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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第34巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 筑紫の不知火
第1章 筑紫上陸
第2章 孫甦
第3章 障文句
第4章 歌垣
第5章 対歌
第6章 蜂の巣
第7章 無花果
第8章 暴風雨
第2篇 有情無情
第9章 玉の黒点
第10章 空縁
第11章 富士咲
第12章 漆山
第13章 行進歌
第14章 落胆
第15章 手長猿
第16章 楽天主義
第3篇 峠の達引
第17章 向日峠
第18章 三人塚
第19章 生命の親
第20章 玉卜
第21章 神護
第22章 蛙の口
第23章 動静
余白歌
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霊界物語
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海洋万里(第25~36巻)
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第34巻(酉の巻)
> 第2篇 有情無情 > 第10章 空縁
<<< 玉の黒点
(B)
(N)
富士咲 >>>
第一〇章
空縁
(
からえん
)
〔九五一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻
篇:
第2篇 有情無情
よみ(新仮名遣い):
うじょうむじょう
章:
第10章 空縁
よみ(新仮名遣い):
からえん
通し章番号:
951
口述日:
1922(大正11)年09月13日(旧07月22日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
建野ケ原の神館は小高い丘の上に建てられており、信徒がひっきりなしに参拝して神徳は四方に輝きわたっていた。
一年前に婿入りし神館の主となった建国別は、黙然として想いにふけり、妻の建能姫の呼びかけにも気が付かないほど悩んでいた。建国別は、自分は今でこそ立派な名をもらって建日別命の後を継いでいるが、幼名は金太郎と言い父母の顔も知らず育ったため、父母に会いたいという執着心にさいなまれているのだと建能姫に明かした。
建能姫は、今日はちょうど建国別が婿入りして神館の後を継いで一年になる吉日のため、夫婦そろって神様にお礼を申し上げ、役員信者にお神酒を饗応しようと提案した。建国別は妻の心遣いに感謝した。
夫婦そろって奏上する祝詞は相和して得も言われぬ風韻が境内に隈なく響き渡った。役員信者たちは今日の祝宴に列して口々に建国別夫婦の高徳を称えあっていた。
そこへ、玉公に案内されて黒姫がやってきた。玉公は門番に、黒姫が建国別の母親かもしれないと告げて、建国別に目通りを願い出た。
建国別は神前での感謝祈願を終わって、建能姫に、自分の両親は立派な宣伝使となって活動しているような感覚を得たので、非常に心が晴れたことを告げていたところであった。
そこへ門番の幾公があわててやってきた。幾公はてっきり黒姫が建国別の母親だと早合点して、注進にきたのであった。建能姫は、まずは自分が黒姫を案内してくるので、その上で面会して真偽を確かめようと言い、幾公に口止めする。あわて者の幾公はすでに幹部の健彦をはじめ、数人に話してしまった後であった。
建能姫は幾公のあわて振りや脱線振りに笑いをこぼしながらも、黒姫に挨拶をなして奥座敷に案内をした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-09-19 14:04:22
OBC :
rm3410
愛善世界社版:
127頁
八幡書店版:
第6輯 408頁
修補版:
校定版:
133頁
普及版:
53頁
初版:
ページ備考:
001
建野
(
たけの
)
ケ
原
(
はら
)
の
神館
(
かむやかた
)
は、
002
風景
(
ふうけい
)
よき
小丘
(
せうきう
)
の
上
(
うへ
)
に
小薩張
(
こざつぱり
)
として
新
(
あたら
)
しく
建
(
た
)
てられて
居
(
ゐ
)
る。
003
千年
(
ちとせ
)
の
老樹
(
らうじゆ
)
、
004
鬱蒼
(
うつさう
)
として
境内
(
けいだい
)
を
包
(
つつ
)
み、
005
実
(
じつ
)
に
神々
(
かうがう
)
しき
地点
(
ちてん
)
である。
006
前
(
まへ
)
は
激潭
(
げきたん
)
飛沫
(
ひまつ
)
を
飛
(
と
)
ばす
深谷川
(
ふかたにがは
)
が
横
(
よこ
)
ぎつて
居
(
ゐ
)
る。
007
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
信徒
(
しんと
)
の
参集
(
さんしふ
)
する
者
(
もの
)
踵
(
きびす
)
を
接
(
せつ
)
し、
008
神
(
かみ
)
の
神徳
(
しんとく
)
は
四方
(
よも
)
に
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
009
館
(
やかた
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
には
建国別
(
たけくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
脇息
(
けふそく
)
に
凭
(
もた
)
れ
乍
(
なが
)
ら
深
(
ふか
)
き
吐息
(
といき
)
をついて
居
(
ゐ
)
る。
010
襖
(
ふすま
)
をそつと
引
(
ひ
)
き
開
(
あ
)
け、
011
湯
(
ゆ
)
を
盆
(
ぼん
)
にもつて
淑
(
しと
)
やかに
入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
た
絶世
(
ぜつせい
)
の
美人
(
びじん
)
は
建能姫
(
たけのひめ
)
であつた。
012
建能姫
(
たけのひめ
)
『
吾
(
わが
)
夫様
(
つまさま
)
、
013
お
早
(
はや
)
う
御座
(
ござ
)
います。
014
お
湯
(
ゆ
)
が
沸
(
わ
)
きました、
015
どうぞ
一
(
ひと
)
つ
召
(
め
)
し
上
(
あ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
016
と
差出
(
さしいだ
)
す。
017
建能姫
(
たけのひめ
)
の
声
(
こゑ
)
にも
気
(
き
)
がつかぬと
見
(
み
)
え、
018
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ
黙念
(
もくねん
)
として
何
(
なに
)
か
冥想
(
めいさう
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
019
建能姫
(
たけのひめ
)
は
少
(
すこ
)
しく
声
(
こゑ
)
を
高
(
たか
)
め、
020
建能姫
(
たけのひめ
)
『モシモシ
吾
(
わが
)
夫様
(
つまさま
)
、
021
お
湯
(
ゆ
)
が
沸
(
わ
)
きました、
022
召
(
め
)
し
上
(
