霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二章 宣伝使(せんでんし)〔一六三一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第64巻上 山河草木 卯の巻上 篇:第1篇 日下開山 よみ(新仮名遣い):ひのしたかいさん
章:第2章 宣伝使 よみ(新仮名遣い):せんでんし 通し章番号:1631
口述日:1923(大正12)年07月10日(旧05月27日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台:エルサレムへ向かう列車の中 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-04-28 02:50:54 文字数:7734 OBC :rm64a02
愛善世界社版:17頁 八幡書店版:第11輯 383頁 修補版: 校定版:17頁 普及版: 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]:出口王仁三郎著作集 > 第二巻 変革と平和 > 第三部 『霊界物語』の思想 > 宣伝使
001 カンタラ駅(えき)からスエズ運河(うんが)を横(よこ)ぎつて、002エルサレム行(ゆき)の軍用(ぐんよう)列車(れつしや)に乗(の)り込(こ)みし一人(ひとり)の東洋人(とうやうじん)ありき。003汽車(きしや)は茫々(ばうばう)たる大砂漠(だいさばく)の真中(まんなか)を一瀉(いつしや)千里(せんり)の勢(いきほひ)で馳走(ちそう)して居(ゐ)る。004窓外(そうぐわい)は、005森林(しんりん)も田畑(たはた)も、006河川(かせん)も村落(そんらく)も人(ひと)の影(かげ)さへも、007眼(め)に入(い)らない寂寥(せきれう)さである。008所々(ところどころ)に小屋(こや)の様(やう)な、009殺風景(さつぷうけい)な停車場(ていしやぢやう)が黙々(もくもく)として建(た)つて居(ゐ)る。010シナイ山(ざん)は遥(はるか)の遠方(ゑんぱう)にボンヤリと霞(かす)んでゐる。011ユデヤの高地(かうち)に掛(かか)つたと見(み)えて、012丘(をか)が刻々(こくこく)に急勾配(きふこうばい)になつて、013橄欖(かんらん)の樹(き)が窓外(そうぐわい)に追々(おひおひ)と見(み)えて来(く)る。014四十(しじつ)歳(さい)前後(ぜんご)の、015一人(ひとり)の眼(め)のクルリとした色(いろ)の浅黒(あさぐろ)い、016何処(どこ)ともなしに凛々(りり)しい東洋人(とうやうじん)らしき宣伝使(せんでんし)は、017高砂島(たかさごじま)から派遣(はけん)されて数十(すうじふ)日間(にちかん)の海洋(かいやう)を渡(わた)り、018メシヤ再臨(さいりん)の先駆(せんく)として神(かみ)の命(めい)により遥々(はるばる)出(で)て来(き)たルートバハーの教主(けうしゆ)ウヅンバラ・チヤンダーに先(さき)だつて来(き)た、019ブラバーサと云(い)ふ紳士(しんし)なり。[※「メシヤ再臨の先駆として神の命により遥々出て来たルートバハーの教主ウヅンバラ・チヤンダーに先だつて来た」は文章としておかしいが、底本通り。「~遥々出て来た。ルートバハーの~」のように、句点が入れば意味が通じる。]
020 ブラバーサは世界(せかい)各国(かくこく)の言語(げんご)にも通(つう)じ、021且(か)つ近来(きんらい)流行(りうかう)のエスペラント語(ご)にも精通(せいつう)し居(ゐ)たり。022それ故(ゆゑ)特(とく)にルートバハーの宣伝使(せんでんし)として抜擢(ばつてき)され、023万里(ばんり)の海洋(かいやう)を打渡(うちわた)り、024異域(いゐき)の空(そら)に聖跡(せいせき)を尋(たづ)ねてメシヤ再臨(さいりん)の先鋒(せんぽう)として赴任(ふにん)したのである。025このブラバーサには郷国(きやうこく)高砂島(たかさごじま)に一人(ひとり)の妻(つま)と一人(ひとり)の愛娘(まなむすめ)が残(のこ)つて居(ゐ)る。026ブラバーサは窓外(そうぐわい)の際限(さいげん)もなく広(ひろ)く展開(てんかい)せる砂漠(さばく)を眺(なが)めて、027聖者(せいじや)の古(いにしへ)の事蹟(じせき)を思(おも)ひ浮(うか)べ、028感慨(かんがい)無量(むりやう)の体(てい)で吐息(といき)を漏(も)らし居(ゐ)たり。
029 隣席(りんせき)に控(ひか)えてシガーを燻(くゆ)らして居(ゐ)た白髪(はくはつ)の老紳士(らうしんし)は、030ブラバーサの傍近(そばちか)く寄(よ)つて、031さも馴々(なれなれ)しげに握手(あくしゆ)を求(もと)めた。032ブラバーサは海洋(かいやう)万里(ばんり)の不見(みず)不識(しらず)の国(くに)で同(おな)じ車上(しやじやう)に於(おい)て握手(あくしゆ)を求(もと)められたのは実(じつ)に意外(いぐわい)の歓(よろこ)びに打(う)たれざるを得(え)なかつた。033ブラバーサは直(ただち)に立(た)つて老紳士(らうしんし)と握手(あくしゆ)を交(まじ)へた一刹那(いつせつな)、034百(ひやく)年(ねん)の知己(ちき)に逢(あ)つた様(やう)な懐(なつか)しさを覚(おぼ)えた。
035 老紳士(らうしんし)は馴(な)れ馴(な)れしく、
036バハーウラー『私(わたし)はバハイ教(けう)のバハーウラーと申(まを)すものですが、037メシヤの再臨(さいりん)の近(ちか)づきし事(こと)を神(かみ)様(さま)より承(うけたまは)り、038老躯(らうく)を提(ひつさ)げて常世国(とこよのくに)から今日(けふ)漸(やつ)と茲(ここ)まで無事(ぶじ)到着(たうちやく)致(いた)しました。039貴師(あなた)は何(いづ)れより御(お)越(こ)しで御座(ござ)いますか。040一寸(ちよつと)拝顔(はいがん)しただけでも普通(ふつう)の御人(ごじん)とは見(み)えませぬ。041聖者(せいじや)と御(お)見受(みうけ)いたしますが、042御(お)差支(さしつかへ)なくば御(お)話(はな)しを願(ねが)ひたいものですなア』
