霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第一五章 貂心暴(てんしんばう)〔一七一七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻 篇:第3篇 多羅煩獄 よみ(新仮名遣い):たらはんごく
章:第15章 貂心暴 よみ(新仮名遣い):てんしんぼう 通し章番号:1717
口述日:1924(大正13)年12月28日(旧12月3日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年8月19日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
山賊たち親分シャカンナの妻の十年祭として宴会を始める。
シャカンナ、バルギー、コルトン、玄真坊も酒盛りを始める。
山賊たちは、玄真坊の連れの棚機姫に酒を注いでもらおうとする。
棚機姫は自分が玄真坊にだまされていたことを悟り、暇を告げようとするが、玄真坊に遮られて逃げ出すことができない。
棚機姫とは、実はダリヤのことであった。
玄真坊はダリヤの気を引いて自分の妻にしようという魂胆であったが、ダリヤに肘鉄を食わされる。
山賊たちはこの様を肴に酒盛りを続ける。
このままでは逃げられないと悟ったダリヤは、玄真坊にまめまめしく酌を始める。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-05-13 17:59:15 OBC :rm6715
愛善世界社版:191頁 八幡書店版:第12輯 101頁 修補版: 校定版:193頁 普及版:68頁 初版: ページ備考:
001 一方(いつぱう)バルギーは沢山(たくさん)部下(ぶか)(さけ)(さかな)(および)美食(びしよく)(あた)002今日(けふ)奥様(おくさま)十年祭(じふねんさい)だから、003遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)もなく()()へ』と命令(めいれい)しおき、004コルトンと(とも)にシャカンナの居間(ゐま)細長(ほそなが)干瓢頭(かんぺうあたま)をニユツと()()した。
005バルギー『エー親方(おやかた)(さま)006室外(しつぐわい)にて(うけたま)はれば、007今晩(こんばん)最早(もはや)読経(どくきやう)()()しになるとの(こと)008……英雄(えいゆう)英雄(えいゆう)との会合(くわいがふ)(なに)よりの()回向(ゑかう)になる……と(おほ)せられたのを(うけたま)はり、009部下(ぶか)用意(ようい)(さけ)(さかな)(あた)へておきました。010大変(たいへん)()機嫌(きげん)(ござ)いますな』
011シャカンナ『ウーン、012今日(けふ)はどこ(とも)なく天気(てんき)()し、013気分(きぶん)()()だ。014コルトン、015(きさま)骨折(ほねをり)で、016(おれ)片腕(かたうで)(ひろ)つて()てくれたやうなものだ。017ヤ、018感謝(かんしや)する。019マア一杯(いつぱい)やれ』
020コルトン『エー、021親方(おやかた)(さま)022合点(がつてん)のいかぬ(こと)仰有(おつしや)いますな。023何時(いつ)貴方(あなた)はコルトンは(みぎ)(うで)024バルギーは(ひだり)(うで)仰有(おつしや)いましたが、025(この)修験者(しゆげんじや)片腕(かたうで)とならば、026一体(いつたい)どうなるので(ござ)います。027三本(さんぼん)(かひな)()つから必要(ひつえう)ないやうに(かんが)へますがな』
028シヤ『ウーン、029それで()いのだ。030コルトン、031バルギー二人(ふたり)(あは)して(ひだり)(うで)とする、032そして(この)天真坊(てんしんばう)殿(どの)(みぎ)(うで)とするのだ。033(これ)から、034さう心得(こころえ)たが()からうぞ』
