霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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いろは歌(その一)

インフォメーション
題名:いろは歌(その一) 著者:
ページ:9
概要: 備考: タグ:そしもり(ソシモリ)、雛形(雛型)、アキツトナメ データ凡例:2017/9/15校正。 データ最終更新日:2025-02-23 21:52:17 文字数:10499 OBC :B115003c04
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]:
  1. 神霊界 > 大正6年12月1日号(第54号) > いろは神歌
  2. 神霊界 > 大正7年1月1日号(第55号) > いろは神歌(つづき)
001い鹿(かるが)[*神霊界では「何鹿」]の郡(こほり)綾部の本宮(ほんぐう)の、002拾里四方は宮の内、003下津(したつ)岩根(いはね)の珍(うづ)の国、004高天原(たかあまはら)と称(たた)えつつ、005天(あめ)に坐(ま)す神(かみ)八百万(やほろろづ)、006地(つち)に坐(ま)す神(かみ)八百万、007集(あつま)りまして幽世(かくりよ)と、008現(うつ)つの世をば知(し)ろしめす、009其(その)神業(かみわざ)を神議(かむはか)り、010議(はか)り玉ひて常夜(とこよ)往(ゆく)、011烏羽玉(うばたま)の世を照(てら)さむと、012伊都(いづ)の御魂(みたま)と現(あ)れまして、013天津(あまつ)日嗣(ひつぎ)の動ぎなく、014目出度(めでたき)御代(みよ)を松の世の、015常磐(ときは)堅磐(かきは)の礎(いしずえ)を、016搗固(つきかた)めます霊(たま)の地を、017知らずに暮(くら)す世の人の、018心の空の仇(あだ)曇り、019晴(は)るる由(よし)なき憐れさよ。
020ろんどんのカラの都に預けたる、021金山姫(かなやまひめ)の御宝(みたから)は、022何時(いつ)還(かへ)り坐(ま)す術(すべ)を無(な)み、023御姿(みすがた)さえも瑞穂国(みづほくに)、024豊葦原(とよあしはら)の中国(なかくに)の、025力(ちから)を削る曲津霊(まがつひ)は、026英米西(えべす)大国(だいこく)西の海、027底の藻屑(もくず)と鳴る神に、028臍(ほぞ)を奪(と)られし姿なり。
029はに安(やす)の彦の神言(みこと)の現(あら)はれて、030雲井(くもゐ)に懸(かか)る群雲(むらくも)を、031伊吹(いぶ)き放(はな)ちて春日(かすが)なる、032天津(あまつ)日蔭(ひかげ)の隈(くま)も無く、033輝き渡る日の本の、034国の稜威(みいづ)は弥高(いやたか)く、035鳴戸の海の弥深(いやふか)き、036神の恵(めぐみ)の鳴り鳴りて、037鳴りも合はさる仇波(あだなみ)を、038大海原(おほうなばら)に加々(かが)呑(のみ)て、039世の大本の一筋(ひとすじ)の、040誠の神の統(す)べ玉ふ、041国常立(くにとこたち)の神の代(よ)を、042来(きた)さん為に三千歳(みちとせ)の、043道有(あ)る御代(みよ)を松の大本神の出口の畏(かし)こけれ。
044にし東(ひがし)南(みなみ)と北の荒海(あらうみ)に、045艦(ふね)充ち続け寄せ来(きた)る、046醜(しこ)の荒(すさ)びの猛(たけ)く共(とも)、047御空(みそら)に震(ふる)ふ鳥船(とりふね)の、048羽音(はおと)は如何(いか)に高くとも、049空より降らす迦具槌(かぐづち)の、050三(み)ツの都(みやこ)を夜芸男(やぎはやを)[*神霊界では「夜芸速男」だが、王仁文庫では「夜芸男」になっている。]、051如何(いか)なる神の猛(たけ)びにも、052少しも怖(お)ぢぬ日の本の国に幸(さちは)ふ言霊(ことたま)の、053ウとアの水火(いき)にカラ鳥(とり)の、054胆(きも)を抜かれて落ち此方(こち)に、055神の稜威(みいづ)の著(いち)じるく、056頭(かしら)を地(つち)に逆様(さかしま)に、057神の御国(みくに)に何時(いつ)までも、058仇波(あだなみ)立たぬ松の代と、059駿河(するが)の国の不二(ふじ)の山、060気高(けだか)き姿を[*神霊界では「姿の」だが、王仁文庫では「姿を」。]其儘(そのまま)に、061世界の上に聳(そび)ゆなり。
062ほ日(ひ)[*神霊界では「保日」。]の命(みこと)の現はれて、063海の内外(うちと)の嫌ひなく、064降らす血雨(ちあめ)の河と成り、065屍(かばね)は積みて山を為す、066カラクレナイの敷島の、067赤き心は日本魂(やまとだま)、068火にさへ焼けぬ国魂(くにたま)の、069光り輝く時となり、070体主霊従(から)の身魂(みたま)を焼き尽し、071水火(みづほ)の国の中津国(なかつくに)、072下津(したつ)岩根(いはね)に現はれし、073厳(いづ)の御魂(みたま)の勲功(いさほし)の、074天照(あまて)る御代(みよ)の楽(たの)もしさ。
075へだて無き、076神の恵みは弥高(いやたか)き、077高天原(たかあまはら)に現(あ)れまして、078乱れ果て[*神霊界では「界て」になっているが誤字か?]たる現(うつし)し世の、079諸々(もも)の人草(ひとぐさ)救(すく)はむと、080誠の道をたてよこの、081二柱神(ふたつのかみ)の勲功(いさほし)は、082天之岩戸を開くなる、083奇磐間戸(くしいはまど)の手力男(たぢからを)、084日本(やまと)の人も外国人(からびと)も、085神の教(をしへ)に手撫槌(てなづち)や、086足撫(あしな)の道に迷ひたる、087身魂(みたま)を善(よ)きに導びきて、088ミロクの神の守ります、089常磐(ときは)の松の神の世に、090覆(かへ)して統(す)ぶる世の本(もと)の、091国常立の神ぞ尊(たふ)とき。
092とつ国(くに)の醜(しこ)の仇浪(あだなみ)いや猛(たけ)く、093秋津島根に打寄(うちよ)せて、094国の半分(なかは)[*神霊界では「中分」。]を洗ひ去り、095浪花(なには)の土を汚(けが)しつつ、096五十鈴川(いそすずがは)に襲ひ来て、097清き宮川(みやかは)泥(どろ)と為し、098御国(みくに)の魂(たま)を盗まむと、099深き奸計(たくみ)は三重県(みえあがた)、100尾張(をはり)半田(はんだ)に押寄せて、101手配(てくば)り為せる其(その)刹那(ひま)に、102伊勢の神風(かみかぜ)吹起(ふきおこ)り、103怒(いか)れる浪(なみ)の物凄く、104心の黒き黒船の、105浮瀬(うきせ)に沈む神罰(いましめ)の、106忽(たちま)ち来ると白人(しらひと)の、107国の末(すゑ)こそ憐れなりけれ。[*神霊界では「なりけり」。]
