫はニタッと笑って王の部屋に姿を隠した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-12-25 14:41:00 文字数:2820 OBC :rm4213
愛善世界社版:165頁 八幡書店版:第7輯 702頁 修補版: 校定版:169頁 普及版:70頁 初版: ページ備考:
001 イルナ城(じやう)の奥(おく)の一間(ひとま)には、002黄金姫(わうごんひめ)、003清照姫(きよてるひめ)、004セーリス姫(ひめ)が鼎坐(かなへざ)となつて何事(なにごと)か笑(わら)ひ興(きよう)じてゐる。
005黄金(わうごん)『セーリスさま、006貴女(あなた)も随分(ずゐぶん)思(おも)ひきつたお転婆(てんば)ですね。007ユーフテスを到頭(たうとう)胆玉(きもだま)の宿替(やどがへ)をさしてぼつ帰(かへ)したぢやありませぬか。008今(いま)そんな事(こと)なさると、009肝腎(かんじん)の目的(もくてき)が画餅(ぐわべい)に帰(き)しちや困(こま)るぢやありませぬか』
010セーリス姫『ハイ、011さう心配(しんぱい)をして下(くだ)さいますな。012屹度(きつと)ユーフテスは又々(またまた)やつて来(き)ますよ。013大象(だいざう)も女(をんな)の髪(かみ)の毛(け)一条(ひとすぢ)にひかれると云(い)ひますからな。014妾(わたし)の婉曲(ゑんきよく)な言霊(ことたま)が、015彼(かれ)の脳裡(なうり)に深(ふか)く深(ふか)くつぎ込(こ)んでありますから、016如何(どう)あつても、017よう忘(わす)れはしませぬわ。018一寸(ちよつと)妾(わたし)の横目(よこめ)を使(つか)つただけでも、019大(だい)の男(をとこ)がグナグナに肝(きも)も骨(ほね)もなくなつて、020茹(ゆ)でた蛸(たこ)の様(やう)になるのですもの、021オホヽヽヽヽ』
022黄金姫『あなたは惜(を)しいものだな。023三十万(さんじふまん)年(ねん)未来(みらい)の二十(にじつ)世紀(せいき)の世(よ)に生(うま)れさしたら、024定(さだ)めて良(よ)い芸妓(げいしや)になるでせう。025荒男(あらをとこ)を毬(まり)の如(ごと)くに翻弄(ほんろう)すると云(い)ふ凄(すご)い女(をんな)だから、026如何(いか)な黄金姫(わうごんひめ)も荒肝(あらぎも)をとられましたよ。027オホヽヽヽ』
028セーリス姫『ホヽヽヽヽ、029あのまア黄金姫(わうごんひめ)様(さま)の仰有(おつしや)います事(こと)わいの。030妾(わたし)よりも、031も一(ひと)つ先生(せんせい)がここに居(を)られますわ』
032と清照姫(きよてるひめ)を指(ゆび)さす。
033黄金姫『清照姫(きよてるひめ)はまだ試験中(しけんちう)だ。034あなたは最早(もはや)優等(いうとう)卒業生(そつげふせい)で銀時計(ぎんどけい)の口(くち)ですよ。035然(しか)しあなたのお眼鏡(めがね)で清照姫(きよてるひめ)がさうお転婆(てんば)に見(み)えますかな。036親(おや)位(ぐらゐ)、037子(こ)にかけたら馬鹿(ばか)なものはありませぬから、038娘(むすめ)の事(こと)は私(わたし)では十分(じふぶん)に分(わか)りませぬわ。039貴女(あなた)の側面観(そくめんくわん)でさうお認(みと)めになれば、040或(あるひ)はお言葉(ことば)の通(とほ)りかも知(し)れませぬ。041何(なん)とまア困(こま)つた娘(むすめ)を持(も)つたものですわい。042然(しか)し貴女(あなた)は狐(きつね)に化(ば)けて嚇(おど)かしたぢやありませぬか。043城内(じやうない)一般(いつぱん)の偉(えら)い評判(ひやうばん)になつてゐますよ。044余(あま)り腕(うで)を揮(ふる)うて茶目(ちやめ)式(しき)を発揮(はつき)なさるものですから、045今後(こんご)の清照姫(きよてるひめ)の活動(くわつどう)に支障(ししやう)が起(おこ)りはせぬかと、046チツとばかり心配(しんぱい)ですわ』
