霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三七章 凱歌(がいか)〔四三〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第5篇 百花爛漫 よみ(新仮名遣い):ひゃっからんまん
章:第37章 凱歌 よみ(新仮名遣い):がいか 通し章番号:430
口述日:1922(大正11)年02月17日(旧01月21日) 口述場所: 筆録者:河津雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
一同が来て見れば、護送されていったはずの照彦が高笑いをしている。
その場にやってきた一同に対して、照彦は自分の素性を明かした。照彦は、月照彦(大八洲彦命の後身)の再来であった。月照彦の照彦は、木花姫命の御心により、桃上彦の部下となって、三姉妹を守護していたのだ、と明かした。
一同は霊妙な神の仕組みに言葉もなかった。
そこへ、鷹取別の部下・遠山別が部下を率いて訪ねて来た。春山彦の三姉妹を常世神王の側に出仕させるように、という鷹取別の命令を伝えて、月・雪・花の三姉妹を迎えに来たのであった。
親子三姉妹は常世神王の命令を受諾し、別れを告げ、三姉妹は駕籠に乗せられて常世城へと出立して行った。
しかしまたしても不思議にも、連れて行かれたはずの三姉妹は、無事に春山彦の館に居るのであった。春山彦は、またもや鬼武彦に救われたことに気づき、一同はオリオン星座に現れた救いの神への感謝の宣伝歌を歌った。
この後、宣伝使一行は、月・雪・花の三姉妹を伴い、春山彦夫婦に別れを告げて、目の国指して進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-12-24 01:44:16 文字数:2955 OBC :rm0937
愛善世界社版:288頁 八幡書店版:第2輯 377頁 修補版: 校定版:299頁 普及版:122頁 初版: ページ備考:
001 朝日(あさひ)は空(そら)に照彦(てるひこ)の、002神(かみ)の命(みこと)の宣伝使(せんでんし)、003戸山(とやま)津見(づみ)と改(あらた)めて、004情(なさけ)も深(ふか)き春山彦(はるやまひこ)の、005館(やかた)に着(つ)くや、006一息(ひといき)つく間(ま)もあらず、007中依別(なかよりわけ)の捕手(とりて)の駕籠(かご)に乗(の)せられて、008怯(お)めず臆(おく)せず、009宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひながら、010数多(あまた)の人(ひと)に送(おく)られつ、011駕籠(かご)にぶらぶら揺(ゆす)られ行(ゆ)く。012後(あと)に照彦(てるひこ)は、013窓(まど)の戸(と)押(お)し開(ひら)き、014大口(おほぐち)開(ひら)いて高笑(たかわら)ひ。
015照彦『ワアハヽヽヽヽヽ、016よくも化(ばか)されよつたなア。017それにつけても雄々(をを)しきは、018鬼武彦(おにたけひこ)が白狐(びやくこ)の働(はたら)き、019アヽ面白(おもしろ)し面白(おもしろ)し。020ヤアヤア駒山彦(こまやまひこ)、021松(まつ)、022竹(たけ)、023梅(うめ)の宣伝使(せんでんし)殿(どの)、024春山彦(はるやまひこ)御(ご)一家(いつか)の方々(かたがた)、025これへお越(こ)し遊(あそ)ばされよ』
026と声(こゑ)高々(たかだか)と呼(よ)ばはれば、027心(こころ)轟(とどろ)く駒山彦(こまやまひこ)、028千騎(せんき)一騎(いつき)の胸(むね)も春山彦(はるやまひこ)夫婦(ふうふ)、029親子(おやこ)は一(いち)時(じ)にこの場(ば)に現(あら)はれ、030松代姫(まつよひめ)は言葉(ことば)しとやかに、
031(駒山彦?)『ヤア、032そなたは照彦(てるひこ)殿(どの)、033何(ど)うしてマア無事(ぶじ)に免(のが)れましたか。034斯(か)う云(い)ふ間(うち)にも心(こころ)が急(せ)く。035またもや鷹取別(たかとりわけ)の手下(てした)の者(もの)共(ども)、036そなたの所在(ありか)を探(たづ)ね、037引返(ひきかへ)し来(きた)るも計(はか)り難(がた)し。038早(はや)くこの場(ば)を落(お)ち行(ゆ)けよ』
