霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一五章 愚恋(ぐれん)〔一四〇一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻 篇:第4篇 関所の玉石 よみ(新仮名遣い):せきしょのぎょくせき
章:第15章 愚恋 よみ(新仮名遣い):ぐれん 通し章番号:1401
口述日:1923(大正12)年02月23日(旧01月8日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
八衢の関所にトボトボとやってきた一人の男は赤と白の守衛に呼び止められた。男は主人の娘と心中して自分だけが命を落とした六助という男だった。六助は自分のもてぶりを自慢し、悪びれもせずに審判庭内に入って行った。
次にやってきたのは、六助と心中した鎌子という女の精霊で、これはまだ現界に肉体があるが精霊だけが中有界にやってきたのだった。守衛たちは不貞の罪を責めたが、鎌子は弁舌をふるって守衛たちに反論し、元の肉体に帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-04-13 18:00:42 OBC :rm5415
愛善世界社版:181頁 八幡書店版:第9輯 686頁 修補版: 校定版:183頁 普及版:84頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎著作集 > 第二巻「変革と平和」 > 第三部 『霊界物語』の思想 > 愚恋
001 晴曇(せいどん)(つね)なき晩秋(ばんしう)(そら)002(つめ)たき(かぜ)裳裾(もすそ)をあふられて、003トボトボとやつて()一人(ひとり)(をとこ)がある。004ここはブルガリオの八衢(やちまた)関所(せきしよ)である。005(れい)(ごと)白赤(しろあか)二人(ふたり)守衛(しゆゑい)厳然(げんぜん)(もん)()つてゐた。006一人(ひとり)(をとこ)何気(なにげ)なく(この)(もん)(くぐ)らむとした。007(あか)守衛(しゆゑい)は、
008(あか)旅人(たびびと)(しばら)()てツ』
009()びとめた。010(をとこ)立止(たちど)まつて、
011(をとこ)(六助)『ハイ、012(なん)(よう)(ござ)いますか』
013(あか)(その)(はう)何者(なにもの)だ。014そして姓名(せいめい)名乗(なの)れ』
015(をとこ)(六助)『ハイ、016(わたし)自動車(じどうしや)運転手(うんてんしゆ)六助(ろくすけ)(まを)します』
017(あか)『あの有名(いうめい)なカウンテスの悪川(あしかは)鎌子(かまこ)情夫(じやうふ)だな』
018六助(ろくすけ)左様(さやう)(ござ)います、019それが(また)(なん)(いた)しましたか、020(べつ)貴方(あなた)(がた)にお(とがめ)(かうむ)理由(りいう)毛頭(まうとう)(ござ)いませぬがな』
021(あか)(その)(はう)はここを何処(どこ)心得(こころえ)()る』
022六助(ろくすけ)現界(げんかい)でもなければ、023霊界(れいかい)でもなし、024()んだやうにも(おも)ひますし、025()んでゐないやうだし、026つまり五里(ごり)霧中(むちゆう)(さま)よつて()ります。027(しか)(なが)(この)途中(とちう)(めう)(うた)()きましたので、028ヤツパリ()んだのではあるまいかと(かんが)へます』
029(あか)『どんな(うた)()いたのだ、030ここで(ひと)()つて()よ』
031六助(ろくすけ)『ハイ、032何卒(どうぞ)(わら)(くだ)さいませぬやうに、033判然(はつきり)(おぼ)えてゐませぬが、034あの(うた)によると()うやら()んだやうで(ござ)います。035そして愛人(あいじん)鎌子(かまこ)(あと)(のこ)つてるやうな()(いた)します』
