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霊界物語
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
第71巻(戌の巻)
序文
総説
第1篇 追僧軽迫
第1章 追劇
第2章 生臭坊
第3章 門外漢
第4章 琴の綾
第5章 転盗
第6章 達引
第7章 夢の道
第2篇 迷想痴色
第8章 夢遊怪
第9章 踏違ひ
第10章 荒添
第11章 異志仏
第12章 泥壁
第13章 詰腹
第14章 障路
第15章 紺霊
第3篇 惨嫁僧目
第16章 妖魅返
第17章 夢現神
第18章 金妻
第19章 角兵衛獅子
第20章 困客
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霊界物語
>
山河草木(第61~72巻、入蒙記)
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第71巻(戌の巻)
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<<< 金妻
(B)
(N)
困客 >>>
第一九章
角
(
かく
)
兵衛
(
べゑ
)
獅子
(
じし
)
〔一八〇八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第71巻 山河草木 戌の巻
篇:
第3篇 惨嫁僧目
よみ(新仮名遣い):
さんかそうもく
章:
第19章 角兵衛獅子
よみ(新仮名遣い):
かくべえじし
通し章番号:
1808
口述日:
1926(大正15)年02月01日(旧12月19日)
口述場所:
月光閣
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1929(昭和4)年2月1日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
入江の里の浜屋旅館に、玄真坊と高姫は、もう十日も滞在することとなった。
玄真坊はなんとかして高姫を自分のものにしようと口説くが、高姫は頑として玄真坊をはねのけている。
そこへ、表の街道に角兵衛獅子がやってきた。玄真坊と千草姫は、獅子を呼んで舞わせたが、それはコブライとコオロだった。
コオロはすぐさま玄真坊を捕まえようと役所へ駆けていく。コブライは役人を迎えに行くが、その隙に高姫は玄真坊を気絶させ、黄金をすっかり奪い取って二階の間へ引っ込んでしまう。
役人は玄真坊がこときれたと思い、戸板に乗せて担がせて行ってしまった。
高姫はその様子を見ていたが、そこへ妖幻坊の杢助が現れて、高姫に合流する。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7119
愛善世界社版:
255頁
八幡書店版:
第12輯 593頁
修補版:
校定版:
266頁
普及版:
125頁
初版:
ページ備考:
001
入江
(
いりえ
)
の
里
(
さと
)
の
浜屋
(
はまや
)
旅館
(
りよかん
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
には
例
(
れい
)
の
玄真坊
(
げんしんばう
)
、
002
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
が
為
(
な
)
す
事
(
こと
)
も
無
(
な
)
く、
003
意茶
(
いちや
)
々々
(
いちや
)
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
十日
(
とをか
)
許
(
ばか
)
り
逗留
(
とうりう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
004
千
(
ち
)
『モシ
玄真
(
げんしん
)
さま、
005
この
宿
(
やど
)
へ
泊
(
とま
)
つてから
今日
(
けふ
)
で
十日
(
とをか
)
許
(
ばか
)
りにもなりますが、
006
余
(
あま
)
り
退屈
(
たいくつ
)
で
仕方
(
しかた
)
がないぢやありませぬか。
007
ハルの
湖
(
みづうみ
)
で
有名
(
いうめい
)
な
日高山
(
ひだかやま
)
はモウ
見
(
み
)
えなくなりましたし、
008
真帆
(
まほ
)
片帆
(
かたほ
)
の
行
(
ゆき
)
交
(
か
)
ひも
昔
(
むかし
)
とは
余程
(
よほど
)
淋
(
さみ
)
しくなつたやうです。
009
何
(
なん
)
とか
一
(
ひと
)
つ
歌
(
うた
)
でも
詠
(
よ
)
んで
楽
(
たの
)
しまうぢやありませぬか』
010
玄
(
げん
)
『
別
(
べつ
)
に
無聊
(
ぶれう
)
に
苦
(
くるし
)
まなくても、
011
お
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
と
二人
(
ふたり
)
居
(
を
)
りさへすれば、
012
如何
(
どん
)
な
快楽
(
くわいらく
)
でも
出来
(
でき
)
るのだが、
013
お
客様
(
きやくさま
)
だとか、
014
お
月様
(
つきさま
)
だとか
文句
(
もんく
)
を
云
(
い
)
つて
応
(
おう
)
じないものだから、
015
元
(
もと
)
いらずの
快楽
(
くわいらく
)
を
棒
(
ぼう
)
に
振
(
ふ
)
つて
自分
(
じぶん
)
が
自分
(
じぶん
)
で
苦
(
くるし
)
んでゐるのだ。
016
俺
(
おれ
)
やモウ、
017
オチコがコテノでやりきれないワ』
018
千
(
ち
)
『ホヽヽヽヽヽ、
019
何
(
なん
)
とした、
020
玄真
(
げんしん
)
さまは
粋
(
すゐ
)
な
方
(
かた
)
だらう、
021
本当
(
ほんたう
)
に
恨
(
うら
)
めしいのはお
客
(
きやく
)
さまだワ。
022
お
客
(
きやく
)
さまさへなけりや、
023
玄真
(
げんしん
)
さまの
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
十分
(
じふぶん
)
に
取
(
と
)
れるのだけれどなア』
024
玄
(
げん
)
『
一体
(
いつたい
)
、
025
お
月
(
つき
)
さまといふものは
永
(
なが
)
くて
一
(
いつ
)
週間
(
しうかん
)
早
(
はや
)
くて
三日
(
みつか
)
位
(
ぐらゐ
)
なものだと
聞
(
き
)
いてゐるに、
026
お
前
(
まへ
)
はモウ
十日
(
とをか
)
にもなるぢやないか、
027
チと
可笑
(
をか
)
しい
容態
(
ようたい
)
だなア』
028
千
(
ち
)
『そらさうです
共
(
とも
)
、
029
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
の
天人
(
