霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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暁天

インフォメーション
題名:暁天 著者:出口王仁三郎
ページ:217
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 06:24:00 文字数:914 OBC :B120900c40
榎木(えのき)峠(たうげ)南に下ればほのぼのと初冬の空は明けはなれたり
虫くひしいが栗(ぐり)一つかたはらの栗(くり)の梢(こずゑ)に初冬をふるへり
春蔵(はるざう)は道のかたへの岩の上(へ)に腰打ちかけて動くともせず
蒼白なる顔を曇らせ竹杖(たけづゑ)に顎(あご)を支(ささ)へて腰上げぬ春蔵(はるざう)
御(ご)開祖に早く立てよと促(うな)がされ渋渋(しぶしぶ)ながら歩み出したり
春蔵(はるざう)は胸突坂(むなつきざか)の石ころに足すべらして谷間に落ちこむ
驚きてわれは谷間に飛びくだり抱(いだ)きおこせば怒(いか)る春蔵(はるざう)
惟神(かむながら)谷に落ちたるこの吾(われ)をおかまひあるなと不服のみいふ
春蔵(はるざう)の言葉きくより福林(ふくばやし)あきれ返りてうつむきてをり
会長を帰して私が雄松(をまつ)の杖つかねばならぬと春蔵(はるざう)つぶやく
福林(ふくばやし)かれの言葉を聞くよりも黒き心をさげすみにけり
やうやくに丹波船井(ふなゐ)の三の宮に一行たどりて朝飯(あさはん)を食ふ
三の宮保野田(ほのだ)の里(さと)や桧山(ひのきやま)蒲生野(こもの)を越えて須知(すち)町(まち)にいたる
須知(すち)町(まち)の三日市(みつかいち)なる知己(ちき)の家に休らひにつつ昼飯(ひるはん)をくふ
つかれたる重たき足を運びつつ観音峠をよぢ登りたり
観音峠
観音峠頂(いただ)きにたちて四方(よも)見れば山はいづれも錦(にしき)着てをり
観音峠旧道(きうだう)下(くだ)り谷(たに)あひの観音堂に入(い)りて休らふ
三時ごろ木崎(きざき)の里(さと)にたどりつけば田中上中(うへなか)いでむかへをり
春蔵(はるざう)と諜(しめ)しあはせる仙吉の館(やかた)に一行入(い)りて休らふ
上中(うへなか)と田中仙吉春蔵(はるざう)は野心の衝突なしてあらそふ
上中(うへなか)は一切万事春蔵(はるざう)や田中の陰謀さらけ出したり
御(ご)開祖にこもごも神意をさとされて田中夫婦も沈黙を為す
上田氏の第一お供が気に入(い)らぬなどと本音をふき出す仙吉
仙吉の妻のお筆(ふで)は上中(うへなか)がたくらみたりと夫をかばへり
上中(うへなか)は怒(いか)りくるひて田中筆(ふで)の背(せな)を打ちたり拳(こぶし)かためて
小北の山
春蔵(はるざう)は驚きにつつこそこそとこの場をたち出(い)で園部(そのべ)に走る
春蔵(はるざう)をのぞきし外(ほか)の四人づれ黄昏(たそがれ)過ぎて園部(そのべ)駅に向(むか)ふ
園部(そのべ)駅に漸(やうや)くつけば発車時間いまだ来(きた)らず春蔵(はるざう)まちをり
春蔵(はるざう)はしぶしぶながら同車(どうしや)して八木(やぎ)の小北(こぎた)の山につきたり
をりもあれ福島方(かた)の神殿の移転式ある当夜(たうや)なりけり
何事(なにごと)も神のしぐみと云ひながら開祖はみまへに祝詞宣(の)らせり
十月の八日の月は大空(おほぞら)に利鎌(とがま)のごとく光りかかれり
十二里の山道歩(あゆ)みくたぶれて午後十一時寝(しん)につきたり
初冬(はつふゆ)の御空(みそら)の月は一行の夢を照(てら)してかがやきたまへり
小北山(こぎたやま)夕(ゆふ)吹く風は山松(やままつ)のこずゑもみつつ音(おと)高みかも
山裾を開(ひら)きて建てし福島氏の家居(いへゐ)は余り広からざりけり
小夜(さよ)更(ふ)けて四方(しかた)春蔵(はるざう)只(ただ)一人(ひとり)小北(こぎた)の山を登りつ雄猛(をたけ)ぶ
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