霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第一四章 暗窟(あんくつ)〔一四〇〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻 篇:第3篇 猪倉城寨 よみ(新仮名遣い):いのくらじょうさい
章:第14章 暗窟 よみ(新仮名遣い):あんくつ 通し章番号:1400
口述日:1923(大正12)年02月22日(旧01月7日) 口述場所:竜宮館 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
久米彦は何食わぬ顔で戻ってきて、鬼春別に、スミエルとスガールは暗窟に放り込んで殺したと報告した。鬼春別は、二人の女は久米彦の部屋にいるだろうと言いだして、訪問したいと言いだした。
鬼春別は久米彦と言い争いになったが、鬼春別は上官の権限で捜索すると言って久米彦の居間に進んでしまった。聞き耳を立てていたが、外からは姉妹の声が聞こえなかった。久米彦は鬼春別けに追いついて、鬼春別を非難し、二人はまたも言い争いになった。
そこへ士官のマルタがやってきて、三千の兵士たちが狂乱の態となってしまったことを報告しにやってきた。両将軍はあわてて岩窟の入り口に駆け出した。兵士たちは八九分どおり裸になって訳のわからないことをさえずりながら、建物を壊している。
両将軍が大喝すると、兵士たちは我先にと群がり来って将軍たちに乱暴狼藉をなしたため、鬼春別と久米彦はほとんど息の根も絶え絶えになってしまった。
道晴別とシーナはこの騒ぎにまぎれて岩窟に入り込み、スミエルとスガールを探して歩いた。ようやく妖瞑酒の効き目が醒めた兵士たちは我に返って将軍たちを助け起こし、介抱した。道晴別とシーナはスミエルとスガールがいる部屋を探り当てて門扉を叩き割った。
しかし二人を助けて室内から逃げ出そうとするとき、前後左右から集まってきたバラモン軍に捕縛され、四人は別々に暗い岩窟の中に落とし込まれてしまった。
久米彦は姉妹を逃がそうとした二人の軍人を三五教の間者と疑ったが、鬼春別はこれだけ厳重な砦に間者が入ってきたところで何もできないだろうと一笑に付した。
一同は、スミエルとスガールを閉じ込めてから兵士たちの狂態が回復したことから、二人は猪倉山に巣食うという妖怪妖幻坊一派の化身ではないかと疑い、また陣中に女を引き入れたことを大自在天がこういう形で戒めたのだろうと、互いに軍規軍律を気を付け合ってこの要害を守ることとなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-04-12 18:08:56 OBC :rm5414
愛善世界社版:169頁 八幡書店版:第9輯 681頁 修補版: 校定版:170頁 普及版:78頁 初版: ページ備考:
001 鬼春別(おにはるわけ)双手(もろて)()み、002失望(しつばう)落胆(らくたん)(いろ)(うか)べて(なに)思案(しあん)(しづ)んでゐる。003そこへ(いさぎよ)くやつて()たのは久米彦(くめひこ)であつた。
004久米(くめ)将軍殿(しやうぐんどの)将軍殿(しやうぐんどの)
005()(こゑ)にハツと()がつき、
006鬼春(おにはる)『ヤア久米彦(くめひこ)殿(どの)007如何(いかが)(ござ)つたかな』
008久米(くめ)『いやもう、009()うにも、010()うにも仕方(しかた)のない阿婆摺(あばず)(をんな)(じつ)手古摺(てこず)りました。011()むを()(もつと)(ふか)暗窟(あんくつ)()()みました。012(さだ)めて今頃(いまごろ)(くたば)つて()るでせう』
013鬼春(おにはる)『それは(をし)(こと)(いた)したものだ。014そして(あね)のスミエルは如何(いかが)なさつたか』
015久米(くめ)彼奴(あいつ)荒縄(あらなは)(くく)つて暗窟(あんくつ)一緒(いつしよ)()()みました。016(さて)(さて)心地(ここち)のよい(こと)(ござ)いましたワイ。017アハハハハ』
018鬼春(おにはる)『ヤア、019それは(をし)(こと)(いた)したものだ。020(しか)しここでは(なん)だか気持(きもち)(わる)い。021一度(いちど)貴殿(きでん)()居間(ゐま)(うかが)はうと(おも)つてゐた(ところ)だ。022(これ)から(なに)かの()相談(さうだん)があるから貴殿(きでん)(しつ)まで(まゐ)りませう』
