──三十二歳の頃
<空行>
現世に生れて三十二年目の春を綾部の霊地に迎へり
並松の梢に映ゆる新年の朝日に匂ふ雪の清しも
産土の宮の詣での帰り路を並松のべに朝日拝む
並みたてる松の梢に積む雪は朝日にとけて小雲川に落つ
さすがにも初春なれや何鹿の山雪ながらかすみほのめく
新年の春は来ぬれど大本の役員の面は冬の色あり
自己愛に魂をぬかれし役員のこの新年の間抜けたる面
今年はいよいよ立替立直し実現すると囀る百舌鳥
四王山尾上の松の雪とけて天津空より春は来向ふ
弥仙山尾根はほのぼのかすみつつ両丹平野に春は来れり
ちよろちよろと筧のとくる音のして綾の聖地は春めきにけり
天つ日の光さやけし新年のあしたをたてば雄心のわく
新春の朝をすがしく小雲川光みちつつ百千鳥なく
新春の祈り
わが植ゑし庭の稚子松雪つみて枝たるる朝を誓約せりけり
この松の栄えとともにわが道のいや茂らへと神に祈れり
庭松の栄ゆるなべに大本は世に著かれと祈りし新春
つぎつぎに消えてあとなき春の日の雪にも似たるわれなりにけり
惟神道をのべゆくうしろより醜の曲人くひ破りつつ
春の野に降る雪なれやわが宣れる道にさやれる曲多くして