愛というものはほんとうに人を動かし、愛一つで世界をうでくりかえすこともできるものである。
元来、宇宙万有は神の大愛によって造られたものであるから、ほんとうに神の大愛に徹したなれば、人のみならず畜類虫族はもちろん、山河草木にいたるまで喜び靡かないものはない。無限大の宇宙といえども自由になるものである。
自分がいうことを、どうしても他人が聞いてくれないというのは、愛がたりないのだ。ちょうど親がわが子を愛するごとき愛をもちさえすれば、いかなるものでもこれに服従しないものはないけれども、いまの人間は「愛々」というても表面の愛で、ほんとうの、わが子を心の底から愛する慈母のような愛ではない。ほんの表面の愛にすぎない愛じゃ。全世界の人類のみならず万有を愛護される大神さまの大神業に奉仕させていただく者は、この心にならねばならね。
(無題、「神の国」昭和10年4月)