あ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
023
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
ハツ
と
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
いたやうな
面持
(
おももち
)
にて、
024
建国別
(
たけくにわけ
)
『ヤア
其方
(
そなた
)
は
建能姫
(
たけのひめ
)
、
025
お
湯
(
ゆ
)
が
沸
(
わ
)
きましたかな、
026
有難
(
ありがた
)
う
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しませう』
027
建能姫
(
たけのひめ
)
『
吾
(
わが
)
夫様
(
つまさま
)
、
028
貴方
(
あなた
)
は
妾
(
わらは
)
の
家
(
うち
)
にお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいましてから、
029
恰度
(
ちやうど
)
今日
(
けふ
)
で
満
(
まん
)
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
になります。
030
然
(
しか
)
るに
唯
(
ただ
)
の
一度
(
いちど
)
も
妾
(
わらは
)
に
対
(
たい
)
し
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
のよいお
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
せて
下
(
くだ
)
さつた
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
031
妾
(
わらは
)
も
初
(
はじめ
)
の
間
(
うち
)
は
不束
(
ふつつか
)
なもの
故
(
ゆゑ
)
お
気
(
き
)
に
召
(
め
)
さぬかと
存
(
ぞん
)
じ
色々
(
いろいろ
)
と
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
みましたが、
032
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
はいつも
妾
(
わらは
)
を
可愛
(
かあい
)
がつて
下
(
くだ
)
さいますので
合点
(
がてん
)
が
行
(
ゆ
)
かず、
033
何
(
なに
)
か
深
(
ふか
)
い
秘密
(
ひみつ
)
がお
有
(
あ
)
りなさるのであらうと、
034
常々
(
つねづね
)
に
済
(
す
)
まぬ
事
(
こと
)
ながら
御
(
ご
)
様子
(
やうす
)
を
伺
(
うかが
)
つて
居
(
を
)
りました。
035
然
(
しか
)
る
処
(
ところ
)
或夜
(
あるよ
)
のお
寝言
(
ねごと
)
に……
父上
(
ちちうへ
)
母上
(
ははうへ
)
に
一目
(
ひとめ
)
遇
(
あ
)
ひ
度
(
た
)
い……と
仰有
(
おつしや
)
つた
事
(
こと
)
が
妾
(
わらは
)
の
耳
(
みみ
)
に
今
(
いま
)
に
残
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
ります。
036
何卒
(
どうぞ
)
女房
(
にようばう
)
の
妾
(
わらは
)
に
何
(
なん
)
の
遠慮
(
ゑんりよ
)
もいりませぬから、
037
ハツキリ
と
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
038
と
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
問
(
と
)
ひかけたるに、
039
建国別
(
たけくにわけ
)
は、
040
建国別
『
女房
(
にようばう
)
の
其方
(
そなた
)
に
隠
(
かく
)
して
居
(
を
)
つて
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まなかつた。
041
水臭
(
みづくさ
)
い
夫
(
をつと
)
と
恨
(
うら
)
んで
下
(
くだ
)
さいますな。
042
貴女
(
あなた
)
は
由緒
(
ゆいしよ
)
ある
建日別
(
たけひわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
息女
(
むすめご
)
、
043
此
(
この
)
建国別
(
たけくにわけ
)
は
父母
(
ふぼ
)
両親
(
りやうしん
)
の
所在
(
ありか
)
も
分
(
わか
)
らず、
044
況
(
ま
)
して
素性
(
すじやう
)
は
如何
(
いか
)
なるものか
些
(
ちつ
)
とも
見当
(
けんたう
)
が
取
(
と
)
れませぬ。
045
今
(
いま
)
は
建日別
(
たけひわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
後
(
あと
)
をつぎ、
046
建国別
(
たけくにわけ
)
と
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
な
名
(
な
)
を
頂
(
いただ
)
き、
047
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
仕
(
つか
)
へをして
居
(
を
)
りますが、
048
私
(
わたくし
)
の
幼時
(
えうじ
)
は
金太郎
(
きんたろう
)
と
云
(
い
)
つて
姓
(
せい
)
も
知
(
し
)
れず、
049
人
(
ひと
)
に
拾
(
ひろ
)
はれ
他人
(
たにん
)
の
情
(
なさけ
)
によつて、
050
漸
(
やうや
)
く
三十五
(
さんじふご
)
の
今日
(
けふ
)
迄
(
まで
)
成人
(
せいじん
)
して
来
(
き
)
ました。
051
私
(
わたくし
)
の
父母
(
ちちはは
)
はもう
今頃
(
いまごろ
)
は
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
いき
)
て
居
(
を
)
られるか、
052
或
(
あるひ
)
は
彼
(
あの
)
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
になつて
居
(
を
)
られるか、
053
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが、
054
両親
(
りやうしん
)
に
遇
(
あ
)
ひ
度
(
た
)
い
遇
(
あ
)
ひ
度
(
た
)
いと
云
(
い
)
ふ
執着心
(
しふちやくしん
)
がムクムクと
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
より
起
(
おこ
)
つて
来
(
き
)
て、
055
いつも
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らず
顔
(
かほ
)
がふくれ、
056
不機嫌
(
ふきげん
)
な
顔
(
かほ
