霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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迎へ人

インフォメーション
題名:迎へ人 著者:出口王仁三郎
ページ:193
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 04:40:00 OBC :B120200c25
瑞穂会(みづほくわい)に帰りてみれば山家(やまが)より四方(しかた)平蔵(へいざう)()の手紙()てをり
いぶかりつ(ふう)おしきれば四方(しかた)より教祖の(めい)にて迎へにゆくとあり
反対者の多き綾部へまたしても行く気にならず手紙を破る
園部川(そのべがは)(うを)(あさ)りをれば土堤(どて)に立ちて上田先生と呼ぶ人のあり
わたくしは先日手紙を送りました四方(しかた)ですよと大声にいふ
(すなど)りをやめて(つつみ)をかけあがり園部(そのべ)扇屋(あふぎや)さして()でゆく
扇屋(あふぎや)の二階に二人端坐して綾部の様子聞きつ語りつ
熟談の結果ひと()づ開祖様に会はんと約し穴太(あなを)に帰る
膝栗毛
四方(しかた)氏は園部(そのべ)(とま)りわれはまた往復八里を()()に歩く
真夜中に穴太へ帰りわが母に綾部に()かんと報告をなす
一時間穴太の家にやすらひて()の明くるまでに園部に帰りぬ
静岡の恩師の(もと)に電信を打ちおき綾部(ゆき)仕度(したく)にかかる
四方(しかた)氏を伴ひ黒田(くろだ)の瑞穂会へ帰りて午後まで昼寝なしたり
 観音峠
午後の五時黒田(くろだ)(あと)にとぼとぼと観音峠の急坂を登る
観音峠頂上に立ちて見渡せば園部の町は眼下に(よこ)たふ
目になれし天神山(てんじんやま)小麦山(こむぎやま)コバルト(いろ)にはゆる(すが)しさ
きらきらと園部の町の家家(いへいへ)(いらか)西陽(にしび)にかがやきてをり
観音の峠を西に(くだ)りつついそぎて四里(よんり)の道をくだれり
桧山町(ひのきやままち)にしつけばずつぽりと黄昏(たそがれ)(まく)()りきたりけり
予言の的中
桧山(ひのきやま)樽屋(たるや)旅館に両人は()りて一夜(いちや)の夢をむすべり
神界のはなしに宿の()()けてにはかに強き夕立の雨
覆盆(ふくぼん)の激しき夕立も明日(みやうにち)の午前九時には()るるとわれいふ
四方(しかた)氏は不思議なことを宣らすかなと半信半疑の目をみはりをり
(あかつき)(とり)()()()()まして起き()でみれば土砂ぶりの雨
この雨が()みますかなと四方(しかた)氏は(こころ)落ちゐず(われ)にとひ()
午前九時必ず強雨(がうう)()むべしと(いら)へど四方(しかた)の怪しげなる顔
(やうや)くに午前の九時を打つ音にさしもの強雨(がうう)はからりと()れたり
天眼通
両人は旅支度(たびじたく)して桧山(ひのきやま)樽屋(たるや)旅館を立ち()でにけり
先生の言葉のごとく一分(いつぷん)もたがはずはれしと(いぶか)る平蔵
桧山(ひのきやま)あとに保野田(ほのだ)や三の宮やま(ざと)すぎて急坂(きふはん)にかかる
両人は榎木峠(えのきたうげ)の頂上にひと()づ足のつかれやすむる
榎木峠(えのきたうげ)芝生の上に腰おろし四方(しかた)の家の(さま)をかたりぬ
四方(しかた)氏は(おほい)におどろき先生は生神様かと合掌拝跪(はいき)
四方(しかた)氏に神霊注射をわれなせば直ちに(ひら)けし天眼通(てんがんつう)(めう)
四方(しかた)氏は天眼通(てんがんつう)覚得(かくとく)し意気揚揚(やうやう)と聖地に(むか)
榎木峠(えのきたうげ)くだればつぎは(おほかみ)の出ると人いふ枯木坂(かれきざか)なり
枯木坂(かれきざか)(たうげ)に立ちて夏の風こころゆくまで()みてやすらふ
わが家の(さま)如何(いか)にと(たづ)ぬれば四方(しかた)は天眼通にて明答(めいたふ)
天眼通命中(めいちう)せりとわれ言へば四方(しかた)はよろこび勇み出したり
これなればもう大丈夫と四方(しかた)氏は勇み案内(あない)とわが先に立つ
大原(おほはら)の宮のかたへの(あたら)()(やす)らひ中食(ちうじき)したためにけり
台頭(だいとう)山里(やまざと)越えて須知山(すちやま)の峠の茶屋に息をやすめし
両人はみちみち神徳(しんとく)話しつつ妙見堂(めうけんだう)の茶屋に()りたり
妙見堂(めうけんだう)の坊主は二人に茶を()みて教祖直子(なほこ)(うはさ)(はじ)むる
出口直子は狂乱婆婆(ばば)よ迷信をしては駄目よと坊主はとどむる
(たこ)坊主何をいふかと四方(しかた)氏は憤慨しつつ坊主に毒つく
四方(しかた)氏の権幕高きに恐れけむ妙見坊主は(もく)したりけり
和知の清流
須知山(すちやま)の妙見茶屋をあとにして(くだ)ればいよいよ並松(なみまつ)(けい)
並松(なみまつ)を流るる和知(わち)清川(きよがは)のこのあたりをば小雲川(こくもがは)といふ
並松(なみまつ)老松(らうしよう)こずゑを川水(かはみづ)にうつしてすがし川風(かはかぜ)そよぐ
(うを)を釣る太公望(たいこうばう)のあちこちとたたずむ夏の(ながめ)よろしも
蜿蜒(えんえん)と虹のごとくにかかりたる大長橋(おほながばし)は綾部大橋
味方(みかた)富士小雲(こくも)の川の水底(みなそこ)にかげをおとして(すが)しき真昼
(むか)ふ岸にこんもり立てる森林は笠原(かさはら)神社の境内なりとふ
(たに)せまき急坂(きふさか)道をくだり()しわが目にひろき綾部平原
老松(らうしよう)の天を封じてそそり立つ水無月(みなつき)神社の(かむ)さびたるも
○余白に
山の()(むらが)黒雲(くろくも)吹き払ひ地上をてらす月読(つきよみ)の神
雨風(あめかぜ)にうちくだかれて小山田(をやまだ)案山子(かがし)淋しく世のさまみてをり
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