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野遊

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題名：野遊著者：出口王仁三郎

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概要：備考：タグ：データ凡例：データ最終更新日：2024-10-30 20:57:00 OBC ：B119300c003

十歳の頃

松(まつ)桧(ひのき)伐(き)りはらはれし坊主山(ばうずやま)に兵隊ごつこし渓間(たにま)に落ちけり

かすり傷少(すこ)し負へども軍人は泣かぬと云ひつつ顔しかめたり

吾(われ)は官軍吾(わ)が敵は天地(てんち)いれざる朝敵(てうてき)と軍歌うたひし十歳の頃

川の辺(べ)の茨(いばら)の室(むろ)の蜂の巣を知らずに踏みて吾(わが)顔さされし

土窩蜂(どかばち)にさされし顔をなほさんと友のより来て歯くそ目に塗る

朝早く露(つゆ)をおびたる蛛蜘の巣の白きをまきとり蝉(せみ)ふせて遊ぶ

かぶと虫捕(と)らんと夏の日椢生(くぬぎふ)の林(はやし)あさりて蜂におそはる

○

蓮根(れんこん)の生(おひ)しげりたる溜池(ためいけ)に水泳(みづおよ)ぎせんとて溺(おぼ)れし幼(をさ)な日(ひ)

溜池(ためいけ)に溺(おぼ)れて死なんとせしをりに祖母の来(きた)りて救ひ給ひぬ

わがからだ溺(おぼ)れし姿見(み)るよりも友の童(わらべ)はおどろき逃げさる

○

学校にゆく道それて山に入(い)り弁当くらひて友とあそびぬ

先生の光る眼玉(めだま)のおそろしさに父をいつはり川遊びせしも

生徒等(ら)の帰る時刻を見はからひすまし顔(がほ)にて家に帰りぬ

○

金剛寺(こんがうじ)夜学(やがく)にかよひ住僧(ぢゆうそう)の留守は木魚(もくぎよ)をたたいて遊ぶ

須弥壇(しゆみだん)の阿弥陀(あみだ)の口(くち)に鰌(どぜう)などはませて友と手をうち笑ふ

住僧(ぢゆうそう)が帰りて怒(いか)り吾(わ)が衿(えり)をつかみて外(そと)にほり出しにけり

夜学校(やがくかう)帰りの闇(やみ)に吾(わ)が友の幽霊となりておどかしにけり

命(いのち)限り幽霊の裾(すそ)にかみつけば悲鳴をあげて逃げ出す吾(わ)が友

説教を聞きつつねむり朝掃除する堂守(だうもり)に箒(はうき)でたたかる

○

溝(みぞ)とめて魚(うを)あさりをれば走り来(きた)る田守(たもり)の怒(いか)りに頭うたれき

結婚式見(み)んとて障子にねぶり穴あけて舌端(ぜつたん)つつかれ吾(わ)が泣く

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