108ち早振(はやふる)[*神霊界では「千早振」。]神代(かみよ)ながらの神国(かみくに)の、109千代も八千代も動(ゆる)ぎなき、110天津(あまつ)日嗣(ひつぎ)の大君(おほきみ)は、111豊葦原(とよあしはら)の中津国(なかつくに)、112瑞穂の国の主師親(おほもと)と、113現はれまして天(あめ)の下(した)、114四方(よも)の国々隈(くま)もなく、115言向平(ことむけやは)し御恵(みめぐみ)の、116露(つゆ)の御玉(みたま)に潤(うるほ)ひし、117日本(やまと)御国(みくに)の民草(たみくさ)は、118我(あが)大君(おほぎみ)の知食(しろしめ)す、119大御(おほみ)神業(みわざ)にあななひて、120内外(うちと)の国を助(たす)く可(べ)き、121神の依(よさ)しの天職(かんわざ)を、122身も棚知(たなし)らに弥広(いやひろ)に、123尽(つく)せ日本(やまと)の神の子等(ら)。
124りう球(きう)につづく台湾澎湖島(ぼうこたう)[*神霊界では「ボウコ島」。澎湖(ほうこ、ポンフー)諸島のこと。台湾島の西約50キロのところにある。]、125御国(みくに)に遠きこの島に、126心を配れ日本人(やまとびと)、127外国魂(とつくにたま)のここかしこ、128国売る曲(まが)の多くして、129主人(あるじ)の留守の間(ま)鍋(なべ)たき、130柱を崩すカミ斗(ばか)り、131ヤンキーモンキー騒ぐとも、132降る雨(あめ)リカを妨ぐ由(よし)なし。
133ぬさ採りて和知(わち)の川辺に祈りつつ、134この世の泥を滌(すす)がむと、135明治の二十五年より、136直(すぐ)なる針に餌(え)も附けず、137川王(かはわう)の鯉(こひ)のツレ無くも、138鮒(ふな)や諸魚(もろを)の屑(くず)のみぞ、139神の恵(めぐみ)の糸(いと)長く、140釣下(つりおろ)ろしたる一筋(ひとすぢ)の、141誠の瑞(みづ)の魂(たましひ)が、142かかり玉ひし益良夫(ますらを)の、143釣り合ふ御魂(みたま)男子(なんし)女子(によし)、144太公望(たいこうばう)の大望(たいまう)も、145西伯文王(せいはくぶんのう)に見出(みいだ)され、146国を治めし古事(ふるごと)の、147今目(ま)の前(あた)り北の空、148光り輝き渡るなる、149神の大橋いや太く、150掛けし祈りの尊(たふ)とけれ。
151るい卵(らん)の危(あや)ふき国と成り成りて、152成り合はざりし異国(ことくに)の、153国王(こくしゆ)は位(くら)を降(おろ)されて、154夏なほ寒き西伯利亜(しべりあ)の、155荒野(あれの)の果(はて)に退(や)らはれし、156スラブ王家(わうけ)の憐れさは、157聞くも涙の種(たね)なれど、158我(わが)神国(かみくに)に刃向(はむか)ひし、159支那もスラブも天命の、160免(のが)れぬ道と覚悟せよ。161続いて三(み)つ四(よ)つカラの国、162神の御国(みくに)に仇(あだ)を為す、163報いは今に火の車、164乗りて奈落ヘ落(おち)ぶれの、165悪魔の頭(かみ)ぞ憐れなる。[*神霊界では「なり」]
166をに大蛇(おろち)狼(おほかみ)よりも恐ろしき、167異国魂(ことくにたま)の奸計(まがわざ)は、168口に蜜(みつ)をば含み宛(つつ)、169尻に剣(けん)持つ蜂の如(ごと)、170大砲(おほつつ)小砲(こづつ)の兵器(つはもの)を、171残らず反古(ほご)の紙と為し、172尻の穴まで見済(みすま)して、173時(とき)待つ時の火車(ひぐるま)を、174御国(みくに)の空に轟かし、175掠(かす)め取らんと曲津神(まがつかみ)、176企みは実(げ)にも良けれども、177日本(やまと)の国は昔より、178神の御幸(みさち)ちの強き国、179人は三分(さんぶ)に減るとても、180神の身魂(みたま)は永遠(とこしへ)に、181続く常磐(ときは)の神国(かみくに)ぞ、182異国魂(ことくにたま)の世の末と、183成り定(さだ)まりし幽世(かくりよ)の、184神の経綸(しぐみ)も白人(しらひと)の、185世の終(をは)りこそ憐れなりけれ。[*神霊界では「けり」]
186わた津見(つみ)の神の宮居(みやゐ)に鎮まりし、187玉依姫(たまよりひめ)の現はれて、188綾(あや)の高天(たかま)に上(のぼ)り坐(ま)し、189御供(みとも)の神も数多(かずおほ)く、190集(つど)い来まして斯度(このたび)の、191神世(かみよ)の経綸(しぐみ)助けむと、192金竜界(きんりうかい)の島々に、193今は潜みて時津風(ときつかぜ)、194松の神代(かみよ)と成る迄は、195水分(みくまり)の神志那津彦(しなづひこ)、196巌(いはお)の神や地震(ないふる)の、197荒々(あらあら)しくも荒れの神、198一度に開(ひら)く竜神(たつかみ)の、199伊都(いづ)の雄猛(をたけ)び弥猛(いやたけ)く、200天地(あめつち)四方(よも)の国々も、201海山(うみやま)河野(かはぬ)の生物(いきもの)も、202震(ふる)ひ慄(おのの)き地に附きて、203眼(まなこ)も鼻も耳(みみ)口(くち)も、204何と詮方(せんかた)泣声(なくこゑ)も、205轟(とどろ)き渡る皇神(すめがみ)の、206言葉の霊(たま)の限り無く、207鳴り渡る時選(えら)まれし、208日本心(やまとごころ)の身魂(みたま)のみ、209次の神代(かみよ)の御柱(みはしら)と、210栄誉(ほまれ)と共に残るなり。
211かくり世(よ)も現(うつ)つの世をも押並(おしな)べて、212天津(あまつ)御祖(みおや)の大神(おほかみ)の、213依(よ)さし玉ひし其儘(そのまま)の、214清き神代(かみよ)の御政(みまつり)に、215曳(ひ)き還(かへ)さむと梓弓(あづさゆみ)、216巌(いはほ)も徹(と)ほす敏心(とごころ)の、217日本心(やまとごころ)の弥固(いやかた)き、218矢竹心(やたけごころ)の畏(かしこ)くも、219世をうしとらの皇神(すめかみ)が、220下津岩根(したついはね)に現はれて、221乱れたる世を正(ただ)さむと、222月日(つきひ)さまねく一筋(ひとすじ)に、223誠の道を証(あか)しつつ、224勤(いそ)しみ玉ふ惟神(かむながら)、225神の出口の勇ましき。
226よに出(い)でし守護神(まもりがみ)等(ら)の鼻高く、227雲井(くもゐ)の空に蔓(はびこ)こりて、228天津日蔭(ひかげ)の御光(みひか)りを、229包みかくして葦原(あしはら)の、230中津御国(みくに)を曇らせつ、231下(しも)国民(くにたみ)の苦しみを、232余所(よそ)に眺めて吾(わ)れの身の、233しがく斗(ばか)りに日も足らず、234月日を送る曲津日(まがつひ)は、235落ちて散り行く秋(あき)の野の、236木の葉の果(はて)ぞ憐れにも、237踏み付けおきし民草(たみくさ)の、238足に踏(ふま)れて泥まぶれ、239泥海(どろうみ)の世を固めたる、240国の御祖(みおや)の大神(おほかみ)の、241御袖(みそで)に縋(すが)り歎(なげ)くとも、242神の審判(さばき)の明(あきら)けく、243罪の隠(かく)るるスキも泣き、244人の果(はて)こそ憐れなれ。[*神霊界では「なり」]
245たよりなき、246世の人々に便(たよ)るより、247神の御教(みのり)にたよりなば、248斯(この)世の中に恐るべき、249物は一つも荒魂(あらみたま)、250神の力に勇ましく、251楽しく渡る和田の原、252隔(へだて)て遠き外国(とつくに)の、253果(はて)しも知らに行くとても、254天津日蔭(ひかげ)の照る限り、255安く守らせ玉ひつつ、256恩頼(みたまのふゆ)の幸(さちは)ひて、257国の誉(ほま)れと諸共(もろとも)に、258遺(のこ)る勲功(いさほし)千代八千代、259万代(よろづよ)迄も日本(ひのもと)の、260御魂(みたま)を照らせ日本(やまと)益良雄(ますらを)。
