伝説の数多残れる丹後路は天の岩戸の遺跡を伝へり
皇神の誕生に用ゐしとふ産盥産釜二つ向ふ岸にすすむ
産盥産釜は自然の巌窟に水をたたへて底まで澄めり
この水をいらへばたちまち暴風雨田畑荒るると里人の伝ふる
近よらん術なきまでに断崖のけはしき谷間に垣結びあり
水筒にこの霊水を満しつつわれ断崖をよぢ上りたり
後ればせに又も六人綾部より朝をかけて詣で来にけり
一行は四十余人となりにけり再び旅館に帰りてやすらふ
水筒の水あまりにも少しと木下森津にくみにやらせり
両人は断崖をよぢ辛うじて水汲み神業無事につとめし
かへり路を河守船岡山にます豊受大神の宮に詣でし