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小雲川

インフォメーション

題名：小雲川著者：出口王仁三郎

ページ：157

概要：備考：タグ：データ凡例：データ最終更新日：2024-10-31 06:24:00 OBC ：B120900c30

夏ふかみ老松(おいまつ)並樹(なみき)水面(すゐめん)を撫でて涼しき小雲川(こくもがは)の夕(ゆふ)

小雲川(こくもがは)夏さりにつつ暑(しよ)をさけて小舟(をふね)にあそぶ町人(まちびと)多し

老松(おいまつ)の並樹(なみき)のこずゑ蜿蜒(えんえん)と川底(かはぞこ)にはえて魚(うを)をどるなり

大村(おほむら)は四方(しかた)春蔵(はるざう)上中(うへなか)老(らう)田中仙吉とまたも陰謀

小雲川(こくもがは)納涼の舟にさそひ出しさも恐ろしきことを企(たく)めり

上流に小舟(をふね)をすすめ酒呑(の)ませ青淵(あをぶち)さして突落(つきお)としたり

水底(みなそこ)を半丁(はんちやう)ばかり川下(かはしも)に潜(くぐ)りて並松岸(なみまつぎし)にあがれり

曲神(まがかみ)の醜(しこ)の奸計(かんけい)ならずしてすごすわが家(や)に逃げ帰りたり

春蔵(はるざう)は顔色(かほいろ)蒼く染めながらわが前に出て弁解につとむる

なにごともみな大村の計画と一味の陰謀のこらず語る

送り狼

春蔵(はるざう)の野心なかなか堅くして執念ぶかくわれをうかがふ

狼(おほかみ)を道連(みちづれ)とせし心地してわがそば近く侍(はべ)らせにけり

一日(いちにち)もはやく改心せしめむと危険ながらも近く侍(はべ)らす

春蔵(はるざう)は朝夕われに仕へつつ園部(そのべ)と伏見に連絡とりをり

上中(うへなか)の老翁(らうをう)はじめ田中仙吉一味とひそかに気脈を通ずる

園部(そのべ)より上田(うへだ)をはやく退(しりぞ)かせと猛運動をおこし迫り来(く)

綾部園部(そのべ)伏見と京都の野心家をあつめて春蔵(はるざう)策動をなす

荒海(あらうみ)の冠島(をしま)沓島(めしま)を恐れつつ邪神はひそかに反旗をひるがへす

つぎつぎに邪神の群(むれ)は京伏見丹波丹後を荒(あら)しまはれり

道のため御国(みくに)のために御開祖の苦労を余所(よそ)に私利漁(あさ)る曲(まが)

蘇生信徒

御開祖の沓島(めしま)をひらき給ひてゆ信徒(まめひと)またもよみがへり来(く)る

かんかんとつづく旱(ひでり)をものとせず遠き近きゆ信徒(まめひと)つどふ

三伏(さんぷく)の暑さいとはず山坂をこえて京都ゆつぎつぎ来(きた)る

京都よりつぎつぎ教(をしへ)ひろまりて伏見の里に支部を開(ひら)けり

団扇屋(うちわや)の本田(ほんだ)作次郎(さくじらう)はじめとし安田(やすだ)小島(こじま)等(ら)若者(わかもの)入信す

裏千家茶道の宗匠(そうしやう)宗長(むねなが)は京都の信徒(まめひと)ともなひ来(き)たる

本願寺の茶道宗匠(そうしやう)免ぜられ野崎(のざき)宗長(むねなが)は信徒(まめひと)をくふ

宗長(むねなが)にくはれたりとて京都より信徒(しんと)の不平しきりに来(きた)る

宗長(むねなが)の弟松井(まつゐ)元理(げんり)氏は温厚篤実の紳士なりけり

大谷(おほたに)家(け)の重臣なりし松井氏は大(だい)なる邸宅を京都に持てり

実兄の宗長(むねなが)野崎にあざむかれ邸宅残らず売りとばしたり

又しても四方(しかた)春蔵(はるざう)宗長(むねなが)等(ら)とよからぬことをたくらみてをり

春の乱れ

春蔵(はるざう)は園部(そのべ)の田中上中(うへなか)を甘言(かんげｎ)もちて味方となしをり

京都よりまた伏見より園部(そのべ)よりわれに反対の気勢あがれり

野心家の非議(ひぎ)讒謗(ざんぼう)をこととせずわれはひたすら道につかへし

稲の田は次第しだいにはびこりて土用の風は朝夕(あさゆふ)涼し

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