元教は大阪おもてに出張し一先づ叔父のやかたに入りけり
元教の叔父は松本留吉といふ鍛冶商の主人なりけり
留吉の館は谷町九丁目の意外に広きすまゐなりけり
知識人入信
留吉の斡旋により元教は大阪市中に教線を布く
元教の宣伝によりて溝口中佐内藤正照信者となれり
溝口は砲兵工廠に出張し寸暇に道の研究をなす
知識階級入信したるは溝口氏をわが大本の濫觴となす
溝口氏はるばる園部に訪ひ来りわが教説をよろこびきけり
内藤も溝口のあとを追ひ来り宣伝に力つくさむと誓ふ
内藤は名古屋の藩士故ありて大阪に移住したる人なり
溝口は薩州生れ隼人気分つよき正義の軍人なりけり