霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第9巻(申の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 長途の旅
第1章 都落
第2章 エデンの渡
第3章 三笠丸
第4章 大足彦
第5章 海上の神姿
第6章 刹那信心
第7章 地獄の沙汰
第2篇 一陽来復
第8章 再生の思
第9章 鴛鴦の衾
第10章 言葉の車
第11章 蓬莱山
第3篇 天涯万里
第12章 鹿島立
第13章 訣別の歌
第14章 闇の谷底
第15章 団子理屈
第16章 蛸釣られ
第17章 甦生
第4篇 千山万水
第18章 初陣
第19章 悔悟の涙
第20章 心の鏡
第21章 志芸山祇
第22章 晩夏の風
第23章 高照山
第24章 玉川の滝
第25章 窟の宿替
第26章 巴の舞
第5篇 百花爛漫
第27章 月光照梅
第28章 窟の邂逅
第29章 九人娘
第30章 救の神
第31章 七人の女
第32章 一絃琴
第33章 栗毛の駒
第34章 森林の囁
第35章 秋の月
第36章 偽神憑
第37章 凱歌
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(二)
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第9巻(申の巻)
> 第5篇 百花爛漫 > 第36章 偽神憑
<<< 秋の月
(B)
(N)
凱歌 >>>
第三六章
偽神憑
(
にせかむがかり
)
〔四二九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:
第5篇 百花爛漫
よみ(新仮名遣い):
ひゃっからんまん
章:
第36章 偽神憑
よみ(新仮名遣い):
にせかんがかり
通し章番号:
429
口述日:
1922(大正11)年02月17日(旧01月21日)
口述場所:
筆録者:
東尾吉雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
照彦は三姉妹の宣伝使と再会を果たした。
駒山彦は、智利の国の山奥で、照彦の神懸りに絞られた件を持ち出して挨拶する。照彦は神懸りの真似を始めた。照彦は言霊で駒山彦のあらを述べ立てる。駒山彦も負けじと言霊で応戦する。
駒山彦は怒って立ち上がろうとすると、体が動かない。駒山彦が降参すると、照彦は霊縛を解いた。しかしこれは、駒山彦、照彦が戯れに神懸りと霊縛の真似をしたのであって、本当の神懸り・霊縛ではなかった。
一同はどっと笑うが、そのうちに鷹取別の部下が、召し取られた(ということになっている)照彦を護送しに来た。
照彦は悠然として罪人の駕籠に乗り込んで行ってしまったが、不思議にも本当の照彦は、春山彦の館に居たままであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
2022/10/14章題を「偽神懸」から「偽神憑」に修正。
データ最終更新日:
2022-10-14 21:20:07
OBC :
rm0936
愛善世界社版:
277頁
八幡書店版:
第2輯 373頁
修補版:
校定版:
288頁
普及版:
116頁
初版:
ページ備考:
001
馬
(
うま
)
を
乗
(
の
)
り
捨
(
す
)
て、
002
春山彦
(
はるやまひこ
)
と
共
(
とも
)
に
悠々
(
いういう
)
とこの
場
(
ば
)
に
現
(
あらは
)
れたる
戸山津見
(
とやまづみの
)
神
(
かみ
)
の
照彦
(
てるひこ
)
は、
003
一同
(
いちどう
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て
大
(
おほい
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
004
照彦
『オーこれはしたり、
005
松
(
まつ
)
、
006
竹
(
たけ
)
、
007
梅
(
うめ
)
の
御
(
ご
)
姉妹
(
きやうだい
)
、
008
思
(
おも
)
はぬ
処
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
りました。
009
御
(
ご
)
姉妹
(
きやうだい
)
否
(
いな
)
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
010
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
心
(
こころ
)
にかかる
旅
(
たび
)
の
空
(
そら
)
、
011
何処
(
いづく
)
の
空
(
そら
)
に
坐
(
ま
)
しますやと、
012
明
(
あ
)
け
暮
(
く
)
れ
空
(
そら
)
を
仰
(
あふ
)
いで
雲
(
くも
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
眺
(
なが
)
め、
013
心
(
こころ
)
を
煩
(
わづら
)
はして
居
(
を
)
りました』
014
と
落
(
お
)
つる
涙
(
なみだ
)
を