てんにん
)
ですもの。
030
当然
(
あたりまへ
)
の
人間
(
にんげん
)
なら
月
(
つき
)
に
七日
(
なぬか
)
の
穢
(
けが
)
れですみますが、
031
妾
(
わらは
)
は
一年中
(
いちねんぢう
)
のを
一遍
(
いつぺん
)
に
片付
(
かたづ
)
けるものですから、
032
十二
(
じふに
)
ケ
月分
(
げつぶん
)
合
(
あは
)
せて
八十四
(
はちじふよつ
)
日間
(
かかん
)
月経
(
げつけい
)
があるのですもの』
033
玄
(
げん
)
『さう
永
(
なが
)
らくの
間
(
あひだ
)
、
034
俺
(
おれ
)
も
待
(
ま
)
ち
切
(
き
)
れないワ。
035
どうだ、
036
一
(
ひと
)
つ
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
奸淫
(
かんいん
)
をやらうでないか、
037
所謂
(
いはゆる
)
それが
月経奸
(
げつけいかん
)
だ、
038
アヽーン』
039
千
(
ち
)
『ホヽヽヽヽ、
040
助平
(
すけべい
)
野郎
(
やらう
)
だこと。
041
竜女
(
りうぢよ
)
を
犯
(
をか
)
してさへも
七生
(
しちしやう
)
浮
(
うか
)
ばれないと
云
(
い
)
ふのに、
042
況
(
ま
)
して
天人
(
てんにん
)
の
月経奸
(
げつけいかん
)
を
冒
(
をか
)
すやうな
馬鹿
(
ばか
)
な
人
(
ひと
)
が
世間
(
せけん
)
に
在
(
あ
)
りますか、
043
七生
(
しちしやう
)
八生
(
はつしやう
)
はおろか、
044
百万生
(
ひやくまんじやう
)
まで
罰
(
ばち
)
をうけますぞや』
045
玄
(
げん
)
『
何
(
なん
)
とか
願
(
ねが
)
ひ
下
(
さ
)
げして
貰
(
もら
)
へぬものかいナ、
046
八十四
(
はちじふよつ
)
日
(
か
)
の
二分
(
にぶん
)
の
一
(
いち
)
位
(
くらゐ
)
に
怺
(
こら
)
へて
貰
(
もら
)
へさうなものだナ。
047
世
(
よ
)
は
まじない
といふから、
048
それでも
差支
(
さしつかへ
)
あるまい。
049
神
(
かみ
)
さまだつて
050
そんな
野暮
(
やぼ
)
なこた
仰有
(
おつしや
)
るまいからのう』
051
千
(
ち
)
『
玄真
(
げんしん
)
さま、
052
モウそんな
話
(
はなし
)
はやめて
下
(
くだ
)
さい。
053
私
(
わたし
)
地獄
(
ぢごく
)
へ
堕
(
お
)
ち
相
(
さう
)
な
気分
(
きぶん
)
が
致
(
いた
)
しますワ。
054
それより
歌
(
うた
)
でもアツサリ
詠
(
よ
)
まうぢやありませぬか……
055
添
(
そ
)
はまほし
君
(
きみ
)
の
手枕
(
たまくら
)
ほりすれど
056
月
(
つき
)
の
障
(
さはり
)
にせむすべもなし。
057
ほしほしと
星
(
ほし
)
は
御空
(
みそら
)
に
輝
(
かがや
)
けど
058
月
(
つき
)
の
障
(
さはり
)
に
影
(
かげ
)
うすれ
行
(
ゆ
)
く。
059
玄真
(
げんしん
)
の
君
(
きみ
)
の
頭
(
かしら
)
に
月
(
つき
)
照
(
て
)
りて
060
影
(
かげ
)
さしにけり
御山
(
みやま
)
の
谷
(
たに
)
は』
061
玄
(
げん
)
『オイ
冷
(
ひや
)
かすない、
062
御山
(
みやま
)
の
谷
(
たに
)
は
真赤
(
まつか
)
けだろ。
063
紅葉
(
もみぢ
)
が
照
(
て
)
つてるだろ、
064
どうか
一
(
ひと
)
つ
紅葉狩
(
もみぢがり
)
をさして
貰
(
もら
)
ひたいなア』
065
千
(
ち
)
『
玄真
(
げんしん
)
さま、
066
イヤですよ、
067
スカンたらしい』
068
といひ
乍
(
なが
)
ら、
069
蛸禿頭
(
たこはげあたま
)
をピシヤピシヤツと
細
(
ほそ
)
い
手
(
て
)
でやつた。
070
玄真
(
げんしん
)
は
目
(
め
)
も
鼻
(
はな
)
も
口
(
くち
)
も
一所
(
ひとところ
)
へ
巾着
(
きんちやく
)
をすぼめたやうに
集
(
あつ
)
めて
了
(
しま
)
ひ、
071
玄
(
げん
)
『エツヘヽヽヽ、
072
コリヤ、
073
千草
(
ちぐさ
)
、
074
無茶
(
むちや
)
するないヤイ、
075
俺
(
おれ
)
の
頭
(
あたま
)
にもヤツパリ
血
(
ち
)
が
通
(
かよ
)
ふてゐるぞよ』
076
千
(
ち
)
『
余
(
あま
)
り
薬鑵
(
やくわん
)
がたぎつて
居
(
を
)
つたので、
077
手
(
て
)
のひらをやけどしましたよ。
078
どうか
玄真
(
げんしん
)
さま
079
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んで
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい、
080
手
(
て
)
を
冷
(
ひや
)
しますから……』
081
玄
(
げん
)
『
夫
(
をつと
)
の
頭
(
あたま
)
の
温
(
ぬく
)
みがお
前
(
まへ
)
の
手
(
て
)
に
残
(
のこ
)
つとるのも
可
(
よ
)
かろ、
082
まア
楽
(
たの
)
しんで
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
れ、
083
さう
永
(
なが
)
く
温
(
ぬく
)
みが
止
(
とま
)
つて
居
(
を
)
るものではないからの』
084
千
(
ち
)
『
自惚
(
うぬぼれ
)
も
可
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
になさいませ。
085
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
の
汗脂
(
あせあぶら
)
が
手
(
て
)
について、
086
気味
(
きみ
)
が
悪
(
わる
)
うてならぬから
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んで
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいと
云
(
い
)
ふのですよ』
087
玄
(
げん
)
『エー
仕方
(
しかた
)
のない
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
だなア』
088
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
自分
(
じぶん
)
が
立
(
た
)
つて
井戸水
(