036(あか)愛人(あいじん)(こと)(たづ)ねて()るのでない、037(うた)()かせといふのだ』
038六助(ろくすけ)『ハイ、039()づザツと()次第(しだい)(ござ)います。
 
040 (いのち)からるる鎌子(かまこ)ぞと
041 ()らぬが(ほとけ)六助(ろくすけ)
042 犬死(いぬじ)にさせたは(たれ)(つみ)
043 親馬鹿(おやばか)子馬鹿(こばか)亭主(ていしゆ)馬鹿(ばか)
 
044といふ(やう)(うた)(ござ)いました』
045(あか)親馬鹿(おやばか)046子馬鹿(こばか)六助(ろくすけ)馬鹿(ばか)といふのだらう、047本当(ほんたう)にあつたら(いのち)()てて、048(ろく)でもない(こと)をする(やつ)だなア』
049六助(ろくすけ)『どうせ六助(ろくすけ)ですから、050(ろく)(こと)(いた)しますまいて、051(しか)しモ(ひと)つふるつた(やつ)(ござ)います。
 
052 ()なず(とも)よいお(まへ)()んで
053 ()なにやならない(わし)()ねぬ
054 ホンに浮世(うきよ)(まま)ならぬ
055 どしたら(この)()(のが)れようか
056 六助(ろくすけ)さまは(さぞ)やさぞ
057 蓮華(れんげ)(はな)(うてな)にて
058 半座(はんざ)をわけて(わが)()くを
059 ()つて(ござ)るであろ(ほど)
060 いやな亭主(ていしゆ)介抱(かいはう)する
 
061といふ(やう)(うた)道々(みちみち)(きこ)えて()りましたよ。062六助(ろくすけ)鎌子(かまこ)()つたら、063大抵(たいてい)(わたし)(こと)だらうと(かんが)へて()ります』
064(あか)(きさま)主人(しゆじん)(むすめ)左様(さやう)(こと)(いた)して(なん)とも責任(せきにん)(かん)じないのか』
065六助(ろくすけ)(けつ)して(わたし)(わる)(こと)だとは(おも)ひませぬ。066双方(さうはう)納得(なつとく)(うへ)067(しか)(をんな)(はう)から熱烈(ねつれつ)なる情波(じやうは)(おく)られ、068ラブの(あめ)誕生(たんじやう)釈迦(しやか)さま(ほど)()びせかけられ、069()むを()ず……でもなく、070ヘヘヘヘヘ、071つい(うれ)しい(なか)になりました。072(しか)(なが)現代(げんだい)比較(ひかく)(てき)愚物(ぐぶつ)(おほ)いので、073……カウンテスに自動車(じどうしや)運転手(うんてんしゆ)などがラブ関係(くわんけい)(むす)ぶとは()しからぬ……などと、074法界(はふかい)悋気(りんき)(いた)すので、075一層(いつそ)(こと)第二(だいに)世界(せかい)(もと)めて、076両人(りやうにん)仲能(なかよ)理想(りさう)生活(せいくわつ)(いとな)まむが(ため)077情死(じやうし)(いた)した(ところ)078どうやら鎌子(かまこ)(あと)(のこ)つた(やう)塩梅(あんばい)(ござ)います。079イー、080何時(いつ)(ごろ)鎌子(かまこ)此処(ここ)()るでせうか。081手数(てすう)をかけますが、082一寸(ちよつと)生死簿(せいしぼ)をくつて(くだ)さいますまいか』
083(あか)(きさま)世間(せけん)()づかしいとは(おも)はぬか』
084六助(ろくすけ)(けつ)して()づかしとは(おも)ひませぬ、085(をとこ)として()(くらゐ)名誉(めいよ)はないと心得(こころえ)てゐます。086よく(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。