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教鞭

インフォメーション
題名：教鞭 著者：出口王仁三郎
ページ：28
概要： 備考： タグ： データ凡例： データ最終更新日：2024-10-30 20:57:00 OBC ：B119300c009
十三歳より十六歳まで
背の高き生徒におぶさりボールドに白字(しろじ)しるして教鞭(けうべん)をとる
十三の教師のわれは何も知らず女工場(ぢよこうば)の女にからかひつづけし
まん二(に)ねん小学校に教鞭をとりて十五の春にしりぞく
○
父の業(わざ)たすけて農事や醤油(しやうゆ)売り附近の村落荷(にな)ひまはりつ
醤油うりし代金くれぬもどかしさ腹のたつまま廃業なしたり
○
わが村の豪農斎藤(さいとう)源治(げんぢ)氏の家にやとはれ近侍(きんじ)つとむる
酒呑(の)みの主人に毎夜(まいよ)つれられて亀岡附近の料理屋まはれり
奥様と主人の中にはさまれて苦(くる)しき立場をあぢはひにけり
○
玉(たま)の井(ゐ)の池に関して村びとの圧迫つよく窮地におちいる
プロレタリヤ小作の父は地主等(ら)に小作田(こさくだ)のこらずとり上げられたり
雇はれし主家(しゆか)にいとまをこひながら村全体と論争をなす
論争の結果やうやくわれ勝ちて池の年貢を村より収(をさ)むる
弱ければ踏みつぶさるる世と知りて心の駒(こま)をたてなほしたるも
○
小作田(こさくだ)も少なくなりてやむを得ず車をひきて生活をなす
夜昼(よるひる)の差別もわかず京都市に薪(たきぎ)の運送なしてくらせり
夕(ゆふ)されば友だちのこらず夜遊びに出(い)づれどわれは車ひくなる
雪霜(ゆきじも)の道ふみしめて真夜中に寒さしのぎてくるまひきたり
雨雪(あまゆき)の日はことさらに苦しけれ車のわだちいやおもくして
何故(なにゆゑ)にわれかくのごとく不遇なる家に生(あ)れしかとかこちてもみし
○
筋(すぢ)も骨もくだくるばかりの苦しさに隣家(りんか)の雇(やと)はれびととなりけり
垣(かき)一重(ひとへ)へだてし隣の百姓家(ひやくしようや)に雇はれ田(た)作(づく)るわざにいそしむ
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