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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第1巻(子の巻)
序
基本宣伝歌
発端
第1篇 幽界の探険
第1章 霊山修業
第2章 業の意義
第3章 現界の苦行
第4章 現実的苦行
第5章 霊界の修業
第6章 八衢の光景
第7章 幽庁の審判
第8章 女神の出現
第9章 雑草の原野
第10章 二段目の水獄
第11章 大幣の霊験
第2篇 幽界より神界へ
第12章 顕幽一致
第13章 天使の来迎
第14章 神界旅行(一)
第15章 神界旅行(二)
第16章 神界旅行(三)
第17章 神界旅行(四)
第18章 霊界の情勢
第19章 盲目の神使
第3篇 天地の剖判
第20章 日地月の発生
第21章 大地の修理固成
第22章 国祖御隠退の御因縁
第23章 黄金の大橋
第24章 神世開基と神息統合
第4篇 竜宮占領戦
第25章 武蔵彦一派の悪計
第26章 魔軍の敗戦
第27章 竜宮城の死守
第28章 崑崙山の戦闘
第29章 天津神の神算鬼謀
第30章 黄河畔の戦闘
第31章 九山八海
第32章 三個の宝珠
第33章 エデンの焼尽
第34章 シナイ山の戦闘
第35章 一輪の秘密
第36章 一輪の仕組
第5篇 御玉の争奪
第37章 顕国の御玉
第38章 黄金水の精
第39章 白玉の行衛
第40章 黒玉の行衛
第41章 八尋殿の酒宴(一)
第42章 八尋殿の酒宴(二)
第43章 丹頂の鶴
第44章 緑毛の亀
第45章 黄玉の行衛
第46章 一島の一松
第47章 エデン城塞陥落
第48章 鬼熊の終焉
第49章 バイカル湖の出現
第50章 死海の出現
附記 霊界物語について
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霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
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第1巻(子の巻)
> 第2篇 幽界より神界へ > 第14章 神界旅行(一)
<<< 天使の来迎
(B)
(N)
神界旅行(二) >>>
第一四章
神界
(
しんかい
)
旅行
(
りよかう
)
の一〔一四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
篇:
第2篇 幽界より神界へ
よみ(新仮名遣い):
ゆうかいよりしんかいへ
章:
第14章 神界旅行(一)
よみ(新仮名遣い):
しんかいりょこう(一)
通し章番号:
14
口述日:
1921(大正10)年10月18日(旧09月18日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1921(大正10)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
すでに二三丁来たかと思ったが、八衢に引き返してきてしまっていた。そして、地獄に落ちる亡者が、地の底へ急転直下の勢いで落ちていくのを見た。
天然笛を吹くと芙蓉仙人が現れたので聞いてみると、この亡者は大悪の罪により頓死したので、急速に地獄に落ちたのだ、という。
人は死ぬと死有から中有に、そして生有という順序で推移する。死有から中有まではほとんど同時である。四十九日の間が中有であり、その後、親兄弟が決まって生有となる。そのときの幽体は、三才の童子のように縮小されている。
ただ、大善と大悪には中有がなく、ただちに行き先が決まる。大善の者はただちに天国に生まれるが、大悪の者は、先のようにすぐさま地獄に落ちていくのである、と。
それを聞き終わると、ふたたび高天原のほうへ神界旅行に向かおうとした。ところが、顔いっぱいに凸凹のできた妙な婦人が、八衢の中心に忽然と現れた。そして自分の姿を見るなり、神界の入り口指して駆け出した。
自分はひとつ、この怪人の正体を見届けよう、と好奇心にかられて追跡した。そして異様な声を頼りに、怪女と化け物が集っているところを見つけた。