039照彦『ワアハヽヽヽヽヽ、040何(なに)さ何(なに)さ、041たとへ鷹取別(たかとりわけ)、042鬼神(きじん)を挫(くじ)く勇(ゆう)ありとも、043吾(われ)また神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)の神術(かむわざ)を以(もつ)て、044幾百万(いくひやくまん)の曲津見(まがつみ)を、045千変(せんぺん)万化(ばんくわ)に駆(か)け悩(なや)まし、046言向和(ことむけやは)し麻柱(あななひ)の、047神(かみ)の教(をしへ)に帰順(きじゆん)せしめむは案(あん)の内(うち)、048必(かなら)ず心配(しんぱい)あらせられな。049吾(われ)は今(いま)まで照彦(てるひこ)となつて、050ヱルサレムの桃上彦(ももがみひこの)命(みこと)が僕(しもべ)となり、051日(ひ)に夜(よ)に汝(なんぢ)ら三(さん)人(にん)を守護(まも)り居(ゐ)たるは、052天教山(てんけうざん)に現(あ)れませる木(こ)の花姫(はなひめ)の御心(みこころ)にて神政(しんせい)成就(じやうじゆ)の先駆(さきがけ)をなし、053黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)の戦闘(たたかひ)を治(をさ)め、054常世国(とこよのくに)に塞(ふさ)がれる八重(やへ)棚雲(たなぐも)を吹(ふ)き払(はら)ひ、055隈(くま)なく照(て)らす月照彦(つきてるひこ)の神(かみ)の再来(さいらい)、056照彦(てるひこ)とは仮(かり)の名(な)、057今(いま)は尊(たふと)き天(あま)の数歌(かずうた)、058一(ひと)、059二(ふた)、060三(み)、061四(よ)、062五(いつ)、063六(むゆ)、064七(なな)、065八(や)、066九(ここの)、067十(たり)。068十(たり)の名(な)に負(お)ふ戸山(とやま)津見(づみ)の神(かみ)、069如何(いか)なる曲霊(まがひ)の来(きた)るとも、070吾(わが)身(み)のこの世(よ)に在(あ)らむ限(かぎ)りは、071案(あん)じ煩(わづら)ひ給(たま)ふ事(こと)勿(なか)れ』
072と初(はじ)めて明(あ)かす身(み)の素性(すじやう)。073春山彦(はるやまひこ)を始(はじ)めとし、074松竹梅(しようちくばい)や雪月花(せつげつくわ)、075駒山彦(こまやまひこ)や夏姫(なつひめ)も、076思(おも)はず顔(かほ)を看守(みまも)つて、077何(なん)の辞(ことば)もなかりける。078またも聞(きこ)ゆる人馬(じんば)の物音(ものおと)、079はて訝(いぶ)かしやと、080窓(まど)押(お)し開(あ)けて眺(なが)むれば、081黄昏(たそがれ)の暗(やみ)を照(てら)して、082こなたに向(む)かつて進(すす)み来(きた)る高張(たかはり)提燈(ちやうちん)旗差物(はたさしもの)、083遠山別(とほやまわけ)が紋所(もんどころ)、084白地(しろぢ)に葵(あふひ)の著(いちじる)く、085風(かぜ)に揺(ゆ)られて瞬(またた)きゐる。
086春山彦『あの旗印(はたじるし)は擬(まが)ふ方(かた)なき遠山別(とほやまわけ)、087この場(ば)の秘密(ひみつ)を窺(うかが)ひ知(し)つて、088又(また)もや捕手(とりて)を向(む)けたるならむ。089ヤア、090方々(かたがた)、091片時(へんじ)も早(はや)く裏庭(うらには)を越(こ)え、092巌室(いはむろ)に忍(しの)ばせ給(たま)へ。093春山彦(はるやまひこ)の神力(しんりき)に依(よつ)て、094如何(いか)なる敵(てき)をも引受(ひきう)け申(まを)さむ。095早(はや)く早(はや)く』
096と急(せ)き立(た)つれば、
097『アイ』
098と答(こた)へて七(しち)人(にん)の女(をんな)達(たち)、099裏庭(うらには)指(さ)して出(い)でて行(ゆ)く。
100 照彦(てるひこ)、101駒山彦(こまやまひこ)は突(つ)つ立(た)ち上(あが)り、
102照彦(てるひこ)『ヤア、103面白(おもしろ)し面白(おもしろ)し、104曲津(まがつ)の張本(ちやうほん)遠山別(とほやまわけ)、105たとへ幾百万(いくひやくまん)の軍勢(ぐんぜい)を引連(ひきつ)れ攻(せ)め来(きた)るとも、106この照彦(てるひこ)が言霊(ことたま)の、107伊吹(いぶき)の狭霧(さぎり)に吹(ふ)き散(ち)らし、108言向和(ことむけやは)すは目(ま)のあたり。109春山彦(はるやまひこ)殿(どの)、110必(かなら)ず懸念(きづか)ひなされますな』
