霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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小麦山

インフォメーション
題名:小麦山 著者:出口王仁三郎
ページ:27
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-10-31 18:51:00 OBC :B129900c08
新緑の()ゆる五月(ごぐわつ)夕暮(ゆふぐれ)を園部の城址(じやうし)小麦山(こむぎやま)にのぼる
千年(せんねん)(こけ)むす杉の大木(たいぼく)は空を封じて月光(つきかげ)とほらず
小麦山(こむぎやま)夜半(よは)に修業をせむものと園部のやかたを立出(たちい)でし(われ)
小麦山(こむぎやま)その頂上にわれたてば()()をもるる十五夜の月
十五夜の月を仰ぎて()れも(また)かく(きよ)かれと祈りけるかも
澄みきらふ月にあこがる(をり)もあれかそけく(きこ)ゆる時鳥(ほととぎす)の声
時鳥(ほととぎす)()きにつつ思ひけり三千年(さんぜんねん)の神の辛苦(しんく)
三千年(さんぜんねん)をとざしきりたるいはやどを(ひら)かむとして()くか時鳥(ほととぎす)
十五夜の月は天神山(てんじんやま)(うへ)高くのぼりて()かげはくらし
火の玉
頂上(ちやうじやう)にさむしろ敷きて端座すればわが目に見ゆる青き火の玉
火の玉は提燈(ちやうちん)の如くぶらぶらと地上を低く動き出したり
何となく気味悪けれど火の玉のゆく後辺(うしろべ)をうかがひゆけり
小麦山(こむぎやま)中腹に(くだ)れば火の玉は音をもたてずパツと消えたり
火の玉の消えたるあとの淋しさはくびすぢもとまで寒くなりけり
小麦山(こむぎやま)(すそ)を伝ひて宮の(ふち)のみぎはにやうやう(くだ)りつきたり
宮の(ふち)(うか)べる月の(すが)しさをしばし(たたず)み見てゐたりけり
折もあれ先に消えたる火の玉は半丁(はんちやう)ばかり(かみ)(ふち)に沈めり
水死者
小夜(さよ)()けをザンブとたてる水煙(みづけむり)月にかがよひ物凄(ものすご)かりき
家に帰り寝るにも寢られず只一人(ひとり)園部大橋の(うへ)(つき)見つ
ややしばしありて提燈(ちやうちん)(いつ)()つ先の淵辺(ふちべ)にゆらぎ()めたり
村肝の心おちゐずおばしまによりて様子をうかがひ()たり
提燈の火は町人(まちびと)の持てるなりき大病人(だいびやうにん)家出(いへで)を探せる
町人(まちびと)(かみ)(ふち)()に舟()けて騒げる声の悲しく淋し
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