ゐどみづ
)
を
汲
(
く
)
み
来
(
きた
)
り、
089
玄
(
げん
)
『サ、
090
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
さま、
091
否々
(
いやいや
)
ミロクの
太柱
(
ふとばしら
)
さま、
092
どうぞお
手
(
て
)
をお
洗
(
あら
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませ』
093
千
(
ち
)
『
善哉
(
ぜんざい
)
々々
(
ぜんざい
)
』
094
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
095
金盥
(
かなだらひ
)
の
水
(
みづ
)
で
手
(
て
)
を
洗
(
あら
)
ひ、
096
千
(
ち
)
『ヤ、
097
玄真坊
(
げんしんばう
)
、
098
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
であつた、
099
褒美
(
ほうび
)
には
此
(
この
)
水
(
みづ
)
を
遣
(
つか
)
はすによつて、
100
一滴
(
いつてき
)
も
残
(
のこ
)
らず
妾
(
わらは
)
が
前
(
まへ
)
で
呑
(
の
)
んだが
可
(
よ
)
からうぞや。
101
決
(
けつ
)
して
千草姫
(
ちぐさひめ
)
の
手垢
(
てあか
)
ではない、
102
其方
(
そなた
)
の
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
の
汗脂
(
あせあぶら
)
だによつて、
103
喜
(
よろこ
)
んで
頂戴
(
ちやうだい
)
召
(
め
)
されよ』
104
玄
(
げん
)
『オイ、
105
嬶
(
かか
)
、
106
女房
(
にようばう
)
イヤ……
千草
(
ちぐさ
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
、
107
馬鹿
(
ばか
)
にすない、
108
俺
(
おれ
)
を
一体
(
いつたい
)
何方
(
どなた
)
と
心得
(
こころえ
)
てるのだ。
109
之
(
これ
)
でもお
前
(
まへ
)
の
夫
(
をつと
)
ぢやないか』
110
千
(
ち
)
『オツト
任
(
まか
)
せで
食
(
くは
)
へ
込
(
こ
)
んだ
夫
(
をつと
)
ですもの、
111
縦
(
たて
)
から
見
(
み
)
ても
横
(
よこ
)
から
見
(
み
)
ても、
112
オツトましいスタイルだワ』
113
斯
(
か
)
くいちやついてる
所
(
ところ
)
へ、
114
表
(
おもて
)
の
街道
(
かいだう
)
騒
(
さわ
)
がしく、
115
太皷
(
たいこ
)
を
打鳴
(
うちな
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
116
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
がやつて
来
(
き
)
た。
117
宿屋
(
やどや
)
の
亭主
(
ていしゆ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
居間
(
ゐま
)
に
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
118
『モシお
客様
(
きやくさま
)
、
119
大変
(
たいへん
)
御
(
お
)
退屈
(
たいくつ
)
と
見
(
み
)
えますが、
120
今
(
いま
)
あの
通
(
とほ
)
り、
121
門口
(
かどぐち
)
へ
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
がやつて
来
(
き
)
ました。
122
一
(
ひと
)
つお
舞
(
ま
)
はしになつたら
如何
(
どう
)
ですか。
123
お
気晴
(
きばら
)
しには
大変
(
たいへん
)
面白
(
おもしろ
)
う
御座
(
ござ
)
いますよ』
124
玄
(
げん
)
『やア、
125
それは
有難
(
ありがた
)
い、
126
どうか
姫神
(
ひめがみ
)
さまの
御
(
ご
)
上覧
(
じやうらん
)
に
入
(
い
)
れてくれ、
127
……
若
(
も
)
しミロクの
太柱
(
ふとばしら
)
様
(
さま
)
、
128
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
は
如何
(
いかが
)
で
御座
(
ござ
)
いますかナ』
129
千草姫
(
ちぐさひめ
)
はワザとすました
面
(
かほ
)
で、
130
『
善哉
(
ぜんざい
)
々々
(
ぜんざい
)
、
131
所望
(
しよまう
)
だ
所望
(
しよまう
)
だ』
132
亭主
(
ていしゆ
)
『ハイ
畏
(
かしこ
)
まりまして
御座
(
ござ
)
います、
133
直様
(
すぐさま
)
此処
(
これ
)
へ
連
(
つ
)
れ
参
(
まゐ
)
ります』
134
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
表
(
おもて
)
へ
出
(
いで
)
て
行
(
ゆ
)
く。
135
少時
(
しばらく
)
すると
小
(
ちひ
)
さい
獅子舞
(
ししまひ
)
を
被
(
かぶ
)
つた
男
(
をとこ
)
と、
136
深編笠
(
ふかあみがさ
)
を
被
(
かぶ
)
つた
太皷打
(
たいこうち
)
がやつて
来
(
き
)
た。
137
玄
(
げん
)
『ヤア、
138
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
々々々
(
ごくらう
)
、
139
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
らぬ。
140
此
(
この
)
座敷
(
ざしき
)
へ
上
(
あが
)
つて
一
(
ひと
)
つ
舞
(
ま
)
つてくれ、
141
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
はミロク
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
が
悪
(
わる
)
くて
困
(
こま
)
つてる
所
(
ところ
)
だ。
142
どうか
神楽舞
(
かぐらま
)
ひでもやつて
岩戸
(
いはと
)
開
(
びらき
)
をやらなくちや、
143
俺
(
おれ
)
も
実
(
じつ
)
ア
紅葉
(
もみぢ
)
の
盛
(
さか
)
りで
困
(
こま
)
つてゐるのだ』
144
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