袖
(
そで
)
に
拭
(
ぬぐ
)
ふ。
015
松
(
まつ
)
、
016
竹
(
たけ
)
、
017
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
018
松、竹、梅
『そなたは
照彦
(
てるひこ
)
……いやいや
戸山津見
(
とやまづみの
)
神
(
かみ
)
殿
(
どの
)
、
019
ようまあ
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
でゐて
下
(
くだ
)
さいました。
020
これといふのも
吾
(
われ
)
らを
守
(
まも
)
り
給
(
たま
)
ふ
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐ
)
み』
021
と
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れ
居
(
ゐ
)
たる。
022
駒山彦
『イヤア
照彦
(
てるひこ
)
、
023
アヽではない
戸山津見
(
とやまづみの
)
神
(
かみ
)
殿
(
どの
)
、
024
この
夏
(
なつ
)
は
智利
(
てる
)
の
山奥
(
やまおく
)
にて、
025
いかいお
世話
(
せわ
)
になりました。
026
イヤもうその
時
(
とき
)
の
苦
(
くる
)
しさ、
027
友達
(
ともだち
)
甲斐
(
かひ
)
もない
男
(
をとこ
)
だと、
028
駒山彦
(
こまやまひこ
)
も
一度
(
いちど
)
は
恨
(
うら
)
んで
見
(
み
)
たが、
029
思
(
おも
)
ひかへせば
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せ、
030
併
(
しか
)
しながら、
031
もう
何卒
(
どうぞ
)
神懸
(
かむがか
)
りにならないやうに
気
(
き
)
をつけて
下
(
くだ
)
さい』
032
照彦
(
てるひこ
)
はワザと
神懸
(
かむがか
)
りの
真似
(
まね
)
をして、
033
照彦
『アヽヽ』
034
駒山彦
『イヤー、
035
また
始
(
はじ
)
まつた。
036
この
美
(
うつく
)
しい
七
(
しち
)
人
(
にん
)
の
女神
(
めがみ
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
で、
037
吾々
(
われわれ
)
の
恥
(
はぢ
)
を
素破
(
すつぱ
)
抜
(
ぬ
)
かれては
堪
(
た
)
まつたものでない。
038
あゝどうか
今日
(
けふ
)
は
皆
(
みな
)
さまに
免
(
めん
)
じてお
鎮
(
しづ
)
まりを
願
(
ねが
)
ひます』
039
照彦
『
ア
ヽヽ
三五教
(
あ
ななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
040
荒野
(
あ
らの
)
に
彷徨
(
さまよ
)
ひ
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
、
041
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
ぶ
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさ。
042
イ
ヽヽ
い
ぢけた
イ
モリの
ベタ
ベタと、
043
井戸
(
ゐ
ど
)
の
底
(
そこ
)
を
潜
(
くぐ
)
るやうに、
044
枉津
(
まがつ
)
に
懼
(
おそ
)
れて
生命
(
い
のち
)
からがら
此処
(
ここ
)
まで
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
誰
(
たれ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
045
ウ
ヽヽ
珍山彦
(
う
づやまひこ
)
に
棄
(
ほか
)
されて、
046
動
(
う
ご
)
きの
取
(
と
)
れぬ
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
、
047
憂
(
う
)
しや
悲
(
かな
)
しや、
048
蹇
(
あしな
)
への、
049
身
(
み
)
はままならぬ
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
百夜
(
ひやくや
)
、
050
泣
(
な
)
いて
暮
(
くら
)
すか
杜鵑
(
ほととぎす
)
。
051
エ
ヽヽ
え
らい
元気
(
げんき
)
ではしやいで、
052
後先
(
あとさき
)
見
(
み
)
ずに
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く、
053
向
(
むか
)
ふの
見
(
み
)
えぬ
誰
(
たれ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
054
オ
ヽヽ
可笑
