霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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東上の旅

インフォメーション
題名:東上の旅 著者:出口王仁三郎
ページ:477
概要:28歳の頃 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-05-08 00:00:00 OBC :B119800c102
二十八歳の頃
会合所の神(まつ)るべく静岡の三保(みほ)の神社に(まう)でてぞゆく
真夜中に若森(わかもり)の里()()でて下駄うがちつつ凍道(いてみち)をゆく
(あし)(やま)峠にかかればチヨロチヨロと火を()きてゐる乞食(こじき)ありけり
またしても天引(あまびき)峠の()の舞ひかと心おちゐずそと通りけり
(あし)(やま)(くだ)ればほのぼのとひがしの空はしらみそめたり
(おい)(さか)峠を越えて夕暮にやうやく京都の駅に着きたり
京都より普通列車に乗り込みて江尻(えじり)の駅にやつと着きたり
われ一人江尻(えじり)の駅に汽車()りて下清水(しもしみづ)なる富士見橋渡る
月見里神社
師の(きみ)の居ませる月見里(やまなし)神社御前(みまへ)に正午十二時(まう)でし
大前(おほまへ)に祝詞を宣れば胸せまり有難涙(ありがたなみだ)にしばし暮れたり
大前(おほまへ)に祈願をはりて師の(きみ)の館を()へば家におはせり
よく来たとやさしき恩師の(こと)()に思はず知らず涙こぼるる
師の(きみ)の母のとよ子はことさらに(われ)を子の(ごと)いつくしみ給ふ
三保神社
やき(めし)をもらひて清水湾(しみずわん)渡り三保(みほ)の神社に師の(きみ)とゆく
三保神社の宝物(はうもつ)(あま)羽衣(はごろも)を師のゆるし得て拝観をなす
師の(きみ)にともなはれつつ羽衣の松の()かげに立ちて海()
(めづ)らしき(あま)岩笛(いはぶえ)足もとに落ちたるを師はひろひて(たま)へり
神様の賜ひしものよ(めづ)らしと師は微笑(ほほゑ)みて語りたまひぬ
風早(かざはや)の三保の浦曲(うらわ)の松原をすかして清き不二(ふじ)()(をろが)
一片(いつぺん)の雲ぎれもなく不二(ふじ)()紺碧(こんぺき)の空に澄みてたたせり
夕暮をまた舟に乗り師の(きみ)清水(しみづ)の里にやすく帰れり
帰国
師の母はわが子になれよと慇懃(いんぎん)に心をこめてさとし給へり
師の(きみ)の妹ひさ子は母上と朝夕神務(しんむ)にいそしめりけり
師の母の意味ありげなる言の葉を(われ)()きかねて迷ひゐたりき
一月(いちげつ)の二十五日の夕暮(ゆふぐれ)にわれ若森(わかもり)のさとにかへれり
(さと)びとは(われ)を迎へて慇懃(いんぎん)に長途の旅をねぎらひにける
駿河(するが)より守りかへりし御神璽(ごしんじ)を村人つどひ会合所に祭る
里人(さとびと)()の明けし如き心地すとよろこび勇み祭祀に(いそ)しむ
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