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舞鶴出舟

インフォメーション
題名:舞鶴出舟 著者:出口王仁三郎
ページ:143
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 06:24:00 OBC :B120900c27
西舞鶴(にしまひづる)八日の月に照らされて海よりの風(しづか)()み居り
真夜中に二隻の漁舟(ぎよしう)をやとひ()()(おと)しづかにこぎ()でにけり
波の()にうかべる月のたよたよと輝きわたる舞鶴の海
白黒(しろくろ)の岩の(いそ)べを漕ぐ舟の波をあらひて沖に()でゆく
ほのぼのと()は明けそめて博奕崎(ばくちざき)のつきたつ(いはほ)波にうつらふ
断崖(きりぎし)(うへ)にしげれる磯馴松(そなれまつ)の姿あやしく海鳥(うみどり)とまれり
ことのほか波しづかにて青畳(あをだたみ)しきたるごとき舟路(ふなぢ)の旅なり
沓島山(めしまやま)冠島(をしま)のかげにほんのりと見えし瞬間()をうちにけり
折もあれ()()る汽船の大波(おほなみ)にわが乗る舟は()の葉とゆれつつ
東北の風やや強くつぎつぎに波(たか)まりて水夫(かこ)は苦しむ
荒浪(あらなみ)に舟は()の葉とゆれにつつ福島の顔さつと(かは)れり
これ限り驚きにけむ福島は沓島(めしま)(まう)でをなさざりにけり
海原の日出
冠島山(をしまやま)まなかひ遠くかすみつつあしたの海の風は涼しき
朝津日(あさつひ)若狭(わかさ)の山をおしわけて波間(なみま)てらしつ静かにのぼらす
海上(かいじやう)にはじめてみたる太陽の(おほい)なるかげにわれは驚く
いつせいに拍手(かしはで)をうちて神言(かみごと)()りつつ進む加佐(かさ)海原(うなばら)
冠島山(をしまやま)目路(めぢ)近くなりて鯖鳥(さばどり)のさへづる声の耳にあたらし
言霊の威力
科戸辺(しなどべ)の神よしづまりましませと言霊のれば風とまりけり
ややありて波なぎわたり海上は鏡のごとく(おだや)かになる
竹村と勇祐(ゆうすけ)福林(ふくばやし)三人は(なみ)におどろき冠島(をしま)にとどまる
恐ろしき沓島(めしま)にわれはゆきえずと(くちびる)の色かへておどろく
御開祖は冠島神社の庭掃除(かれ)三人に命じられたり
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