霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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迷信と野心

インフォメーション
題名:迷信と野心 著者:出口王仁三郎
ページ:327
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 04:40:00 OBC :B120200c35
()里の道を弟と語りあひつ(ただち)上谷(うへだに)修行場(しゆぎやうば)につく
上谷(うへだに)に帰りてみれば春蔵(はるざう)黒田(くろだ)塩見(しほみ)の姿みえなく
何となく心さびしく上谷(うへだに)人人(ひとびと)われを冷笑して迎ふる
悪神(あくがみ)にたぶらかされし里人(さとびと)はわれに対する態度かはれり
貧乏神(びんぼうがみ)はやく帰つて下されと露骨(ろこつ)にたのむ四方(しかた)安蔵(やすざう)
三人はいづくに行きしとたづぬれば安蔵(やすざう)へへへとせせら笑へり
世の元の三人さんがあらはれたであなたに用はござらぬと言ふ
修行者の四方(しかた)甚之丞(じんのじやう)をつかはして綾部の様子うかがはしめたり
わが留守に曲津(まがつ)はびこり三人を綾部に引きよせ隠謀(いんぼう)たくらむ
甚之丞(じんのじやう)帰り(きた)りて修行者はなかなか上谷(うへだに)に帰らぬといふ
甚『上田さんが何と云つても開祖様の(めい)(そむ)けぬと平蔵(へいざう)が言ひました』
甚『御三体(ごさんたい)の大神様の(かむ)がかり上田の自由にさせぬと平蔵がいひました』
三人を綾部に明日(あす)までおいたなら面倒(めんだう)いことが出来るとわれ言ひし
平蔵や其他(そのた)の役員(はら)あはせ上田は綾部に帰さぬといふ
神様の経綸(しぐみ)の邪魔する上田さんは綾部に帰つてくれなと言ひ居り
上田さんは(よこ)のお役で神様のお経綸(しぐみ)の邪魔をする人といふ
平蔵もその他の役員一同も妖魅(えうみ)の言葉にだまされて居り
上谷(うへだに)にわれ帰りしと聞くよりも福島はじめ三人(みたり)があわてる
綾部まで上田の帰らぬそのうちに経綸(しぐみ)をするとて一間(ひとま)にこもる
翌日(よくじつ)の午前の十時勇佑(ゆうすけ)顔色(かほいろ)かへて急ぎかへり()
何事(なにごと)のありしかと言へば勇佑(ゆうすけ)はふるひをののき大地へ手をつく
三人(さんにん)新宮(しんぐう)安藤(あんどう)金助(きんすけ)の庭に神様(うづ)もるとて掘りし
金助が家の大黒柱の()(いつ)しようけんめい三四(しやく)掘りぬ
白衣(はくい)をつけ()(はかま)つけ三人(さんにん)は庭掘る折しも警官が通る
警官は訊問(じんもん)ありと三人(さんにん)を綾部警察へつれてかへりし
開祖様平然として何事も神様の御都合とすましいませる
警察へ引かれた春蔵(はるざう)(ほか)二人(ふたり)未だかへり()ず心配といふ
勇『平蔵(へいざう)や足立にかくれてこの(ぢぢ)がそつと先生に知らせに来ました』
それだから早く帰せと言つたのに平蔵(へいざう)(やつ)がきかぬからだよ
勇佑(ゆうすけ)ははいその通りごもつとも恐れ()つたと(あたま)かき居り
迷信の深き平蔵曲神(まがかみ)にあざむかれつつ下手(へた)なことする
帰るにはわれ及ばずと上谷(うへだに)の幽斎修行の監督なしをり
しばしありて四方(しかた)平蔵(へいざう)飛び(きた)三人(さんにん)さんはゆるされたと(はう)
わが言葉(もち)ひざるためかくの(ごと)失敗ありしときびしくいましむ
平蔵は(かうべ)を左右にふりながら失敗でないこれがおしぐみ
庭を掘りて金勝要(きんかつかね)大神(おほかみ)(みたま)を出したと得意然(とくいぜん)たり
迷信者(めいしんじや)と馬鹿を教ふる道なしとわれあきらめてほほ()(もだ)せり
熟熟(つくづく)四方(しかた)平蔵(へいざう)(おも)を見つ(あは)れもよほす迷信のゆめ
