霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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狐の正体

インフォメーション
題名:狐の正体 著者:出口王仁三郎
ページ:106
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 04:40:00 文字数:1420 OBC :B120200c15
山桜(やまざくら)にほへる八木(やぎ)の鶴山(つるやま)の稲荷おろしの家を訪(と)ひゆく
御嶽教(みたけけう)稲荷おろしの教会のおもてに鶴山(つるやま)とみと記せり
教会の門をくぐれば稲荷おろし婆(ば)さんは偽(にせ)の神(かむ)がかりせり
稲荷おろしと一人の紳士相(あひ)むかひ膝(ひざ)づめ談判に狐を困らす
双(さう)の目は狐の如くつり上(あが)り口(くち)はとがりてみにくき婆婆(ばば)なり
この紳士日置(ひおき)の明田(あけた)貫五郎(くわんごらう)だましよつたといきまきてをり
わが伜(せがれ)八木(やぎ)の芸者に浮かれゐしを浪速(なには)に逃げたと啌(うそ)をぬかせし
糞(くそ)くらひ狐が己(をれ)をだましたと明田(あけた)氏しきりに婆婆(ばば)を責めをり
その方(はう)は何者なるかとわれ問へば古き狐と泣きわぶる婆婆(ばば)
二十年まへに憑(うつ)りしこの狐腹(はら)の中にてたまごろとなる
玉(たま)ごろが腹の中にて荒れまはり稲荷おろしをしますとてなく
村長の私をだましたこの婆婆(ばば)は尾のない狐と怒(いか)る明田(あけた)氏
鎮魂をすれば婆(ば)さんは飛び上(あが)り座敷の中を狂ひまはれり
こんな人に来られちやたまらぬ一時(いつとき)も早く帰りてくれよと頼む
商売の邪魔する人はいち早く帰つておくれと正体現(あら)はす
明田(あけた)氏はわれに対(むか)ひて慇懃(いんぎん)に住所姓名たづねかけたり
姓名を名告(なの)れば明田(あけた)氏驚きてわが家(や)に来(きた)れとしきりに頼む
大金(たいきん)をふところにしてわが伜(せがれ)逃げたといつはる狐といかる
大阪へ人を頼みてさがしみれば伜(せがれ)は八木(やぎ)に芸者とねてをり
教会のま近(ぢか)の青楼(せいろう)にゐるものを大阪等(など)と出放題(ではうだい)いふ婆婆(ばば)
教会の世話方(かた)けふからすつかりとお断(ことわ)りだといかる明田(あけた)氏
十年間狐(きつね)にだまされ教会を建ててやつたとつぶやくをかしさ
これからは必ず嘘は言ひません御世話たのむと泣きつつ婆婆(ばば)いふ
古狐(ふるぎつね)けつでも食(くら)へといひながら明田(あけた)氏急(いそ)ぎ門を出(い)で去る
われもまた教会を出(い)で明田(あけた)氏と鶴首山(つるくびやま)にのぼりゆきたり[※鶴首山は現・南丹市八木町八木にある。]
鶴首山
鶴首山(つるくびやま)稲荷のほこらの右左(みぎひだり)狐の陶器(やきもの)ならべてありけり
七つ八つ赤き鳥居のたててあり白と赤との幟(のぼり)ならべる
古狐(ふるぎつね)祀る社(やしろ)をみてあれば下女(げぢよ)をともなひ婆(ば)さん登り来(く)
この婆(ば)さん何人(なにびと)なるかとよく見れば穴太(あなを)の斎藤(さいとう)直子(なほこ)なりけり
鈴の緒(を)に手をかけガラガラゆすりながら正(しやう)一位稲荷としきりに拝む
をかしさにわれふき出せばこの老婆われを頻(しき)りに睨(ね)めつけてをり
稲荷さんを拝むが喜三(きさ)やん悪いかと口(くち)尖(とが)らせて小言(こごと)のたらだら
大幣(おほぬさ)をうち振りうち振り稲荷下(さ)げおとみ婆(ば)さんが登り来(く)るみゆ
大幣(おほぬさ)を前後左右に振りまはし狂ひまはれる稲荷下(さ)げ婆婆(ばば)
嘘(うそ)ばかりぬかす婆(ばば)よと明田(あけた)氏は大声あげて呶鳴りゐたりき
この声におとみ婆(ば)さんは驚きて雲を霞(かすみ)と逃げ帰りゆく
神様の悪口(わるくち)をいふ罰当(ばちあた)りどこの人かとお直(なほ)さんが言ふ
八木稲荷
明田(あけた)氏を伴ひ祠(ほこら)をあとにして秋田(あきた)かな子(こ)の教会にゆく
八木町(やぎまち)の秋田の家に到りみれば陶器(やきもの)の狐あまた並べり
ここも亦(また)迷信者らしき信徒(まめひと)が託宣(たくせん)聞きて鼻すすりをり
あげ豆腐(どうふ)小豆飯(あづきめし)など沢山にならべたてたる稲荷の神殿
稲荷下(おろ)しわが顔みるや大幣(おほぬさ)をその場に捨てて土蔵(くら)に逃げ入(い)る
土蔵(くら)の戸をぴしやりとしめて稲荷婆婆(ばば)窓より首出し腮(あご)しやくりをり
三日(みつか)でもここにをるからこりや喜楽日(ひ)が暮れるまで待つがよいわい
鶴山の急報によりてこの婆婆(ばば)も土蔵(くら)にかくれてわれをさけたる
をかしさをこらへてわれは明田(あけた)氏と秋田の教会立出(たちい)でにけり
日置の奇蹟
両人は八木(やぎ)の大橋うちわたり膝栗毛(ひざくりげ)にて日置(ひおき)にいそぐ
たそがれて日置(ひおき)の明田(あけた)氏邸(てい)に入(い)り夕餉(ゆふげ)すまして話にふける
村人は次(つぎ)つぎわれを訪(と)ひ来(きた)り神の話に夜(よ)は更(ふ)けにけり
蹇(あしなへ)や盲(めしひ)聾(みみしひ)訪(と)ひきたりみな神徳(しんとく)をうけてかへれり
村人は奇蹟に感じこの村に止(とど)まり給へとしきりに頼む
つぎつぎに奇蹟あらはれ七八日(しちやうか)われこの村に止(とど)まりにけり
○余白に
常世(とこよ)ゆく闇(やみ)のみ空(そら)をはらしつつ鶴亀山(つるかめやま)にすめる月かげ
高山(たかやま)にわきたつ雲のかたまりのいやひろごりて闇(やみ)は深めり
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