道の栞 第一巻上(一)
一 昔の神代がめぐり来て元の神代に立帰り、瑞の御霊を天より降し玉ひて、三界の消息を説き明かさしめ給ふ。
二 此世は神の国であるから、今度豊葦原の瑞穂の国を一つに丸めて、一つの王で始まる仕組。
三 日本ばかりが神の国では無いなれど、天照大神の現はれ給ひし国なれば、殊更に崇めて神の国とは云ふ。
四 豊葦原の瑞穂の国は、此の世界の総てを指して云ふ。
五 天で調べた肉宮の身魂に神が憑りて、何にかの事、お筆先に書かして知らす世になりたり。
六 瑞月が書いても端月が書くのでない。神が憑りて書くのである、手を借る丈である。
七 瑞月が言ふても、瑞月が云ふのではない。神が憑りて言はすのである。
八 此者は天から定められたる審神者である。
九 審神者は神の善悪正邪を調べる役である。
一〇 此の身魂は、神の力を判ける取次。誠の心で来るならば、何んな力も渡す取次。
一一 十年修業さして、神の誠の御用に使ふから。悔やしき事、幾度あるとも、辛抱致されよ。末に誠の花の咲く仕組。
一二 此者の筆に書いた事も、口で申した事も、皆神から故に、万劫末代残る言葉なり。
一三 余り此世が悪道な故に、道を立直す為に、天より降した身魂である。神の誠を現はす誠の神の使。
一四 貧しき家に生れた故に、暗がりの世の中、誰れも侮りて聞くものが無かりたが、最早時節が参りて、身震ひするものがさはに出来る。改心一等。
一五 貧しき者に善人多く、富める人に悪人多き今の世界。
一六 正しき者、憐れみある者は、馬鹿と言はれる暗がりの世の中。
一七 不正の金でも、服装を飾りて、立派に見せたら、人の崇める逆様の世の中。
一八 富める者には、頭を下げて、貧しき者には物も碌に言はん世の中。
一九 此の世を此の儘置いたなら、人が残らず鬼ばかりになりて、遂には人が人を喰ふ。
二〇 今でも親が子を喰ひ、子が親を喰ふ。一家親類睨み合ふて居る。
一二 世界の人民、神の眼から見れば最愛の御子也。人から見れば皆兄弟姉妹。
二二 兄弟喧嘩は不孝。親に心配かけるものは、其身に心配が直ぐ報ふて来る。
二三 広い世界を審神者の目にて睨らんで見れば、誠の者は薬にする程もなし。
二四 神の取次表面から見れば、皆立派にあれど、独りも神の心に叶ふものなし。
二五 今の取次盲目ばかり、其の又盲目が、偉さうに世界の盲目の手を引いて、地獄の釜へ連れて行く。
二六 智者も学者も沢山あれど、誠を知りた智者は無く、教を知りた学者は無い。
二七 誠の神の取次は、智慧や学では出来ぬ。信仰と其行ひの出来る人なら、何んな力も神が蔭から添えさせ玉ふ。
二八 神は此の世に無しと云ふ人、自ら畜生道の仲間入。
(「神の国」大正十四年六月十日号)