111春山彦『実(げ)に有難(ありがた)き戸山(とやま)津見(づみ)[※照彦のこと]の御(おん)仰(あふ)せ。112さりながら、113吾(われ)らも間(はざま)の郷(さと)の司神(つかさがみ)、114女々(めめ)しくも、115助太刀(すけだち)を受(う)け、116敵(てき)を悩(なや)まし、117卑怯(ひけふ)未練(みれん)と笑(わら)はれむより、118吾(われ)は心(こころ)を神(かみ)に任(まか)せ奉(たてまつ)り、119生命(いのち)の続(つづ)く限(かぎ)り、120吾(わが)言霊(ことたま)の有(あ)らむ限(かぎ)り言向和(ことむけやは)し、121それも叶(かな)はぬその時(とき)は、122この細腕(ほそうで)の動(うご)く限(かぎ)り、123剣(つるぎ)の目釘(めくぎ)の続(つづ)くだけ、124縦横(じうわう)無尽(むじん)に斬(き)り捲(まく)り、125潔(いさぎよ)く討死(うちじに)仕(つかまつ)らむ。126貴神(きしん)は暫(しばら)く控(ひか)へさせ給(たま)へ』
127照彦『ヤア、128勇(いさ)ましし勇(いさ)ましし、129照彦(てるひこ)は奥庭(おくには)に身(み)をしのび、130貴神(きしん)が働(はたら)き見物(けんぶつ)仕(つかまつ)らむ。131羽山津見(はやまづみ)[※駒山彦のこと]来(きた)れ』
132と徐々(しづしづ)と裏口(うらぐち)開(あ)けて出(い)でて行(ゆ)く。133門(もん)の戸(と)打破(うちやぶ)り、134乱(みだ)れ入(い)り来(きた)る遠山別(とほやまわけ)、135家来(けらい)の面々(めんめん)引連(ひきつ)れて、136遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)もなく座敷(ざしき)に駆(か)け上(あが)り、
137遠山別『ヤア、138春山彦(はるやまひこ)、139松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)の宣伝使(せんでんし)を鷹取別(たかとりわけ)に送(おく)られしは天晴(あつぱれ)あつぱれ、140さりながら、141汝(なんぢ)には、142月(つき)、143雪(ゆき)、144花(はな)の三(さん)人(にん)の娘(むすめ)ありと聞(き)く。145万々一(まんまんいち)替玉(かへだま)にあらずやとの鷹取別(たかとりわけ)の御(おん)疑(うたが)ひ、146照山彦(てるやまひこ)、147竹山彦(たけやまひこ)の証言(しようげん)もあれど、148念(ねん)のため、149汝(なんぢ)が娘(むすめ)三(さん)人(にん)を一度(いちど)常世(とこよ)へ伴(つ)れ帰(かへ)り、150真偽(しんぎ)を糺(ただ)せよとの思召(おぼしめし)、151君命(くんめい)拒(こば)むに由(よし)なく、152遠山別(とほやまわけ)、153使者(ししや)として罷(まか)り越(こ)したり、154速(すみや)かに三(さん)人(にん)の娘(むすめ)を渡(わた)されよ[※遠山別が偽常世神王(広国別)に、月雪花の三姉妹を捕まえて来いと命じられるシーンは第10巻第5章「狐々怪々」にある。]』
155と言葉(ことば)鋭(するど)く居丈高(ゐたけだか)、156肩臂(かたひぢ)怒(いか)らし睨(にら)み入(い)る。157春山彦(はるやまひこ)は、158ハツと胸(むね)を衝(つ)きながら、159決心(けつしん)の色(いろ)を浮(うか)べ、
160春山彦『天(てん)にも地(ち)にも掛替(かけがへ)なき三(さん)人(にん)の娘(むすめ)なれど、161誰(たれ)あらう鷹取別(たかとりわけ)の御(おん)仰(あふ)せ、162否(いな)むに由(よし)なし、163謹(つつ)しんで御旨(みむね)を奉戴(ほうたい)し、164娘(むすめ)をお渡(わた)し申(まを)さむ。165暫(しばら)く待(ま)たれよ』
166と語(かた)る折(をり)しも、167月(つき)雪(ゆき)花(はな)の三(さん)人(にん)は、168美々(びび)しきみなりの扮装(いでたち)にてこの場(ば)に現(あら)はれ、169三(さん)人(にん)一度(いちど)に両手(りやうて)をつき、