035コル『ハイ、036仕方(しかた)がありませぬ。037のうバルギー、038それで辛抱(しんばう)せうかな』
039バル『ウーン、040到頭(たうとう)(ふた)(いち)だ。041随分(ずいぶん)相場(さうば)下落(げらく)したものぢやないか。042早晩(さうばん)こんな(こと)突発(とつぱつ)すると(おも)うてゐたのだ。043(きさま)仕様(しやう)もない修験者(しゆげんじや)引張(ひつぱ)つてくるものだから、044こんな破目(はめ)になつたのだ。045エー、046沢山(たくさん)乾児(こぶん)(たい)し、047(おれ)今日(けふ)から半人前(はんにんまへ)になつたなどと、048()うしていはれるものか。049(おほかみ)のやうな連中(れんちう)を、050親分(おやぶん)片腕(かたうで)といひ、051威喝(ゐかつ)して、052(やうや)(をさ)めて()たのだのに、053半片腕(はんかたうで)となつちや部下(ぶか)統制(とうせい)出来(でき)まい。054あーあ仕方(しかた)がないなア』
055(げん)『ワツハヽヽヽヽ、056オイ、057コルトン、058バルギー、059(なん)といふ(なさけ)ない(つら)をするんだいエヽン。060よく(かんが)へてみろ、061天帝(てんてい)化身(けしん)062天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)と、063仮令(たとへ)半分(はんぶん)にもせよ、064(かた)(なら)べるといふ(こと)(きさま)(たち)にとつては、065無上(むじやう)光栄(くわうえい)ぢやないか。066(なん)(その)不足(ふそく)(さう)(つら)は……(まる)()梟鳥(ふくろどり)夜食(やしよく)(はづ)れたといはうか、067折角(せつかく)苦心(くしん)して(ぬす)んで()松魚節(かつをぶし)(いぬ)()られた(ねこ)のやうに068つまらぬ面付(つらつき)して半泣(はんな)きになつてるぢやないか。069チツとしつかりせぬかい。070そんな腰抜(こしぬけ)友達(ともだち)()つたと(おも)へば、071(おれ)()きたくなつて()るワイ。072ウツフヽヽヽ、073(なさけ)ない(かほ)だのう。074それでも(もと)(とほ)りになるだらうか。075耆婆(きば)扁鵲(へんじやく)でも(たの)んで()ねば、076快復(くわいふく)到底(たうてい)覚束(おぼつか)ないだらう。077(おれ)診察(しんさつ)する(ところ)()れば、078予後(よご)不良(ふりやう)だ。079瀕死(ひんし)重病(ぢうびやう)だ、080アハヽヽヽ』
081シャ『オイ、082(まへ)(たち)083兄弟(きやうだい)喧嘩(げんくわ)はみつともないぞ。084()(かく)(おれ)(めん)じて仲能(なかよ)うしてくれ。085少々(せうせう)不平(ふへい)不満(ふまん)隠忍(いんにん)するが、086(おれ)(たい)する忠義(ちうぎ)だ。087(おれ)()(こと)なら、088(なん)でも()きますと、089いつも()つてるぢやないか。090自分(じぶん)都合(つがふ)()(こと)(ふた)返詞(へんじ)早速(さつそく)()くなり、091チツと(ばか)面白(おもしろ)くないと()つて、092そんな怪体(けたい)(つら)をするものぢやない。093(あま)肝玉(きもだま)(ちひ)さうすぎるぢやないか。094それよりも玄真殿(げんしんどの)のつらつて()棚機姫(たなばたひめ)(さま)(やはら)かいお手々(てて)でお(しやく)でもして(もら)つて、095機嫌(きげん)(なほ)したら()からう』
096コル『エ、097(なん)親方(おやかた)(おほ)せられます。098こんな奇麗(きれい)なお(かた)に……(さけ)をついで(もら)つて()め……と仰有(おつしや)るのですか、099ヤ、100有難(ありがた)い。101流石(さすが)親分(おやぶん)だ。102()()いてる。103のうバルギー、104こんな(こと)があるから、105親分(おやぶん)には(はな)れられないといふのだ、106エヘヽヽヽ』
