霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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浪花の空

インフォメーション
題名:浪花の空 著者:出口王仁三郎
ページ:51
概要:28歳の頃 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-05-08 00:00:00 OBC :B119800c022
二十八歳の頃
よしあし(ぐさ)(しげ)れる浪花(なには)に神の道宣伝せんと思ひ立ちし春
穴太出て西条(さいでう)川上(かはかみ)寺村(てらむら)東掛(とうげ)長首坂(ながくびさか)を越えゆく
石田梅巌(ばいがん)道話(だうわ)を説きし村といふ東掛(とうげ)のさとは山深き里石田梅岩は江戸時代の学者。現・亀岡市東別院町東掛で生まれた。
むかしより山賊()づると伝へたる長首(ながくび)峠は淋しかりけり
十三里山坂道(やまさかみち)茨木(いばらぎ)の駅にやうやう着きしゆうぐれ
夕暮の梅田の駅に下車すれば右もひだりもわからず迷ふ
人力車飛ばせて堂島(だうじま)川べりのとある宿屋に泊り込みたり
井戸(ゐど)(なか)(かはづ)大海(たいかい)()でしごと都のさまにあきるるばかり
故郷(くに)(びと)の大阪に住める人の家天満橋(てんまばし)(ほとり)に尋ねあてたり
橋詰(はしづめ)実盛餅(さねもりもち)暖簾(のれん)くぐりみればその人ほほゑみてをり
ふるさとに泣き別れたるその人のはや未亡人となりてゐたりき
あちこちと大阪の街(めぐ)りみつふところ寂しく日日(ひび)になりゆく
大阪のけむりの都をさまよひて(けむり)にまかれ帰り()につく
家屋敷抵当(ていたう)にして借りし旅費残らず宿屋の(こや)しとなりけり
大阪をいま去る名残りと天満(てんま)天神(てんじん)(やしろ)に詣でて前途を祈る
不思議なる易者(えきしや)の言葉に従ひて(こま)立て直し帰国の途につく
いろいろの神勅をうけて感じ入り実盛餅(さねもりもち)を帰途にたづぬる
はじめての水と(けむり)の都見て空に名残りも惜しまずかへる
四通(しつう)八達(はつたつ)便利自由の都路(みやこぢ)もわがふるさとに()かざりにけり
質朴(しつぼく)な田舎育ちのわが身には都会宣伝はやしと悟りぬ
高遠な理想説くとも浪花人(なにはびと)は聞く耳持たず自愛のかたまり
豊太閤(ほうたいかふ)偉業の跡をとどめたる大阪城をめづらしみ見し
中之島(なかのしま)木村重成(しげなり)誠忠碑の前にし立てばなみだこぼるる木村重成は戦国時代の武将で、豊臣家の家臣。
豊太閤の偉業のあとをながめつつ精神界の王国(わうごく)をおもふ
雑沓(ざつたふ)の巷に()でてふるさとの清き山河(さんが)のめぐみを悟りぬ
曲神(まがかみ)伊猛(いたけ)り狂ふいまの世を清めて神世(かみよ)()たさんとぞ思ふ
神軍のラツパを高く吹きたてて濁りたる世を覚ますと雄健ぶ
此のままにこの世を捨てて置くならば忽ち地獄の惨状を見む
十年のあひだ身魂を清めつつ世界に道を宣べむとおもふ
ふところは(とみ)に寂しくなりたれど故郷(こきやう)に帰る楽しさにをり
草枕(くさまくら)旅にし()でて悟りけり(けが)れはてたる人のこころを
難波津(なにはづ)に咲くやこの花あとにしていよいよ帰国の(みち)につきけり
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