)
をお
前
(
まへ
)
に
見
(
み
)
せました。
057
何卒
(
どうぞ
)
気
(
き
)
を
悪
(
わる
)
くして
下
(
くだ
)
さるな』
058
建能姫
(
たけのひめ
)
『
勿体
(
もつたい
)
ない
何
(
なに
)
を
仰
(
あふ
)
せられます。
059
今日
(
けふ
)
は
夫
(
あなた
)
の
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
入
(
い
)
らせられてより
満
(
まん
)
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
の
吉日
(
きちにち
)
、
060
何卒
(
どうぞ
)
機嫌
(
きげん
)
をお
直
(
なほ
)
し
下
(
くだ
)
さつて、
061
夫婦
(
ふうふ
)
揃
(
そろ
)
うて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
礼
(
れい
)
を
申上
(
まをしあ
)
げ、
062
心祝
(
こころいは
)
ひに
皆
(
みな
)
の
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
に
御
(
お
)
神酒
(
みき
)
でも
饗応
(
ふれまひ
)
申
(
まう
)
しませうか。
063
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
貴方
(
あなた
)
も
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
にキツトお
遇
(
あ
)
ひなさる
事
(
こと
)
が
何
(
いづ
)
れは
御座
(
ござ
)
いませう。
064
何卒
(
どうぞ
)
その
様
(
やう
)
に
落胆
(
らくたん
)
せずに、
065
潔
(
いさぎよ
)
く
暮
(
くら
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
066
建国別
(
たけくにわけ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う、
067
そんなら
今日
(
けふ
)
は
機嫌
(
きげん
)
よう
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
礼
(
れい
)
を
致
(
いた
)
しませう。
068
さうして
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
に
御
(
お
)
神酒
(
みき
)
を
頂
(
いただ
)
かしませう』
069
建能姫
(
たけのひめ
)
は
嬉
(
うれ
)
し
気
(
げ
)
に、
070
いそいそとして
酒宴
(
しゆえん
)
の
用意
(
ようい
)
を
役員
(
やくゐん
)
の
建彦
(
たけひこ
)
に
命
(
めい
)
ずべく
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
下
(
さが
)
つて
仕舞
(
しま
)
つた。
071
後
(
あと
)
に
建国別
(
たけくにわけ
)
は
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み、
072
両親
(
りやうしん
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
及
(
およ
)
び
建能姫
(
たけのひめ
)
の
親切
(
しんせつ
)
なる
言葉
(
ことば
)
に
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
止
(
と
)
め
難
(
がた
)
く、
073
教服
(
けうふく
)
の
袖
(
そで
)
に
時
(
とき
)
ならぬ
夕立
(
ゆふだち
)
の
雨
(
あめ
)
を
降
(
ふ
)
らして
居
(
ゐ
)
る。
074
建能姫
(
たけのひめ
)
は
襖
(
ふすま
)
を
静
(
しづか
)
に
開
(
ひら
)
き
丁寧
(
ていねい
)
に
両手
(
りやうて
)
をつき、
075
言葉
(
ことば
)
静
(
しづか
)
に、
076
建能姫
(
たけのひめ
)
『
吾
(
わが
)
夫様
(
つまさま
)
、
077
建彦
(
たけひこ
)
に
今日
(
けふ
)
の
祝宴
(
しゆくえん
)
は
一切
(
いつさい
)
命
(
めい
)
じて
置
(
お
)
きました。
078
サア、
079
妾
(
わらは
)
と
二人
(
ふたり
)
これから
神前
(
しんぜん
)
へお
礼
(
れい
)
に
上
(
あが
)
りませう』
080
建国別
(
たけくにわけ
)
は
建能姫
(
たけのひめ
)
のやさしき
言葉
(
ことば
)
に
満足
(
まんぞく
)
の
面
(
おもて
)
を
照
(
てら
)
しながら
神殿
(
しんでん
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
081
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
するのであつた。
082
玉
(
たま
)
を
転
(
ころば
)
す
如
(
ごと
)
き
建能姫
(
たけのひめ
)
の
声
(
こゑ
)
、
083
音吐
(
おんと
)
朗々
(
らうらう
)
たる
建国別
(
たけくにわけ
)
の
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
と
琴瑟
(
きんしつ
)
相
(
あひ
)
調和
(
てうわ
)
して、
084
得
(
え
)
も
云
(
い
)
はれぬ
風韻
(
ふうゐん
)
が
境内
(
けいだい
)
に
隈
(
くま
)
なく
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
り、
085
神々
(
かうがう
)
しき
光景
(
くわうけい
)
が
溢
(
あふ
)
れてゐる。
086
建彦
(
たけひこ
)
以下
(
いか
)
の
幹部
(
かんぶ
)
役員
(
やくゐん
)
を
初
(
はじ
)
め、
087
数多
(
あまた
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
は
早朝
(
さうてう
)
より
詰
(
つ
)
めかけ、
088
今日
(
けふ
)
の
祝宴
(
しゆくえん
)
に
列
(
れつ
)
すべく
和気
(
わき
)
靄々
(
あいあい
)
として、
089
境内
(
けいだい
)
の
各所
(
かくしよ
)
に
三々
(
さんさん
)
五々
(
ごご
)
群
(
むれ
)
をなし、
090
建国別
(
たけくにわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
高徳
(
かうとく
)
を
口々
(
くちぐち
)
に
讃歎
(
さんたん
)
して
居
(
ゐ
)
る。
091
上下
(
しやうか
)
一致
(
いつち
)
相和楽
(
あひわらく
)
して
恰
(
あたか
)
も
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
趣
(
おもむき