(
を
か
)
しかつたぞ、
055
面白
(
お
もしろ
)
かつたぞ。
056
恐
(
お
そ
)
ろしさうな
顔
(
かほ
)
をして、
057
暗
(
くら
)
い
谷間
(
たにま
)
に
残
(
のこ
)
された、
058
愚者
(
お
ろかもの
)
の
何処
(
どこ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
』
059
駒山彦
『また
言霊
(
ことたま
)
か、
060
言霊
(
ことたま
)
の
妙
(
めう
)
を
得
(
え
)
たるこの
駒山彦
(
こまやまひこ
)
には
敵
(
かな
)
ふまい。
061
よし
此方
(
こつち
)
にも
覚悟
(
かくご
)
がある。
062
ア
フンと
致
(
いた
)
して
泡
(
あ
わ
)
を
吹
(
ふ
)
いたる、
063
阿呆面
(
あ
はうづら
)
のどこやらの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
064
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
姫
(
ひめ
)
を
見失
(
みうしな
)
ひ、
065
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
が
閉
(
すぼ
)
まらなんだ、
066
顎
(
あ
ご
)
の
達者
(
たつしや
)
な
何処
(
どこ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
、
067
哀
(
あ
は
)
れなりける
次第
(
しだい
)
なりだ。
068
イ
ヽヽ
い
らざる
理屈
(
りくつ
)
を
拗
(
こ
)
ね
廻
(
まは
)
し、
069
そこら
中
(
ぢう
)
の
人間
(
にんげん
)
に、
070
茨
(
い
ばら
)
のやうに
忌
(
い
)
み
嫌
(
きら
)
はれる
意地悪
(
い
ぢわる
)
の
い
かさま
宣伝使
(
せんでんし
)
。
071
ウ
ヽヽ
狼狽
(
う
ろた
)
へ
廻
(
まは
)
り、
072
姫
(
ひめ
)
の
跡
(
あと
)
を
血眼
(
ちまなこ
)
になつて
騒
(
さわ
)
ぎ
廻
(
まは
)
り、
073
夢
(
ゆめ
)
にさへも
囈言
(
う
はごと
)
を
喋
(
しやべ
)
くり、
074
嘘
(
う
そ
)
は
言
(
い
)
うたか
言
(
い
)
はぬか
知
(
し
)
らぬが、
075
霜
(
しも
)
に
う
たれ
頭
(
あたま
)
を
打
(
う
)
ち、
076
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
う
つつ
)
か
三太郎
(
さんたらう
)
か、
077
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
せられ
生命
(
いのち
)
からがらここまで
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
何処
(
どこ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
078
エ
ヽヽヽ
エ
グイ
責苦
(
せめく
)
にあはされて、
079
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
080
人
(
ひと
)
の
前
(
まへ
)
では
豪
(
え
ら
)
さうに
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
く、
081
オ
ヽヽ
大
(
お
ほ
)
馬鹿者
(
ばかもの
)
の
臆病者
(
お
くびようもの
)
、
082
オ
ケ
オ
ケ、
083
もうそんな
馬鹿
(
ばか
)
な
神懸
(
かむがか
)
りは、
084
誰
(
たれ
)
も
聴手
(
ききて
)
がないやうになるぞよ』
085
照彦
(
てるひこ
)
は、
086
照彦
『カヽヽ』
087
と
始
(
はじ
)
め
出
(
だ
)
す。
088
駒山彦
『イヤー、
089
また
神懸
(
かむがか
)
りが
始
(
はじ
)
まつたのか。
090
こいつが
神懸
(
かむがか
)
りになりよると、
091
執拗
(
しつこ
)
いの
執拗
(
しつこ
)
うないのつて、
092
腐
(
くさ
)
り
鰯
(
いわし
)
が
網
(
あみ
)
に
ひつ
着
(
つ
)
いたやうに、
093
容易
(
ようい
)
に
放
(
はな
)
れて
呉
(
く
)
れぬので
困
(
こま
)
つて
了
(
しま
)
ふ』
094
照彦
『
カ
ヽヽ
烏
(
か
らす
)
を
鷺
(
さぎ
)
と
言
(
い
)
ひくるめ、
095
恥
(
はぢ
)
かき
歩
(
ある
)
く
何処
(
どこ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
096
一
(
ひと
)
つ
言
(
い
)
うては
頭
(
あたま
)
掻
(
か
)
き、
097
遣
(
や
)
り
込
(