三人(さんにん)土中(どちう)神像(しんざう)あらはしてわれに一泡(ひとあわ)吹かさんとせし
警察に拘引(こういん)されて春蔵(はるざう)()(あぶら)をとられをののきにけり
土中(どちう)から出るべき神像(しんざう)瑞御霊(みづみたま)上田の(みたま)が邪魔したとほざく
迷信と欲望の鬼につかれたる身魂(みたま)()すべき(かむ)わざはなし
平蔵は迷信の夢()ださめず三体様(さんたいさま)と敬称してをり
御三体(ごさんたい)の神があらはれたまひしと迷信親爺(おやぢ)が宣伝をなす
肝腎(かんじん)平蔵(へいざう)までも籠絡(ろうらく)し意を得たりとてほほ笑む足立
正信(まさのぶ)竹村(たけむら)仲蔵(なかざう)股肱(ここう)としわがゆくさきの妨害のみする
二三日立ちし夕暮綾部より二人の信者いそぎとひ()
新宮(しんぐう)四方(しかた)源之助(げんのすけ)西原(にしはら)西村(にしむら)文右衛門(ぶんゑもん)礼服にてくる
源『上田さん喜びなされ開祖様を出口の神と尊敬しまする』
文『西町(にしまち)鹿蔵(しかざう)の妻およねさんが九年の気違ひ全快しました』
源『西町の大槻(おおつき)鹿蔵(しかざう)大江山(おほえやま)酒呑(しゆてん)童子(どうじ)身魂(みたま)とわかりし』
文『およねさんは大蛇(をろち)身魂(みたま)鹿蔵さんは鬼の身魂と開祖が仰有(おつしや)る』
源『およねさんは開祖の総領(そうりやう)(むすめ)です世界のみせしめに出してござる神』
文『九年間気違ひにして懺悔(ざんげ)をば世界に出していましめてござる』
源『開祖様がゆるすと云はれおよねさんはすつかり気違ひ本復(ほんぷく)しました』
文『このやうな神徳(しんとく)あらはれたる(うへ)は出口の神とあがめねばならぬ』
をかしさにわれ噴き出せば両人は何がをかしと肩はりつめよる
そんなことをみて君たちは神さんと思うてゐるのかわしはをかしい
(うしとら)金神(こんじん)様を信じないあなたは綾部にをつてはもらへぬ』
(わたくし)は綾部に執着心はないすぐさま帰ると衣服を着替(きか)ふる
『上田さんあなたは本当に帰りますか出口の神のゆるしも受けずに』
ろくな(やつ)一人(いちにん)もない化物(ばけもの)の屋敷にゐるのはいやですと言ふ
『お前さんが幽斎なんかする(ゆゑ)(みな)(かむ)がかりになつたのでないか』
この始末つけねば滅多に帰さぬとまた難題をつけ始めたり
三千年(さんぜんねん)世に落ちたまひし神神(かみがみ)が毎日毎夜(まいよ)(あが)りあそばす』
この際に(おち)ぶれ(がみ)を世にあげて身魂(みたま)を救へば天下泰平といふ
『上田さん綾部へしばらく帰らずとここで時節を待つて下さい』
『開祖様も四方(しかた)平蔵(へいざう)正信(まさのぶ)もあなたの帰綾(きれう)をいやがつてゐる』
『世に落ちた神をあげねばならぬ(ゆゑ)きびしい審神者(さには)は邪魔になります』
この二人(むら)で区長をする紳士その迷信さあきれるのみなる
両人の語りしはなしのあらましは次にわが宣る歌の通りよ
『上田さんを綾部へ帰さぬと大雨で綾部大橋が落ちてしまうた』
『神様の広大無辺の神徳(しんとく)で嫌ひな先生を川止(かはど)めにした』
『お前さん今度綾部に帰つても()を出さぬやうにおとなしくなされ』
『開祖様と(かむ)がかりさんのいふことに背きなさるとごてごてしまする』
(わたし)らはあなたを大事(だいじ)に思ふあまりそつと御意見に来たのであります』
『ともかくも出る(くひ)はうたれるといふ(たとへ)(てき)たはぬのが一番おとく』
『足立さん四方(しかた)さんまであなたをば()なす()なすと云うてゐるぞや』
両人は綾部をさして帰りゆくあとへ出口の澄子(すみこ)がはせ()
澄『先生の留守に四人の(かむ)がかりが金明会(きんめいくわい)をさわがしてゐます』
四方(しかた)春蔵(はるざう)村上(むらかみ)黒田(くろだ)塩見(しほみ)など邪神がかかり人を騒がす
(かむ)がかり飛んだり跳ねたり素裸(すはだか)になつて手をふり法螺ふきまはる