)
が
館
(
やかた
)
の
内外
(
ないぐわい
)
に
十二分
(
じふにぶん
)
に
溢
(
あふ
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
092
かかる
処
(
ところ
)
へ
表門
(
おもてもん
)
を
叩
(
たた
)
いて
入
(
い
)
り
来
(
く
)
る
男女
(
だんぢよ
)
二人
(
ふたり
)
の
道者
(
だうしや
)
があつた。
093
女
(
をんな
)
『モシモシ、
094
一寸
(
ちよつと
)
此
(
この
)
門
(
もん
)
を
開
(
あ
)
けて
下
(
くだ
)
さいませぬか。
095
妾
(
わたし
)
は
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
より
参
(
まゐ
)
りました
黒姫
(
くろひめ
)
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
096
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
女房
(
にようばう
)
だと
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
されば、
097
建国別
(
たけくにわけ
)
様
(
さま
)
はキツとお
会
(
あ
)
ひ
下
(
くだ
)
さるでせうから……』
098
門番
(
もんばん
)
の
幾公
(
いくこう
)
は
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
女房
(
にようばう
)
と
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
き
慌
(
あわ
)
てて
表門
(
おもてもん
)
をサツと
開
(
ひら
)
いた。
099
数多
(
あまた
)
の
参詣者
(
さんけいしや
)
の
出入
(
でいり
)
する
門
(
もん
)
は
横
(
よこ
)
の
方
(
はう
)
にある。
100
此
(
この
)
門
(
もん
)
は
唯
(
ただ
)
建国別
(
たけくにわけ
)
個人
(
こじん
)
としての
住宅
(
ぢうたく
)
の
門
(
もん
)
であつた。
101
黒姫
(
くろひめ
)
は、
102
黒姫
『
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
さま』
103
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
門内
(
もんない
)
に
慌
(
あはただ
)
しく
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
104
幾公
(
いくこう
)
は
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
105
幾公
(
いくこう
)
『アヽお
前
(
まへ
)
は
玉
(
たま
)
さまぢやないか。
106
どうして
又
(
また
)
このお
方
(
かた
)
の
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
をして
来
(
き
)
たのだ』
107
玉公
(
たまこう
)
『チツと
合点
(
がつてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
があるのだ。
108
ひよつとしたら
建国別
(
たけくにわけ
)
様
(
さま
)
の
此
(
この
)
方
(
かた
)
はお
母
(
か
)
アさまかも
知
(
し
)
れないよ。
109
夫
(
それ
)
で
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
申
(
まを
)
したのだ』
110
と、
111
耳
(
みみ
)
の
辺
(
はた
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せ
他聞
(
たぶん
)
を
憚
(
はばか
)
るやうな
面持
(
おももち
)
にて
囁
(
ささや
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
112
幾公
(
いくこう
)
『それや
大変
(
たいへん
)
だ。
113
今日
(
けふ
)
は
建国別
(
たけくにわけ
)
様
(
さま
)
のおこし
遊
(
あそ
)
ばしてから
満
(
まん
)
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
の
祝宴
(
しゆくえん
)
が
開
(
ひら
)
かれてゐる
処
(
ところ
)
だ。
114
こんな
芽出度
(
めでた
)
い
場所
(
ばしよ
)
へお
母
(
かあ
)
さまがお
越
(
こし
)
になるとは
益々
(
ますます
)
もつて
芽出度
(
めでた
)
い
事
(
こと
)
だ。
115
オイ
玉公
(
たまこう
)
お
前
(
まへ
)
何卒
(
どうぞ
)
暫
(
しばら
)
く
俺
(
おれ
)
に
代
(
かは
)
つて
門番
(
もんばん
)
をして
居
(
ゐ
)
て
呉
(
く
)
れ。
116
俺
(
おれ
)
はこれから
建国別
(
たけくにわけ
)
様
(
さま
)
にこの
吉報
(
きつぱう
)
を
注進
(
ちうしん
)
して
来
(
く
)
るから……』
117
と
云
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
て
黒姫
(
くろひめ
)
に
追
(
お
)
ひつき
行
(
ゆ
)
く。
118
幾公
(
いくこう
)
『モシモシ
建国別
(
たけくにわけ
)
のお
母
(
かあ
)
さま、
119
ボツボツ
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
120
私
(
わたくし
)
が
先
(
さき
)
に
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
に
御
(
ご
)
注進
(
ちうしん
)
申上
(
まをしあ
)
げ、
121
お
迎
(
むか
)
へに
参
(
まゐ
)
ります。
122
何卒
(
どうぞ
)
この
中門
(
なかもん
)
の
傍
(
そば
)
に
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
乍
(
なが
)
ら
暫
(
しばら
)
く
立
(
た
)
つて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいませ』
123
と
早
(
はや
)
くも
慌者
(
あわてもの
)
の
幾公
(
いくこう
)
は、
124
建国別
(
たけくにわけ
)
の
母親
(
ははおや
)
と
固
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じて
仕舞
(
しま
)
ひ、
125
不遠慮
(
ぶゑんりよ
)
に
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
さして
慌
(
あは
)
ただしくかけ
込
(