は
軽
(
かる
)
く
目礼
(
もくれい
)
し
乍
(
なが
)
ら、
145
座敷
(
ざしき
)
に
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
り、
146
一方
(
いつぱう
)
は
唄
(
うた
)
ひ、
147
一方
(
いつぱう
)
は
舞
(
ま
)
ひ
出
(
だ
)
した。
148
『テテンコテン テテンコテン
149
テテンコ テテンコ テテンコ テンテン
150
テテンコ テンテン テテンコテン
151
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
152
一
(
いち
)
月
(
ぐわつ
)
元旦
(
ぐわんたん
)
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けりや
153
兄
(
あに
)
は
十一
(
じふいち
)
弟
(
おとうと
)
は
七
(
なな
)
つ
154
去年
(
きよねん
)
舞
(
ま
)
ふた
此
(
この
)
町
(
まち
)
で
155
今年
(
ことし
)
もやつぱり
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
156
テテンコテン テテンコテン
157
テテンコ テテンコ テテンコ テンテン
158
テテンコ テンテン テテンコテン
159
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
160
一
(
いつ
)
月
(
ぐわつ
)
元旦
(
ぐわんたん
)
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けた
161
兄
(
あに
)
は
太皷
(
たいこ
)
で
弟
(
おとうと
)
は
踊
(
をど
)
る
162
お
国
(
くに
)
恋
(
こひ
)
しや
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
163
太皷
(
たいこ
)
の
音
(
おと
)
で
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れる
164
テテンコテン テテンコテン
165
テテンコ テテンコ テテンコ テンテン
166
テテンコ テンテン テテンコテン
167
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
』
168
玄
(
げん
)
『あア
妙々
(
めうめう
)
、
169
サ、
170
褒美
(
ほうび
)
に
之
(
これ
)
をやろ』
171
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
172
小判
(
こばん
)
を
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
おつ
放
(
ぽ
)
り
出
(
だ
)
した。
173
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
二人
(
ふたり
)
は
喜
(
よろこ
)
んで、
174
頭
(
あたま
)
に
被
(
かぶ
)
つてゐた
獅子
(
しし
)
や
編笠
(
あみがさ
)
を
除
(
と
)
つて
見
(
み
)
ると、
175
豈計
(
あにはか
)
らむや
176
玄真坊
(
げんしんばう
)
が
千草姫
(
ちぐさひめ
)
と
二人
(
ふたり
)
、
177
沢山
(
たくさん
)
な
座布団
(
ざぶとん
)
の
上
(
うへ
)
にバイの
化物然
(
ばけものぜん
)
と
控
(
ひか
)
へてゐる。
178
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
『ヤ、
179
汝
(
きさま
)
は
玄真坊
(
げんしんばう
)
だな、
180
よい
所
(
ところ
)
で
見付
(
みつ
)
けた。
181
俺
(
おれ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
計略
(
けいりやく
)
にかけ、
182
生埋
(
いきうめ
)
にしやがつた
悪人輩
(
あくにんばら
)
だ。
183
俺
(
おれ
)
は
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
を
戴
(
いただ
)
いて、
184
最早
(
もはや
)
汝
(
きさま
)
に
復讐
(
ふくしう
)
の
念
(
ねん
)
は
絶
(
た
)
つてゐたが、
185
かうして
二人
(
ふたり
)
が
夫婦然
(
ふうふぜん
)
とすましてゐる
所
(
ところ
)
を
見
(
み
)
ると
了見
(
れうけん
)
がならない。
186
オイ、
187
コオロ、
188
汝
(
きさま
)
早
(
はや
)
く
役所
(
やくしよ
)
へ
訴
(
うつた
)
へて
来
(
こ
)
い。
189
俺
(
おれ
)
は
逃
(
に
)
げない
様
(
やう
)
に
番
(
ばん
)
をしてゐるから……』
190
コオ『ヨーシ
来
(
き
)
た
191
合点
(
がつてん
)
だ』
192
と
193
コオロは
逸早
(
いちはや
)
く
表
(
おもて
)
へ
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
つた。
194
玄真坊
(
げんしんばう
)
はガタガタ
慄
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
し、
195
『ヤ、
1951
千草姫
(
ちぐさひめ
)
196
如何
(
どう
)
せうかナ、
197
かうしてはをれまい、
198
俺
(
おれ
)
も
汝
(
きさま
)
も
首
(
くび
)
が
飛
(
と
)
んで
了
(
しま
)
ふがナ……』
199
コ『コラ
当然
(
あたりまへ
)
だ、
200
玄真坊
(
げんしんばう
)
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
つたか、
201
今
(
いま
)
に
捕手
(
とりて
)
の
役人
(
やくにん
)
にフン
縛
(
じば
)
られ
笠
(
かさ
)
の
台
(
だい
)
が
飛
(
と
)
ぶのだ。
202
それを
見
(
み
)
乍
(
なが
)
ら、
203
俺
(
おれ
)
は
一杯
(
いつぱい
)
飲
(
の
)
むのがせめてもの
腹
(
はら
)
いせだ、
204
イツヒヽヽウツフヽヽ
205
ても
偖
(
さて
)
も
心地
(
ここち
)
よいこつたワイ』
206
玄
(
げん
)
『オイ、
207
コブライ、
208
一万
(
いちまん
)
両
(
りやう
)
金
(
かね
)
をやるから、
209
願
(
ねがひ
)
下
(
さ
)
げしてくれまいか、
210
角兵衛