こ
)
められては
恥
(
はぢ
)
を
か
く。
098
か
け
替
(
が
)
へのない
一
(
ひと
)
つの
頭
(
あたま
)
を
粗末
(
そまつ
)
に
使
(
つか
)
ふ
粕
(
か
す
)
宣伝使
(
せんでんし
)
。
099
頑固
(
か
たくな
)
一方
(
いつぱう
)
の、
100
神鰹節
(
か
みかつぶし
)
の
ガ
ツト
虫
(
むし
)
。
101
キ
ヽヽ
北
(
き
た
)
へ
北
(
き
た
)
へと
進
(
すす
)
んで
来
(
き
)
たが、
102
き
つい
嵐
(
あらし
)
に
吹
(
ふ
)
き
捲
(
まく
)
られ、
103
際
(
きは
)
どい
処
(
ところ
)
で
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けられ、
104
消
(
き
)
ゆるばかりの
思
(
おも
)
ひをいたし、
105
き
つい
戒
(
いまし
)
め
食
(
く
)
うた
何処
(
どこ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
106
ク
ヽヽ
黒
(
く
ろ
)
い
顔
(
かほ
)
して
燻
(
く
すぶ
)
つて、
107
四十八
(
しじふや
)
癖
(
く
せ
)
を
列
(
なら
)
べられ、
108
谷底
(
たにぞこ
)
で
くたば
つた
心
(
こころ
)
の
弱
(
よわ
)
い、
109
ケ
ヽヽ
毛色
(
け
いろ
)
の
変
(
かは
)
つた、
110
怪態
(
け
たい
)
な、
111
吝
(
け
ち
)
な、
112
コ
ヽヽ
菎蒻腰
(
こ
んにやくごし
)
。
113
コ
ソ
コ
ソと
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
に
逃
(
に
)
げられて、
114
困
(
こ
ま
)
り
入
(
い
)
つたる
駒山彦
(
こ
まやまひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
』
115
駒山彦
『
照彦
(
てるひこ
)
の
奴
(
やつ
)
、
116
どこまでも
俺
(
おれ
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にするのか。
117
これほどの
多勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
で
悪言
(
あくげん
)
暴語
(
ばうご
)
を
列
(
なら
)
べるか、
118
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
、
119
守
(
まも
)
らぬ
奴
(
やつ
)
は
枉津
(
まがつ
)
の
容
(
い
)
れ
物
(
もの
)
。
120
カ
ヽヽ
勘弁
(
か
んべん
)
ならぬぞ、
121
覚悟
(
か
くご
)
はよいか。
122
売
(
う
)
り
言葉
(
ことば
)
に
買
(
か
)
ひ
言葉
(
ことば
)
だ。
123
まだこの
上
(
うへ
)
に
勝手
(
か
つて
)
な
熱
(
ねつ
)
を
吹
(
ふ
)
きよるなら、
124
俺
(
おれ
)
も
沢山
(
たくさん
)
言分
(
いひぶん
)
があるぞ。
125
キ
ヽヽ
キ
リ
キ
リチヤツトこの
方
(
はう
)
の
申
(
まを
)
すことを
諾
(
き
)
かばよし、
126
聞
(
き
)
き
入
(
い
)
れなくば
聞
(
き
)
くやうにして
聞
(
き
)
かしてやる。
127
貴様
(
き
さま
)
のやうな
奇態
(
き
たい
)
な
面
(
つら
)
をして、
128
気違
(
き
ちが
)
ひのやうな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つて、
129
人
(
ひと
)
に
傷
(
き
ず
)
をつけ、
130
奇的
(
き
てき
)
滅法界
(
めつばふかい
)
な
枉津
(
まがつ
)
の
神懸
(
かむがか
)
りを
致
(
いた
)
し、
131
人
(
ひと
)
の
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
事
(
こと
)
ばかり
囀
(
さへづ
)
り、
132
それで
気分
(
き
ぶん
)
がよいと
思
(
おも
)
ふか。
133
気味
(
き
み
)
の
悪
(
わる
)
い
手
(
て
)
つきをさらしよつて、
134
智利山
(
てるやま
)
の
谷底
(
たにぞこ
)
で
何
(
なに
)
を
吐
(
ほざ
)
いた。
135
ク
ヽヽ
苦労
(
く
らう
)
が
足
(
た
)
らぬから、
136
もつと
苦労
(
く
らう
)
を
致
(
いた
)
せと
言
(
い
)
うたぢやないか。
137
二本
(
にほん
)
の
足
(
あし
)
を
持
(
も
)
ちながら、
138
苦労
(
く
らう
)
が
辛
(
つら
)
さに
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
るとは
何
(
