霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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総説(そうせつ)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻 篇:前付 よみ(新仮名遣い):
章:総説 よみ(新仮名遣い):そうせつ 通し章番号:
口述日:1923(大正12)年02月12日(旧12月27日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月8日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
回顧すれば、今から三年前(満二年)の今月今日(二月十二日)は大本にとってもっとも深刻な記念日である。大阪梅田の大正日日新聞の本社社長として大活躍を試みていた折りしも、突然二三の冥使にさらわれて、牢獄の中に収容された日である。
裏の筆先にも、大正十年は変性女子の身魂にとって後にも先にもないエライ事ができる年であるが、節分祭が済んだら女子の肉体を神が連れ参る、と示されてあった。
それから世界は御神示のごとく時々刻々と変転し、満二年を経た今日、新聞に取り上げられている主な事実を挙げても、実に今昔の感に打たれざるを得ないのである。
普通選挙の実施を求める運動、労働運動、浄土宗内の内紛、ローマ法王庁使節交換への仏教界の反発、フランスによるバーデン地方占領とドイツとの対立、メソポタミヤにおける欧米諸国とトルコの対立、アメリカでの排日運動の高まり等、いまわしき報道が全紙面を埋め、世界はさながら地獄餓鬼畜生修羅の光景を暴露している有様である。
吾人は大神の神示によって前途の暗澹たる光景を洞察し、世界のために憂慮に堪えざるものである。ゆえに一日も早く世界の人類に対し五六七神政の福音を伝達せんと昼夜寝食を忘れてこれに従事しつつある。
されど、地獄道に霊の籍を置ける当局者をはじめ、現代人は自然愛と世間愛のみに惑溺し、神の光明にそむき、智慧証覚を曇らせている。いかなる大声叱呼の喊声も、雷霆の響きも、継承乱打の声も、とうてい耳には透らない悲しむべき世態である。
記してもって後日の参考に供する。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-03-03 08:07:17 文字数:3688 OBC :rm530002
愛善世界社版:3頁 八幡書店版:第9輯 501頁 修補版: 校定版:3頁 普及版:1頁 初版: ページ備考:
001 回顧(くわいこ)すれば今(いま)より三(さん)年(ねん)以前(いぜん)(満(まん)二(に)年(ねん))の今月(こんげつ)今日(こんにち)は我(わが)大本(おほもと)に取(と)りて、002最(もつと)も深刻(しんこく)なる記念日(きねんび)である。003都鄙(とひ)十万(じふまん)の読者(どくしや)に対(たい)して、004大責任(だいせきにん)を負(お)ひ、005大大阪(だいおほさか)の玄関口(げんくわんぐち)、006梅田(うめだ)の大正(たいしやう)日々(にちにち)新聞(しんぶん)本社(ほんしや)に於(おい)て、007社長(しやちやう)として大活躍(だいくわつやく)を試(こころ)みて居(ゐ)た折(をり)しも、008突然(とつぜん)二三(にさん)の冥使(めいし)の為(ため)に攫(さら)はれて、009インフアナル[※英語 infernal 「地獄のような」とか「悪魔のような」という意味の形容詞。ただしここでは名詞の inferno(インフェルノ)=地獄のことだと思われる。]に等(ひと)しき牢獄(ひとや)の中(なか)に収容(しうよう)された日(ひ)である。