怪女は化け物を放り投げて、化け物が苦しむのを眺め、その血を吸っていた。自分は神界の旅行をしているつもりであるのに、なぜこんな鬼女のいるところに来たのだろう、と合点が行かず、神様に助けを求めようと思った。
瞑目端座して、天津祝詞を奏上した。すると、「目を開けて目を覚ませ、なぜ八衢にいつまでも踏み迷って、神界旅行に旅立たないのだ」と自分をたしなめる声が聞こえた。
化け物がだましている声かもしれないと迷っていると、一喝され、思わず目を開くと、荘厳な宝座が見えた。そのせつな、ふと気づくと高熊山のガマ岩の上に端座していた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-01-21 23:56:55
OBC :
rm0114
愛善世界社版:
66頁
八幡書店版:
第1輯 69頁
修補版:
校定版:
66頁
普及版:
35頁
初版:
ページ備考:
001
瓢箪
(
へうたん
)
のやうな
細
(
ほそ
)
い
道
(
みち
)
をただ
一人
(
ひとり
)
なんとなく
心
(
こころ
)
急
(
せ
)
はしく
進
(
すす
)
んでゆくと、
002
背後
(
うしろ
)
の
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
から
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
が
誰
(
だれ
)
を
呼
(
よ
)
ぶともなしに
聞
(
きこ
)
えてくる。
003
そこで
何
(
なに
)
がなしに
後
(
あと
)
をふり
返
(
かへ
)
つて
見
(
み
)
ると、
004
最早
(
もはや
)
二三丁
(
にさんちやう
)
も
来
(
き
)
たと
思
(
おも
)
つたのに、
005
いつの
間
(
ま
)
にか、
006
また
元
(
もと
)
の
八衢
(
やちまた
)
に
返
(
かへ
)
つてゐた。
007
そこには
地獄
(
ぢごく
)
へ
墜
(
お
)
ちて
行
(
ゆ
)
くものと
見
(
み
)
えて、
008
真黒
(
まつくろ
)
の
汚
(
きたな
)
い
顔
(
かほ
)
をしたものが
打
(
う
)
ち
倒
(
たふ
)
れてゐる。
009
これは
現界
(
げんかい
)
で
今
(
いま
)
肉体
(
にくたい
)
が
息
(
いき
)
を
引取
(
ひきと
)
つたもので、
010
その
幽体
(
いうたい
)
がこの
所
(
ところ
)
に
横
(
よこ
)
たはつたのであり、
011
また
先
(
さき
)
の
大
(
おほ
)
きな
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
は、
012
親族
(
しんぞく
)
故旧
(
こきう
)
が
魂呼
(
たまよ
)
びをしてをる
声
(
こゑ
)
であることが
分
(
わか
)
つた。
013
さうすると
見
(
み
)
てをる
間
(
ま
)
に、
014
その
真黒
(
まつくろ
)
い
三十
(
さんじふ
)
五六
(
ごろく
)
の
男
(
をとこ
)
の
姿
(
すがた
)
が
何百丈
(
なんびやくぢやう
)
とも
知
(
し
)
れぬ
地
(
ち
)
の
底
(
そこ
)
へ、
015
地
(
ち
)
が
割
(
わ
)
れると
共
(
とも
)
に
墜
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んでしまつた。
016
これが
自分
(
じぶん
)
には
不審
(
ふしん
)
でたまらなかつた。
017
といふのは、
018
地獄
(
ぢごく
)
に
行
(
ゆ
)
くのには
相当
(
さうたう
)
の
道
(
みち
)
がついてをる
筈
(
はづ
)
である。
019
しかるに、
020
忽
(
たちま
)
ち
急転
(
きふてん
)
直下
(
ちよくか
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
地
(
ち
)
の
底
(
そこ
)
へ
墜
(
お
)
ちこむといふのが、