043ブラバーサ『ハイ有難(ありがた)う御座(ござ)います。044私(わたし)も貴師(あなた)の様(やう)な聖者(せいじや)に、045異域(いゐき)の空(そら)で而(しか)も同(おな)じ車中(しやちう)に御(お)眼(め)にかかり、046互(たがひ)に御(お)道(みち)の談(はなし)を交換(かうくわん)さして致(いた)だくのは望外(ばうぐわい)の幸(さいは)ひで御座(ござ)います。047実(じつ)は私(わたし)は高砂島(たかさごじま)の中心(ちうしん)地点(ちてん)に宮柱(みやばしら)太敷(ふとしき)立(た)てて鎮(しづ)まりたまふ、048大国治立(おほくにはるたちの)大神(おほかみ)の御許(みもと)に仕(つか)へ奉(まつ)るプロパガンディストで、049ブラバーサと申(まを)すもので御座(ござ)いますが、050暫(しばら)くエルサレムの霊気(れいき)に触(ふ)れ、051神界(しんかい)の御(ご)経綸(けいりん)の一端(いつたん)に奉仕(ほうし)いたしたきものと神命(しんめい)のまにまに遥々(はるばる)出向(しゆつかう)致(いた)しましたものです。052何分(なにぶん)宗教(しうけう)や信仰(しんかう)には、053国籍(こくせき)や人種別(じんしゆべつ)などの忌(いま)はしき障壁(しやうへき)は御座(ござ)いませぬから、054何卒(なにとぞ)同胞(どうばう)として親交(しんかう)を願(ねが)ひます』
055バハーウラー『イヤ、056お互様(たがひさま)に御(ご)懇親(こんしん)を願(ねが)ひませう。057私(わたし)は現代(げんだい)の宗教家(しうけうか)の態度(たいど)に飽(あ)き足(た)らない一(いち)人(にん)で御座(ござ)います。058同(おな)じ太陽(たいやう)の光(ひかり)の下(もと)に生育(せいいく)する吾々(われわれ)人類(じんるゐ)は、059何処(どこ)までも神(かみ)様(さま)の最愛(さいあい)の御子(みこ)として、060相愛(あひあい)し相助(あひたす)け合(あ)つて行(ゆ)かねばなりませぬ。061そして凡(すべ)ての迷信(めいしん)から脱離(だつり)した宗教(しうけう)、062過去(くわこ)の死神(ししん)死仏(しぶつ)は言(い)ふ迄(まで)も無(な)く、063黴(かび)の生(は)えた形式(けいしき)から解放(かいはう)された宗教(しうけう)、064宗派(しうは)根性(こんじやう)を超越(てうゑつ)した真善(しんぜん)美愛(びあい)に徹底(てつてい)した宗教(しうけう)、065種々(しゆじゆ)の伝説(でんせつ)や附会(ふくわい)や迷信(めいしん)を交(まじ)へた上(うへ)に紛雑(ふんざつ)した教理(けうり)と註訳(ちうやく)に織込(おりこ)まれた曼陀羅(まんだら)的(てき)の教典(けうてん)から離脱(りだつ)した宗教(しうけう)、066名実(めいじつ)一致(いつち)、067霊肉(れいにく)一体(いつたい)、068神人(しんじん)合一(がふいつ)、069聖凡(せいぼん)不二(ふじ)を実現(じつげん)した宗教(しうけう)、070其(その)時代(じだい)に必要(ひつえう)あつて起(おこ)れる教祖(けうそ)を以(もつ)て唯一(ゆゐいつ)の救世主(きうせいしゆ)となし、071教祖(けうそ)の教示(けうじ)を万世(ばんせい)不易(ふえき)の聖言(せいげん)となす偏狭(へんけふ)固陋(ころふ)なる牢獄(らうごく)的(てき)信仰(しんかう)の束縛(そくばく)を解(と)いて、072万聖(ばんせい)の大集会(だいしふくわい)即(すなは)ち≪世界(せかい)の国会開(こくくわいびら)き≫を出現(しゆつげん)せしむる宏大(かうだい)無辺(むへん)の宗教(しうけう)、073一夫(いつぷ)一婦(いつぷ)の大道(たいだう)を明示(めいじ)した宗教(しうけう)、074世間(せけん)と出世間(しゆつせけん)の障壁(しやうへき)を除却(ぢよきやく)して、075真(しん)に一実在(いちじつざい)の生(い)ける道(みち)を教(をし)ふる宗教(しうけう)、076善(ぜん)と悪(あく)、077信者(しんじや)と不信者(ふしんじや)、078救済(きうさい)と罪悪(ざいあく)、079天界(てんかい)と地獄(ぢごく)とを区別(くべつ)して争論(そうろん)の種(たね)を蒔(ま)く狭隘(けふあい)な宗教(しうけう)から脱却(だつきやく)して、080心底(しんてい)から親愛(しんあい)の目的(もくてき)として凡(すべ)ての人類(じんるゐ)を見(み)る所(ところ)の真(しん)の救世(きうせい)の宗教(しうけう)、081国語(こくご)、082労働(らうどう)、083国際(こくさい)等(とう)の問題(もんだい)、084学術(がくじゆつ)と宗教(しうけう)との問題(もんだい)等(とう)一切(いつさい)を解決(かいけつ)し、085世界(せかい)人類(じんるゐ)をして平等(べうどう)に光明(くわうみやう)世界(せかい)の住民(ぢうみん)たらしむる権威(けんゐ)ある宗教(しうけう)の必要(ひつえう)に迫(せま)られて、086数十(すうじふ)年間(ねんかん)あらゆる迫害(はくがい)や艱苦(かんく)と戦(たたか)つて来(き)たもので御座(ござ)いますから、087貴師(あなた)もルートバハーの神使(しんし)として聖地(せいち)へ御(ご)出張(しゆつちやう)遊(あそ)ばした以上(いじやう)は、088互(たがひ)に神(かみ)の子(こ)の兄弟(きやうだい)として相提携(あひていけい)し、089万国(ばんこく)の民(たみ)を天界(てんかい)に救(すく)ふため、090持(も)ちつ持(も)たれつの親交(しんかう)を願(ねが)ひたきものです』