047セーリス姫『何(なに)、048そこは又(また)私(わたし)が砲兵隊(はうへいたい)を繰(く)り出(だ)して、049白兵戦(はくへいせん)を掩護(えんご)致(いた)しますから大丈夫(だいぢやうぶ)ですよ。050なア清照姫(きよてるひめ)様(さま)、051あなたの方寸(はうすん)にチヤンとあるでせう』
052清照姫『オホヽヽヽ、053愈(いよいよ)面白(おもしろ)くなつて来(き)ましたね。054早(はや)くカールチンさまがやつて来(き)て呉(く)れれば宜(い)いに。055あの恋人(こひびと)は何(なに)を愚図(ぐづ)々々(ぐづ)してゐやんすかいな。056此(この)頃(ごろ)の空(そら)の様(やう)に俄(にはか)に模様(もやう)がグレンと変(かは)り、057途中(とちう)に於(おい)て私(わたくし)以上(いじやう)のナイスに出会(でつくは)し、058例(れい)の垂涎(すゐえん)三尺(さんじやく)、059細目(ほそめ)の幕(まく)が下(お)りてゐるのではあるまいかと心配(しんぱい)でなりませぬわ。060ほんにほんに恋男(こひをとこ)を持(も)つと気(き)の揉(も)めた事(こと)だ。061あたい、062もしカールチンさまのお心変(こころがは)りでもしてゐたら如何(どう)しまほうか。063なアお母(か)アさま、064チツと娘(むすめ)の心(こころ)も推量(すゐりやう)して下(くだ)さいませ。065フヽヽヽヽ』
066 黄金姫(わうごんひめ)は怪訝(けげん)な顔(かほ)をして手鼻(てばな)をツンとかみ、067唇(くちびる)の泡(あわ)を拭(ぬぐ)ひながら一寸(ちよつと)目(め)を丸(まる)くし、068皺(しわ)のよつた口(くち)を尖(とが)らし、069清照姫(きよてるひめ)の顔(かほ)をマジマジと覗(のぞ)き込(こ)んで、
070黄金姫『これこれ清(きよ)さま、071お前(まへ)チツと様子(やうす)が変(かは)つて来(き)たぢやないか。072本当(ほんたう)に惚(ほ)れて貰(もら)つちや此(この)芝居(しばゐ)が打(う)てぬぢやないか』
073清照姫『ホヽヽヽヽ、074油断(ゆだん)のならぬは娘(むすめ)ですよ。075妾(わたし)だつて初(はじ)めの内(うち)は好(す)かんたらしい、076あのカールチン奴(め)、077うまく三寸(さんずん)の舌(した)でチヨロまかし、078サアとなつたら背負投(せおひなげ)を喰(く)はし、079エツパツパを喰(く)はしてアフンとさしてやらう、080其(その)顔(かほ)を見(み)るが面白(おもしろ)いと不人情(ふにんじやう)の事(こと)を考(かんが)へてゐましたが、081深夜(しんや)密(ひそか)に考(かんが)へて見(み)れば私(わたし)だつて女(をんな)だもの、082異性(いせい)が嫌(きら)ひと云(い)ふ道理(だうり)もないぢやありませぬか。083カールチンさまが何程(なにほど)ヒヨツトコでも、084友彦(ともひこ)の事(こと)を思(おも)へば、085幾層倍(いくそうばい)男振(をとこぶり)が宜(い)いか知(し)れませぬわ。086お母(かあ)さま、087あなたの目(め)から見(み)てもさうでせう。088もう今(いま)となつては芝居(しばゐ)どころか、089真剣(しんけん)にカールチンさまを思(おも)ふ様(やう)になりました。090何処迄(どこまで)もヤスダラ姫(ひめ)で引張(ひつぱ)るつもりですから、091何卒(どうぞ)親(おや)の慈悲(じひ)で私(わたし)の恋(こひ)を叶(かな)へさして下(くだ)さい、092お願(ねが)ひ申(まを)します』