107バル『オイ、108コルトン、109みつともないぞ。110(なん)だ、111(きさま)(くち)から(ひか)つた(いと)のやうなものが、112(さが)つてゐるぢやないか。113たぐれ たぐれ』
114コル『ナアニ、115コリヤ棚機姫(たなばたひめ)(さま)(にしき)御機(みはた)をお(おり)(あそ)ばす(たま)(いと)だ。116粘液性(ねんえきせい)()み、117そして光沢(くわうたく)(あざや)かだらう、118イツヒヽヽヽ』
119(げん)『オイ、120コルトン、121バルギー、122今日(けふ)から(おれ)天帝(てんてい)化身(けしん)123玄真坊(げんしんばう)頭尾(とうび)()つて、124天真坊(てんしんばう)改名(かいめい)したのだから、125今後(こんご)天真坊(てんしんばう)(さま)()んでくれよ。126(その)(かは)りに、127天真(てんしん)爛漫(らんまん)たる棚機姫(たなばたひめ)さまの(やはら)かいお手々(てて)で、128(さけ)のお給仕(きふじ)を、129今日(けふ)一席(いつせき)(かぎ)り、1291(ゆる)してやらう。130どうぢや有難(ありがた)いか』
131コル『さう(おん)にきせられると、132()つから有難(ありがた)くもありませぬワ。133のうオイ、134バルギー、135(あま)勿体(もつたい)なくて()(つぶ)れると(こま)るから、136(をとこ)らしく(ひら)御免(ごめん)(かうむ)らうぢやないか』
137バル『(おれ)や、138(なん)()つても有難(ありがた)いワ。139(さかづき)一滴(いつてき)でも()いから()いで(もら)ひたいな。140キツとこんな女神(めがみ)(さま)(さけ)をついで(もら)ふと、141(その)(とく)にあやかつて出世(しゆつせ)するよ。142そしてこんな(うつく)しい女房(にようばう)()てるかも()れないからな』
143コル『ヘン仰有(おつしや)います(わい)144反古(ほぐ)紙撚(かみより)(あみ)あげた羅漢(らかん)のやうな(つら)しやがつて、145美人(びじん)女房(にようばう)午蒡(ごばう)もあつたものかい。146チツと(きさま)(つら)相談(さうだん)したら()からうぞ、147ウツフヽヽヽ』
148(をんな)(ダリヤ)『もし、149天帝(てんてい)()化身(けしん)(さま)150貴方(あなた)(わたし)がスガの(やま)参拝(さんぱい)(いた)しました(とき)151(てん)から(くだ)つたと仰有(おつしや)いまして、152……お(まへ)(はは)(けつ)して()んでゐない。153()きて()るから()はしてやらう……と仰有(おつしや)つたぢや(ござ)いませぬか。154それを(まこと)(しん)じ、155此処(ここ)(まで)(とも)をして(まゐ)りましたのに……泥棒(どろばう)(さけ)(しやく)をせよ……とはお(なさけ)ないお言葉(ことば)では(ござ)いませぬか。156そして貴方(あなた)最前(さいぜん)から()いてをれば、157(この)()(いつは)悪魔(あくま)玄真坊(げんしんばう)さまとやら、158オーラ(さん)立籠(たてこも)数多(あまた)人間(にんげん)をゴマ(くわ)して(ござ)つた(ふと)いお(かた)のやうです。159(わたし)はモウ愛想(あいさう)がつきましたからモウ御免(ごめん)(かうむ)つて(ひと)りで(かへ)ります。160どうぞこれ(まで)御縁(ごえん)(おも)(あきら)(くだ)さいませ。161貴方(あなた)素性(すじやう)(わか)つた以上(いじやう)は、162半時(はんとき)だつて(そば)にをれませぬ。163そして皆様(みなさま)(まをし)()げておきますが、164只今(ただいま)165玄真坊(げんしんばう)(さま)に……これ(まで)御縁(ごえん)(おも)(あきら)めて(くだ)さい……と()つたのは、166(けつ)して(あや)しい関係(くわんけい)のある意味(いみ)では(ござ)いませぬ。167スガの(やま)から此処(ここ)(まで)()れて()られた(こと)()ふので(ござ)いますからね。