010裏(うら)の筆先(ふでさき)に……大正(たいしやう)十(じふ)年(ねん)は変性(へんじやう)女子(によし)の身魂(みたま)に取(と)りて、011後(あと)にも先(さき)にもないエライ事(こと)が出来(でき)る年(とし)であるぞよ。012節分祭(せつぶんさい)が済(す)みたら、013女子(によし)の肉体(にくたい)を神(かみ)が連(つ)れ参(まゐ)るから、014心配(しんぱい)して下(くだ)さるなよ。015誰(たれ)もお供(とも)は許(ゆる)さんぞよ。016後(あと)には金勝要(きんかつかねの)神(かみ)、017木花(このはな)咲耶姫(さくやひめ)の御魂(みたま)が御(ご)守護(しゆご)あるに仍(よ)つて、018役員(やくゐん)は安心(あんしん)して御用(ごよう)をして下(くだ)されよ……と示(しめ)されてあつた。019併(しか)し乍(なが)ら過去(くわこ)を繰返(くりかへ)すは余(あま)り気分(きぶん)の好(よ)いものでないから、020其(その)時(とき)の事情(じじやう)は省略(しやうりやく)する。
021 世界(せかい)は御(ご)神示(しんじ)の如(ごと)く、022時々(じじ)刻々(こくこく)に変転(へんてん)し、023満(まん)二箇(にか)年(ねん)を経(へ)たる今日(こんにち)、024新聞紙(しんぶんし)に依(よ)つて紀元節(きげんせつ)当日(たうじつ)の内外(ないぐわい)の出来事(できごと)中(ちう)、025其(その)主(おも)なるものを挙(あ)ぐれば、026実(じつ)に今昔(こんじやく)の感(かん)に打(う)たれざるを得(え)ないのである。027首相(しゆしやう)枢府(すうふ)の容易(ようい)ならざる会見(くわいけん)問題(もんだい)、028及(および)貴族院(きぞくゐん)の外交(ぐわいかう)問題(もんだい)追及(つゐきふ)に付(つ)いて、029政府側(せいふがは)大(おほい)に狼狽(らうばい)し、030研究会(けんきうくわい)に泣付(なきつ)いて、031此(この)難関(なんくわん)を切抜(きりぬ)けんとしてゐる。032幸無(かうむ)両派(りやうは)又(また)密々(みつみつ)に凝議(ぎようぎ)して外交(ぐわいかう)振粛(しんしゆく)の道(みち)を講(かう)ずるあり。033全国(ぜんこく)の普選(ふせん)論者(ろんしや)は、034普選(ふせん)即行(そくかう)の宣言(せんげん)決行(けつかう)をなして、035東京(とうきやう)での普選(ふせん)聯合(れんがふ)大(だい)懇親会(こんしんくわい)の席上(せきじやう)にて火(ひ)の如(ごと)き熱弁(ねつべん)を揮(ふる)ひ、036満場(まんぢやう)を白熱化(はくねつくわ)するあり、037東京(とうきやう)、038名古屋(なごや)、039岡山(をかやま)、040福岡(ふくをか)、041八幡(やはた)などにては、042大(おほい)に気勢(きせい)を挙(あ)げ、043事態(じたい)容易(ようい)ならざる形勢(けいせい)を示(しめ)して居(を)る。044労働(らうどう)総同盟(そうどうめい)と向上会(かうじやうくわい)一派(いつぱ)四千(よんせん)名(めい)、045朝鮮人(てうせんじん)二百(にひやく)名(めい)を先頭(せんとう)に、046警戒線(けいかいせん)を破(やぶ)つて警官隊(けいくわんたい)と争(あらそ)ふあり。047社会(しやくわい)主義者(しゆぎしや)の検束(けんそく)東京(とうきやう)丈(だけ)にて三千(さんぜん)名(めい)の大衆(たいしう)に及(およ)び、048又(また)八幡(やはた)の官労(くわんらう)示威(じゐ)行列(ぎやうれつ)三千(さんぜん)名(めい)、049待伏(まちぶ)せに社会(しやくわい)主義者(しゆぎしや)現(あら)はれ、050ビラを撒布(さんぷ)し数名(すうめい)引致(いんち)され、051もと労友会(らういうくわい)長(ちやう)の浅原(あさはら)健三(けんざう)は八幡市(やはたし)で暴漢(ばうかん)に襲撃(しふげき)され、052瀕死(ひんし)の重傷(ぢうしやう)を負(お)ふあり。