神業(しんげふ)御邪魔(おじやま)をいたす上田をば金明会(きんめいくわい)()れるなとほざく
『世の(もと)三人(さんにん)あれば結構ぢや上田の悪神(あくがみ)()れてはならぬ』
澄『先生の似顔(にがほ)を書いて春蔵(はるざう)が釘を打つたり叩いたりしてゐます』
澄『先生の悪口(わるくち)ばかり()にうけて皆の信者が迷うてゐます』
つまらない先生に()んで貰へよと役員信者が口口(くちぐち)にいふ
一日(いちにち)も早く帰つて人人(ひとびと)の目をさましませと澄子(すみこ)は頼めり
修行者を四方(しかた)藤太郎(とうたらう)に頼みおき一先(ひとま)づ綾部へ帰らんとせり
(をり)もあれ四方(しかた)勇佑(ゆうすけ)()(きた)り大地に手をつき泣き声に(うつた)
勇『町中(まちぢう)の人が芝居を見るやうに教会に来てぞめいてゐます』
勇『お広間の内部(ないぶ)(そと)門前(かどさき)も見物人の人の山です』
一斉射撃
町人(まちびと)に頓着なさず懸命に幽斎修行をみながしてゐる
西矢田(にしやた)小万(こまん)気狂(きちが)金神(こんじん)悪口(わるくち)ほざいて(くるま)をかへす
神罰(しんばつ)(くるま)泥田(どろた)(かへ)りしといつたと小万(こまん)が呶鳴りあばれる
金神(こんじん)の信者が人の難儀みて笑ふはすまんと小万(こまん)がいきまく
泥足(どろあし)のまま神前(しんぜん)へ飛び(あが)御神具(ごしんぐ)までも叩きこはせり
沢山の信者は逃げ出す警察は保護してくれずまことに残念
迷信と野心にみちた悪霊(あくれい)威猛(ゐたけ)る綾部の広間は騒がし
正信(まさのぶ)は計略わが()(あた)りしとほくそ()みつつわれをあざける
気狂(きちが)ひの製造人(せいざうにん)は綾部には居つてもらへぬと迫る竹村(たけむら)
金光(こんくわう)のをしへはまこと霊学は(きつね)(たぬき)とふれる竹村
正信(まさのぶ)はわがことなれりと舌長(したなが)に意見がましきことを言ひ出す
善悪の区別にあかき出口澄子の慰留にわれは綾部にとどまる
わが立場(たちば)気の毒がりて(かげ)になり日向(ひなた)になりて守りし澄子
一人(いちにん)の澄子の同情なかりせばわれは綾部を去らんとおもへり
曲神(まがかみ)は役員信者に憑依して一斉射撃をわれにあびせる
人人(ひとびと)に排斥されし馬鹿らしさに帰らんわれをとどめし澄子よ
広間の暗闘
勇佑(ゆうすけ)()げたる天窓(あたま)()でながら広間の事情を語りてなげく
勇『開祖様の涙の貯金を引き出して毎日多勢(おほぜい)が食ひつぶします』
勇『世に落ちた竜宮の眷属(けんぞく)が暗いとて毎日五六(ごろく)(しよう)種油(たねあぶら)を用ふる』
勇『五六升の油の(ほか)に三十本の百目(ひやくめ)蝋燭(らふそく)とぼし(かね)いる』
勇『大変な物いりなれど一銭の出費さへせぬずるい奴のみ』
神さまの(すね)のみかぢる信者()がよつて()るほど困るといふ(ぢぢ)
神様に対して気くばり心くばりする信徒(ただ)の一人も(きた)らず
勇佑は金明会(きんめいくわい)の炊事役(かみ)言訳(いひわけ)なしとてなげく
勇『三人(さんにん)と一つになつて平蔵さんは天眼通(てんがんつう)の稽古して居り』
勇『平蔵どのあれ見やれのーと三人が天眼通をやつて居ります』
勇『天眼通ばかりになつて平蔵さんは広間の会計みてくれません』
勇『戦死した清吉(せいきち)さんの年金を食ひつぶしてる(やつ)ばかりです』
勇『この先は如何(どう)なることかと勇佑も金明会(きんめいくわい)が心配になる』
勇『春蔵は金明会(きんめいくわい)の会長に足立はあなたを追ひ出さうとする』
勇『そんなことさしてはならぬと勇佑が心配してます会計の(ほか)に』
勇『春蔵に盤古(ばんこ)(れい)がついてゐて開祖を押しこめようとしてゐる』
勇『開祖まで押しこめようとする邪神あなたを追ひ出すは朝飯前です』
勇『春蔵は親の財産(はな)にかけて一人大将(たいしやう)(がほ)する憎らしさ』
勇『出口家の養子にならねば春蔵(はるざう)は一人でたてるというてゐました』