021
不思議
(
ふしぎ
)
に
思
(
おも
)
はれたからである。
022
とに
角
(
かく
)
かういふふうになる
人
(
ひと
)
を
現界
(
げんかい
)
の
肉体
(
にくたい
)
から
見
(
み
)
れば、
023
脳充血
(
なうじゆうけつ
)
とか
脳溢血
(
なういつけつ
)
とか
心臓
(
しんざう
)
破裂
(
はれつ
)
とかの
病気
(
びやうき
)
で、
024
遺言
(
ゆゐごん
)
もなしに
頓死
(
とんし
)
したやうなものである。
025
そこで
天然笛
(
てんねんぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
いてみた。
026
天
(
てん
)
の
一方
(
いつぱう
)
から
光
(
ひかり
)
となつて
芙蓉
(
ふよう
)
仙人
(
せんにん
)
が
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
うた。
027
『
一体
(
いつたい
)
地獄
(
ぢごく
)
といふものには
道
(
みち
)
は
無
(
な
)
いのでせうか』
028
とたづねてみた。
029
仙人
(
せんにん
)
いふ。
030
『この
者
(
もの
)
は
前世
(
ぜんせ
)
においても、
031
現世
(
このよ
)
においても
悪事
(
あくじ
)
をなし、
032
殊
(
こと
)
に
氏神
(
うぢがみ
)
の
社
(
やしろ
)
を
毀
(
こぼ
)
つた
大罪
(
だいざい
)
がある。
033
それは
旧
(
ふる
)
い
社
(
やしろ
)
であるからといふて
安価
(
あんか
)
で
買取
(
かひと
)
り、
034
金物
(
かなもの
)
は
売
(
う
)
り、
035
材木
(
ざいもく
)
は
焼
(
や
)
き
棄
(
す
)
てたり、
036
または
薪
(
たきぎ
)
の
代
(
かは
)
りに
焚
(
た
)
いたりした。
037
それから
一
(
いつ
)
週間
(
しうかん
)
も
経
(
た
)
たぬまに
病床
(
びやうしやう
)
について、
038
黒死病
(
ペスト
)
のごときものとなつた。
039
それがため
息
(
いき
)
を
引取
(
ひきと
)
るとともに、
040
地
(
ち
)
が
割
(
わ
)
れて
奈落
(
ならく
)
の
底
(
そこ
)
へ
墜
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだのである。
041
すなはちこれは
地獄
(
ぢごく
)
の
中
(
なか
)
でも
一番
(
いちばん
)
罪
(
つみ
)
が
重
(
おも
)
いので、
042
口
(
くち
)
から
血
(
ち
)
を
吐
(
は
)
き
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
き、
043
虚空
(
こくう
)
を
掴
(
つか
)
んで
悶
(
もだ
)
え
死
(
じに
)
に
死
(
し
)
んだのだ。
044
しかもその
肉体
(
にくたい
)
は
伝染
(
でんせん
)
の
憂
(
うれ
)
ひがあるといふので、
045
上
(
かみ
)
の
役人
(
やくにん
)
がきて
石油
(
せきゆ
)
をかけ
焼
(
や
)
き
棄
(
す
)
てられた』
046
との
答
(
こた
)
へである。
047
そこで
自分
(
じぶん
)
は、
048
『
悶
(
もだ
)
え
死
(
じに
)
をしたものは
何故
(
なぜ
)
かういふふうに
直様
(
すぐさま
)
地
(
ち
)
の
底
(
そこ
)
へ
墜
(
お
)
ちるのでせうか』
049
と
尋
(
たづ
)
ねてみた。
050
仙人
(
せんにん
)
は
答
(
こた
)
へて、
051
『すべて
人
(
ひと
)
は
死
(
し
)
ぬと、
052
死有
(
しう
)
から
中有
(
ちゆうう
)
に、
053
中有
(
ちゆうう
)
から
生有
(
しやうう
)
といふ
順序
(
じゆんじよ
)
になるので、
054
現界
(