053農民(のうみん)大会(たいくわい)にては…土地(とち)を国有(こくいう)にせよ、054而(しか)して管理権(くわんりけん)を小作人(こさくにん)に与(あた)へよ、055医術(いじゆつ)を国有(こくいう)にせよ…と決議(けつぎ)をなし、056全国(ぜんこく)百五十(ひやくごじふ)万(まん)の所謂(いはゆる)部落民(ぶらくみん)は…自分(じぶん)たちも水平線(すいへいせん)上(じやう)に浮(うか)び出(で)たいもの…と主張(しゆちやう)し、057其(その)運動(うんどう)愈(いよいよ)熾烈(しれつ)となつたが、058折角(せつかく)の努力(どりよく)も相互(さうご)の意思(いし)疎通(そつう)せず却(かへつ)て反感(はんかん)を増(ま)すのみにて、059収拾(しうしふ)す可(べか)らざる破目(はめ)になり、060内務省(ないむしやう)は非常(ひじやう)に頭(あたま)を悩(なや)まして居(を)る。061性(たち)の悪(わる)い流行性(りうかうせい)感冒(かんばう)猖獗(しやうけつ)を極(きは)め、062内務省(ないむしやう)からは各府県(かくふけん)に通牒(つうてふ)を発(はつ)し、063其(その)予防(よばう)に苦心(くしん)してゐる。064浄土宗(じやうどしう)の内訌(ないこう)爆発(ばくはつ)し、065宗会(しうかい)選挙(せんきよ)の紛擾(ふんぜう)、066愈(いよいよ)大袈裟(おほげさ)となつてゐる。067返咲(かへりざき)の農村(のうそん)振興策(しんこうさく)は又(また)一頓挫(いちとんざ)し、068陸縮(りくしゆく)の憲政案(けんせいあん)は遂(つひ)に延期(えんき)となつて了(しま)つた。069普選(ふせん)聯合(れんがふ)大(だい)懇親会(こんしんくわい)では、070襷(たすき)がけの暴漢(ばうかん)が、071木剣(ぼくけん)や鶴嘴(つるばし)を振(ふ)つて、072会場(くわいぢやう)に突入(とつにふ)し、073大乱闘(だいらんとう)を始(はじ)め、074負傷者(ふしやうしや)を出(いだ)し、075阿鼻(あび)叫喚場(けうくわんぢやう)と化(くわ)した。076労働団(らうどうだん)の気勢(きせい)は益々(ますます)烈(はげ)しく、077示威(じゐ)運動(うんどう)各地(かくち)に起(おこ)り、078在野党(ざいやたう)からは警視庁(けいしちやう)に向(むか)つて、079会場(くわいぢやう)不法(ふはふ)取締(とりしまり)の難詰(なんきつ)問題(もんだい)を持出(もちだ)すあり。080羅馬(ローマ)法王庁(はふわうちやう)使節(しせつ)派遣(はけん)問題(もんだい)に付(つ)き、081外務省(がいむしやう)の弁明(べんめい)の妄(まう)を破(やぶ)らんとし、082姉崎(あねざき)、083吉村(よしむら)両(りやう)博士(はかせ)が弁護論(べんごろん)の矛盾(むじゆん)を駁撃(ばくげき)するあり、084京都(きやうと)の無産者(むさんしや)大会(たいくわい)にては、085時代(じだい)に反(はん)する悪法(あくはふ)たる、086過激(くわげき)社会(しやくわい)運動(うんどう)取締法案(とりしまりはふあん)、087労働(らうどう)組合(くみあひ)法案(はふあん)、088小作(こさく)争議(さうぎ)調停(てうてい)法案(はふあん)反対(はんたい)の狼火(のろし)をあぐべく、089岡崎市(をかざきし)公会堂(こうくわいだう)で、090京都(きやうと)無産者(むさんしや)大会(たいくわい)と銘打(めいう)つて、091激烈(げきれつ)なる演説会(えんぜつくわい)を開(ひら)いた。