皇道経済我観
皇道
畏くも万世一系の皇統を継承し給いて、日本皇国に君臨し、地球上に於ける主・師・親の三徳を具備し給う天津日継天皇が天下を安国と平けく知食し給い、乾霊授国の御本旨を達し給う大御経綸の神法神則を、皇道と称え奉るのである。故に皇道に向う者は、永遠に富み栄え、無限の歓喜に満たされ、これに反する者は行詰り、底知れぬ暗黒無明と悲しみの破壊世界に置かれるのである。これは丁度太陽に向うものが照され、反する者は絶対に照されぬと同様である。
行き詰り
今の政治家や経済学者等には、皇道のコの字も判っていない。だからその云う事、為す事、悉くが国家の不利益となり、国運の進展を害し、国民を益々困窮のドン底へ墜し入れて、何も彼も行き詰り、メチャメチャになって行くばかりである。皇道に反した総てのものが、行詰り破壊されて行くことは、当然すぎる程当然なことである。故に何うあっても、国民の上下が先ず皇道に目醒めねばならないのである。
皇道政治
皇道政治とは、天津日継天皇の御親政であって、祭政一致・一大家族制の実現実行である。これによれば、日本人のみならず、東洋人も、西洋人も、ブルジョアも、プロレタリアも、総ての人が歓喜し、満足するのである。この皇道政治は、皇道経済の確立より始まる。総て宗教を信ずるのも、仁義を守るのも、道徳を守るのも、根本は経済である。経済が行き詰っていると、義理を欠いたり、或いは人に怨まれる事も、已むを得ず出て来るのである。
皇道経済
今日の経済学者や為政者は、総て外国の精神で頭が一杯になっているから、今の金銀為本のやり方より外に方法がないと思っているが、西洋もその経済方法を試みて行き詰った。その行き詰ったやつを又日本がやっている。これではどうしても行き詰るにきまっている。然らば、何がこの金銀為本の政策に代るべきか。即ち皇道為本・御稜威為本・土地為本の政策である。
至貴至尊
抑も我国は、世界無比の皇道国であって、万世一系天立君主立憲国であるが故に、対立する何者もない絶対尊貴の国柄であり、世界に其の比を見ざる絶対の天皇国である。日本帝国と云うは根本的にあやまっているのである。すべてのあやまりは、茲から出発して来ているのである。外国には帝道国(立憲君主国)あり、王道国(専制君主国)あり、霸道国(弱肉強食国)あり、為に、勢を得たときには、君となり、或いは主権者となるが、勢を失った時には、奴となり家来となり、或いは殺されて了ったりする。
そう云う風に殆んど畜類に等しい政体を持っている国々であるから、金とか銀とかいう様な形のものがなければ、皆が承知しないのである。又それが貴重なものとなるのである。これに反して我皇国には、万世一系、神様直々の御直系たる陛下があらせられるのである。世の中に、これより尊い御方は断じてないのである。その陛下の御稜威というものを基として行ったならば、総てに行詰まりと云うことはなく、益々栄えて行くのである。其処に皇道の絶対権威がある。即ち皇道政治・皇道経済は、一の政策にあらず、実に天定の大政道なのである。
皇典『古事記』
畏くも天武天皇が「斯れ乃ち邦家の経緯、王化の鴻基なり」と詔り給いし皇典『古事記』は、実に世界唯一の大神典であって、その中巻に曰く、「皇祖天照大神、言教へ覚し詔りたまひしく、西の方に国有り。金銀を本と為て、目の炎輝く種々の珍しき宝、多に其の国に在り。吾今其の国を帰せ賜はむ」と。
皇祖の御遺訓は、明かに現代経綸の根本的変革を促し給うと雖も、黄金万能の弊政を、此上もなき最上の経綸策として心酔中毒せる現代日本の臣民が、神聖なる祖宗の御遺訓の大精神を、了得感通せざる聾盲の輩のみなるは、実に恐惶の至りである。
土地本位
前にも述べた様に、日本には金銀より尊い皇室の御稜威と云うものがある。この陛下の御稜威によって、紙幣をいくら発行しても、国民は喜んで使用する。外国では出来ないが、日本では出来る。即ち、普天の下・率土の浜に至るまで皆悉く皇室のものであるからである。故に一旦これを全部皇室にお還しする。その土地が一千億円のものであったら、それだけの財産が皇室のものになる。皇室からは、御稜威により、五百億円でも一千億円でも紙幣をお下げになるから、国民にそれだけのお金が回って来るわけである。要するに御稜威為本・土地為本となるものである。
土地拝借権
国民が土地の所有権を云々するのは、西洋かぶれの弊風であって、いずれも皇上より拝借しているものたる真意義を了得しなければならない。即ち一言にして云えば、従来の土地所有権を拝借権と改称すれば、それで別に複雑な手続きはせずともすむことである。現在の大地主は、大土地拝借主となるわけである。明治初年にあたり、兵馬の権を陛下に奉還したるは、皇国本来の使命に適していたが、経済権を奉還しなかったのが、根本的な大きな誤りであったのである。
無限の宝庫