げんかい
)
で
息
(
いき
)
を
引取
(
ひきと
)
るとともに
死有
(
しう
)
になり、
055
死有
(
しう
)
から
中有
(
ちゆうう
)
になるのは
殆
(
ほとん
)
ど
同時
(
どうじ
)
である。
056
それから
大抵
(
たいてい
)
七七
(
しちしち
)
四十九
(
しじふく
)
日
(
にち
)
の
間
(
あひだ
)
を
中有
(
ちゆうう
)
といひ、
057
五十
(
ごじふ
)
日目
(
にちめ
)
から
生有
(
しやうう
)
と
言
(
い
)
つて、
058
親
(
おや
)
が
定
(
き
)
まり
兄弟
(
きやうだい
)
が
定
(
き
)
まるのである。
059
ただし
元来
(
ぐわんらい
)
そこには
山河
(
やまかは
)
、
060
草木
(
くさき
)
、
061
人類
(
じんるゐ
)
、
062
家屋
(
かをく
)
のごとき
万有
(
ばんいう
)
はあれども、
063
眼
(
め
)
には
触
(
ふ
)
れず
単
(
たん
)
に
親
(
おや
)
兄弟
(
きやうだい
)
がわかるのみで、
064
そのときの、
065
幽体
(
いうたい
)
は、
066
あたかも
三
(
さん
)
才
(
さい
)
の
童子
(
どうじ
)
のごとく
縮小
(
しゆくせう
)
されて、
067
中有
(
ちゆうう
)
になると
同時
(
どうじ
)
に
[
※
初版、校定版、愛世版いずれも「中有になると同時に」。
]
親子
(
おやこ
)
兄弟
(
きやうだい
)
の
情
(
じやう
)
が、
068
霊覚
(
れいかく
)
的
(
てき
)
に
湧
(
わ
)
いてくるのである。
069
さうして
中有
(
ちゆうう
)
の
四十九
(
しじふく
)
日間
(
にちかん
)
は
幽界
(
いうかい
)
で
迷
(
まよ
)
つてをるから、
070
この
間
(
あひだ
)
に
近親者
(
きんしんしや
)
が
十分
(
じつぷん
)
の
追善
(
つゐぜん
)
供養
(
くやう
)
をしてやらねばならぬ。
071
又
(
また
)
これが
親子
(
おやこ
)
兄弟
(
きやうだい
)
の
務
(
つと
)
めである。
072
この
中有
(
ちゆうう
)
にある
間
(
あひだ
)
の
追善
(
つゐぜん
)
供養
(
くやう
)
は、
073
生有
(
しやうう
)
に
多大
(
ただい
)
の
関係
(
くわんけい
)
がある。
074
すなはち
大善
(
だいぜん
)
と
大悪
(
だいあく
)
には
中有
(
ちゆうう
)
なく、
075
大善
(
だいぜん
)
は
死有
(
しう
)
から
直
(
ただ
)
ちに
生有
(
しやうう
)
となり、
076
大悪
(
だいあく
)
はただちに
地獄
(
ぢごく
)
すなはち
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
墜
(
お
)
ちる。
077
ゆゑに
真
(
しん
)
に
極善
(
ごくぜん
)
のものは
眠
(
ねむ
)
るがごとく
美
(
うつく
)
しい
顔
(
かほ
)
をしたまま
国替
(
くにがへ
)
して、
078
ただちに
天国
(
てんごく
)
に
生
(
う
)
まれ
変
(
かは
)
るのである。
079
また
大極悪
(
だいごくあく
)
のものは
前記
(
ぜんき
)
のごとき
径路
(
けいろ
)
をとつて、
080
悶
(
もだ
)
え
苦
(
くる
)
しみつつ
死
(
し
)
んで、
081
ただちに
地獄
(
ぢごく
)
に
墜
(
お
)
ちて
行
(
ゆ
)
くのである』
082
と。
083
自分
(
じぶん
)
はそれだけのことを
聞
(
き
)
いて、
084
高天原
(
たかあまはら
)
の
方
(
はう
)
へむかひ
神界
(
しんかい
)
旅行
(
りよかう
)
にかからうとした。
085
ところが
顔一杯
(
かほいつぱい
)
に
凸凹
(
でこぼこ
)
のできた
妙
(
めう
)
な
婦人
(
ふじん
)
が、
086
八衢
(
やちまた
)
の
中心
(
ちゆうしん
)
に
忽然
