霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 赤玉(あかだま)出現(しゆつげん)〔四三三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻 篇:第1篇 千軍万馬 よみ(新仮名遣い):せんぐんばんば
章:第3章 赤玉出現 よみ(新仮名遣い):あかだましゅつげん 通し章番号:433
口述日:1922(大正11)年02月19日(旧01月23日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年8月20日
概要: 舞台:常世城 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
常世城の奥殿では、照山彦、竹山彦が間の国で三宣伝使捕縛の様子を、常世神王と鷹取別に報告していた。常世神王、鷹取別はご機嫌斜めならず、二人に慰労の言葉をかけた。
照山彦は感謝を述べ立てた。竹山彦は三五教の宣伝使は必ず見つけて御前に引き出して見せよう、と意気を露にしたが、広国別が常世神王の影武者になっていることを非難し、照山彦が得意そうに功名を誇っている様を笑い飛ばした。
照山彦は立ち上がり、固虎にすぐに三宣伝使を引き出してつれてくるようにと催促した。すぐに連れて参ります、という固虎の声がしたかと思うと、たちまちあたりは暗黒となり、暴風が吹きすさんだ。
突然、暗黒の中に毬のような一個の玉が現れた。玉は光は発さないが、赤、白、黄色、紫と色を変じながら、照山彦の頭に向かってポンと突き当たった。
照山彦はアイタタ、と叫んでうつぶせに倒れた。玉は照山彦の頭をつきながら跳ねている。玉を打とうとした鷹取別は、仰向けに倒れてしまった。
今度は玉は鷹取別の頭をついて跳ねはじめた。すると鷹取別の体は硬直してしまった。次に玉は常世神王の額に向かって衝突し、高座から打ち倒した。
竹山彦は玉に向かって、悪神退散の言霊を発した。すると玉は姿を消し、猛り狂った風も止んだ。竹山彦は銀燭に火を灯した。玄関には、松・竹・梅の三宣伝使を伴い来た固虎が、腰を抜かしていた。
竹山彦は、松・竹・梅の三姉妹に、常世神王、鷹取別、照山彦の介抱を命じた。たちまち辺りは馥郁たる香りに包まれ、喨々たる音楽が聞こえてきた。
常世神王、鷹取別、照山彦は三姉妹に介抱されて痛さも忘れ、悦に入っている。これ以降、三姉妹と竹山彦は常世神王に重用され、重要な決定には必ず参画するほどになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-07-15 17:31:02 文字数:2639 OBC :rm1003
愛善世界社版:25頁 八幡書店版:第2輯 399頁 修補版: 校定版:28頁 普及版:11頁 初版: ページ備考:
001 花毛氈(はなまうせん)を敷(し)き詰(つ)めたる常世城(とこよじやう)の大奥(おほおく)には、002常世(とこよ)神王(しんわう)中央(ちうあう)の高座(かうざ)に現(あら)はれ、003鷹取別(たかとりわけ)、004玉山彦(たまやまひこ)を左右(さいう)に侍(はべ)らせ、005鶴翼(かくよく)の陣(ぢん)を張(は)りしが如(ごと)く傲然(がうぜん)として構(かま)へ居(ゐ)る。006照山彦(てるやまひこ)、007竹山彦(たけやまひこ)はズツと退(さが)つて下座(げざ)に控(ひか)へ、008間(はざま)の国(くに)に使(つか)ひせし一伍(いちぶ)一什(しじふ)の顛末(てんまつ)を喋々(てふてふ)として陳(の)べ立(た)つれば、009常世(とこよ)神王(しんわう)は機嫌(きげん)斜(ななめ)ならず、
