霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一三章 天使(てんし)来迎(らいがう)〔一三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第2篇 幽界より神界へ よみ(新仮名遣い):ゆうかいよりしんかいへ
章:第13章 天使の来迎 よみ(新仮名遣い):てんしのらいごう 通し章番号:13
口述日:1921(大正10)年10月18日(旧09月18日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
自分はなお進んで水獄の二段目を奥深く極めた。そして三段目を探検しようとしたとき、にわかに天上から喨々と音楽が聞こえてきた。
空を仰ぐと、天使が共を連れて、自分の方に降臨してくるのが見えた。そして、都合により産土の神のお迎えであるから、一時帰るがよい、とお達しがあった。
三四十分、ふわりふわりと上へ上っていくような心地がし、気づくと高熊山の岩窟の前に端座していた。それから約一時間ばかり経つとまた、再び霊界にいた。
すると、産土様である小幡神社の大神様が現れた。そして、霊界が切迫しているため、幽界より先に、神界の探検をする必要があることを告げた。
自分の体が捉まれて運ばれ、おろされたところは綺麗な海辺であり、富士山が近くに大きく見えた。今から思うと、三穂神社に行ったのである。そこで、夫婦の神様に、天然笛と鎮魂の玉を授かった。
と思うせつな、不思議にも自分は小幡神社の前に端座していた。帰宅の念を天使にたしなめられ、神界へ旅立つことになった。天使は、神界と幽界が今、混乱状態であることを告げ、神界へ旅立って高天原に上るように、と告げた。
天の八衢までは天使が送っていくので、そこから鮮やかな花の色をした神人が立っている方へいくように、と教えられた。
神界といえども善悪不二であり、よいことばかりではないこと、現界と霊界は相関しているので、互いに出来事が移ってくること、また神界にいたる道には、神界を占領しようとする悪魔が邪魔をしようとすることを聞いた。
やがて自分ひとり、天然笛と鎮魂の玉を持ち、羽織袴装束で、神界へと旅立ちすることになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0113
愛善世界社版:59頁 八幡書店版:第1輯 66頁 修補版: 校定版:59頁 普及版:31頁 初版: ページ備考:
001 自分(じぶん)はなほ(すす)んで二段目(にだんめ)奥深(おくふか)(きは)め、002また三段目(さんだんめ)をも探険(たんけん)せむとした(とき)003にはかに天上(てんじやう)から(なん)ともいへぬ嚠喨(りうりやう)たる音楽(おんがく)(きこ)えてきた。
004 そこで(そら)(あふ)いでみると、005白衣(びやくい)盛装(せいさう)天使(てんし)数人(すうにん)()(とも)()れて、006自分(じぶん)(はう)にむかつて降臨(かうりん)されつつあるのを(をが)んだ。007さうすると何十(なんじふ)()とも()れぬ、008はるか東南(とうなん)(はう)(あた)つて、009ほんの(ちひ)さい富士(ふじ)山頂(さんちやう)()えてくるやうな()がした。
010 自分(じぶん)のその(とき)心持(こころもち)は、011富士山(ふじさん)()えたのであるから、012富士山(ふじさん)芙蓉(ふよう)仙人(せんにん)()たものと(おも)つた。013しかしてその(まへ)()りてきた天使(てんし)()ると、014(じつ)(なん)とも()へぬ威厳(ゐげん)のある、015かつ(やさ)しい白髪(はくはつ)の、016そして白髯(しらひげ)胸前(むなさき)まで()れた神人(しんじん)であつた。
017 神人(しんじん)自分(じぶん)(むか)つて、
018産土(うぶすなの)(かみ)からの()(むか)へであるから、019(いち)()(かへ)るがよい』
020との(あふ)せであつた。021しかし自分(じぶん)折角(せつかく)ここまで()たのだから、022(いま)一度(いちど)(くは)しく調(しら)べてみたいと()(ねが)ひしてみた。
023 けれども()(ゆる)しがなく、
024都合(つがふ)によつて天界(てんかい)修業(しうげふ)(いそ)ぐから、025(ひと)まづ(かへ)れ』
026()はるる()言葉(ことば)()(をは)らぬうちに、027(むらさき)(くも)にわが全身(ぜんしん)(つつ)まれて、028ほとんど三四十(さんしじつ)(ぷん)(おも)はるる(あひだ)029ふわりふわりと(うへ)(のぼ)つてゆくやうな()がした。030しかしてにはかに(ひざ)(いた)みだし、031ブルブルと身体(からだ)(さむ)さに(ふる)へてゐるのを(おぼ)えた。