(
こつぜん
)
として
現
(
あら
)
はれた。
087
自分
(
じぶん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るなり、
088
長
(
なが
)
い
舌
(
した
)
をペロリと
吐
(
は
)
きだし、
089
ことさらに
凹
(
くぼ
)
んだ
眼
(
め
)
の
玉
(
たま
)
を、
090
ギロギロと
異様
(
いやう
)
に
光
(
ひか
)
らせながら、
091
足早
(
あしばや
)
に
神界
(
しんかい
)
の
入口
(
いりぐち
)
さして
一目散
(
いちもくさん
)
に
駆
(
か
)
けだした。
092
自分
(
じぶん
)
は……
変
(
へん
)
な
奴
(
やつ
)
が
出
(
で
)
てきたものだ、
093
一
(
ひと
)
つ
跡
(
あと
)
を
追
(
お
)
つて
彼
(
かれ
)
の
正体
(
しやうたい
)
を
見届
(
みとど
)
けてくれむ……と、
094
やや
好奇心
(
かうきしん
)
にかられて、
095
ドンドンと
追跡
(
つゐせき
)
した。
096
かの
怪女
(
くわいぢよ
)
はほとんど
空中
(
くうちゆう
)
を
走
(
はし
)
るがごとく、
097
一目散
(
いちもくさん
)
に
傍
(
かたはら
)
の
山林
(
さんりん
)
に
逃込
(
にげこ
)
んだ。
098
自分
(
じぶん
)
はとうとう
怪女
(
くわいぢよ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見失
(
みうしな
)
つてしまひ、
099
途方
(
とはう
)
にくれて
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
を
降
(
おろ
)
し、
100
鼬
(
いたち
)
に
最後屁
(
さいごぺ
)
を
嗅
(
かが
)
されたやうな
青白
(
あをじろ
)
いつまらぬ
顔
(
かほ
)
をして、
101
四辺
(
あたり
)
の
光景
(
くわうけい
)
をキヨロキヨロと
見
(
み
)
まはしてゐた。
102
どこともなく
妙
(
めう
)
な
声
(
こゑ
)
が
耳朶
(
じだ
)
を
打
(
う
)
つた。
103
耳
(
みみ
)
を
澄
(
す
)
まして
考
(
かんが
)
へてゐると、
104
鳥
(
とり
)
の
啼
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
とも、
105
猿
(
さる
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
ともわからぬ
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
である。
106
恐
(
こわ
)
いもの
見
(
み
)
たさに、
107
その
聞
(
きこ
)
ゆる
方向
(
はうこう
)
を
辿
(
たど
)
つて
荊
(
いばら
)
を
押
(
お
)
しわけ、
108
岩石
(
がんせき
)
を
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
え
渓流
(
けいりう
)
を
渡
(
わた
)
り、
109
峻坂
(
しゆんぱん
)
を
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
り、
110
色々
(
いろいろ
)
と
苦心
(
くしん
)
して
漸
(
やうや
)
く
一
(
ひと
)
つの
平坦
(
へいたん
)
なる
地点
(
ちてん
)
に
駆
(
か
)
けついた。
111
見
(
み
)
ると
最前
(
さいぜん
)
みた
怪女
(
くわいぢよ
)
を
中心
(
ちゆうしん
)
に、
112
あまたの
異様
(
いやう
)
な
人物
(
じんぶつ
)
らしいものが、
113
何
(
なに
)
かしきりに
囁
(
ささや
)
き
合
(
あ
)
つてゐた。
114
自分
(
じぶん
)
は
大木
(
たいぼく
)
の