なん
)
のこと。
139
ケ
ヽヽ
家来
(
け
らい
)
の
身
(
み
)
を
持
(
も
)
ちながら、
140
主人
(
しゆじん
)
を
見放
(
みはな
)
し、
141
コ
ヽヽ
小賢
(
こ
ざか
)
しく
コ
セ
コ
セ
小理屈
(
こ
りくつ
)
を
申
(
まを
)
す
何処
(
どこ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
142
言
(
い
)
ふなら
言
(
い
)
へ、
143
なんぼ
言
(
い
)
つても
こ
たへぬ
此
(
この
)
方
(
はう
)
、
144
今
(
いま
)
までの
駒山彦
(
こ
まやまひこ
)
とはわけが
違
(
ちが
)
ふぞよ』
145
照彦
『
サ
ヽヽ
騒
(
さ
わ
)
ぐな
囀
(
さ
へづ
)
るな、
146
酒
(
さ
け
)
を
食
(
くら
)
うて
酔
(
よ
)
うたよな、
147
逆理屈
(
さ
かりくつ
)
は
聞
(
き
)
く
耳
(
みみ
)
持
(
も
)
たぬ、
148
さ
ても
さ
ても
騒
(
さ
わ
)
がしい
奴
(
やつ
)
だ。
149
シ
ヽヽ
醜女
(
し
こめ
)
探女
(
さぐめ
)
に
追
(
お
)
ひかけられて、
150
ス
ヽヽ
ス
ウ
ス
ウ
息
(
いき
)
をはづませながら、
151
ス
タ
ス
タ
逃
(
に
)
げゆく
そこら
の
宣伝使
(
せ
んでんし
)
。
152
雪隠
(
せ
んち
)
で
饅頭
(
まんぢう
)
食
(
く
)
つたよに、
153
ソ
ヽヽ
素知
(
そ
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
した
臭
(
くさ
)
い
臭
(
くさ
)
い
宣伝使
(
せんでんし
)
』
154
駒山彦
『オイ、
155
照彦
(
てるひこ
)
、
156
言霊
(
ことたま
)
の
練習
(
れんしふ
)
をやるのか、
157
言霊
(
ことたま
)
ならまた
後
(
あと
)
でゆつくりと
聞
(
き
)
かう。
158
もういい
加減
(
かげん
)
に
サ
ヽヽ
さ
らりと
止
(
や
)
めたらどうだ。
159
余
(
あんま
)
り
さ
し
出
(
で
)
ると
シ
ヽヽ
尻尾
(
し
つぽ
)
を
出
(
だ
)
して
遣
(
や
)
らうか、
160
し
ぶとい
奴
(
やつ
)
だ。
161
ス
ヽヽ
酸
(
す
)
いも
甘
(
あま
)
いも
弁
(
わきま
)
へ
知
(
し
)
つた
駒山彦
(
こまやまひこ
)
を、
162
セ
ヽヽ
攻
(
せ
)
めやうと
思
(
おも
)
つても、
163
ソ
ヽヽ
そ
うはゆかぬぞ。
164
そ
の
手
(
て
)
は
食
(
く
)
はぬ
秋鼠
(
あきねずみ
)
だ』
165
照彦
『
タ
ヽヽ
叩
(
た
た
)
くな
叩
(
た
た
)
くな、
166
顎
(
あご
)
を
叩
(
た
た
)
くな。
167
高
(
た
か
)
い
鼻
(
はな
)
を
捻折
(
ねぢを
)
つて
改心
(
かいしん
)
さして
遣
(
や
)
らうか。
168
チ
ヽヽ
力
(
ち
から
)
も
神徳
(
しんとく
)
もない
癖
(
くせ
)
に、
169
ツ
ヽヽ
次
(
つ
ぎ
)
へ
次
(
つ
ぎ
)
へと
理屈
(
りくつ
)
を
申
(
まを
)
す
つ
まらぬ
奴
(
やつ
)
、
170
月夜
(
つ
きよ
)
に
釜
(
かま
)
をぬかれたやうな
詰
(
つ
ま
)
らぬ
顔
(
かほ
)
して、
171
テ
ヽヽ
天地
(
て
んち
)
の
間
(
あひだ
)
を
股
(
また
)
にかけ、
172
途中
(
とちゆう
)
に
踏
(
ふ
)
ん
迷
(
まよ
)
うて
栃麺棒
(
と
ちめんぼう
)
をふる、
173
ト
ヽヽ
呆
(
と
ぼ
)
け
面
(
づら
)
の
何処
(
どこ
)
やらの
宣伝使
(
せんでんし
)
。
174
ト
コ
ト
ンまで
剥
(
む
)
いてやらうか』
175
駒山彦
『
タ
カの
知
(
し
)
れた
宣伝使
(
せんでんし
)
の
言葉
(
ことば
)
。
176
チ
ヽヽ
一寸
(
ち
よつと
)
も
取
(
と
)
り
柄
(
え
)
のない、
177
ツ
ヽヽ
詰
(
つ
ま
)
らぬ
事
(
こと
)
を、
178
テ
ヽヽ
手柄顔
(
て
がらがほ
)
に
喋
(
しやべ
)
くり
散
(
ち
)
らして、
179
仕舞
(
しまひ
)
の
果
(
はて
)
にや、
180
ト
ヽヽ
ト
ンブリ
返
(
かへ
)
りを
打
(
う
)
ちよるな、
181
ト
ツクリと
自分
(
じぶん
)
の
心
(
こころ
)
に
相談
(
さうだん
)
して
見
(
み
)
よ』
182
照彦
(
てるひこ
)
『
ナ
ヽヽ
怠惰
(
な
まくら
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふな、
183
其辺中
(
そこらぢう
)
をウラル
彦
(
ひこ
)
の
手下
(
てした
)
に
追
(
お
)
はれて
ニ
ヽヽ
逃
(
に
)
げ
廻
(
まは
)
し、
184
ヌ
ヽヽ
脱
(
ぬ
か
)