010常世神王(広国別)『天晴(あつぱ)れ天晴(あつぱ)れ汝(なんぢ)らが功名(こうみやう)、011流石(さすが)の日(ひ)の出神(でのかみ)も、012汝(なんぢ)等(ら)が縦横(じうわう)無尽(むじん)の機略(きりやく)には舌(した)を捲(ま)くであらう。013今後(こんご)はますます力(ちから)を尽(つく)し、014抜群(ばつぐん)の功名(こうみやう)手柄(てがら)を顕(あら)はせよ』
015照山彦『ヤア、016思(おも)ひがけなき御(お)褒(ほめ)の御(お)言葉(ことば)、017照山彦(てるやまひこ)の身(み)として、018分(ぶん)に過(す)ぎたる勿体(もつたい)なさ。019今後(こんご)はますます常世(とこよ)神王(しんわう)の御(おん)為(ため)に、020粉骨(ふんこつ)砕身(さいしん)、021犬馬(けんば)の労(らう)を吝(をし)まざるの覚悟(かくご)で御座(ござ)ります』
022鷹取別(たかとりわけ)『わが推量(すゐりやう)に違(たが)はず、023今日(こんにち)の使命(しめい)を首尾(しゆび)よく果(はた)せし両人(りやうにん)、024常世(とこよ)神王(しんわう)におかせられても嘸(さぞ)御(ご)満足(まんぞく)ならむ。025鷹取別(たかとりわけ)も感(かん)じ入(い)りたり』
026竹山彦『これはしたり、027常世(とこよ)神王(しんわう)とやら、028広国別(ひろくにわけ)の大国彦(おほくにひこ)、029大国彦(おほくにひこ)の広国別(ひろくにわけ)、030何(なに)が何(なん)だか自由(じいう)自在(じざい)に千変(せんぺん)万化(ばんくわ)の大自在天(だいじざいてん)だと、031途上(とじやう)にての噂(うはさ)、032聞(き)いたる時(とき)の竹山彦(たけやまひこ)の心(こころ)の裡(うち)の腹立(はらだた)しさ。033竹山彦(たけやまひこ)の竹(たけ)を割(わ)つたる清(きよ)い正(ただ)しい心(こころ)は何(なん)とやら、034常世(とこよ)の暗(やみ)の雲(くも)につつまれた心地(ここち)ぞ致(いた)したり。035如何(いか)に三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)、036常世(とこよ)の国(くに)に来(きた)るとも、037竹山彦(たけやまひこ)のあらむ限(かぎ)りは、038わが天眼通(てんがんつう)力(りき)にて所在(ありか)を探(たづ)ね、039一々(いちいち)御前(ごぜん)に引摺(ひきず)り出(いだ)し御(おん)目(め)に懸(か)けむ。040頭(あたま)も光(ひか)る照山彦(てるやまひこ)の人(ひと)も無(な)げなる功名顔(こうみやうがほ)、041余(あま)りの可笑(をか)しさ臍茶(へそちや)の至(いた)り、042ワハヽヽヽヽ』
043と四辺(あたり)に轟(とどろ)く竹山彦(たけやまひこ)の笑(わら)ひ声(ごゑ)。
044 日(ひ)は早(はや)西(にし)に傾(かたむ)きて、045黄昏(たそがれ)告(つ)ぐる村鴉(むらがらす)、046カハイカハイと鳴(な)きながら、047塒(ねぐら)を指(さ)して帰(かへ)り行(ゆ)く。048無常(むじやう)を告(つ)ぐる鐘(かね)の音(ね)は、049コーンコーンコーン、050コンコンコンと響(ひび)くなり。051間毎(まごと)を照(て)らす銀燭(ぎんしよく)の、052眩(まばゆ)きばかり頭(あたま)の光(ひか)り照山彦(てるやまひこ)は、053むつくと立(た)ち上(あが)り、
054照山彦『ヤアヤア、055固虎(かたとら)々々(かたとら)、056何(なに)を愚図(ぐづ)々々(ぐづ)いたして居(を)るか。057早(はや)く三(さん)人(にん)をこの場(ば)へ誘(いざな)ひ来(きた)れ』
058と呼(よば)はれば、059声(こゑ)の下(した)より固虎(かたとら)は、