261れん合(がふ)の国の軍(いくさ)は強くとも、262心は割れて四(よ)ツ五ツ(いつ)、263いつか勝負の果(はて)も無く、264力は既にイングリス、265艮(とどめ)に以太利(いたり)て雨(あめ)リカの、266フランス跡(あと)に地固(じかた)めの、267望みもつきてカイゼルの、268甲斐なき終(をは)り世の終り、269金(かね)も兵糧(ひやうろう)も尽き果てて、270互(かたみ)に臍(ほぞ)を噛みながら、271猶(な)ほ懲(こ)[*神霊界では「懲」ではなく「凝」]りづまに向きを替ヘ、272良き支那物(しなもの)を奪(うば)はんと、273命(いのち)限りに寄せ来(きた)る、274其時(そのとき)こそは面白き、275茲(ここ)に仁義の神の国、276豊葦原(とよあしはら)の足に掛け、277蹴(く)え放(は)ららかし息の根を、278絶ちて悪魔を絶滅(うちたを)し、279世界一つに統(す)べ守り、280祭政一致(かみよながら)の神政(みまつり)を、281天地(てんち)と共に楽(たの)しまむ。
282そしもりの山に天降(あも)りし素盞嗚男(すさのを)[*王仁文庫では「嗚」ではなく「鳴」が使われているが誤字だと思われる。神霊界では「嗚」。]の、283神の命(みこと)は恐(かし)こくも、284綾(あや)の高天(たかま)に昇りまし、285国に仇(あだ)為す鬼大蛇(をろち)、286天津醜女(しこめ)や曲津霊(まがつひ)を、287十握(とつか)の劍(つるぎ)抜き持ちて、288切り立(たて)薙(な)ぎ立て遠近(をちこち)の、289山の尾毎(ごと)に斬り靡(なび)け、290河の瀬毎(ごと)に追い払ひ、291はらひ清めて四方(よも)の国、292草の片葉(かきは)に至る迄、293救ひ助けて艮(うしとら)の、294皇大神(すめおほかみ)と諸共(もろとも)に、295二度目の天の岩戸をば、296開(あ)けて目出度(めでたき)午(うま)の春、297天(あま)の斑駒(ふちこま)逆剥(さかは)ぎの、298世の醜魂(しこたま)を遺(お)ちも無く、299退(やら)ひに退(やら)ひて草薙(くさなぎ)の、300心の劒(つるぎ)皇神(すめかみ)に、301供え奉(まつ)りて瑞穂国(みづほくに)、302瑞(みづ)の御魂(みたま)の美(うる)はしき、303勲功(いさほ)辰巳(たつみ)や午(うま)の年、304未申(ひつじさる)なる皇神(すめかみ)の、305称(たた)へを酉(とり)の秋の空、306錦(にしき)織りなす紅葉(もみぢば)の、307赤き心の現はれて、308鬼さえ戌(いぬ)の天(あめ)の下(した)、309治まる御代(みよ)は斯(この)神の、310亥(い)にしへよりの勲功(いさほ)ぞと、311青人草(あをひとぐさ)の仰ぐ世を、312松と梅との花の大本(おほもと)。
313つきも日も隠れて見えぬ叢雲(むらくも)の、314中にも神の恵(めぐみ)あり、315人を奪(と)り喰(く)ふ鬼大蛇(をろち)、316地震雷鳴(かみなり)火の雨も、317少しも怖(お)ぢぬ正人(まさびと)は、318男女(をのこをみな)の別(わか)ち無く、319神の守りし人ぞかし。320マサカの時の杖(つゑ)と為(な)り、321力(ちから)と為(な)るは信仰(うべない)の、322徳より外(ほか)に何も無し。323神の御子(みこ)なる人の身は、324神を誠の親と為し、325心の限り身の限り、326仕へ奉(まつ)りて天地(あめつち)の、327諸(もも)の猛(たけ)びも心安(うらやす)く、328凌(しの)ぎ凌(しの)ぎて松の代の、329人の鏡と鳴(なる)神の、330轟(とど)ろき渡る高き名を、331千代に伝へて神国(かみくに)の、332国の真柱(みはしら)搗(つ)き固め、333勲功(いさほ)を立(たて)よ万代(よろづよ)に。
334ねの国に落行(おちゆ)く霊魂(みたま)を救はむと、335厳(いづ)の御魂(みたま)の大御神(おほみかみ)、336瑞(みづ)の御魂(みたま)と諸共(もろとも)に、337綾(あや)の高天(たかま)に現はれて、338竜宮館(りうぐうやかた)の渡し場に、339救世(ぐせい)の船を浮(うか)べつつ、340待たせ給へど烏羽玉(うばたま)の、341暗(やみ)に迷ヘる人草(ひとぐさ)は、342取り付(つく)島も荒塩(あらしほ)の、343塩(しほ)の八百路(やほじ)の八塩路(やしほじ)の、344浪(なみ)に漂よひ迷ひつつ、345沖の彼方(あなた)ヘ走(は)せ行くを、346救ひの船に掉(さを)[*神霊界でも王仁文庫でも「掉」が使われているが、一般に「さお」と言えば「棹」の字を使う。]さして、347呼ベど叫ベど不知火(しらぬひ)の、348浪(なみ)のまにまに隠れつつ、349海の藻屑(もくず)と鳴戸灘(なるとなだ)、350危(あや)ふき渦(うづ)に近寄りて、351行衛(ゆくゑ)も波の底の国、352流れ行くこそ悲しけれ。
353なに波津(はづ)に咲くや兄(こ)の花(はな)冬籠(ふゆごも)り、354今を春辺(はるべ)と咲匂(さきにほ)ふ、355我(あが)大神の言霊の、356鳴り渡ります竜(たつ)の春、357御稜威もたかき大和路の[*神霊界では「御稜威もたかき大和路の」ではなく「罪も穢れも内藤の、家に集える信者を、大本王仁が引連れて、御稜威もたかき神の森、大阪本の文雄大人、其他あまた伴なひて、大和の国に名も高き」になっている。]、358畝火(うねび)の山に参上(まいのぼ)り、359四方(よも)の国々見はるかし、360蜻蛉(あきつ)の臀呫(となめ)せるかもと[*神霊界では「臀咋せる国と」]、361詔(の)らせ給ひし神倭(かんやまと)、362磐余(いはれ)の君(きみ)の斎(いつ)きたる、363最(いと)も畏(かし)こき橿原(かしはら)の、364珍(うづ)の御宮殿(みあらか)伏し拝み、365皇御国(すめらみくに)の幸(さちは)ひを、366赤心(まごころ)籠めて祈りけり。
367らうそくの我身(わがみ)焦(こが)して暗(やみ)の夜(よ)を、368照(てら)すは神の御心(みこころ)ぞ。369神に仕へしともがらは、370世の為(ため)人の為ならば、371家をも身をも省みず、372人の譏(そし)りも斑駒(ふちこま)の、373耳に東風(こち)吹く心地(ここち)して、374世人(よびと)の為に尽(つく)さむと、375朝な夕なに命毛(いのちげ)の、376筆(ふで)採(と)り坐(ま)して千早振(ちはやふる)、377神の御教(みのり)を説き給ふ、378教御祖(をしへみおや)の勲功(いさほし)は、379高天原(たかあまはら)と現はれて、380四方(よも)の民草(たみくさ)靡(なび)けつつ、381神の出口(でぐち)の道開(みちびら)き、382広き斯世(このよ)の宝ぞと、383天(あめ)に坐(ま)す神地(くに)の神、384歓(よろ)こび勇み賞(め)で玉ふ、385錦(にしき)の機(はた)の目出度(めでた)けれ。