蔭
(
かげ
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
めて、
115
彼
(
かれ
)
らの
様子
(
やうす
)
を
熟視
(
じゆくし
)
してゐると、
116
中央
(
ちゆうあう
)
に
座
(
ざ
)
を
構
(
かま
)
へた
凸凹
(
でこぼこ
)
の
顔
(
かほ
)
をした
醜
(
みにく
)
い
女
(
をんな
)
の
後方
(
うしろ
)
から、
117
太
(
ふと
)
いふとい
尻尾
(
しつぽ
)
が
現
(
あら
)
はれた。
118
彼
(
かれ
)
はその
尻尾
(
しつぽ
)
をピヨンと
左
(
ひだり
)
の
方
(
はう
)
へ
振
(
ふ
)
つた。
119
あまたの
人三
(
にんさん
)
化七
(
ばけしち
)
のやうな
怪物
(
くわいぶつ
)
が、
120
その
尻尾
(
しつぽ
)
の
向
(
む
)
いたる
方
(
はう
)
へ
雪崩
(
なだれ
)
を
打
(
う
)
つて、
121
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。
122
怪女
(
くわいぢよ
)
はまたもや
尻尾
(
しつぽ
)
を
右
(
みぎ
)
の
方
(
はう
)
へ
振
(
ふ
)
つた。
123
あまたの
動物
(
どうぶつ
)
とも
人間
(
にんげん
)
とも
区別
(
くべつ
)
もつかぬやうな
怪物
(
くわいぶつ
)
は、
124
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
ふやうにして
又
(
また
)
もや、
125
右
(
みぎ
)
の
方
(
はう
)
へ
一目散
(
いちもくさん
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。
126
怪女
(
くわいぢよ
)
はまたもや
尻尾
(
しつぽ
)
を
天
(
てん
)
に
向
(
むか
)
つてピヨンと
振
(
ふ
)
りあげた。
127
あまたの
怪物
(
くわいぶつ
)
は
一斉
(
いつせい
)
に、
128
天上
(
てんじやう
)
目
(
め
)
がけて
投
(
ほ
)
り
上
(
あ
)
げられ、
129
しばらくすると、
130
その
怪物
(
くわいぶつ
)
は
雨
(
あめ
)
のごとくなつて
降
(
ふ
)
り
来
(
き
)
たり、
131
あるひは
渓谷
(
けいこく
)
に
陥
(
おちい
)
り、
132
負傷
(
ふしやう
)
をするものもあり、
133
あるひは
荊棘
(
いばら
)
の
叢
(
くさむら
)
に
落込
(
おちこ
)
み
全身
(
ぜんしん
)
を
破
(
やぶ
)
り、
134
血
(
ち
)
に
塗
(
まみ
)
れて
行
(
ゆ
)
きも
帰
(
かへ
)
りもならず、
135
苦悶
(
くもん
)
してをるのもあつた。
136
中
(
なか
)
には
大木
(
たいぼく
)
にひつかかり、
137
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
のていにて
苦
(
くる
)
しみ
呻
(
うめ
)
いてゐるのもある。
138
中
(
なか
)
には
墜落
(
つゐらく
)
とともに
頭骨
(
とうこつ
)
を
打
(
う
)
ち
挫
(
くじ
)
き、
139
鮮血
(
せんけつ
)
淋漓
(
りんり
)
として
迸
(
ほとばし
)
り、
140
血
(
ち
)
の
泉
(
いづみ
)
をなした。
141
怪女
(
くわいぢよ
)
は、
142
さも
嬉
(
うれ
)
しさうな
顔色
(
がんしよく
)
をあらはし、
143
流
(
なが
)
るる
血潮
(
ちしほ
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
美味
(
うま
)
さうに
呑
(
の
)
んでゐた。
144
怪女
(
くわいぢよ
)
の
体
(
からだ
)
は
見
(
み
)
るみる
太
(
ふと
)
り
出
(
だ
)
した。
145
