■昭和九年■
●七月六日
出口聖師より横浜の関東別院に於て昭和神聖会創立に関する決意を内示され、主義、綱領、会則等の起草に着手。大国以都雄、深町霊陽、国分義一、内海健郎、岡本霊祥、速志英春の諸氏関東別院に伺ひ創立準備委員会開催手配の命を受く。創立事務所を東京市京橋区銀座六丁目交詢社ビル五階五号室に置く。
●七月八日
東京市日本橋区『常盤』に於て神聖会結成につき左の諸氏参会。
出口聖師、出口宇知麿、大国以都雄、深町霊陽、御田村竜吉、米倉嘉兵衛、米倉範治、河津雄、富沢効、内海健郎、岡本霊祥、志賀和多利、上倉三之助、広瀬義邦、山中常資、楠田敏郎、筧清澄、田口清吉、神守、東島威之吉、岡田茂吉、木村瑞枝、植芝守高、土井大靖、細田瑞穂、高川宅次、萩原敏明、市毛五郎、森良仁、伊東周治、国分義一、速志英春の諸氏(卅三名)。
大国氏の経過報告ありて後出口聖師より挨拶あり、声明、主義、綱領起草審議委員左記の通り指名さる。
出口宇知麿、御田村竜吉、米倉嘉兵衛、東島威之吉、富沢効、土井大靖、河津雄、江口宏、大国以都雄の諸氏。次で出口聖師より宇知麿氏に代理を命ぜられ左の如く改めて準催委員を指名され其他の参会者を悉く準備員と定めらる。
準備委員長御田村竜吉、副委員長米倉嘉兵衛、専任委員大国以都雄、委員河津雄、深町霊陽、国分義一、内海健郎、富沢効
出口聖師一旦関東別院に立ち寄られ即夜御出発亀岡に帰らる。
●七月九日
神聖会事務所に於て創立準備委員金を開催、参集者、出口宇知麿、御田村竜吉、米倉嘉兵衛、大国以都雄、河津雄、富沢効、深町霊陽、内海健郎、岡本霊祥、国分義一の諸氏。
座長出口宇知麿氏にて協議事項左の如し
一、当分思想団体として進むこと
一、賛同者勧誘のこと其他
発会式準備の手配
常詰係員左の通り決す
会計萩原敏明、出版岡本霊祥、庶務丹羽野直久、外事速志英春.
●七月十日
準備につき協議。声明、主義、綱領等印刷物出来す。
●七月十一日
準備委員会開催、次で準備員一勢に活動を開始す。
●七月十二日
発会式に対する諸準備の手配を進む。
河津氏箱根に内田良平氏を訪問。
●七月十三日
準備委員会開催。
一、発会式は七月二十二日(日曜日)午前十時より挙行のこと
一、祝電を全国より集めること
一、発会式には東京、埼玉、神奈川、茨城、栃木、群馬、福島、長野、山梨、静岡の諸府県より会員を参列せしむること
一、左の十ケ所に地方本部設置の準備をなすこと。静岡、名古屋、京都、大阪、岡山、鳥取、熊本、松山、金沢、仙台、以上。
一、右地方より左の代表者を発会式に招集すること。
(静岡)田中万太郎、根上信(名古屋)桜井信太郎、高柳正一
(京都)竹山祥三朗、中村良春(大阪)古市宣三、猪原良愛、篠原国彦(岡山)森国幹造、藤原義雄、木下愛隣(鳥取)稲村寿一郎、石丸順太郎(熊本)久富三六、山県猛彦(松山)木村次之助、村瀬武男(金沢)嵯峨六合美、土井三郎(仙台)村松久義、大槻貞一郎の諸氏以上。
一、発会式当日の招待範囲
一、発会式次第
一、其の他
●七月十四日
出口聖師上京速志宅に入る。準備委員会召集左の諸事項決定。
一、思想団体として進出決定
一、発会直後の地方準備工作
一、入会金壱円とす
一、開会式は廿二日とす
一、大臣其他の祝辞を受くること
一、発会式に対する対外工作
一、会章の制定
一、発開式参列者は男女を問はざること、地方発会式又同じ
一、其の他
●七月十五日
発会式準備に忙殺。
●七月十六日
発会式会場は九段下軍人会館に決定。
栗原白嶺氏上京、運動に着手、発会式に関して大国氏警視庁及び憲兵隊へ出向、新聞社、思想団体へ挨拶状を発送す。
●七月十七日
発会式当日の接待係を定む。京橋築地警察署高等係部長長池耕平氏来訪、更に警視総監官房高等課早阪善六氏来訪発会式挙行に関して新聞関係者会合の結果東京放送局編輯ニユースとして放送せしむること市内全部の新聞紙上に記事発表のこと。
●七月十八日
黒竜会葛生能久氏来訪、発会式の司会者は大国以都雄氏に決定、補助国分、高川両氏。
●七月十九日
発会式当日は賛同者、一般会員には弁当を呈すること。地方代表には旅舎を用意すること等決定、松岡洋右氏代表と宇知麿、大国両氏築地にて会見。
●七月廿日
準備委員会開催、準備につき種々協議、国分氏愛国団体へ挨拶の為め歴訪。
●七月廿一日
地方代表、団体参会者等続々着京、出口聖師午後六時頃関東別院より出京速志邸に入る、発会式準備既に全く成る。
●七月廿二日
記念すべき昭和神聖会創立発会の当日である、発会式前軍人会館の一室に於て約一時間半に亘り地方代表者会議を開催、早朝より参会者続々軍人会館に参集、やがて定刻に至れば満場立錐の余地なし、参会定員を遙に超え三千名。
午前十時開会
発会式次第左の通り
一、国歌合唱
一、宮城遥拝
一、開会の辞(司会者大国以都雄氏)
一、主義、綱領朗読(進行係広瀬義邦氏)
一、宣言発表(出口宇知麿氏)
一、出口統管挨拶
一、内務大臣、頭山満翁、安藤紀三郎中将外九名士祝辞講演及祝辞朗読
一、天皇陛下万歳三唱(等々力中将発唱)昭和神聖会万歳三唱(以上)
一、閉会
引続き祝賀の饗宴ありて散会、後統管引率の下に主なる委員及地方代表は明治神官に参拝して奏上並に祈願をなす。
更に統管に随ひ築地常磐に集会、統管に祝賀の意を表し、統管より改めて左の如く総本部委員を定めらる。
統管代理出口宇知麿、総本部委員御田村竜吉、米倉嘉兵衛、富沢効、河津雄、内海健郎、萩原敏明、岡本霊祥、国分義一、深町霊陽、大国以都雄(従来の事務係員は其まゝ)
●七月廿三日
地方本部結成の準備に着手。発会式に関しての礼状各名士に発送す。
宇知麿、大国両氏各方面へ挨拶に廻る。石塚氏来訪、航空事業に関する相談あり。
●七月廿四日
関東地方本部設立につき会合あり。
●七月廿五日
来訪者、憲兵司令部岩川清士、大正赤心団青年部長内藤吉蔵、日本精神協会中島菊光、高橋雄治(大日本皇道大要著者)下村仏次郎の諸氏、統管関東別院に滞在中。
●七月廿七日
航空問題にて国分氏鉄道協会を訪問、上倉氏、石田氏と協議す。
●七月廿九日
午後一時より協議会開催、各部の所管事項其の他につき協議す、総本部常務委員左の如く決定。
常務委員御田村竜吉、米倉嘉兵衛、大国以都雄、河津雄、国分義一。
●七月卅日
常務委員会及び委員会開催、各部の事務分掌其の他につき協議係員を新たに決定す。帝国新聞社よりの照会により海軍々縮条約即時廃棄に対し本会の態度を明示す。
●七月卅一日
国防部の関係者を召集し、上倉氏より国策研究会提示の航空事業に関する経過を聞く。
宇知麿氏関東別院に統管を訪ふ。
総本部を横浜市滝ノ上に置くことに決定、神聖功労章作成の内命あり。
指令
指令第一号(各地方本部宛)
昭和九年十一月三日附
一、神聖運動大遊説の件
イ、神聖運動を全国に徹底せしめ、併せて本会支部結成、入会並に賛同勧誘の運動を一層促進せしむるため全国各市町村に於て講演座談会等を開催すること
ロ、遊説に就きては「統管随筆」「皇道維新と経綸」「神聖十一月号」等を指導の基本とす
ハ、講師は地方本部に於て適宜之を嘱託する事
ニ、右遊説に要する経費は総て地方の負担とす
ホ、特に重要なる地方には総本部より講師出張することあるべし
此場合に於ける出張旅費は総本部之を負担し其他の経費は地方の負担とす
二、愛善陸稲栽培奨励の件
農村更生の一方法として昭和神聖会の名により愛善陸稲栽培の奨励をなすこと
三、「神聖」及「人類愛善新聞」大拡張の件
神聖運動躍進のため、重要なる使命を有する「神聖」及「人類愛善新聞」の倍増大拡張に邁進すること
四、皇道宣揚展覧会開催の件
皇道宣揚展覧会を全国各地に於て開催すること
右諸運動は昭和青年会、昭和坤生会の主会及聯合金と連絡の上協力活動をなすこと
以上
通達
神通第一号より神通第六号まで
省略
神通第七号
昭和九年十一月三十日附