087貴族(きぞく)だとか、088門閥(もんばつ)だとか、089富豪(ふうがう)だとか、090人為(じんゐ)(てき)階級(かいきふ)(たて)()威張(ゐば)()らしてる、091一方(いつぱう)には没分暁漢(わからずや)があり、092驕慢(けうまん)不遜(ふそん)(やつ)があり、093一方(いつぱう)には泥坊(どろばう)にも(ひと)しき上流(じやうりう)社会(しやくわい)を、094一生(いつしやう)懸命(けんめい)尊敬(そんけい)し、095一文(いちもん)()厄介(やくかい)にもならぬ貴族(きぞく)(たい)して、096米搗(こめつき)バツタ(よろ)しく、097(あたま)()(こし)()()をふり、098追従(つゐしよう)タラダラ(いた)らざるなき愚痴(ぐち)妄眛(まうまい)人間(にんげん)(たい)し、099一種(いつしゆ)刺激剤(しげきざい)ともなり、100覚醒剤(かくせいざい)ともなり、101興奮剤(こうふんざい)ともなりませう。102(けつ)して男女(だんぢよ)関係(くわんけい)権門(けんもん)門閥(もんばつ)財産(ざいさん)地位(ちゐ)(ふる)道徳(だうとく)()つて、103左右(さいう)()べきものでないと()標本(へうほん)(しめ)した犠牲者(ぎせいしや)(ござ)いますから、104世間(せけん)人間(にんげん)は、105……(この)六助(ろくすけ)(をとこ)(なか)(をとこ)だ。106大丈夫(だいぢやうぶ)典型(てんけい)だ。107ラブ・イズ・ベストの擁護者(ようごしや)だ。108貴族(きぞく)(たい)する警戒(けいかい)だ……と()つて賞讃(しやうさん)してくれてるでせう。109今回(こんくわい)六助(ろくすけ)行動(かうどう)()つて、110キツと社会(しやくわい)亡者(まうじや)(れん)(やや)()()ました(こと)でせう。111貴族(きぞく)だつて、112平民(へいみん)だつて、113運転手(うんてんしゆ)だつて、114(おな)人間(にんげん)です。115思想(しさう)観念(くわんねん)(けつ)して(かは)りはありますまい。116それ(ゆゑ)(わたし)暗黒(あんこく)なる社会(しやくわい)光明(くわうみやう)となつた(かんが)へで(ござ)います』
117(あか)(なん)とマア(えら)権幕(けんまく)だなア。118余程(よほど)娑婆(しやば)教育(けういく)も、119デモクラチツク(くわ)したと()えるワイ』
120六助(ろくすけ)(わたし)恋愛(れんあい)(なや)世間(せけん)男女(だんぢよ)(ため)犠牲(ぎせい)になつたのです。121平民(へいみん)階級(かいきふ)(むすめ)ならば(すこ)(ばか)自由(じいう)()きますが、122上流(じやうりう)階級(かいきふ)(むすめ)()ると、123()れは()れは悲惨(ひさん)(もの)(ござ)います。124上流(じやうりう)(むすめ)(ため)(いま)(まで)()ざされたる天国(てんごく)(みち)開鑿(かいさく)した(だい)慈善者(じぜんしや)(ござ)います』
125(あか)()(かく)理窟(りくつ)()きにして、126主人(しゆじん)(むすめ)心中(しんちう)せむと(いた)した(その)行動(かうどう)(ゆる)(こと)出来(でき)ぬ。127()()(どく)(なが)色欲道(しきよくだう)地獄(ぢごく)()かねばなるまいぞ』
128六助(ろくすけ)()むに()まれぬ破目(はめ)(おちい)つて、129情死(じやうし)沙汰(ざた)(まで)引起(ひきおこ)したのは、130所謂(いはゆる)社会(しやくわい)強迫(きやうはく)暴虐(ばうぎやく)なる圧制(あつせい)()へかねて決行(けつかう)したのですから、131そこはチツと()推量(すゐりやう)(ねが)ひたいものですな』
132(あか)()(かく)伊吹戸主(いぶきどぬし)(さま)審判廷(しんぱんてい)事情(じじやう)申述(まをしの)べたがよからう。133サ、134(おく)(とほ)れ、135社会(しやくわい)道徳(だうとく)攪乱者(かくらんしや)()
136()(なが)ら、137ポンと(しり)(たた)いて門内(もんない)へつつ()んだ。138六助(ろくすけ)門内(もんない)にツと立止(たちど)まり、139()をギヨロつかせ(なが)ら、140小声(こごゑ)になつて、