右の如く我皇国は、金銀によらずして、陛下の御稜威の御徳によって、無限に紙幣を発行することが出来るのであるが、実は金銀も又殆んど無限に蔵されているのである。即ち皇国固有の言霊の活用によって古典を読めば、直に発見出来ることで、私はそれを発見し神様からも教えられ、実地に調べて見て確証を握っているのであるが、これは或時期が来るまで漏すことは出来ない。
物価公定
金銀為本より土地本位となり、御稜威によって紙幣を発行すれば、物価の大変動を来すであろうとの虞れを持つ者もあるようであるが、それには、米を主とした生活必需品の物価を公定すればよいのである。それによって、他の物価は自ら定って来るから、心配することはないのである。
海外貿易
海外との貿易は、物々交換を原則とすればよい。元来我皇国は典型的天産自給の国であるから、日本の人民が皇道にさえ目醒めたならば、奢侈品等は自ら減じ、輸入は減少し、輸出入が自から均衡がとれることになる。従って貿易についての金銀問題などは直ちに解消し、本位貨を準備して国際貸借の決済に充てると云う心配はなくなる。其結果、為替の変動と云う様な事もなく、皇国の紙幣に対する信用も高まるから、後には自然外国にも流通する様になるだろう。
大神約
この皇道経済は、万邦に比倫なき天立君主国にして世界の宗主国たる日本皇国を措いて、現在は外には絶対に行い得ぬもので、皇国独自の天与の特権である。日本を単位として先ず行い得るものである。
我等は人類愛善の大精神に基き、皇道政治・皇道経済の実現を固く信ずるものである。私は多年皇道の研究をなし、一方試験的工作を行った結果、神典『古事記』に於て明示されたる大神約の寸分も誤りなき事を確証し得たのである。この皇道経済によれば、ブルジヨアもプロレタリヤも宛も慈雨に甦える草木の如く、国民押並べて平和と幸福の恵みの露に浴し得るのである。即ち高い所のものを低い所へ持って行き平均なすのではなく、山は山のまま、谷は谷のまま、一様に恵まれるの政治・神政なのである。
軍農中心
日本の皇道政治は、先ず軍農中心より始まらねばならぬ。これは『古事記』に明示されてあることである。即ち細矛千足の国であり、農を国本と定められた国であるから、それには、
一、農民八十億円の債務を政府より弁償する事
一、軍民の生活安定を政府に於て保証する事
一、凡ての税は皇道経済の独立する迄免除し、国民の更生をはかる事
等を先ず実行して、国の大黒柱を強固にしなければならない。
国防と産業
日本の国防は、外国の国防と全然其意味を異にしている。即ち日本は世界の中心であり、親国であり、要の国であるから、日本は率先して世界を誘導、皇道化しなければならぬ大責任を負うているのである。若し日本が国防の不備なるが故に、一朝敗北する様な事があれば、神様の思召は立たぬ事になるので、全人類は永劫に塗炭の苦を嘗めねばならない。世界を救う為め、国防の充実は忽諸に附する訳にはゆかないのである。即ち例えば、
一、国防及び産業発展の為、全国に二十間巾の縦横大道路を急設すること等々。
これによって又一方失業者を救済し、国民の元気を鼓舞し、有事の用に備えねばならぬ。これぞ皇道経済実行に当って忘れてはならぬ一要素である。
宗教と教育
皇道経済を実行するには、皇祖の御遺訓たる皇国の宗教教育によらねばならぬ。先ず天地の大本義に因り、生死を往来し、始めなき始めより終りなき終りに至る神人合一の大経綸の大道を明かにする国教を樹立し、教育は、国家経綸的天賦の天恵を開発すベきものたるベきである。即ち、
一、国教院の開設により、宗教教育制度の改革を断行し、国教によりて国民思想の改善をはかる事であって、これによって皇国民天賦の大使命を自覚させねばならぬ。
秋は来れり
神約の秋は既に熟している。皇道経済を確立して皇道政治を断行し、世界万民を和楽の世界に導く時は来たのである。皇道経済の細目に亘って述ぶれば際限なしと雖も、要するに皇道経済実地の政治になれば、各方面ともに、何等の不平もなく無理もなく、天下泰平に到達する事は火を賭るより明かな事である。
経済は極度に乱れ国民の思想の安定なき世はさびしき
経済の根本革正なさざれば地上の国は亡びゆくべし
宗教を知らざる者は宗教家よ経済知らぬは経済学者よ
経済の真意を知らぬ為政家の上に立つ世は浮ぶ瀬もなし
会計と経済学とを混同し不景気風になやむ政治家
金銀為本の国家経済を根底より立直すべき秋とはなれり
我国の経済根本革正は土地為本より良法はなし
皇国の政治経済思想問題新たに打開すべき秋なり
日本には只一人の経済学者現はれずして行き詰りたり
合法的に政治経済を改むる神策知らぬ学者のみなり
財政を根本的に立直す道は日本を措きて他になし
皇道の本義に徹底する時は経済などに艱まざる国よ
経済を根本的に立直す本義を知らぬ国人憐れ
皇道の本義を知らぬ其為に経済などに苦しむ日本よ
国々の経済界を掻き乱し猶太の邪神は北叟笑みつつ
国といふ国は悉くマツソンの経済戦に艱まされ居り
右によらず左によらず中道を進むは日本の教なりけり