一、入会申込書及賛同書に関する件
会員及賛同者の獲得は各支部毎に発会式後六ケ月を以て一期間とするも入会申込書及賛同書の取扱ひに就きては左記の通り被致度侯
イ、各支部に於ては一ケ月毎に入会申込書及賛同書を地方本部に送達すると同時に右入会申込者及賛同者名簿を作成し之を支部に保管すること
ロ、地方本部は支部より送達されたる入会申込書及賛同書を一ケ月毎に取纏め之を統管部及総本部に報告すること(但し報告用紙は総本部に申込むこと)
以上
神通第八号
昭和九年十一月二十五日
右記項通達書につき夫々支部並に関係者に至急伝達相成候也
一、発会式に関する注意の件
イ、発会式に於ける宣言朗読者、緊急動議提案者及進行係は統管随行者に於て担任す、司会者及其他は地方委員に於て担任すること
ロ、発会式に際して使用する菊花は単弁のものは之を遠慮し凡て多弁の盛り上りたるものとすること
ハ、発会式並に講演会に於て外部より臨席さるる来賓及講師其他参会者等に対しては充分の誠意と礼節を尽し外部の心証を傷けざる様万事に注意され度し
二、統管部警備の件
統管を迎へたる場合の統管部警備に就きては随行者(大国氏)の指揮を受くること
三、其他
地方本部より統管部に送達すべき入会申込書、賛同書並に入会者、賛同者数の報告は左記宛のこと
京都府亀岡町天恩郷
昭和神聖会統管部事務所
以上
神通第九号
昭和九年十一月二十七日附
十一月十三日付指令(第一号)に基き左記方法に依り全国各市区郡毎に一支部(総計七百四十八支部)設置並に会員百万、賛同者壱千万獲得の二大目標の下に之が実現達成を期することとす、依て貴管下各支部並に会員全般に之を周知せしめ、之が実現に最善の努力するやう手配相成度侯
支部設置の件
支部は全国各市区郡毎に一支部設置を目標とし、左の三期に分ちてその実現を期するものとす
第一期前期 昭和十年二月四日(節分)まで皇道大本分所支部ニケ所以上ある全国府県の各市区郡毎に一支部を設置す(支部数二百七十五)
第一期後期 昭和十年四月四日(大祭)まで皇道大本分所支部一ケ所以上ある全国各市区郡毎に一支部を設置す、台湾朝鮮を除き北海地方本部は皇道大本各聯合会を以て一区域と見倣す(支部数五百四十五)
第二期 昭和十年七月二十二日(創立一周年記念日)まで全国各市区郡毎に一支部を設置(支部数七百四十八)台湾、朝鮮を除く
会員、賛同者勧誘の件
会員、賛同者を極力勧誘に努むること地方本部別要望数左の如し
イ、第一期会員五十万、賛同者五百万、昭和十年四月四日まで
京都 六七、〇〇〇
大阪 六三、〇〇〇
紀州 一〇、〇〇〇
岡山 一七、〇〇〇
広島 一二、〇〇〇
島根 二五、〇〇〇
鳥取 一五、〇〇〇
名古屋 一六、〇〇〇
静岡 二〇、〇〇〇
甲信 五、〇〇〇
新潟 五、〇〇〇
北陸 一八、〇〇〇
東京 九五、〇〇〇
東北 二〇、〇〇〇
山形 一〇、〇〇〇
奥羽 四、〇〇〇
四国 一〇、〇〇〇
北九州 一六、〇〇〇
九州 二三、〇〇〇
北海 二〇、〇〇〇
台湾 一五、〇〇〇
朝鮮 七、〇〇〇
満洲 七、〇〇〇
計 五〇〇、〇〇〇
賛同者の数は会員の十倍とす
ロ、第二期会員百万、賛同者一千万、昭和十年七月二十二日まで
会員、賛同者の数は第一期の二倍なり
全国大遊説の件
前記二大目標実現の為左記方法に依り全国大遊説を実施す
一、時期
第一期 自昭和九年十一月十三日至同十年四月四日
前期 二月四日(節分)まで
後期 四月四日(大祭)まで
昭和十年七月二十二日(創立一周年記念日)まで
二、遊説員
種別
◎遊説員
イ、総本部遊説員
ロ、地方本部遊説員
◎嘱託講師
イ、総本部関係嘱託講師
ロ、地方本部嘱託講師
員数 三百三十名以上
任命及嘱託
総本部に於て適当と認むる者を遊説員に任命し又は講師に嘱託す
推薦
地方本部は遊説員(総本部、地方本部共)又は嘱託講師(総本部、地方本部)としての適任者を随時総本部に推薦すること青年男女弁士の養成は専ら昭和青年会及昭和坤生会之に当る、地方本部は同会十一月十八日附指令第十一号参照の上、主会、聯合会と連絡し多数優秀弁士の養成に努むること
三、講師
遊説員及嘱託講師は地方へ派遣の場合一様に講師と称す
四、総本部遊説員氏名(十一月二十五日現在)
山口利隆、栗原白嶺、小山弥、国分義一、細田東洋男、菅谷英世、江口宏、西村光月、広瀬義邦、神本泰昭、富士津日水勇、葦原万象、成瀬言彦、岩田久太郎、西村雛子、福田弘二、村松山寿、東尾吉雄、出口三千麿、井上留五郎、高木鉄男、大国以都雄、深町霊陽、河津雄、桜井八洲雄、高橋常祥、中山勇次郎、上野春明、吉原亨、太田太三郎、松浦宏明、高橋長八、瓜生潤吉、平松福三郎、奥村芳夫、伊藤永春、波多野義之、松平富士、出水湧三、土井靖都、奥林光明、細田正治、大川清光(順序不同)
五、遊説区分分担講師
全国を当分五遊説区に区分し
第一期(前期)に於て左記の通り総本部より積極的遊説を実施す
第一区 奥羽、東北、山形、新潟
準備員 細田正治
講師 成瀬言彦
同 菅谷英世
同 国分義一
第二区 東京、甲信、静岡、名古屋
準備員 山口明徳
講師 葦原万象、細田東洋男、土井靖都、鈴木蟻峰
第三区 北陸、京都、鳥取、島根
準備員 松岡晴祥
同補 石渡利雄
講師 栗原白嶺、山口利隆、神本泰昭、富士津日水勇、西村雛子、松平富士、福田弘二
第四区 大阪、紀州、岡山、広島
準備員 松岡晴祥
同補 石渡利雄
講師 西村光月、小山弥、細田正治
嘱託 諏訪部匡民
第五区 四区、北九州、九州
講師 鈴木蟻蜂
六、講師増派
前項の外地方の積極的要求又は必要に応じ順次講師を増派す
七、遊説報告の件
管内に於て講演会、座談会等開催の場合は漏れなく地方本部よりその状況を総本部に報告すること
以上
神通第十号
昭和九年十二月一日
左の事項通達候につき各支部並に関係者に伝達相成度候也
一、発会式終了後講演会に先き立ちて約五分間「昭和青年愛国歌」を合唱すること、但し此場合壇上正面には昭和青年会員十名(人員不足の時は坤生会員を以て補ふ)整列合唱のこと
註 右につき予め充分愛国歌の練習をなしおくこと
一、発会式及講演会に際して子供を連れたる入場者ありたる時、特に喧騒なる場合は坤生会員に於て静かに場外に誘導され度こと、その為に坤生会員四名程の係を配置すること
一、統管及随行者の宿所は別院、分院或は信徒邸にて適当なる所あれば特に旅館等を必要とせざること
一、発会式に於ける統管一行の座談会は一切中止と決定されたること以上神通第十二号発会式に対する名士の祝辞は頭山満先生、農林大臣山崎達之輔閣下、衆議員議長秋田清閣下及び当該府県知事、原地市町村長のものを朗読するに止め他は其芳名を披露すること(但し統管臨席の場合に限る)
以上
通報
十二月十四日
時間を正確に
発会式挙行の場合は発表されたる時間には来会者の多寡に拘はらず開会する様時間を厳守し尚ポスタービラ等には特に『時間厳守』の旨明記すること
一 発会式次第
一、国歌合唱
二、開会の辞
三、主義綱領朗読
四、宣言朗読
五、統管挨拶
六、祝辞
七、祝電
八、万歳三唱
九、閉会の辞
十二月十四日
一、支部設立並に発会式に関する件
支部設置につきては予め支部設置申請書を地方本部経由提出し総本部の承認を得たる後発会式を挙行するものなること
一、職員明細書に関する件
職員明細書中職名欄には必ず左記の如く記入すること(若し記入なきものは地方本部に於て記入内申相成度こと)
一、支部長(原則)一名
種々の事情にて支部長の任命を延期したき場合は事務取扱主任
二、次長二名
前第一により事務取扱主任の場合は事務取扱主任補
三、係員若干名
四、相談役(随意)
●八月一日
統管は引続き横浜関東別院に滞在、憲兵隊及警察方面に宛て、事務分掌本項並に事務取扱者名届出をなす、東京地方本部設立準備員二十余名亜細亜本部に会合、統管代理宇知麿氏より挨拶ありたる後、東京地方本部準備委員左の通り決定。
