霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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初冬大前

インフォメーション
題名:初冬大前 著者:出口王仁三郎
ページ:508
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 04:40:00 OBC :B120200c46
(ふか)み柿の(こずゑ)はたわたわに葉は散り果ててつぶら()ゆらぐ
一本の渋柿の()に夕暮をなける(からす)の声さびしかり
正信(まさのぶ)はわれの素性をしらべあげさまたげせんと遠近(をちこち)めぐれり
正信(まさのぶ)一人(ひとり)の母をいたはりて開祖とわれは日夜をなぐさむ
(つぎ)つぎに秋(ふか)みつつ四方山(よもやま)()の葉は散りて初冬の風()
(たくら)みのある人たちのかげ消えて(しづか)にくるる初冬の大前(おほまへ)
()開祖とわれと春蔵(はるざう)澄子との四人しづかに神前(みまへ)(つか)ふる
()開祖は朝な夕なに神筆(みふで)もち神の宣示を書きしるしませり
山姫(やまひめ)の織りなす(にしき)散り果てていとも淋しき何鹿(いかるが)山野(さんや)
大前(おほまへ)は嵐のあとのしづけさに(かへ)りて庭に(しも)おく冬なり
庭の()(きよ)くにほへる水仙の花の白きを朝夕めぐしむ
水仙の花にも似たる今日(けふ)の日を淋しく冬を匂ふわれなり
霏霏(ひひ)として()りつむ雪のとめどなく寒さ身にしむ本宮(ほんぐう)の里
頑冥不霊
訪ね()る人もなければわれ一人道のためとて神書(しんしよ)()めり
わが書きし無点(むてん)漢文(かんぶん)うちながめ外国人よと竹村ののしる
大本(おほもと)はいろは四十八(しじふはち)文字(もじ)でひらく御道(おみち)とわれをなみする
会長さんお見せなされと手にとりて教書(けうしよ)を竹村ばりばり(やぶ)れり
大本(おほもと)大和(やまと)(だましひ)支那文字は使はぬところと平然たる彼
竹『筆先は(みな)平仮名で書いてあるあなたは大本を邪魔なさるのか』
こんなこと書いてもちんぷんかんぷんで日本人にはわからぬといふ
わからねば読んでくれなとわれ言へばぷんぷんとしてふくれて()りぬ
竹村の内報によりて平蔵はいきせき金明会に(きた)れり
教祖様の(をしへ)を邪魔する先生は此処(ここ)にはおけぬと平蔵の権幕
両人の頑冥(ぐわんめい)不霊(ふれい)にあきれかへり火鉢またげて茶袋(ちやぶくろ)あぶれり
この(やう)に行儀の悪い先生は此処(ここ)へはおかぬと四股(しこ)ふむ平蔵
話にも(くひ)にもかからぬ頑迷者(ぐわんめいしや)には答ふることばわれなかりけり
粗末なる木根(ねつこ)火鉢に(しり)あぶり茶袋(ちやぶくろ)あぶりてわれは()をひる
両人もわが行動に呆れかへり()んでほしいと開祖にかけあふ
平『行儀よき金光教の先生と雲泥(うんでい)の違ひお道がつぶれます』
()開祖は神の御前(みまへ)拍手(はくしゆ)してわが去就(きよしう)につきうかがひ居られし
会長は神が使うてゐるゆゑに心配するなと神示(げん)なり
こんなことする会長を神様がかまひなさるかと(あき)れゐる両人
何事も(みな)神様のなさることおまかせなされと開祖のお言葉
()開祖は二人を加へて神殿に太祝詞言(ふとのりとごと)奏上したまふ
われもまた拝礼の席に列しつつ祭壇の蜜柑(みかん)とりて(くら)へり