170月、雪、花『これはこれは遠山別(とほやまわけ)様(さま)、171この見苦(みぐる)しき荒屋(あばらや)へ、172よくこそ入来(いら)せられました。173妾(わらは)は仰(あふ)せに従(したが)ひ、174唯今(ただいま)より参(まゐ)りますれば、175何分(なにぶん)宜敷(よろし)く御(お)願(ねが)ひ申(まを)します。176アヽ、177父母(ちちはは)様(さま)、178妾(わらは)は往(い)つて参(まゐ)ります。179人間(にんげん)は老少(らうせう)不定(ふぢやう)、180これが長(なが)のお別(わか)れにならうも知(し)れませぬ、181随分(ずゐぶん)無事(ぶじ)で、182夫婦(ふうふ)仲(なか)よく暮(くら)して下(くだ)されませ』
183と、184三(さん)人(にん)一度(いちど)に声(こゑ)を曇(くも)らせ泣(な)き沈(しづ)む。
185遠山別『ヤア、186天晴(あつぱれ)々々(あつぱれ)、187さても美(うつく)しいものだ。188春山彦(はるやまひこ)殿(どの)、189遠山別(とほやまわけ)が良(よ)きに計(はか)らはむ。190そなたは好(よ)い子(こ)を有(も)たれたものだ。191この娘(むすめ)を常世(とこよ)神王(しんわう)の小間使(こまづかひ)に奉(たてまつ)らば、192汝(なんぢ)夫婦(ふうふ)が身(み)の出世(しゆつせ)、193お祝(いは)ひ申(まを)す。194アハヽヽヽ、195ヤア、196家来(けらい)の者(もの)ども、197この三(さん)人(にん)の娘(むすめ)を一(いち)時(じ)も早(はや)く駕籠(かご)にお乗(の)せ申(まを)せ』
198家来『ホーイ』
199と答(こた)へて家来(けらい)の大勢(おほぜい)、200三挺(さんちやう)の駕籠(かご)を担(かつ)ぎ来(きた)り、201三(さん)人(にん)の娘(むすめ)を乗(の)せて後白浪(あとしらなみ)と帰(かへ)り行(ゆ)く。[※遠山別が月雪花の宣伝使を連れて常世城に帰城するシーンは第10巻第8章「善悪不可解」にある。]
202 春山彦(はるやまひこ)は娘(むすめ)の駕籠(かご)を、203月(つき)に透(す)かして打眺(うちなが)め打(うち)ながめ、204青息(あをいき)吐息(といき)つく折(をり)しも、205照彦(てるひこ)を先頭(せんとう)に妻(つま)の夏姫(なつひめ)、206松竹梅(まつたけうめ)の宣伝使(せんでんし)、207月(つき)雪(ゆき)花(はな)のわが娘(むすめ)、208駒山彦(こまやまひこ)も諸共(もろとも)に、209一度(いちど)にこの場(ば)に現(あら)はれ来(きた)るぞ不思議(ふしぎ)なる。
210春山彦『ヤア、211そなたは秋月姫(あきづきひめ)、212深雪姫(みゆきひめ)、213橘姫(たちばなひめ)か、214どうして此処(ここ)へ帰(かへ)り来(きた)りしぞ。215警護(けいご)厳(きび)しき駕籠(かご)の中(なか)、216ハテ合点(がてん)がいかぬ』
217と両手(りやうて)を組(く)み、218頭(かしら)を垂(た)れて思案顔(しあんがほ)。
219照彦『ヤア、220春山彦(はるやまひこ)殿(どの)、221千変(せんぺん)万化(ばんくわ)の白狐(びやくこ)が働(はたら)き、222最早(もはや)この上(うへ)は大丈夫(だいぢやうぶ)、223心(こころ)を落付(おちつ)けられよ』
224と、225言(い)はれて驚(おどろ)く春山彦(はるやまひこ)。
226春山彦『アヽ、227有難(ありがた)や、228又(また)もや鬼武彦(おにたけひこ)の御(おん)身代(みがは)り』
229と、230両手(りやうて)を合(あは)せ、231神前(しんぜん)に向(むか)つて手(て)を拍(う)ち声(こゑ)も静(しづ)かに神言(かみごと)を宣(の)る。232神(かみ)の仕組(しぐみ)の引合(ひきあは)せ、233三男(さんなん)七女(しちぢよ)の水晶(すゐしやう)の御魂(みたま)も揃(そろ)ふ十曜(とえう)の神紋(しんもん)、234一(ひと)、235二(ふた)、236三(み)、237四(よ)、238五(いつ)、239六(むゆ)、240七(なな)、241八(や)、242九(ここの)、243十(たり)と、244天(あま)の数歌(かずうた)うたひながら、245男女(だんぢよ)五(ご)人(にん)の宣伝使(せんでんし)、246親子(おやこ)五(ご)人(にん)は一斉(いつせい)に、247心(こころ)いそいそ宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ふ。
248一同『厳(いづ)の御魂(みたま)や瑞御魂(みづみたま)
249十曜(とえう)の紋(もん)の現(あら)はれて