米倉範治、東島威之吉、木村瑞枝、岡田茂吉、田口清吉、高川宅次、上倉三之助、山中常資、楠田敏郎、市毛五郎以上十氏(委員長東島威之吉氏、委員次長田口清吉氏、決定)
神聖会結成の功労者に対し統管より徽章を下附さるる意向あり其の手配に着手。
●八月二日
地方本部の名称を左の如く改む
関東を東京、東海第一を東海、東海第二を名古屋、近畿第一を京都、近畿第二を大阪、九州本部設立に関し広瀬氏九州出張に決定。
●八月三日
皇道パンフレット第三輯(華府条約即時廃棄問題)納本出来。全国に十万部配布に決定、国策研究会会員諸氏と会見、当方は宇知麿氏、米倉嘉兵衛氏、来島威之吉氏、上倉三之助氏、河津雄氏、国分義一氏
●八月四日
上倉氏航空国策研究会より航空事業に関する大体の経過を聴取する。
●八月五日
宇知麿氏、河津雄氏、箱根強羅に内田良平氏を訪ふ。
●八月七日
国分義一氏湯ケ島に統管をお訪ねす、有功章第二号三〇〇、第二号一、五〇〇、第三号三五〇〇調製の事に決定。
●八月八日
総本部々員の会合あり、各部の実行問題につき打合はせしたる後華府条約廃棄に関する運動につき協議す、次で総本部委員会を開き内規案に関し協議す、紫雲郷別院にて関根海軍大佐の海軍問題に関する講演あり。
●八月九日
九月十八日開催の講演会場三ケ所に交渉、京都地方本部発会式挙行に対し左の通り祝電す。
「明治維新の揺籃地たる貴本部の発会を祝す、光輝ある歴史をして益々燦然たらしめよ」
下位春吉氏亜細亜本部に宇知麿氏を訪問。
昭和神聖会内規(省略)各関係方面に送達す。
●八月十二日
統管亀岡より京都へ、午前九時より京都地方本部発会式挙行さる。統管臨席、場所京都市岡崎公会堂、講師海軍少将南郷次郎閣下、小島高踏氏、参会者二千名、祝宴後代表者数十名桃山御陵参拝。
●八月十三日
安藤紀三郎[#安藤紀三郎]閣下、満川亀太郎[#満川亀太郎]氏、下位春吉氏九月十八日講演会出演承諾あり。
●八月十四日
関根郡平氏来訪、海軍大臣の声明につき注意を喚起さる。
●八月十五日
東京毎夕新聞に華府条約問題に関する陰謀の記事を掲載、同紙を各愛国団体に送附す。
●八月十六日
九月十八日の講演会段取り略決定す。
●八月十八日
国分義一氏末次大将を訪ふ。
●八月十九日
出口統管亀岡より大阪に出向さる、大阪地方本部発会式午後一時より中の島公会堂に於て挙行、出口統管臨席、講師関根海軍大佐、下位春吉氏、参会者三千五百、賛同者五千、祝宴後出口統管は随員十数名を伴ひ生玉神社に参拝さる。
●八月二十日
高川、国分両氏憲兵司令部を訪問。
●八月二十一日
綾部に於て出口統管の生誕祭挙行、昭青、坤生総会に於て昭和神聖会に関する指令の発表あり。
●八月二十二日
皇道パンフレット第三輯壱万部増刷す、午前九時より綾部町波多野記念館に於て何鹿支部発会式挙行、出口統管臨席講師舞鶴要港部参謀海軍中佐森徳治氏。
●八月二十三日
毎夕掲載海軍問題の記事にて発禁となる。
●八月二十四日
各地方本部発会式の日割大体左の通り内定す。
九月二日 金沢市(北陸地方本部) 九月六日 名古屋市(名古屋地方本部) 九月十六日 松山市(四国地方本部) 九月二十三日 熊本市(九州地方本部) 九月卅日 岡山市(山陽地方本部) 十月七日 鳥取市(山陰地方本部) 十月十四日 静岡市(東海地方本部)若くは二十一日 仙台(東北地方本部)
●八月二十五日
金沢北国夕刊新聞社土井三郎氏来訪、速志氏と共に海軍省に関根氏を訪ふ、下位春吉氏今後引続き発会式講演会に講師として出馬を承諾さる。
●八月二十六日
華府海軍々備制限条約廃棄即時断行につき各方面に対し賛否を問ふべく左の如き挨拶状を発送す。
謹啓
邦家のため日夜御尽瘁被成下候段奉万謝候陳者既に御承知の通り華府海軍々備制限条約の廃棄通告問題は皇国の前途に関し由々敷大事と存ぜられ候。
本会に於ては深く本問題に付究明の結果遂に黙視するに忍びざるものあるを認め別紙(別紙省略)の通り同条約廃棄通告の即時断行を決議致候次第に御座候。
就ては国論喚起の基本として国民指導の要路に列せらるゝ貴台の御賛否を御示し願上度一々拝趨仕るべき筈の処乍勝手同封葉書(葉書文面省略)へ御記入御回答被成下候はゞ幸甚の至りに御座候。
右得貴意候
敬具
昭和九年八月
昭和神聖会
●八月二十七日
昭和神聖会に対する講師派遣につき海軍省より左の如く示達あり。
一、希望講師の指名をなさぬこと
一、講演場所ニケ所以上たること
●八月二十八日
佐藤愛善氏来訪、東北地方本部発会式につき相談あり、三重県の田中平助氏来訪神聖運動につきて懇談す、宇知麿氏午後六時亀岡より着京。
●八月二十九日
大国以都雄氏来着。午後七時より亜細亜本部にて会合、本会総本部職員の解新任発表あり。新職員左の如し
統管代理 出口宇知暦
神祇部 富沢効
政治経済部 河津雄、菅谷英世
外交部 江口宏、速志英春
思想教育部 広瀬義邦、高川宅次
国防部 神本泰昭、東島威之吉
遊説部 葦原万象、江口宏、岡本霊祥、楠田敏郎、細田正治
統制部 大国以都雄、広瀬義邦、国分義一、細田東洋男、岡部善教、丹羽野直久、奥谷宮照
経理部 萩原敏明、丹羽野直久
特務 御田村竜吉、中野武英、栗原白嶺、森良仁、植芝守高、深町霊陽、内海健郎
●八月三十日
今後普通パンフレットの発行を見合はせパンフレット式雑誌を発行することに決定。生産党より地方発会式に祝辞朗読希望の申出あり。
●八月卅一日
統制部、遊説部の相談会あり。昭青本部より細田東洋男、岡部善教、葦原万象、奥谷宮照氏新たに着任、昭和青年会本部亀岡より東京に移転す(四谷区愛住町七六)。各部門の研究事項の発表あり、統管の訓示宇知麿氏より伝達あり、先日発送せる華府海軍々備制限条約廃棄即時断行につき賛否回答第一着十六通内賛一〇否二不明四、大国以都雄氏今夕金沢に向け出発。
●九月一日
宇知麿氏速志氏を伴ひ海軍省軍事普及部を訪問、下位春吉氏、関根大佐来訪、豊橋市の高橋大成氏来訪、同市開催講演会の件につき打ち合せをなす、本日より彙報を出すこととなる、上倉氏来訪航空国策問題に関し神聖会の態度に就き照会あり。
●九月二日
金沢市に於ける北陸本部発会式盛況にて入場者三千、尚会場に溢るゝもの多数、出口統管臨席、講師関根海軍大佐、下位春吉氏、津久井竜雄氏。
●九月三日
華府条約即時廃棄に関して委員各大臣を訪問、その報告あり、総理(秘書官に会見)内務(不在)外務(情報部第三課長会見)農林(秘書官会見)陸軍(秘書官会見)大蔵(秘書官会見)文部(不在)鉄道(不在)
●九月五日
神聖会彙報第一号出来発送、東島氏、河津氏華府条約廃棄即時断行の件に就き第二回目の各大臣歴訪をなし、其結果報告あり、内務(秘書官会見)文部(秘書官会見)鉄道(秘書官会見)商工(会見不能)
●九月六日
愛媛県下旱害に閲し、状況報告書来る、仍て直ちに知事、県会議長、農会長に宛左の電信を発す。
電文「貴県下旱害模様本会員より委細報告あり、同情に堪えず、与論喚起に努力する、昭和神聖会」
右に対し直ちに感謝の返電あり、総本部に於て左の事項を協議す。
出席者 宇知麿氏、速志氏、江口氏、岡本氏、楠田氏、国分氏、細田(東)氏
一、雑誌「神聖」発刊の件
二、今後の運動に関する件
三、新聞情報に関する件
四、各新聞社に対し軍縮問題につき尚一層の高調を促し同時に愛国団体に対し右に関する挨拶状を発する件
五、其他
●九月八日
下位春吉氏、深町霊陽氏、菅谷英世氏名古屋に向け今夕出発、「神聖」発行届の手続きをなす。
●九月九日
名古屋市公会堂に於て午後一時より名古屋本部発会式挙行。出口統管臨席、参会者暴風雨中にも拘らず二千五百名を越ゆ、講師酒井海軍少佐、下位春吉氏。
大聖寺町大火の報あり、同町長宛見舞電報を発す。
●九月十日