023 久米彦(くめひこ)自分(じぶん)(しつ)二人(ふたり)姉妹(しまい)(かく)して()(なが)ら、024(くら)陥穽(おとしあな)()()んで(ころ)して(しま)つたと(いつは)つたのだから、025鬼春別(おにはるわけ)()られては(たちま)露顕(ろけん)(おそれ)がある。026はて(こま)つた(こと)出来(でき)たワイ……と(おも)うたが流石(さすが)曲物(くせもの)027故意(わざ)平気(へいき)(かほ)をして、
028久米(くめ)吾々(われわれ)(ごと)(もの)(むさ)くるしい(うち)へお()(くだ)さるのは、029(じつ)(おそ)()ります。030()うか貴方(あなた)()居間(ゐま)(うかが)はして(もら)(わけ)には(まゐ)りますまいかな』
031鬼春(おにはる)『いや拙者(せつしや)居間(ゐま)(をとこ)ばかりで、032(なに)かにつけて不都合(ふつがふ)(ござ)る。033貴殿(きでん)居間(ゐま)(まゐ)れば女手(をんなで)二人(ふたり)(そろ)うてゐるのだから、034(まこと)(もつ)都合(つがふ)()いと(ぞん)じ、035それで貴殿(きでん)居間(ゐま)拝借(はいしやく)しようと(まを)したのだ』
036 久米彦(くめひこ)はハツと(かほ)(あか)らめ、037……鬼春別(おにはるわけ)何時(いつ)()にか自分(じぶん)居間(ゐま)二人(ふたり)(かく)してあるのを(さと)つたのかな、038こいつア大変(たいへん)だ……と(むね)(をど)らせ(なが)故意(わざ)空恍(そらとぼ)けて、
039久米(くめ)『ハハハハハ将軍殿(しやうぐんどの)随分(ずいぶん)(うたがひ)(ふか)(かた)(ござ)るな。040吾々(われわれ)もバラモン(ぐん)統率者(とうそつしや)041左様(さやう)卑怯(ひけふ)(こと)(いた)しませぬ。042何卒(どうぞ)人格(じんかく)見損(みそこな)はない(やう)にして(いただ)()いものですな』
043鬼春(おにはる)『ハハハハハ(いま)(まで)貴殿(きでん)人格(じんかく)見損(みそこな)つてゐたのだ。044今日(こんにち)(いよいよ)人格(じんかく)程度(ていど)(わか)つたので(ござ)る。045さう(おほ)せらるるなれば拙者(せつしや)(うたがひ)()らすために、046一度(いちど)貴殿(きでん)居間(ゐま)()けて()せて(もら)ひませう』
047久米(くめ)拙者(せつしや)居間(ゐま)拙者(せつしや)権利(けんり)(うち)(ござ)る。048如何(いか)上官(じやうくわん)だつて捜索(そうさく)する(わけ)には(まゐ)りますまい。049こればかりは(ひら)にお(ことわ)(まを)します』
050鬼春(おにはる)『いや、051(なん)()はれても拙者(せつしや)権利(けんり)(もつ)室内(しつない)捜索(そうさく)(いた)す』
052()(なが)らスタスタと隧道(すゐだう)(くぐ)つて久米彦(くめひこ)居間(ゐま)(すす)()く。
053 久米彦(くめひこ)は……(いま)露顕(あらは)れたが最後(さいご)054一悶錯(ひともんさく)(おこ)るか、055(ただし)自分(じぶん)(くび)にならねばなるまい。056一層(いつそう)(こと)057鬼春別(おにはるわけ)(うしろ)から一思(ひとおも)ひにやつつけて(しま)はうか。058いやいや将軍(しやうぐん)にも股肱(ここう)家来(けらい)沢山(たくさん)ある。059うつかり手出(てだ)しも出来(でき)まい、060ぢやと()つて(わが)居間(ゐま)(のぞ)かれたが最後(さいご)061(たちま)露顕(ろけん)するのだ。062はて、063如何(どう)したら()からうか……と刻々(こくこく)(せま)(むね)(くるし)みを(おさ)へて、064()(かく)れに()いて()く。
065 鬼春別(おにはるわけ)(すで)(すで)にドアーの入口(いりぐち)()いた。066そしてドアーに(みみ)()せて(なか)様子(やうす)(かんが)へてゐる。067スミエル、068スガールの姉妹(おとどひ)は、069そんな(こと)とは(ゆめ)にも()らず、070両親(りやうしん)のことや、071自分(じぶん)()不運(ふうん)(なげ)いて(なみだ)(そで)(うるほ)(なが)ら、072一生(いつしやう)懸命(けんめい)盤古(ばんこ)大神(だいじん)(すく)(たま)へ、073(たす)(たま)へと(いの)つてゐる。