091ブラバーサ『バハーウラー様(さま)、092只今(ただいま)貴師(あなた)の御(お)言葉(ことば)には実(じつ)に感服(かんぷく)いたしました。093私(わたし)が奉(ほう)ずるルートバハーも、094その主義(しゆぎ)精神(せいしん)に於(おい)て寸毫(すんがう)の相違点(さうゐてん)をも見出(みいだ)す事(こと)が出来(でき)ませぬ。095高砂島(たかさごじま)に於(お)けるルートバハーの教(をしへ)と、096貴教(きけう)とは東西(とうざい)符節(ふせつ)を合(がつ)する如(ごと)くで御座(ござ)いますよ。097何(ど)うか今後(こんご)は姉妹教(シスターけう)として永遠(ゑいゑん)の親交(しんかう)をお願(ねが)ひいたしたく存(ぞん)じます』
098バハーウラー『何卒(なにとぞ)よろしく御(お)願(ねが)ひいたします。099時(とき)にブラバーサ様(さま)、100現今(げんこん)世界(せかい)の有様(ありさま)は如何(どう)でせう。101吾々(われわれ)人類(じんるゐ)のために、102天(てん)の神(かみ)様(さま)より懲戒(ちようかい)的(てき)大鉄槌(だいてつつい)を下(くだ)される様(やう)な形勢(けいせい)になつて来(き)たぢや在(あ)りませぬか』
103ブラバーサ『昨日(きのふ)も船中(せんちう)でロンドンタイムスを読(よ)んで見(み)ましたが、104其(その)中(なか)に吾々(われわれ)としては依然(いぜん)として落着(おちつ)いて居(を)られない様(やう)な記事(きじ)が載(の)つて居(ゐ)ましたよ。105ルートバハーの教(をしへ)と全然同一(そつくり)でしたワ』
106バハーウラー『ドンナ記事(きじ)が載(の)つて居(ゐ)ましたか』
107ブラバーサ『表題(へうだい)が二号(にがう)活字(くわつじ)で麗々(れいれい)しく「死(し)んだ新聞王(しんぶんわう)の霊(れい)が探偵(たんてい)小説家(せうせつか)のコナン・ドイル氏(し)に世界(せかい)の大災厄(だいさいやく)が来(きた)ると云(い)ふことを囁(ささや)いた」と出(で)て居(を)りましたよ。108今(いま)懐(ふところ)に持(も)つて居(を)りますから朗読(らうどく)いたしませう』
109と云(い)ひつつ、110懐(ふところ)より細(こま)かく折(を)つた新聞(しんぶん)を取(と)り出(だ)し、111押(お)し開(ひら)いて、
112ブラバーサ『目下(もくか)米国(べいこく)にあるコナン・ドイル氏(し)は、113三十一(さんじふいち)日(にち)、114桑港(サンフランシスコ)に於(おい)て左(さ)の奇抜(きばつ)な発表(はつぺう)をなした。115曰(いは)く「新聞王(しんぶんわう)故(こ)ノース・クリフ卿(きやう)の霊(れい)が余(よ)に囁(ささや)くに、116「汝(なんぢ)等(ら)の生存中(せいぞんちゆう)この世界(せかい)に一大(いちだい)災厄(さいやく)が来(く)る。117若(も)し人間(にんげん)が霊的(れいてき)に改造(かいざう)されて、118この災厄(さいやく)を除(のぞ)かなければ、119千九百(せんきうひやく)十四(じふよ)年(ねん)の世界(せかい)大戦(たいせん)よりも更(さら)に恐(おそ)ろしい運命(うんめい)に陥(おちい)る」一体(いつたい)○国人(こくじん)は余(あま)り齷齪(あくせく)し過(す)ぎる。120余(よ)も生存中(せいぞんちゆう)同様(どうやう)の誤謬(ごびう)を敢(あへ)てしたが、121物質(ぶつしつ)的(てき)進歩(しんぽ)の競争(きやうそう)のため、122人間(にんげん)の智慮(ちりよ)は滅(ほろ)び遂(つひ)に災厄(さいやく)が来(きた)るものであると云(い)ふことを初(はじ)めて理解(りかい)するに至(いた)つたと、123ドイル氏(し)は全(まつた)く真剣(しんけん)に真面目(まじめ)に右(みぎ)の言明(げんめい)をして居(ゐ)る』云々(うんぬん)
124と読(よ)み了(をは)り、
125ブラバーサ『吾々(われわれ)の信仰(しんかう)いたしますルートバハーも亦(また)同様(どうやう)の神示(こと)を三十(さんじふ)年(ねん)以前(いぜん)から主張(しゆちやう)して来(き)ましたが、126物質(ぶつしつ)的(てき)研究(けんきう)にのみ焦心(せうしん)して居(を)る世界(せかい)の学者(がくしや)も、127其(その)他(た)の同胞(どうばう)も容易(ようい)に信(しん)じて呉(く)れないのみか、128流言(りうげん)浮説(ふせつ)をなして人(ひと)を誑惑(けうわく)するものだと言(い)つて聖主(せいしゆ)を始(はじ)め信者(しんじや)は所在(あらゆる)社会(しやくわい)上下(じやうか)の圧迫(あつぱく)を受(う)けて来(き)ました。129聖主(せいしゆ)の教(をしへ)にも、130右同様(みぎどうやう)に人心(じんしん)の悪化(あくくわ)は宇宙(うちう)に邪気(じやき)を発生(はつせい)し、131遂(つひ)には地異(ちい)天変(てんぺん)を招来(せうらい)するものだと説(と)かれてあります。132天地(てんち)が今(いま)に覆(かへ)るぞよ。133吃驚箱(びつくりばこ)が開(あ)くぞよ。134脚下(あしもと)から鳥(とり)が飛(た)つぞよ。135霊魂(みたま)を研(みが)いて改心(かいしん)致(いた)して下(くだ)されよ。136神(かみ)は世界(せかい)の人民(じんみん)は皆(みな)最愛(さいあい)の我子(わがこ)であるから、137一人(ひとり)なりとも助(たす)けてやり度(た)いのが胸(むね)一杯(いつぱい)であるから、138永(なが)らく予言者(よげんしや)の口(くち)と手(て)に由(よ)りて世界(せかい)の人民(じんみん)に気(き)を付(つ)けて居(を)るなれど、139余(あま)り今(いま)の人民(じんみん)は科学(がく)に凝(こ)り固(かた)まりて神(かみ)の申(まを)す真誠(まこと)の教(をしへ)が耳(みみ)に這入(はい)らぬので、140神(かみ)も大変(たいへん)に心(こころ)を砕(くだ)いて居(を)るぞよと仰(おほ)せられて居(ゐ)ます』