168一樹(いちじゆ)(かげ)雨宿(あまやど)り、169一河(いちが)(なが)れを()むさへも他生(たしやう)(えん)170といひませう。171どうか、172誤解(ごかい)のないやうに()賢察(けんさつ)(ねが)ひます、173ホヽヽヽヽ。174アタ阿呆(あはう)らしい、175(わたし)(なん)といふ馬鹿(ばか)だらう。176こんな売僧(まいす)坊主(ばうず)誘惑(いうわく)されて、177自分(じぶん)自分(じぶん)愛想(あいさう)がつきて()た。178左様(さやう)なら。179(みな)さま、180ゆつくり御酒(ごしゆ)でもおあがりなさい』
181とツツと()つて(かへ)らうとする。182玄真坊(げんしんばう)()だらけの猿臂(ゑんぴ)()ばし、183グツと(ちから)()れて(をんな)首筋(くびすぢ)(つか)み、184(その)()捻伏(ねぢふ)(なが)ら、185川瀬(かはせ)乱杭(らんぐひ)(やう)()()せ、186大口(おほぐち)(ひら)いて、
187(げん)『アハヽヽヽ、188ても(さて)()頓馬(とんま)だなア。189(この)玄真坊(げんしんばう)(さま)(した)三寸(さんずん)(あやつ)られ、190こんな岩窟(いはや)までおびき()されたのは、191其方(そち)不覚(ふかく)だ。192モウ()うなる以上(いじやう)は、193何程(なにほど)(かへ)らうと()つても(かへ)すものか。194(まへ)此処(ここ)()れて()たのは(ふか)(たく)みのある(こと)だ。195因果(いんぐわ)(さだ)めて服従(ふくじゆう)した(はう)其方(そち)()(ため)だらう。196ても(さて)可愛(かあい)ものだなア』
197(をんな)(ダリヤ)『エー、198(けが)らはしい、199悪魔(あくま)(くち)から可愛(かあい)(もの)だなどと、200そんな同情(どうじやう)(てき)悪言(あくげん)はやめて(くだ)さい。201(わたし)(はばか)(なが)ら、202スガの(みなと)百万(ひやくまん)長者(ちやうじや)アリスの(むすめ)203ダリヤ(ひめ)(ござ)いますよ。204(わが)()(かへ)れば(なに)不自由(ふじゆう)なく安心(あんしん)にゆけるものを、205(なに)(くるし)んでこんな不便(ふべん)土地(とち)(まゐ)り、206イケ()かない売僧(まいす)坊主(ばうず)のお(まへ)(したが)ふやうな馬鹿(ばか)(こと)(いた)しませぬから、207(おも)()つて、208(をとこ)らしう(わたし)(かへ)らして(くだ)さい』
209(げん)『さう片意地(かたいぢ)()るものぢやない。210人間(にんげん)(うき)(しづ)七度(ななたび)()つて、211いろいろの波風(なみかぜ)(あた)らねば、2111人生(じんせい)(しん)幸福(かうふく)(あぢ)はへないものだ。212何程(なにほど)百万(ひやくまん)長者(ちやうじや)(むすめ)でも、213(いち)(にち)一斗(いつと)(こめ)()(わけ)にもいかず、214着物(きもの)(じふ)(まい)二十(にじふ)(まい)()(わけ)にはゆこうまい。215(まへ)(うち)()つても此処(ここ)()つても、216()(だけ)のことは()はしてやる。217(けつ)して不自由(ふじゆう)はさせぬ。218どうだ、219出家(しゆつけ)(はだ)()るれば、220子孫(しそん)七代(しちだい)繁栄(はんえい)するといふぢやないか。221その(うへ)222七代前(しちだいぜん)先祖(せんぞ)(まで)地獄(ぢごく)()(のが)極楽(ごくらく)浄土(じやうど)(のぼ)ると()功徳(くどく)がある。223()祖先(そせん)子孫(しそん)幸福(かうふく)(おも)つて、224(おれ)()(でう)につくが、225アリス()(ため)だらうよ。226どうだ、227合点(がつてん)()つたか。228()から(はな)()()けるやうな(かしこ)いお(まへ)(こと)だから、229キツと(おれ)()(こと)(わか)つただらうなア』