こ
)
んだ。
126
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
には
建国別
(
たけくにわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
、
127
向
(
むか
)
ひ
合
(
あ
)
ひとなつて
祝
(
いはひ
)
の
酒
(
さけ
)
を
汲
(
く
)
み
交
(
か
)
はして
居
(
ゐ
)
る。
128
建能姫
(
たけのひめ
)
『
吾
(
わが
)
夫様
(
つまさま
)
、
129
今日
(
けふ
)
位
(
くらゐ
)
気
(
き
)
の
何
(
なん
)
となく
嬉
(
うれ
)
しい
時
(
とき
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬなア。
130
それについても
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
様
(
さま
)
が
此
(
この
)
席
(
せき
)
にお
出
(
いで
)
になり、
131
親子
(
おやこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
斯
(
か
)
うして
睦
(
むつま
)
じう
直会
(
なほらひ
)
のお
神酒
(
みき
)
を
頂
(
いただ
)
くのならば、
132
何程
(
なにほど
)
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
133
建国別
(
たけくにわけ
)
『あゝさうですなア。
134
併
(
しか
)
し
私
(
わたくし
)
は
今
(
いま
)
神前
(
しんぜん
)
に
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
の
最中
(
さいちう
)
、
135
フツと
妙
(
めう
)
な
考
(
かんが
)
へが
起
(
おこ
)
りました。
136
私
(
わたくし
)
の
両親
(
りやうしん
)
はキツト
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
い
)
きて
居
(
ゐ
)
て
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
為
(
ため
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
となり、
137
活動
(
くわつどう
)
して
居
(
を
)
られるやうな
感
(
かん
)
が
致
(
いた
)
しました。
138
そうして
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
となしに
両親
(
りやうしん
)
に
会
(
あ
)
ふ
手蔓
(
てづる
)
が
出来
(
でき
)
るやうな
気分
(
きぶん
)
が
浮
(
う
)
いて
来
(
き
)
て、
139
酒
(
さけ
)
の
味
(
あぢ
)
も
一層
(
いつそう
)
よくなりました』
140
建能姫
(
たけのひめ
)
『
夫
(
それ
)
は
夫
(
それ
)
は
何
(
なに
)
よりも
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
います。
141
キツト
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せで
誠
(
まこと
)
さへ
積
(
つ
)
んで
居
(
を
)
れば、
142
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
対面
(
たいめん
)
が
出来
(
でき
)
ませう。
143
妾
(
わらは
)
も
一昨年
(
いつさくねん
)
両親
(
りやうしん
)
に
別
(
わか
)
れ
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
むは
唯
(
ただ
)
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
命
(
みこと
)
ばかり、
144
そこへ
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
様
(
さま
)
がお
見
(
み
)
えにならうものなら、
145
どれ
程
(
ほど
)
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
146
妾
(
わらは
)
はキツト
生
(
うみ
)
の
父母
(
ちちはは
)
と
思
(
おも
)
ひ、
147
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
り
孝養
(
かうやう
)
を
尽
(
つく
)
しますから
何卒
(
どうぞ
)
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
148
と
涙
(
なみだ
)
ぐむ。
149
建国別
(
たけくにわけ
)
は、
150
建国別
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う』
151
と
云
(
い
)
つたきり
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
び、
152
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
俯向
(
うつむ
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
153
その
処
(
ところ
)
へ
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
く
慌
(
あは
)
ただしく
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
るは
門番
(
もんばん
)
の
幾公
(
いくこう
)
であつた。
154
ガラリと
襖
(
ふすま
)
を
無造作
(
むざうさ
)
に
引
(
ひ
)
きあけ、
155
片膝
(
かたひざ
)
を
立
(
た
)
てたまま
手
(
て
)
をついて、
156
ハアハアと
息
(
いき
)
をはづませ、
157
幾公
(
いくこう
)
『もしもし
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
158
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ました。
159
天
(
てん
)
が
地
(
ち
)
となり、
160
地
(
ち
)
が
天
(
てん
)
になるやうな
突発
(
とつぱつ
)
事件
(
じけん
)
で
御座
(
ござ
)
いますよ』
161
建国別
(
たけくにわけ
)
は
稍
(
やや
)
気色
(
けしき
)
ばみ、
162
忽
(
たちま
)
ち
立膝
(
たてひざ
)
となり、
163
建国別
(
たけくにわけ
)
『お
前
(
まへ
)
は
門番
(
もんばん
)
の
幾公
(
いくこう
)
、
164
大変事
(
だいへんじ
)
が
突発