(
かくべゑ
)
獅子
(
じし
)
に
歩
(
ある
)
いても
一万
(
いちまん
)
両
(
りやう
)
は
仲々
(
なかなか
)
儲
(
もう
)
からないぞよ』
211
コ『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふない、
212
そんな
事
(
こと
)
出来
(
でき
)
るものか。
213
既
(
すで
)
に
已
(
すで
)
にコオロが
訴
(
うつた
)
へ
出
(
で
)
てるぢやないか、
214
モウ
観念
(
くわんねん
)
せい、
215
仕方
(
しかた
)
がないワ』
216
千
(
ち
)
『ホヽヽヽヽ、
217
あの
玄真
(
げんしん
)
さまの
胴震
(
どうぶる
)
ひの
可笑
(
をか
)
しさ、
218
其
(
その
)
態
(
ざま
)
ア
一体
(
いつたい
)
何
(
なん
)
ぢやいな。
219
コレコレ
奴
(
やつこ
)
さま、
220
お
前
(
まへ
)
を
生埋
(
いきうめ
)
にしたのは
此
(
この
)
玄真
(
げんしん
)
さまだぞえ、
221
千草姫
(
ちぐさひめ
)
は
少
(
すこ
)
しも
与
(
あづか
)
り
知
(
し
)
らない
処
(
ところ
)
だからさう
思
(
おも
)
つて
下
(
くだ
)
さいや』
222
コ『
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
の
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し、
223
毛頭
(
まうとう
)
恨
(
うらみ
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
りませぬ。
224
そして
又
(
また
)
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
を
訴
(
うつた
)
へるやうな
事
(
こと
)
は
決
(
けつ
)
して
致
(
いた
)
しませぬから、
225
どうか
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
226
玄真坊
(
げんしんばう
)
は
色
(
いろ
)
蒼
(
あを
)
ざめ、
227
ガタガタ
慄
(
ぶるひ
)
をやつてゐる。
228
千草姫
(
ちぐさひめ
)
は
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
寄
(
よ
)
りそひ、
229
千
(
ち
)
『コレ
玄真
(
げんしん
)
さま、
230
確
(
しつか
)
りしなさらぬかいナ、
231
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
を
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
らうと
云
(
い
)
ふ
如
(
や
)
うな
大胆
(
だいたん
)
な
計画
(
けいくわく
)
をするお
前
(
まへ
)
さまが、
232
捕手
(
とりて
)
位
(
ぐらゐ
)
に
震
(
ふる
)
ふと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるものか、
233
神力
(
しんりき
)
を
以
(
もつ
)
て
吹
(
ふき
)
飛
(
と
)
ばしてしまへば
可
(
よ
)
いぢやありませぬか』
234
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
235
オチコの
下
(
した
)
にブラ
下
(
さが
)
つてゐる
光
(
ひかり
)
のない
二
(
ふた
)
つの
玉
(
たま
)
を
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
握
(
にぎ
)
りしめた。
236
玄真坊
(
げんしんばう
)
は
虚空
(
こくう
)
を
掴
(
つか
)
んで
其
(
その
)
場
(
ば
)
に「ウーン」と
云
(
い
)
つたきり
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
237
表
(
おもて
)
の
方
(
はう
)
には
捕手
(
とりて
)
の
役人
(
やくにん
)
と
見
(
み
)
えて、
238
ザワザワと
足音
(
あしおと
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
239
コブライは
役人
(
やくにん
)
出迎
(
でむか
)
への
心持
(
こころもち
)
にて、
240
慌
(
あわ
)
てて
表
(
おもて
)
へぬけ
出
(
だ
)
す。
241
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に
千草姫
(
ちぐさひめ
)
は
玄真坊
(
げんしんばう
)
の
胴巻
(
どうまき
)
をすつかりと
外
(
はづ
)
し、
242
自分
(
じぶん
)
の
腰
(
こし
)
に
捲
(
ま
)
き
表二階
(
おもてにかい
)
の
間
(
ま
)
へ
素知
(
そし
)
らぬ
面
(
かほ
)
して
納
(
をさ
)
まり
返
(
かへ
)
つてゐた。
243
十二三
(
じふにさん
)
人
(
にん
)
の
捕手
(
とりて
)
の
役人
(
やくにん
)
、
244
コオロ、
245
コブライ
及
(
および
)
亭主
(
ていしゆ
)
の
案内
(
あんない
)
にて
此
(
この
)
間
(
ま
)
に
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
246
玄真坊
(
げんしんばう
)
の
倒
(
たふ
)
れてゐるのを
見
(
み
)
て、
247
捕手
(
とりて
)
『ヤ、
248
此奴
(
こいつ
)
、
249
モウ
舌
(
した
)
でもかんで
自害
(
じがい
)
したと
見
(
み
)
え
縡切
(
ことぎ
)
れてゐる。
250
こんな
者
(
もの
)
はモウ
仕方
(
しかた
)
がない。
251
亭主
(
ていしゆ
)
、
252
其
(
その
)
方
(
はう
)
に
此
(
この
)
死骸
(
しがい
)
を
渡
(
わた
)
して
置
(
お
)
くから、
253
何処
(
どつか
)
の
野辺
(
のべ
)
へでも
捨
(
す
)
てて
置
(
お
)
くがよからう』
254
と
云
(
い
)
ひ
残
(
のこ
)
し、
255
逸早
(
いちはや
)
く
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
256
千草姫
(
ちぐさひめ
)
は
一間
(
ひとま
)
に
入
(
い
)
つて
二階
(
にかい
)
の
障子
(
しやうじ
)
の
破
(
やぶ
)
れ
穴
(
あな
)
から
離棟
