霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二一章 小天国(せうてんごく)〔二二一〕

インフォメーション
著者: 巻: 篇: よみ(新仮名遣い):
章: よみ(新仮名遣い): 通し章番号:
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: 文字数: OBC :rm0521
愛善世界社版: 八幡書店版: 修補版: 校定版: 普及版: 初版: ページ備考:
001 橙園王(とうゑんわう)以下(いか)の住民(ぢうみん)の襲撃(しふげき)により、002一敗(いつぱい)地(ち)にまみれ、003神人(かみがみ)の信望(しんばう)を失墜(しつつゐ)したる南天王(なんてんわう)夫妻(ふさい)は、004夜陰(やいん)に乗(じやう)じモスコーに帰(かへ)つた。005ここに顕恩郷(けんおんきやう)は再(ふたた)び主宰者(しゆさいしや)を失(うしな)ひ、006日夜(にちや)不安(ふあん)の感(かん)に打(う)たれてゐた。
007 されど最(もつと)も信頼(しんらい)するは、008棒岩(ぼういは)の上(うへ)に安置(あんち)せる鬼武彦(おにたけひこ)の石神像(せきしんざう)である。009神人(かみがみ)らは南天王(なんてんわう)の失踪(しつそう)せしより、010一意(いちい)専心(せんしん)にこの石神像(せきしんざう)にむかつて祈願(きぐわん)を籠(こ)め、011日夜(にちや)礼拝(れいはい)を怠(おこた)らなかつた。012さうして南天王(なんてんわう)の後任(こうにん)として蟹若(かにわか)といふこの郷(きやう)のもつとも強(つよ)き神人(かみ)をおし立(た)て、013南天王(なんてんわう)の後(あと)を継(つ)がしめた。014されど郷神人(きやうしん)はどことなく不安(ふあん)の念(ねん)にかられ、015真正(しんせい)の天津(あまつ)神(かみ)の降臨(かうりん)されむことを、016石神像(せきしんざう)にむかつて昼夜(ちうや)祈願(きぐわん)しつつあつた。
017 頃(ころ)しも一天(いつてん)俄(にはか)に掻(か)き曇(くも)り、018地上(ちじやう)の一切(いつさい)を天空(てんくう)に捲(ま)きあげむばかりの猛烈(まうれつ)なる旋風(せんぷう)が起(おこ)つた。019神人(かみがみ)らはいづれも九死(きうし)一生(いつしやう)の思(おも)ひをなして、020石神像(せきしんざう)の岩下(がんか)に集(あつ)まり、021天地(てんち)に拝跪(はいき)して救助(きうじよ)を祈(いの)りつつあつた。
022 雲(くも)はおひおひ低下(ていか)して石神像(せきしんざう)のもとに降(くだ)りきたり、023雲中(うんちう)より剣光(けんくわう)閃(ひらめ)くよと見(み)るまに、024石神像(せきしんざう)に寸分(すんぶん)違(ちが)はぬ容貌(ようばう)の生神(いきがみ)が忽然(こつぜん)として現(あら)はれた。025この神(かみ)はたちまち光芒(くわうぼう)陸離(りくり)たる両刃(もろは)の剣(つるぎ)をもつて中空(ちうくう)にむかひ左右左(さいうさ)に打振(うちふ)つた。026さしもの強雨(がうう)烈風(れつぷう)もパタリとやんで紺碧(こんぺき)の空(そら)と化(くわ)し、027日光(につくわう)燦然(さんぜん)として輝(かがや)きわたりはじめた。
