御開祖は闇黒無明の世界ぞと人の治むる世をなげき坐せり
大本に帰れば役員信徒らい寄り来りてゑらぎ喜ぶ
御開祖の弥仙の山に入りたるは会長反対せしゆゑといふ
何事も皆わがわざとしひる癖のつきたる竹村得意然たり
素盞嗚の神がうつりて大本の岩戸しめしと毒づく役員
大江山鬼の息かと思ふまでこがらし寒き冬はきたれり
四面楚歌嘲罵の矢玉にかこまれてわれは御神の道に進めり
認識のたらぬ役員信徒の冷たきまなこに朝夕をすむ
わが説ける道は残らず外道よと力限りにさまたぐる役員
新聞もろくに読めない役員が吾を認識せざるも是非なし
吾妹子ははや七月の腹かかへ息づかひさへ苦しげなりけり
四面楚歌の綾部をたち出で帰らんと思へど妻にひかされてをり
腹に子がなければ故郷に帰らんと思へどせんなしその日のわれは
生るべき子は女よと御開祖はにこにこ笑みて吾にさとさる
大本は女の世つぎと神様が仰せられしと開祖の御言葉
われもまた子の顔みるまでしのばんと一日おくりによき日を待てり
ちらちらと雪ふる庭にわれたちて万年青の株を植ゑつけてをり
大本の名をおひし万年青をひきさりて移し植ゑしと役員いかる
大本を動かすたくみと役員はわがなすことをさまたげんとす
あまりにも不快のままにただひとりわれ本宮の山にのぼりぬ
かぜさむみ本宮山の夕暮は雪しまきして寂しかりけり
羊腸の小径を登る吾下駄の歯に雪こめて歩みなづめり