(
とつぱつ
)
したとは
何事
(
なにごと
)
だ。
165
早
(
はや
)
く
云
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れないか』
166
幾公
(
いくこう
)
『ハイ、
167
大変
(
たいへん
)
も
大変
(
たいへん
)
地異
(
ちい
)
天変
(
てんぺん
)
、
168
手
(
て
)
の
舞
(
ま
)
ひ
足
(
あし
)
の
踏
(
ふ
)
む
所
(
ところ
)
を
知
(
し
)
らずと
云
(
い
)
ふ
喜
(
よろこ
)
びが
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
ました。
169
お
目出度
(
めでた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
170
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
様
(
さま
)
お
喜
(
よろこ
)
びなさいませ。
171
あゝ
嬉
(
うれ
)
しい
嬉
(
うれ
)
しい
目出度
(
めでた
)
い
目出度
(
めでた
)
いおめでたい』
172
と
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
173
キリ
キリと
舞
(
ま
)
うて
見
(
み
)
せた。
174
夫婦
(
ふうふ
)
は
合点
(
がてん
)
ゆかず、
175
ヂツと
幾公
(
いくこう
)
の
乱舞
(
らんぶ
)
を
見詰
(
みつ
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
176
幾公
(
いくこう
)
『これはこれは
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
177
余
(
あま
)
り
嬉
(
うれ
)
しうて
肝腎
(
かんじん
)
の
申上
(
まをしあ
)
げる
事
(
こと
)
を
忘
(
わす
)
れました。
178
目出度
(
めでた
)
い
時
(
とき
)
には
目出度
(
めでた
)
事
(
ごと
)
が
重
(
かさ
)
なるものですなア、
179
貴方
(
あなた
)
のお
母
(
かあ
)
さまが、
180
建国別
(
たけくにわけ
)
の
館
(
やかた
)
は
此処
(
ここ
)
か、
181
一度
(
いちど
)
会
(
あ
)
ひたいと
仰有
(
おつしや
)
つて、
182
今
(
いま
)
、
183
村
(
むら
)
の
玉公
(
たまこう
)
の
案内
(
あんない
)
でお
見
(
み
)
えになりました。
184
中門
(
なかもん
)
の
口
(
くち
)
に
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
られますから、
185
何卒
(
どうぞ
)
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
様
(
さま
)
機嫌
(
きげん
)
よくお
出迎
(
でむか
)
へ
下
(
くだ
)
さいませ。
186
嘸
(
さぞ
)
お
母
(
かあ
)
さまもお
喜
(
よろこ
)
びで
御座
(
ござ
)
いませう』
187
建国別
(
たけくにわけ
)
は、
188
建国別
『ハテナア』
189
と
云
(
い
)
つたきり
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み
又
(
また
)
もや
思案
(
しあん
)
に
沈
(
しづ
)
む。
190
幾公
(
いくこう
)
は
焦慮
(
もどかし
)
さうに、
191
幾公
(
いくこう
)
『これはしたり
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
192
ハテナも
何
(
なに
)
もあつたものですか。
193
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
を
)
られますと、
194
お
母
(
かあ
)
さまが
怒
(
おこ
)
つて
帰
(
かへ
)
られたら、
195
それこそつまりませぬ。
196
喜
(
よろこ
)
びも
一緒
(
いつしよ
)
に
帰
(
かへ
)
つて
仕舞
(
しま
)
ひます。
197
何卒
(
どうぞ
)
早
(
はや
)
くお
出迎
(
でむか
)
ひなさつて
下
(
くだ
)
さいませ。
198
中門
(
なかもん
)
の
口
(
くち
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
られますから……』
199
建能姫
(
たけのひめ
)
『
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
200
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
貴方
(
あなた
)
は
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいませ。
201
妾
(
わらは
)
が
実否
(
じつぴ
)
を
検
(
しら
)
べて
参
(
まゐ
)
ります』
202
建国別
(
たけくにわけ
)
『
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
貴方
(
あなた
)
往
(
い
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい、
203
仮令
(
たとへ
)
真偽
(
しんぎ
)
は
分
(
わか
)
らなくとも
御
(
ご
)
丁寧
(
ていねい
)
に
奥
(
おく
)
へお
通
(
とほ
)
し
申
(
まを
)
しゆつくりと
話
(
はなし
)
を
承
(
うけたま
)
はりませう。
204
可成
(
なるべく
)
人
(
ひと
)
の
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
らないやうにして
下
(
くだ
)
さい』
205
建能姫
(
たけのひめ
)
『ハイ
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
206
それなら
妾
(
わらは
)
がお
迎
(
むか
)
ひに
参
(
まゐ
)
ります……これ
幾公
(
いくこう
)
や、
207
お
前
(
まへ
)
此
(
この
)
事
(
こと
)
は
真偽
(
しんぎ
)
の
分
(
わか
)
る
迄
(
まで
)
誰人
(
だれ
)
にも
云
(
い
)
つてはなりませぬよ』
208
幾公
(
いくこう
)
は
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
きながら、
209
幾公
(
いくこう
)
『ハイ
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
210
あまり
嬉
(
うれ
)
しいので
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
連中
(
れんちう
)
に
喋
(
しやべ
)
つて
了
(
しま
)
ひました。