141バハーウラー『如何(いか)にも、142真(まこと)に結構(けつこう)な御(ご)神示(しんじ)ですなア。143それに寸毫(すんがう)の間違(まちが)ひも御座(ござ)いますまい。144私(わたし)も神示(しんじ)によつて、145貴師(あなた)の御(お)説(せつ)と同様(どうやう)のことを承(うけたま)はりましたので、146バハイ教(けう)を開(ひら)いて世界(せかい)の同胞(どうはう)に警告(けいこく)を与(あた)へて居(を)るのです。147最早(もはや)メシヤの再臨(さいりん)も余(あま)り長(なが)くは有(あ)りますまい』
148ブラバーサ『左様(さやう)です。149メシヤの再臨(さいりん)は世界(せかい)の九分(くぶ)九厘(くりん)に成(な)つて、150此(この)エルサレムの橄欖山(かんらんさん)上(じやう)に出現(しゆつげん)されることと確信(かくしん)いたして居(を)ります。151既(すで)にメシヤは高砂島(たかさごじま)の桶伏山(をけぶせさん)麓(ろく)に再誕(さいたん)されて居(を)りますよ。152再誕(さいたん)と再臨(さいりん)とは少(すこ)しく意義(いぎ)が違(ちが)ひますからなア』
153バハーウラー『救世主(きうせいしゆ)が最早(もはや)再誕(さいたん)されたと仰有(おつしや)るのですか。154大聖主(だいせいしゆ)メシヤたる可(べ)き神格者(しんかくしや)には九箇(きうこ)の大資格(だいしかく)が必要(ひつえう)ですが、155左様(さやう)な神格者(しんかくしや)は容易(ようい)に得(え)られますまい。156先(ま)づ第一(だいいち)に、
157一、158大聖主(だいせいしゆ)は世界(せかい)人類(じんるゐ)の教育者(けういくしや)たること
159二、160其(その)教義(けうぎ)は世界(せかい)的(てき)にして人類(じんるゐ)に教化(けうくわ)を齎(もたら)すもの成(な)ること
161三、162其(その)智識(ちしき)は後天(こうてん)的(てき)のものに非(あら)ずして自湧(じゆう)的(てき)にして自在(じざい)なる可(べ)きこと
163四、164彼(かれ)は所在(あらゆる)賢哲(けんてつ)の疑問(ぎもん)に明答(めいたふ)を与(あた)へ、165世界(せかい)の所在(あらゆる)問題(もんだい)を決定(けつてい)し、166而(しか)して迫害(はくがい)と苦痛(くつう)を甘受(かんじゆ)す可(べ)きものなること
167五、168彼(かれ)は歓喜(くわんき)の給与者(きふよしや)にして、169幸福(かうふく)の王国(わうこく)の報導者(はうだうしや)なる可(べ)きこと
170六、171彼(かれ)の智識(ちしき)は無窮(むきう)にして、172理解(りかい)し得(う)べきものなる可(べ)きこと
173七、174其(その)言説(げんせつ)は徹底(てつてい)し、175其(その)威力(ゐりよく)は最悪(さいあく)なる敵(てき)をも折伏(しやくふく)するに足(た)るの人格者(じんかくしや)なる可(べ)きこと
176八、177悲(かな)しみと厄難(やくなん)は、178以(もつ)て彼(かれ)を悩(なや)ますに足(た)らず、179その勇気(ゆうき)と裁断(さいだん)は神明(しんめい)の如(ごと)く、180而(しか)して彼(かれ)は日々(にちにち)に堅実(けんじつ)を加(くは)へ、181熱烈(ねつれつ)の度(ど)を増(ます)可(べ)きこと
182九、183彼(かれ)は世界(せかい)共通(きやうつう)の文明(ぶんめい)の完成者(くわんせいしや)、184所在(あらゆる)宗教(しうけう)の統一者(とういつしや)にして、185世界(せかい)平和(へいわ)の確定(かくてい)と世界(せかい)人類(じんるゐ)の最(もつと)も崇高(すうかう)卓絶(たくぜつ)したる道徳(だうとく)の体現(たいげん)をなす可(べ)き人格(じんかく)を有(いう)すること 以上(いじやう)
186「爾(なんぢ)等(ら)が此(これ)等(ら)の条件(でうけん)を具備(ぐび)したる人格者(じんかくしや)を世(よ)に求(もと)むる時(とき)には、187初(はじ)めて彼(かれ)によつて嚮導(きやうだう)をうけ光照(くわうせう)を被(かうむ)るを得(え)む」と吾(わが)バハーの聖主(せいしゆ)アブデユル・バハーは仰有(おつしや)いました。188果(はた)して右(みぎ)九箇(きうこ)の大資格(だいしかく)を備(そな)へた聖主(せいしゆ)が再誕(さいたん)されて在(あ)るとすれば、189吾々(われわれ)は実(じつ)に至幸(しかう)至福(しふく)の身(み)の上(うへ)で御座(ござ)います。190併(しか)し人(ひと)各(おのおの)信仰(しんかう)に異同(いどう)のあるものですから、191私(わたし)はアブデユル・バハーこそ大聖主(だいせいしゆ)と信(しん)じて居(を)るものであります』
192ブラバーサ『成程(なるほど)大聖主(だいせいしゆ)はアブデユル・バハー様(さま)でせうが、193最早(もはや)現界(げんかい)に生存(せいぞん)遊(あそ)ばさない上(うへ)は、194如何(いか)に九箇(きうこ)の大資格(だいしかく)を備(そな)へたまふとも、195今(いま)や来(きた)らむとする世界(せかい)の救済(きうさい)事業(じげふ)に対(たい)しては、196御手(みて)の下(くだ)し様(やう)がありますまい。197勿論(もちろん)聖主(せいしゆ)の教(をしへ)を汲(く)みて、198後(あと)の弟子(でし)達(たち)が完成(くわんせい)さるれば兎(と)も角(かく)もですが』
199バハーウラー『貴師(あなた)の仰有(おつしや)るメシヤの平素(へいそ)の言心行(げんしんかう)について、200一応(いちおう)御(お)話(はなし)を承(うけたま)はり度(た)いものですな』
201ブラバーサ『先(さき)に貴師(あなた)は九箇(きうこ)の大資格(だいしかく)を羅列(られつ)して説明(せつめい)下(くだ)さいましたが、202其(その)大(だい)資格者(しかくしや)に私(わたし)は朝夕(てうせき)接従(せつじゆう)して居(を)りましたから、203大略(たいりやく)申(まを)し上(あ)げて見(み)ませう。204虚構(きよこう)も誇張(こちやう)も方便(はうべん)も有(あ)りませぬから、205そのおつもりでお聞(き)きを願(ねが)ひます』