(
はなれ
)
の
座敷
(
ざしき
)
を
眺
(
なが
)
めて
見
(
み
)
ると、
257
亭主
(
ていしゆ
)
や
出入
(
でいり
)
の
者
(
もの
)
が
玄真坊
(
げんしんばう
)
の
死体
(
したい
)
を
戸板
(
といた
)
に
乗
(
の
)
せてワイワイと
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
258
何処
(
どつか
)
へ
担
(
かつ
)
ぎ
行
(
ゆ
)
く
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
える。
259
千草姫
(
ちぐさひめ
)
は
胸
(
むね
)
をヤツと
撫
(
な
)
でおろし、
260
『
南無
(
なむ
)
頓生
(
とんしよう
)
玄真坊
(
げんしんばう
)
菩提
(
ぼだい
)
の
為
(
ため
)
、
261
帰命
(
きみやう
)
頂礼
(
ちやうらい
)
謹請
(
ごんじやう
)
再拝
(
さいはい
)
、
262
ホヽヽヽヽ、
263
これでも
妾
(
わらは
)
の
寸志
(
すんし
)
の
手向
(
たむけ
)
、
264
玄真坊
(
げんしんばう
)
の
亡霊殿
(
ばうれいどの
)
、
265
安楽
(
あんらく
)
に
成仏
(
じやうぶつ
)
致
(
いた
)
したがよからうぞや。
266
到頭
(
たうとう
)
三万
(
さんまん
)
両
(
りやう
)
の
金
(
かね
)
を
手
(
て
)
ぬらさずで、
267
ぼつたくつてやつた。
268
サ、
269
之
(
これ
)
さへあれば
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
、
270
一
(
ひと
)
つどつか
景勝
(
けいしよう
)
の
地
(
ち
)
を
選
(
えら
)
んで
大建築
(
だいけんちく
)
をなし、
271
人目
(
ひとめ
)
を
驚
(
おどろ
)
かし、
272
ウラナイ
教
(
けう
)
の
本山
(
ほんざん
)
を
建
(
た
)
て、
273
三五教
(
あななひけう
)
を
根底
(
こんてい
)
から
覆
(
くつが
)
へし、
274
ミロクの
太柱
(
ふとばしら
)
の
名声
(
めいせい
)
を
天下
(
てんか
)
に
輝
(
かがや
)
かしませう。
275
てもさても
都合
(
つがふ
)
の
好
(
よ
)
い
時
(
とき
)
には
都合
(
つがふ
)
の
好
(
よ
)
いものだなア』
276
とホクソ
笑
(
ゑ
)
んでゐる。
277
障子
(
しやうじ
)
の
外
(
そと
)
から
破鐘
(
われがね
)
のやうな
声
(
こゑ
)
で、
278
杢助
(
もくすけ
)
『ワツハヽヽウツフヽヽ
天晴
(
あつぱれ
)
々々
(
あつぱれ
)
、
279
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
の
御
(
お
)
腕前
(
うでまへ
)
は
杢助
(
もくすけ
)
確
(
たしか
)
に
見届
(
みとど
)
けたぞや』
280
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は
杢助
(
もくすけ
)
の
声
(
こゑ
)
に
打
(
うち
)
驚
(
おどろ
)
き、
281
日頃
(
ひごろ
)
恋
(
こひ
)
慕
(
した
)
ふ
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
が
此
(
この
)
宿
(
やど
)
に
泊
(
とま
)
つて
御座
(
ござ
)
つたか。
282
おゝ
恥
(
はづか
)
しや、
283
白粉
(
おしろい
)
も
付
(
つ
)
けねばならうまい、
284
紅
(
べに
)
もささねばなるまい、
285
髪
(
かみ
)
も
結
(
ゆ
)
ひ
直
(
なほ
)
し、
286
身繕
(
みづくろ
)
ひせにやならぬと、
287
千
(
ち
)
『モシモシ
杢助
(
もくすけ
)
さま、
288
お
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り
千草
(
ちぐさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
289
どうぞ
少時
(
しばし
)
ここを
開
(
あ
)
けない
如
(
や
)
うにして
下
(
くだ
)
さいませ。
290
一寸
(
ちよつと
)
身
(
み
)
だしなみをして、
291
それからお
目
(
め
)
にかかりますから』
292
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
はワザとに、
293
すねた
如
(
や
)
うな
口振
(
くちぶり
)
で、
294
『あ、
295
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
るか、
296
会
(
あ
)
つてやらぬと
仰有
(
おつしや
)
れば、
297
たつて
会
(
あ
)
つて
貰
(
もら
)
ひたいとは
思
(
おも
)
はぬ。
298
さよなら。
299
拙者
(
せつしや
)
は
曲輪城
(
まがわじやう
)
へ
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
り
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
るで
御座
(
ござ
)
らう』
300
千
(
ち
)
『モシ、
301
杢助
(
もくすけ
)
さま、
302
お
情
(
なさけ
)
ない、
303
こがれ
慕
(
した
)
ふて
居
(
ゐ
)
る
女房
(
にようばう
)
を
一目
(
ひとめ
)
も
見
(
み
)
ずに
304
捨
(
す
)
てて
帰
(
かへ
)
らうとは
余
(
あんま
)
りぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか。
305
貴方
(
あなた
)
に
別
(
わか
)
れて
此
(
この
)
方
(
かた
)
、
306
寝
(
ね
)
ても
醒
(
さめ
)
ても
会
(
あ
)
ひたい
会
(
あ
)
ひたいと
思
(
おも
)
ひ
暮
(
くら
)
して
居
(
を
)
りました。
307
何卒
(
どうぞ
)
只
(
ただ
)
今
(
いま
)
の
御
(
ご
)
不礼
(
ぶれい
)
はお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
308
一目
(
ひとめ
)
会
(
あ
)
ふて
下
(
くだ
)
さいませ』
309
妖幻坊
(
えうげんばう
)
『
左様
(
さやう
)
ならば、
310
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
つて、