386むかしより花に名高き吉野山(よしのやま)、387八幡(やはた)の山の奥深く、388ミロクの世まで隠されし、389音姫(おとひめ)どのの御宝(みたから)の、390在所(ありか)尋ねて千代八千代、391動かぬ御代(みよ)の大本の、392千歳(ちとせ)の松の神の子が、393鶴殿君(つるどのきみ)に従ひて、394未だ散り終へぬ八重桜(やへざくら)、395日本心(やまとごころ)の大丈夫(ますらを)が、396高天原(たかあまはら)を立出(たちいで)て、397折(をり)も吉野の上市(かみいち)に、398一夜(いちや)を明かし妹背山(いもせやま)、399吉野の川に隔(へだ)つれど、400誠心(まことごころ)の隔てなき、401浅野、豊本(とよもと)、牧(まき)、村野、402梅田、秋岡、出口王仁(わに)、403星田、多慶子(たけこ)や金谷(かなだに)の、404清き身魂(みたま)は吉野川、405流れに添ひて上(のぼ)り行(ゆく)、406十里の道も山吹の、407一重の花に引かされて、408神の教へのかしこくも、409早(はや)柏原(かしはら)に着(つき)にけり。410雲井(くもゐ)の空の神人(かみびと)と、411ひなに育ちし賤(しづ)の男(を)が、412深山(みやま)の奥に手を曳きて、413峻(けは)しき山を辿りつつ、414御国(みくに)の為に赤心(まごころ)を、415尽すも神の引き合(あは)せ、416黄金(こがね)の山の奥深き、417神の経綸(しぐみ)は白雲(しらくも)の、418花の吉野の水清(きよ)く、419治まる御代(みよ)の礎(いしずえ)を、420踏み固めたる千代の鶴、421八千代の亀の末長く、422開(ひら)け行く世を楽しみに、423松(まつ)まの長き真鶴(まなづる)の首(くび)。
424うしとらの神の御言(みこと)を畏(かし)こみて、425下津岩根(したついはね)の本宮(もとみや)の、426神に仕(つか)ふる教子(をしへご)が、427教御祖(をしへみおや)に従ひて、428巳年(みとし)五月(さつき)の八(や)ツの日に、429息長姫(をきながひめ)の祭りたる、430木村の里の庵我(あが)の宮、431車軸(しやぢく)を流す雨空(あまそら)を、432厭(いと)ひ給はず出坐(いでま)しの、433御供(みとも)の人は四百人(しひやくにん)、434風も福知(ふくち)の町(まち)過ぎて、435車(くるま)の音も静々(しづしづ)と、436神の御前(みまへ)に着き給ひ、437唱(とな)ふる祝詞の声清(きよ)く、438御国(みくに)の為に皇神(すめかみ)の、439東(あづま)の国ヘ神幸(いでまし)を、440祈り給ひし赤心(まごころ)を、441神も諾(うべな)ひ玉ひけむ、442三日(みつか)を経(へ)たる夕空(ゆうぞら)に、443神の証(あか)しは丹頂(たんちやう)の、444鶴(つる)飛び来(きた)り高杉(たかすぎ)の、445上(うへ)に宿りて只(ただ)三声(みこゑ)、446鳴き渡りつつ産土(うぶすな)の、447一宮(いつきう)神社(やしろ)の神の森、448さして飛び行く吉瑞(みあかし)は、449千代の栄えの松の代を、450祝(ほ)ぎ給ひたる惟神(かむながら)、451神の稜威(みいづ)のいや高き、452事(こと)の証明(あかし)を水茎(みづくき)の、453文字(もじ)に写して皇神(すめかみ)に、454日々(ひび)に仕(つか)ふる神職(かんつかさ)、455田中の大人(うし)の送られし、456御文(みふみ)は神の御宝(みたから)と、457世の大本(おほもと)に留(とど)めけり。
458ゐすくわし神の光に照(てら)されて、459曇り果(はて)たる村肝(むらきも)の、460心の空も晴れ渡り、461月日(つきひ)輝き幽世(かくりよ)も、462現(うつ)つの世をも明(あき)らけく、463覚(さと)り開(ひら)きし神心(かみごころ)、464瑞(みづ)の御魂(みたま)と現はれて、465御国(みくに)を守る神と成り、466斯世(このよ)の母と成々(なりなり)て、467恵(めぐみ)を四方(よも)にたらちねの、468心も熱田(あつた)の神の宮、469つるぎの稜威(みいづ)いやちこに、470日本建(やまとたける)と生(あ)れましぬ、471是(これ)須佐之男(すさのを)の身魂(みたま)なり。
472のあの言霊(ことたま)なと反(かへ)り、473なおの言霊(ことたま)のと反(かへ)る。474のあとなおとの方舟(はこぶね)の、475真中(まなか)に住(す)みきるすの御霊(みたま)、476すめら御国(みくに)のすがた也(なり)。477のの言霊を調ぶれば、478地(つち)に泥水(どろみづ)充(み)ち溢(あふ)れ、479渦巻(うづまき)廻(めぐ)る御霊(みたま)なり。480あの言霊を調ぶれば、481天津(あまつ)御空(みそら)に昇り行き、482成(な)り合(あひ)まさぬ御霊(みたま)なり。483のあの御霊(みたま)は泥水(どろみづ)の、484世界を浸(ひた)し山を越え、485賤(いや)しき身魂(みたま)の雲の辺(べ)に、486上(のぼ)りて天(あめ)を汚(けが)すなり。487さは去(さ)り乍(なが)ら世の人よ、488昔の事と思ふなよ。489のあの御霊(みたま)の災(わざはひ)は、490今眼(ま)の当(あた)り現(あ)れにけり。491なの言霊を調ぶれば、492火水(かみ)の結びの御魂(みたま)にて、493天津(あまつ)御空(みそら)に二柱(ふたはしら)、494鎮(しづ)まり坐(いま)す姿也。495おの言霊を調ぶれば、496汚(けが)れし地(つち)を清めつつ、497六合(くに)を治(をさ)むる御霊(みたま)なり。498地(つち)より生(あ)れし埴安(はにやす)の、499神の御霊(みたま)もお声(こゑ)なり。500五大州(いつつのくに)の中心(まんなか)に、501皇御国(すめらみくに)の天皇(すめらぎ)の、502四方(よも)の国々統(す)べ給ふ。503此(こ)の言霊を省(かへり)みて、504皇御国(すめらみくに)の天職(かんわざ)を、505覚(さと)りてなおの方舟(はこぶね)の、506さとしの舟に乗り移り、507瑞(みづ)の御魂(みたま)に神習(かむなら)ひ、508泥(どろ)に漂(ただよ)ふ世の人を、509なお霊(ひ)に見なおし詔(の)りなおす。510神の大道(おほぢ)に導きて、511世人(よびと)救(すく)ひてヒマラヤの、512山より高く名を上げて、513二度目の神代(かみよ)の種(たね)と成り、514万代(よろづよ)までも世の人の、515救ひの神と鳴り渡る、516言霊の道尊(たふと)とけれ。
517
ノアとナオの方舟
[#図 ノアとナオの方舟]
518おちこちの寺の金仏(かなぶつ)、金道具(かなだうぐ)、519釣鐘(つりがね)までも鋳潰(いつぶ)して、520御国(みくに)を守る海陸(うみくが)の、521軍(いくさ)の備へに充(あ)つる[*神霊界では「宛(あ)つる」]世は、522今眼(ま)のあたり迫り来て、523多具理(たぐり)に成ります金山(かなやま)の、524彦の命(みこと)の御代(みよ)と化(な)り、525下(しも)国民(くにたみ)の持物(もちもの)も、526金気(かなけ)の物は金火鉢(かなひばち)、527西洋釘(せいやうくぎ)の折(を)れまでも、528御国(みくに)を守る物の具(ぐ)と、529造り代えても足(た)らぬまで、530迫り来るこそ歎(うた)てけれ。
