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第三章 神社と教派

インフォメーション
題名:第3章 神社と教派 著者:出口王仁三郎
ページ:19
概要: 備考:2023/10/02校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-10-02 11:36:22 OBC :B121802c104
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]『直霊軍』明治43年5月10日
 近来国幣社(こくへいしや)以上に奉仕する神職の多くは、神社は宗教以外に特立(とくりつ)する者なりと云ふ迷論を主張する者あれども、吾人(ごじん)は常に神社も教派も共に信仰に()つて成立(なりた)つものなる事を信じて(うたが)はざるなり。如何(いかん)となれば彼等は神社に(おい)水火難除(すゐくわなんよけ)(など)守護札(おまもりふだ)領布(はんぷ)し、(また)家内(かない)繁昌(はんじやう)国家(こくか)安全(あんぜん)戦勝(せんしょう)祈念(きねん)の祭典を挙行しつつあるにあらずや。(この)守護札(おまもりふだ)授与(じゆよ)や戦勝祈念の如き、全然(その)基礎(きそ)の信仰に隔離したるものと云ふを()べきや。祈念は勿論、一切の祭典儀式は(みな)()祈禱(きとう)なり。祈禱(きとう)(その)根底(こんてい)を信仰に置かざるべからざる者なる事は万人の首肯(しゆこう)する所なり。祈禱(きとう)は果して信仰に基くものとすれば、神社も教派も(とも)に宗教の圏内を脱すべからざるは明白なり。同じ宗教圏内にても神社の(がは)(おい)ては、過去の功績を報賽(はうさい)して()ほ将来を祈願し、教派の側に在つては宇宙万有の主宰に(おは)す大神の遺訓を遵奉(じゆんぽう)して蒼生(さうせい)接化(せつくわ)輔導(ほだう)を理想とするものなり。功績(こうせき)報賽(はうさい)(しゆ)とする神社としては、国土経営に(はげ)(たま)ひし大国主(おほくにぬしの)(かみ)少彦名(すくなひこなの)(かみ)、又は一族を挙げて義勇(ぎゆう)奉公(はうこう)の誠を捧げし楠公(なんこう)其他(そのた)君国(くんこく)()尽瘁(じんすゐ)して功績あるものは、高下(かうげ)尊卑(そんひ)を問はず祭祀(さいし)するを()べしと(いへど)も、遺訓の宣伝を(しゆ)とし神人(しんじん)の感合を理想とする教派としては、神社の(それ)の如く祖先中の有功者(いうこうしや)(すなは)ち国土経営に大功(たいこう)ありとか、皇室の危急を救ひ(まつ)りしとか、又は逆賊を討伐して塗炭(とたん)(くるし)みより民を助けしとかを(もつ)て、任意に祭祀(さいし)すべきものにあらずして、必ず、天照皇(あまてらすすめ)太御神(おほみかみ)(いつ)かずむばあるべからざるなり。(しか)るに今日の神道各派は此の明白なる事理を攪乱(かくらん)して、惟神(かむながらの)大道(たいだう)の何物たるかの帰旨(きし)を明確に説明するなし。()吾人(ごじん)の説をして更に(たしか)めむとせば各派の教規(けうき)なるものを見よ、(その)祭神(さいしん)の種々雑多なる(ほと)んど功績(こうせき)報賽(はうさい)(しゆ)とする、神社と(がう)も差異なきを発見せらるべきなり。
(明治四三、五、一〇号 直霊軍)
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