141六助(ろくすけ)(なん)とマア、142何処(どこ)()つても没分暁漢(わからずや)(おほ)(こと)だなア。143八衢(やちまた)守衛(しゆゑい)(まで)(おれ)(たち)のローマンスを羨望(せんばう)嫉妬(しつと)(あま)り、144ゴテつきやがる。145エエ、146これから審判廷(しんぱんてい)滔々(たうたう)公平(こうへい)議論(ぎろん)をまくし()て、147審判廷(しんぱんてい)空気(くうき)一洗(いつせん)してやらうかい』
148()(なが)ら、149一方(いつぱう)(かた)(たか)くし、150一方(いつぱう)(かた)をさげ、151懐手(ふところで)(なが)ら、152のそりのそりと(すす)()く。
153 (かほ)白粉(おしろい)をペツタリとつけ、154()(たか)一寸(ちよつと)渋皮(しぶかは)()けた二十四五(にじふしご)(さい)()ゆる(をんな)が、155シヨナシヨナとやつて()た。156(あか)は、
157(あか)『ハハア此奴(こいつ)ア、158(いま)()つた六助(ろくすけ)のアモリヨーズだなア。159まだ肉体(にくたい)現界(げんかい)にある精霊(せいれい)らしい、160どこ(とも)なしに元気(げんき)がないワ』
161独言(ひとりごと)()(なが)ら、162近付(ちかづ)くのを()つてゐた。163(をんな)()(はな)れた(もん)(しきゐ)(また)げようとした途端(とたん)(しろ)守衛(しゆゑい)大手(おほで)(ひろ)げ、
164(しろ)『モシモシお女中(ぢよちう)165(しばら)くお()ちなさい。166貴方(あなた)此処(ここ)()(ところ)ぢやありませぬ』
167(をんな)(鎌子)(わたし)はアマンの(あと)(した)うて(まゐ)りました(もの)(ござ)います。168何卒(どうぞ)そんな意地(いぢ)(わる)(こと)仰有(おつしや)らずに、169此処(ここ)(とほ)して(くだ)さい』
170(あか)『コレヤ(をんな)171(その)(はう)のネームは(なん)(まを)すか』
172(をんな)(鎌子)『ハイ、173鎌子(かまこ)(まを)します』
174(あか)『ウーン、175さうすると、176カウント悪川(あしかは)不顕正(ふけんせい)(むすめ)だな』
177(をんな)(鎌子)『ハイ、178(さつ)しの(とほ)り、179カウンテスで(ござ)います』
180(あか)(その)(はう)貴族(きぞく)(いへ)(うま)(なが)ら、181世間(せけん)義理(ぎり)(かんが)へず、182祖先(そせん)家名(かめい)をも(かへり)みず、183雇人(やとひにん)六助(ろくすけ)情交(じやうかう)(つう)じ、184道徳(だうとく)(みだ)したあばずれ(をんな)だな』
185鎌子(かまこ)『ホホホホ、186(なん)とマアこれ(だけ)(ひら)けた()(なか)に、187(ふる)(あたま)()つてゐられますなア。188チツと(あたま)のキルクを()いて、189(あたら)しい空気(くうき)注入(ちうにふ)なさいませ』
190(あか)『コレヤ()しからぬ、191豪胆(がうたん)不敵(ふてき)曲者(くせもの)()192(その)(はう)(をつと)のある()(もつ)不義(ふぎ)快楽(けらく)(ふけ)り、193家庭(かてい)(みだ)し、194上流(じやうりう)社会(しやくわい)名誉(めいよ)(きずつ)けた大罪人(だいざいにん)だ』