531くに挙(こぞ)り上(うへ)は五十路(いそぢ)の老人(をひと)より、532下(しも)は三五[*「三五」は底本にフリガナが無いが「さんご」であろう。]の若者が、533男(をのこ)、534女(をみな)[*底本ではルビが「をなみ」だが「をみな」の誤り。]の別(わか)ち無く、535坊主も耶蘇(やそ)も囚人(めしうど)も、536戦争(いくさ)の庭(には)に立つ時の、537巡(めぐ)りくるまの遠からず、538遠津(とほつ)御神(みかみ)の造らしし、539御国(みくに)を守る兵(つは)ものと、540日本心(やまとごころ)を振起(ふりおこ)し、541伊都(いづ)の雄猛(をたけ)び踏み健(たけ)び、542厳(いづ)のころびを起(おこ)しつつ、543海往(ゆ)かば水潜(く)しかばね山往(ゆ)かば、544草生(む)す屍(かばね)大君(おほぎみ)の、545御為(みため)に死なむ徒(いたず)らに、546閑(のど)には死なじ一足(ひとあし)も、547顧(かへり)みせじと弥進(いやすす)み、548いや迫(せま)りつつ山の尾に、549追伏(おひふ)せ散らし川の瀬に、550追払(おひはら)ひつつ仇軍(あだいくさ)、551服従(まつろ)え和(やは)して浦安の、552御国(みくに)を守れ秋津人(あきつびと)、553現津御神(あきつみかみ)と大八洲(おほやしま)、554国(くに)知食(しろしめ)す天皇(すめらぎ)の、555高き恵みに酬(むく)へかし、556日本(やまと)島根(しまね)の神の御子(みこ)。
557やすみしし吾(あが)大君(おほきみ)の高光(たかひか)る、558天津日嗣(あまつひつぎ)の日の御子(みこ)の、559聖(ひじり)の御代(みよ)の明らけく、560大(ひろ)く正(ただ)しぎ大御代(おほみよ)は、561都(みやこ)もひなも押並(おしな)べて、562恵みの露(つゆ)の隈(くま)も無く、563草の片葉(かきは)に至るまで、564高き稜威(みいづ)を仰ぐ世の、565六年(むとせ)の秋の末(すゑ)つ頃、566四尾(よつを)の山の佐保姫(さほひめ)も、567錦(にしき)の機(はた)を織りなして、568四方(よも)の景色の麗(うらら)かに、569牡鹿(をしか)妻(つま)呼ぶ時もあれ、570御国(みくに)の光り照妙(てるたへ)の、571綾(あや)の錦(にしき)の山里(やまざと)に、572御国(みくに)の母とあを雲の、573雲路遙(はるか)に掻別(かきわ)けて、574民(たみ)の蚕飼(こかひ)の事業(なりはひ)を、575嘉(よみ)し給ひて天降(あも)り坐(ま)す、576大御恵(おほみめぐみ)を嬉しみて、577遠き国より近きより、578老(おい)も若きも押並(おしな)ベて、579御影(みかげ)を拝む国民(くにたみ)の、580道も狭(せ)きまで群集(うごなは)り、581伊迎(いむか)い奉(まつ)る真心(まごころ)は、582嬉し涙に紅(くれなゐ)の、583赤きもみぢの柏手(かしはで)の、584高き稜威(みいづ)を仰ぐなり。585千早振(ちはやふる)神代(かみよ)も聞かず丹波路(たにはぢ)に、586斯(かか)るためしもあら尊(たふ)と、587君(きみ)の恵(めぐみ)のあなかしこ、588賢(かし)こき御代(みよ)に生(お)ひ出(いで)し、589此上(こよ)なき幸(さち)に大本(おほもと)の、590神に仕ふる王仁(ひろちか)が、591御空(みそら)を仰ぎ地(つち)に伏し、592身の賤(しづ)けきも打忘(うちわす)れ、593心の限り身の限り、594今日の行啓(みゆき)を祝(ほ)ぎ奉(まつ)る。
595まが津霊(つひ)の猛(たけ)き荒(すさ)びに奥山の、596紅葉(もみぢ)の色も光り浅(あ)せ、597鳴く鹿の声(こゑ)悲しくて、598錦(にしき)織り成す佐保姫(さほひめ)の、599頭(かみ)も真白(ましろ)に成相(なりあひ)の、600山に連なる大江山(おほえやま)、601鬼の鼻より吹降(ふきお)ろす、602冷たき風に遠近(をちこち)の、603木々の稍(こずえ)も皆(みな)散りて、604行衛(ゆくゑ)も知らず真木(まき)の葉の、605東(ひがし)の空に舞ひ狂ひ、606狂ひ還(かへ)りて四ツ尾の、607山に黒雲(くろくも)天(そら)を蔽(お)ひ、608世の大本を見下(みおろ)せど、609古き神代(かみよ)の昔より、610隠れ坐(ま)したる艮(うしとら)の、611神の稜威(みいづ)に退(やら)はれて、612あと白雲(しらくも)となりにけり。
613けがれたる斯(この)世の中を如何(いか)にせむ、614誠の神の御教(みをし)へを、615家をも身をも打忘(うちわす)れ、616朝な夕なに一筋(ひとすじ)に、617心を尽し身を尽し、618筑紫の果(はて)も東路(あづまぢ)も、619至らぬ隈(くま)も無き迄に、620教へ諭(さと)せど食う物と、621衣(き)るより外(ほか)に心(こころ)無き、622心(こころ)卑(いや)しきけだものの、623角(つの)振つ立て反対(さかしま)に、624力限りに攻め来(きた)り、625救ひの綱(つな)も切(き)れ切(ぎ)れに、626何と詮方(せんかた)なく斗(ばか)りなり。
627ふる里(さと)に老ひたる母を振り残し、628御国(みくに)に尽す益良夫(ますらを)の、629心の空は五月暗(さつきやみ)、630暗き斯世(このよ)を照(てら)さむと、631千々(ちぢ)に思ひを砕きつつ、632二十年(はたとせ)余りて惟神(かんながら)、633神の御教(みのり)を伝へつつ、634治まる御代(みよ)を待乳山(まつちやま)、635山郭公(やまほととぎす)血も涸(か)れて、636呼ぶ声さへも暗(やみ)の夜(よ)の、637人の心の鞍馬山(くらまやま)、638深山(みやま)に猛(たけ)き狼(おほかみ)の、639古巣(ふるす)を潜(くぐ)り蛇(へみ)むかで、640蜂(はち)の室屋(むろや)に幾度(いくたび)か、641投げ入れられて猶(なほ)も又、642針の蓆(むしろ)に居(すは)りつつ、643袖(そで)は涙の三瀬川(みつせがは)、644渡りあぐみし丸木橋、645生命(いのち)を掛けて渡会(わたらえ)の、646宮に坐(まし)ます皇神(すめかみ)の、647稜威(いづ)に開(ひら)けし大本は、648斯世(このよ)の中の大橋(おほはし)と、649遠き近きの別(わか)ち無く、650問ひ来(く)る迄に進みしは、651清(きよ)き和泉(いづみ)の住(すみ)の江(え)の、652神に仕へし生神(いきがみ)の、653小松林(こまつばやし)の勲功(いさを)なり。[*ここまでの初出は『神霊界』大正6年12月号p19~掲載。以下の初出は大正7年1月号p23~掲載。]
654こきうすき色は変(かは)れど紅葉(もみぢば)の、655聞(きこ)えも高き高尾山(たかをやま)、656峰の木(こ)の間(ま)に照妙(てるたへ)の、657綾(あや)と錦(にしき)を織り成して、658世人(よびと)の為に歌はれし、659其(その)装(よそほ)ひも夢の間(ま)に、660寒き木枯し吹き荒(すさ)び、661元の姿もあらし山、662嵐の跡の淋しさは、663この世の遷(うつ)り変(かは)り行く、664神の誠の黙示(しらせ)なり。665省(かへり)み覚(さと)れ浮世人(うきよびと)、666世の行末も眼(ま)のあたり、667花咲く春の来(きた)る迄、668神の恵みに冬小森(ふゆこもり)、669心を尽し身を尽し、670常磐(ときは)の春の長閑(のどか)なる、671御代(みよ)松(まつ)ごころ持てよ世の人。