211
もう
今頃
(
いまごろ
)
は
建彦
(
たけひこ
)
の
幹部
(
かんぶ
)
にも
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
り、
212
やがてお
祝
(
いはひ
)
にテクテク
詰
(
つ
)
めかけるでせう。
213
今更
(
いまさら
)
口留
(
くちどめ
)
する
訳
(
わけ
)
にもゆきませず、
214
どうしませうかなア』
215
建能姫
(
たけのひめ
)
『
何
(
なん
)
とまア
気
(
き
)
の
早
(
はや
)
い
男
(
をとこ
)
だなア、
216
万一
(
まんいち
)
人違
(
ひとちが
)
ひで、
217
真実
(
ほんと
)
のお
母
(
かあ
)
さまで
無
(
な
)
かつた
時
(
とき
)
はお
前
(
まへ
)
どうなさる
積
(
つも
)
りかえ』
218
幾公
(
いくこう
)
『
真実
(
ほんと
)
でも
嘘
(
うそ
)
でもお
母
(
かあ
)
さまはお
母
(
かあ
)
さまですよ。
219
此
(
この
)
幾公
(
いくこう
)
だつてお
母
(
かあ
)
さまが
無
(
な
)
いのだもの、
220
烏
(
からす
)
がカアカア
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いても
懐
(
なつ
)
かしくなるのだから、
221
嘘
(
うそ
)
でも
真実
(
ほんと
)
でも
構
(
かま
)
ひませぬ。
222
お
母
(
かあ
)
さまと
聞
(
き
)
いてこれがどうしてヂツとして
居
(
を
)
れませうか』
223
建国別
(
たけくにわけ
)
『ハヽヽ
困
(
こま
)
つた
男
(
をとこ
)
だなア。
224
これ
幾公
(
いくこう
)
、
225
お
湯
(
ゆ
)
を
一
(
ひと
)
つ
汲
(
く
)
んでおくれ』
226
幾公
(
いくこう
)
『お
湯
(
ゆ
)
を
汲
(
く
)
んでお
母
(
かあ
)
さまに
上
(
あ
)
げるのですか。
227
余
(
あま
)
り
門口
(
かどぐち
)
では
失礼
(
しつれい
)
ぢやありませぬか。
228
折角
(
せつかく
)
探
(
たづ
)
ねてお
出
(
いで
)
になつたお
母
(
かあ
)
さまに、
229
乞食
(
こじき
)
か
何
(
なん
)
ぞのやうに
門口
(
かどぐち
)
でお
湯
(
ゆ
)
を
上
(
あ
)
げるなんて
些
(
ちつ
)
と
失礼
(
しつれい
)
ぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか』
230
建国別
(
たけくにわけ
)
『
分
(
わか
)
らぬ
男
(
をとこ
)
だなア。
231
お
湯
(
ゆ
)
を
私
(
わたし
)
に
汲
(
く
)
んでくれと
云
(
い
)
ふのだよ』
232
幾公
(
いくこう
)
『
一寸
(
ちよつと
)
お
待
(
ま
)
ちなさいませ。
233
親
(
おや
)
より
先
(
さき
)
へお
湯
(
ゆ
)
を
頂
(
いただ
)
くと
云
(
い
)
ふ、
234
そんな
不道理
(
ふだうり
)
な
事
(
こと
)
がありますか。
235
今
(
いま
)
までは
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
の
行方
(
ゆくへ
)
が
分
(
わか
)
らないものだから、
236
此
(
この
)
家
(
うち
)
の
大将
(
たいしやう
)
で
貴方
(
あなた
)
が
一番
(
いちばん
)
先
(
さき
)
にお
湯
(
ゆ
)
なり
御飯
(
ごはん
)
なりお
食
(
あが
)
り
遊
(
あそ
)
ばしたのだが、
237
もう
今日
(
けふ
)
となつては
長上
(
めうへ
)
をさし
置
(
お
)
いて
貴方
(
あなた
)
が
先
(
さき
)
へお
茶
(
ちや
)
を
飲
(
の
)
むと
云
(
い
)
ふ
道理
(
だうり
)
はありますまい。
238
そんな
事
(
こと
)
で
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
勤
(
つと
)
まりますか』
239
建国別
(
たけくにわけ
)
『ヤア、
240
長々
(
ながなが
)
とお
前
(
まへ
)
のお
説教
(
せつけう
)
で
私
(
わたし
)
も
感心
(
かんしん
)
した。
241
そんならお
湯
(
ゆ
)
を
頂
(
いただ
)
く
事
(
こと
)
だけは
暫
(
しばら
)
く
見合
(
みあは
)
して
置
(
お
)
かう』
242
幾公
(
いくこう
)
『
遉
(
さすが
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
建国別
(
たけくにわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
243
物
(
もの
)
の
道理
(
だうり
)
がよく
分
(
わか
)
ります
哩
(
わい
)
。
244
さうだから
此
(
この
)
幾公
(
いくこう
)
も
貴方
(
あなた
)
の
抱擁力
(
ほうようりよく
)
の
偉大
(
ゐだい
)
なるに
平素
(
へいそ
)
から
感服
(
かんぷく
)
して、
245
門番
(
もんばん
)
を
甘
(
あま
)
んじて
勤
(
つと
)
めて
居
(
ゐ
)
るのです。
246
これから
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
りまして、
247
お
母
(
かあ
)
さまをお
迎
(
むか
)
ひに
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
ます……サア
建能姫
(
たけのひめ
)
様
(
さま
)
、
248
早
(
はや
)
くお
出
(
い
)
でなさいませ。
249
お
母様
(
かあさま
)
が
門
(
もん
)
の
外
(
そと
)
で
痺
(
しびれ
)
を
切
(
き
)
らして
待
(
ま
)
つて
被居
(
いらつしや
)
いますよ』
250
建能姫
(
たけのひめ
)
『
左様
(
さやう
)
ならば
吾
(
わが
)
夫様
(
つまさま
)
、
251
一寸
(
ちよつと
)
お
迎
(
むか
)
へに
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
ます。
252
幾公
(
いくこう
)
、
253
あまり
喋
(
しやべ
)
らないやうにして
下
(
くだ
)
さいや』
254
幾公
(
いくこう
)
『ハイハイ
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
255
サア
参
(
まゐ
)
りませう』
256
と
建能姫
(
たけのひめ
)
をつき
出
(
だ
)
すやうに
捉
(
うなが
)
しながら
中門
(
なかもん
)
のそば
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
た。
257
幾公
(
いくこう
)
は
中門
(
なかもん
)
を
無造作
(
むざうさ
)
にパツと
開
(
ひら
)
き、
258
幾公
(
いくこう
)
『お
母
(
かあ