092西陣(にしぢん)織友会(しよくいうくわい)、093京都(きやうと)印刷工(いんさつこう)組合(くみあひ)有志(いうし)、094京都(きやうと)水平社(すいへいしや)有志(いうし)、095日本(にほん)労働(らうどう)同盟(どうめい)、096其(その)他(た)参加(さんか)の数団体(すうだんたい)では、097当日(たうじつ)大会(たいくわい)の気勢(きせい)を煽(あふ)るべく、098午前中(ごぜんちう)八台(はちだい)の自動車(じどうしや)を飛(と)ばして、099市内(しない)の要所(えうしよ)々々(えうしよ)に、100数万(すうまん)枚(まい)の宣伝(せんでん)ビラを撒布(さんぷ)し、101時間(じかん)と共(とも)に喊声(かんせい)を揚(あ)げつつ大会(たいくわい)会場(くわいぢやう)へ繰込(くりこ)んだ。102一方(いつぱう)警察部(けいさつぶ)ではそれが為(ため)異常(いじやう)の狼狽(らうばい)を来(きた)し、103府(ふ)高等課(かうとうくわ)では、104早朝(さうてう)から所轄(しよかつ)川端署(かはばたしよ)に陣取(ぢんど)つて、105凄(すご)い目(め)をギヨロつかせてる外(ほか)、106別室(べつしつ)には市内(しない)各署(かくしよ)の高等(かうとう)刑事(けいじ)連(れん)が額(ひたひ)を鳩(あつ)めて、107重大(ぢゆうだい)らしく構(かま)へ込(こ)み、108久家(きうか)別室(べつしつ)主任(しゆにん)の机(つくゑ)の上(うへ)には各方面(かくはうめん)から時々(じじ)刻々(こくこく)に集(あつ)まつて来(く)る報告(はうこく)書類(しよるゐ)が堆(うづだか)く積(つ)まれ、109主任者(しゆにんしや)が青(あを)い顔(かほ)をして頭(あたま)をひねくるなど、110市内(しない)高等(かうとう)警察(けいさつ)総出(そうで)の大(だい)警戒(けいかい)振(ぶり)は実(じつ)に仰々(ぎやうぎやう)しい事(こと)である。111十一(じふいち)日(にち)正午(しやうご)から岡崎(をかざき)公園(こうゑん)市(し)公会堂(こうくわいだう)に開(ひら)かれた無産者(むさんしや)大会(たいくわい)は、112朝来(てうらい)自動車(じどうしや)を以(もつ)て、113市中(しちう)に宣伝(せんでん)ビラを配布(はいふ)したのと、114祭日(さいじつ)日曜(にちえう)の事(こと)とて、115十一(じふいち)時(じ)頃(ごろ)から早(はや)昼飯(ひるめし)をすまして、116電車(でんしや)や徒歩(とほ)で押寄(おしよ)せる群衆(ぐんしう)は引(ひき)も切(き)らず、117十二(じふに)時(じ)には既(すで)に会堂(くわいだう)の大半(たいはん)を埋(うづ)むる盛況(せいきやう)を呈(てい)してゐたが、118万一(まんいち)を慮(おもんぱか)つてゐる府(ふ)警察部(けいさつぶ)では、119其(その)警戒(けいかい)の為(ため)、120市内(しない)の非番(ひばん)巡査(じゆんさ)全部(ぜんぶ)を召集(せうしふ)し、121場(ぢやう)の内外(ないぐわい)を警戒(けいかい)する、122其(その)物々(ものもの)しさ、123仮(かり)川端署(かはばたしよ)たる妙伝寺(めうでんじ)境内(けいだい)では焚火(たきび)をなして、124サーベル連(れん)が之(これ)を囲(かこ)んでゐる有様(ありさま)は、125宛然(さながら)戦場(せんぢやう)を思(おも)はしめるものがあつたと報告(はうこく)してゐる。126大正(たいしやう)十(じふ)年(ねん)の今月(こんげつ)今日(こんにち)は二百(にひやく)数十(すうじふ)人(にん)のサーベル連(れん)が火(ひ)を囲(かこ)み慄(ふる)ひ乍(なが)ら、127どこかの境内(けいだい)で要(い)らざるおせつかいをやつてゐた事(こと)を思(おも)ひ出(だ)すと、128実(じつ)に面白(おもしろ)き対象(たいしやう)であると思(おも)ふ。