勇『春蔵が立つならわしが立ちますとまた竹村が生地をあらはす』
勇『竹村や春蔵養子になるならば私がなるとて足立がいきまく』
勇『三人が養子にならうと暗闘を続けて小言(こごと)の絶えぬお広間』
勇『竹村は開祖の筆先に(ふし)つけて朝から晩まで読み(どほ)しです』
勇『筆先を上手に読むのが御養子(ごやうし)というて一切かまはぬ竹村』
勇『(わたくし)は隠居の身分安楽に(くら)せるものをこんな目にあふ』
勇佑は涙まじりの黒い顔ずず(ぐろ)い手でなでまはし泣く
足立()が気のつくまでは帰らぬとわれ上谷(うへだに)修行場(しうぎやうば)に居り
勇佑はいろいろさまざま語りおきてまたすたすたと綾部に帰る
勇佑がかへる後姿(うしろで)見送りつわれハンカチで顔の汗ふく
裏山(うらやま)(せみ)のなく声かしましくうすら眠たき上谷(うへだに)の真昼
地団太
ややありてまたも勇佑(ゆうすけ)はせ(きた)り大切さうに手紙を渡せり
勇『牛人(うしうど)金神(こんじん)様から先生に気つけの筆先御覧(ごらん)下さい』
封切れば修業者一同引きつれてかへれ牛人(うしうど)金神(こんじん)の命令
勇佑の迷夢(めいむ)さますとこの手紙ばりばり目の前でひきさきにけり
勿体(もつたい)ない神罰(しんばつ)あたると勇佑があをい顔してふるひをののく
一本の手紙に扇子(せんす)つけてありその扇子までわれはひきさく
勇佑は阿呆(あほう)正直(しやうぢき)人の言葉にどちらにもつく好好爺(かうかうや)なり
この通り(ばち)も何にも当らぬといへば勇佑地団太(ぢだんだ)をふむ
勇『十八の若者村上(むらかみ)にだまされてええ残念やこの禿頭(はげあたま)
勇佑は扇子(せんす)を大地に投げつけて踏むやら蹴るやら気の毒なりけり
だまされたええだまされたと勇佑が地団太(ぢだんだ)をふむスタイルをかし
勇佑と金明会(きんめいくわい)へ帰りみれば家の内外(うちそと)人の山なり
村上は数多(あまた)信者(しんじや)をたぶらかし右へ左へと()れまはり居り
村上はわれを見るよりおお上田わが命令をよくきくとほめる
偉い奴その御褒美(ごほうび)と村上はぐしやぐしや書いた(あふぎ)を渡せり
さし(いだ)(あふぎ)を手にとるより早く村上の(あたま)三つ四つ打ちぬ
信者(まめひと)各各(おのおの)不思議な顔をして(おこり)の落ちたやうな顔せり
神罰(しんばつ)をあてて下され上田()が今帰つたと三人のこゑ
奥の()に三人()(もと)陣取(ぢんど)りて妙なことのみ口走(くちばし)りをり
常識のかけたる修行者二十名の発動鎮定の方法つかず
金光教会迷信信者の(かむ)がかり何程(なにほど)説けども理非がわからず
狂態
秋深きころなり例の福島()四人またもや暴れ出しけり
いろいろと開祖のさとしも聞きいれず奥の一間(ひとま)(かむ)がかりなす
黒田(くろだ)塩見(しほみ)村上(むらかみ)四方(しかた)は福島と一間(ひとま)にこもりて神の真似する
福島の狂態みるにしのびずと開祖は(はうき)()き出したまへり
その(はう)は金光教の邪霊なりこの肉体を()れとのらせり
福島を見わけんやうな開祖ならもう綾部には居らぬと息まく
福島は出口上田の目をさますために家をば灰にするといふ
町中(まちぢう)もみなその通り気の毒ぢやこの福島も気の毒といふ
福島は大音声(だいおんじよう)に呶鳴りつつ出口上田はすつこめといふ
福島に何ほど説けど悪霊(あくれい)のかかりし彼は正邪を解せず
福島は肩をいからし(ひぢ)を張り修行者引きつれ上谷(うへだに)(むか)
修行者は邪神の(げん)を盲信し上田は駄目といひつつ()でゆく
竹村の妻のきく子と二人連れ上谷(うへだに)修行場(しゆぎやうば)さしてわれゆく
○余白に
悪神(あくがみ)経綸(しぐみ)やうやくなりなりて神の御国(みくに)をねらひすませり
神国(しんこく)と名はありながら(けだもの)のサツクとなりし人の多き世
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