彼
(
かれ
)
の
額部
(
がくぶ
)
には
俄
(
にはか
)
にニユツと
二本
(
にほん
)
の
角
(
つの
)
が
発生
(
はつせい
)
した。
146
口
(
くち
)
はたちまち
耳
(
みみ
)
の
辺
(
あたり
)
まで
裂
(
さ
)
けてきた。
147
牙
(
きば
)
はだんだんと
伸
(
の
)
びて
剣
(
つるぎ
)
のやうに
鋭
(
するど
)
く
尖
(
とが
)
り、
148
かつ、
149
キラキラと
光
(
ひか
)
りだしてきた。
150
自分
(
じぶん
)
は
神界
(
しんかい
)
の
旅行
(
りよかう
)
をしてをるつもりだのに、
151
なぜこんな
鬼女
(
きぢよ
)
のゐるやうな
処
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
たのであらうかと、
152
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
をあてて
暫
(
しばら
)
く
考
(
かんが
)
へてゐた。
153
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に、
154
怪
(
あや
)
しい、
155
いやらしい
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
の
戦慄
(
よだ
)
つやうな
音
(
おと
)
がまたもや、
156
耳
(
みみ
)
を
掠
(
かす
)
めるのである。
157
自分
(
じぶん
)
はどうしても
合点
(
がつてん
)
がゆかなかつた。
158
途方
(
とはう
)
にくれた
揚句
(
あげく
)
に、
159
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
助
(
たす
)
けを
願
(
ねが
)
はうといふ
心
(
こころ
)
がおこつてきた。
160
自分
(
じぶん
)
は
四辺
(
あたり
)
の
恐
(
おそ
)
ろしいそして
殊更
(
ことさら
)
に
穢
(
けが
)
らはしい
光景
(
くわうけい
)
の、
161
眼
(
め
)
に
触
(
ふ
)
れないやうにと
思
(
おも
)
つて
瞑目
(
めいもく
)
し
静座
(
せいざ
)
して、
162
大声
(
おほごゑ
)
に
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
163
ややあつて「
眼
(
め
)
を
開
(
あ
)
け」と
教
(
をし
)
ゆる
声
(
こゑ
)
が
緩
(
ゆる
)
やかに
聞
(
きこ
)
えた。
164
自分
(
じぶん
)
はあまりに
眼前
(
がんぜん
)
の
光景
(
くわうけい
)
の
恐
(
おそ
)
ろしさ、
165
無残
(
むごたらし
)
さを
再
(
ふたた
)
び
目睹
(
もくと
)
することが
不快
(
ふくわい
)
でたまらないので、
166
なほも
瞑目
(
めいもく
)
の
態度
(
たいど
)
を
持
(
も
)
ちつづけてゐた。
167
さうすると
今度
(
こんど
)
は、
168
前
(
まへ
)
とはやや
大
(
おほ
)
きな、
169
そして
少
(
すこ
)
し
尖
(
とが
)
りのあるやうな
声
(
こゑ
)
で、
170
『
迷
(
まよ
)
ふなかれ、
171
早
(
はや
)
く
活眼
(
くわつがん
)
を
開
(
ひら
)
いて、
172
神世
(
かみよ
)
の
荘厳
(
さうごん
)
なる
状況
(
じやうきやう
)
に
眼
(
め
)
を
醒
(
さ
)
ませ』
173
と
叫
(
さけ
)
ぶものがあつた。
174
自分
(
じぶん
)
は
心
(
こころ
)
のうちにて
妖怪
(
えうくわい
)
変化
(
へんげ
)
の
誑惑
(
けふわく
)
と
思
(
おも
)
ひつめ、
175
……そんなことに
乗
(
の
)
るものかい、
176
尻
(
しり
)
でも
喰
(
くら
)
へ……と
素知
(
そし
)
らぬふうをして
猶
(