206 バハーウラーは襟(えり)を正(ただ)し、207さも謹厳(きんげん)な態度(たいど)で、208ブラバーサの談話(だんわ)を耳(みみ)を傾(かたむ)けて聞(き)き初(はじ)めた。
209 汽車(きしや)は早(はや)くもユデヤの高丘(かうきう)を足(あし)重(おも)たげに刻(きざ)みて上(のぼ)り行(ゆ)く。
210ブラバーサ『私(わたし)のメシヤと云(い)ふ人格者(じんかくしや)は目下(もくか)高砂島(たかさごじま)の下津(したつ)岩根(いはね)に諸種(しよしゆ)の準備(じゆんび)を整(ととの)へて居(を)られます。211そして其(その)名(な)はウヅンバラ・チヤンダーと謂(い)つて、212実(じつ)に慈悲(じひ)博愛(はくあい)の権化(ごんげ)とも称(しよう)すべき神格者(しんかくしや)です。213世界(せかい)人類(じんるゐ)に対(たい)して、214必須(ひつす)の教育(けういく)を最(もつと)も平易(へいい)に懇切(こんせつ)に、215施(ほどこ)し玉(たま)ひつつあるのです。216故(ゆゑ)に宗教家(しうけうか)も教育家(けういくか)も、217政治家(せいぢか)も、218経済(けいざい)学者(がくしや)も、219天地文(てんちもん)学者(がくしや)も軍人(ぐんじん)も職工(しよくこう)も農夫(のうふ)も皆(みな)訪(たづ)ね来(きた)つてそれ相応(さうおう)の教(をしへ)を受(う)け、220歓(よろこ)んでその机下(きか)に蝟集(ゐしふ)して居(ゐ)ます。221如何(いか)なる難問(なんもん)にも当意(たうい)即妙(そくめう)な答(こたへ)を与(あた)へられ、222何(いづ)れも満足(まんぞく)して居(を)ります。223是(これ)が只今(ただいま)貴師(あなた)の仰(おほ)せられた第一(だいいち)の資格(しかく)たる
224「大聖主(だいせいしゆ)は世界(せかい)人類(じんるゐ)の教育者(けういくしや)たるべきこと」の条項(でうかう)に匹敵(ひつてき)するやうに思(おも)ひます』
225バハーウラー『成程(なるほど)御尤(ごもつと)もです』
226と頭(あたま)を三(み)ツ四(よ)ツ振(ふ)つてうつむく。
227ブラバーサ『ツルク大聖主(だいせいしゆ)が伊都(いづ)の御魂(みたま)と顕(あら)はれ玉(たま)ふて、228三千(さんぜん)大千(だいせん)世界(せかい)一度(いちど)に開(ひら)く梅(うめ)の花(はな)の大(だい)獅子吼(ししく)を遊(あそ)ばしましたが、229此(この)御(お)方(かた)は約(つま)りヨハネの再臨(さいりん)だと信(しん)じられて居(を)られます。230そして基督(キリスト)とも謂(い)ふべき美都(みづ)の御魂(みたま)の神柱(かむばしら)、231ウヅンバラ・チヤンダーと云(い)ふ聖主(せいしゆ)が現(あら)はれて、232世界(せかい)的(てき)の大教義(だいけうぎ)を宣布(せんぷ)し、233凡(すべ)ての人類(じんるゐ)に教化(けうくわ)を与(あた)へたまひ、234今(いま)や高砂島(たかさごじま)は言(い)ふに及(およ)ばず、235海外(かいぐわい)の諸国(しよこく)から各種(かくしゆ)の宗教(しうけう)団体(だんたい)の教主(けうしゆ)や代表者(だいへうしや)が、236聖主(せいしゆ)を世界(せかい)の救世主(きうせいしゆ)と仰(あふ)いで参(まゐ)り、237其(その)教義(けうぎ)の公明(こうめい)正大(せいだい)にして且(か)つ公平(こうへい)無私(むし)なるに感化(かんくわ)され、238日(ひ)に月(つき)に笈(きふ)を負(お)ふてその門下(もんか)に集(あつ)まつて来(き)て居(を)ります。239今(いま)貴師(あなた)の仰(おほ)せになつた第二(だいに)の大資格(だいしかく)たる
240「その教義(けうぎ)は世界(せかい)的(てき)にして人類(じんるゐ)に教化(けうくわ)を齎(もたら)す可(べ)きものなること」の条項(でうかう)に合致(がつち)するものでは有(あ)りますまいか』
241バハーウラー『御尤(ごもつと)もです。242第三(だいさん)の資格(しかく)に合致(がつち)した点(てん)の御(ご)説明(せつめい)を願(ねが)ひます』
243ブラバーサ『我(わが)聖主(せいしゆ)ウヅンバラ・チヤンダー様(さま)は、244小学校(せうがくかう)へ通(かよ)ふこと僅(わづ)かに三(さん)年(ねん)で、245しかも世界(せかい)智識(ちしき)の宝庫(はうこ)とまで言(い)はるる程(ほど)の智識(ちしき)を有(いう)し玉(たま)ひ、246天地(てんち)万有(ばんいう)一切(いつさい)の物(もの)に対(たい)して深遠(しんゑん)なる理解(りかい)を有(いう)し、247三世(さんぜ)を洞観(どうくわん)し、248天界(てんかい)地獄(ぢごく)の由来(ゆらい)より過去(くわこ)現在(げんざい)未来(みらい)に渉(わた)りて、249如何(いか)なる質問(しつもん)にも尠(すこ)しも遅滞(ちたい)せず即答(そくたふ)を与(あた)へ、250且(か)つ苦集(くしふ)滅道(めつだう)を説(と)き道法(だうはふ)礼節(れいせつ)を開示(かいじ)し、251泉(いづみ)の如(ごと)く淆々(こんこん)として湧出(ゆうしゆつ)するその智識(ちしき)には、252如何(いか)なる反対者(はんたいしや)と雖(いへど)も感服(かんぷく)して居(を)りますよ。253天文(てんもん)に地文(ちもん)に、254政治(せいぢ)に宗教(しうけう)に、255道徳(だうとく)に芸術(げいじゆつ)に、256医学(いがく)に暦法(れきはふ)に、257詩歌(しいか)に文筆(ぶんぴつ)に演説(えんぜつ)等(とう)、258何(いづ)れも自湧(じゆう)的(てき)に無限(むげん)に其(その)真(しん)を顕(あら)はし得(う)ると云(い)ふ稀代(きだい)の神人(しんじん)であります。259幼時(えうじ)より八(や)ツ耳(みみ)、260神童(しんどう)又(また)は地獄耳(ぢごくみみ)などの仇名(あだな)を取(と)つて居(ゐ)た方(かた)ですからなア。261今(いま)も猶(なほ)、262神政(しんせい)成就(じやうじゆ)の神策(しんさく)に関(くわん)する神秘(しんぴ)的(てき)神示(しんじ)を昼夜(ちうや)執筆(しつぴつ)されつつあります。263世界(せかい)各国(かくこく)の国語(こくご)と雖(いへど)も、264未(いま)だ一度(いちど)も学(まな)んだ事(こと)の無(な)いお方(かた)が、265凡(すべ)ての国(くに)の言語(げんご)が習(なら)はずして口(くち)から出(で)て来(く)るのですから、266吾々(われわれ)はどうしても凡人(ぼんじん)だとは思(おも)ひませぬ。267何人(なにびと)も聖主(せいしゆ)を指(さ)して生神(いきがみ)だ生宮(いきみや)だと崇(あが)めて居(を)りますよ。268所謂(いはゆる)貴師(あなた)の仰(おほ)せに成(な)つた