195鎌子(かまこ)『ヘーエ、196(わたし)(ろく)さまと密通(みつつう)したのが、197それ(ほど)(つみ)になりますか。198今日(こんにち)()(なか)御覧(ごらん)なさい。199すべて貴婦人(きふじん)といふ(もの)役者(やくしや)()ひ、200(あるひ)情夫(じやうふ)(こしら)へる(ため)夜会(やくわい)といふものが出来(でき)()るのです。201(をんな)交際界(かうさいかい)(はな)ですから、202(はな)にはキツと(てふ)がとまつて()るものです。203今日(こんにち)()(なか)情夫(じやうふ)一人(ひとり)()()たない(やう)(をんな)だつたら、204(けつ)して貴婦人(きふじん)とは()へませぬよ。205活眼(くわつがん)(ひら)いて社会(しやくわい)裏面(りめん)()観察(くわんさつ)して御覧(ごらん)なさい。206(わたし)(ごと)きは恒河(こうが)(すな)(わづか)(その)一粒(いちりう)(あら)はれた(くらゐ)なものです。207こんな(こと)(つみ)になるのならば、208今日(こんにち)社会(しやくわい)全部(ぜんぶ)(つみ)社会(しやくわい)ですよ。209男本位(をとこほんゐ)圧制(あつせい)(てき)社会(しやくわい)制度(せいど)根本(こんぽん)改革(かいかく)し、210(いた)ましい(しひた)げられた(をんな)社会(しやくわい)(つく)(ため)犠牲(ぎせい)に、211(わたし)(あらは)れて()たものです。212日々(にちにち)新聞紙(しんぶんし)御覧(ごらん)なさい。213大抵(たいてい)三件(さんけん)五件(ごけん)214(おほ)(とき)には十件(じつけん)(ばか)りも密通(みつつう)沙汰(ざた)情死(じやうし)沙汰(ざた)報道(ほうだう)してゐるぢやありませぬか。215新聞紙(しんぶんし)(じやう)(あら)はれる()(なか)出来事(できごと)()ふものはホンの(その)(うち)(いち)小部分(せうぶぶん)(かぎ)られてるのです。216それから(かんが)へてみましても、217新聞紙(しんぶんし)(じやう)(あらは)れてゐない悲哀(ひあい)なる姦通(かんつう)事件(じけん)情死(じやうし)沙汰(ざた)(いく)(おこな)はれつつあるか()れますまい。218なぜ()うした(いた)ましい事件(じけん)頻々(ひんぴん)(おこ)るのであらうか。219(この)問題(もんだい)(たい)して何人(なにびと)責任(せきにん)()はねばならぬか、220もし責任(せきにん)()はねばならぬとすれば、221それは(をとこ)でせうか(をんな)でせうか。222()(まで)もなく、223社会(しやくわい)全般(ぜんぱん)責任者(せきにんしや)でなければなりますまい』
224(あか)『さうすると、225(まへ)今度(こんど)不始末(ふしだら)事件(じけん)も、226社会(しやくわい)()はねばならぬといふのか。227チツと勝手(かつて)理窟(りくつ)ぢやないか』
228鎌子(かまこ)『さうですとも、229よく(かんが)へて御覧(ごらん)なさいませ。230現在(げんざい)社会(しやくわい)組織(そしき)といふものは、231すべてが貴族(きぞく)本位(ほんゐ)232資産家(しさんか)本位(ほんゐ)(まを)すに(およ)ばず、233男子(だんし)本位(ほんゐ)(つよ)者勝(ものがち)(ござ)いませう。234(とく)男女(だんぢよ)関係(くわんけい)()いては、235今日(こんにち)制度(せいど)(なに)もかも(をとこ)()つては有利(いうり)事柄(ことがら)(ばか)りです。236そして(をんな)(たい)しては(なん)()特権(とくけん)(あた)へられて()りませぬ。237(じつ)不公平(ふこうへい)至極(しごく)社会(しやくわい)制度(せいど)で、238(をんな)()つて(これ)(ほど)不利益(ふりえき)悲惨(ひさん)(こと)はありませぬ。239なぜ()うした不公平(ふこうへい)を、240(をとこ)(をんな)(あひだ)(まう)けておかねばならないのか、241(その)理由(りいう)()るに(わたし)(たち)(くるし)(もの)です。242ですから一度(いちど)夫婦間(ふうふかん)(ある)事情(じじやう)から離婚(りこん)問題(もんだい)持上(もちあが)つたが最後(さいご)243何時(いつ)(をとこ)有利(いうり)位地(ゐち)()ち、244(をんな)(その)反対(はんたい)立場(たちば)におかれて、245泣寝入(なきねいり)(てい)ですよ。