129東(ひがし)本願寺(ほんぐわんじ)の大谷(おほたに)光瑩(くわうえい)伯(はく)の遺骸(ゐがい)愈(いよいよ)東京(とうきやう)から本山(ほんざん)に着(ちやく)し、130京都駅(きやうとえき)に迎(むか)へた三百余(さんびやくよ)の坊主(ばうず)に前後(ぜんご)を守(まも)られて、131手輿(てごし)に移乗(いじやう)され、132黄色(きいろ)の水干(すゐかん)を纏(まと)つた十二(じふに)名(めい)の力者(りきしや)に担(かつ)ぎ上(あ)げられると、133直(ただち)に列(れつ)を整(ととの)へて本山(ほんざん)に向(むか)ふ、134駅頭(えきとう)からは七条署(しちでうしよ)の前田(まへだ)警部(けいぶ)が恭(うやうや)しく御(ご)先頭(せんとう)を勤(つと)めた。
135 次(つぎ)に全国(ぜんこく)仏教(ぶつけう)の管長(くわんちやう)が東京(とうきやう)に集(あつ)まり、136羅馬(ローマ)法王庁(はふわうちやう)使節(しせつ)交換(かうくわん)反対(はんたい)運動(うんどう)も漸(やうや)く効(かう)を奏(そう)し、137十二(じふに)日(にち)の下院(かゐん)予算(よさん)委員(ゐゐん)総会(そうくわい)に於(おい)て、138該案(がいあん)は削除(さくぢよ)され、139愈(いよいよ)十三(じふさん)日(にち)から本会議(ほんくわいぎ)にかかる筈(はず)であるが、140之(これ)も大多数(だいたすう)にて削除(さくぢよ)さるる事(こと)に確定(かくてい)し、141貴族院(きぞくゐん)に於(おい)て該(がい)予算案(よさんあん)は復活(ふくくわつ)する様(やう)なことはなからうと思(おも)はれる。142右(みぎ)の次第(しだい)により、143仏教(ぶつけう)聯合会(れんがふくわい)にては、144十四日(じふよつか)の伏見(ふしみ)元帥宮(げんすゐのみや)国葬(こくさう)には各宗教(かくしうけう)管長(くわんちやう)の参列(さんれつ)を促(うなが)し、145之(これ)も同時(どうじ)に十五(じふご)日(にち)午前(ごぜん)十(じふ)時(じ)より、146芝(しば)の増上寺(ぞうじやうじ)にて、147各宗(かくしう)管長(くわんちやう)会議(くわいぎ)を開(ひら)き、148本問題(ほんもんだい)の経過(けいくわ)を報告(はうこく)すると同時(どうじ)に、149将来(しやうらい)の聯盟(れんめい)を益々(ますます)鞏固(きようこ)にせむものと協議(けふぎ)を重(かさ)ね、150僧参(そうさん)問題(もんだい)は下院(かゐん)請願(せいぐわん)委員会(いいんくわい)に於(おい)て、151参考(さんかう)として本会議(ほんくわいぎ)に送附(そうふ)することとなり、152境内(けいだい)還附(くわんぷ)問題(もんだい)も本会議(ほんくわいぎ)で片付(かたづ)けようと意気巻(いきま)いてゐる。153又(また)海外(かいぐわい)にては独逸(ドイツ)政府(せいふ)はバーデン地方(ちはう)の占領(せんりやう)に対(たい)し、154仏国(ふつこく)に抗議(かうぎ)した。155独逸(ドイツ)食糧(しよくりやう)大臣(だいじん)ルーテル氏(し)は仏国(ふつこく)の行動(かうどう)により、156ルール地方(ちはう)の鉄道(てつだう)交通(かうつう)中止(ちゆうし)とならば、157同地方(どうちはう)住民(ぢうみん)に食糧(しよくりやう)の定期(ていき)供給(きようきふ)をする為(ため)自動車(じどうしや)の用意(ようい)をした。158一方(いつぱう)仏軍(ふつぐん)はエルベルフエルド地方(ちはう)に対(たい)し、159侵入(しんにふ)を継続(けいぞく)し、160独逸人(ドイツじん)は食糧(しよくりやう)殊(こと)に馬糧(ばりやう)及(および)家具(かぐ)の徴発(ちようはつ)益々(ますます)急(きふ)なる為(ため)、161甚(はなはだ)しく困窮(こんきう)してゐる。162生活(せいくわつ)必要品(ひつえうひん)の価格(かかく)は絶(た)えず騰貴(とうき)してゐる。