060固虎『只今(ただいま)三(さん)人(にん)の娘(むすめ)、061それへ召伴(めしつ)れ参(まゐ)ります。062暫(しば)らく待(ま)たせられよ』
063と言(い)ふ折(をり)しも、064忽(たちま)ち四面(しめん)暗黒(あんこく)となり、065暴風(ばうふう)吹(ふ)き荒(すさ)び、066奥殿(おくでん)の柱(はしら)は前後(ぜんご)左右(さいう)に揺(ゆる)ぎ出(だ)し、067百雷(ひやくらい)の一(いち)時(じ)に轟(とどろ)く如(ごと)き地響(ぢひびき)、068続々(ぞくぞく)として鳴動(めいどう)し、069燦然(さんぜん)たる銀燭(ぎんしよく)の光(ひかり)は忽然(こつぜん)として消(き)え失(う)せ、070黒白(あやめ)も分(わ)かぬ真黒(しんこく)の闇(やみ)の岩戸(いはと)は下(おろ)されたり。071鷹取別(たかとりわけ)は暗中(あんちう)より大音声(だいおんじやう)、
072鷹取別『ヤアヤア者(もの)ども、073咫尺(しせき)も弁(べん)じ難(がた)きこの暗黒(あんこく)、074片時(へんじ)も早(はや)く燈火(とうくわ)を点(てん)ぜよ』
075と呼(よば)はる声(こゑ)は、076百雷(ひやくらい)の一(いち)時(じ)に轟(とどろ)く如(ごと)くなる大音響(だいおんきやう)に包(つつ)まれて、077聞(きこ)えざるこそもどかしき。078常世(とこよ)神王(しんわう)は心(こころ)も心(こころ)ならず、079暗中(あんちう)に端坐(たんざ)し、080如何(いかが)成(な)り行(ゆ)くならむと、081黙然(もくねん)として胸(むね)躍(をど)らせ控(ひか)へ居(ゐ)る。082暗中(あんちう)を縫(ぬ)うて毬(まり)の如(ごと)き一箇(いつこ)の玉(たま)、083座敷(ざしき)の中央(ちうあう)に忽然(こつぜん)として現(あら)はれ、084見(み)るみる座敷(ざしき)の中央(ちうあう)を右(みぎ)に左(ひだり)に、085前(まへ)に後(うしろ)に浮遊(ふいう)し始(はじ)めたり。086されど色(いろ)赤(あか)きのみにて少(すこ)しも光輝(くわうき)を放射(はうしや)せず、087玉(たま)は赤(あか)、088白(しろ)、089黄(き)、090紫(むらさき)、091いろいろと色(いろ)を変(へん)じ、092照山彦(てるやまひこ)の禿頭(はげあたま)に向(むか)つて、093ポンと突(つ)き当(あた)れば、
094照山彦『アイタヽヽ』
095と照山彦(てるやまひこ)は俯伏(うつぶ)せになる。096玉(たま)は子供(こども)の毬(まり)をつくやうに照山彦(てるやまひこ)の頭(あたま)を基点(きてん)として、097ポンポンポンポンとつき出(いだ)すにぞ、098鷹取別(たかとりわけ)はその玉(たま)を打(う)たむとして座席(ざせき)より踏(ふ)み外(はづ)し、099スツテンドウと仰向(あふむ)けに倒(たふ)れたれば、100玉(たま)は所(ところ)を替(か)へて、101鷹取別(たかとりわけ)の仰向(あふむ)けに倒(たふ)れた頭(あたま)の上(うへ)を、102又(また)もやポンポンポンポンと毬(まり)つき始(はじ)めぬ。103不思議(ふしぎ)や、104鷹取別(たかとりわけ)の身体(からだ)は強直(きやうちよく)してビクとも動(うご)き得(え)ず、105玉(たま)は又(また)もや位置(ゐち)を替(か)へ、106鼻(はな)の上(うへ)に来(きた)りて又(また)もや毬(まり)をつく。107鷹取別(たかとりわけ)は、
108鷹取別『アイタヽ、109アイタヽヽ、110鼻(はな)が破(めげ)る。111堪(た)まらぬ堪(た)まらぬ』