豊橋市公会堂に於て昭和神聖会、参陽新報社合同主催にて「軍縮会議を中心とする非常時局講演会」を開催、講師下位春吉氏、菅谷英世氏、入場者二千余、海軍問題懇話会主催の本所公会堂に於ける華府条約破棄緊急大会に左の激励電報を打つ。
電文「皇国に科〔課〕せられた軍縮の枷を棄破すべく諸氏の奮闘を祈る」
●九月十l日
愛媛県旱害に対する慰問激励の電報に対し同県会議長同副議長総本部に挨拶のため来訪。宇知麿統管代理、統制部、遊説部、経理部員出席事務担任打合せ協議あり。
統制部庶務係 国分義一、広瀬義邦、奥谷宮照
地方係 萩原敏明、細田東洋男、奥谷宮照
外事係 広瀬義邦
遊説部 葦原万象、細田東洋男
経理部 萩原敏明、丹羽野直久
宇知麿統管代理今夕東京発帰亀さる。
●九月十二日
九月十八日明治神宮及宮城代表参拝の件決定、警視総監官房高等係員来訪、倫敦予備会議全権山本五十六少将歓迎宴(軍人会館)に広瀬、菅谷英世氏出席、総本部に於て農村問題に対する協議会あり。
●九月十三日
京都府亀岡町公会堂に於て午後一時より南桑支部発会式挙行、出口統管臨席、講師下位春吉氏、出口統管下位氏と共に今夕亀岡出発四国松山へ、随員大国氏、深町氏。
●九月十四日
京都本部主催皇道宣揚展覧会に関し広瀬氏陸軍省に出頭。
●九月十五日
松山市劇場にて四国本部発会式午後一時より挙行、出口統管臨席、講師下位春吉氏、小山憲兵中佐、深町霊陽氏、第二次講演会開催好成績なり、賛同者四万獲得。
●九月十六日
総本部に於て農村問題につき各自意見を披瀝して懇談、統管代理宇知麿氏亀岡より東上宇知麿氏より統管の御意向伝達あり。
●九月十七日
午前十時明治神宮表参道神宮橋前東側に建設せられる日韓合邦記念塔敷地々鎮祭あり、右発起人代表は、頭山満翁、杉山茂丸氏、内田良平氏、神聖会より宇知麿氏参列、尚祭員を派遣、斎主河津雄氏、安藤紀三郎中将病気の為め九月十八日の講演会には出場不能の旨通知あり、全国新聞社並に愛国団体に対し、軍縮問題に関する本会の態度を表明したる書面を発送す、雑誌「神聖」創刊号納本出来、情報機関に関する協議をなす。
●九月十八日
靖国神社慰霊祭に本会員正式参拝をなし同時に花輪を贈呈。明治神宮及び宮城に昭和神聖会代表十八名雨中静粛に参拝。雨中を督励して宣伝飛行を決行、午後陛下の行幸の為め中止する、午後六時より国防時局大講演会左の通り開催す。
一、日本青年会館、講師武富海軍大佐、山口航空少佐、満川亀太郎教授、入場者一千名
二、大隈大講堂、講師喜多歩兵大佐、雪下海軍大佐、下位春吉氏、入場者二千余
三、本所公会堂、講師南郷海軍少将、岩畔歩兵少佐、吉田益三氏、深町霊陽氏、入場者約二千名
尚右講演会席上にて華府条約廃棄即時断行に対する左の如き名士の賛否回答を報告す。
伊藤仁太郎氏(賛)之を否むものはあるまじと存候、通告の時期に関しては、外相の意見も尊重すべきものと存候、廃棄とさへ決してをれば別に心配なし。
田中善立(賛)世界の覇王たるべき我帝国の面目維持の為。
柳沢保恵[#柳沢保恵](賛)理由を申す必要なしと考ふ(旅行の途次)。
黒井悌次郎[#黒井悌次郎](賛)国論一定、国民の決意を固くして国家の進展に邁進する必要上。
宮田光雄(賛)
大井渡元(賛)主として建国の使命遂行上の妨害たるに由る。
菅原伝(賛)海軍予備会議前に国民の決意を示すこと必要なり。
水野練太郎(賛)
真鍋儀十(賛)物平かならざれば即ち鳴る。
江藤源九郎(賛)世界平和人類幸福の第一歩として東洋平和確保の為廃棄の必要なること一時も早く全世界に知らしむる為。
安藤正純[#安藤正純](贊)徹底的軍縮を断行し軍備権平等確立を鉄則とする我国の立場当然の結果に属す。
小野寺章(賛)
小池四郎(賛)
中野寅吉(賛)早く廃棄通告をしなければ海軍々備制限の精神を条約当時と国情の変化を来してゐる今日も尚日本が懐いてゐるやうに誤認される。一日も早く国防は対等が正しいといふ主張を外に毅然と知らしむる要あり(小生の文章は拙劣につき御斧正願上候)。
亀井貫一郎(賛)
富谷錐太郎(賛)
三上英雄(賛)
志賀和多利(賛)今日は殆んど議論の余地なき所なり。
渡辺汀(賛)過般外国記者団に対し岡田首相の声明は実際的に廃棄通告と同等の印象を列国に与へたり、之海軍大将にして而も二回も海相の職にありたる首相の言なるを以てなり、以上の事実に鑑み徒らに英米に対し気がねをなすの愚を捨てて堂々と国論を統一し我進むべき所を知らしむるの賢なるや論なし。
水島彦一郎(賛)軍備平等権確立の為。
岸衛(賛)
三室戸敬光(賛)理由は今更述ぶる必要もなき事これ自体が大なる理由であります。
有馬良橘(不明)小生は枢密院顧問官たるの立場上賛否を明言し得ざることを遺憾に存候。
阪本釤之助(不明)天皇の御諮問に奉答する外意見を述べ難し。
吉松茂太郎(不明)重大問題の賛否を決するには老生の頭脳も環境も余りに貧弱なる故残念ながら御答へ申上兼候。
高橋是清(不明)
鈴木荘六(不明)小生の立場上賛否明言出来不申候。
小磯国昭(不明)御照会の趣私見なきに非ず候も小生目下の境遇上御回答致さざるを妥当と信じ失礼ながら差控へ候段不悪御諒察被下度候。
石黒忠悳(不明)老病々臥中に付総て御断申候。
大迫尚通(不明)目下病臥中に付御来意中間候儀不相叶候間御断中上候-家族-。
蟻須賀正(不明)欧洲在留中にて不在(留守居)。
有賀長文(不明)目下海外旅行中に付何とも御返事中上兼候間不悪御諒承願上候(留守居)。
青木亮貫(不明)戦争は刀に血塗らずして勝を得ることこそ妙諦なり、然れども其勝を得るに制限条約廃棄を要するなれば無論廃棄すべし。要は人類愛善の根本義に則りて処理すべきものなり。
立花種忠(不明)廃棄は当然なるも時期は当路に一任可然。
柴五郎(否)当局者の責任ある処置に任せ度候。
斯波貞吉(否)早く通告したからと言つて別に大した効能のあるわけでもありますまい。政府は年内に廃棄を通告するといつてゐますからそれで遅くないと思ひます、廃棄通告は聯盟脱退とは自ら違った意味があります。
●九月十九日
昨日の講演会に関し海軍省へ菅谷氏陸軍省へ広瀬氏夫々挨拶に行く。警視庁高等課員来訪。統管二十日筑紫別院、二十一日九州別院滞在の旨入電あり。
●九月二十日
雑誌「神聖」購読者勧誘につき各聯合会長に依頼状を出す、海軍々縮予備会議に日本代表として臨む山本五十六少将本日東京出発につき本会を代表して細田正治氏挨拶を述べ尚会員多数駅頭に見送り激励歓送す、室伏高信氏十八日読売新聞夕刊に軍部侮蔑の言をなせるとて有志会合、本会側としては広瀬、細田(正)両氏列席態度を協議す。
●九月廿一日
颱風襲来、当地風速二十二米突、関西地方に於ては颱風の被害特に甚大、死傷多数の模様との号外飛ぶ-比日統管は熊本に滞在-熊本の風害なし。
航海中の山本五十六少将(全権)に左の如く打電す。
電文「上に神明の加護と陛下の絶対なる御稜威あり、下国民に断乎たる決意あり、所期の目的達成の為最後まで御奮闘を期待す、一路平安を祈る昭和神聖会」
●九月廿二日
颱風被害地方知事及市長其他関係方面に見舞の電報を発す。彙報第二号出来発送す。
午後七時より総本部員昭青本部に集合井岡綸一郎氏の東北に於ける愛善陸稲栽培成績の視察報告を聞き、愛善陸稲奨励の実行方法等に関して協議す。
●九月廿三日
大阪本部に対しては書面を以て、又岡山県知事に対しては電報を以て颱風の見舞をなす。
●九月廿四日
秋季皇霊祭の日、九州地方本部発会式挙行、出口統管臨席、講師下位春吉氏、深町霊陽氏、参会者三千名、山陽本部発会式廿九日の処水害の為延期せる旨入電。
●九月廿五日
「神聖」創刊号発送の為多忙を極む。
●九月廿六日
千葉県検見川稲生甲子太郎氏千葉郡支部設立に関して来訪。竹本朝太郎氏横須賀支部設立に関して来訪、愛善陸稲奨励案につき協議大阪地方本部発会式模様並に講演大要を記載せる時事通信別冊到着。
●九月廿七日