なほ
)
も
瞑目
(
めいもく
)
をつづけた。
177
『
迷
(
まよ
)
へるものよ、
178
時
(
とき
)
は
近
(
ちか
)
づいた。
179
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
眼
(
め
)
を
開
(
ひら
)
いて、
180
神界
(
しんかい
)
の
経綸
(
けいりん
)
の
容易
(
ようい
)
ならざる
実況
(
じつきやう
)
を
熟視
(
じゆくし
)
せよ。
181
神国
(
しんこく
)
は
眼前
(
がんぜん
)
に
近
(
ちか
)
づけり。
182
されど
眼
(
まなこ
)
なきものは、
183
憐
(
あは
)
れなるかな。
184
汝
(
なんぢ
)
いつまで
八衢
(
やちまた
)
に
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ひ、
185
神
(
かみ
)
の
命
(
めい
)
ずる
神界
(
しんかい
)
の
探険
(
たんけん
)
旅行
(
りよかう
)
に
出立
(
しゆつたつ
)
せざるや』
186
と
言
(
い
)
ふものがある。
187
自分
(
じぶん
)
は
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
で……
神界
(
しんかい
)
旅行
(
りよかう
)
を
試
(
こころ
)
み、
188
今
(
いま
)
かくのごとき
不愉快
(
ふゆくわい
)
なることを
目撃
(
もくげき
)
してをるのに、
189
神界
(
しんかい
)
の
探険
(
たんけん
)
せよとは、
190
何者
(
なにもの
)
の
言
(
げん
)
ぞ。
191
馬鹿
(
ばか
)
を
言
(
い
)
ふな、
192
古狸
(
ふるだぬき
)
奴
(
め
)
、
193
大
(
おほ
)
きな
尻尾
(
しつぽ
)
をさげて
居
(
ゐ
)
よつて、
194
俺
(
おれ
)
が
知
(
し
)
らんと
思
(
おも
)
つて
居
(
い
)
やがるか
知
(
し
)
らんが、
195
おれは
天眼通
(
てんがんつう
)
でチヤンと
看破
(
かんぱ
)
してをるのだ。
196
鬼化
(
をにば
)
け
狸
(
たぬき
)
に
他人
(
たにん
)
は
欺
(
だま
)
されても、
197
おれは
貴様
(
きさま
)
のやうな
古狸
(
ふるだぬき
)
には、
198
誑
(
たぶ
)
らかされないぞ。
199
見
(
み
)
る
眼
(
め
)
も
汚
(
けが
)
れる……と
考
(
かんが
)
へた。
200
そうするとまた
前
(
まへ
)
のやうな
声
(
こゑ
)
に、
201
すこし
怒
(
いか
)
りを
帯
(
お
)
びたやうな
調子
(
てうし
)
で、
202
『
貴様
(
きさま
)
は
道
(
みち
)
を
知
(
し
)
らぬ
奴
(
やつ
)
だ』
203
と
呶鳴
(
どな
)
る。
204
そのとたんに
目
(
め
)
を
思
(
おも
)
はず
開
(
ひら
)
いて
見
(
み
)
ると、
205
前
(
まへ
)
の
光景
(
くわうけい
)
とは
打
(
う
)
つて
変
(
かは
)
つた
荘厳
(
さうごん
)
無比
(
むひ
)
の
宝座
(
ほうざ
)
が
眼前
(
がんぜん
)
に
現
(
あら
)
はれた。
206
その
一刹那
(
いちせつな
)
、
207
松
(
まつ
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
に
気
(
き
)
がつくと、
208
豈計
(
あにはか
)
らんや、
209
自分
(
じぶん
)
は
高熊山
(
たかくまやま
)
のガマ
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
端座
(
たんざ
)
してゐた。
210
(
大正一〇・一〇・一八
旧九・一八
外山豊二
録)
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