672えらまれし人のみ住める神の世は、673戦ひも無く暗(やみ)も無く、674苦しみ迷ふ人も無く、675饑(う)え凍(こご)えたる人も無き、676天(あめ)明(あきら)けく地(ち)豊(ゆた)に、677見る人毎(ごと)に神心(かみごころ)、678曲津(まがつ)の潜む蔭(かげ)も無し。679齢(よはひ)も長く病(やまひ)無く、680眼(まなこ)涼しく顔(かほ)清く、681現世(うつつ)幽界(かくりよ)隔(へだ)て無く、682澄み渡りたる世の中に、683残る身魂(みたま)の楽しけれ。
684てる妙(たへ)の綾部の里(さと)の鬼村(おにむら)は、685人が倒(こ)けよが斃(たを)れうが、686我(わ)れさえ良けりや宵(よひ)の口(くち)、687酒呑(してん)童子(どうじ)のさかさまに、688神の教(をしへ)も聞かばこそ、689弱いと見れば人呑(の)みに、690因縁(いんねん)付けて酒(さけ)買はし、691貧しき家をば呑み潰(つぶ)す、692鬼と大蛇(だいじや)の極悪の、693本宮村(ほんぐうむら)ぞ憐(あは)れなる。[*神霊界では「なる」ではなく「なり」]
694あらたうと神の御教(みのり)の深くして、695計(はか)[*神霊界では「斗」]り知られぬ味(あじは)ひは、696この世開(ひら)けし初めより、697今に至りて変(かは)り無く、698千々(ちぢ)に心を砕きつつ、699青人草(あをひとぐさ)を愛(いつ)くしみ、700陰(かげ)に陽(おもて)に守らいて、701罪に穢(けが)れし空蝉(うつせみ)の、702からの身魂(みたま)を救ひ上げ、703神代(かみよ)乍(なが)らの霊主肉従(ひのもと)の、704神の御国(みくに)を立(たて)よこの、705二柱神(ふたつのかみ)が現はれて、706二度目の天の岩戸をば、707開(ひら)く日本の梅の花、708四方(よも)に薫りて鶯(うぐひす)の、709谷の戸開(あ)けて初春(はつはる)の、710鳴く音(ね)に優(まさ)るあはれさを、711只(ただ)白雪(しらゆき)の世の人の、712解(と)けぬ霊魂(みたま)を眼(ま)のあたり、713眺(なが)めて忍び玉の井の、714底(そこ)ひも知らぬ皇神(すめかみ)の、715深き御心(みこころ)汲み取りて、716清(きよ)まり澄むを松の代(よ)の、717楽しき時ぞ待ち玉ふ、718いづの御魂(みたま)の畏(かし)こけれ。
719さか孔子(くじ)も悟り得ざりし真理(まさこと)を、720覚(さと)す高天(たかま)の大本に、721参来(まゐき)集(つど)ひて類(たぐひ)無き、722神の御教(みのり)を聞人(きくひと)の、723身の幸(さち)こそは芽出度(めでた)けれ。724曲津(まがつ)の猛(たけ)き世の中に、725心(こころ)平らに安らかに、726勇みて暮(くら)す信徒(まさびと)の、727心の奥は真寸鏡(ますかがみ)、728光り輝き天地(あめつち)に、729貫(つらぬ)き徹(とほ)す赤心(まごころ)の、730苔(つぼみ)の花の開(ひら)く世は、731千年(ちとせ)の松の末長く、732朽(くち)ぬ宝は万代(よろづよ)に、733生き死(しに)生(うま)れ死に生(うま)れ、734限り無き身も魂線(たましひ)も、735栄え栄えて皇神(すめかみ)の、736恩頼(みたまのふゆ)を蒙(かかぶ)りて、737誠の栄えと歓(よろこび)は、738月日(つきひ)と共に続くなり。
739きみの為御国(みくに)の為に身を忘れ、740家をも捨(すて)て尽す身は、741俸給(てあて)も位階(くら)も何も無く、742世人(よびと)の足に踏(ふま)れつつ、743臣(をみ)たる道に勤(いそし)みて、744心の限り身の限り、745筑紫の端(はて)も東路(あづまぢ)も、746南も北も厭(いと)ひ無く、747神の教(をしへ)を敷島の、748底津岩根(そこついはね)に搗固(つきかた)め、749上津岩根(うはついはね)に突凝(つきこら)し、750千代(ちよ)万世(よろづよ)の礎(いしずえ)を、751科戸(しなど)の風の福知山(ふくちやま)、752一宮(いつきう)神社(やしろ)の氏(うぢ)の子の、753桐村氏(きりむらうじ)の珍(うづ)の娘(こ)と、754生(うま)れ給ひし我(わが)開祖(みおや)、755綾部神宮(しんぐう)の坪(つぼ)の内(うち)、756神の出口(でぐち)の家に嫁(い)り、757世の艮(うしとら)に隠身(すみきり)し、758国常立(くにとこたち)の大神(おほかみ)に、759久しき間(あひだ)撓(たゆ)み無く、760仕へ給ひし勲功(いさほし)の、761花咲き実る御代(みよ)と成り、762世人(よびと)の為に竭(つく)さるる、763教御祖(をしへみおや)ぞ畏(かし)こけれ。
764ゆみ張(はり)の月の光はやましろの、765鞍馬(くらま)の山に輝やけど、766教御祖(をしへみおや)の御心(みこころ)は、767乱れたる世を治めんと、768千々(ちぢ)の思(おもひ)に村肝(むらきも)の、769心の空も懸曇(かけくも)り、770木(こ)の間(ま)の星の遠近(をちこち)と、771深山(みやま)の奥に杖(つえ)を曳(ひ)き、772岩窟(いはや)の中(うち)に差籠(さしこも)り、773斯世(このよ)を乱す鼻高(たかがみ)を、774言向和(ことむけやは)し治めんと、775柴(しば)の褥(しとね)に雲の笠(かさ)、776石の枕も厭(いと)ひ無く、777四人(よたり)の伴(とも)を引連(ひきつれ)て、778善言美詞(みやびことば)の神嘉言(かむよごと)、779心を籠(こめ)て宣給(のりたま)ふ、780其(その)勲功(いさほし)に八衢(やちまた)[*底本は「八街」]の、781醜(しこ)の曲霊(まがひ)も服従(まつろ)ひて、782十五の月の有明に、783鞍馬の山を立出(たちいで)て、784綾(あや)の高天(たかま)へ復命(かへりごと)、785申(まを)し奉(まつ)りし大僧正(たかつかみ)、786数多(あまた)の下神(しもがみ)引き連(つれ)て、787本宮山(ほんぐうやま)に鎮(しづま)りつ、788神の御国(みくに)に尽さむと、789誓ひを立(たて)し高神(たかがみ)の、790言葉を栞(しほ)に帰り坐(ま)し、791百(もも)と十日(とうか)の其(その)間(あひだ)、792一間(ひとま)を閉ぢて入(い)り給ひ、793世の神々に神言(かんごと)を、794宣(の)らせ給ひし畏(かし)こさよ。
795めしま男島(をしま)の荒海原(あらうなばら)を、796神の御言(みこと)を畏(かし)こみて、797明治は三十三年の、798六月(むつき)八日(やうか)の未明(あさまだき)、799上田(うへだ)海潮(かいちやう)出口(でぐち)寿美(すみ)、800四方(しかた)平蔵(へいざう)木下(きのした)の、801慶太郎(けいたらう)四人(よたり)を引連(ひきつれ)て、802雨風(あめかぜ)強く浪(なみ)猛(たけ)き、803底さへ知れぬ海原(うなばら)を、804小さき舟に身を任せ、805勇み進んで出給(いでたま)ふ、806教御祖(をしへみおや)の雄々しさに、807波路(なみぢ)半ばを渡る頃、808海の御神(みかみ)も驚きて、809御空(みそら)を晴(はら)し風を和(な)ぎ、810波を静めて心(うら)安(やす)く、811送り給ひし尊とさよ。812神代(かみよ)の遠き昔より、813竜宮島(りうぐうじま)と聞(きこ)えたる、814大海原(おほうなばら)の無人島(ひとつじま)、815波打(なみうち)寄(よす)る磯の辺(べ)に、816小舟(こぶね)を繋(つな)ぎ静々(しづしづ)と、817上(のぼ)り給へば百鳥(ももとり)の、818声を限りに鳴叶(なきさけ)び、819迎え奉(まつ)りし時も在(あ)れ、820若狭の海の波の上(うへ)に、821漂(ただよ)ひ上(のぼ)る天津日(あまつひ)の、822御蔭(みかげ)も最(いと)と麗(うらら)かに、823日の出の神の御姿(みすがた)を、824天地(あめつち)四方(よも)に光(てら)しつつ、825神の出口の出修(いでまし)を、826諾(うべな)ひ給ふ心地して、827神の御告(みつげ)の業(わざ)も了(を)へ、828翌(あく)る十日の夕暮に、829月を頭(かしら)に星を踏み、830世継王(よつわう)の山の麓なる、831大本指して帰り坐(ま)す、832出口御祖(みおや)の勇ましさ。