つた
面
(
つら
)
して、
185
ネ
ヽヽ
猫
(
ね
こ
)
を
冠
(
かぶ
)
つて
野良鼠
(
の
らねずみ
)
のやうに、
186
の
さばり
歩
(
ある
)
く
宣伝使
(
せんでんし
)
』
187
駒山彦
『
駒山彦
(
こまやまひこ
)
だぞ、
188
ソリヤ、
189
ナヽ
何
(
なに
)
吐
(
ぬ
)
かす』
190
と
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
か
)
へ
立上
(
たちあ
)
がらむとする。
191
不思議
(
ふしぎ
)
や
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
身体
(
しんたい
)
強直
(
きやうちよく
)
して、
192
首
(
くび
)
から
下
(
した
)
は
又
(
また
)
もやビクともせなくなつてゐる。
193
照彦
『オイ
駒山彦
(
こまやまひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
194
イヤ
羽山津見
(
はねやまづみ
)
、
195
一
(
ひと
)
つ
立
(
た
)
つて
はね
廻
(
まは
)
つたらどうだ』
196
駒山彦
『オイ、
197
また
霊縛
(
れいばく
)
をかけよつたなア。
198
此奴
(
こいつ
)
は
降参
(
かうさん
)
々々
(
かうさん
)
、
199
どうしてもお
前
(
まへ
)
には、
200
この
宣伝使
(
せんでんし
)
も
兜
(
かぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
がねばならぬワイ。
201
改
(
あらた
)
めて
戸山津見
(
とやまづみの
)
神
(
かみ
)
どの、
202
今
(
いま
)
までの
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
、
203
平
(
ひら
)
に
御
(
お
)
宥
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
204
アヽヽ
怪体
(
けたい
)
の
悪
(
わる
)
いことだ。
205
無理
(
むり
)
往生
(
わうじやう
)
をさせられて
堪
(
たま
)
つたものぢやないワ』
206
照彦
(
てるひこ
)
はウンと
一声
(
ひとこゑ
)
。
207
羽山津見
(
はねやまづみ
)
は
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
208
照彦
『アヽこれで
鬼
(
おに
)
に
鉄棒
(
かなぼう
)
、
209
おまけに
羽
(
はね
)
の
生
(
は
)
えたやうなものだ。
210
サアこれから
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
へ
行
(
い
)
つて、
211
鷹取別
(
たかとりわけ
)
の
羽
(
はね
)
をむしつて、
212
跳
(
は
)
ねてはねて
跳
(
は
)
ね
廻
(
まは
)
つて、
213
羽山津見
(
はねやまづみ
)
にならうかい』
214
一同
(
いちどう
)
は
声
(
こゑ
)
を
上
(
あ
)
げて
思
(
おも
)
はず、
215
一同
『ワハヽヽヽ、
216
オホヽヽヽ』
217
と
笑
(
わら
)
ひ
伏
(
ふ
)
す。
218
春山彦
(
はるやまひこ
)
『なんと
神憑
(
かむがか
)
り
[
※
初版・愛世版では「神憑り」、校定版では「神懸り」。
]
と
云
(
い
)
ふものは
妙
(
めう
)
なものですな、
219
戸山
(
とやま
)
津見
(
づみ
)
の
神
(
かみ
)
さま、
220
神憑
(
かむがか
)
り
[
※
初版・愛世版では「神憑り」、校定版では「神懸り」。
]
の
時
(
とき
)
にはどんな
御
(
ご
)
気分
(
きぶん
)
になつて
居
(
を
)
られますか』
221
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『イヤ、
222
春山彦
(
はるやまひこ
)
さま、
223
嘘
(
うそ
)
ですよ。
224
この
男
(
をとこ
)
はいつもよく
喋舌
(
しやべ
)
る
癖
(
くせ
)
があるのですからなア。
225
あんな
事
(
こと
)
が
神憑
(
かむがか
)
り
[
※
初版・愛世版では「神憑り」、校定版では「神懸り」。
]
であつて
堪
(
たま
)
りますか、
226
アハヽヽヽ』
227
春山彦
『それでも
貴方
(
あなた
)
、
228
霊縛
(
れいばく
)
とやらかけられて、
229
身動
(
みうご
)
きも
出来
(
でき
)
なかつたぢやありませぬか』
230
駒山彦
『いや、
231
一寸
(
ちよつと
)
足
(
あし
)
が
痺
(
しび
)
れたので
立
(
た
)
てなかつたのです。
232
この
場
(
ば
)
の
興
(
きよう
)
を
添
(
そ
)
へるため、
233
滑稽
(
こつけい
)
を
演
(
えん
)
じてお
目
(
め