028 神人(かみがみ)らは蘇生(そせい)の思(おも)ひをなし、029思(おも)わずウローウローと叫(さけ)びつつ、030その生神(いきがみ)の周囲(しうゐ)に集(あつ)まり、031合掌(がつしやう)礼拝(れいはい)感謝(かんしや)の涙(なみだ)をながした。032これは大江山(たいかうざん)の鬼武彦(おにたけひこ)にして、033今(いま)は天教山(てんけうざん)の野立彦(のだちひこの)命(みこと)の命(めい)を奉(ほう)じ、034この郷(きやう)に大江(おほえの)神(かみ)と改名(かいめい)して、035予言(よげん)警告(けいこく)を与(あた)ふるために出現(しゆつげん)したるなり。036神人(かみがみ)らは石神像(せきしんざう)に寸毫(すんがう)の差(さ)なきを見(み)て、037石神(いしがみ)の霊化(れいくわ)して生神(いきがみ)と現(あら)はれたまひしものと固(かた)く信(しん)じ、038ただちに輿(こし)に乗(の)せて顕恩郷(けんおんきやう)の宮殿(きうでん)に奉迎(ほうげい)し、039祝杯(しゆくはい)をあげて勇(いさ)みたつた。
040 大江(おほえの)神(かみ)はおもむろに口(くち)を開(ひら)き、
041『三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)にふさがる泥(どろ)の海(うみ)、042月日(つきひ)と地(つち)の恩(おん)を忘(わす)れな、043心次第(こころしだい)の救(たす)け神(がみ)』
044と声(こゑ)高(たか)らかに唱(とな)へだした。045神人(かみがみ)らは一向(いつかう)合点(がてん)ゆかず、
046『かかる平和(へいわ)にして且(か)つ天恵(てんけい)の充分(じうぶん)なる顕恩郷(けんおんきやう)の、047いかでか泥(どろ)の海(うみ)とならむや』
048と怪(あや)しみて、049口々(くちぐち)に反問(はんもん)した。
050 大江(おほえの)神(かみ)は、051大神(おほかみ)の神意(しんい)を詳細(しやうさい)に語(かた)り伝(つた)へ、
052『この際(さい)心(こころ)を悔(く)い改(あらた)め、053月日(つきひ)と大地(だいち)の四恩(しおん)を感謝(かんしや)し、054博(ひろ)く神人(しんじん)を愛(あい)し、055公平(こうへい)無私(むし)なる行動(かうどう)をもつて天地(てんち)の神明(しんめい)に奉仕(ほうし)し、056神人(しんじん)たるの天職(てんしよく)をつくせよ。057すべて神(かみ)の神人(しんじん)をこの土(ど)に下(くだ)したまふや、058神(かみ)の広大(くわうだい)無辺(むへん)なる至仁(しじん)至愛(しあい)の理想(りさう)を実現(じつげん)し、059天国(てんごく)を地上(ちじやう)に建設(けんせつ)し、060天下(てんか)の蒼生(さうせい)をして禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)に至(いた)るまで各(おのおの)その安住(あんぢう)の所(ところ)を得(え)せしめ、061神(かみ)とともに至治(しち)太平(たいへい)の聖代(せいだい)を楽(たのし)まむがためなり。062しかるにこの顕恩郷(けんおんきやう)は、063神(かみ)の深(ふか)き四恩(しおん)によつて風(かぜ)暖(あたた)かく、064風雨(ふうう)は時(とき)を違(たが)へず、065花(はな)は香(かん)ばしく、066果実(くわじつ)は豊(ゆたか)にしてその味(あぢ)はひ美(うる)はし。067しかるにエデンの大河(たいが)を限(かぎ)りとし、068南岸(なんがん)の橙園郷(とうゑんきやう)は、069南方(なんぱう)に山(やま)高(たか)くして日光(につくわう)を遮(さへぎ)り、070かつ北風(きたかぜ)強(つよ)く果実(くわじつ)常(つね)に実(みの)らず、071住民(ぢうみん)は飢餓(きが)に迫(せま)り、072精神(せいしん)自(おのづか)ら荒涼(くわうりやう)と化(くわ)し、073ほとんど人民(じんみん)たるの資格(しかく)を保持(ほぢ)せざるに至(いた)れり。074これぞ全(まつた)く、075衣食住(いしよくぢう)の豊(ゆたか)ならざるに基因(きいん)するものなり。