269「その智識(ちしき)は後天(こうてん)的(てき)のものに非(あら)ずして、270自湧(じゆう)的(てき)なる可(べ)きこと」に合致(がつち)するぢやありませぬか』
271バハーウラー『ヘエー、272何(なん)と不思議(ふしぎ)な方(かた)ですな。273それこそ真正(しんせい)の大聖主(だいせいしゆ)メシヤですな』
274ブラバーサ『それから瑞(みづ)の御魂(みたま)の聖主(せいしゆ)は、275あらゆる賢人(けんじん)哲人(てつじん)の疑問(ぎもん)に対(たい)し、276即答(そくたふ)を与(あた)へて徹底(てつてい)的(てき)に満足(まんぞく)せしめ、277且(か)つ世界(せかい)に所在(あらゆる)種々(しゆじゆ)の大問題(だいもんだい)に対(たい)し決定(けつてい)を与(あた)へ、278種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)の迫害(はくがい)と苦痛(くつう)を甘受(かんじゆ)し、279常(つね)に平然(へいぜん)として心魂(しんこん)にも止(とど)めず、280部下(ぶか)の罪科(ざいくわ)を一身(いつしん)に負担(ふたん)して泰然(たいぜん)自若(じじやく)、281日夜(にちや)感謝(かんしや)の生涯(しやうがい)を送(おく)つて居(を)られるのです。282如何(いか)なる迫害(はくがい)も苦痛(くつう)も聖主(せいしゆ)に対(たい)しては、283暴威(ばうゐ)を振(ふる)ふ事(こと)は出来(でき)ないと見(み)えます。284是(これ)が第四(だいし)の条件(でうけん)に匹敵(ひつてき)せる大聖主(だいせいしゆ)の資格(しかく)の一(ひとつ)ではありますまいか』
285バハーウラー『なる程(ほど)感心(かんしん)いたしました。286それから第五(だいご)の条件(でうけん)は如何(いかが)で御座(ござ)いますか』
287ブラバーサ『聖主(せいしゆ)は実(じつ)に歓喜(くわんき)の給与者(きふよしや)とも云(い)ふべきウーピーなお方(かた)です。288如何(いか)なる憂愁(いうしう)の雲(くも)に閉(とざ)されたる時(とき)にも、289聖主(せいしゆ)の御(お)側(そば)に在(あ)れば忽(たちま)ち歓喜(くわんき)の心(こころ)の花(はな)が開(ひら)きます。290そのお言葉(ことば)を聞(き)けば直(ただ)ちに天国(てんごく)の福音(ふくいん)を聞(き)く如(ごと)く、291楽園(らくゑん)に遊(あそ)ぶが如(ごと)く、292何事(なにごと)も一切(いつさい)万事(ばんじ)忘却(ばうきやく)し、293歓喜(くわんき)の情(じやう)に溢(あふ)れ、294病人(びやうにん)は忽(たちま)ち病(やまひ)癒(い)え、295失望(しつばう)落胆(らくたん)の淵(ふち)に沈(しづ)むものは希望(きばう)と栄光(えいくわう)に充(み)たされ、296一刻(いつこく)と雖(いへど)も御(お)側(そば)を離(はな)るる事(こと)が出来(でき)ない様(やう)な気分(きぶん)になつて了(しま)ひます。297又(また)身魂(しんこん)共(とも)に至幸(しかう)至福(しふく)の花園(はなぞの)に遊(あそ)び、298天国(てんごく)を吾(わが)身内(みうち)に建設(けんせつ)する様(やう)になつて了(しま)ひます。299実(じつ)に仁慈(じんじ)と栄光(えいくわう)との権化(ごんげ)とも云(い)ふべき神人(しんじん)で御座(ござ)いますよ。300斯(か)くてこそ三千(さんぜん)世界(せかい)の救世主(きうせいしゆ)だと思(おも)ひます。301次(つぎ)に第六(だいろく)の資格(しかく)としては、302聖主(せいしゆ)の深遠(しんゑん)宏大(かうだい)なる内分(ないぶん)的(てき)智識(ちしき)です。303その深遠(しんゑん)なる智識(ちしき)に由(よ)つて、304無限(むげん)無窮(むきう)に人類(じんるゐ)の身魂(みたま)を活躍(くわつやく)せしめ、305老若(らうにやく)男女(なんによ)智者(ちしや)愚者(ぐしや)の区別(くべつ)なく、306直(ただち)に受(う)け入(い)るる事(こと)の出来(でき)る自湧(じゆう)の智識(ちしき)と言霊(ことたま)を用(もち)ゐて衆生(しゆじやう)を済度(さいど)されます。307それ故(ゆゑ)、308一度(いちど)聖主(せいしゆ)に面接(めんせつ)し又(また)はお言葉(ことば)を聞(き)いたものは、309決(けつ)して忘(わす)れる様(やう)な事(こと)はなく、310且(か)つ時々(ときどき)思(おも)ひ出(だ)して歓喜(くわんき)に酔(よ)ふのです。311婦女(ふぢよ)や愚人(ぐじん)にも理解(りかい)し易(やす)く、312且(か)つ宏(ひろ)く深(ふか)き真理(しんり)を、313平易(へいい)に御(ご)開示(かいじ)下(くだ)さいます。