163又(また)英国(えいこく)政府(せいふ)は巴里(パリー)当局(たうきよく)に対(たい)し、164土耳古(トルコ)に対(たい)する一定(いつてい)の定案(ていあん)は之(こ)れある事(こと)を諷刺(ふうし)した。165併(しか)しローザンヌ会議(くわいぎ)は此(この)上(うへ)継続(けいぞく)する事(こと)は拒絶(きよぜつ)した。166印度(いんど)より派遣(はけん)された英国(えいこく)の数個(すうこ)大隊(だいたい)は、167モスール油田(ゆでん)に向(むか)ふ様(やう)命令(めいれい)に接(せつ)した。168併(しか)しバリマタン紙(し)はかかる手段(しゆだん)で英国(えいこく)が土耳古(トルコ)を能(よ)く脅迫(けふはく)し得(う)るやを疑(うたが)つてゐる。169一方(いつぱう)土耳古(トルコ)が種々(しゆじゆ)威喝(ゐかつ)した試(こころ)みを意(い)とせず、170英国(えいこく)海軍(かいぐん)は十分(じふぶん)なる着弾(ちやくだん)距離(きより)を備(そな)へた軍艦(ぐんかん)二隻(にせき)をスミルナに派遣(はけん)した。171英国(えいこく)商議院(しやうぎゐん)総裁(そうさい)ロイドブリーム其(その)他(た)ロンドンの主(おも)なる政客中(せいきやくちう)、172英国(えいこく)がメソポタミヤより手(て)を引(ひ)く事(こと)を主張(しゆちやう)し、173同地(どうち)に手(て)を出(だ)す事(こと)は性質(せいしつ)不良(ふりやう)にして危険(きけん)であると云(い)つてゐる。174尤(もつと)も英(えい)、175仏(ふつ)、176米(べい)三国(さんこく)とも、177土耳古(トルコ)がスミルナより外国(ぐわいこく)軍艦(ぐんかん)の退去(たいきよ)を要求(えうきう)したるには反対(はんたい)してゐると、178電通(でんつう)ロンドン特電(とくでん)九日(ここのか)発(はつ)にて、179新聞紙(しんぶんし)に記載(きさい)されてある。180又(また)米国(べいこく)下院(かゐん)の移民(いみん)委員会(ゐゐんくわい)は、181市民権(しみんけん)獲得(くわくとく)の資格(しかく)なき者(もの)の米国(べいこく)入国(にふこく)禁止(きんし)法案(はふあん)に関(くわん)する報告(はうこく)をした。182因(ちなみ)に米国(べいこく)大審院(だいしんゐん)は最近(さいきん)日本人(にほんじん)は米国(べいこく)人民(じんみん)たるを得(え)ずといふ判決(はんけつ)を下(くだ)した。183右(みぎ)の排日(はいにち)法案(はふあん)は千八百(せんはつぴやく)九十(きうじふ)年(ねん)に母国(ぼこく)を離(はな)れて米国(べいこく)に移住(いぢう)せる国民(こくみん)の未亡人(みばうじん)等(とう)を除(のぞ)く外(ほか)、184すべての者(もの)に制限(せいげん)を加(くは)ふるものであると、185合同(がふどう)ワシントン十日(とをか)発電(はつでん)に現(あら)はれてゐる。
186 仏軍(ふつぐん)は更(さら)に独逸(ドイツ)の西南(せいなん)及(および)西北(せいほく)に亘(わた)る各地点(かくちてん)を占領(せんりやう)し、187オツフエンベルヒ及(および)アンテムワイアールに来(き)た。188此(これ)等(ら)地方(ちはう)住民(ぢうみん)代表者(だいへうしや)や市長(しちやう)等(ら)はバーデインに会合(くわいがふ)し、189協議(けふぎ)する所(ところ)があつた。190独逸(ドイツ)大統領(だいとうりやう)エベルト氏(し)は外国(ぐわいこく)の暴戻(ばうれい)なる圧迫(あつぱく)の下(もと)には少(すこ)しも屈(くつ)する所(ところ)なく守勢(しゆせい)的(てき)反抗(はんかう)を継続(けいぞく)する手筈(てはず)を整(ととの)へた。191尤(もつと)も仏国(ふつこく)の占領(せんりやう)地域(ちゐき)に於(おい)ては、192追放(つゐはう)逮捕(たいほ)相次(あひつ)ぎ旅客(りよきやく)列車(れつしや)は閉鎖(へいさ)され、193郵便物(ゆうびんぶつ)の押収(おうしう)も頻々(ひんぴん)と起(おこ)つてゐる。