230ダリヤ『エー(けが)らはしい、231()うそんな(こと)仰有(おつしや)いますな。232貴方(あなた)山賊(さんぞく)親分(おやぶん)結託(けつたく)し、233オーラ(さん)焼直(やきなほ)しをやるお(かんが)へでせう。234そんな(あぶ)ない(こと)はおよしなさいませ。235今度(こんど)はお(いのち)()くなりますよ』
236(げん)『アハヽヽヽ、237(まへ)(ため)(いのち)()くなるのは本望(ほんまう)だ。238一層(いつそ)(こと)239(まへ)(その)(やさ)しい()(ころ)して()しい。240コレ、241ダリヤ、242これだけ(おも)()んだ(をとこ)243さう無下(むげ)()(はら)ふものぢやない。244男冥加(をとこめうが)()きるぞよ』
245ダリ『エヽ(なん)なつと仰有(おつしや)いませ、246(わたし)()りませぬ。247(この)(うへ)貴方(あなた)(たい)言葉(ことば)をかはしませぬ』
248(げん)『エ、249さてもさても渋太(しぶと)(あま)だなア』
250コル『アハヽヽヽ、251天帝(てんてい)()化身(けしん)(さま)(をんな)にかけたら(もろ)いものだな。252オイ、253バルギー、254こんなデレ(すけ)兄弟分(きやうだいぶん)になるとは、255(あま)有難(ありがた)すぎるぢやないか。256親分(おやぶん)親分(おやぶん)だ。257どこに見込(みこみ)があるのかな』
258バル『久米(くめ)仙人(せんにん)でさへも、259(をんな)(しろ)(もも)をみて通力(つうりき)(うしな)ひ、260(てん)からおちたと()ふぢやないか。261何程(なにほど)天帝(てんてい)()化身(けしん)だつて、262こんな(うつく)しいシャンの(つら)()りや、263堕落(だらく)するのは当然(あたりまへ)だよ、264ウフヽヽヽ』
265シャ『オイ、266コルトン、267バルギー、268(さけ)()いでくれ。269(なん)だか天真(てんしん)(さま)のチンチン喧嘩(げんくわ)で、270()(しら)けたやうだ。271一杯(いつぱい)()んで(おほい)(をど)つてくれないか』
272コル『ハイ、273(すで)(すで)(むね)(をど)つて()ります。274そして(この)天帝(てんてい)化身(けしん)さまは、275棚機姫(たなばたひめ)さまに余程(よほど)おどつて()りますね。276いな(おと)つてゐるぢやありませぬか』
277シャ『オイ、278いらぬ(こと)をいふな。279天真坊(てんしんぼう)(さま)()機嫌(きげん)(そこ)ねちや大変(たいへん)だぞ』
280(げん)『オイ、281シャカンナ殿(どの)282こんな小童(こわつぱ)武者(むしや)相手(あひて)にしなさるな。283(をとこ)(さが)るから……』
284コル『ヘン(をとこ)(さが)るのは玄真(げんしん)さまぢやないか。285(おれ)(たち)(まへ)で、286タカが(をんな)一疋(いつぴき)半疋(はんびき)肱鉄(ひぢてつ)をかまされ、287赤恥(あかはぢ)をかかされ、288シヤアつく洒蛙(しあ)々々(しあ)(ぜん)として(かはづ)(つら)(みづ)289馬耳(ばじ)東風(とうふう)(よろ)しくといふ、290鉄面皮(てつめんぴ)だからなア。291(をとこ)のさがることも、292(はづ)かしい(こと)もお(わか)りならないのだらう』
293バル『そらさうだとも、294(はぢ)といふ(こと)()らぬ(もの)(はづ)かしいといふ観念(くわんねん)()るものか、295人間(にんげん)もここ(まで)徹底(てつてい)すれば、296結句(けつく)297面白(おもしろ)いだらう、298ウツフヽヽヽ』
299 ダリヤは因果(いんぐわ)(さだ)めたか、300平然(へいぜん)として機嫌(きげん)(なほ)し、301シャカンナや玄真坊(げんしんばう)愛嬌(あいけう)をふりまき(なが)ら、302(しやく)をして()る。303玄真坊(げんしんばう)(こころ)(うち)にて、
