「すずめ百まで雄鳥忘れずとかいうけれど、恋愛というものは年をとってもなかなか下火にならんものとみえるな。じつのところおれは、この問題の解決にゃ、いささか迷っているのだよ」
「恋愛は神聖だ。宗教的信仰と正しき恋愛とは、人間の霊魂を優美に向上させるものだよ。正しき信仰と完全な恋愛は人間の心霊を発育せしめ、永遠無窮の生命を与うるものだ。しかし現代科学者のいうような浅薄な恋愛観ではだめだ。すべて恋愛というものは、性欲から分化したものだ。そして性欲のうちに、可能性の形においてはじめて含蓄されてるのが恋愛だ。この世をつくりたまうた誠の神さまが、人間の生命に性欲をあたえたまうた時から、恋愛というものを含蓄させておかれたのだ。信仰と恋愛は歓喜の源泉だ。歓喜というものは心霊を永遠に保存し、かつ心霊の優美完全なる活躍をおこさしむるものだ」
(『瑞祥新聞』大正14年5月1日)