)
にかけたのですよ』
234
照彦
(
てるひこ
)
『アハヽヽ、
235
そらさうだ。
236
お
前
(
まへ
)
もよく
霊縛
(
れいばく
)
にかかつた
様
(
やう
)
な
真似
(
まね
)
を
上手
(
じやうづ
)
にしたねー。
237
アハヽヽヽ』
238
夏姫
(
なつひめ
)
『なんと
貴方
(
あなた
)
がたは
気楽
(
きらく
)
なお
方
(
かた
)
ですこと、
239
今宵
(
こよひ
)
貴方
(
あなた
)
を
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
ると、
240
鷹取別
(
たかとりわけ
)
の
家来
(
けらい
)
の
中依別
(
なかよりわけ
)
が
駕籠
(
かご
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
く
)
るのですから、
241
それまでに
何
(
なん
)
とか
用意
(
ようい
)
をしなくてはなりませぬが……』
242
照彦
(
てるひこ
)
『イヤ、
243
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな。
244
吾々
(
われわれ
)
には、
245
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
護
(
まも
)
りがあります。
246
確信
(
かくしん
)
が
御座
(
ござ
)
いますから』
247
と
話
(
はな
)
す
折
(
を
)
りしも、
248
又
(
また
)
もや
門外
(
もんぐわい
)
騒
(
さわ
)
がしく、
249
人馬
(
じんば
)
の
足音
(
あしおと
)
近寄
(
ちかよ
)
り
来
(
きた
)
る。
250
春山彦
(
はるやまひこ
)
は、
251
春山彦
『どうやら
捕手
(
とりて
)
が
来
(
き
)
た
様子
(
やうす
)
、
252
どうぞ
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
、
253
奥
(
おく
)
の
岩窟
(
いはや
)
にお
這入
(
はい
)
りを
願
(
ねが
)
ひます』
254
駒山彦
(
こまやまひこ
)
『
吾々
(
われわれ
)
は
敵
(
てき
)
を
見
(
み
)
て
旗
(
はた
)
を
捲
(
ま
)
くは
本意
(
ほんい
)
でござらぬ。
255
捕手
(
とりて
)
の
来
(
く
)
るを
幸
(
さいは
)
ひ、
256
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
連
(
つ
)
れ
行
(
ゆ
)
かれ、
257
跳
(
は
)
ねてはねて
跳
(
は
)
ね
廻
(
まは
)
り、
258
一泡
(
ひとあわ
)
吹
(
ふ
)
かせてやりませうかい』
259
春山彦
『
左様
(
さう
)
でもございませうが、
260
吾々
(
われわれ
)
の
願
(
ねが
)
ひごと、
261
どうぞ
素直
(
すなほ
)
にお
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さいますやうに』
262
駒山彦
『イヤー
主人
(
しゆじん
)
の
頼
(
たの
)
みとあれば
仕方
(
しかた
)
がない。
263
サア、
264
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
さま、
265
暫
(
しばら
)
く
奥
(
おく
)
で
休息
(
きうそく
)
いたしませうかい。
266
ヤー
戸山津見
(
とやまづみの
)
神
(
かみ
)
殿
(
どの
)
、
267
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
へ
潔
(
いさぎよ
)
く
行
(
い
)
つて
来
(
こ
)
い。
268
吾々
(
われわれ
)
は
後
(
あと
)
からお
手伝
(
てつだ
)
ひに
行
(
ゆ
)
くからな』
269
と
言
(
い
)
ひ
残
(
のこ
)
し、
270
裏口
(
うらぐち
)
さして
悠々
(
いういう
)
と
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
271
早
(
はや
)
くも
中依別
(
なかよりわけ
)
の
配下
(
はいか
)
は
門口
(
かどぐち
)
の
閾
(
しきゐ
)
をまたげ、
272
中依別
『ただ
今
(
いま
)
中依別
(
なかよりわけ
)
の
神
(
かみ
)
、
273
宣伝使
(
せんでんし
)
を
召捕
(
めしと
)
りに
参
(
まゐ
)
りました。
274
どうぞお
渡
(
わた
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
275
春山彦
(
はるやまひこ
)
『
大切
(
たいせつ
)
の
罪人
(
とがにん
)
、
276
よく
検
(
あらた
)
めて
受取
(
うけと
)
られよ』
277
中依別
(
なかよりわけ
)
は
静
(
しづか