074 鬼春別(おにはるわけ)(かぎ)()つてゐないので、075()けて這入(はい)(わけ)にも()かず、076(また)部下(ぶか)(めい)じて()けさしては(かへつ)自分(じぶん)人格(じんかく)声望(せいばう)(おと)(おそ)れがあるので、077(こひ)(やつこ)となつた(かれ)は、078一生(いつしやう)懸命(けんめい)(くび)(かたむ)けて室内(しつない)様子(やうす)()いてゐる。079されど(なん)だかワンワンと(ひび)きがするばかりで(すこ)しも()きとれなかつた。
080 久米彦(くめひこ)将軍(しやうぐん)(やうや)くここに(あら)はれ、
081久米(くめ)鬼春別(おにはるわけ)(さま)082拙者(せつしや)室内(しつない)には(なに)(あや)しきものが()様子(やうす)ですかな』
083鬼春(おにはる)(たしか)(あや)しう(ござ)る。084さア(はや)(かぎ)()してここをお()()され。085さすれば貴殿(きでん)(うたがひ)()れ、086両人(りやうにん)(あひだ)確執(かくしつ)()けて結構(けつこう)(ござ)らう』
087久米(くめ)『なるほど、088それは結構(けつこう)(ござ)いますが、089生憎(あいにく)(かぎ)(おと)しましたので、090這入(はい)(わけ)にもゆきませぬ』
091鬼春(おにはる)(かぎ)がなくても(たた)(やぶ)れば()いのだ。092金鎚(かなづち)(なに)()つて()なさい』
093久米(くめ)(これ)()しからぬ。094拙者(せつしや)居間(ゐま)金鎚(かなづち)(もつ)(たた)(やぶ)るとは、095(けつ)して武士(ぶし)()るべき(みち)では(ござ)るまい。096いざ戦場(せんぢやう)()場合(ばあひ)()(かく)097平常(へいじやう)(おい)他人(ひと)居室(ゐま)(たた)(やぶ)るとは(じつ)乱暴(らんばう)狼藉(ろうぜき)(まを)すもの、098(これ)ばかりは如何(いか)上官(じやうくわん)(めい)とても、099久米彦(くめひこ)承知(しようち)する(こと)出来(でき)ませぬ』
100鬼春(おにはる)『さうすると、101ヤツパリ(うたが)はしい物臭(ものぐさ)(こと)をしてゐられると()える。102拙者(せつしや)命令(めいれい)をお()きなくば、103只今(ただいま)より上官(じやうくわん)職権(しよくけん)(もつ)将軍職(しやうぐんしよく)(めん)じますから(その)覚悟(かくご)をなさい』
104久米(くめ)拙者(せつしや)(けつ)して貴殿(きでん)命令(めいれい)によつて将軍(しやうぐん)になつたのでは(ござ)らぬ、105大黒主(おほくろぬし)(さま)より(めい)()けて将軍(しやうぐん)(にん)ぜられたのだから、106いかいお世話(せわ)(ござ)る。107公務(こうむ)(じやう)(こと)()(かく)108私行(しかう)(じやう)(まで)上官(じやうくわん)()(まは)理由(りいう)はありますまい。109久米彦(くめひこ)110(だん)じて(この)室内(しつない)()けさせませぬ』
111 かく両人(りやうにん)(あらそ)(ところ)へ、112(あわ)ただしく(はし)つて()たのはカーネルのマルタであつた。
113マルタ『将軍(しやうぐん)(さま)114大変(たいへん)(こと)出来(しゆつたい)(いた)しました』
115鬼春(おにはる)大変(たいへん)とは(なん)だ』
116マルタ『ハイ、117三千(さんぜん)兵士(へいし)118一人(ひとり)(のこ)らず真裸体(まつぱだか)となり、119(なん)だか(わけ)(わか)らぬ(こと)(まを)しまして事務所(じむしよ)(たた)(やぶ)槍剣(さうけん)()(いし)()乱暴(らんばう)狼藉(ろうぜき)(およ)んでゐます。120愚図(ぐづ)々々(ぐづ)してゐれば(この)室内(しつない)にも(はい)るかも()れませぬから何卒(なにとぞ)両将軍(りやうしやうぐん)(さま)()威勢(ゐせい)によりまして()鎮圧(ちんあつ)(ねが)ひます、121到底(たうてい)吾々(われわれ)(ちから)には(およ)びませぬ。122(おも)ふに三五教(あななひけう)(やつ)魔法(まはふ)使(つか)つて(わが)(ぐん)(なや)ますものと(かんが)へます』