194生活費(せいくわつひ)、195必要品(ひつえうひん)の価格(かかく)は仏軍(ふつぐん)が未(いま)だ占領(せんりやう)しなかつた一箇月(いつかげつ)前(ぜん)に比(ひ)し四百倍(しひやくばい)に昂騰(かうとう)した。196而(しか)して仏軍(ふつぐん)は去(さ)る八日(やうか)初(はじ)めて白耳義(ベルギー)に向(む)け、197石炭(せきたん)を三列車(さんれつしや)輸送(ゆそう)するを得(え)たと、198電通(でんつう)ロンドン特電(とくでん)十日(とをか)発(はつ)にて報告(はうこく)されてゐる。199又(また)電通(でんつう)巴里(パリー)特電(とくでん)十日(とをか)発(はつ)に依(よ)れば、200ルール地方(ちはう)に於(お)ける形勢(けいせい)に関(くわん)し、201仏国(ふつこく)首相(しゆしやう)ポアンカレーは、202代議院(だいぎゐん)外交(ぐわいかう)委員会(ゐゐんくわい)の要求(えうきう)にかかる報道(ほうだう)を拒絶(きよぜつ)した為(ため)に、203巴里(パリー)にては人心(じんしん)震動(しんどう)したと伝(つた)へてゐる。204其(その)他(た)種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)のいまはしき報道(ほうだう)は全紙面(ぜんしめん)を埋(うづ)め、205世界(せかい)は宛然(さながら)地獄(ぢごく)餓鬼(がき)畜生(ちくしやう)修羅(しゆら)の光景(くわうけい)を暴露(ばくろ)してゐる有様(ありさま)である。206今後(こんご)忌(いま)はしき諸種(しよしゆ)の出来事(できごと)は何処(どこ)まで発展(はつてん)するか測(はか)り知(し)る可(べか)らざるものがある。207吾人(ごじん)は大神(おほかみ)の神示(しんじ)に仍(よ)つて、208前途(ぜんと)の暗澹(あんたん)たる光景(くわうけい)を洞察(どうさつ)し、209世界(せかい)の為(ため)に憂慮(いうりよ)に堪(た)へざるものである。210故(ゆゑ)に一(いち)日(にち)も早(はや)く世界(せかい)の人類(じんるゐ)に対(たい)し、211五六七(みろく)神政(しんせい)の福音(ふくいん)を伝達(でんたつ)し、212無明(むみやう)暗黒(あんこく)の現代(げんだい)をして、213神慮(しんりよ)に叶(かな)へる黄金(わうごん)時代(じだい)に化(くわ)せしめんと、214昼夜(ちうや)寝食(しんしよく)を忘(わす)れて、215之(こ)れに従事(じゆうじ)しつつあるのである。
216 ああされど、217地獄道(ぢごくだう)に霊(みたま)の籍(せき)を置(お)ける当局者(たうきよくしや)を始(はじ)め、218現代人(げんだいじん)は自然愛(しぜんあい)と世間愛(せけんあい)のみに惑溺(わくでき)し、219神(かみ)の光明(くわうみやう)に反(そむ)き、220智慧(ちゑ)証覚(しようかく)を曇(くも)らせ居(を)れば、221如何(いか)なる大声(たいせい)叱呼(しつこ)の喊声(かんせい)も、222雷霆(らいてい)の響(ひびき)も、223警鐘(けいしよう)乱打(らんだ)の声(こゑ)も、224到底(たうてい)耳(みみ)には透(とほ)らない悲(かな)しむべき世態(せたい)である。225記(しる)して以(もつ)て後日(ごじつ)の参考(さんかう)に供(きよう)するのみ。226ああ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
227   大正十二年二月十二日(旧十一年十二月廿七日)
228      於竜宮館 王仁識
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