093黄金姫『これは怪(け)しからぬ。094女(をんな)と云(い)ふものは油断(ゆだん)のならぬものだ。095あゝあ如何(どう)したら宜(よ)からうかな。096セーリス姫(ひめ)様(さま)、097お前(まへ)さまは本当(ほんたう)に偉(えら)い、098男(をとこ)に耽溺(たんでき)せないだけ見上(みあ)げたものだ。099此(この)清照姫(きよてるひめ)は小(ちひ)さい時(とき)から癖(くせ)が悪(わる)うて、100男(をとこ)の側(そば)へ寄(よ)せると直(すぐ)此(この)通(とほ)りデレて了(しま)ふのだから困(こま)つたものだ。101何卒(どうぞ)お前(まへ)さまからトツクリと清(きよ)さまに云(い)うて聞(き)かして下(くだ)さいな。102今(いま)となつて、103こんな事(こと)を云(い)はれちや気(き)が気(き)ぢやありませぬ』
104セーリス姫『ホヽヽヽヽ、105清照姫(きよてるひめ)様(さま)はヤツパリ新(あたら)しいですな。106それが本当(ほんたう)でせう。107妾(わたし)の様(やう)な骨董品(こつとうひん)は最早(もはや)時代(じだい)遅(おく)れですよ。108いやもう感心(かんしん)致(いた)しました』
109清照姫『お母(かあ)さま、110よく考(かんが)へて御覧(ごらん)なさいませ。111猫(ねこ)に鼠(ねづみ)、112男(をとこ)に女(をんな)と云(い)ふぢやありませぬか。113猫(ねこ)の前(まへ)に鰹節(かつをぶし)を出(だ)しておけば、114いつかは喰(くら)ひつくものですよ。115一旦(いつたん)香(かん)ばしい味(あぢ)を覚(おぼ)えたが最後(さいご)、116誰(たれ)が何(なん)と云(い)つたつて放(はな)すものぢやありませぬからな。117ホヽヽヽヽ、118誰(たれ)が何(なん)と云(い)つてもカールチンさま程(ほど)気(き)の利(き)いた方(かた)が外(ほか)にあるものですか。119早(はや)く来(き)てくれぬかいなア。120仮令(たとへ)お母(かあ)様(さま)が何(なん)と云(い)つても妾(わたし)の夫(をつと)は妾(わたし)がきめるが正当(せいたう)だ。121お母(かあ)さまの夫(をつと)ぢやあるまいし、122私(わたし)の夫(をつと)を人(ひと)にきめて貰(もら)ふ様(やう)な、123そんな不見識(ふけんしき)な事(こと)が如何(どう)して出来(でき)ますものか。124ねえ、125セーリス姫(ひめ)さま、126さうぢやありませぬか』
127黄金姫『オホヽヽヽヽ又(また)しても清(きよ)さま、128お前(まへ)は私(わし)に揶揄(からか)つて居(ゐ)るのだな。129親(おや)の前(まへ)でそんな事(こと)を云(い)ふ娘(こ)が何処(どこ)にありますか。130世間(せけん)慣(な)れて、131如何(どう)にも斯(か)うにも始末(しまつ)のつかぬド転婆(てんば)になつたものぢやな』
132清照姫『如何(どう)です私(わたし)の腕前(うでまへ)は、133お母(かあ)さまでさへも本当(ほんたう)になさるでせう。134これ位(くらゐ)うまくやつてのけねば、135如何(どう)しても麦飯(むぎめし)で鯉(こひ)は釣(つ)れませぬからな。136誰(たれ)がすかんたらしいカールチン如(ごと)き悪人(あくにん)に恋慕(れんぼ)する奴(やつ)がありますか。137オホヽヽヽ』
138黄金姫『それでチヨツと此(この)婆(ばば)も安心(あんしん)しました。139何卒(どうぞ)うまくやつて下(くだ)さいや』
