皇国日本は天立君主立憲国なり
出口王仁三郎
国民がその国家の一大事に向つて誠心誠意憂慮奉公すれば、その国は健全に発達し、国の生命が弥栄に栄え行くけれども、国民が国家の一大事に対して憂慮しない様なことがあれば、その国は必ず滅亡の淵に臨むものである。
現在日本の一大事とは何ぞ、云ふ迄もなく日本精神たる皇道を忘れ欧米思想に惑溺せることである。これが為に政治も経済も教育も何も彼も行詰つて来たのである。然るに為政者も支配階級の人々も、此の根本問題を解決せずして、徒らに枝葉にのみ馳り国家百年の経綸を論ずるが如きものは殆んど皆無と言つてよい程情ない状態である。
現今の憲法学者達が、日本の国家について種々の議論を立てて居る如うであるが、皇道を体得しないで日本の国家を論じたり、君主を説いたりするから『天皇機関説』が出て来たり統帥権まで云々する者が出て来るのである。
皇国の憲法は畏くも天祖より出たる神典の示すがまにまに規定せられたもので、政治も経済も宗教も教育も其他一切が同一の精神で統一され、渾然一体となつて栄え行くやうになつて居るのである。学者を初め多くの人々は、日本を立憲君主国の如くに思つて居るが、これが重大な間違ひである。抑も我皇国は万世一系の天皇が現人神として永遠に統治し給ふ世界無比の神聖皇道国であつて、王道国(立憲君主国)でも無く、帝道国(専制君主国)覇道国(弱肉強食国)では勿論なく、実に地上唯一の天立君主立憲国なのである。
此の根本義を知らない為に総てが間違ひだらけになつて来て、遂に今日の如く立往生の形になつて来たのである。これが即ち我が皇国の一大事なのである。前にも述べた如く日本は神国であり、皇道国である。人間の考へた欧米の学理や学説は、皇道の前には何らの権威もない。そんなものを守本尊として政治や教育をして居るから、日本の国が益々紊れ国民が日に日に困窮のドン底へ沈んで行くのは当然のことである。
若し日本がこの調子で進み行くならば果して何んな結果が生れて来るだらうか。何人にも容易に想像が出来得るだらう。此れはどうしても一時も早く皇道に照らして一切の間違つたところを正す必要がある。これは上陛下に対する我々皇国民当然の責務であると信ずる。故に予は昭和神聖運動を起して全国を遊説し、広く国民に皇国のこの一大事を告げ、一刻も早く皇道精神に目覚めしむる様努力して居るのである。