032 その(とき)には、033まだ精神(せいしん)朦朧(もうろう)としてゐたから、034よくは(わか)らなかつたが、035まもなく自分(じぶん)高熊山(たかくまやま)巌窟(がんくつ)(まへ)端坐(たんざ)してゐることに、036明瞭(はつきり)()()いた。
037 それから(やく)(いち)時間(じかん)ばかり正気(しやうき)になつてをると、038今度(こんど)はだんだん睡気(ねむけ)(もよほ)しきたり、039ふたたび霊界(れいかい)(ひと)となつてしまつた。040さうすると其処(そこ)へ、041小幡(をばた)神社(じんじや)大神(おほかみ)として(あら)はれた(かみ)(さま)があつた。
042それは自分(じぶん)産土(うぶすな)(かみ)(さま)であつて、
043今日(こんにち)(じつ)霊界(れいかい)切迫(せつぱく)し、044また現界(げんかい)切迫(せつぱく)して()てをるから、045(ひと)まづ地底(ちてい)幽冥界(いうめいかい)探究(たんきう)する必要(ひつえう)はあるけれども、046それよりも神界(しんかい)探険(たんけん)(さき)にせねばならぬ。047またそれについては、048霊肉(れいにく)ともに修業(しうげふ)()まねばならぬから、049神界(しんかい)修業(しうげふ)(はう)(むか)へ』
050(あふ)せられた。051そこで自分(じぶん)は、
052承知(しようち)しました』
053(こた)へて、054(めい)のまにまに(したが)ふことにした。
055 さうすると今度(こんど)自分(じぶん)身体(しんたい)(だれ)とも()らず、056非常(ひじやう)(おほ)きな()であたかも(たか)(すずめ)引掴(ひつつか)んだやうに、057(つか)まへたものがあつた。
058 やがて(おろ)された(ところ)()ると、059ちやうど三保(みほ)松原(まつばら)かと(おも)はるるやうな、060綺麗(きれい)海辺(うみべ)()てゐた。061ところが(さき)二段目(にだんめ)()富士山(ふじさん)が、062もつと(ちか)くに(おほ)きく()えだしたので、063(いま)それを(おも)ふと三穂(みほの)神社(じんしや)だと(おも)はれる(ところ)に、064ただ一人(ひとり)()つたのである。065すると其処(そこ)二人(ふたり)夫婦(ふうふ)(かみ)(さま)(あら)はれて、066天然笛(てんねんぶえ)鎮魂(ちんこん)(たま)とを(さづ)けて(くだ)さつたので、067それを有難(ありがた)頂戴(ちやうだい)して(ふところ)()れたと(おも)一刹那(いちせつな)068にはかに場面(ばめん)(かは)つてしまひ、069不思議(ふしぎ)にも自分(じぶん)郷里(きやうり)にある産土(うぶすな)神社(じんじや)(まへ)に、070身体(しんたい)端坐(たんざ)してゐたのである。
071 ふと()がついて()ると、072自分(じぶん)(いへ)ついそこであるから、073一遍(いつぺん)帰宅(かへ)つて()たいやうな()がしたとたんに、074にはかに(あし)(いた)くなり、075(さむ)くなりして空腹(くうふく)(かん)じ、076(おや)兄弟(きやうだい)姉妹(しまい)(こと)から家政(かせい)(じやう)(こと)まで(おも)()されてきた。077さうすると天使(てんし)が、
078(おん)()(いま)人間(にんげん)(かへ)つては、079(かみ)経綸(しぐみ)ができぬから(かみ)にかへれ』
080()ひながら、081白布(しらぬの)全身(ぜんしん)(おほ)ひかぶされた。082不思議(ふしぎ)にも(こころ)(うか)んだ種々(しゆじゆ)(こと)打忘(うちわす)れ、083いよいよこれから神界(しんかい)旅立(たびだ)つといふことになつた。084しかして()(とき)()つてをるものとては、085ただ天然笛(てんねんぶえ)鎮魂(ちんこん)(たま)との(ふた)つのみで、086しかも何時(いつ)のまにか自分(じぶん)羽織(はおり)(はかま)黒装束(くろしやうぞく)になつてゐた。087その(ところ)(いま)一人(ひとり)天使(てんし)が、088産土神(うぶすながみ)(よこ)(あら)はれて、089(をし)へたまふやう、
090(いま)神界(しんかい)091幽界(いうかい)ともに非常(ひじやう)混乱(こんらん)状態(じやうたい)(おちい)つてをるから、092このまま(はう)つておけば、093世界(せかい)丸潰(まるつぶ)れになる』
094(あふ)せられ、095しかして、
096(おん)()はこれから、097この(かみ)(めい)ずるがままに神界(しんかい)旅立(たびだ)ちして高天原(たかあまはら)(のぼ)るべし』
098厳命(げんめい)された。
099 しかしながら自分(じぶん)は、100高天原(たかあまはら)(のぼ)るには何方(どちら)()いて()けばよいか(わか)らぬから、
