霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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人家の軒

インフォメーション
題名:人家の軒 著者:出口王仁三郎
ページ:274
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 06:24:00 OBC :B120900c49
広広(ひろびろ)と明るき(はた)のまん中に雪を被れる一ツ()の見ゆ
西原(にしばら)断崖道(だんがいみち)も過ぎ去りて人家(じんか)(のき)にかけ()りにけり
この家は信者西村(にしむら)友蔵(ともぞう)の安眠したる茅屋(ばうをく)なりけり
戸をうてば友蔵(ともぞう)驚きおき()でて戸を(ひら)きつつ先生かといふ
真夜中に何事(なにごと)出来しと友蔵(ともぞう)顔色(かほいろ)かへて小声に問へり
狂人(きちがひ)野崎(のざき)のことを語らへば友蔵にはかに表戸(おもてど)しめたり
『友蔵』(はる)さんの霊がうつつてこの頃は野崎の(とく)が暴れるといふ
友蔵(ともぞう)と話す折しもとんとんと雨戸を叩くは野崎の(とく)なり
上田(うへだ)をば見逃したのは残念とあやしき声をあげて叫べり
夜明(よあけ)までわか()にお(とま)り下されと友蔵小声(こごゑ)にわれを進むる
戸の(すき)ゆ庭のおもてを眺むれば墓場の灯燈(ともしび)()げて(とく)ゐる
上田殿(どの)をかやせ()り出せと云ひながら(とく)いやらしき声にて叫ぶ
友蔵のすすめによりて置炬燵(おきごたつ)の中にもぐりつ(しん)につきたり
棕櫚箒
何時(いつ)()にしのび()りけむ灯燈(ともしび)をくはへて(とく)はつつたちてをり
友蔵(ともぞう)は驚き()うしよう()うしようと度を失ひてあわてふためく
棕櫚(しゆろ)(ばうき)とるより早く篤三(とくざう)の頭を叩けばばたりとこけたり
大の字に倒れたるまま篤三(とくざう)は残念至極とはぎしりをかむ
狂ひたる野崎は(まなこ)釣り上げて恨めしさうに(にら)める(すご)さよ
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