蜜柑(みかん)の皮むいては(うしろ)の平蔵や竹村の(あたま)になげつけてやる
蜜柑(みかん)()ひ祝詞の(なか)ばに疲れはてわれはぐうぐう居眠(ゐねむ)れりけり
気がつけばあたりに人の気配なく(われ)ただ一人神殿(みとの)に眠りゐし
次の()ゆ平蔵竹村の(こゑ)高く蜜柑(みかん)の皮をならべてさわげる
神前(しんぜん)蜜柑(みかん)をくらひその皮を人の頭になげる馬鹿先生よ』
神言(かみごと)を奏上しながら神前(しんぜん)に眠るはたまぬけ先生といふ
この神は小さきことは嫌ひですかれこれ云ふなと開祖のいましめ
平蔵も竹村春蔵も呆れはてへーんへーんと気の乗らぬ返事
両人が心配なしをるその席に(しり)をまくつてわれ(すわ)りけり
貴様()は何をぐづぐづぬかすかと云ひつつ一発(はな)ちてをかし
両人はこれより(ほとん)ど一ケ月(なに)感じてか近より(きた)らず
涙の誓言
()開祖の(めい)を奉じて正信(まさのぶ)但馬(たじま)豊岡(とよをか)さして()でゆく
豊岡(とよをか)は開祖みづから(ひら)かれし綾部大本の支部なりにけり
正信(まさのぶ)は信者の人気(にんき)悪くして大海(だいかい)その他に逐ひ出されたり
教会も神前(しんぜん)もみな大海(だいかい)が金光教会にをさめたりけり
一切の財産のこらず無断にて金光教に併合されたり
正信(まさのぶ)の行ひわるく信用を失ひしための結果ぞと知る
この頃は汽車も通はず道遠くやむなくこれを放棄したりき
正信(まさのぶ)尾羽(をは)うちからし帰り(きた)り再び綾部に()すわりを計る
正信(まさのぶ)は綾部にゐすわり許さぬと開祖の神示(おごそ)かなりけり
数十里(すじふり)の雪道越えて帰り()し足立の姿はあはれなりけり
折角に開祖が(ひら)きたまひたる教会とられて帰りし正信(まさのぶ)
大海(だいかい)と激論のすゑ正信(まさのぶ)豊岡(とよをか)の信者に逐ひ出されたる
平蔵の家をたづねて正信(まさのぶ)はわれを排斥(はいせき)せんとはからふ
行儀(わる)き先生なれど上田さんは御神示なれば動かせぬといふ
平蔵の言葉に足立もやむを得ずはなをすすりてしよげかへりをり
竹村も平蔵宅にあつまりて足立とともに排斥運動なせり
隣家(となりや)四方(しかた)勇佑(ゆうすけ)おどろきて雪道とんとん綾部に(きた)
勇『上田さんしつかりなされ足立()が反対運動やつて居ります』
勇『本宮(ほんぐう)のひろまは金光教会のもの(ゆゑ)上田を()り出せと云つてゐる』
勇『開祖様は金光教会が世話をする上田をいなせと相談最中(さいちう)
いつにても帰りますよとわれ言へば短気を出すなといさむる勇佑
上『野心家やがらくたばかり居る(さと)に俺は一日(ひとひ)も居りたくないのだ』
静岡にわれ待つ人のある身なり明日(あす)から帰るとわれはいらへり
勇佑は大声あげて泣き()だし開祖の居間にかけ()りにけり
()開祖は一部始終を聞き(をは)りすてておけよと(おごそ)かに宣らす
蛆虫(うぢむし)(やう)な連中ありとても神の御間(おま)にはあはぬと宣らす
開祖よりまたあらためて正信(まさのぶ)に綾部退去の厳命くだる
正信(まさのぶ)顔色(かほいろ)(つち)のごとくなり四方(しかた)竹村とともにあやまる
何ごとも開祖と上田に服従すと正信(まさのぶ)泣いて誓言(せいげん)をなす
○余白に
つぎつぎに神の御言葉(みことば)実現し民のことごと驚く世(ちか)
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