140清照姫『然(しか)しお母(かあ)さま、141前(まへ)以(もつ)て断(ことわ)つておきますが、142人(ひと)の心(こころ)は生物(いきもの)ですから何時(なんどき)心機(しんき)一転(いつてん)して嘘(うそ)が誠(まこと)になるかも知(し)れませぬから、143其(その)時(とき)こそは因縁(いんねん)ぢやと思(おも)つて諦(あきら)めて下(くだ)さるでせうな。144三浦之助(みうらのすけ)義村(よしむら)が時姫(ときひめ)に向(むか)つて云(い)ひますだらう。145「親(おや)につくか夫(をつと)につくか、146おちつく道(みち)はたんだ一(ひと)つ、147返答(へんたふ)如何(いか)に、148思案(しあん)如何(いか)にとせりかけられ、149どちらが重(おも)い軽(かる)いとは、150恩(おん)と恋(こひ)との義理(ぎり)づめに言葉(ことば)は涙(なみだ)諸共(もろとも)に………思(おも)ひ切(き)つて打(う)ち明(あ)けませう。151父(とと)さま、152許(ゆる)して下(くだ)さいませ」と云(い)ふでせう。153さうだからマサカになつたら、154棺桶(くわんをけ)へ片足(かたあし)つつ込(こ)んだ末(すゑ)の短(みじか)い頼(たよ)りないお母(かあ)さまよりも本当(ほんたう)の力(ちから)になつてくれる末長(すゑなが)い夫(をつと)につく方(はう)が本当(ほんたう)の利益(りえき)ですわ』
155黄金姫『えー仕方(しかた)のない女(をんな)だな。156如何(どう)なつと為(な)さいませ。157お前(まへ)さまの恋愛(れんあい)までも干渉(かんせう)する余裕(よゆう)がありませぬわい』
158セーリス姫『オホヽヽヽヽ何(なん)と面白(おもしろ)い活劇(くわつげき)を拝見(はいけん)致(いた)しました。159フランスのオリオン劇場(げきぢやう)へでも持(も)つて行(い)つて上演(じやうえん)したら、160随分(ずゐぶん)人気(にんき)を呼(よ)ぶ事(こと)でせうよ』
161黄金姫『何(なん)と云(い)つても三五教(あななひけう)きつての千(せん)両(りやう)役者(やくしや)ですから、162うまいものですわい。163僅(わづ)かに十五(じふご)やそこらで肩揚(かたあげ)のとれない中(うち)から男(をとこ)と駆落(かけおち)をしたり、164肱鉄砲(ひぢでつぱう)を喰(くら)はしたり、165両親(りやうしん)を置去(おきざ)りにして竜宮島(りゆうぐうじま)まで飛出(とびだ)し、166平気(へいき)で黄竜姫(わうりようひめ)と名乗(なの)り、167女王(ぢよわう)さまになつて澄(す)まし込(こ)んで居(ゐ)ると云(い)ふ竦腕家(らつわんか)だから、168到底(たうてい)親(おや)の私(わたし)でもお側(そば)へは寄(よ)れませぬわい。169オホヽヽヽ』
170 斯(か)く割(わ)りなき雑談(ざつだん)に耽(ふけ)る折(をり)しも、171受付(うけつけ)のミルは慌(あわただ)しく入(い)り来(きた)り、172三(さん)人(にん)の前(まへ)に両手(りやうて)をついて、
173ミル『只今(ただいま)右守(うもり)さまがお入来(いで)になりました』
174セーリス『それは御(ご)苦労(くらう)、175直(すぐ)こちらへお通(とほ)り遊(あそ)ばす様(やう)に云(い)つておくれ』
176 ミルは、
177ミル『ハイ』
178と答(こた)へて表(おもて)へ駆出(かけだ)す。179黄金姫(わうごんひめ)はニタツと笑(わら)ひを残(のこ)し、180王(わう)の籠(こも)り室(しつ)へ手早(てばや)く姿(すがた)を隠(かく)して了(しま)つた。
181(大正一一・一一・一六 旧九・二八 北村隆光録)
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