112と泣声(なきごゑ)をしぼる。113玉(たま)は又(また)もや常世(とこよ)神王(しんわう)の額(ひたひ)に向(むか)つて、114唸(うな)りを立(た)てて衝突(しようとつ)したるその勢(はづみ)に、115常世(とこよ)神王(しんわう)は高座(かうざ)より仰向(あふむ)けに後方(こうはう)の席(せき)に筋斗(もんどり)打(う)つて顛倒(てんたふ)し、116息(いき)も絶(た)え絶(だ)えに呻(うめ)き苦(くる)しむ折(をり)もあれ、117竹山彦(たけやまひこ)は暗中(あんちう)より大音声(だいおんじやう)、
118竹山彦『ヤア、119奇怪(きくわい)千万(せんばん)なる此(こ)の場(ば)の光景(くわうけい)、120火(ひ)の玉(たま)となつて風雨(ふうう)を起(おこ)し、121唸(うな)り声(ごゑ)を響(ひび)かせ、122又(また)もや常世城(とこよじやう)を攪乱(かくらん)せむとする心(こころ)憎(にく)き八十(やそ)曲津(まがつ)神(かみ)、123わが言霊(ことたま)の威力(ゐりよく)にくたばれよ』
124と言葉(ことば)の下(もと)に、125火(ひ)の玉(たま)は姿(すがた)を掻(か)き消(け)し、126今(いま)まで猛(たけ)り狂(くる)ひし風(かぜ)の響(ひびき)はピタリと止(や)みて、127空(そら)には一面(いちめん)の星(ほし)光(ひか)り輝(かがや)き渡(わた)る。128竹山彦(たけやまひこ)は火打(ひうち)を取(と)り出(だ)し、129カチカチ火(ひ)を打(う)ち銀燭(ぎんしよく)を点(てん)じたれば、130四辺(あたり)は昼(ひる)のごとく輝(かがや)き渡(わた)りぬ。131この時(とき)三(さん)人(にん)の娘(むすめ)を伴(ともな)ひ来(きた)りし固虎(かたとら)は、132腰(こし)を抜(ぬ)かして玄関(げんくわん)に蹲踞(しやが)み居(ゐ)たりき。
133竹山彦『ヤア、134思(おも)はざる悪神(あくがみ)の襲来(しふらい)、135これはしたり常世(とこよ)神王(しんわう)様(さま)、136お怪我(けが)は御座(ござ)いませぬか。137竹山彦(たけやまひこ)、138御案(ごあん)じ申(まを)す。139イヤなに松代姫(まつよひめ)殿(どの)、140神王(しんわう)の御(ご)介抱(かいはう)遊(あそ)ばされよ。141これはしたり鷹取別(たかとりわけ)殿(どの)、142貴下(きか)も常(つね)ならぬ御(お)顔色(かほいろ)、143曲(まが)の火玉(ひだま)に打(う)たれ給(たま)ひしと見受(みう)けたり。144竹野姫(たけのひめ)殿(どの)、145介抱(かいはう)遊(あそ)ばされよ。146鷹取別(たかとりわけ)殿(どの)の鼻(はな)は如何(いかが)致(いた)されしや。147イヤもう台(だい)なしでござる』
148 鷹取別(たかとりわけ)は、149搗(つ)き立(た)ての団子(だんご)のやうな鼻(はな)をペコペコさせながら、150何(なに)かフガフガ言(い)つて居(ゐ)るばかり。
151竹山彦『貴殿(あなた)の御(お)言葉(ことば)は判然(はつきり)いたさぬ。152フガフガとは何(なん)の事(こと)でござるか。153不甲斐(ふがひ)ないことだとの御(おん)歎(なげ)きか。154ヤアヤア照山彦(てるやまひこ)殿(どの)、155貴下(きか)の頭(あたま)は如何(いかが)遊(あそ)ばされた。156実(じつ)に妙(めう)な恰好(かつかう)でござる。157梅ケ香姫(うめがかひめ)殿(どの)、158サア早(はや)く御(ご)介抱(かいはう)遊(あそ)ばさるるがよからう』
159松竹梅の三人『アイ』
160と答(こた)へて三(さん)人(にん)の娘(むすめ)は、161竹山彦(たけやまひこ)の命(めい)ずるままに甲斐(かひ)々々(がひ)しく介抱(かいほう)に取(と)りかかりぬ。