)
に、
278
中依別
『ヤア、
279
宣伝使
(
せんでんし
)
殿
(
どの
)
、
280
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ながらこの
駕籠
(
かご
)
にお
召
(
め
)
し
下
(
くだ
)
さい』
281
照彦
(
てるひこ
)
は
悠然
(
いうぜん
)
として
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれ、
282
照彦
『オー、
283
汝
(
なんぢ
)
は
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
鷹取別
(
たかとりわけ
)
の
家来
(
けらい
)
、
284
中依別
(
なかよりわけ
)
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
か、
285
イヤー
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い。
286
吾
(
われ
)
こそは
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
287
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
打渡
(
うちわた
)
り、
288
汝
(
なんぢ
)
の
如
(
ごと
)
き
悪神
(
あくがみ
)
を
片端
(
かたつぱし
)
から
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
し、
289
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをし
)
へに
救
(
すく
)
ひやらむと
此処
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
たのだ。
290
ヤー
出迎
(
でむか
)
へ
大儀
(
たいぎ
)
だ。
291
早
(
はや
)
くこれへ
駕籠
(
かご
)
を
持
(
も
)
て。
292
大切
(
たいせつ
)
に
舁
(
かつ
)
げよ。
293
途中
(
とちう
)
に
落
(
おと
)
しなど
致
(
いた
)
すに
於
(
おい
)
ては
神罰
(
しんばつ
)
立処
(
たちどころ
)
だ。
294
気
(
き
)
を
注
(
つ
)
けて
大切
(
たいせつ
)
に
送
(
おく
)
り
申
(
まを
)
せ』
295
中依別
『
汝
(
なんぢ
)
罪人
(
とがにん
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て、
296
中依別
(
なかよりわけ
)
に
対
(
たい
)
し
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
な
広言
(
くわうげん
)
、
297
吠面
(
ほえづら
)
かわくな』
298
戸山
(
とやま
)
津見
(
づみ
)
は、
299
莞爾
(
にこにこ
)
としながら、
300
駕籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したり。
301
中依別
『ヤー
春山彦
(
はるやまひこ
)
、
302
天晴
(
あつぱ
)
れあつぱれ
褒美
(
ほうび
)
にはこれを
遣
(
つか
)
はす』
303
と
懐
(
ふところ
)
より
数多
(
あまた
)
の
宝
(
たから
)
を
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
し、
304
玄関
(
げんくわん
)
に
投
(
な
)
げつけ、
305
葦毛
(
あしげ
)
の
駒
(
こま
)
にヒラリと
跨
(
またが
)
り、
306
数多
(
あまた
)
の
人
(
ひと
)
を
指揮
(
しき
)
しながら、
307
中依別
(
なかよりわけ
)
は
悠々
(
いういう
)
としてこの
家
(
や
)
を
後
(
あと
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
[
※
中依別に捕まった照彦(白狐が化けた偽者)が常世城に護送されて来るシーンは第10巻第5章「狐々怪々」にある。
]
308
照彦
(
てるひこ
)
『アハヽヽヽ、
309
狐
(
きつね
)
にまた
抓
(
つま
)
まれよつたな』
310
(
大正一一・二・一七
旧一・二一
東尾吉雄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 秋の月
(B)
(N)
凱歌 >>>
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第9巻(申の巻)
> 第5篇 百花爛漫 > 第36章 偽神憑
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第36章 偽神憑|第9巻|霊主体従|霊界物語|/rm0936】
合言葉「みろく」を入力して下さい→