霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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円山の聖場

インフォメーション
題名: 著者:
ページ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: 文字数: OBC :B120200c47
木枯(こがらし)の冷たき日なりき円山(まるやま)の空にひびかふ大工の槌(つち)の音(ね)
槌(つち)の音(ね)をあやしみ一人円山(まるやま)に登りてみれば老爺(らうや)一人あり
吝嗇(りんしよく)に名高き改森(かいもり)六左衛門(ろくざゑもん)移り住まんと家造(やづく)り最中(さいちう)
この山に清水(しみづ)湧くかとわれ問へば井戸さへ掘れば出ると爺(ぢぢ)いふ
この山の何処(どこ)なりと貸して上げませう家造(やづく)りせよとわれに勧(すす)むる
家(いへ)造る金(かね)は持たぬとわれ云へば金(かね)はいくらも貸すといふ爺(ぢぢ)
この親爺(おやぢ)綾部に名高き高歩貸(たかぶがし)金(かね)を貸しては人の家(いへ)とる
本宮山(ほんぐうやま)貸してくれいとお直さんが幾度も頼みに来たと爺(ぢぢ)いふ
この山をいくらで貸すかとわれ問へば一年千円(せんゑん)出せとよくばる
千円で高けりや一(いつ)そこの山を全部買へよと親爺すすむる
どれ程(ほど)に山を売るかと尋(たづ)ぬれば一万円よと大(おほ)ぼらを吹く
一万円に買うてやらうとわれ云へば二万円より売らぬと欲ばる
やむを得ず二万円にて買ふといへば四万円より負けぬと彼(かれ)いふ
欲ぼけの親爺からかひ半日を本宮山(ほんぐうやま)にあそびくらせり
この親爺小(ちひ)さき家(いへ)にくすぼりゐて自(みづか)ら新築作業にかかれる
真黒(まつくろ)な土瓶(どびん)の茶をば汲(く)みながら垢(あか)つきし手にてわれにすすむる
この親爺欲(よく)にとぼけて金(かね)の無きわれに山をば売らんとあせる
一円の金さへ持たず四万円に買うてやらうかとわれはからかふ
からかへるわが言(こと)の葉(は)をまにうけて手つけ千円出せとせまれり
二十年先(さき)になつたら千円の手つけを出さうとわれは答(こた)へぬ
二十年もしたら自分は死んでゐる今貰(もら)はねば間(ま)にあはぬといふ
この親爺御機嫌(ごきげん)殊(こと)にうるはしく煎餅(せんべい)を出して渋茶(しぶちや)をすすむる
バリバリとせんべい食(くら)ひ土瓶(どびん)の茶一(いつ)パイぶちやけてすごすご帰る
この親爺わが帰りゆく後(うしろ)より明日(あす)また遊びに来(こ)よと呼びをり
素裸(すはだか)になりし円山(まるやま)下(くだ)りつつ冷たき吹雪にわれは吹かれつ
二十年末(すゑ)にはこれの円山(まるやま)を神の聖場(せいぢやう)になさんと思へり
金明会(きんめいくわい)帰りて見れば御開祖(ごかいそ)は何処(どこ)に居たかとたづねたまへり
円山(まるやま)の爺(ぢぢ)との話こまごまと語れば開祖はほほ笑みています
円山(まるやま)は三体(さんたい)の神永久(とこしへ)に鎮まりいます聖場(せいぢやう)とのらせり
この日よりわれ円山(まるやま)の聖場(せいぢやう)を心にかくることとなりたり
待伏
大江山(おほえやま)吹きおろす風の冷(ひ)え冷(び)えと雪を交(まじ)へて淋しき宵(よひ)なり
ただ一人味方(みかた)の里(さと)を帰りくる途(みち)に怪しきかげのうごめく
何ものと闇(やみ)にすかせば三人(さんにん)の頬冠(ほほかぶ)りせる男(をとこ)の覗(うか)がふ
道の辺(べ)の積藁(つみわら)のかげに身を隠し怪(あや)しのかげの様子見てをりぬ
三人のひそびそ話(ばなし)よく聴けば吾(われ)を害せむと待ち伏せるらし
一人(いちにん)は上永(うへなが)一人(ひとり)は春蔵(はるざう)と谷口(たにぐち)熊(くま)の声なりにけり
神様の御(お)邪魔をいたす上田をばこの世に生けてはおけぬと語れる
積藁(つみわら)のかげにわれありと知らぬがに恐ろしきことをつぎつぎに語る
もう此処(ここ)へ帰つて来(こ)ねばならぬ筈(はず)と人の皮きた獣類(けもの)のささやき
折もあれ卍(まんじ)巴(ともゑ)と降(ふ)る雪に三人(みたり)はこの場を東に立ちゆく
三人(さんにん)の闇の足音(あしおと)聴きながら四辺(あたり)にこころを配りて帰る
幾度(いくたび)もあやふき場面を免(まぬ)がれぬ神国(みくに)のためにつくすまことに
野心家に囲まれ反間(はんかん)苦肉(くにく)なる策をやぶりて安かりしわれ
種種の馬詈妨害に逢ひながら神の恵みにわれは生きたり
千辛万苦なやみの坂を数越えて明治三十二年は暮れたり
○余白に
みろくの世来(きた)らむとして遠近(をちこち)の山の尾上(をのへ)に風(かぜ)さわぐなり
高山(たかやま)の頂(いただき)の木は荒風(あらかぜ)に吹かれて根本(ねもと)ゆ倒されてをり
青嵐終り
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