311
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
高
(
たか
)
チヤンの
綺麗
(
きれい
)
なお
面
(
かほ
)
を
拝見
(
はいけん
)
しようかな』
312
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
313
二階
(
にかい
)
の
床
(
ゆか
)
をメキメキいはせ
乍
(
なが
)
ら
無雑作
(
むざふさ
)
に
障子
(
しやうじ
)
を
引開
(
ひきあ
)
け、
314
ノソリノソリと
入
(
いり
)
来
(
きた
)
り、
315
千草
(
ちぐさ
)
の
前
(
まへ
)
にドツカと
座
(
ざ
)
を
占
(
し
)
め、
316
どんぐり
眼
(
め
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
だ
)
して、
317
ニコニコ
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
318
妖
(
えう
)
『ヤア、
319
高
(
たか
)
チヤン、
320
余程
(
よほど
)
若
(
わか
)
くなつたぢやないか、
321
高宮姫
(
たかみやひめ
)
時代
(
じだい
)
とはまだ
三
(
みつ
)
つも
四
(
よつ
)
つも
若
(
わか
)
く
見
(
み
)
えるよ、
322
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
壮健
(
さうけん
)
でお
目出度
(
めでた
)
う』
323
千
(
ち
)
『モシ、
324
杢助
(
もくすけ
)
さま、
325
貴下
(
あなた
)
何処
(
どこ
)
をどう
彷徨
(
うろつ
)
いてゐらつしやつたの。
326
私
(
わたし
)
どれ
丈
(
だけ
)
尋
(
たづ
)
ねて
居
(
ゐ
)
たか
知
(
し
)
れませぬよ。
327
今年
(
ことし
)
で
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
許
(
ばか
)
り
会
(
あ
)
はぬじやありませぬか』
328
妖
(
えう
)
『
俺
(
おれ
)
だとてお
前
(
まへ
)
の
在処
(
ありか
)
を
捜
(
さが
)
し
求
(
もと
)
めて、
329
こんな
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
たのだ。
330
ウラナイの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
に
依
(
よ
)
つて、
331
計
(
はか
)
らずも
此
(
この
)
宿屋
(
やどや
)
でお
前
(
まへ
)
に
遇
(
あ
)
ふたのは
何
(
なに
)
よりの
仕合
(
しあは
)
せ。
332
ヤ、
333
俺
(
おれ
)
も
嬉
(
うれ
)
しい、
334
サ、
335
今夜
(
こんや
)
はシツポリと
昔語
(
むかしがたり
)
でもして
休
(
やす
)
まうぢやないか』
336
千
(
ち
)
『こんな
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
はメツタに
御座
(
ござ
)
いませぬ。
337
貴方
(
あなた
)
何
(
なに
)
がお
好
(
す
)
きで
御座
(
ござ
)
いましたいナ、
338
何
(
なに
)
か
差上
(
さしあ
)
げたいと
存
(
ぞん
)
じますが…』
339
妖
(
えう
)
『ヤ、
340
俺
(
おれ
)
は
別
(
べつ
)
に
何
(
なに
)
が
好
(
すき
)
といふ
事
(
こと
)
もない。
341
好
(
すき
)
なのはお
前
(
まへ
)
の
面
(
かほ
)
許
(
ばか
)
りだよ、
342
アツハヽヽヽ』
343
千
(
ち
)
『さうさう
貴方
(
あなた
)
は、
344
一番
(
いちばん
)
好
(
すき
)
なは
私
(
わたし
)
の
面
(
かほ
)
、
345
一番
(
いちばん
)
嫌
(
きら
)
ひなのは
犬
(
いぬ
)
だと
仰有
(
おつしや
)
いましたね』
346
妖
(
えう
)
『コーリヤ、
347
高宮姫
(
たかみやひめ
)
、
348
モウ
犬
(
いぬ
)
の
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
つてくれな。
349
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は
入江
(
いりえ
)
の
里
(
さと
)
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
、
350
沢山
(
たくさん
)
な
犬
(
いぬ
)
に
吠
(
ほえ
)
つかれ、
351
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
くて
堪
(
たま
)
らず、
352
今日
(
けふ
)
で
三日
(
みつか
)
許
(
ばか
)
り
此
(
この
)
宿屋
(
やどや
)
に
泊
(
とま
)
つてゐるのだ。
353
お
前
(
まへ
)
は
裏
(
うら
)
の
座敷
(
ざしき
)
で、
354
何
(
なに
)
かいい
男
(
をとこ
)
を
喰
(
く
)
ひ
込
(
こ
)
んで
居
(
を
)
つたやうだが、
355
それを
思
(
おも
)
ふと、
356
何
(
なん
)
だか
妬
(
や
)
けて
仕方
(
しかた
)
がないワ』
357
千
(
ち
)
『ホヽヽヽ、
358
彼奴
(
あいつ
)
ア、
359
オーラ
山
(
さん
)
と
云
(
い
)
ふ
山
(
やま
)
に
砦
(
とりで
)
を
構
(
かま
)
へて、
360
泥棒
(
どろばう
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
をやつて
居
(
ゐ
)
た
玄真坊
(
げんしんばう
)
と
云
(
い
)
ふ
売僧
(
まいす
)
ですよ。
361
彼奴
(
あいつ
)
が
懐
(
ふところ
)
に
沢山
(
たくさん
)
な
金
(
かね
)
を
持
(
も
)
つてると
知
(
し
)
り、
362
甘
(
うま
)
く
言
(
い
)
ひくるめて
此
(
この
)
宿屋
(
やどや
)
へ
連
(
つ
)
れ
込
(
こ
)
み、
363
ウマウマと
三万
(
さんまん
)
両
(
りやう
)
をフン
奪
(
だく
)
つてやつたのです。
364
恋
(
こひ
)
の
色
(
いろ
)
のと
誰
(
たれ
)
があんな
禿蛸
(
はげたこ
)
土瓶
(
どびん
)
に
相手
(
あひて
)
になるものですか、
365
よう
考
(
かんが
)
へて
下
(
くだ
)
さいナ』
366
妖
(
えう
)
『そらさうだらう、