出口統管より航空事業に関し訓電あり京都本部より今夕左の如き電信到着。
電文「大阪附近其他の風水害惨状甚し、大阪の、関東震災救済の熱意に対し今回東京の熱なきは今後国民的悪感情を残すものと見らるゝにつき復興に関して政府並に東京市民の奮起を促すべき手段を講ぜられ度し」
●九月廿八日
関西風水害慰問の熱意喚起につき本会としても適当の手段をとらんとせし折柄なれば、京都本部の入電により協議の上各新聞を通じ与論喚起につとむる外、東京府知事及び東京市長を訪問し、事情を伝へ意見を具陳せし処大いに好意を感謝され、且つ本日府市及び商工会議所聯合の会議を催し更に救済の為全力を尽す筈なり、尚此際関西方面の誤解を一掃せしむるやう貴会の御尽力を乞ふとの懇望あり、依って本会は一方其手段をもなすことゝす。
右の次第を京都本部に報告す。本日統管は長崎より海路にて神戸へ。
愛善陸稲並に海軍問題に関して再び懇談会をなす。
昭青本部に於て通信事務に関する打ち合せ会を開催す。
大亜細亜独立協会相談会あり。速志氏出席、統管に対し顧問依緕の希望あり。
海軍問題懇談会々合あり広瀬氏他二名出席、左の件につき協議。
一、室伏高信筆禍に関する件
二、吉田茂渡英(軍縮予備会議に外相代理として)防止に関する件
統管代理亀岡へ終列車にて出発。
●九月廿九日
大阪本部より大阪地方風水害に関し与論喚起方来信、直ちに京都同様の返信をなす。
統管九州より本日亀岡お着。
●九月三十日
「統管随筆」天声社より発行のことに決定。
通報
昭和九年十月廿五日
一、会則の改訂(真如の光前号所載)に伴ひ既に承認せし地方本部規約は内規として可成簡明に改訂の上更に改めて総本部の承認を求められたし
一、会員に種別(普通会員、特別会員、賛助会員等)を設くることは一時見合はせらるゝことゝなりたるにつき承知ありたし
一、地方本部名称正式の場合には「○○地方本部」と称するを原則とし略称の場合は「○○本部」と称す
一、以下略
昭和九年十一月十一日
一、地方本部及び支部職員に関する件
イ、地方本部及び支部に於て本部長、支部長任命なきまでは事務取扱主任を置き、之を地方本部及支部の代表者とす。
ロ、地方本部及支部の職員は地方本部長又地方本部事務取扱主任を総本部に推薦すること。
一、支部設置並に発会式に関する件
イ、支部設置に就きては予め支部設置申請書を地方本部経由提出し総本部の承認を得たる後発会式を挙行するものなること
ロ、発会式日取は本部を通じ必らず総本部と打ち合せたる後総本部の承認を得て決定すべきものなること
ハ、支部発会式には地方本部代表必らず出席のこと
二、発会式に於ける祝宴は今後これをなさゞること
一、入会及賛同勧誘に関する件
入会及賛同勧誘は支部毎に発会式後六ケ月を第一期とし、六ケ月以後を第二期とす、従つて各人の入会及賛同の年月日は必らず用紙に明記しおくこと
なるべく第一期間中に多くの入会者及賛同者を勧誘するやう極力激励すること。ある時期に到らば新入会中止を命ぜらるゝ模様なり
一、電略の件
総本部と地方本部間、及び地方本部相互間の便宜上電略を左の如く決定す
総本部(シン)
京都地方本部(キヨ)
大阪 同(サカ)
紀州 同(キヰ)
岡山 同(オカ)
広島 同(ヒロ)
島根 同(シマ)
鳥取 同(トリ)
名古屋 同(ナコ)
静岡 同(シツ)
東京 同(トウ)
甲信 同(コシ)
北陸 同(ホク)
新潟 同(ニホ)
山形 同(ヤマ)
奥羽 同(アオ)
東北 同(セン)
四国 同(四)
北九州 同(キ九)
九州 同(九)
台湾 同(タイ)
朝鮮 同(テフ)
満洲 同(マン)
北海 同(カイ)
一、以下省略
●十月一日
愛国恤兵財団助成金より大阪本部に対し風水害見舞として金一封を贈らる。
●十月二日
出口統管臨席の下に神戸支部発会式、県会議事堂に於て挙行、盛会、賛同者一万を超ゆ、入場者一千五百名。
大阪本部有志の名による「政府は全力を挙げて産業都大阪の復興を急げ云々」の長文意見書を掲載せる大正日々新聞を送附し来りたるに依り当局及其他へ送致す。
●十月三日
「統管随筆」新刊出来納本。
統管には爾後地方本部及県庁所在地又は重要都市の支部発会式以外は臨席なき旨通知あり。
●十月四日
亀岡に滞在中の統管代理今朝帰京午後七時より総本部に集合、統管より示されたる指導精神(統管随筆)につき統管代理より伝達ありたり。
●十月五日
出口統管臨席の下に兵庫県豊岡町に於ける城崎支部発会式挙行さる。
統管送迎に関する指令、昭青坤生両本部より発せらる。
統管代理海軍省に関根大佐を訪問。
●十月六日
黒竜会の葛生能久氏来訪、左の件につき相談あり。
一、華府条約の即時撤廃通知発送のこと
二、山本全権に対する激励のこと
三、近く国民大会開催の模様につき発起者として加盟のこと
統管より「陸軍パンフレットの趣旨に対し絶対支持すべき」旨来示あり、午後七時より総本部員集合、右パンフレットにつき研究す。
●十月七日
統管鳥取地方本部発会式に臨席、会場市公会堂、講師斑目海軍大佐、下位春吉氏及深町霊陽氏。
陸車パンフレット研究引続き総本部に於て開催。
●十月八日
神聖会彙報第三号出来夫々発送す。軍縮問題国民同志会に本会より統管代理、河津雄氏、御田村竜吉氏、広瀬義邦氏発企人として参加することゝなる。
●十月九日
統管臨席の下に米子市に於て伯西支部発会式挙行、会場電気館、入場者三千名、賛同者二万七千名、棟尾氏を招いて東北地方冷害状況を聴く。
●十月十日
統管臨席の下に京都府宮津町に於ける与謝支部発会式挙行、統管代理亀岡へ出発。
●十月十一日
統管臨席の下に京都府舞鶴町に於ける加佐郡支部発会式挙行。
長野県上田市発会につき竹内太郎氏来訪、雑誌「神聖」第三種郵便物認可さる。
●十月十二日
統管臨席の下に福知山町に於ける天田支部発会式挙行。
●十月十三日
統管亀岡に帰着さる、天照会の皇祖祭並産業祭に対して左の祝電を発す。
電文「皇祖の神意を恢弘し、産業国本確立の為、今日意義ある祭典を奉祝す。昭和神聖会」
皇道宣揚展覧会開催につき準備の為昭青国防部員上京、多忙。
●十月十四日
統管臨席の下に津支部発会式挙行、会場県社会事業会館、国粋学生聯盟より統管を迎へ座談会開催の希望申込あり、又国体擁護聯盟有志より統管に面会の機会を与へられ度き旨申込あり。
大阪本部発会式に際して関根大佐の「大国難に直面せる国民の覚悟」なる講演筆録を播州国防研究会本部より印刷配布の申込ありたり。
●十月十五日
雑誌「神聖」十一月号印刷出来納本。
●十月十大巳
統管送迎並に座談開催の場合に於ける心得に関し通達す。(前号所載につき省略)
●十月十七日
統管臨席の下に静岡地方本部発会式挙行、会場小学校講堂、入場千五百、講師横尾海軍少将、下位春吉氏、深町霊陽氏。
統管代理午前十時十分新橋駅着にて上京、在満機構問題に対する本会の声明並に決議を発表すべく統管より指令あり。(右問題につきては閣議決定したるにつき統管部と打ち合せの結果発表を中止す)
皇祖祭、産業祭、尊農会祭典につき本会代表参列す。
統管には午後八時五十四分静岡より横浜に帰着、直ちに関東別院に入らる。
●十月十八日
統管には夕方横浜より東京にお着、午後八時軍人会館に於ける「明るい家庭」の会合に臨席一場の講話をせらる。
十一月七日綾部に於て地方本部代表者会合開催につき関係者に通知す。
●十月十九日
統管には午後一時半より一ツ橋如水会館に於ける国粋学生聯盟座談会に臨席約一時間に亘る学生の質問に答へらる、尚統管退席後広瀬、国分両氏質疑応答懇談す。
赤坂公会堂に於て軍縮問題有志大金発起人会開催あり、本会より出口宇知麿氏、河津雄氏出席。
統管には午後十時半上野発常磐線廻り急行にて昭青、坤生其他本会員等約一千名の見送りを受けられ仙台に出発さる。支部発会式に於ける講師の費用は其支部負担の件通達す。総本部事務所を交詢社五階より四谷区愛住町七六に移転さるゝ事に決定。