314 また第七(だいしち)の資格(しかく)としては、315過去(くわこ)現在(げんざい)未来(みらい)に渉(わた)る一切(いつさい)万事(ばんじ)の解説(かいせつ)は、316終始(しうし)克(よ)く徹底(てつてい)し、317前人(ぜんにん)未発(みはつ)の教義(けうぎ)を極(きは)めて平易(へいい)に簡単(かんたん)に了解(れうかい)し易(やす)く説示(せつじ)し、318内外(ないぐわい)種々(しゆじゆ)の反抗者(はんかうしや)や圧迫者(あつぱくしや)に対(たい)しても、319凡(すべ)て大慈(だいじ)大悲(だいひ)の雅量(がりやう)と神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)の神意(しんい)に従(したが)ひ敵(てき)を愛(あい)して、320終(つひ)には敵(てき)をして心底(しんてい)より悦服(えつぷく)せしめ、321善言(ぜんげん)美詞(びし)の言霊(ことたま)を以(もつ)て克(よ)く言向和(ことむけやは)し、322春野(はるの)を風(かぜ)の渡(わた)るが如(ごと)くその眼前(がんぜん)に来(きた)れるものは、323一人(ひとり)も残(のこ)らず善道(ぜんだう)に導(みちび)きたまひ、324自己(じこ)に対(たい)して種々(しゆじゆ)の妨害(ばうがい)を加(くは)へ災厄(さいやく)を齎(もたら)したる悪人(あくにん)に対(たい)しても、325聊(いささ)かの怨恨(ゑんこん)を含(ふく)まず、326貴賤(きせん)老幼(らうえう)の別(べつ)なく慈眼(じがん)を以(もつ)て見給(みたま)ふ所(ところ)は、327第七(だいしち)の大資格(だいしかく)に合致(がつち)して居(を)られる様(やう)に思(おも)ひます。
328 また第八(だいはち)の資格(しかく)として茲(ここ)に申上(まをしあ)げますれば、329聖主(せいしゆ)は暗黒(あんこく)なる社会(しやくわい)又(また)は宗教(しうけう)方面(はうめん)より非常(ひじやう)な圧迫(あつぱく)を受(う)け、330終(つひ)には今(いま)や八洲(やす)の川原(かはら)の誓約(うけひ)の厄(やく)に逢(あ)ひ、331千座(ちくら)の置戸(おきど)を負(お)はせられ、332髭(ひげ)を根底(ねそこ)よりむしられ、333手足(てあし)の生爪(なまづめ)まで抜(ぬ)き取(と)られ、334血(ち)と涙(なみだ)とを以(もつ)て五濁(ごぢよく)の世(よ)を洗(あら)ひつつ、335あらゆる困苦(こんく)と艱難(かんなん)に当(あた)つて益々(ますます)勇気(ゆうき)を振(ふ)り起(おこ)し、336世界(せかい)人類(じんるゐ)のために大活躍(だいくわつやく)を昼夜(ちうや)間断(かんだん)なく続(つづ)けられて居(を)られます。337又(また)諸事物(しよじぶつ)に対(たい)しては神明(しんめい)の如(ごと)く明確(めいかく)なる裁断(さいだん)を下(くだ)し、338即座(そくざ)に解決(かいけつ)を与(あた)へ、339且(か)つその信念(しんねん)は日(ひ)に月(つき)に堅実(けんじつ)を増(ま)し、340熱烈(ねつれつ)の度(ど)を加(くは)へ、341今(いま)や官海(くわんかい)方面(はうめん)より強烈(きやうれつ)なる圧迫(あつぱく)を受(う)けつつ泰然(たいぜん)自若(じじやく)として天下(てんか)万民(ばんみん)のために心力(しんりよく)を傾注(けいちう)し、342五六七(みろく)神政(しんせい)の福音(ふくいん)を口(くち)に筆(ふで)に開示(かいじ)されつつあります。343開闢(かいびやく)以来(いらい)深(ふか)く閉(とざ)されつつあつた神秘(しんぴ)の門(もん)も、344漸次(ぜんじ)聖主(せいしゆ)に由(よ)つて開放(かいはう)されつつあります。345何(いづ)れの世(よ)にも勝(すぐ)れたるものは、346世界(せかい)の圧迫(あつぱく)を一度(いちど)は受(う)けるものですが、347我(わが)聖主(せいしゆ)の如(ごと)きは、348十字架(じふじか)を負(お)ひ玉(たま)ひし基督(キリスト)の贖罪(しよくざい)にも優(まさ)つた程(ほど)の世(よ)の圧迫(あつぱく)と疑惑(ぎわく)と嘲罵(てうば)とを浴(あび)せかけられて少(すこ)しも撓(たゆ)まず屈(くつ)せず、349殆(ほとん)ど旅人(りよじん)の春(はる)の野(の)を行(ゆ)く如(ごと)き状態(じやうたい)で身(み)を処(しよ)し、350能(よ)く神(かみ)の教(をしへ)に従(したが)つて忍耐(にんたい)されつつ居(を)られます』
351バハーウラー『どうも有難(ありがた)う。352貴師(あなた)のお談(はなし)によつて私(わたし)も大(おほい)に心強(こころづよ)さを感(かん)じました。353何(ど)うか今一(いまひと)つ第九(だいく)の資格(しかく)に就(つ)いて、354聖主(せいしゆ)の御(ご)行動(かうどう)に関(くわん)する御(ご)説示(せつじ)を願(ねが)ひます』
355ブラバーサ『聖主(せいしゆ)は人類(じんるゐ)愛善(あいぜん)は言(い)ふに及(およ)ばず、356山河(さんか)草木(さうもく)禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)の端(はし)に至(いた)るまで博(ひろ)く愛(あい)し玉(たま)ふことは、357平素(へいそ)の行動(かうどう)に由(よ)つて一般(いつぱん)信者(しんじや)の崇敬(すうけい)感謝(かんしや)措(お)く能(あた)はざる所(ところ)です。358凡(すべ)ての宗教(しうけう)に対(たい)し該博(がいはく)なる観察力(くわんさつりよく)を以(もつ)て深(ふか)く真解(しんかい)を施(ほどこ)し、359生命(せいめい)を与(あた)へ、360以(もつ)て世界(せかい)の宗教(しうけう)の美点(びてん)を揚(あ)げ、361抱擁(はうよう)帰一(きいつ)の大精神(だいせいしん)を以(もつ)て対(たい)したまひますが故(ゆゑ)に、362凡(すべ)ての宗教家(しうけうか)の白眉(はくび)たる人士(じんし)は雲(くも)の如(ごと)く膝下(しつか)に集(あつ)まり、363何(いづ)れも皆(みな)満足(まんぞく)をしてその教(をしへ)を乞(こ)ふて居(を)ります。364世界(せかい)平和(へいわ)の確定(かくてい)と宗教(しうけう)の統一(とういつ)、365世界(せかい)共通(きようつう)的(てき)文明(ぶんめい)の建設者(けんせつしや)にして、366最(もつと)も卓絶(たくぜつ)したる真善美(しんぜんび)の道徳(だうとく)体現者(たいげんしや)だと信(しん)じます。367やがて時(とき)来(きた)らば、368天晴(あつぱれ)メシヤとして万(まん)人(にん)に仰(あふ)がれ玉(たま)ふ時(とき)が来(く)るであろうと、369私共(わたくしども)は固(かた)く信(しん)じて疑(うたが)ひませぬ。370アブデユル・バハー大聖主(だいせいしゆ)の再来(さいらい)か、371その聖霊(せいれい)の再現(さいげん)か、372何(いづ)れにしても暗黒(あんこく)無明(むみやう)なる現社会(げんしやくわい)の光明(くわうみやう)だと信(しん)じて止(や)まないので御座(ござ)います』
