大本あるいは大本関係諸団体に関する記事を掲載した新聞は、一九三二(昭和七)年から一九三五(昭和一〇)年の間を例にとってみても、全国紙・地方紙をあわせて一九一紙にものぼり、日本内地の宣教活動はもちろんのこと、海外で大本が活動した諸地域についても言及している。掲載記事のなかには、大本を誹謗した記事も一部にあるが、大本および諸団体の活動に期待したものがおおく、運動・行事・談話などの紹介・論評・解説などが主要記事となっている。とくに聖師の地方巡教・遊説にあたっては、その行動を詳細に報道し、記者との質問応答には、日本および世界の将来にたいする見通し、平和繁栄の道についての抱負と意見など、時局にともなった聖師の具体的な見解を求めたものが大きく報道されていた。ここではその関係記事を掲載した新聞名を地方別にあげることにとどめる。
(全国紙)大阪朝日新聞・大阪毎日新聞・読売新聞・東京朝日新聞・報知新聞・東京日日新聞。(樺太・北海道)樺太日日新聞・北海タイムス・旭川新聞・函館新聞・函館毎日新聞・函館日日新聞・小樽新聞ほか五社。
(東北)東奥日報・青森日報・岩手日報・河北新聞・仙台日日新聞・秋田魁新聞・日刊山形・米沢新聞・福島民友新聞・福島新聞ほか七社。
(関東)いばらぎ新聞・常総新聞ほか九社。
(東京)万朝報・国民新聞・時事新報・東京毎夕新聞・東京大勢新聞・二六新報・帝国新報・日本・日本評論新聞ほか二社。
(東海)新愛知・名古屋新聞・浜松新聞ほか四社。
(北陸・信越)新潟新聞・北国新聞・北国夕刊新聞・北陸毎日新聞・富山日報・北陸タイムス・越佐新報・信濃民報ほか六社。
(近畿)京都日出新聞・京都日日新聞・京華日報・丹州時報・大阪時事新報・大阪経済新聞・大阪日報・夕刊大阪新聞・大衆日日新聞・神戸新聞・神戸又新日報・江州日日新聞・近江新報・大和日報ほか二三社。
(中国)松陽新報・山陰新聞・因伯時報・中国民報・山陽新報・甲国新聞・芸備日日新聞ほか三社。
(四国)愛媛新聞・海南新報・香川新報・徳島日日新聞・徳島毎日新聞ほか一社。
(九州)福岡日日新聞・九州日報・小倉新報・九州日日新聞・軍港新聞・佐賀毎日新聞・鹿児島朝日新聞・沖縄日報・喜界新報・壱岐日報ほか三社。
(台湾)台湾日日新聞・台湾新岡・台南新報ほか一社。
(朝鮮)朝鮮日日新聞・平壌毎日新聞・釜山日報・朝鮮新聞ほか一社。
(満州)奉天毎日新聞・奉天満州日報・満州日報・大連新聞・泰東日報・ハルピン日日新聞・安東新報・撫順新報・鉄嶺時報ほか七社。
(中国)天津日報・山東毎日新聞・上海日日新聞ほか二社。
(特殊雑誌)中外日報・週刊朝日・宇宙・婦人公論・ダイヤモンド・現代評論・キング・中央公論・アサヒグラフ一二社。
新聞は当時の年鑑に掲載されている主要日刊新聞(朝夕刊・朝刊・夕刊)名をかかげたが、茨城県の大和新聞(信者の野口如月主幹)のごとき非日刊紙をあげればその数はさらにおおくなるだろう。欧州や中南米・東南アジアなどについては資料が現存しないので、その全内容は明らかにしえないが、海外宣教の項でものべたように、その反響には注目すべきものがあった。
以上のべてきたように、一九三五(耜和一〇)年をむかえた大本の教勢は拡大し、大本関係諸団体の活動もきわめて活発であった。しかし、大本のゆく手には大きな試練がまちかまえていた。第二次大本事件の突発がそれである。
〔写真〕
○鶴山では長生殿 天恩郷では万祥殿建設のつち音が高らかにひびいていた 長生殿完成図 p309