●十月二十日
下位春吉氏東北本部発会式講演の為上野出発。
●十月廿一日
統管臨席の下に仙台市に於ける東北地方本部発会式挙行、会場公会堂、入場者二千名、岐阜県多治見発会式(土岐支部)に貴志弥次郎閣下、広瀬義邦氏講演、統管代理横浜へ出向さる、下位、関根、貴志、南郷、安藤、佐藤、小島、内田、頭山諸先生に対し夫々関係者挨拶の為訪問。
清洲国趙欣伯博士の懇親会神楽坂「末よし」にて開催、宇知麿氏、江口氏出席。
●十月廿二日
統管臨席の下に盛岡支部発会式挙行さる、吉田松蔭先生七十五年追悼会に玉串料を贈る。軍縮問題有志大会上野精養軒にて開催、本会員約五十名出席統管代理主唱者席に着す。
●十月廿三日
統管には午前六時五十分上野着、昭青、坤生其他の出迎を受けられ直ちに昭青本部に入らる。
午後一時より紫雲郷別院に於て在京信徒会員に対し統管より神聖運動につき力強き訓示あり。
本日付を以て統管より会則の変更(前号所載につき省略)副統管内田良平氏、出口宇麿氏新任、並に総本部職制変更の発表あり。
統管紫雲郷別院にお泊り別院への来訪者多し。
●十月廿四日
統管には午前八時東京出発一旦横浜関東別院にお立寄の上、午後一時廿分沼津へ出発さる。統管臨席の下に静岡県沼津支部発会式挙行さる、会場は商工会議所、入場者一千名、四国より木村次之助氏来訪。
●十月廿五日
統管臨席の下に京都府園部町に於ける船井支部発会式挙行さる。
●十月廿六日
出口副統管午後九時東京駅発亀岡へ。
●十月廿七日
統管臨席の下に島根地方本部発会式挙行さる、会場公会堂入場者二千五百、賛同者十一万、講演会大盛会にて二回開催さる、講師下位、深町両氏、豊橋支部発会式の為貴志弥次郎閣下、広瀬義邦氏出発。
総本部事務所を交詢ビルより四谷区愛住町七六(昭青本部同所)に移転す。
●十月廿八日
海軍省より普及部パンフレット「海軍々備の制限方式に就て」五部受領。
●十月廿九日
統管には島根より岡山へ向はる、下位春吉氏帰京。
●十月三十日
統管臨席の下に岡山地方本部発会式挙行され、会場公会堂、入場者二千、賛同者二万六千、講師岡原寛少将、深町霊陽氏、下位氏午後八時廿五分岡山へ出発す。
●十月三十一日
下位氏岡山公会堂にて講演、広瀬氏山形県寒河江支部講演の為出張。神聖十一月号改訂納本出来。総本部新設電話番号四谷七三七七番
●十一月一日
出口副統管今朝上京さる。
統管部に於ける職員(内的のもの)左の通り任命さる、尚統管部事務所は亀岡透明殿に置かるゝ筈。
管理 高木鉄男
参議 井上留五郎 岩田久太郎 東尾吉雄 出口三千麿
参事 西村光月 森良仁 桜井八洲雄 村松山寿 高橋常祥 富士津日水勇 中村純也 中島義延 中山勇次郎 神本泰昭 上野春明 宇城照耀 瓜生潤吉 辻勝英 辻正道 成瀬言彦 大場良典 大川六合治 中村市松 出口義衛 西村雛子 谷前清子 渡辺宗彦 山口利隆 栗原白嶺 桜井同仁 平松福三郎出仕 伊藤永春 奥村芳夫 松浦宏明 波田野義之 松平富士 浜中洪端 横田博夫 広瀬武夫 福田弘二 名越忠明 奥林光明 遠田直三郎 高橋長八 佐藤美知 中山かよ 富士津美子 白石恵子 林弥生 内崎照代 細田台介 安部信吾 徳重高嶺 馬場斎 中倉健児 湯浅一男 佐沢玖仁麿 吉原香澄 河瀬重憲 高木孝子 桜井愛子 後藤すが 山口安江
多田理助氏(山形市)来訪。山形地方本部設立に関して出口副統管と協議。
満洲国内愛国団体聯盟発会式に対し祝電を発す。
●十一月二日
長野春祥、佐藤愛善両氏招電によりて上京、直ちに東北地方凶作農村慰問使として慰問品を携へて出発。
尚慰問品(白米壱升袋入宛合米百俵)に見舞文を添付す。統管臨席の下に広島地方本部発会式挙行さる、会場公会堂入場者二千三百、賛同者一万一千、講師下位氏、斑目海軍大佐、深町氏。
●十一月三日
倫敦予備会議に関し檄文を発表す(前号所載につき省略)。
松平、山本両全権に対して電文を発す。
電文「御奮闘感謝に堪へず、絶対に妥協を排し、皇国の使命と尊厳の為、断然無条約を望む、明治節の日。昭和神聖会」
本日明治節につき出口副統管はじめ総本部員一同明治神宮に参拝す。
長野県上田市、竹内、石井両氏来訪。
出口副統管午後九時亀岡へ出発す。
●十一月四日
統管臨席の下に姫路支部発会式挙行、会場公会堂、聴衆三千五百。
下谷洋服加工徒弟組合発会式に広滝義邦氏講演す。
愛善新聞十一月中旬号海軍関係方面へ多数配布す。
諏訪部匡民氏来訪神聖運動に対し尽力することを約さる。
●十一月五日
統管臨席の下に兵庫県朝来支部(竹田町)発会式挙行さる。彙報第五号出来発送す。
●十一月六日
愛善陸稲趣意書印刷出来。
●十一月七日
鶴山々上勝景殿に於て午後二時より昭和神聖会地方本部代表者会合あり。(前号所載通報第七号参照)
●十一月八日
昭青、坤生両総会に於て神聖運動に対する指令の発表あり。
●十一月九日
綾部みろく殿に於て下位春吉深町霊陽両氏の講演あり。
●十一月十日
東北凶作地より昭青、坤生慰問品に対し感謝状相継ぎ来る。信統会に本会を代表して江口、葦原両氏出席。
●十一月十l日
生産党より増税案に関して現内閣に誨ゆる声明書発表せらる(省略)に広瀬義邦生産党九洲地方五支部発会式に祝電を発す。
●十一月十三日
午前五時四十分及同九時四十分傷病兵帰還につき会員多数東京駅に出迎ふ。
●十一月十四日
皇道宣揚展開催の件にて国分、田口両氏午後一時亀岡へ出発。東京市皇道宣揚展後援の旨確答あり。
本日付土井靖都氏統管部参事に任命さる。
●十一月十五日
統管臨席の下に宇治山田支部発会式挙行、会場神都公会堂、入場者壱千弐百名。
亀岡に於て総本部遊説員集合、打合せをなす。
●十一月十六日
統管臨席の下に滋賀県大波支部発会式挙行、会場滋賀県公会堂、入場者壱千名。
貴志中将和歌山本部発会式出席のため東京出発さる。
菅谷英世氏東北石巻、桃生及び遠田支部講師として出張、生産党八幡博重氏依嘱講師として同道。
三重県四日市発会式及他二ケ所講演の為諏訪部氏、細田正治氏同伴にて出発。
向島吾嬬町に於ける神聖会講演会に講師として葦原万象、広瀬義邦両氏出演。
発会式使用花章及式場心得につき通達す。
皇道宣揚展下見分の為文部省教育課員二名来会。
●十一月十七日
統管臨席の下に和歌山市に於ける紀州本部発会式挙行、貴志中将出席、講師下位、深町両氏、会場公会堂、入場者壱千名、賛同者壱万余。
出口副統管午前七時廿五分帰京。
副統管室に於て賛同書、入会申込書取扱ひ方並に遊説方針につき協議あり。
藤原勇造氏来訪。
●十一月十八日
統管臨席の下に和歌山県田辺町に於いて西牟婁支部発会式挙行、会場公会堂。
皇道展の為江口宏氏文部省に出頭す。
●十一月十九日
ボロチコフ大佐来訪。
●十一月廿日
統管臨席の下に和歌山県御坊町に於ける日高支部発会式挙行、会場日吉座、与論時代社長清水国治氏来訪。
●十一月廿一日
統管臨席の下に西宮支部発会式挙行。
発会式挙行等に関する心得を地方本部に発送す。
出口副統管内田副統管を訪問、芦原万象氏山形県下講演のため出発。
●十一月廿二日
統管臨席の下に浜松支部発会式挙行、会場公会堂、入場者一千三百、賛同者約壱万。
講師下位、深町両氏。
神聖十二月号出来納本、総本部階上にて諏訪都民の講話あり。
●十一月廿三日
統管午前七時十五分東京駅着東京本部に入らる、会員数百名駅頭に整列して出迎す。
統管臨席の下に午後一時より早稲田大隈大講堂に於て東京地方本部並に東京支部発会式挙行、入場者三千、講師諏訪部、山県大尉、金内、深町の諸氏、統管午後四時横浜へ出発さる。
出口副統管頭山満翁訪問。
●十一月廿四日
統管臨席の下に横浜支部発会式挙行、会場開港記念館、入場者壱千五百名、賛同者四万、講師下位、深町両氏の外柴田海軍中佐、副統管横浜へ発会式出席の為出向。