373バハーウラー『いろいろと御(ご)懇切(こんせつ)なる御(ご)説示(せつじ)に預(あづ)かりまして、374私(わたし)も大(おほい)に得(う)る所(ところ)が御座(ござ)いました。375どうやらエルサレムに着車(ちやくしや)した様(やう)ですから、376茲(ここ)で御(お)別(わか)れ致(いた)しませう。377私(わたし)はパレスタインの或(あ)る高丘(かうきう)に、378大聖主(だいせいしゆ)の後嗣(こうし)が居(を)られますので、379一寸(ちよつと)御(お)訪(たづ)ねいたし、380再(ふたた)び橄欖山(かんらんざん)上(じやう)にお目(め)にかかり、381結構(けつこう)なる御(お)説示(せつじ)を蒙(かうむ)り度(た)いと存(ぞん)じて居(を)りますから、382今後(こんご)宜敷(よろし)く御(ご)指導(しだう)を願(ねが)ひます。383そして私(わたし)はアメリカンコロニーへ訪問(はうもん)したいと思(おも)つて居(を)ります』
384ブラバーサ『私(わたし)も貴師(あなた)と同道(どうだう)を願(ねが)ひたいものですが、385少(すこ)しばかり神命(しんめい)を帯(お)びて来(き)て居(を)りますので、386先(ま)づ第一(だいいち)に橄欖山(かんらんざん)へ参(まゐ)り、387神(かみ)様(さま)の御(ご)都合(つがふ)に由(よ)つてアメリカンコロニーや貴師(あなた)の御(ご)在所(ざいしよ)を御(お)訪(たづ)ねするかも知(し)れませぬから、388何分(なにぶん)にも宜敷(よろし)く御(お)願(ねがひ)申上(まをしあ)げます』
389と、390茲(ここ)に両人(りやうにん)は又(また)もや固(かた)き握手(あくしゆ)を交換(かうくわん)し、391互(たがひ)に車窓(しやそう)を急(いそ)いでプラツトホームへ出(いで)たり。
392○
393三千(さんぜん)世界(せかい)の人類(じんるゐ)や
394禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)に至(いた)るまで
395救(すく)ひの御船(みふね)を差向(さしむ)けて
396誠(まこと)の教(のり)をさとし行(ゆ)く
397神幽現(しんいうげん)の大聖師(だいせいし)
398太白星(たいはくせい)の東天(とうてん)に
399閃(ひらめ)く如(ごと)く現(あら)はれぬ
400一切(いつさい)万事(ばんじ)救世(きうせい)の
401誠(まこと)の智慧(ちゑ)を胎蔵(たいざう)し
402世間(せけん)のあらゆる智者(ちしや)学者(がくしや)
403凡(すべ)ての権威(けんゐ)に超越(てうゑつ)し
404迫害(はくがい)苦痛(くつう)を一身(いつしん)に
405甘受(かんじゆ)し世界(せかい)を助(たす)け行(ゆ)く
406歓喜(くわんき)と平和(へいわ)を永遠(ゑいゑん)に
407森羅(しんら)万象(ばんしやう)に供給(きようきふ)し
408至幸(しかう)至福(しふく)の神恵(しんけい)の
409精神(せいしん)上(じやう)の王国(わうごく)を
410斯(こ)の土(ど)の上(うへ)に建設(けんせつ)し
411無限(むげん)の仁慈(じんじ)を経(たて)となし
412無窮(むきう)の智識(ちしき)を緯(ぬき)として
413小人(せうじん)弱者(じやくしや)の耳(みみ)に克(よ)く
414理解(りかい)し易(やす)き明教(めいけう)を
415徹底(てつてい)的(てき)に唱導(しやうだう)す
416如何(いか)なる悪魔(あくま)も言霊(ことたま)の
417威力(ゐりよく)に言向和(ことむけやは)しつつ
418寄(よ)せ来(く)る悲哀(ひあい)と災厄(さいやく)を
419少(すこ)しも心(こころ)に掛(か)けずして
420所信(しよしん)を飽(あ)くまで貫徹(くわんてつ)し
421裁(さい)制(せい)断(だん)割(かつ)の道(みち)極(きは)め
422神人(しんじん)和合(わがふ)の境(きやう)に立(た)ち
423悪魔(あくま)の敵(てき)に会(あ)ふ毎(ごと)に
424心(こころ)は益々(ますます)堅実(けんじつ)に
425信仰(しんかう)熱度(ねつど)を日(ひ)に加(くは)へ
426三千(さんぜん)世界(せかい)に共通(きやうつう)の
427真(しん)の文明(ぶんめい)を完成(くわんせい)し
428世界(せかい)雑多(ざつた)の宗教(しうけう)や
429凡(すべ)ての教義(けうぎ)を統一(とういつ)し
430崇高至上(すうかうしじやう)の道徳(だうとく)を
431不言(ふげん)実行(じつかう)体現(たいげん)し
432暗黒(あんこく)無道(ぶだう)の社会(しやくわい)をば
433神(かみ)の教(をしへ)と神力(しんりき)に
434照破(せうは)し尽(つく)し天津(あまつ)日(ひ)の
435光(ひかり)を四方(よも)に輝(かがや)かす
436仁慈(じんじ)の神(かみ)の神業(しんげふ)に
437奉仕(ほうし)するこそ世(よ)を救(すく)ふ
438大神人(だいしんじん)の任務(にんむ)なれ
439あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
440御霊(みたま)幸倍(さちはへ)坐(まし)ませよ。
441(大正一二・七・一〇 旧五・二七 加藤明子録)
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