101(なに)目標(めあて)として()けばよいか、102また(かみ)(さま)()れて()つて(くだ)さるのか』
103とたづねてみると、
104(あめ)八衢(やちまた)までは(おく)つてやるが、105それから(のち)は、106さうはゆかぬから(あめ)八衢(やちまた)()つてをれ。107さうすると神界(しんかい)(はう)すなはち高天原(たかあまはら)(はう)()くには、108鮮花色(せんくわしよく)神人(しんじん)()つてをるからよくわかる。109また(くろ)(くろ)(なん)ともしれぬ(いや)(かほ)のものが()つてをる(はう)地獄(ぢごく)で、110黄胆(わうだん)()みのやうに黄色(きいろ)(かほ)したものが()つてゐる(はう)餓鬼道(がきだう)で、111また真蒼(まつさを)(かほ)のものが()つてをる(はう)畜生道(ちくしやうだう)で、112肝癪筋(かんしやくすぢ)()てて(おに)のやうに(おそ)ろしい(かほ)のものが()つてゐる(はう)修羅道(しゆらだう)であつて、113(あらそ)ひばかりの世界(せかい)へゆくのだ』
114懇切(こんせつ)教示(けうじ)され、115また、
116(なんぢ)(さき)()つて探険(たんけん)したのは地獄(ぢごく)入口(いりぐち)で、117一番(いちばん)(やす)(ところ)であつたのだ。118それでは今度(こんど)鮮花色(せんくわしよく)(かほ)した神人(しんじん)()つてゐる(はう)()け。119さうすればそれが神界(しんかい)へゆく(みち)である』
120(をし)へられた。121しかして(また)
122神界(しんかい)といへども(くる)しみはあり、123地獄(ぢごく)といへどもそれ相当(さうたう)(たの)しみはあるから、124神界(しんかい)だからといつてさう()(こと)ばかりあるとは(おも)ふな。125しかし高天原(たかあまはら)(はう)()(とき)(くる)しみは(くる)しんだだけの効果(かうのう)があるが、126反対(はんたい)地獄(ぢごく)(はう)()くのは、127(むかし)から()身魂(みたま)罪業(めぐり)があるのであるから、128(たん)罪業(めぐり)(つぐな)ふのみで、129苦労(くらう)しても(なん)善果(ぜんくわ)(きた)さない。130もつとも、131地獄(ぢごく)でも苦労(くらう)をすれば、132罪業(めぐり)(つぐな)ふといふだけの効果(かうなう)はある。133またこの現界(げんかい)霊界(れいかい)とは(あひ)関聯(くわんれん)してをつて、134いはゆる霊体(れいたい)不二(ふじ)であるから、135現界(げんかい)(こと)霊界(れいかい)にうつり、136霊界(れいかい)(こと)はまた現界(げんかい)にうつり、137幽界(いうかい)(はう)現界(げんかい)肉体(にくたい)にうつつてくる。138ここになほ注意(ちうい)すべきは、139神界(しんかい)にいたる(みち)において神界(しんかい)占領(せんりやう)せむとする悪魔(あくま)があることである。140それで(なんぢ)(いま)141神界(しんかい)探険(たんけん)せむとすれば(かなら)悪魔(あくま)()てきて(なんぢ)(さまた)げ、142悪魔(あくま)自身(じしん)神界(しんかい)探険(たんけん)占領(せんりやう)せむとしてをるから、143それをさうさせぬやうに、144(なんぢ)神界(しんかい)(つか)はされるのだ。145また神界(しんかい)へいたる道路(みち)にも、146(ひろ)道路(みち)もあればまた(せま)道路(みち)もあつて、147(けつ)して(ひろ)道路(みち)ばかりでなく、148あたかも瓢箪(へうたん)いくつ(たて)(なら)べたやうな格好(かくかう)をしてゐるから、149(ほそ)(せま)道路(みち)(とほ)つてゐるときには、150たつた一人(ひとり)しか(とほ)れないから、151悪魔(あくま)といへども(あと)から追越(おひこ)すといふわけには()かぬが、152(ひろ)(ところ)()ると、153四方(しはう)八方(はつぱう)から悪魔(あくま)(おそ)つて()るので、154かへつて(くる)しめられることが(おほ)い』
155(をし)へられた。156()もなく、157(かみ)(さま)天使(てんし)姿(すがた)(かく)させたまひ、158自分(じぶん)はただ一人(ひとり)天然笛(てんねんぶえ)鎮魂(ちんこん)(たま)とを()ち、159(てん)(あを)(みづ)(あを)く、160(やま)また(あを)道路(みち)羽織(はおり)(はかま)装束(しやうぞく)で、161神界(しんかい)へと旅立(たびだ)ちすることとなつた。
162大正一〇・一〇・一八 旧九・一八 外山豊二録)
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