246(をんな)自分(じぶん)正当(せいたう)()があつても、247(をとこ)立場(たちば)になつて、248(しか)(をとこ)にのみ有利(いうり)()められた現代(げんだい)法律(はふりつ)では、249(すこ)しも(をんな)正当(せいたう)(まを)()でを聞入(ききい)れてくれませぬ。250どこ(まで)(をんな)(をとこ)従属(じゆうぞく)したものだといふ観念(くわんねん)(もと)に、251かうした問題(もんだい)(たい)しても、252(をとこ)(はう)(うへ)にして断定(だんてい)(くだ)(こと)になつてますが、253(はた)して(これ)(ただ)しいと()はれませうか。254道徳(だうとく)でも法律(はふりつ)でも、255男女(だんぢよ)平等(びやうどう)(おこな)はなければならないと、256吾々(われわれ)女性(ぢよせい)絶叫(ぜつけう)してゐるのです。257(をんな)立場(たちば)からすれば、258どうしてもさう(さけ)ばずには()られないでせう。259(しか)元々(もともと)(をとこ)(をんな)(あひだ)に、260さうした差別(さべつ)勝手(かつて)(まう)けられたのですから、261()はば無理(むり)非道(ひだう)公平(こうへい)()いだものと()はねばなりませぬ。262だから(をんな)(をんな)としての権利(けんり)があります。263(その)権利(けんり)(をんな)(はう)から、264そんなに遠慮(ゑんりよ)したり、265自分(じぶん)(みづか)らを卑下(ひげ)したりするには(あた)らないと(おも)ひます。266どこ(まで)一個(いつこ)人間(にんげん)として、267(をとこ)同等(どうとう)(かんが)へで()(すす)んでゆけば、268それで()(こと)ぢやありませぬか。269そこに(をんな)としての生命(せいめい)があり、270自由(じいう)があり、271幸福(かうふく)があるので、272それこそ(をんな)としての本来(ほんらい)()()きものなのです。273男女(だんぢよ)関係(くわんけい)(ばか)りでなく、274今日(こんにち)制度(せいど)弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)275優勝(いうしよう)劣敗(れつぱい)悪制度(あくせいど)(おこな)はれて()りますから、276吾々(われわれ)はカウントの(いへ)(うま)れたのを(さいは)ひ、277(あやま)れる(ふる)道徳(だうとく)形式(けいしき)打破(だは)して、278(あたら)しい社会(しやくわい)光明(くわうみやう)となる(かんが)へで、279女一人(をんないちにん)としての本能(ほんのう)発揮(はつき)した(ばか)りです』
280(あか)『どうも挨拶(あいさつ)仕方(しかた)がない、281(しか)(なが)左様(さやう)(かんが)へでは社会(しやくわい)秩序(ちつじよ)(みだ)れるから、282ヤツパリ男尊(だんそん)女卑(ぢよひ)法則(はふそく)(まも)らねばなりませぬぞ。283何程(なにほど)男女(だんぢよ)同権(どうけん)だと()つても、284夫婦(ふうふ)となつて家庭(かてい)(つく)(うへ)は、285夫唱(ふしやう)婦従(ふじゆう)法則(はふそく)(したが)ひ、286(ここ)(はじ)めて男尊(だんそん)女卑(ぢよひ)287所謂(いはゆる)夫婦(ふうふ)不同権(ふどうけん)(ゐき)()るのだ。288不都合(ふつがふ)千万(せんばん)(をつと)()(ぬす)み、289雇人(やとひにん)姦通(かんつう)をしておき(なが)ら、290社会(しやくわい)()()ますの、291新社会(しんしやくわい)光明(くわうみやう)となるとは()しからぬ()()けだ。292(まへ)()(とほ)りに、293()(なか)がなるのなれば、294第一(だいいち)家庭(かてい)(みだ)れ、295姦通(かんつう)白昼(はくちう)公然(こうぜん)(おこな)はれ、296嫉妬(しつと)紛争(ふんさう)()()がなくなるではないか』