162固虎『ヤアヤア、163常世(とこよ)の国(くに)の雪(ゆき)起(おこ)しか、164城(しろ)倒(たふ)しか何(なん)だか知(し)らないが、165生(うま)れてから見(み)たこともない天狗風(てんぐかぜ)が吹(ふ)きよつて、166この固虎(かたとら)も吃驚(びつくり)仰天(ぎやうてん)、167歯(は)の根(ね)もガタガタガタ虎(とら)になつて了(しま)つた。168皆(みな)の方々(かたがた)は美(うつく)しい御(ご)介抱人(かいはうにん)が出来(でき)て結構(けつこう)だが、169吾々(われわれ)は肩(かた)は抜(ぬ)け、170腰(こし)は抜(ぬ)け、171旁(かたがた)型(かた)の悪(わる)いものでござる。172三(さん)人(にん)のお方(かた)は夫々(それぞれ)御(ご)介抱人(かいはうにん)があつて結構(けつこう)だが、173この固虎(かたとら)に限(かぎ)りて誰(たれ)も世話(せわ)する女(をんな)がないとは、174片手落(かたておち)にも程(ほど)がある。175何(いづ)れの方(かた)か此(こ)の場(ば)に現(あら)はれて、176わが身(み)の介抱(かいほう)して呉(く)れてもよささうなものだな』
177竹山彦(たけやまひこ)『オイ固虎(かたとら)、178貴様(きさま)は日頃(ひごろ)から無信心(むしんじん)で、179おまけにヱルサレムの宮(みや)で昔(むかし)から型(かた)もないやうな悪戯(いたづら)をいたしただらう。180それが為(ため)に時節(じせつ)到来(たうらい)、181神(かみ)様(さま)が仇敵(かたき)を御(お)討(う)ち遊(あそ)ばしたのぢや。182ガタ虎(とら)でなうてカタキとられだ。183御(お)気(き)の毒(どく)様(さま)ながら、184生命(いのち)の失(な)くなるまで、185其処(そこ)で辛抱(しんばう)なさるがよからう』
186固虎『ヤア竹山彦(たけやまひこ)殿(どの)、187そんなこと所(どころ)ではない。188本当(ほんたう)に真面目(まじめ)になつて、189誰(たれ)か呼(よ)んで来(き)て下(くだ)さいな』
190竹山彦『常世(とこよ)神王(しんわう)様(さま)、191お歴々(れきれき)の方々(かたがた)のこの大難(だいなん)を救(すく)はねばならぬ吾々(われわれ)の任務(にんむ)、192汝(なんぢ)が如(ごと)きに介抱(かいほう)する暇(いとま)があらうか』
193 時(とき)しも馥郁(ふくいく)たる香気(かうき)は室内(しつない)に充(み)ち渡(わた)り、194嚠喨(りうりやう)たる音楽(おんがく)は何処(いづこ)ともなく聞(きこ)え来(きた)る。195常世(とこよ)神王(しんわう)は松代姫(まつよひめ)に救(すく)はれ、196御(ご)機嫌(きげん)斜(ななめ)ならず、197鷹取別(たかとりわけ)、198照山彦(てるやまひこ)も、199竹野姫(たけのひめ)、200梅ケ香姫(うめがかひめ)に介抱(かいほう)され、201メシヤゲた頭(あたま)や鼻(はな)の痛(いた)さを忘(わす)れて悦(えつ)に入(い)る。202音楽(おんがく)の音(ね)はますます冴(さ)え渡(わた)り、203何処(どこ)となく四辺(あたり)は賑(にぎは)しくなり来(きた)れり。
204 空(そら)に轟(とどろ)く天(あま)の磐船(いはふね)、205鳥船(とりふね)の響(ひびき)は手(て)に取(と)る如(ごと)く聞(きこ)え来(きた)る。206これより松(まつ)、207竹(たけ)、208梅(うめ)の三(さん)人(にん)を始(はじ)め、209竹山彦(たけやまひこ)は常世(とこよ)神王(しんわう)の覚(おぼ)え目出度(めでた)く、210何事(なにごと)も一切(いつさい)の重要(ぢうえう)事件(じけん)の帷幕(ゐばく)に参(さん)ずることとはなりぬ。
211(大正一一・二・一九 旧一・二三 外山豊二録)
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