123 (この)注進(ちうしん)鬼春別(おにはるわけ)124久米彦(くめひこ)両将軍(りやうしやうぐん)私行(しかう)(じやう)争論(いさかひ)はケロリと(わす)れ、125一目散(いちもくさん)岩窟(いはや)入口(いりぐち)()()し、126四辺(あたり)()れば三千(さんぜん)軍隊(ぐんたい)八九分(はちくぶ)(どほ)真裸体(まつぱだか)となり、127(わけ)(わか)らぬ(こと)をガヤガヤ(さへづ)(なが)ら、128半永久(はんえいきう)(てき)建物(たてもの)小口(こぐち)から、129メリメリメリ バチバチバチと(たた)(つぶ)してゐる。130両将軍(りやうしやうぐん)大喝(たいかつ)一声(いつせい)『コラツ』と()(なが)大勢(おほぜい)(なか)()()んだ。131妖瞑酒(えうめいしゆ)(をか)された一同(いちどう)両将軍(りやうしやうぐん)姿(すがた)()るより吾先(われさき)にと(むら)がり(きた)り、132『ヨイシヨ ヨイシヨ』と()(なが)胴上(どうあ)げをしたり、133地上(ちじやう)()げたり、134あらむ(かぎ)りの乱暴(らんばう)狼藉(ろうぜき)をなし、135(つひ)両将軍(りやうしやうぐん)大勢(おほぜい)(もの)身体中(からだぢう)()(にじ)られ、136(ほと)んど(いき)()()えむばかりになつてゐた。
137 そこへチュウニック姿(すがた)のデク、138シーナの両人(りやうにん)(いかめ)しく(けん)()(なが)悠々(いういう)として(あら)はれ(きた)り、139遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)もなく岩窟内(がんくつない)(しの)()り、140スミエル、141スガール両人(りやうにん)所在(ありか)何処(いづこ)ぞと(さが)してゐる。142岩窟内(がんくつない)(ひそ)んでゐた数多(あまた)のバラモン(ぐん)二人(ふたり)服装(ふくさう)()(べつ)(あや)しみもせず、143(おのおの)軍務(ぐんむ)従事(じゆうじ)してゐる。144(また)もや真裸体(まつぱだか)半狂乱(はんきやうらん)(ぐん)はドヤドヤと岩窟内(がんくつない)()(きた)り、145(あた)るを(さいは)暴狂(あれくる)ふ。146(やうや)くにして妖瞑酒(えうめいしゆ)()ひも()め、147一同(いちどう)軍人(ぐんじん)正気(しやうき)(ふく)し、148()てた(けん)(ひろ)()げたり、149谷川(たにがは)(なが)した衣類(いるゐ)彼方(あちら)此方(こちら)(かか)つてゐるのを(ひろ)ひあげ、150日光(につくわう)()(かわ)かし両将軍(りやうしやうぐん)(たす)けて(もと)居間(ゐま)(おく)(とど)けた。151(いち)()妖瞑酒(えうめいしゆ)(いきほひ)狂態(きやうたい)(えん)じた数多(あまた)軍隊(ぐんたい)(いよいよ)()()めて一層(いつそう)軍規(ぐんき)厳重(げんぢう)にする(こと)となつた。152道晴別(みちはるわけ)のデク、153(およ)びシーナは(やうや)くにしてスミエル、154スガールの所在(ありか)(さぐ)り、155門扉(もんぴ)(たた)()つて(なか)()()り、156両人(りやうにん)(たす)けて室内(しつない)()()さうとする(とき)157前後(ぜんご)左右(さいう)隧道(すゐだう)より(あつ)まり(きた)つたバラモン(ぐん)(もろ)くも(しば)られ、158()(にん)別々(べつべつ)(くら)岩窟(いはや)(なか)(おと)()まれて(しま)つた。
159 鬼春別(おにはるわけ)160久米彦(くめひこ)(はじ)めスパール、161エミシ、162シヤム、163マルタの幹部(かんぶ)(れん)は、164岩窟内(いはやない)(もつとも)(ひろ)将軍(しやうぐん)事務室(じむしつ)(あつま)つて、165今度(こんど)変事(へんじ)()種々(しゆじゆ)(その)原因(げんいん)調(しら)べてゐる。
166鬼春(おにはる)三千(さんぜん)軍隊(ぐんたい)(ほとん)九分(くぶ)九厘(くりん)(まで)真裸体(まつぱだか)になり、167(かく)(ごと)狂態(きやうたい)(えん)じたのは(けつ)して普通(ふつう)(こと)ではあるまい。168(これ)には(なに)かの原因(げんいん)があるだらう。169(なんぢ)()よく調査(てうさ)をして、170(ふたた)びかかる不始末(ふしまつ)がない(やう)注意(ちうい)して()れたがよからうぞ』
