霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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合図

インフォメーション
題名:合図 著者:出口王仁三郎
ページ:63
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-30 20:57:00 OBC :B119300c017
十七八歳の頃
口笛(くちぶえ)を吹いて二人の友垣(ともがき)(ゆふ)べの門にわれを呼び出す
無理やりに咳払(せきばら)ひして外の友にしばらく待てと合図なしける
垂乳根(たらちね)の父にさとられつぎの(よひ)咳払(せきばら)ひして頭なぐらる
口笛を覚られてより()が友は下駄の(おと)させ合図しにける
塵払(ちりはら)ひ障子の穴より突き出してしばらく待てと合図の返事す
父母(ちちはは)の寝息うかがひ裏戸(うらど)あけて三人(みたり)西瓜畑(すいくわばたけ)()せ行く
月の()(つゆ)に冷えたる西瓜(すゐくわ)をば地上に打てばぽんと割れたり
真二(まつぷた)つに割れし西瓜(すゐくわ)(あか)あかと月に(にほ)へる夜半(よは)の楽しさ
石榴(ざくろ)のやうにはじけし西瓜(すゐくわ)()餓鬼(がき)の如くにつかみ()ひけり
()()ひし西瓜(すゐくわ)に腹をいためつつ泣顔(なきがほ)おさへて草刈にゆく
真昼間(まひるま)に父は野良より帰り来て西瓜(すゐくわ)盗まれたとこはい顔せり
盗人(ぬすびと)をたづねて見れば()が子ぞと知らぬ親父(おやぢ)の顔のをかしさ
(いた)みやうやくなほりつぎの()は友の(はたけ)三人(みたり)()でゆく
例のごと西瓜(すゐくわ)を割りてくらひあきその翌朝(よくてう)は又(はら)くだる
()が父と友の父とがよりあひて迷惑(さう)にはなし合ひをり
真夜中にお前がとつて()たのかと問はれて胸をとどろかす(われ)
知らないとこばみて見たれど何となく心をののき声ちぢみける
白浴衣(しろゆかた)西瓜(すゐくわ)(しる)に染まりをりて言ひわけたたずあやまり泣きぬ
田に水をひかんと夜半(よは)畔道(あぜみち)をかよひて狸の奴につままる
(とほ)()提灯(ちやうちん)見えて人のかほ声まできこゆる狸の仕業
()が作る田の水口(みづぐち)をふさぐ(やつ)追はんと走りて小溝(こみぞ)に落ちたる
(やうや)くに(みぞ)はひ(あが)れば月()えて()がそばちかく狸あゆめり
こん畜生(たぬき)(やつ)めと追ひかけて再びもとの小溝(こみぞ)に落ちたり
何処(どこ)までもたたる狸と(いか)りつつ泥まぶれにて夜半(よは)家に帰る
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