霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四二章 分水嶺(ぶんすゐれい)〔三四二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第8篇 一身四面 よみ(新仮名遣い):いっしんしめん
章:第42章 分水嶺 よみ(新仮名遣い):ぶんすいれい 通し章番号:342
口述日:1922(大正11)年02月02日(旧01月06日) 口述場所: 筆録者:桜井重雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
高照彦の苦労談を聞いて、面那芸は、白雪郷に残してきた女房が恋しい、といったことに悩んでいた自分を恥じ、宣伝使としての役目に決意を新たに表した。
日の出神は面那芸の覚悟に満足の意を表し、今というこの瞬間は善悪の分水嶺であると諭した。
一同が勢いよく駆け出すと、おりしも轟然とした大音響が聞こえた。日の出神は、エトナ山の火山が爆発したのだ、と言った。タコマ山の祭典以来、突然爆発したのは、天の警告であろう、と気をつけた。
高照彦が心構えを尋ねると、日の出神は神言を奏上さえすればいい、と答えた。四人の宣伝使は道々いろいろの話を進ませながら、大野原に出た。すると南方に、白日別司の館が見えた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-06 19:36:15 文字数:2160 OBC :rm0742
愛善世界社版:254頁 八幡書店版:第2輯 125頁 修補版: 校定版:263頁 普及版:108頁 初版: ページ備考:
001 高照彦(たかてるひこ)の憂(うき)に沈(しづ)む懐旧談(くわいきうだん)に、002耳(みみ)を澄(す)まして聞(き)き入(い)りゐたる三(さん)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は、003有為(うゐ)転変(てんぺん)の空(そら)行(ゆ)く雲(くも)を打眺(うちなが)め、004感慨(かんがい)無量(むりやう)の態(てい)なりしが、005面那芸(つらなぎの)司(かみ)は日(ひ)の出神(でのかみ)に向(むか)ひ、
006面那芸『ただいま高照彦(たかてるひこ)様(さま)のお話(はなし)を聞(き)きまして、007実(じつ)に感心(かんしん)いたしました。008これを思(おも)へば、009我々(われわれ)はわづかな狭(せま)い白雪郷(はくせつきやう)に酋長(しうちやう)となつて、010夢(ゆめ)の如(ごと)くにこの世(よ)を暮(くら)して来(き)たが、011高照彦(たかてるひこ)様(さま)の御(ご)苦労(くらう)のことを思(おも)へば、012殆(ほとん)ど九牛(きうぎう)の一毛(いちまう)にも如(し)かない苦労(くらう)だ。013幸(さいはひ)にも日(ひ)の出神(でのかみ)の宣伝使(せんでんし)に三五教(あななひけう)の結構(けつこう)な教(をしへ)を説(と)き諭(さと)され、014翻然(ほんぜん)として悔(く)い改(あらた)め、015ここまで来(く)るは来(き)たものの、016未(ま)だ未(ま)だ我々(われわれ)は苦労(くらう)が足(た)りない。017実際(じつさい)の事(こと)を白状(はくじやう)いたしますが、018明(あ)けても暮(くれ)ても、019白雪郷(はくせつきやう)に残(のこ)しておいた我(わ)が妻(つま)の面那美(つらなみ)姫(ひめ)は何(ど)うして居(を)るであらうか、020訳(わけ)の分(わか)らぬ虎(とら)や熊(くま)のやうな里人(さとびと)を、021女(をんな)の弱(よわ)い細腕(ほそうで)で酋長(しうちやう)として何(ど)うして治(をさ)めて行(ゆ)くであらうか。022思(おも)へば思(おも)へば不愍(ふびん)なものだ。023夫婦(ふうふ)となるも深(ふか)い因縁(いんねん)だのに、024神(かみ)の為(ため)とは言(い)ひ乍(なが)ら、025海山(うみやま)越(こ)えて二人(ふたり)は悲(かな)しき生木(なまき)の別(わか)れ、026四鳥(してう)の悲(かな)しみ釣魚(てうぎよ)の歎(なげ)きとは我々(われわれ)の境遇(きやうぐう)であらうと、027明(あ)け暮(くれ)愛着(あいちやく)の涙(なみだ)を人(ひと)知(し)れずしぼつたのを思(おも)へば、028実(じつ)に情(なさけ)ない。029何(なん)たる卑怯(ひけふ)であらう。030あゝ何(なん)たる未練(みれん)な我(われ)であらう。031生者(せいじや)必滅(ひつめつ)会者(ゑしや)定離(ぢやうり)だ。032愛別(あいべつ)離苦(りく)の念(ねん)に駆(か)られるやうな事(こと)では、033到底(たうてい)この世(よ)を救(すく)ふ清(きよ)き宣伝使(せんでんし)となることは出来(でき)ない。034あゝ悪(わる)かつた。035あゝあゝ神(かみ)様(さま)、036どうぞ私(わたくし)の弱(よわ)き心(こころ)に、037貴神(あなた)の強(つよ)き力(ちから)を与(あた)へて下(くだ)さいませ』
038と天(てん)に向(むか)つて合掌(がつしやう)し、039涙(なみだ)を流(なが)しける。
040 日(ひ)の出神(でのかみ)はうち頷(うなづ)き、
041日の出神『あゝそれで宜(よろ)しい。042その心掛(こころがけ)でなくては、043とても宣伝使(せんでんし)にはなれない。044私(わたし)も実(じつ)の事(こと)を言(い)へば、045貴方(あなた)の精神(せいしん)上(じやう)の覚悟(かくご)の点(てん)に於(おい)て、046最(も)う少(すこ)し何処(どこ)やら物足(ものた)らぬ心持(こころもち)がしてゐた。047中途(ちうと)に神徳(しんとく)を外(はづ)して了(しま)やせぬか、048腰(こし)を折(を)りやせぬかと、049やや不安(ふあん)の念(ねん)に駆(か)られてゐたのだ。050あゝ私(わたし)もそれを聞(き)いて本当(ほんたう)に安心(あんしん)した。051有為(うゐ)転変(てんぺん)の世(よ)の中(なか)は、052何事(なにごと)も惟神(かむながら)に任(まか)すより仕方(しかた)がない。053今(いま)といふこの瞬間(しゆんかん)は、054善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)の分水嶺(ぶんすゐれい)だ。055過去(くわこ)を悔(くや)まず未来(みらい)を恐(おそ)れず、056神命(しんめい)のまにまに皆(みな)さま心(こころ)を合(あは)せて進(すす)みませう』
057と言(い)ひ切(き)つて、058先(さき)に立(た)ち、059又(また)もや涼(すず)しき声(こゑ)を張(は)りあげて、
060日の出神『心(こころ)つくしの益良雄(ますらを)が
061神(かみ)の命(みこと)を蒙(かうむ)りて
062波(なみ)に漂(ただよ)ふアフリカの
063筑紫(つくし)の国(くに)へと進(すす)みゆく
064心(こころ)は矢竹(やたけ)にはやれども
065弱(よわ)り果(は)てたる膝栗毛(ひざくりげ)
066足(あし)は草鞋(わらぢ)に破(やぶ)られて
067血潮(ちしほ)を染(そ)めなす紅葉(もみぢば)の
068赤(あか)き心(こころ)をたよりとし
069豊葦原(とよあしはら)の瑞穂国(みづほくに)
070踏(ふ)み行(ゆ)く旅(たび)の面白(おもしろ)さ
071そも此(こ)の島(しま)は身(み)一(ひと)つに
072面(おも)四(よ)つありと聞(き)くからは
073残(のこ)るはもはや一(ひと)つ面(おも)
074思(おも)ひは同(おな)じ宣伝使(せんでんし)
075宣(の)る言霊(ことたま)も清(きよ)くして
076大海原(おほうなばら)を包(つつ)みたる
077深霧(ふかぎり)伊吹(いぶ)きに払(はら)ひつつ
078国(くに)の主宰(つかさ)の白日別(しらひわけ)
079鎮(しづ)まりゐます都(みやこ)まで
080進(すす)めや進(すす)めいざ進(すす)め
081進(すす)めや進(すす)めいざ進(すす)め』
082と勢(いきほひ)よく駆(か)け出(だ)しにける。
083 折(をり)しも、084轟然(ぐわうぜん)たる大音響(だいおんきやう)聞(きこ)ゆると見(み)る間(ま)に、085東北(とうほく)の天(てん)に当(あた)つて黒煙(こくえん)濛々(もうもう)と立(た)ち昇(のぼ)り、086大岩石(だいがんせき)は火弾(くわだん)となりて地上(ちじやう)に落下(らくか)し来(きた)りぬ。087一行(いつかう)はこの爆音(ばくおん)に思(おも)はず歩(あゆ)みを止(とど)め、088しばし途上(とじやう)に佇立(ちよりつ)して、089その惨澹(さんたん)たる光景(くわうけい)を遥(はるか)にうち仰(あふ)ぎける。
090面那芸(つらなぎ)『モシモシ、091あれは何処(どこ)の山(やま)が破裂(はれつ)したのでせうか。092吾々(われわれ)の前途(ぜんと)を祝(しゆく)するのでせうか、093あるひは悪神(あくがみ)が呪(のろ)つてるのではありますまいか』
094祝姫(はふりひめ)『いいえ、095吾々(われわれ)は神(かみ)様(さま)の御用(ごよう)のために斯(か)うして天下(てんか)を遍歴(へんれき)する者(もの)、096天地(てんち)の大神(おほかみ)様(さま)は我々(われわれ)の一行(いつかう)の門出(かどで)を祝(しゆく)するために、097煙火(はなび)を上(あ)げて下(くだ)さつたのでせう。098最前(さいぜん)も日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)が有為(うゐ)転変(てんぺん)の世(よ)の中(なか)ぢやとおつしやつたでせう』
099面那芸(つらなぎ)『さうでせうかな。100それにしても余(あま)り大(おほ)きな音(おと)でした。101私(わたくし)は耻(はづか)しい事(こと)だが、102胆玉(きもだま)が転覆(てんぷく)しかけましたよ』
103日出(ひのでの)神(かみ)『アハヽヽヽヽ、104も一寸(ちよつと)面那芸(つらなぎ)さま、105度胸(どきよう)をしつかりせないとこンな事(こと)ではない、106今(いま)かうして吾々(われわれ)の通(とほ)つてゐる大地(だいち)が爆発(ばくはつ)するかも知(し)れない。107その時(とき)には貴方(あなた)は何(ど)うする心算(つもり)だ』
108面那芸(つらなぎ)『さあ刹那心(せつなしん)ですな。109善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)の分水嶺(ぶんすゐれい)、110一寸先(いつすんさき)のことは分(わか)りませぬわ』
111日出(ひのでの)神(かみ)『さうでせう、112さうでせう。113しかしこの世(よ)の中(なか)はすべて神(かみ)様(さま)の意(い)の儘(まま)だ。114今(いま)破裂(はれつ)したのは、115あれはヱトナの火山(くわざん)だ。116タコマ山(やま)の祭典(さいてん)の時(とき)に、117爆発(ばくはつ)して以来(いらい)、118今日(けふ)まで鎮(しづ)まつてゐたのだが、119又(また)もや突然(とつぜん)爆発(ばくはつ)したのは吾々(われわれ)に対(たい)する天(てん)の警告(けいこく)だらう。120竜宮城(りうぐうじやう)の言霊別(ことたまわけ)の神(かみ)はヱトナ火山(くわざん)の爆発(ばくはつ)した一刹那(いちせつな)、121悪神(あくがみ)に毒(どく)を盛(も)られて大変(たいへん)に苦(くる)しまれたといふことだ。122吾々(われわれ)も注意(ちうい)せないと、123筑紫(つくし)の都(みやこ)へ行(い)つて、124何(ど)ンな悪神(あくがみ)の計略(けいりやく)の罠(わな)に陥(おとしい)れられるやも知(し)れないから、125気(き)を付(つ)けなくてはならぬ』
126高照彦(たかてるひこ)『さういふ時(とき)には吾々(われわれ)はどうしたらよろしいか』
127日出(ひのでの)神(かみ)『別(べつ)に何(ど)うするも斯(か)うするもありませぬ。128ただ天地(てんち)を自由(じいう)にし、129風雨(ふうう)雷霆(らいてい)を叱咤(しつた)するといふ神言(かみごと)を、130無駄口(むだぐち)を言(い)ふ暇(ひま)があつたら、131奏上(そうじやう)さへすれば凡(すべ)ての災(わざはひ)は払(はら)はれて了(しま)ふのです』
132祝姫(はふりひめ)『今(いま)ここで一同(いちどう)揃(そろ)うて神言(かみごと)を奏上(そうじやう)しては如何(いかが)でせう。133大変(たいへん)に足(あし)も疲(つか)れましたなり、134休息(きうそく)がてら神言(かみごと)を奏上(そうじやう)しませうか』
135日出(ひのでの)神(かみ)『休息(きうそく)がてらとは、136それは何(なん)の事(こと)です。137序(ついで)に神言(かみごと)を上(あ)げるといふやうな事(こと)は出来(でき)ない。138休息(きうそく)は休息(きうそく)、139神言(かみごと)奏上(そうじやう)は奏上(そうじやう)だ』
140祝姫(はふりひめ)『いや、141これは有(あ)り難(がた)う、142ついうつかりと取違(とりちが)ひをいたしました』
143高照彦(たかてるひこ)『それだから、144女(をんな)の宣伝使(せんでんし)は頼(たよ)りないと言(い)ふのだ』
145日出(ひのでの)神(かみ)『人(ひと)の事(こと)はかまはひでも宜(よろ)しい。146宣伝使(せんでんし)の身(み)になつたホヤホヤで、147人(ひと)の事(こと)を言(い)ふどころですか。148貴方(あなた)こそ私(わたくし)は頼(たよ)りないと思(おも)つてゐる』
149 四(よ)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は道々(みちみち)いろいろの話(はなし)を進(すす)ませながら、150漸(やうや)くにして大野原(おほのはら)に出(い)で、151見(み)れば南方(なんぱう)に当(あた)つて、152巍然(ぎぜん)たる白日別(しらひわけの)司(かみ)の鎮(しづ)まる館(やかた)現(あら)はれたりける。
153(大正一一・二・二 旧一・六 桜井重雄録)
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