297鎌子(かまこ)相愛(さうあい)男女(だんぢよ)夫婦(ふうふ)となつたのならば、298(けつ)して何程(なにほど)解放(かいはう)(てき)にしておかうが、299法律(はふりつ)がなからうが大丈夫(だいぢやうぶ)ですが、300今日(こんにち)(ごと)圧迫(あつぱく)結婚(けつこん)301財産(ざいさん)結婚(けつこん)302門閥(もんばつ)結婚(けつこん)303本人(ほんにん)以外(いぐわい)(もの)(さだ)めた結婚(けつこん)には、304(しん)夫婦(ふうふ)としての(たがひ)貞操(ていさう)保持(ほぢ)する(こと)出来(でき)ぬぢやありませぬか。305(あい)のない結婚(けつこん)(しひ)るが(ため)に、306(つひ)(おさ)()れなくなつて、307かやうな問題(もんだい)(おこ)るのですよ。308それだから(この)責任(せきにん)社会(しやくわい)()はねばならないと、309(わたし)主張(しゆちやう)(いた)します』
310(あか)(しか)しお(まへ)はまだ、311生命(せいめい)現界(げんかい)(のこ)つてるから、312今日(こんにち)(あま)追及(つゐきふ)する(こと)()けておかう。313(しか)現界(げんかい)(かへ)つたら、314()(むね)()()てて、315自分(じぶん)(あやま)れる思想(しさう)考索(かうさく)し、316(いま)(をつと)貞節(ていせつ)(つく)さねばなりませぬぞ。317(つま)(はう)から真心(まごころ)(もつ)(むか)へば、318(をつと)(かなら)(つま)親愛(しんあい)する(もの)だ』
319鎌子(かまこ)(わたし)(をつと)はどれ(だけ)(つら)(あた)つても、320()()いノロ(さく)だから、321うるさい(ほど)親愛(しんあい)しようとします、322それが(わたし)(いや)なんですよ。323よう(かんが)へて御覧(ごらん)なさい、324恋人(こひびと)心中(しんぢう)をせむとして(しに)そこねた(その)女房(にようばう)を、325一言(ひとこと)立腹(りつぷく)せず、326世間(せけん)(はぢ)(かんが)へず、327下僕(しもべ)(ごと)態度(たいど)(もつ)病院(びやうゐん)介抱(かいほう)するのですもの、328(その)ノロさ加減(かげん)()つたら、329(わたし)益々(ますます)愛想(あいさう)()きました。330どうしてもチツと(ばか)りは苦味(にがみ)(はし)つたヒリリとした(ところ)がなければ、331(をんな)(けつ)して(をとこ)(あい)(そそ)(もの)ぢやありませぬ。332甘酒(あまざけ)だつて、333ヤツパリ(はじかみ)をすつて()れたり、334(あるひ)山葵(わさび)などの辛味(からみ)調和(てうわ)せなくちや、335本当(ほんたう)甘酒(あまざけ)(あぢ)がありますまい。336(あま)(ばか)りで辛味(からみ)(はい)つてゐない甘酒(あまざけ)一口(ひとくち)(よろ)しいが、337三口(みくち)四口(よくち)()みますと、338ヘドになつて()ますからね。339エエエエ、340あの(むつか)しい(かほ)わいの、341丁度(ちやうど)(わたし)(ちち)のやうなお(かた)ですなア。342仰有(おつしや)(こと)()()てゐますワ。343(その)(くせ)(かげ)では六助(ろくすけ)さま以上(いじやう)(こと)をやつてるでせう。344(わたし)(ちち)だつてさうですもの、345ホホホホホ』
346 (あか)采配(さいはい)(もつ)て、347赤の守衛馬鹿(ばか)ツ』と一喝(いつかつ)348鎌子(かまこ)頭部(とうぶ)()がけて打下(うちお)ろす途端(とたん)に、349鎌子(かまこ)精霊(せいれい)はパツと()えて(もと)肉体(にくたい)(かへ)つた。
350大正一二・二・二三 旧一・八 於竜宮館 松村真澄録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→