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面会(めんくわい)の事(こと)

インフォメーション
鏡：水鏡 題名：面会の事 よみ： 著者：出口王仁三郎
神の国掲載号：1927（昭和2）年10月号 八幡書店版：320頁 愛善世界社版：44頁 著作集： 第五版：244頁 第三版：244頁 全集： 初版：239頁
概要： 備考： タグ： データ凡例： データ最終更新日： OBC ：kg210
001　私(わたし)はどういふものか昨年来(さくねんらい)から（昭和(せうわ)元年(ぐわんねん)、002即(すなは)ち大正(たいしやう)十五年(じふごねん)）人(ひと)に面会(めんくわい)することが嫌(いや)になつて来(き)た。003近頃(ちかごろ)はそれが一層(いつそう)ひどくなつて、004未信者(みしんじや)は勿論(もちろん)の事(こと)、005役員(やくゐん)信者(しんじや)と雖(いへど)も面会(めんくわい)する事(こと)が極端(きよくたん)にいやになつたのだ、006近侍(きんじ)と雖(いへど)も余(あま)り大勢(おほぜい)が長(なが)く傍(そば)に居(を)られる事(こと)は苦痛(くつう)なので、007用事(ようじ)があつて呼(よ)ぶ時(とき)来(き)て呉(く)れればよいと云(い)ひ渡(わた)してある。008私(わたし)は肉体(にくたい)として出来(でき)るだけ辛抱(しんばう)［＊「辛抱」…底本では「辛棒」。］して居(ゐ)るのであるが、009神様(かみさま)が嫌(きら)はれるのだから仕方(しかた)が無(な)い、010特(とく)に朝(あさ)早(はや)くから来(こ)られると、011それつきり神様(かみさま)の御機嫌(ごきげん)が悪(わる)くなつて、012其(その)日(ひ)一日(いちにち)の仕事(しごと)が駄目(だめ)になつて仕舞(しま)ふ事(こと)がある。013だから面会(めんくわい)時間(じかん)は午後(ごご)の五時(ごじ)から六時(ろくじ)の間(あひだ)に定(さだ)めてあるので、014其(その)頃(ころ)になると、015為(な)すべき仕事(しごと)が一段落(いちだんらく)つき、016夜(よる)の仕事(しごと)との間(あひだ)に一寸(ちよつと)一服(いつぷく)する間(あひだ)があるから、017余(あま)り邪魔(じやま)にならない。018かく定(さだ)めてあつても、019今日(けふ)は早(はや)く帰(かへ)らねばならぬとか、020綾部(あやべ)にお参(まゐ)りせねばならぬとか、021特別(とくべつ)をもつてとか、022自分(じぶん)の都合(つがふ)の為(た)め、023朝(あさ)から面会(めんくわい)を強(し)いらるるのは苦痛(くつう)でたまらぬ。024私(わたし)は神様(かみさま)に使(つか)はれて居(を)るのである。025人間(にんげん)の都合(つがふ)の為(ため)に神様(かみさま)の御用(ごよう)を左右(さいう)さすのは余(あま)りでは無(な)いか、026私(わたし)は其(その)ため命(いのち)が縮(ちぢ)まるやうな気(き)がする。027私(わたし)に長生(ながいき)をさせようと思(おも)ふなら、028少(すこ)し気(き)をつけて貰(もら)ひ度(た)い。029早(はや)くから信仰(しんかう)して居(ゐ)る人達(ひとたち)はかういふ事(こと)がよく分(わか)つて居(を)らねばならぬ筈(はず)であるのに、030旧(ふる)いが故(ゆゑ)に特別(とくべつ)の権利(けんり)があるやうに思(おも)ふて、031規定(きてい)を無視(むし)して自分(じぶん)の知己(ちき)を連(つ)れてズンズン押(お)しかけられるのにも困(こま)る。032遠方(ゑんぱう)から来(き)たのだから、033十分(じつぷん)や二十分(にじつぷん)時間(じかん)を割(さ)いて下(くだ)さつてもよかりさうなものだと思(おも)ふ人(ひと)があるかも知(し)れぬが、034私(わたし)の十分間(じつぷんかん)は他人(ひと)の十分間(じつぷんかん)と違(ちが)ふ。035十分間(じつぷんかん)あれば約(やく)百五十枚(ひやくごじふまい)の短冊(たんざく)を描(か)く事(こと)が出来(でき)る。036一時間(いちじかん)も邪魔(じやま)されると、037九百枚(きうひやくまい)も駄目(だめ)になるのである。038それにまだそれよりも困(こま)る事(こと)は、039各自(かくじ)がいろんな霊(れい)を連(つ)れて来(き)て、040それを置(お)いて行(ゆ)く事(こと)である。041非常(ひじやう)に気分(きぶん)がよくて、042是(これ)から大(おほい)に仕事(しごと)をしようと思(おも)つて居(を)る所(ところ)へ、043一寸(ちよつと)人(ひと)が来(き)て其(その)人(ひと)が、044悪霊(あくれい)でも背負(せおつ)て来(き)て居(ゐ)たら、045すぐ頭(あたま)が痛(いた)くなり、046気分(きぶん)が悪(わる)くて一日(いちにち)何(なに)も出来(でき)ぬ事(こと)がある。047のみならず甚(はなは)だしい時(とき)はウンウンと唸(うな)つて寝(ね)なければならぬ事(こと)になる。048私(わたし)の体(からだ)は人並(ひとなみ)にゆかぬのであるから、049それを察(さつ)して貰(もら)ひたい、050用(よう)がある場合(ばあひ)は此方(こちら)から呼(よ)ぶ事(こと)に仕度(した)いのである。
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