833みづ清き金竜海(きんりうかい)の島々は、834日出(いづ)る国の雛形(ひながた)と、835祝ひ定(さだ)めて築きたり。836日出(いづ)る国の日の本は、837全く世界の雛形ぞ。838神倭磐余(かむやまといはれ)の君(きみ)が大和なる、839火々真(ほほま)の岡に登り坐(まし)。840蜻蛉(あきつ)の臀甞(となめ)せる国と、841詔(のら)せ給ふも理(ことはり)や。842我(わが)九州は亜弗利加(あふりか)に、843北海道は北米に、844台湾島は南米に、845四国の島は濠州に、846我(わが)本州は広くして、847欧亜大陸其儘(そのまま)の、848地形を止(と)むるも千早振(ちはやふる)、849神代(かみよ)の古き昔より、850深き神誓(ちかひ)の在(いま)すなり。851豊葦原(とよあしはら)の中津国(なかつくに)、852秋津根別(あきつねわけ)の神国(かみくに)は、853世界を統(す)ぶる天職(かむわざ)を、854神代(かみよ)乍(なが)らに具(そな)へたる、855珍(うづ)の御国(みくに)ぞ美(うま)し国、856国の真秀良場(まほらば)畳並(たたなは)る、857青垣山(あをがきやま)に囲まれし、858綾(あや)の錦(にしき)の本宮(もとみや)に、859斯世(このよ)を統(す)ぶる皇神(すめかみ)の、860御稜威(みいづ)も高く四方(よも)の国、861輝き渡る兄(こ)の花の、862咲耶(さくや)この時(とき)言霊の、863照(て)るや斯時(このとき)畏(かし)こくも、864皇大神(すめおほかみ)の御教(みをしへ)を、865顕(あら)はし奉(まつ)れ大本の、866下津岩根(したついはね)に集まれる、867心(こころ)優しき神の御子(みこ)。
868しき島(しま)の大和島根の礎(いしずえ)と、869神の選(えら)みし益良夫(ますらを)の、870清き身魂(みたま)と駿河(するが)なる、871不二の御山(みやま)に宮柱(みやはしら)、872太知(ふとしり)立(たて)て鎮(しづま)りし、873木花咲哉(このはなさくや)姫神(ひめがみ)の、874御言(みこと)の随(まま)に丹波路(たにはぢ)に、875天駆(あまかけ)り来(こ)し芙蓉坊(ふえうぼう)、876瑞(みづ)の御魂(みたま)の神代(かみしろ)を、877明治は三十一年の、878雪まだ残る如月(きさらぎ)の、879十日の夜半(よは)に奥深き、880高熊山に連れ行(ゆき)て、881神の御詔(みのり)を宣べ伝へ、882神の柱と経緯(たてよこ)の、883錦の機(はた)を織らさむと、884心(こころ)づくしの兄(こ)の神の、885教(をしへ)の甲斐(かひ)や有明(ありあけ)の、886月を合図に穴太(あなう)なる、887宮の傍(かたへ)の宮垣内(みやかいち)、888賤(しづ)が伏屋(ふせや)に帰り行く、889神の経綸(しぐみ)の奇(くし)びなれ。
890ゑらまれし神の柱の甲斐も無し、891早(はや)二十年(はたとせ)を過(すぎ)ぬれと、892神の依(よさ)しの神業(かんわざ)の、893万(よろづ)の中の一つさへ、894為し遂げ得ざる苦(くる)しさに、895千々(ちぢ)に砕(くだ)くる村肝(むらきも)の、896心の空は五月暗(さつきやみ)、897袖(そで)に涙の晴間(はれま)なく、898御国(みくに)に尽す赤心(まごころ)を、899雲井(くもゐ)に告(つげ)よ時鳥(ほととぎす)、900玉の御声(みこゑ)を待乳山(まつちやま)、901姿隠して泣き渡るなり。
902ひさ方(かた)の天津(あまつ)御空(みそら)に照る月は、903昔も今も変(かは)らねど、904変り果たる現世(うつしよ)の、905人の心を悲しみて、906夜(よ)は寝(ね)もやらず只(ただ)一人、907加茂の川辺に彷徨(さまよひ)つ、908月に誓ひを掛巻(かけまく)も、909恐(かしこ)き神の御国(みくに)をば、910元の神代(かみよ)に還(かへ)さんと、911乙女心(をとめごころ)の一筋(ひとすぢ)に、912思ひ浮(うか)ベて行水(ゆくみづ)の、913流れに沈む月影(つきかげ)は、914波に砕(くだ)けて果敢(はか)なくも、915年(とし)も十五の朝野子(あさのこ)が、916御国(みくに)を思ふ赤心(まごころ)の、917行(や)る瀬(せ)無きこそ憐(あは)れなり。
918もとと末(すゑ)内外(うちと)の法(のり)を過(あやま)たず、919御国(みくに)の為に身を忘れ、920家を忘れて惟神(かむながら)、921神の大道(おほぢ)を辿(たど)りつつ、922審神者(さには)の道に勤(いそ)しみて、923諸々(もも)の身魂(みたま)を夫(そ)れ夫(ぞ)れに、924立別(たてわ)け調べ神国(かみくに)の、925柱を造る益良雄(ますらを)の、926道の審神者(さには)は経(たて)と緯(よこ)[*神霊界では「道の審神者は経と緯」ではなく「未だ日も浅野王仁の大人」になっている。]、927相(あひ)並ばして葦原(あしはら)の、928醜(しこ)の仇草(あだくさ)薙払(なぎはら)ひ、929祓ひ清めて国造(つく)り、930吾(あが)大君(おほきみ)に奉(たてまつ)る、931厳(いづ)の御魂(みたま)の神勅(かみごと)を、932謹(つつし)み恐(かしこ)み弥遠(いやとほ)に、933弥広(いやひろ)らかに伝へ行く、934心は清き和知川(わちがは)の、935瑞(みづ)の御魂(みたま)と現はれて、936世人(よびと)を救ふ神柱(みはしら)の、937誉(ほま)れは世々(よよ)に流(なが)る也。
938せまり来(く)る国の乱れを治めむと、939御国(みくに)を思ふ大丈夫(ますらを)が、940活動(はたら)く時機(とき)を松の世の、941[*神霊界ではここに「東の国に冬小森、」という文が入り、「活動く時機を松の世の、東の国に冬小森、国の鎮めと木花の」になっている。]国の鎮(しづ)めと木花(このはな)の、942咲耶(さくや)の姫の活動(はたらき)は、943千代に八千代に動きなき[*「咲耶の姫の活動は、千代に八千代に動きなき」が神霊界では「咲耶の姫の弥固き、千代の常磐の岩下に」になっている。]、944深き経綸(しぐみ)を駿河湾(するがわん)、945富士より高き久方(ひさかた)の、946天津御祖(あまつみおや)の日の御子(みこ)の、947御稜威(みいづ)を四方(よも)に輝かし、948神の御徳(みとり)を刈碁母(かりごも)の、949乱れ果(はて)たる武蔵野に、950布(しき)て迷へる百姓(みたから)を、951彼方(かなた)の岸に渡さむと、952一つ心に大元(おほもと)[*神霊界では「太元」]の、953教(をしへ)に尽す赤心(まごころ)は、954天(あめ)の児屋根(こやね)や太玉(ふとたま)の、955神の御魂(みたま)の御幸(みさち)なり。