304玄真坊『ヤア(しめ)た、305ヤツパリ(おれ)色男(いろをとこ)だ。306ダリヤの(やつ)307人中(ひとなか)だと(おも)つて、308ワザとにあんな(こと)(ぬか)してゐやがつたのだな。309ウンよしよし、310ダリヤが(その)(こころ)なら、311(おれ)(これ)から特別(とくべつ)大切(だいじ)にしてやらう。312(あい)はすべて相対(さうたい)(てき)だから、313何程(なにほど)此方(こつち)(あい)してやらうと(おも)つても、314先方(むかふ)(その)(あい)()けないと()うする(こと)出来(でき)ない。315ヤア願望(ぐわんまう)成就(じやうじゆ)だ』
316(おも)はず()らず小声(こごゑ)口走(くちばし)つた。317ダリヤは(これ)()いて、318『ホヽヽヽ』と(ちひ)さく(わら)ひ、319せつせと()(にん)(をとこ)酒注(さけつ)ぎをやつてゐる。320玄真坊(げんしんばう)得意然(とくいぜん)として(うた)()した。
321(げん)()(なか)
322(さけ)より大事(だいじ)(もの)はない
323(さけ)より大事(だいじ)(もの)がある
324それは(なに)よと(たづ)ぬれば
325(はな)顔容(かんばせ)(つき)(まゆ)
326天女(てんによ)のやうなダリヤ(ひめ)
327(あま)矛鉾(ぬほこ)回転(くわいてん)
328ウマンマ()れの山奥(やまおく)
329おびき()したる(わが)手柄(てがら)
330鬼神(きじん)もさぞや(おどろ)かむ
331()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)
332(やみ)(あと)には(つき)()
333(つき)より(はな)より(ゆき)よりも
334一層(いつそう)綺麗(きれい)(この)シャンは
335玄真(げんしん)さまの宿(やど)(つま)
336(おも)へば(おも)へば有難(ありがた)
337(これ)(おも)へば人間(にんげん)
338完全(くわんぜん)無欠(むけつ)大知識(だいちしき)
339(うま)活用(くわつよう)せにやならぬ
340智慧(ちゑ)言葉(ことば)余徳(よとく)にて
341棚機姫(たなばたひめ)にもまがふなる
342姿(すがた)(やさ)しいダリヤさま
343タニグク(やま)山麓(さんろく)
344岩窟(いはや)(かま)へしシャカンナの
345(うづ)御殿(ごてん)(あら)はれて
346(すず)のやうなる(こゑ)(しぼ)
347愛嬌(あいけう)たつぷりふり()いて
348(しやく)をなさる手際(てぎは)よさ
349(ひめ)のたたむき(なが)むれば
350象牙(ざうげ)細工(ざいく)のやうな(つや)
351(つめ)(いろ)をば調(しら)ぶれば
352瑪瑙(めなう)のやうな(ひか)(かた)
353こんな美人(びじん)(また)()
354二人(ふたり)とあらうかあらうまい
355ホンに(わが)()(なん)として
356こんな幸福(かうふく)見舞(みま)ふのか
357(むかし)(むかし)神代(かみよ)から
358(ぜん)をば(たす)悪人(あくにん)
359(いまし)(きた)りし余徳(よとく)だらう
360こんなナイスと()ふからは
361ヤツパリ(おれ)(たましひ)
362万更(まんざら)すてたものでない
363(むかし)神代(かみよ)天国(てんごく)
364(たふと)(かみ)(おん)身魂(みたま)
365澆季(げうき)末法(まつぽふ)()(うれ)
366(かみ)命令(みこと)(かしこ)みて
367(この)()(うへ)降臨(かうりん)
368衆生(しゆじやう)済度(さいど)(はげ)むべく
369(めい)をうけたる御魂(みたま)だらう
370あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
371()れは(かみ)なり()れも(かみ)
372(かみ)(かみ)との(むつ)(あひ)
373よき()よき(とき)(あひ)えらび
374シャカンナさまの仲介(なかうど)
375(あめ)御柱(みはしら)めぐり()
376山川(さんせん)草木(さうもく)()(なら)
