──昨夏、人類愛に燃ゆるバハイ教宣教使の大本にきたりて一脈のすでに相通ずるものあり。いまやアフガニスタン国の外交使節は万難を排して日本帝国を訪れ、あたらしき愛の宗教に一致して東洋永遠の平和擁護を高唱しつつあるに会し、われらは無限の感興をおぼゆるものなり。
いまそれ『霊界物語』を繙読するに、その舞台の世界的なるは最も注目すべき点の一なるがごとし。あるいは北米スペリオル湖の湖畔に教を垂れ、あるいは南米チリの山地に教義を説く。あるいはアフリカの蕃地に進入し、あるいは北欧の広野に孤影をひき、あるいは万里の波涛を越え、あるいは雲山霞壑(雲かかる山、かすみの谷〉を踏み破る宣伝使の活動は、まことに伝道師の範とするに足る。
しかしてひるがえって大本の現状を見る。なんぞその退嬰消極的の甚しきや。その教を説くものその足跡のおよぶところ、わずかに本土の内にかぎれり。
……世界人類済度の経典を与えられたるわれらは、あるいはいたずらに身魂の因縁性来をなまかじりにして大平楽をならべ、あるいは排外的思想に没入してみずから小さくなるの愚を避け、大いにこれを活用して世界的神国成就の実現に努力すべきなり。
噫々人類はいまや救主の出現を待ちて無明暗黒の世界を模索しつつあるにあらずや。