250常世(とこよ)の国(くに)はまだおろか
251高砂島(たかさごじま)や筑紫島(つくしじま)
252豊葦原(とよあしはら)の瑞穂国(みづほくに)
253島(しま)の八十島(やそしま)八十国(やそくに)に
254三五(さんご)の月(つき)の御教(みをしへ)を
255残(のこ)る隈(くま)なく宣(の)べ伝(つた)へ
256天地(てんち)の神(かみ)の神業(かむわざ)に
257仕(つか)へ奉(まつ)らむ吾(われ)らの天職(つとめ)
258あゝ面白(おもしろ)し潔(いさぎよ)し
259間(はざま)の国(くに)を立出(たちい)でて
260青葉(あをば)も茂(しげ)る目(め)の国(くに)や
261常世(とこよ)の国(くに)の常世城(とこよじやう)
262ロッキー山(ざん)に蟠(わだか)まる
263八岐(やまた)大蛇(をろち)や醜神(しこがみ)を
264言向和(ことむけやは)し千早振(ちはやぶ)る
265神(かみ)の御国(みくに)に復(かへ)し見(み)む
266かへす常磐(ときは)の松(まつ)の世(よ)を
267五六七(みろく)の神(かみ)の現(あら)はれて
268千代(ちよ)も八千代(やちよ)も万代(よろづよ)も
269天津(あまつ)日嗣(ひつぎ)の動(ゆる)ぎなく
270月日(つきひ)の如(ごと)く明(あきら)けく
271輝(かがや)き渡(わた)る神(かみ)の国(くに)
272輝(かがや)き渡(わた)る神(かみ)の稜威(いづ)
273厳(いづ)の御魂(みたま)の大御神(おほみかみ)
274瑞(みづ)の御魂(みたま)の大御神(おほみかみ)
275月日(つきひ)を添(そ)へて十柱(とはしら)の
276十曜(とえう)の神旗(しんき)勇(いさ)ましく
277天津(あまつ)御風(みかぜ)に靡(なび)かせつ
278曲(まが)の砦(とりで)に攻(せ)め寄(よ)せむ
279この世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
280心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
281直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞(き)き直(なほ)し
282七十五(しちじふご)声(せい)の言霊(ことたま)に
283天地(あめつち)四方(よも)の民草(たみぐさ)を
284靡(なび)かせ救(すく)ふ勇(いさ)ましさ
285日(ひ)は照(て)る光(ひか)る月(つき)は盈(み)つ
286三五(さんご)の月(つき)は中空(ちうくう)に
287輝(かがや)き渡(わた)り天地(あめつち)を
288支(ささ)へ保(たも)てるその如(ごと)く
289太(ふと)き功(いさを)を三(み)ツ星(ぼし)や
290北極星(ほくきよくせい)を基(もと)として
291数多(あまた)の星(ほし)の廻転(めぐ)るごと
292百(もも)の御魂(みたま)を言向(ことむ)け照(てら)し
293オリオン星座(せいざ)に現(あら)はれし
294救(すく)ひの神(かみ)に復命(かへりごと)
295申(まを)さむためのこの首途(かどで)
296曲津(まがつ)の猛(たけ)ぶ黄泉島(よもつじま)
297黄泉軍(よもついくさ)を足曳(あしびき)の
298山(やま)の尾(を)の上(へ)に蹴(け)り散(ち)らし
299河(かは)の瀬(せ)毎(ごと)に吹(ふ)き払(はら)ひ
300払(はら)ひ清(きよ)むる神(かみ)の国(くに)
301千秋(せんしう)万歳(ばんざい)万々歳(ばんばんざい)
302堅磐(かきは)常磐(ときは)の松(まつ)の世(よ)の
303神(かみ)の功(いさを)ぞ尊(たふと)けれ』
304 斯(か)く歌(うた)ひ終(をは)り、305宣伝使(せんでんし)は月(つき)雪(ゆき)花(はな)の三(さん)人(にん)を伴(ともな)ひ、306春山彦(はるやまひこ)夫婦(ふうふ)に別(わか)れを告(つ)げて、307声(こゑ)も涼(すず)しく宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひながら、308メキシコ指(さ)して進(すす)み行(ゆ)く。
309(大正一一・二・一七 旧一・二一 河津雄録)
310(昭和一〇・三・三〇 王仁校正)
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