367
杢
(
もく
)
チヤンといふ
色男
(
いろをとこ
)
を
夫
(
をつと
)
に
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
368
あの
如
(
や
)
うなヒヨツトコに
相手
(
あひて
)
になるお
前
(
まへ
)
では
無
(
な
)
い……とは
承知
(
しようち
)
して
居
(
ゐ
)
るものの、
369
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
も
別
(
わか
)
れて
居
(
ゐ
)
ると、
370
心
(
こころ
)
がひがんで
妙
(
めう
)
な
気
(
き
)
になるものだ。
371
ヤ、
372
無実
(
むじつ
)
の
罪
(
つみ
)
をお
前
(
まへ
)
に
着
(
き
)
せて
済
(
す
)
まなかつた、
373
これ
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りだ』
374
と
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて
床
(
ゆか
)
に
頭
(
あたま
)
をすりつける。
375
千草姫
(
ちぐさひめ
)
は、
376
『モシ
杢
(
もく
)
チヤン、
377
厭
(
いや
)
ですよ、
378
揶揄
(
からかひ
)
も
可
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
にして
置
(
お
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
379
私
(
わたし
)
、
380
貴方
(
あなた
)
の
仕打
(
しうち
)
が
余
(
あま
)
り
水臭
(
みづくさ
)
くつて
憎
(
にく
)
らしいワ』
381
妖
(
えう
)
『
幾
(
いく
)
らお
前
(
まへ
)
が
憎
(
にく
)
らしいと
云
(
い
)
つても
繋
(
つなが
)
る
縁
(
えん
)
ぢや
仕方
(
しかた
)
がないワ。
382
俺
(
おれ
)
も
惚
(
ほ
)
れた
弱味
(
よわみ
)
で
383
お
前
(
まへ
)
にや
百歩
(
ひやつぽ
)
を
譲
(
ゆづ
)
らざるを
得
(
え
)
ないワ、
384
ハヽヽヽ
385
男
(
をとこ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
386
女
(
をんな
)
にかけたら
脆
(
もろ
)
いものだワ、
387
アハヽヽ』
388
千
(
ち
)
『ヨウまア
憎
(
にく
)
たらしい、
389
そんな
冗談
(
じようだん
)
が
言
(
い
)
へますこと。
390
私
(
わたし
)
や
却
(
かへつ
)
て
恨
(
うら
)
めしう
御座
(
ござ
)
います。
391
サ、
392
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
今晩
(
こんばん
)
はゆつくり
寝
(
やす
)
まうぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか』
393
妖
(
えう
)
『お
前
(
まへ
)
は
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
の
天人
(
てんにん
)
、
394
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大
(
おほ
)
ミロクさまの
霊
(
みたま
)
で
八十四
(
はちじふよつ
)
日間
(
かかん
)
月経
(
つきやく
)
があると
云
(
い
)
ふぢやないか、
395
一緒
(
いつしよ
)
に
寝
(
ね
)
るこた、
396
真平
(
まつぴら
)
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
つて
置
(
お
)
かうかい』
397
千
(
ち
)
『エー
憎
(
にく
)
たらしい、
398
貴方
(
あなた
)
はあの
売僧
(
まいす
)
坊主
(
ばうず
)
との
話
(
はなし
)
をどつからか
聞
(
き
)
いてゐらつしやつたのでせう。
399
腹
(
はら
)
の
悪
(
わる
)
い
方
(
かた
)
ですね、
400
何処
(
どこ
)
で
聞
(
き
)
いてゐたのです』
401
妖
(
えう
)
『ウン、
402
雪隠
(
せんち
)
の
中
(
なか
)
で、
403
……ウン、
404
イヤイヤ
雪隠
(
せんち
)
へ
行
(
ゆ
)
かうと
思
(
おも
)
つて
一寸
(
ちよつと
)
横
(
よこ
)
を
通
(
とほ
)
つた
処
(
ところ
)
、
405
余
(
あま
)
りお
前
(
まへ
)
によう
似
(
に
)
た
声
(
こゑ
)
がするので、
406
立
(
た
)
ち
聞
(
ぎき
)
をすると、
407
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たよ。
408
ヨモヤお
前
(
まへ
)
とは
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
かぬものだから、
409
自分
(
じぶん
)
の
居間
(
ゐま
)
へ
返
(
かへ
)
つて……あんな
美人
(
びじん
)
があつたらなア……と
羨望
(
せんばう
)
に
堪
(
た
)
へなかつたのだ。
410
まアまアお
前
(
まへ
)
で
結構
(
けつこう
)
だつた』
411
千
(
ち
)
『
月経
(
つきやく
)
なんかあらしませぬよ、
412
安心
(
あんしん
)
して
寝
(
やす
)
んで
下
(
くだ
)
さいな』
413
妖
(
えう
)
『ヨーシ、
414
面白
(
おもしろ
)
い。
415
そんなら
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
高
(
たか
)
チヤンの、
416
お
寝間
(
ねま
)
の
伽
(
とぎ
)
でもさして
頂
(
いただ
)
きませうか』
417
千草姫
(
ちぐさひめ
)
はプリンと
背
(
せ
)
を
向
(
む
)
け、
418
『
知
(
し
)
りませぬ、
419
勝手
(
かつて
)
になさいませ』
420
と
子供
(
こども
)
の
如
(
や
)
うなスタイルで
稍
(
やや
)
すね
気味
(
ぎみ
)
になつてゐる。
421
猛犬
(
まうけん
)
の
声
(
こゑ
)
はワンワンワンと
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
422
(
大正一五・二・一
旧一四・一二・一九
於月光閣
松村真澄
録)
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