171スパール『左様(さやう)(ござ)います。172(なん)とも合点(がつてん)()かぬ(こと)ばかり、173大方(おほかた)三五教(あななひけう)治国別(はるくにわけ)一派(いつぱ)が、174妖術(えうじゆつ)でも使(つか)つて(わが)軍営(ぐんえい)攪乱(かくらん)させ、175将軍(しやうぐん)生捕(いけどり)にする計劃(けいくわく)ではあるまいかと(ぞん)じて()ります』
176エミシ『(はじ)めの(うち)(わづ)かの四五(しご)(にん)発狂者(はつきやうしや)でありましたが、177次第(しだい)々々(しだい)伝染(でんせん)してあの(やう)になつたのです。178三五教(あななひけう)には妖術(えうじゆつ)(など)はありませぬ。179(おそ)らく(この)(やま)()妖幻坊(えうげんばう)一味(いちみ)がなせしもので(ござ)りませう。180()第一(だいいち)にバラモン(がみ)(まつ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)祈願(きぐわん)()らさねば、181(また)斯様(かやう)(こと)出来(でき)ては危険(きけん)ですからな』
182久米(くめ)『あの(あや)しき二人(ふたり)軍人(ぐんじん)183牢獄(らうごく)(とう)じて()いた(やつ)184もしや三五教(あななひけう)間諜(まはしもの)では(ござ)るまいか』
185鬼春(おにはる)『ハハハハハ、186これだけ沢山(たくさん)軍隊(ぐんたい)(もつ)(かた)めた(ところ)へ、187一人(ひとり)二人(ふたり)間諜(まはしもの)這入(はい)つて()(ところ)(なに)出来(でき)るものか。188(この)(はう)(さつ)する(ところ)によれば、189玉木村(たまきむら)豪農(がうのう)テームスの(いへ)から(さら)つて()たと()ふスミエル、190スガールの二人(ふたり)(をんな)こそ(あや)しきものだと(おも)ふ。191その証拠(しようこ)には(かれ)牢獄(らうごく)へぶち()んだ最後(さいご)192味方(みかた)兵士(へいし)狂態(きやうたい)恢復(くわいふく)したではないか』
193エミシ『成程(なるほど)194さう(うけたま)はればさうに間違(まちが)ひは(ござ)りませぬ。195陣中(ぢんちう)(をんな)引入(ひきい)れる(ごと)きは(かみ)(ゆる)(たま)はざる(ところ)なれば、196大自在天(だいじざいてん)(さま)(いまし)めの()めに、197ああ()手続(てつづ)きを()吾々(われわれ)一同(いちどう)()をつけて(くだ)さつたのかも()れませぬ。198それについても、199あの二人(ふたり)兵士(へいし)(わが)(ぐん)服装(ふくさう)をして()りますれど、200あれも(なん)だか(あや)しいものです。201(この)(やま)(ぬし)(ばけ)てゐるのかも(わか)りますまい』
202鬼春(おにはる)(けつ)して(かれ)()()(にん)相手(あひて)になつてはならぬぞ。203ああして押込(おしこ)めて()けば、204(ふたた)悪戯(いたづら)(いた)しますまい。205久米彦(くめひこ)殿(どの)如何(いかが)(ござ)る。206()意見(いけん)(うけたま)はり()い』
207久米(くめ)成程(なるほど)208どう(かんが)へても合点(がつてん)()かぬ(こと)(ござ)る。209将軍(しやうぐん)(おほ)せの(ごと)(かれ)()はいらはぬ(こと)(いた)して、210()(かく)軍隊(ぐんたい)緊粛(きんしゆく)(はか)り、211如何(いか)なる(てき)()(きた)るとも、212天与(てんよ)要害(えうがい)(やく)(これ)だけの味方(みかた)があれば大丈夫(だいぢやうぶ)ですから、213軍隊(ぐんたい)一般(いつぱん)注意(ちうい)(あた)ふる(こと)(いた)しませう』
214 さていろいろと()んだり(くづ)したり、215ラートの結果(けつくわ)(たがひ)相戒(あひいまし)めて(かは)つたものが()たら(ちか)づけない(こと)()めて一先(ひとま)会議(くわいぎ)()ぢた。216それより(たがひ)相戒(あひいまし)軍規(ぐんき)厳粛(げんしゆく)(この)要害(えうがい)上下(しようか)一致(いつち)(うへ)死守(ししゆ)する(こと)となつた。
217大正一二・二・二二 旧一・七 於竜宮館 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki