霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四三章 神(かみ)の国(くに)〔三四三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第8篇 一身四面 よみ(新仮名遣い):いっしんしめん
章:第43章 神の国 よみ(新仮名遣い):かみのくに 通し章番号:343
口述日:1922(大正11)年02月02日(旧01月06日) 口述場所: 筆録者:奥村芳夫 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
日も沈むころ、筑紫の都の町外れでは、ウラル教の宣伝使が住民たちに囲まれていた。
ウラル教の宣伝使は、元常世城の使臣・蚊取別であった。住民たちは、三五教の教えを守る筑紫の国でウラル教の宣伝をするとはけしからぬと、蚊取別を責め立てる。
蚊取別は責められて歌に自分の履歴を歌った。住民たちは面白がってなおも蚊取別を責め立てる。
すると闇の中から宣伝歌が聞こえてきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-06 19:38:28 文字数:2178 OBC :rm0743
愛善世界社版:260頁 八幡書店版:第2輯 127頁 修補版: 校定版:269頁 普及版:110頁 初版: ページ備考:
001 日(ひ)は西山(せいざん)に傾(かたむ)いて、002塒(ねぐら)に帰(かへ)る群鴉(むらがらす)、003遠音(とほね)に響(ひび)く暮(くれ)の鐘(かね)、004ゴーンゴーンと鳴(な)り渡(わた)る、005四面(しめん)暗澹(あんたん)として寂寥(せきれう)の気(き)に包(つつ)まれたる筑紫(つくし)の都(みやこ)の町外(まちはづ)れ、006前方(ぜんぱう)に当(あた)つて数十(すうじふ)人(にん)の口々(くちぐち)に叫(さけ)ぶ騒々(さうざう)しき物音(ものおと)聞(きこ)えきたる。007四(よ)人(にん)の宣伝使(せんでんし)は何事(なにごと)ならむと、008声(こゑ)する方(はう)に足(あし)を早(はや)めて進(すす)み寄(よ)り、009暗(やみ)に紛(まぎ)れてジツとこの様子(やうす)を伺(うかが)ひゐたり。010見(み)れば数多(あまた)の篝火(かがりび)をドンドン焚(た)いて数十(すうじふ)人(にん)の人々(ひとびと)、011頭(あたま)の光(ひか)つた瓢箪面(へうたんづら)の男(をとこ)を中(なか)に置(お)き、
012甲(かふ)『ヤイ、013貴様(きさま)は蚊蜻蛉(かとんぼ)とか蚤取(のみとり)とか、014蚊取(かとり)とか吐(ぬ)かす禿頭(はげあたま)の、015瓢箪面(へうたんづら)を下(さ)げよつて、016自分(じぶん)の頭(あたま)のやうな瓢箪(へうたん)を腰(こし)にブラブラと沢山(たくさん)にさげて、017ウラル彦(ひこ)の宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)つて「飲(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)や闇(やみ)の夜(よ)、018闇(やみ)の後(あと)には月(つき)が出(で)る」とは何(なに)をほざきよるのだい、019これを見(み)いこの空(そら)を。020一(いち)の暗(くら)みの真(しん)の闇夜(やみ)ぢやないか、021月(つき)が出(で)るなら出(だ)してみい。022篝火(かがりび)を焚(た)かな分(わか)らぬ様(やう)な闇(やみ)の晩(ばん)に、023月(つき)が出(で)るなンて、024ヘン大方(おほかた)ウソ月(つき)が出(で)るだらう。025それ見(み)い貴様(きさま)の月(つき)は、026頭(あたま)に附(つ)いてゐながら分(わか)るまいが、027篝(かがり)がついてゐるわ。028貴様(きさま)のド頭(たま)は月(つき)の様(やう)に光(ひか)つてらあ、029闇(やみ)の後(あと)に月(つき)が出(で)るとは自分(じぶん)の禿頭(はげあたま)の自慢(じまん)だらう』
030乙(おつ)『此処(ここ)を何(なん)と心得(こころえ)てる。031白日別(しらひわけ)といふ立派(りつぱ)な御(お)方(かた)の鎮(しづ)まり遊(あそ)ばす都(みやこ)だぞ。032勿体(もつたい)無(な)くも黄金山(わうごんざん)の麓(ふもと)に現(あら)はれ給(たま)うた三五教(あななひけう)の神(かみ)の教(をしへ)を守(まも)る神(かみ)の国(くに)だ。033宣(の)り直(なほ)せ、034云(い)ひ直(なほ)せ』
035蚊取別(かとりわけ)『ハイハイ宣(の)り直(なほ)します。036どうぞ許(ゆる)して下(くだ)さいませ』
037乙(おつ)『宣(の)り直(なほ)すなら許(ゆる)してやらう、038さあ早(はや)く宣(の)り直(なほ)さぬか』
039 蚊取別(かとりわけ)は慄(ふる)ひ声(ごゑ)を出(だ)し妙(めう)な疳声(かんごゑ)を張(は)りあげて、
040蚊取別『飲(の)むなよ、041騒(さわ)ぐなよ、042一尺先(いつしやくさき)は闇(やみ)の夜(よ)、043闇(やみ)の夜(よ)さには月(つき)は出(で)ぬ』
044乙(おつ)『馬鹿(ばか)、045何(なに)吐(ぬ)かしよるのだい。046なほ悪(わる)い、047もつと確(しつか)り宣(の)り直(なほ)さぬか』
048 蚊取別(かとりわけ)は悲(かな)しさうな声(こゑ)を出(だ)して、
049蚊取別『私(わたし)は馬鹿(ばか)な生(うま)れつきで俄(にはか)に宣(の)り直(なほ)すと云(い)つたつてロクな事(こと)は宣(の)れませぬ。050どうで貴方(あなた)がたのお気(き)に召(め)す様(やう)な事(こと)はございませぬが、051宣(の)れとおつしやりや仕方(しかた)が無(な)いが、052命(いのち)あつての物種(ものだね)だ。053死(し)ぬ代(かは)りに一生(いつしやう)この歌(うた)を歌(うた)ひ通(とほ)さうと思(おも)うてゐた決心(けつしん)を破(やぶ)つて、054マー一遍(いつぺん)宣(の)り直(なほ)して見(み)せませう「除(の)けよ、055妨(さまた)げなよ一同(いちどう)の者(もの)よ、056散(ち)れよ散(ち)つた後(あと)では酒(さけ)を飲(の)む」ヘイヘイ』
057乙(おつ)『こいつは益々(ますます)馬鹿(ばか)だな。058俺(おれ)が教(をし)へてやろ、059しつかり聞(き)け、060かう吐(ぬか)すのだ。061「伸(の)べよ、062栄(さか)えよ、063一寸(ちよつと)咲(さ)いても神代(かみよ)、064神(かみ)の国(くに)には月(つき)が照(て)る」よいか、065サア云(い)うたり、066云(い)うたり』
067 蚊取別(かとりわけ)は頭(あたま)をなでながら、
068蚊取別『ハイハイ、069ま一遍(いつぺん)云(い)うて下(くだ)さいな、070忘(わす)れました。071ハイ』
072乙『忘(わす)れると云(い)ふことがあるか、073武士(ぶし)の言葉(ことば)に二言(にごん)はないぞ、074考(かんが)へ出(だ)して宣(の)り直(なほ)せ』
075蚊取別『ノ、076エー、077ノ、078エー、079ヘイヘイ』
080乙(おつ)『早(はや)く云(い)はぬか』
081蚊取別『ハイハイ、082ノ、083ベ、084ヨ、085酒樽(さかだる)、086ヘ、087ヘ』
088乙『ドツコイ違(ちが)ふぞ、089酒樽(さかだる)なンて、090直(ぢき)に酒(さけ)の事(こと)を吐(ぬ)かしよる。091伸(の)べよ、092栄(さか)えよと、093かう云(い)ふのだい』
094蚊取別『カ、095カ、096勘忍(かんにん)して下(くだ)さい、097その代(かは)りに私(わたくし)の懺悔(ざんげ)を致(いた)します。098そンな六ケ敷(むつかし)いことは覚(おぼ)えられませぬ』
099甲『ソラ面白(おもしろ)からう。100一(ひと)つ汝(おまへ)の履歴(りれき)を云(い)つて見(み)い。101ドウデ碌(ろく)な事(こと)はあるまい』
102蚊取別『ドウデ私(わたし)は碌(ろく)でなし
103常世(とこよ)の国(くに)の常世彦(とこよひこ)
104常世(とこよ)の姫(ひめ)に見出(みいだ)され
105常世(とこよ)会議(くわいぎ)に曳出(ひきだ)され
106喉(のど)に詰(つ)まつて一言(ひとこと)も
107口(くち)も利(き)けない悲(かな)しさに
108常世(とこよ)の城(しろ)を放(ほ)り出(だ)され
109美山(みやま)の彦(ひこ)の宣使(かみ)さまに
110拾(ひろ)ひあげられ鬼城山(きじやうざん)
111ナイヤ河原(がはら)の水(みづ)汲(く)みと
112仕(つか)へて又(また)も馬(うま)の世話(せわ)
113うまいこと云(い)うて麻柱(あななひ)の
114神(かみ)の教(をしへ)の宣伝使(せんでんし)
115春日(かすが)の姫(ひめ)や月照彦(つきてるひこ)の
116ドエライ神(かみ)を馬(うま)に乗(の)せ
117道(みち)に大足彦(おほだるひこ)の司(かみ)
118聾(つんぼ)になつた宣伝使(せんでんし)
119砦(とりで)の中(なか)に引込(ひきこ)みて
120美山(みやま)の彦(ひこ)に御(ご)褒美(ほうび)を
121頂戴(ちやうだい)しやうと思(おも)うたら
122的(あて)が外(はづ)れてしくじつて
123一度(いちど)は降参(かうさん)したけれど
124酒(さけ)が飲(の)みたい飲(の)みたいと
125喉(のど)の虫(むし)奴(め)が吐(ぬか)すので
126思(おも)ひ切(き)られぬ身(み)の因果(いんぐわ)
127これほど甘(うま)い酒(さけ)の味(あぢ)
128私(わたし)は死(し)ンでも止(や)めないと
129再(ふたた)び心(こころ)を翻(ひるがへ)し
130ウラルの彦(ひこ)の宣伝歌(せんでんか)
131歌(うた)うて居(ゐ)たら何処(どこ)となく
132大中教(だいちうけう)の宣伝使(せんでんし)
133私(わたし)の前(まへ)に現(あら)はれて
134貴様(きさま)はよつぽど偉(えら)い奴(やつ)
135酒(さけ)を飲(の)め飲(の)め酒(さけ)なれば
136いくらなりとも貢(みつ)いでやらう
137世界(せかい)の奴(やつ)を悉(ことごと)く
138酒(さけ)に酔(よ)はして泡(あわ)吹(ふ)かせ
139魂(たま)を蕩(とろ)かし身(み)を砕(くだ)き
140天下(てんか)万民(ばんみん)メチヤメチヤに
141やつた所(ところ)でウラル彦(ひこ)
142ウラルの姫(ひめ)が現(あら)はれて
143枉津(まがつ)の国(くに)としてしまふ
144それの使(つかひ)の宣伝使(せんでんし)
145蚊取別(かとりわけ)とは俺(おれ)のこと
146筑紫(つくし)の国(くに)までやつて来(き)て
147酒(さけ)を飲(の)むなとは情(なさけ)ない
148これがどうして止(や)められよか
149好(す)きな酒(さけ)をば止(や)めるなら
150一層(いつそう)死(し)ンだがましであらう
151あらう事(こと)かあるまい事(こと)か
152訳(わけ)の判(わか)らぬ下戸(げこ)たちに
153好(す)きな酒(さけ)をば止(と)められて
154私(わし)は立(た)つ瀬(せ)がないわいのー
155妻(つま)も子供(こども)も振捨(ふりす)てて
156酒(さけ)で苦労(くらう)をする私(わし)は
157何(なん)と因果(いんぐわ)の生(うま)れつき
158名酒(なさけ)ないではないかいな
159酒(さけ)も酒(さけ)も世(よ)の中(なか)に
160酒(さけ)ほど甘(うま)いものあろか
161四百(しひやく)種病(しゆびやう)の病(やまひ)より
162辛(つら)いは酒(さけ)を止(や)める事(こと)
163止(や)めてたまろか此(この)酒(さけ)を
164飲(の)まず嫌(ぎら)ひは止(や)めにして
165皆(みな)さま一(ひと)つ飲(の)ンで見(み)よ
166飲(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)や闇(やみ)の夜(よ)』
167乙『コラ又(また)吐(ぬか)すか。168おいおい皆(みな)の奴(やつ)、169あの禿頭(はげあたま)をかち割(わ)つてやれ』
170蚊取別『はいはい悪(わる)うございました。171私(わたし)が悪(わる)いのではございませぬ、172皆(みな)飲(の)ンだ酒(さけ)が悪(わる)いのです。173サケ、174サケ困(こま)つたことになつたものぢや』
175 群衆(ぐんしう)は蚊取別(かとりわけ)を中(なか)に置(お)いて見(み)せ物(もの)のやうに面白(おもしろ)がつて嘲弄(からか)つて居(ゐ)る。176闇(やみ)の中(なか)から、
177声『伸(の)べよ栄(さか)えよ一寸(ちよつと)咲(さ)いても神世(かみよ)
178神(かみ)の国(くに)には月(つき)が照(て)る
179月(つき)より明(あか)い大空(おほぞら)の
180日(ひ)の出神(でのかみ)が現(あら)はれて
181天津(あまつ)御空(みそら)に高照彦(たかてるひこ)の
182神(かみ)の命(みこと)の宣伝使(せんでんし)
183酒(さけ)の悪魔(あくま)も祝姫(はふりひめ)
184蚊取(かとり)の別(わけ)が今(いま)茲(ここ)で
185面(つら)を曝(さら)した面那芸(つらなぎ)の
186司(かみ)の命(みこと)の宣伝使(せんでんし)
187一度(いちど)に開(ひら)く梅(うめ)の花(はな)
188花(はな)は紅(くれなゐ)葉(は)は緑(みどり)
189結(むす)ぶ実(みのり)は神(かみ)の国(くに)
190結(むす)ぶ実(みのり)は神(かみ)の国(くに)』
191と闇(やみ)を破(やぶ)つて宣伝歌(せんでんか)は聞(きこ)え来(き)たりける。
192(大正一一・二・二 旧一・六 奥村芳夫録)
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