956長田(ながた)[*神霊界では「長田」ではなく「田畑」]に植えし種物(たなもの)は、957大宜都姫(おほげつひめ)[*神霊界では「大宣津姫」]の御幸(みさち)はひ、958世人(よびと)の生命(いのち)弥長(いやなが)に、959守らせ給ふ豊受(とようけ)の、960深き恵(めぐみ)は伊勢の海、961山田の宮の奥深き、962神の経綸(しぐみ)の一柱(ひとはしら)、963五伴緒(いつとものを)の厳御魂(いつみたま)、964瑞能御魂(みづのみたま)の清くして[*神霊界では「水野御魂の直(なほ)くして」]、965雲井(くもゐ)に上(のぼ)る十四夜(いざよひ)[※一般には「十六夜」を「いざよい」と読むが霊界物語を始め王仁三郎の文献には「十四夜」を「いざよい」と読ませている場合がある。]の、966月も隈(くま)無く照り渡り、967曙(あけ)の烏(からす)の勇ましく、968天津御空(あまつみそら)に日の神の、969輝き渡り日の御子(みこ)の、970鎮(しづま)り坐(いま)す高御座(たかみくら)、971千代に八千代に限り無く、972射照(ゐてり)徹(とほ)らす天(あめ)の下(した)、973四方(よも)の国々平(たひ)らけく、974治(をさま)る御代(みよ)の豊栄(とよさか)[*神霊界では「豊本」]の、975瑞穂の国ぞ尊とけれ。
976すみきりし国常立(くにとこたち)の大神(おほかみ)の、9761神勅(みこと)畏(かし)こみ謹(つつ)しみて、9762明治の廿五年より、9763一つ心に仕へたる、9764教御祖(をしへみおや)の神教(みをしへ)に、9765服(まつ)ろひ尽(つく)す真人(まなひと)が[*「教御祖の神教に、服ろひ尽す真人が」が神霊界では「教御祖と諸共に、神の御教を王仁が」になっている。]、9766幽(かげ)より顕(おも)に懸巻(かけまく)も、9767恐(かし)こき神の造らしし、9768御国(みくに)の汚(けがれ)清(きよ)めむと、9769二十年(はたとせ)余りて言霊の、977学びに心(こころ)砕(くだ)きつつ、9771息艮放両火脹与(いろはにほへと)血濁緯濁縦(ちりぬるを)、9772輪搦与玉濁水火(わかよたれそ)続根凝濁水渦巻(つねならむ)、9773浮水火清水起降文向(うゐのおくやま)差別吹凝胞衣発(けふこえて)、9774空水割別和回月始(あさきゆめみし)搦回日諸瀬洲(ゑひもせす)、9775京の都(みやこ)の九重(ここのへ)の、9776花咲く春を松の代(よ)に、9777四十余(よそまり)八文字(やもじ)の生御魂(いくみたま)、9778揃へて四方(よも)の国々を、9779ミロクの御代(みよ)に進めむと、978尽す日本(やまと)の雄心(をごころ)は、9781一つに成(なり)て金竜(きんりう)の、9782生島々(いくしまじま)の神社(かむやしろ)、9783中にも別(わ)けて大八洲(おほやしま)、9784天の岩戸の頂きに、9785真木(まき)の柱の弥高(いやたか)く、9786梅[*「梅」が神霊界では「梅田」になっている。]の薫(かほ)り芳(かむ)ばしく、9787小松林(こまつばやし)の弥繁(いやしげ)く、9788秋の紅葉(もみぢ)の錦(にしき)織(お)り、9789澄渡(すみわた)りたる十四夜(いざよひ)の、979月に心を照(てら)しつつ、9791神霊鎮座(みたましづめ)の大祭典(まつりごと)、9792秋の田の面(も)に稔(みの)りたる[*「秋の田の面に稔りたる」が神霊界では「時も吉田に稔りたる」になっている。]、9793千五百(ちいほ)の秋の八束穂(やつかほ)や、9794山海(やまうみ)河野(かはぬ)種々(くさぐさ)の、9795御饌(みけ)献(たてまつ)り一向(ひたすら)に、9796今日の生日(いくひ)を祝ひつつ、9797八雲(やくも)の琴の音(ね)も清く、9798天(あめ)に座(ます)神(かみ)国つ神、9799千五百万(ちいほよろづ)の神等(かみたち)も、980集(あつま)まり坐(ま)して賑敷(にぎはしく)、9801御祭(みまつ)り終(を)へし勲功(いさほし)は、9802世の大本に信従(まつろひ)し、9803清(きよ)き身魂(みたま)の撓(たゆ)み無く、9804道に尽せし報ひぞと、9805代々(よよ)に伝へて芳(かん)ばしく、9806咲哉(さくや)木(こ)の花(はな)春の空、9807時代(みよ)の栄へも弥広(いやひろ)く、9808誉(ほまれ)も竜(たつ)の宮の棟(むね)、9809十曜(とよう)の紋のキラキラと[*「咲哉木の花春の空、時代の栄へも弥広く、誉も竜の宮の棟、十曜の紋のキラキラと」が神霊界では「咲哉木の花直日嬢、御代の一の大二に、誉も竜の宮の棟、十曜の星のキラキラと」になっている。]、981月日(つきひ)に照りて照妙(てるたへ)の、9811綾部に錦(にしき)飾(かざ)る世を、9812松間(まつま)の長き鶴の首、9813亀の齢(よはひ)の万世(よろづよ)の、9814固めの基(もと)と素盞嗚(すさのう)の、9815須賀の新宮(にいみや)八雲立(やくもたつ)、9816出雲八重垣(やへがき)妻(つま)ごみに、9817八重垣(やへがき)造る八重垣を[*「八重垣造る八重垣を」が神霊界では「八重垣造る其八重野垣」になっている。]、9818瑞穂の国の中国(なかくに)の、9819天皇(すめらみこと)の大稜威(おほみいづ)、982四方(よも)に轟(とどろ)く八雲琴(やくもごと)、9821其(その)音(ね)も清く澄渡(すみわた)り、9822天地(あめつち)四方(よも)に響きけり。[*「せ」と「す」の段は神霊界と較べて字句の変更が多いが、神霊界の方では姓名折込歌になっているので、姓名に合わせた用字・文言になっている。王仁文庫では姓名折込歌ではなくふつうの神歌にしたため、字句を改めたのではないかと思われる。]
983京浪花(なには)東京駿河(するが)大和路(やまとぢ)に、9831神の柱を配置(まくばり)て、9832二度目の天の岩屋戸を、9833開(ひら)く常磐(ときは)の松の代の、9834国常立之皇神(すめがみ)は、9835古き神代(かみよ)の初発(はじめ)より、9836隠身(すみきり)坐(ま)して幽世(かくりよ)と、9837現(うつ)つの国の身魂(みたま)をば、9838最(い)と詳細(つばらか)に取調(とりしら)ベ、9839天津御祖(みおや)の大神に、984奏(まを)し給ひて畏(かし)こくも、985ミロクの神代に造らむと、986思(おもひ)は胸に三千年(みちとせ)の、987溢(あふ)れて茲(ここ)に神柱(かみはしら)、988出口開祖(みおや)の身体(からたま)に、989鎮(しづま)り坐(まし)て万世(よろづよ)の、990国の固めの神勅(かみこと)を、991或(あるひ)は口(くち)に或(ある)は手に、992写して世人(よひと)導(みちび)きつ、993曲(まが)の集(つど)へる大江山(おほえやま)、994鬼も大蛇(をろち)も言向(ことむ)けて、995三段(みみた)に分(わか)てる身魂(みたま)をば、996目鼻(めはな)を附けて安らけき、997常磐(ときは)の御代(みよ)を待乳山(まつちやま)、998鳴く郭公(ほととぎす)血も涸(かれ)て、999叫び給ふぞ尊とけれ。
9991(大正六年十一月三日)
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