)
さま、
259
長
(
なが
)
らくお
待
(
ま
)
たせ
致
(
いた
)
しました。
260
サア
何卒
(
どうぞ
)
お
入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
261
これは
建能姫
(
たけのひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
女房
(
にようばう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
262
何卒
(
どうぞ
)
実
(
じつ
)
の
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
のやうに
可愛
(
かあい
)
がつてやつて
下
(
くだ
)
さいませ。
263
建能姫
(
たけのひめ
)
も
一寸
(
ちよつと
)
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
ましたら、
264
建国別
(
たけくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
が
見
(
み
)
えたら、
265
生
(
うみ
)
の
父母
(
ちちはは
)
のやうに
思
(
おも
)
うて
孝養
(
かうやう
)
を
尽
(
つ
)
くすと
云
(
い
)
うてくれました。
266
何卒
(
どうぞ
)
気兼
(
きがね
)
は
入
(
い
)
らぬから
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
の
家
(
うち
)
へ
帰
(
かへ
)
つたと
思
(
おも
)
うて、
267
気楽
(
きらく
)
にお
入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
268
建能姫
(
たけのひめ
)
『これこれ
幾公
(
いくこう
)
、
269
お
前
(
まへ
)
それは
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのですか』
270
幾公
(
いくこう
)
『ハイ、
271
私
(
わたし
)
は
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
の
代
(
かは
)
りに
参
(
まゐ
)
つたのですから、
272
一寸
(
ちよつと
)
代弁
(
だいべん
)
を
致
(
いた
)
しました。
273
これ
建能姫
(
たけのひめ
)
殿
(
どの
)
、
274
早
(
はや
)
くお
母
(
かあ
)
さまに
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
をしやいのう』
275
建能姫
(
たけのひめ
)
『ホヽヽヽヽ、
276
仕方
(
しかた
)
のない
男
(
をとこ
)
だなア……もしもし
旅
(
たび
)
のお
方
(
かた
)
様
(
さま
)
、
277
よう
此
(
この
)
破家
(
あばらや
)
をお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
さいました。
278
内密
(
ないみつ
)
にお
伺
(
うかが
)
ひしたい
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
いますから、
279
何卒
(
どうぞ
)
お
入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
280
黒姫
(
くろひめ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
281
私
(
わたくし
)
も
筑紫
(
つくし
)
ケ
岳
(
だけ
)
の
高山峠
(
たかやまたうげ
)
の
頂
(
いただ
)
きで、
282
一寸
(
ちよつと
)
此方
(
こちら
)
の
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
の
事
(
こと
)
を
承
(
うけたま
)
はり、
283
些
(
すこ
)
し
許
(
ばか
)
り
心
(
こころ
)
に
当
(
あた
)
る
事
(
こと
)
が
御座
(
ござ
)
いまして、
284
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
都
(
みやこ
)
に
参
(
まゐ
)
ります
途中
(
とちう
)
、
285
此
(
この
)
村
(
むら
)
の
玉公
(
たまこう
)
と
云
(
い
)
ふお
方
(
かた
)
に
案内
(
あんない
)
されてお
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
しました。
286
左様
(
さやう
)
なら
遠慮
(
ゑんりよ
)
なう
通
(
とほ
)
らして
頂
(
いただ
)
きませう』
287
と
建能姫
(
たけのひめ
)
に
従
(
したが
)
つて
奥
(
おく
)
に
姿
(
すがた
)
をかくす。
288
幾公
(
いくこう
)
『まア
何
(
なん
)
と
上流
(
じやうりう
)
社会
(
しやくわい
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
と
云
(
い
)
ふものは
七面倒
(
しちめんだう
)
臭
(
くさ
)
いものだなア。
289
俺
(
おれ
)
だつたら
出遇
(
であ
)
ひ
頭
(
がしら
)
に……ヤアお
前
(
まへ
)
は、
290
ヤア、
291
貴方
(
あなた
)
は
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
建国別
(
たけくにわけ
)
さまのお
母
(
かあ
)
さまであつたか、
292
ヤアお
前
(
まへ
)
は
嫁御
(
よめご
)
であつたか、
293
思
(
おも
)
はぬ
所
(
ところ
)
で
遇
(
あ
)
ひました。
294
お
母
(
かあ
)
さま、
295
嫁女
(
よめぢよ
)
などと
手
(
て
)
つ
取
(
と
)
り
早
(
ばや
)
く
名乗
(
なの
)
つて
了
(
しま
)
ふのだがなア。
296
まだこれから
奥
(
おく
)
へいつて
徳利
(
とくり
)
に
詰
(
つ
)
めた
味噌
(
みそ
)
を
剔
(
ほじく
)
りだすやうな
辛気臭
(
しんきくさ
)
い
掛合
(
かけあひ
)
が
初
(
はじ
)
まるのであらう、
297
繁文
(
はんぶん
)
縟礼
(
じよくれい
)
を
忌
(
い
)
み
簡明
(
かんめい
)
を
尊
(
たふと
)
ぶ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
298
サテモサテモ
上流
(
じやうりう
)
の
家庭
(
かてい
)
と
云
(
い
)
ふものはどこ
迄
(
まで
)
も
旧套
(
きうたう
)
を
脱
(
だつ
)
し
得
(
え
)
ないものと
見
(
み
)
える
哩
(
わい
)
』
299
(
大正一一・九・一三
旧七・二二
加藤明子
録)
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