統管には午後四時半横浜より東京地方本部へ入り、直ちに野間清治氏招待による座談会に出席さる。
総本部遊説員四十三名発表す。
●十一月廿五日
統管臨席の下に水戸支部発会式挙行、会場常磐座、入場者一千名。
午後一時より総本部事務打ち合せあり、総本部員新たに四氏加はる。
土居重臣、松岡晴祥、山口明徳、石渡利雄
全国大遊説実行方法を作成発表す。
統管午後九時四十五上野着、休憩の後同十時卅五分新潟へ出発さる、昭青坤生会員多数見送る。
●十一月廿六日
統管臨席の下に新潟地方本部発会式挙行、会場新潟劇場、入場者二千名、賛同者二万七千名、講師下位、深町両氏。
総本部職員事務分担異動あり。
●十一月廿七日
統管午前九時廿五分新潟より上野駅到着、午後八時横浜関東別院へ向はる。
皇道宣揚展覧会設備の為東京地方本部員総動員活動。
●十一月廿八日
統管には午後一時廿八分横浜駅より富士号にて北九州地方本部発会式臨席の為出発さる。昭和神聖会主催、東京本部東京支部奉仕、東京市及東京毎夕新聞社、昭和青年会、昭和坤生会後援の下に東京上野自治館に於て皇道宣揚展覧会開催、会期本日より十二月十七日迄二十日間、速志英春氏本日より統管部映画係となる。神奈川地方本部本日附を以て設置さる。
●十一月廿九日
統管臨席の下に北九州地方本部発会式挙行さる、会場戸畑市公会堂、入場者四千名、賛同者二十三万、講師加藤海軍大佐。
日韓合邦記念塔竣成につき除幕式挙行され本会副統管及職員多数参列、河津氏、広瀬氏外八名祭員奉仕、統管より祝辞を賜る。
皇道宣揚展参観の件につき所沢飛行学校教官吉岡大尉来訪。午後七時総本部に於て「南支事情を聞く座談会」を開催、鄭成功末孫鄭旭、向佩璋、江文鐘、角田清彦の諸氏来会。
●十一月卅日
統管には午後三時横浜到着さる、副統管出迎の為め出向。鳥取県農本大成同盟の農村救済運動の件にて鳥取地方本部を代表し笠井祥利氏上京、宇知麿氏に伴はれて統管へ挨拶の為横浜へ向ふ。
東北地方遊説の為菅谷英世氏午後十時仙台へ向け出発、細田正治氏甲信本部発会準備の為上田市へ出発。
通達
昭和十年一月三日
昭和神聖会総本部
乾坤茲に改まり愈々非常時昭和十年を迎へ神聖運動に拍車を加へんとする際に当り本会会員たる者は聖勅を奉戴して忠誠を誓ひ、常に国民の軌範たる覚悟を以て特に言動に注意し本会の真面目を発揮して皇道の大精神を発揚宣布すべく殉国的大活躍を為さざる可からず。
依て左記事項に関しては殊に注意相成り全会員に徹底せしめられ度命に依り通達候也。
一、本会は政治結社に非ず、又所謂宗教運動に非ず、御詔勅を奉戴し皇道精神の発揚宣布を期する国民精神運動の団体なること。
一、本会は大義名分を明かにし国憲を重んじ国法に遵ひ総て合法的に運動を進むべきものなること。
一、本会は憲法に制定されたる帝国議会の神聖を尊重するものなること。(所謂政党政治なるものは皇道精神に副はざるものと思惟す)
一、本会の提唱する皇道経済は総て皇道の大精神に立脚すべき根本原理を明かにするにありて徒らに枝葉の具体論に走るべきものに非ざること。
一、其他国民常識として不穏なる言動又は既成宗団を初め各種団体及び個人に対し排撃的言動は之を慎むべきものなること。
本会運動が益々拡大発展するに従ひ諸種の方面より種々のデマなど流
布さるゝ事ある場合は惑ふことなく本会の精神を宣明して之を一掃し若し運動上疑義を生じたる時は檄関を通して総本部に照会せられ度申添へ候也。
以上
●十二月一日
統管臨席の下に横須賀支部発会式挙行さる、会場三笠会館、入場者八百名、講師下位春吉、深町霊陽両氏の外海軍中佐太田実氏、統管には横須賀支部発会式を終へて、午後八時東京荏原分所にお着、同夜は右分所に一泊さる。
本日午後一時福建人鄭旭氏外三名来訪、副統管と共に記念撮影をなす。
●十二月二日
統管には午前六時十五分上野駅発長野県上田市に向はる、午後一時より統管臨席の下に上田市に於ける甲信地方本部発会式挙行さる、会場上田市公会堂、入場者七百名、講師下位、深町両氏。
鳥取県農本大成同盟嘆願運動に対しては昭和神聖会として極力支持する様決定し、右の旨鳥取地方本部に指令す。
朝鮮一進会々長李客九氏の息李顧奎氏、同副会長兪鶴柱氏、息兪嗣氏を同伴して李海天氏来訪あり、副統管会談す、尚李海天氏は人類愛善会朝鮮本部創設の主唱者なり。
統管には甲信地方本部発会式を終へられ午後十一時四十五分上野駅帰着、東京本部に宿泊さる。
●十二月三日
統管には午後十時廿分上野駅出発、宮城、青森、秋田、山形の県下に於ける地方本部並に支部発会式臨席の途に就かる、下位氏の外随員大国氏、深町氏他二名、東海本部田中万太郎氏、神谷光太郎氏、古知市太郎氏、東北本部長野春祥氏、甲信本部臼井達氏、四国本部宮崎房太郎氏来訪、細田東洋男氏下谷公会堂に於ける徒弟思想善導会に神聖会講師として講演、出口副統管午後十一時東京駅発にて帰亀。
●十二月四日
統管臨席の下に岩手県花巻町に於ける稗貫支部発会式挙行さる、会場小学校講堂、入場者一千五百名、講師下位、深町両氏。
●十二月五日
統管臨席の下に青森市に於ける奥羽地方本部発会式挙行さる、会場、歌舞伎座、入場者三千五百名、講師下位、深町両氏、午前十時上野駅発にて貴志中将山形県に於ける発会式及び講演に出向さる。
●十二月六日
統管臨席の下に弘前支部発会式挙行さる、会場、市公会堂、入場者壱千名、講師下位、深町両氏。
閣議の模様につき統管並に副統管に打電す、竹本朝太郎氏、横須賀支部橋本光太郎氏、平塚市山口光春氏来訪。
●十二月七日
午前八時東京駅着にて副統管帰京さる、日本農林新聞社平野三郎氏来訪。
●十二月八日
統管臨席の下に山形地方本部発会式挙行さる、会場第一小学校講堂、入場者二千名、賛同者五万五千名、講師下位、深町両氏。
静岡本部田中万太郎、神谷光太郎氏来訪。
●十二月九日
統管臨席の下に米沢支部発会式挙行さる、会場第二常盤館、入場者壱千名、講師下位、深町両氏。
広瀬義邦氏、貴志中将を案内して茨城県竜ケ崎支部発会式出場の為め本朝出発、午後九時半帰着。
●十二月十日
統管臨席の下に福島市に於ける福島支部発会式挙行さる、会場市公会堂、入場五百名、講師下位、深町両氏。
山形県へ出張中の高橋常祥氏、芦原万象民本朝帰京す。
本日副統管来訪者多し。
●十二月十一日
統管臨席の下に宇都宮支部発会式挙行さる、会場市公会堂、入場者八百五十、講師下位、深町両氏。
満洲国駐在海軍少将小林省三郎閣下午前十時廿分東京駅凱旋につき青年会員多数歓迎し岡部氏本会代表として出向す。○○航空隊午後一時廿分品川駅出発を見送る為青年会員多数歓送す、本会代表として岡部氏出向す。
平塚支部発会準備座談会講師として細田東洋男氏出向即日帰来。
葦原万象氏を中心に午後七時より総本部に於て皇道経済につき座談会開催。
●十二月十二日
統管臨席の下に前橋支部発会式挙行、会場臨江閣別館、入場者壱千名、講師下位、深町両氏、白露ファッショ党のパルイコフ氏来訪。
諏訪部匡氏関西地方講演の為め東京駅出発。
副統管紫雲郷別院へ出向さる。南洋に派遣さるゝ宇城氏外六名来着、便船出帆の日まで滞在の筈。
●十二月十三日
統管臨席の下に午後一時より浦和支部発会式挙行、会場埼玉会館、入場者壱千名、講師下位氏、深町氏及び広瀬氏、尚出口副統管出場さる、随員の大国以都雄氏、深町霊陽氏帰京。
北陸本部嵯峨六合美氏統管出迎の為出京。
●十二月十四日
統管には正午頃浦和より東京地方本部へ来着、午後八時五十五分上野駅発北陸方面へ出向さる、下位氏の他随員大国氏、深町民他二名。
埼玉県五十嵐氏、パルイコフ氏等総本部に来訪。
●十二月十五日
統管臨席の下に石川県小松町に於ける能美支部発会式挙行。会場小学校講堂、入場者二千五百、講師下位、深町両氏。細田東洋男氏、陸軍中将佐藤清勝閣下と同道にて三重県支部発会式出場並に講演の為出発。人類愛善会朝鮮本部発会式に対し祝電を発す。
電文「発会式を祝し世界大家族精神運動の為め最善の御活躍を祈る。昭和神聖会総本部」
午後出口副統管、広瀬氏随行にて一条公爵、内田良平氏訪問、広瀬氏、貴志中将を訪問、広瀬氏横須賀に於ける講演会に出張即夜帰来。
細田東洋男氏、満川亀太郎氏訪問。
●十二月十六日
統管臨席の下に金沢支部発会式挙行、会場香林坊大神宮社殿、入場者三千名、講師下位、深町両氏。
土井靖都氏、満川亀太郎氏と同伴長野県佐久支部発会式出場の為上野出発、出口副統管、広瀬氏を同伴頭山満翁を訪問。愛国恤兵財団助成金の西宮安平、鳥巣佳助両氏来訪。
出口副統管、国分義一氏同道、平塚支部発会式出場の為午後二時廿五分東京駅出発。
江口宏氏、菊池男爵、安藤紀三郎中将訪問、鳥取県笠井祥利氏上京中の処午後十時細田正治氏同道にて帰国す。
●十二月十七日
統管臨席の下に石川県七尾町に於ける鹿島支部発会式挙行、講師同前。
東北本部長野春祥氏、天恩郷浜中浜瑞氏、宇都宮支部鈴木延吉氏来訪。
広瀬氏、南郷海軍少将を訪問。江口氏、等々力森蔵中将を訪問。皇道宣揚展覧会本日閉会、入場者総計四〇、一八九名、賛同者総計九、五三四名、入会者総計四七名。
宇城照耀氏拓務省へ出頭、南洋渡航の件につき協議、出口副統管午前十時卅四分亀岡へ出発さる。
●十二月十八日
統管臨席の下に高岡市に於ける支部発会式挙行、会場小学校講堂、講師同前。
川戸夫人来訪、孝明天皇御物の件につき話あり農大学生斎藤氏来訪、学徒宣伝に関して打合せあり。
長野春祥氏を同伴広瀬氏貴志中将を訪問、東北地方及び栃木県講演の件を依頼。
御田村竜吉氏病気快方にて出勤あり。
土井靖都氏長野県より帰来報告あり。
愛善陸稲耕作法の冊子出来。井岡倫一郎氏愛善陸稲宣伝の為め鳥取島根両県下へ出張。東京地方本部より「統管部の命令にて十二月廿三日皇太子殿下第一回御誕辰の吉日関東地方青年会員総動員にて統管先達の下に奉祝のため宮城奉拝」の件につき電話あり。
●十二月十九日
統管臨席の下に富山支部発会式挙行、講師同前。
中野武英、上倉三之助両氏来訪。
午後十時五十分東京発廿三日奉祝の件につき統管部と打合せの為め広瀬氏岐阜へ出向。細田東洋男氏佐藤清勝中将と共に三重県遊説を終へて帰来。成瀬言彦氏山口県、静岡県の遊説を終へて帰来。御田村、中野南特務来訪。
十l一月廿日
統管臨席の下に岐阜支部発会式挙行さる、会場公会堂、入場者二千、講師同前。
御田村米倉国分各特務来訪。
細田東氏佐藤中将訪問。
山形県方面の皇道宣揚展に奉仕せる山田筑波氏来訪。
●十二月廿一日
統管臨席の下に午後一時より静岡県藤枝町に於ける志太支部発会式挙行、会場小学校講堂、更に午後六時より同川崎町に於ける榛原支部発会式挙行、会場小学校講堂、両地とも講師下位、深町両氏、統管臨席の発会式は之を以て本年度打切りとなす。
出口副統管、広瀬氏午前八時半帰京。
副統管より総本部員に対し訓示あり。
出口副統管午後八時過統管を出迎への為め横浜迄出向さる。
●十二月廿二日
統管静岡県より横浜関東別院に入らる。
副統管横浜より帰来。
細田東洋男氏、満川亀太郎氏訪問。
「神聖」一月号出来。
午後三時、丸の内中央亭に於て帝国在郷軍人有志、大洋会海軍問題懇談会主催の海軍問題記念懇談会に広瀬氏出席、決議を関係五大臣に手交する為め実行委員十名選定。午後八時副統管広瀬氏を伴ひ貴志中将を訪問さる。午後一時外務省より斎藤駐米大使に対し華府条約廃棄通告につき打電あり。
総理大臣、外務大臣、海軍大臣、陸軍大臣、枢議長、軍事普及部等に対し左の電報を発す。
「ワシントン海軍々備制限条約ノ廃棄サレタル事ヲ衷心ヨリ感謝ス、昭和神聖会出口王仁三郎」
広瀬氏海軍省に関根大佐を訪問。
甲信地方本部管下準備工作の為め山口明徳氏出張。
海軍省より「日米を繞る軍縮問題」七十部寄贈あり。
下位春吉氏、深町霊陽氏帰京。
●十二月廿三日
統管午前九時十分横浜より東京駅着、関東主会昭青会員一千余名駅頭に出迎へ同十時行進を開始して宮城二重橋前に至り、君ケ代合唱、統管発声にて両陛下、皇太子殿下万歳を三唱、宮城奉拝の上、再び行進を起し築地常盤に到り統管の訓示ありて解散す。午後五時より常盤に於て名士招待懇談会あり、招待者、一条公爵、菊池武男男爵、貴志弥次郎中将、安藤紀三郎中将、関根群平海軍大佐、下位春吉氏。当方側、統管、出口副統管、大国以都雄氏、深町霊陽氏。貴志弥次郎閣下、細田東洋男氏茨城県下館町に於ける真壁支部発会式出場の為めに午前十時上野駅発、即日帰京。
大場氏川口嬢亀岡へ帰向。
統管夫人より来電「遙かに盛典を祝す」、華府条約廃棄記念懇談会に於ける決議手交の為広瀬義邦氏(実行委員十名の内)一行と共に総理大臣訪問吉田書記官長に会見す。
華府条約廃棄の賀詞を述ぶべく昭青、坤生両会を代表して広瀬氏海軍省を訪問。
鳥取県出身明治維新の志士正五位須山万氏の慰霊祭を昭青坤生主催にて鳥取県米子市に於て明廿五日開催につき頭山満翁を訪問。
午後二時統管総本部に来臨、総本部員一同に対して訓示、野間清治氏他数名の招待あり。
●十二月廿五日
大正天皇祭につき昭青坤生東京聯合金代表三十六名多摩御陵参拝、昭和神聖会総本部代表として細田東洋男氏、昭和青年会本部代表として奥谷宮照氏同行。
統管午前十時四十五分東京駅発伊豆湯ケ島に赴かる、下位氏、大国氏、深町氏他数名同行、広瀬氏貴志中将訪問。
輿論社長清水国治氏来訪、副統管に面談。
愛国恤兵財団助成金の雨宮氏来訪。
●十二月廿六日
薄田精一氏、美座時中氏来訪。土井重臣氏大阪へ出張。
菅谷英世民約一ケ月に亘る東北地方遊説を終りて帰京。
●十二月廿七日
広瀬義邦氏昭和青年会及坤生会を代表して華府海軍々備制限条約廃棄について海軍省を訪問、海軍大臣秘書官に祝辞を述ぶると共に将士日夜の労苦に対して感謝の意を表す。午後二時廿五分駐満傷病兵東京駅帰還につき奥谷氏代表として出迎ふ。
広瀬氏午後山県有光大尉宅を訪問、夜東両国(大金)に於て開催されたる大日本聖国義団主催のメーデー問題協議会に出席。
午後四時四十分東京駅着列車にて関西地方遊説を終りて諏訪部匡民氏帰京。
深町霊陽氏、薄田精一氏、成瀬言彦氏、只佐雄一郎氏来訪。
●十二月廿八日
奥羽方面遊説中の葦原万象氏約半ケ月振りにて帰京。
副統管午後九時半東京駅発にて亀岡へ。
薄田精一氏来訪。
●十二月廿九日
山口明徳氏静岡及名古屋へ立寄り亀岡へ。
千葉県竹義治次氏招電によりて来訪、宇城氏とボルネオ渡航の件に関し会談。
午後一時宇城、竹葢、広瀬三氏南洋林業株式会社を訪問。宇城氏午後二時より参謀本部員、南洋林業会社員等の南洋座談会に出席。
成瀬言彦氏葦原万象氏夜行にて亀岡へ。
真如の光第三五〇号(十二月廿五日号)発売禁止となりたる由。
●十二月卅日
青森県一青年天恩郷参拝の途次来訪、弘前市附近凶作地救済の手行き届かぬる故神聖会にて救済の道を講じて貰ひ度旨土地の有志より申出たる旨報告あり。
御田村特務万有社の伊藤靖氏と会談、広瀬氏は頭山翁、内田副統管、下位春吉氏訪問。
広瀬氏諏訪部匡民氏を講演日程の件につき訪問。
高橋守氏(茨城県聯合会長)来訪、細田東氏と正月元旦より約一ケ月に亘る茨城県下遊説の件につき打ち合せをなす。
広瀬氏永野修身大将を訪問。細田東氏神聖会を代表して満洲帰還将校出迎への為め品川駅へ。
宇城氏一行愈々一月二日出航の近江丸にて南洋渡航決定、横浜関東別院へ出向。
●十二月卅一日
大阪毎日新聞、帝都日々新聞等に請願運動に関する記事掲載あり、本会は何等関係無し。会員は総本部又は統管部よりの指示なき限り世評に動かさるゝことなきを期すべきなり。黒竜会より日韓合邦記念塔建設記念写真帖十三冊を寄贈さる。
岡部氏午前十時東京発で帰亀。永野修身大将揮毫二点大阪に於ける皇道宣揚展覧会出陳の為寄贈あり。
多事多端なりし昭和九年を終る。