076しかるにこの顕恩郷(けんおんきやう)は、077衣食(いしよく)足(た)り余(あま)り、078美(うる)はしき果実(くわじつ)は地(ち)に落(お)ち、079腐蝕(ふしよく)するに任(まか)せ、080天恩(てんおん)を無視(むし)すること甚(はなはだ)し。081かくのごとくして歳月(さいげつ)を経過(けいくわ)せば、082つひには天誅(てんちう)たちどころに至(いた)つて、083南天王(なんてんわう)のごとく郷神(きやうしん)に襲(おそ)はれ、084つひには橙園王(とうゑんわう)に討伐(たうばつ)され、085天授(てんじゆ)の恩恵(おんけい)を捨(す)てざるべからざるの悲境(ひきやう)に沈淪(ちんりん)し、086あたかも餓鬼(がき)畜生(ちくしやう)の境遇(きやうぐう)に堕(だ)するに至(いた)らむ。087汝(なんぢ)ら神人(かみがみ)らは天地(てんち)の大神(おほかみ)の至仁(しじん)至愛(しあい)の大御心(おほみこころ)を察知(さつち)し奉(まつ)り、088地(ち)広(ひろ)く果実(くわじつ)多(おほ)きこの顕恩郷(けんおんきやう)をして汝(なんぢ)ら神人(かみがみ)らの独占(どくせん)することなく、089橙園郷(とうゑんきやう)の住民(ぢうみん)の移住(いぢう)を許(ゆる)し、090相(あひ)ともに天恵(てんけい)の深(ふか)きを感謝(かんしや)せよ』
091と言葉(ことば)おごそかに説示(せつじ)した。
092 神人(かみがみ)らはこの教示(けうじ)を聞(き)いて、093初(はじ)めて天地(てんち)の神意(しんい)を悟(さと)り、094何事(なにごと)も大江(おほえの)神(かみ)の指揮(しき)に従(したが)ふこととなつた。095大江(おほえの)神(かみ)は、096神人(かみがみ)らの一言(いちげん)にしてわが言(げん)に心服(しんぷく)せしことをよろこび、097深(ふか)く歎賞(たんしやう)しつつ蟹若(かにわか)その他(た)の神人(かみがみ)らを引率(いんそつ)し、098エデンの大河(たいが)を渡(わた)つて、099みづから橙園郷(とうゑんきやう)に致(いた)り、100橙園王(とうゑんわう)に面会(めんくわい)を求(もと)め、101その神意(しんい)を伝(つた)へた。
102 橙園王(とうゑんわう)は、103初(はじ)めのうちは大江(おほえの)神(かみ)の神威(しんゐ)に恐(おそ)れて戦慄(せんりつ)し、104近(ちか)づき来(きた)らず、105かつ部下(ぶか)の住民(ぢうみん)は、106先(さき)を争(あらそ)うて山(やま)深(ふか)く姿(すがた)をかくした。107されど、108大江(おほえの)神(かみ)の仁慈(じんじ)の言葉(ことば)に漸(やうや)く安堵(あんど)して、109その命(めい)に従(したが)ひ郷民(きやうみん)を全部(ぜんぶ)引率(いんそつ)して、110顕恩郷(けんおんきやう)に移住(いぢう)することとなつた。
111 顕恩郷(けんおんきやう)の神(かみ)の数(かず)は、112以前(いぜん)に三倍(さんばい)することとなつた。113されど無限(むげん)の天恵(てんけい)は、114衣食住(いしよくぢう)に余裕(よゆう)を存(そん)し、115住(す)むに十分(じふぶん)の余地(よち)をなしてゐたのである。116彼我(ひが)の神人(かみがみ)は、117仁慈(じんじ)無限(むげん)の大江(おほえの)神(かみ)の教示(けうじ)を遵奉(じゆんぽう)し、118今(いま)まで犬猿(けんゑん)ただならざりし両郷(りやうきやう)の種族(しゆぞく)も、119今(いま)は親子(おやこ)兄弟(きやうだい)のごとく、120相親(あひした)しみ相(あひ)愛(あい)して、121ここに小天国(せうてんごく)は建設(けんせつ)されたるなり。
122(大正一一・一・九 旧大正一〇・一二・一二 外山豊二録)
123(第五章~第二一章 昭和一〇・三・二九 於吉野丸船室 王仁校正)
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