377(たふと)(かみ)()大空(おほぞら)
378(ほし)(かず)(ほど)()みおとし
379いよいよ(まこと)(すく)(ぬし)
380生神(いきがみ)(さま)とあがめられ
381(この)()永久(とは)(いのち)をば
382(たも)ちて世人(よびと)(すく)()
383(まこと)(かみ)となつてみよう
384シャカンナさまの(くはだ)てを
385(これ)から夫婦(ふうふ)相助(あひたす)
386悪人輩(あくにんばら)(たひら)げて
387タラハン(ごく)(わざはひ)
388科戸(しなど)(かぜ)吹払(ふきはら)
389天晴(あつぱれ)(まこと)生神(いきがみ)
390天地(てんち)(とも)芳名(はうめい)
391千代(ちよ)万代(よろづよ)(てら)すべし
392あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
393(うれ)しい(こと)になつて()
394(これ)梵天(ぼんてん)自在天(じざいてん)
395ウラルの(かみ)八百万(やほよろづ)
396神々(かみがみ)(さま)(おん)(めぐ)
397ホンに(うれ)しい(たの)もしい
398ダリヤの(ひめ)(たま)()
399(くび)をまかれてスヤスヤと
400白川(しらかは)夜舟(よぶね)(たび)をなし
401(たちま)天国(てんごく)浄土(じやうど)(そら)
402一夜(いちや)(うち)(まゐ)りませう
403コルトン、バルギー両人(りやうにん)
404こんな(ところ)()せられて
405さぞやさぞさぞお(こころ)
406もめるであらうが辛抱(しんばう)せよ
407やがてお(まへ)(とき)()れば
408目鼻(めはな)のついた女房(にようばう)
409(おれ)世話(せわ)してやる(ほど)
410(すゑ)(すゑ)をば(たのし)んで
411キツと悋気(りんき)をしてくれな
412ダリヤは(おれ)女房(にようばう)
413(ゆめ)にも秋波(しうは)(おく)るなよ
414あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
415(すめ)大神(おほかみ)(おん)(まへ)
416天真坊(てんしんばう)真心(まごころ)
417(ささ)げまつつて両人(りやうにん)
418ダリヤの色香(いろか)(まよ)はぬやう
419()(まも)(くだ)さる(その)(よし)
420(ひとへ)(ねが)(たてまつ)
421(ひとへ)(ねが)(たてまつ)る』
422シャ『アハヽヽヽ、423イヤもう(えら)(ところ)をみせつけられ、424(この)(ぢい)二十(にじふ)(ねん)(ばか)()(わか)くなつて()た。425天真坊(てんしんばう)殿(どの)()得意(とくい)426(おも)ふべしだな、427アハヽヽヽ』
428(げん)『エヘヽヽヽ、429なア、430ダリヤ、431イヒヽヽヽ』
432ダリ『……………』
433コル『ヘン、434馬鹿(ばか)にしてゐやがる。435(おれ)だつて、436さう軽蔑(けいべつ)したものぢやないワ。437おつつけ、438立派(りつぱ)女房(にようばう)をどつかで掠奪(りやくだつ)して()て、439天真坊(てんしんぼう)さまの(おん)()(まへ)にブラつかして()せてやるワイ。440のうバルギー、441さうなとしなくちや、442(おれ)(たち)(つら)丸潰(まるつぶ)れだからな』
443バル『フン、444フン』
445ダリ『ハルの(うみ)(さけ)(あらし)()きあれて
446(しこ)荒波(あらなみ)(たち)さわぐかな』
447シャ『うるはしきダリヤの(はな)山風(やまかぜ)
448()かれて(つひ)(うち)(なび)きける』
449(げん)(つき)()もよりて(つか)ふる()れなれば
450ダリヤの(ひめ)(した)ふも(むべ)よ。エヘヽヽヽ』
451大正一三・一二・三 新一二・二八 於祥雲閣 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki