第6巻第28章「身変定」に収録されている「
言霊学釈歌」には誤字と考えた方が合理的に解釈できる箇所が多数ある。
もともとは『神霊界』大正7年7月1日号(第65号)に掲載されたものであり、その後、大正9年5月21日号(第115号 龍門号)に再掲されている。
次の5つの本を対象に正しい文字は何なのかを考証してみた。
1.『神霊界』大正7年7月1日号、p7~10(神七と書す)
2.『神霊界』大正9年5月21日号、p27~30(神九と書す)
3.聖師御校正本、p182~198(校正本と書す)
4.天声社・校定版、p161~170(校定版と書す)
5.愛善世界社版、p160~173(愛世版と書す)
校正本が一番「正しい」のは言うまでもないが、その校正本ですら誤字と思われるのである。
それは主として次の2種類である。
1.ア行ウエイと、ヤ行エイ、ワ行ウエイが混乱している。
2.清音、濁音、半濁音が混乱している。
神七と神九を見ると、その冒頭でア行のエに「ゑ」が使われている。これがそもそもの混乱の原因ではないかと思われる。「ゑ」はワ行のエに使われる文字だが、当時はあまり厳密に使われていなかったみたいだ。また「こえ」(声)の「え」の字が「江」の崩し字が使われている。「こえ」は旧仮名遣いでは「こゑ」と書くべきだが、「江」の崩し字はア行のエに対して使われるのが本当だろう。
このように「え(江)」と「ゑ」の使い方が逆になっているのが混乱の第一の原因ではないかと思われる。ア行ウエイ、ヤ行エイ、ワ行ウエイは混乱しやすいので、王仁三郎は言霊の表記を片仮名にし、アオウエイに関しては画が離れた活字を特別に作らせたわけだが、それは天祥地瑞(昭和8~9年)のことであって、大正11年に刊行された第6巻ではまだそうなっていない。戦後刊行された校定版では、片仮名に直され、なおかつ画が離れた活字が使われているのだが、よく考証されていないようで、清音、濁音、半濁音が混乱したままである。愛世版は校正本通り平仮名が使われているが、やはり考証はされていない。
本稿では、言霊学釈歌の「正しい」と思われるテキストを示し、そこに注記する形で考証の内容を書いて行く。
★結論 霊界物語ネット/王仁DBは御校正本の通りとして、正しいと思われるテキストはここに書く。
[凡例]
○言霊が平仮名で書かれているが、校定版のようにすべて片仮名に直す。アオウエイは画の離れた特殊なフォントが必要になるため、㋐㋔㋒㋓㋑(丸囲みのアオウエイ)で代用する。
○言霊には圏点が付いているが、これは平仮名を目立たすために付けているようなので、片仮名にすれば必要ないので、外す。(校定版では外してある)
○漢字「声」の一部が平仮名「こゑ」になっているが、これは漢字に置き換える。
言霊学釈歌
○
久方の
天之御中主の
神は
五十鈴川の⦅ス⦆
声なりけり
[#⦅ス⦆…この二重括弧は注記ではなく強調記号である。]
○
㋐の
声は
我言霊の
上よりは
宇比地邇神、
須比地邇神
○
㋔の
声は
我言霊の
上よりは
角杙神、
活杙神
○
㋒の
声は
我言霊に
照らし
見て
大戸之道神、
大戸之辺神
○
㋓の
声の
其言霊を
調ぶれば
面足神、
惶根神
[#㋓…神七と神九は「ゑ」。校正本では底本の「ゑ」を「え」と訂正しているようだが王仁三郎が訂正したのではなく、編集者が訂正したように見える。校定版では「㋓」、愛世版は「え」。前後の流れから考えて(㋐㋔㋒ ㋑と順に書かれているのえ)ここはワ行のエ(ゑ)ではなくア行のエ(㋓)と考えるのが合理的である。]
○
㋑の
声は
言霊学の
助けより
伊邪那岐神、
伊邪那美神
○
㋐の
声の
活動なすは
須比地邇の
神の
保てる
本能なりけり
○
㋔の
声の
活動するは
活杙の
神の
表はす
本能なりけり
○
㋒の
声の
活動保つは
大戸之辺神の
表はす
本能なりけり
○
㋓の
声に
万の
物の
開くるは
阿夜訶志古泥の
神の
御本能
[#㋓…前の㋓と同じ。]
○
㋑の
声の
活動なすは
伊邪那美の
神の
御言の
本能なりけり
○
喉頭、
気管、
肺臓なぞの
活用は
国常立の
神言守れる
○
口腔口唇、
口蓋等の
発音の
根本機関は
豊雲野神
○
日の
本の
国の
語の
源は
只五声の
竪端の
父音
○
多陀用幣流国といふ
意義は㋐㋔㋒㋓㋑
五声父音の
発作なりけり
[#㋐㋔㋒㋓㋑…神七と神九は「あおう江い」(江は崩し字)。校正本と愛世版は「あおうえい」。校定版は「㋐㋔㋒㋓㋑」。ここは五大父音について言っているので、言うまでもなく「㋐㋔㋒㋓㋑」。神七と神九はア行エを表記するのに「ゑ」と「江」が混用されている。]
○
久方の
天の
沼矛と
云ふ
意義は
言語の
節を
調ふ
舌なり
○
立花の
小戸の
あはぎが原に
鳴る㋔
声を
天の
浮橋といふ
○
塩許袁呂、
許袁呂邇画鳴す
其意義は㋔とヲの
声の
活用を
云ふ
○
数音を
総称ふるを
島といふ
淤能碁呂島はヲ
声なりけり
○
㋐㋔㋒㋓㋑
素の
五つの
父声を
天之御柱神と
総称す
[#㋐㋔㋒㋓㋑…前と同じ。]
○
宇宙に
気体の
揃ひ
在る
意義を
我言霊に
八尋殿といふ
○
鳴々而鳴合はざるは㋐の
声ぞ
鳴余れるは㋒
声なりけり
○
㋒㋐の
声正しく
揃ひて
結び
合ひ
変転するは
美斗能麻具波比
○
㋒㋐の
声結びてワ
声に
変化くは
阿那邇夜志愛上袁登古袁といふ
○
㋓㋐の
声結びてヤ
声に
変化くは
阿那邇夜志愛上袁登売袁といふ
[#㋓…神七、神九、校正本は「ゑ」。校定版は「㋓」。愛世版は「え」。一行前が「㋒㋐」の結びなので、ここは「㋓㋐」の結びと考える方が合理的だろう。ただし水茎文字では㋑㋐が結合してヤになるのだが、言霊学釈歌に書いてあることは水茎文字とはあまり関係がないようである。]
○
女人先言不良と
言へる
神文を
調ぶれば
以前の
方法形式で
言霊発達せざるてふ
意義の
大要含むなり
○
久美度邇興而子蛭子生むはワ
声を
母音とし
[#母音…5つの本すべてが「ぼいん」とルビが振ってあるが、霊界物語の他の箇所では「ぼおん」である。ここは他に合わせて「ぼおん」にした。]
㋐
行㋒㋓㋑を
父音としワ㋒の
二声を
結び
付け
[#㋒㋓㋑…神七、神九「烏ゑい」。ア行ウに「烏」の字が使われている。校正本、愛世版「烏えい」。校定版「㋒㋓㋑」。ここはア行なので「㋒㋓㋑」が正しい。]
ワ
行のウ
声に
変化為しワ㋓の
二声を
結び
付け
ワ
行のヱ
声に
変化為しワ㋑の
二声を
結び
付け
ワ
行のヰ
声に
変化為し
次にヤ
声を
母音とし
[#ワ㋒~ワ行のウ声~ワ㋓~ワ行のヱ声~ワ㋑~ワ行のヰ声…神七、神九「わ烏~わ行のう声~わゑ~わ行の江声~わい~わ行のい声」。校正本、愛世版「わ烏~わ行のう声~わゑ~わ行のゑ声~わい~わ行のゐ声」。校定版「ワ㋒~ワ行のウ声~ワ㋓~ワ行のヱ声~ワ㋑~ワ行のヰ声」。校正本と愛世版の「わゑの二声を結び付け」て「わ行のゑ声に変化」するというのは明らかにおかしい。校定版の解釈が合理的である。]
㋐
行㋔㋒㋓㋑
父音とし
結声変化す
意義ぞかし
[#㋔㋒㋓㋑…神七、神九「お烏ゑい」。校正本、愛世版「お烏えい」。校定版「㋔㋒㋓㋑」。ここはア行なので「㋔㋒㋓㋑」が正しい。]
ヤ㋔の
二声を
結び
付けヤ
行のヨ
声に
変化為し
ヤ㋒の
二声を
結び
付けヤ
行のユ
声に
変化なし
ヤ㋓の
二声を
結び
付けヤ
行のエ
声に
変化為し
ヤ㋑の
二声を
結び
付けヤ
行のイ
声の
変化為す
[#ヤ㋔~ヤ行のヨ声~ヤ㋒~ヤ行のユ声~ヤ㋓~ヤ行のエ声~ヤ㋑~ヤ行のイ声…神七、神九「やお~や行のよ声~や烏~や行のゆ声~やゑ~や行の延声~やい~や行のゐ声」。ヤ行のエに「延」が、ヤ行のイに「ゐ」が使われている。「ゐ」は本来ワ行のイに使われる文字である。校正本、愛世版「やお~や行のよ声~や烏~や行のゆ声~やえ~や行の延声~やい~や行のい声」。校定版「ヤ㋔~ヤ行のヨ声~ヤ㋒~ヤ行のユ声~ヤ㋓~ヤ行のエ声~ヤ㋑~ヤ行のイ声」。校定版の解釈が合理的。]
この
言霊の
活用を
久美度邇興而と
称ふなり
○
子蛭子生むとふ
神文は
鳴出る
声音の
等しき
意義にして
㋐
行㋔
声とワ
行のヲ
声㋐ワの
行なる㋒
声とウの
神声
[#㋒~ウ…神七、神九、校正本、愛世版「烏~う」。校定版「㋒~ウ」。㋐ワの行なので「㋒~ウ」が正しい。]
㋐ワヤの
行の㋓ヱエと㋑ヰイの
声の
異性にて
[#㋓ヱエ~㋑ヰイ…神七、神九、校正本、愛世版「ゑ衣延~いゐ以」。校定版「㋓ヱエ~㋑ヰイ」。㋐ワヤの各行のエとイということならば、校定版が正しい。言霊学釈歌は「真素美の鏡」がベースになっているので、それを見ながらでないと理解が難しい。「真素美の鏡」は下(地)の方からアワヤマバパザサハナラタダガカ行の順で並んでいる。ここに書いてある「異性にて 同声音」というのは、ア行オウエイ、ワ行ヲウヱヰ、ヤ行エイが、言霊は異なるが発音は同じだということを表している。]
同声音の
意義ぞかし
是ぞ
蛭子を
産むといふ
○
布斗麻邇爾卜相而詔といふ
意義は㋐
行㋒
声の
活用ぞかし
○
淡道之穂之狭別島といふは㋒ウユ⦅ム
声⦆と
結ぶ
言霊
[#㋒ウユ…神七、神九、校正本、愛世版「烏うゆ」。校定版「㋒ウユ」。これはア行ワ行ヤ行のウ列ということになるので「㋒ウユ」が正しい。]
伊予之国二名島といふ
意義は
母音ム
声に㋑を
結び
ミ
声に
変化しム㋓
結びメ
声に
変化しム㋔を
結び
[#ム㋓…神七、神九、校正本、愛世版「むゑ」。校定版「ム㋓」。前後の文脈から「ム㋓」が正しい。]
モ
声に
変化しム㋐を
結びマ
声に
変化す
此故に
ム
声の
父音ミメモマの
四声に
変化を
身一而
面四有と
称ふなり
○
ミの
声の
其言霊の
活用を
伊予国愛比売と
謂すなり
○
メの
声の
其言霊の
幸ひを
讃岐飯依比古と
謂ふ
○
モの
声の
其言霊の
助けをば
阿波国大宜津比売と
謂ふ
○
マの
声の
其言霊の
照る
時ぞ
土佐国健依別と
謂ふ
○
惟神其名の
如く
性能の
等しく
易るを
国と
謂ふなり
○
ムの
声に㋒ユを
結びてブの
声に
変化を
隠岐之三子嶋と
謂ふ
[#ブ…神七、校正本、愛世版「ふ」。校定版「フ」。神九「ぶ」。ここの考証は次以降を参照。]
○
ブの
声に
天之御柱結び
付けバボベビ
四声に
変化をば
天之忍許呂別と
謂ふ
[#ブ~バボベビ…神七、校正本、愛世版「ふ~はほふへ」。校定版「フ~ハホフヘ」神九「ぶ~はほふへ」。ここの考証は次以降を参照。]
○
筑紫島生むと
言ふ
意義はバの
行のブ
声㋒
声と
結声し
[#バ~ブ~㋒…神七、神九「は~ぶ~烏」。校正本、愛世版「は~ふ~烏」。校定版「ハ~フ~㋒」。ここの考証は次以降を参照。]
プ
声に
変化言霊也是のプ
声に㋑㋓㋔㋐の
[#プ~プ~㋑㋓㋔㋐…神七、神九、校正本、愛世版「ぷ~ぷ~いゑおあ」。校定版「ピ~プ~㋑㋓㋔㋐」。ここの考証は次以降を参照。校定版の「ピ」は確実に誤字。]
四声を
漸次に
結声しピペポパ
四声に
変化なす
○
[#ピペポパ…神七「ひぺほは」。神九「ひぺほぱ」。校正本「ぴぺほぱ」。愛世版「ぴぺぽぱ」。校定版「ピペポパ」。ここの考証は次以降を参照。校正本と愛世版は「ぺ」の圏点だけゴマ(﹅)で他の3文字の圏点は白丸(○)になっているが誤植であり特別な意味はないと思う。]
ピの
声の
意義の
言霊調ぶれば
筑紫の
国の
白日別と
謂ふ
ペの
声の
意義の
言霊調ぶれば
豊国豊日別と
謂ふなり
○
建日向、
日豊久士、
比泥別と
謂ふはポ
声の
言霊の
意義なりけり
○
パの
声の
意義の
言霊調ぶれば
熊曽の
国の
建日別なり
[#ピ~ペ~ポ~パ…神七、校正本、愛世版「ひ~ぺ~ほ~ぱ」。神九「ひ~ぺ~ぽ~ぱ」。校定版「ヒ~ペ~ホ~パ」。ここの考証は次以降を参照。]
○
伊岐嶋、
比登都柱と
謂ふ
意義はプ
声に㋒
声を
結び
成し
[#プ~㋒…神七、神九、校正本、愛世版「ぷ~烏」。校定版「プ~㋒」。ここの考証は次以降を参照。]
フ
声に
変化しフの
声に
天の
御柱㋐㋔㋒㋓㋑
[#フ~フ~㋐㋔㋒㋓㋑…神七、神九「ふ~ふ~あおうゑい」。校正本、愛世版「ふ~ふ~あおうえい」。校定版「フ~フ~㋐㋔㋒㋓㋑」。ここの考証は次以降を参照。]
是の
素音を
結声しハホヘヒ
四声の
言霊に
変化せしむる
意義なり
[#ハホヘヒ…神七、神九、校正本、愛世版「はほへひ」。校定版「ハホヘヒ」。ここの考証は次以降を参照。]
[#ハ行バ行パ行に関しては5つの本すべてが混乱している。
結論を言うとバ行、パ行、ハ行の順に歌われていると考えるのが合理的であり、それに沿って言霊を修正した。最後のハ行(「伊岐嶋」以降)に関しては特に異論はないだろう。
真ん中のパ行(「筑紫島」以降)に関しては、ハ行とパ行の言霊が混用されているが、ハ行は最後に出てくるのだから、ここに出てくるハ行はパ行の誤字と考えられる。
同様に、一番最初のバ行は、やはりハ行と混用されているが、真ん中にパ行、最後にハ行が出てくるのだから、消去法で考えるとバ行ということになる。また「真素美の鏡」では、下(地)の方からマ行バ行パ行ザ行サ行ハ行と並んでいるので、その点からも、バ行パ行ハ行の順で歌われていると考えられる。
「バボベビ」はすべての本が「はほふへ」になっているが、ブの声に天之御柱(アオウエイ)を結びつけると「変化(かわる)」と書いてあるのに、ウ列の「ブ」とか「ふ」が入っているのは不自然である。これは誤字と考えた方がいいと思う。]
○
津嶋天之狭手依比売と
謂ふはフ
声に㋒
声を
結び
付け
ス
声に
変化し㋐㋔㋒㋓㋑
是の
素音を
結声し
サソスセ
四声に
変化る
意義
○
佐渡島を
生むてふ
意義を
調ぶればス
声に㋒
声を
結声し
ズ
声に
変化なさしめて
之に
素音を
結声し
[#ズ…神七、神九、校正本、愛世版「す」。校定版「ス」。ス声に㋒声が結び付いて「ス」に変わるというのは明らかにおかしい。次の行でサ行をザ行に変えると書いてあるのだから、ここは「ズ」声の誤字と考えられる。]
サ
行をザ
行に
変化する
言霊上の
意義なり
○
大倭秋津嶋生むといふはニリチの
母音の
言霊を
[#母音…神七、神九、校正本、校定版、愛世版「父音」。ニリチが父音であるはずがない。父音は五大父音㋐㋔㋒㋓㋑だけである。母音は九大母音カサタナハマヤラワであるが、かなり前の方で「母音ム声」という表現が出てきたので(つまりア列以外の言霊に対して「母音」という表現が使われているので)ここも母音と呼んでいいと思う。]
生み
出したる
意義にしてナ
行ニ
声はジ㋑
二声
結声変化しリの
声はシ㋑が
結声変化為し
タ
行チ
声はヒ㋑
二声が
結声変化を
為す
意義ぞ
○
天御虚空豊秋津根別といふ
意義はチリニの
母音に
久方の
[#母音…神七、神九、校正本、校定版、愛世版「父音」。考証は前と同じ。]
天之御柱㋐㋔㋒㋓㋑
素音を
結声変化して
タラナ
三行を
結声し
変化せしむる
意義ぞかし
○
[#タラナ…以前に出て来た「ぺ」同様に、校正本と愛世版では「ら」の圏点だけゴマ(﹅)で他の2文字の圏点は白丸(○)になっているが、誤植であり特別な意味はないと思う。]
意義深きワ
行ヤ
行の
言霊は
先所生大八島国
○
吉備児島建日方別と
謂ふ
意義はチジの
二声を
結声し
[#チジ…神七、神九「ちし」。校正本、愛世版「ちじ」。校定版「チジ」。いずれもチとジ(神七と神九の「し」は誤字か?)の言霊の組み合わせになっているが、ここの前後は、ジ㋑→ニ、シ㋑→リ、ヒ㋑→チ、ヂ㋑→ギ、ギ㋑→キというように、㋑との組み合わせで変化が起きている。ここもひょっとしたら「チジ」ではなく「チ㋑」である可能性があるが、今ひとつ確証が得られないので「チジ」のままにしておく。]
ヂ
声に
変化し
久方の
天の
御柱㋐㋔㋒㋓㋑
[#ヂ…神七、神九、校正本、愛世版「ち」。校定版「チ」。ここは前後の文脈から考えて「ヂ」であろう。「チジ」が結び付いて「チ」になるというのはおかしい。]
素音を
結ぶ
言霊ぞかし
○
小豆島大野手上比売と
謂ふ
意義はヂ㋑の
二声を
結声し
ギ
声に
変化し
久方の
天の
御柱㋐㋔㋒㋓㋑
素音を
結ぶ
言霊ぞかし
○
大嶋や
大多上麻流別と
謂ふ
意義はギ㋑の
二声を
結び
成し
キ
声に
変化し
久方の
天の
御柱㋐㋔㋒㋓㋑
素音を
結ぶ
言霊ぞかし
○
女嶋天一根と
謂ふ
意義はカ
行の
音韻カコクケキ
天地貫通の
言霊ぞかし
○
知訶嶋天之忍男と
謂ふ
意義はガ
行の
音韻ガゴグゲギ
天機活動を
起す
言霊
○
両児嶋天両屋の
言霊はダ
行の
音韻ダドヅデヂ
[#ダ…神七、神九、校正本、愛世版「た」。校定版「タ」。ダドヅデヂがタ行であるはずがない。「ダ」が正しい。]
造化発作を
起す
意義なり
○
ワ
行ヲ
声の
言霊の
精神的の
活用を
大事忍男之神と
謂ふ
○
ワ
行ヰ
声の
言霊の
精神的の
活用を
石土毘古の
神と
謂ふ
○
ヤ
行イ
声の
言霊の
精神的の
活用を
石巣の
比売の
神といふ
○
ワ
行の
言霊ワヲウヱヰ
精神的の
活用を
大戸日別之神といふ
○
ワ
行ウ
声の
言霊の
精神的の
活用を
天之吹男神といふ
○
ヤ
行の
言霊ヤヨユエイ
精神的の
活用を
大屋毘古之神といふ
○
ヤ
行ヨ
声の
言霊の
精神的の
活用は
風木津別之忍男神なり
○
ヤ
行ユ
声の
言霊の
精神的の
活用を
大綿津見の
神と
言ふ
○
ワ
行ヱ
声の
言霊の
精神的の
活用を
速秋津彦の
神と
謂ふなり
ヤ
行エ
声の
言霊の
精神的の
活用を
速秋津姫の
神といふ
(以上六十五首)
大事忍男神より
以下速秋津姫神まで、
十神十声の
精神的作用は
所謂大八嶋国の
活用、
即ち
世界的経綸の
活機を
顕はす
本能を
享有する
言霊なり。